女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】   作:笹の船

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捜査方針決定

『指揮官。第4部隊、R05地区前線基地に到着いたしました』

 

 そんな連絡を貰ったのは45達が修復に言って10分ほどたった時だった。

 ジェリコを小隊長に据えた第4部隊が向こうに到着したらしい。メンバーは確かジェリコ、MP5、ウェルロッド、TAC-50、スコーピオンの五人だったかな。

 

「了解よジェリコ。シンプソン指揮官とはもう会った?」

『いいえ。ブリーフィングルームには通されましたが、まだ彼女は来ていません』

「そう。とりあえず、シンプソン指揮官が来たらブリーフィングね。事前に渡しておいた情報はもう皆目を通してあるわね?」

 

 私の問いかけに、ジェリコは頷きを返してくれた。ブリーフィングには手早く移れそうだ。

 と、そんなことを考えているとバタバタと誰かが入室してきたような音がスピーカーを通して聞こえてきた。

 

『ご、ごめんなさい! お待たせしました』

 

 モイラの声だ。ちょうどいいタイミングね。

 

「シンプソン指揮官、聞こえる?」

『あっ、シーラさ……コリンズ指揮官! すみません、お待たせしてしまったみたいで!』

「構わないわ。ちょうどいいし、このままブリーフィングをしましょう」

『了解です。……あ、通話はウチのブリーフィングルームの方に切り替えますか?』

「このままでいいわ。その部屋のモニターは資料とか諸々を映すために使って」

『分かりました。……それでは、今回の作戦の概要を説明いたします。事前資料は皆さんご覧になっていますか?』

 

 モイラの問いにジェリコが既に目を通してあることを告げる。

 

『それでは改めて。今回の作戦は、この基地すぐそばの街でE.L.I.D化した男性調査です。この街の付近には汚染区域はありませんし、ここ最近特段大きな戦闘行動があったわけでもありません』

「自然発生の可能性は低いということね」

『はい。ですので、人為的な事件として現在目下調査中です』

『ねえ、質問いい?』

『はい、なんでしょう?』

 

 通話の向こう側でジェリコのため息が聞こえた。規律を重んじる彼女にとってスコーピオンの質問の仕方はちょっと頭が痛いかもしれないな。

 

『その……じんいてき? 要するにわざとってことでしょ? そんなことをするとして、やった犯人の目的って何?』

『えっと、それは……』

 

 スコーピオンらしいストレートな意見だなあ。ただ、現段階で結論を出すには情報が足りないかな。モイラも結構困っているような声を出している。

 

「それを調べる手伝いをするのが、アナタ達第4部隊の仕事よ。シンプソン指揮官、被害者の男性の交友関係や最近の動向、あれから何か進展はあった?」

『はい。金銭関係や職場でのトラブルはなかったそうなんですが、どうやら彼が飼っていたペットが死んでしまったそうです。表向きには隠していたそうですが、仲の良いご友人からお話を伺ったところ、かなり落ち込んでいたと』

 

 ペットが死んだ、か。その様子だと家族が死んだようなものだろうし、ショックも大きかったことだろう。

 

『発言よろしいでしょうか』

『どうぞ。……えっと』

『TAC-50です。ペットの死因って分かったりしますか?』

 

 死因か……何かのきっかけにはなりそうだけど。

 そんなTACの問いかけに疑問の声を上げたのはMP5だった。

 

『あの、TAC-さん。死因なんて知ってどうするんです?』

『いえ。MP5、それは結構大事なことかもしれません』

『えー、どういうことなのさウェルロッド?』

『スコーピオン、アナタはもう少し真面目に……いえ、後にしましょう。ペットの死因によっては、今後私達が調査すべき場所が絞り込める可能性があるんです』

 

 なるほど。言われてみれば確かにそうだ。死因が割り出せれば、ペットの死の前後の男性の動きは予測しやすくなる。

 

「いい着眼点ね。シンプソン指揮官、そこの辺りの情報は?」

『ご友人は事故に巻き込まれて死んだと聞いているそうです』

「事故の原因は?」

『被害者がペットとの散歩中、街道を猛スピードで走り抜ける車両にはねられたようです。その時男性は絶対に犯人を見つけ出してやると、涙ながらに語っていたと……』

 

 ちょっとキナ臭くなってきたな。街道を爆走って時点で怪しいし、そんな奴らを被害者が追ったとなればトラブルに巻き込まれたのはまず間違いないだろう。

 

「となると、まずは被害者のペットをひき殺した連中を探すところからかしらね」

『ですね。それでは一度方針をまとめましょう』

 

 それから決まった方針はこうだ。

 ジェリコ達第4部隊が被害者のペットを撥ねた車両の足取りを追い、モイラ達は引き続き被害者本人の足取りを追う。

 仮説としては車両の行先も被害者の足取りも同じ場所に集まるから、二つの部隊が合流したらその後はその地点を偵察、そして制圧する。

 崩壊液が絡んでるとなれば相手もずぶの素人って訳ではないだろう。気を引き締めてかかる必要がある。

 でもまずは、奴らの居場所を探し出すところからだ。

 落ち着いて、ジェリコ達を信じて一歩ずつ進もう。

 必ず真相を明らかにする。そのうえで、裏にいるであろう奴らの尻尾も掴んでやる。

 

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