女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】   作:笹の船

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仕事中に舞い降りてきてしまったので思うままに書きなぐってしまった。
もしも45姉がシーラ指揮官に対してヤンデレをこじらせてしまっていたら
というIFのお話になります。超長いです。
胸糞注意でもあります。
本編とはつながりはありません。違う世界線とでも思ってもらえれば。





【番外IF】ディストーション・ラヴァーズ

「皆、作戦ご苦労様。今回も成功ね、よくやったわ」

 

 作戦が終わり、帰投した私達をシーラが出迎えてくれる。AR小隊との合同任務でやりにくかったけど、まあ全体で見ればつつがなく終わった。

 

「ねぇねぇ指揮官! 今回は私頑張ったよ!」

 

 まるで飼い主に褒められた子犬のようにシーラに駆け寄るのはM4SOPMODⅡだ。確かに、今回の作戦を語るにあたって彼女抜きでは語ることは出来ない。

 

「あら、それじゃあ何かご褒美上げないとね」

 

 やったぁ! と両手を突き上げて喜ぶSOPⅡを、シーラは優しく微笑みながら見つめていた。

 そんな彼女と目が合う。相変わらず下手なウィンクをしながら、シーラは私へも声をかけてきた。

 

「45もお疲れ様。アナタのおかげで今回も成功したわね」

 

 シーラに褒められた。嬉しい。体がかぁっと熱くなるのを感じる。

 頬だって気を抜けばすぐにでも緩んでしまいそうだ。けれど、ここでそんな姿を見せるわけにはいかない。周りにはまだ他の戦術人形がいるのだから。

 

「私を誰だと思っているの? 余裕よ、このくらいはね。それに、指揮官の的確な指揮があったからこその勝利よ」

 

 私の言葉に、シーラはほんのちょっぴり照れ臭そうに笑った。可愛らしい笑みだ。作戦での疲れも、この笑顔を見れば全部吹っ飛んでしまいそうなくらい。

 

「指揮官、いちゃつくなら後で頼むな? とりあえず報告を済ませちまいたい」

 

 私の隣にいたM16がややムスッとした表情でシーラに問いかける。誰に口をきいているつもりなの。

 

「ああ、ごめんねM16」

「指揮官! 後で私の訓練見てほしいんだけど!」

「SOPⅡ、先に行ってて。ちゃんと見に行くから」

「約束だよ!」

 

 その後も、何人もの戦術人形に突っかかられながら、それでもシーラは丁寧に対応していく。

 時折彼女が笑顔を見せるたびに、そしてそれが私以外の人形達に向けられることに、胸の内で暗い炎が燃え上がるような感覚に支配される。

 それでも私が冷静でいられたのは、室内灯の光を鈍く反射したあるものだった。

 シーラの左手薬指で光るソレは、銀色の指輪だ。そしてそれは、私が左手薬指にはめているものと同じものでもある。

 この基地で私だけが彼女からもらった『誓約の証』。

 それだけが、この場における私にとっての唯一の救いだった。

 まだ、彼女は私を見てくれている。そう実感させてくれたから。

 本当は、いつでも私だけを見てほしい。その笑顔も、疲れた顔も、悲しんでいる顔も、私にだけ向けてほしい。

 でも、それは許されないことだ。彼女には立場がある。指揮官として、私達戦術人形達を導く責務がある。

 変に責任感の強いシーラは、それを投げ捨てることはきっと出来ない。そんな彼女だからこそ、私は魅かれたんだろうけれど。

 きっと後で私とシーラの二人だけの時間を作ってくれるはず。そう信じて、私は一度騒がしい司令室を後にした。

 左手薬指が、ずきりと痛んだ。

 ああ、早く二人きりの時間が来ないかな。9はニヤニヤしながらこっち見ないの。

 

 

 AR小隊との合同任務から数日後、司令室で副官の仕事をしながらシーラの方を盗み見ると、眠そうにあくびをする彼女の姿が目に入った。

 昨晩は激しかった。ケダモノのように互いを求めあって、結局お互いに疲労困憊して気を失うように眠ったのだから。しかも、それはほんの数時間前の話だ。

 彼女が眠い理由を知っているのは私だけ。もっと言うなら、ベッドの上での彼女の姿を知っているのも私だけ。

 その事実が、甘い蜜を舐めた時のような幸福感となって私の満たしていく。この基地で何人もいる人形達の仲でただ一人、私だけが彼女の痴態を知っている。

 そして404小隊の隊長である私が、あんなにもはしたなく乱れる姿を知っているのはシーラだけ。

 お互いに周りには絶対に見せない姿を知っている。まるで秘密を共有しているみたいで、ぞくぞくした。

 もっと欲しい。こんな幸せなことを知ってしまって、我慢をするのは中々に難しいことだ。

 けれど、我慢はしなければならない。シーラに私を見続けてもらうためにも、彼女に嫌われてしまうような言動は慎むべきだ。

 そんなことを考えながらシーラを見つめていると、相変わらず眠そうに目を細めながら、彼女はニコリ、と私に微笑みかけてくれた。

 それだけで電脳がエラーを出す。許容量を超えた幸福感に、演算処理が間に合わない。

 だらしなく頬を緩ませながら、私も彼女に微笑み返す。

 ああ、ずっとこんな時間が続けばいいのに。

 

 

 シーラが、仕事のある日のお昼は極力私以外の人形と関わるようにすると言い出した。

 嫌われてしまったのか、と一瞬目の前が真っ暗になったような錯覚を覚えたけれど、そういうわけじゃないみたい。

 なんでも、私との時間を捻出するための措置らしい。確かに、日ごろから仕事中に人形達に付き合っておけば、休日や業務時間外にずっと私と一緒にいても不満は出にくいだろう。

 出ないわけではないけれど、シーラのプライベートの時間は彼女のものだ。そこにケチをつけられるほど偉い人形はここにはいない。世界中探したっていないだろう。

 ケチをつけられたって知るもんか、とシーラは私に笑って語ってくれた。

 ああ、なんて素敵な人だろう。私の為に、そこまで言ってくれるなんて。

 

 

 やっぱり我慢が出来ない。辛い。

 いくら夜や休日を私との時間にあててくれると言ったって、やっぱり限度はあった。

 本部からの要請があればプライベートな時間なんて簡単に消えてしまう。

 けれど、一度言い出した以上はどの人形にも平等に接しなければと、シーラは仕事中ずっと色々な人形とコミュニケーションをとっている。

 おかげで、最近は随分とシーラと触れ合う機会が減ってしまった。

 ねえ、私の存在はそんなに軽いの? アナタのその責任感は、私への愛よりも大事なものなの?

 そんなことを考えては、バカなことを、とかぶりを振る。シーラも大変なのだ。私のように直接戦闘に出ない以上、別のところで彼女は頑張らなければならない。

 それもこれも、最近になって活発に動くようになってきた鉄血のせいだ。

 あんな鉄くずどもなんて、この世から消えてしまえばいいのに。

 胸の内にたまったストレスを吐き出す様に、その日の作戦では鉄血人形をたくさんスクラップにしてやった。

 シーラの「流石は私の45ね」という言葉が、私の心を軽くする。

 もっと褒めて。もっと私を必要として。私はアナタのためだけに戦うんだから。

 ああ、もっともっと頑張って、彼女の喜ぶことをたくさんしよう。

 

 

 久しぶりの二人きりの休日。誰にも邪魔されず、何のトラブルもなく心行くまで満喫することができた。

 これまでの我慢が一気に報われた気分だった。

 手をつないで一緒に散歩とか、ショッピング、食事、そして最後はベッドの上で体を交える。

 時間が取れなかった最近では一人ですることも多かったけれど、その時の快楽なんかとは比べ物にならない程の快感が全身を駆け巡った。

 ただキスをするだけで体は出来上がり、シーラの指先が私の体をなぞるだけで体中に電気が走ったような快感を感じる。

 シーラが優しく私の胸に手を置けば、彼女の手もまた興奮で熱くなっているのが分かった。

 最初こそ私もシーラもゆっくりと優しく触れ合う程度だったけれど、途中から我慢できなくなってしまって、結局はお互いの体を貪るように交わっていた。

 次に目が覚めた時、シーラがやってしまったねと困ったように笑っていた。そんな笑顔でさえ、愛おしくてたまらない。

 仕事の時間が迫り、ノロノロと準備をしていると、シーラが少し照れたようにはにかんだ。

 

「今度はもっと長いお休みを取ろうね」

 

 そう言って私を見つめる彼女の瞳には、私だけが映りこんでいるように見えた。

 ああ、次はもっともっと愛し合えるんだね。次のお休みが楽しみになったな。

 

 

 416が死んだ。

 難しい作戦ではなかったはずなのに、想定外の鉄血の増援に後手に回った私達は、撤退を余儀なくされたのだ。

 撤退する途中、416が足を負傷した。それまでの戦闘ですでにダミーは全滅。残るは本体一人だけだった。

 私を含めた他のメンバーも似たり寄ったりで、数で大幅に勝る鉄血の軍勢相手に416を担いで逃げ続ける余力を持つ人形なんていなかった。

 死にたくない。416らしからぬ声でそう叫んではいたけれど、最期はシーラに精一杯明るい声で「自分が時間を稼ぐ、後で迎えに来てほしい」と通信を送った。

 彼女が一人残って時間を稼いでくれたおかげで、私達は何とか前線基地にたどり着くことができた。

 報告をしている時、シーラは無表情だった。ただ淡々と私達をねぎらい、そして編成した救出部隊を416の救助へと向かわせていた。

 9も、G11もその間一言もしゃべらなかった。ただ黙って、皆で修復ドッグへと向かった。

 修復を終えて司令室に戻ってみれば、項垂れて椅子に腰かけるシーラがいた。

 涙は流していなかったけれど、私に気づいて顔を上げた彼女の瞳は暗く濁っていた。

 救助部隊の報告では、コアも義体も完全に破壊された416が見つかったらしい。提出された報告書にはグリップを握りしめて離さないあの子のちぎれた腕の写真が載っていた。

 それは紛れもなく416が最後の瞬間まで戦術人形として、404小隊のメンバーとして勇敢に戦いぬいたことを証明だった。完璧を自称する、彼女らしい最期だったと思う。

 その夜、シーラの部屋を訪れた。きっと、彼女も吐き出したいものがあると思ったから。

 案の定、部屋に入ってきた私を見るや否や、シーラは私に抱き着いて声を上げて泣き始めた。

 ごめんなさい、と泣きながら416に懺悔するシーラを抱きしめて、優しく背中をさすり続ける。

 泣き疲れて眠ってしまったシーラをベッドに寝かせ、私も一緒に横になった。

 すぅすぅと寝息を立てる彼女の頭を優しくなでながら、私は残酷にもシーラの泣き顔を自分だけが知っているんだ、という優越感に浸っていた。

 仲間が死ぬのは馴れている。今まで何人も見捨ててきたのだ。今更一人死んだところで、別に私の心はそれほど動かない。たとえそれが長い間行動を共にした小隊の仲間でも。

 それどころか、こんな時こそシーラには私だけに頼ってほしいなんて、薄汚れた欲望が鎌首をもたげていた。

 翌朝、目元をわずかに腫らした顔でシーラが私にお礼を言ってきた。

 

「45がいてくれて、本当に良かった。……また、もしかしたら頼るかも」

 

 力なく笑うシーラに、私はささやく。

 

「無理をしないで、シーラ。大丈夫。私がついているから」

 

 私の言葉に、シーラはほんの少し安心したように笑ってくれた。

 ああ、やっぱりシーラはか弱い女の子だね。でも安心して、私が守ってあげるから。

 

 

 それからシーラはどうにか立ち直ったようで、416の死にショックを受けた9達のケアを率先して行っていた。

 気丈にふるまう彼女に、勇気づけられたのは9とG11だけではないだろう。

 お通夜ムードだった基地も、今ではそれなりに以前の日常へと戻りつつある。

 不満があるとすれば、やはりシーラと触れ合う時間が少ないことだろうか。

 あの一件以降、シーラに頼る人形達も増えた。元々慕われていたけれど、率先して皆のケアを行っていたことで更に慕われるようになったんだろう。

 特に、9は以前にもましてシーラに絡むようになっていた。

 ……面白くない。シーラは、私のものなのに。

 けれど、そんな気丈にふるまうシーラも私と二人きりの時はただのか弱い女の子だ。

 みっともなく涙を流して、いつもいつも私の胸の中ですすり泣く。

 時には悲しみや苦しみを忘れたいがために、ひたすらにお互いを求めあったりもした。

 そんな風にシーラが私にだけ弱い自分を見せられるという状況に、私は一人ほくそえんでいた。

 ああ、可愛いシーラ。もっと私を頼って。私だけを頼ってほしいの。他の子になんて、頼らなくていいのよ。

 

 

 さらにしばらくして、ようやく鉄血の活動も落ち着いてきた。

 周辺区域の警戒態勢も解け、ようやく穏やかなひと時が戻ってきたある日、シーラが私の分も一緒に3日分の休暇を取ったと報告してきた。

 今度はもっと長いお休みを取ろうね――大分前のそんな約束を、彼女は律儀にも覚えていてくれたらしい。

 休暇は、基地を離れて遠くに行くことが決まった。

 3日間しかないから国をまたぐような旅行は出来ないけれど、それでもシーラと二人で遠くに出かけられるのは素直に嬉しい。

 行先は、山奥の小さなホテルに行くことになった。放射能はもちろん、崩壊液の汚染から逃れた自然豊かな小さなホテルだ。

 戦いからは遠く離れた、平和な日常をそのまま形にしたようなホテルで、私達はゆったりとした時間を満喫した。

 美味しいものを食べ、温かくて柔らかいベッドで眠る。そこには私とシーラだけ。他の人形も、グリフィンも、鉄血も何も介入して来ない二人だけの世界。

 最高だった。夜、シーラと同じベッドにいるときは大体体を重ねていたけれど、初めてそんなことをしなくてもいいと思えるほどに充実した時間を過ごせた。

 けれど、そんな時間も終わりは来る。

 後ろ髪を引かれる思いでホテルを後にし、私達は帰りのバスへと乗車する。

 

「ねえ、45」

 

 車窓の外を流れていく景色を眺めながら、シーラが私の名を呼んだ。

 

「なぁに。シーラ」

「好きよ。愛してる」

 

 唐突な愛のささやきに、頬が熱くなるのを感じた。

 

「どうしたの、突然」

 

 それを誤魔化す様に笑って問い返してみる。

 

「私ね、この3日間で気づいたんだ」

 

 何に気づいたんだろう。そう思っていると、彼女は私を真っすぐと見つめてきた。

 シーラの黒い瞳に、私の姿が映りこむ。

 

「私……もうアナタがいないとダメみたい。416が死んでから……私がしっかりしなきゃって、アナタとの時間を後回しにしてまで頑張ってたんだけどね。その間、すごく辛かったの。いつも声を上げて泣き出したかった。でも、指揮官の私がそんなことをすれば士気に関わるでしょ? だから、ずっと我慢してたの」

 

 そっと私の手が握られた。シーラの指先は、ほんの少し震えていた。

 

「でも、アナタと二人でいるときだけは我慢しなくてもいいって思えた。だから耐えられた。45がいてくれたから、私は壊れずにここまでこれた。もう、アナタ無しでどうやって指揮官を続けたらいいか、分からないくらい」

 

 そう震える声で本音を吐露して、シーラはギュッと私の手を握る。

 私はといえば、これ以上ない幸福感に満ち溢れていた。気を抜けば、喜びの雄たけびを上げてしまいそうになるくらいに。

 あのシーラが、グリフィンでも優秀だと評判で、指揮をしている時はまるで戦乙女のようだなんて言われていたあのシーラが。

 こんなにも弱弱しく私を頼ってくれている。私がいなければどうしたらいいかもわからないと、縋り付いてきてくれる。

 なんて素晴らしいことなんだろう。こんな嬉しいことは、誓約の指輪を渡された時以来かもしれない。

 

「大丈夫よシーラ。前にも言ったでしょ? 私がついてるって」

 

 ニヤケそうになるのを必死でこらえながら、絞り出したそんな言葉に、けれどシーラは無邪気な笑みを浮かべてくれた。

 

「ありがとう、45」

 

 ああ、愛しいシーラ。アナタは一生私の傍にいてくれればいいのよ。そうすれば、私がアナタを守ってあげられるんだから。

 

 

 それから、シーラと一緒に行動する時間は一気に増えた。何をするにも彼女は私に確認をとるようになって、私はその都度優しく、時には厳しく励ましてあげた。

 横を見ればいつでもそこにはシーラがいる。シーラが隣を見れば、いつでもそこには私がいる。なんて素晴らしいんだろう。これこそ、愛し合っているということなのではないか。

 一部の人形からは微妙な視線を送られたけれど、別に仕事中に盛っているわけでもない。業務だって私やシーラだけじゃなくて、他の子達にも引継ぎをして属人的な仕事を減らす様にしている。

 前も十分円滑に基地の運営ができていたけど、私とシーラが一緒にいるようになってからはさらに効率が上がったような気がする。

 それと、以前はシフト制だった副官業務は私で固定になった。これも嬉しいことの一つだ。

 勿論、私が作戦で前線に出ている間は以前通りシフト制に戻っている。だから私がいないからといって基地の運営が立ち行かなくなるなんてこともない。

 416じゃないけれど、我ながら完璧な立ち回りだと思った。

 けれど、それはとんだ思い違いだったとすぐに気づくことになった。

 ある日作戦から帰ってくると、私以外の人形と楽しそうに話しているシーラの姿が目に入った。

 

「指揮官? ただいま戻ったわよ」

 

 やるべく穏やかな声で他の屑どもと会話するシーラに声をかける。

 

「え、あ……お帰り45」

「ええ、ただいま。報告するけど、大丈夫かしら」

 

 有無を言わせない口調でそう聞けば、怒られた子犬のようにしょんぼりとした表情でシーラが頷く。

 シーラと会話していた屑はさっき交じりのにらみを利かせてさっさと追い払った。なんて名前だったかを思い出すのもうっとおしい。

 あんな楽しそうな笑顔をさせるのは私だけでいいの。私以外がやっていいことじゃあないの。

 今更気づいたけど、この基地には邪魔な連中がいっぱいいるわね。害虫は駆除をしないと。シーラは私だけのものなのよ。この子は、私だけを頼っていればいいの。

 そうか、他の人形がいる限り、シーラは私だけを見てくれはしない。簡単なことじゃない。

 最初からそうすればよかったんだ。

 ああ、少し気分が良くなった。何をするべきかわかると、思考がクリアになるものね。

 

 

 平和な日常は突如終わりを迎えた。

 私達の基地に鉄血が奇襲をかけてきたのだ。

 理由は簡単。私が鉄血のIDでこの基地の座標を記した暗号を向こうに飛ばしたから。

 シーラにまとわりつく害虫を駆除するといっても、相手は全員戦術人形だ。私一人ではどうにかできるものじゃない。

 だから奴らの力を借りることにした。こうすれば害虫共は戦いに出ていかざるを得なくなる。そしてそこで無様に死んでいくしかないのだ。

 勿論、この基地でも上位の戦力である私も駆り出されるけれど、実際に前線に出すのはダミーだ。私はダミーの振りをしてシーラの護衛を行う。彼女に万が一があっては計画が台無しだ。

 一体。また一体と基地の人形が倒れていく。いかに優秀とうたわれた基地の人形達といえど、数の暴力の前では無力だった。

 無線でG11が何かを叫んだ。直後に響く大量の銃声と悲鳴。それから通信途絶を知らせるノイズ音。

 9が取り乱したように前線にいる本体に化けた私のダミーを揺さぶる。そして、そこにいるのが私のダミーであることに気づいたらしい。

 信じられないといった表情で通信機に手を伸ばした9を、ダミー越しに見つめる。

 

「45姉ッ……!」

 

 私に何かを問いかけようとした瞬間、ダミーから送られてくる映像に映っていた9が唐突に倒れた。

 その直後にダミーからの映像も途切れる。ああ、狙撃されたのかな。G11がやられたからね。仕方がない。

 妹の死にももはや何も感じなかった。邪魔者が消えた。目標達成までさらに一歩を進めた、それだけが実感できた。

 シーラはもう何もしていない。突然の奇襲、失われていく仲間。そんな現実を直視するだけの力は、とうに使い果たしていた。

 今はただ、私の腰にしがみついて涙を流すだけだ。

 秘匿回線で通信が飛んでくる。相手は鉄血のハイエンドモデルだ。確か代理人と呼ばれていた個体だったはず。

 感情の読めない声色で、彼女は私に告げる。

 

「ご協力感謝します。こちらの目標は達成しましたので、我々は撤退いたします。後はお好きに。ただし、くれぐれも私達には関らないように。では」

「了解」

 

 シーラに通信相手のことを気取られないよう、短く返答する。私の返事を聞いて、通信はすぐに切れた。

 鉄血はAR小隊の隊長M4のことを欲していた。今回最前線に出張っていったから、捕獲も楽だっただろう。

 ともあれ、これで基地に残ったのは私とシーラだけだ。残りの人形は大多数がロストしていることを確認している。全滅も時間の問題だ。

 

「シーラ、鉄血は引き上げたって。……一旦、部屋に戻りましょう」

 

 私の言葉に、けれどシーラは答えない。脇をもって立たせてみれば、かつてその瞳に宿した強い輝きは、今ではもう見る影もなかった。

 けれど、何も問題ではない。彼女の瞳に輝きを取り戻すことができるのは、そしてそれをやっていいのは世界でただ一人、私だけなのだから。

 電池の切れた人形のようにノロノロと歩くシーラを支えながら基地の廊下を歩く。

 私たち以外の誰もいない暗い廊下を、ゆっくりと歩く。

 明かりも喧噪もない廊下は、けれど私にとってはヴァージンロードに等しかった。

 これでようやく、真の意味でシーラを私のものにできる。

 もうシーラの目に映るのは私以外誰もいない。私の目に映るのもシーラ以外には誰もいない。

 

「シーラ、これで二人きりだね」

 

 思わず口をついて出た言葉。今の彼女には届いていないだろうけど……

 それでも、口に出したことでついに目的を達せられたことを実感した。喜びのあまり、ほおが緩んでいくのを感じる。

 直後、轟音と左肩に衝撃を感じた。一拍遅れて激痛が走る。

 

「がぁっ……!?」

 

 よろめき、支えを失ったシーラはその場にへたり込む。

 撃たれたのだ。でも誰に?

 振り返れば、憤怒の形相をしたスプリングフィールドが銃を向けて立っていた。

 

「アナタが……アナタだったんですね。鉄血の奴らを手引きしたのは……!」

 

 怒りの形相のまま、スプリングフィールドはボルトアクションを行い、次弾を装填する。

 こちらは左腕が使用不可。向こうは既に発射態勢が整っている。

 万事休す。最後の最後でしくじるなんて。

 

「どうせ死ぬなら、せめて仲間を裏切ったアナタも道ずれですよ。UMP45」

 

 よく見れば、彼女の足元には血だまりが出来ていた。あの鉄血の軍勢から、無傷で帰ってこれたわけではないらしい。

 よくよく観察してみれば、照準もぶれている。人形としてのアシストすら、もはや機能していないほど弱っているのかもしれない。

 

「そんなブレブレの銃で、私を殺せると?」

「強がりを。左肩が使えないアナタを殺すくらい、今の私でも十分です」

 

 嘘ではないだろう。実際、私の方が分が悪い。UMP45は撃たれた時落としたし、サイドアームを引き抜くよりは先にスプリングフィールドが引き金を引ける。

 どうしたものかと悩んでいると、それまでへたり込んでいたシーラがゆらりと立ち上がった。

 

「スプリング……?」

「指揮官? そこの裏切り者から離れてください! そいつは仲間を……!」

「もうやめよう? もうやめようよ……どうせみんな死んじゃうんだから、最期くらい一緒に……仲良くやろうよ」

 

 消えりそうな声を絞り出して、シーラは顔を上げた。ぽろぽろと涙をこぼしている。

 そのまま私とスプリングフィールドの間へ割って入り、ゆっくりとスプリングフィールドの方へと歩き出した。

 これでは銃を抜けない。いや、抜けても撃てない。シーラにあたってしまう。

 それは向こうも同じことで、スプリングフィールドはなおも銃を構えていたがかなり動揺していた。視線が泳いでいる。

 

「ねえ、最期にアナタの作ったココアが飲みたい……ダメかな?」

「指揮官、いけません。アナタは……アナタはここで死んでは……」

 

 スプリングフィールドの声が震える。どんどんと弱弱しい声になっていく。

 そんな彼女に、シーラはなおもゆっくりと歩み寄っていき、そしてスプリングフィールドを抱きしめた。

 

「指揮官……私は……」

 

 スプリングフィールドが、ついに銃を取り落とす。重い音を立てて、銃が地面に落ちた。

 

「もう、いいんだよ。皆頑張った。でもダメだったのよ。戦争っていうのは、そういうものよ」

 

 在りし日のシーラを思い起こさせる穏やかな声に、スプリングフィールドが両手で顔を覆った。

 

「う……うああ……」

 

 そのままスプリングフィールドが泣き崩れる。シーラは、そんな彼女を優しく抱きとめ……

 ――懐から何か注射器のようなものを取り出した。

 

「シーラ……?」

 思わず漏れた私の言葉に、スプリングフィールドが異変に気付いた。

 しかし、既に遅かった。注射器はスプリングフィールドの首につき立てられた後だった。

 

「くっ……しき、かん……? 何を……」

 

 直後、スプリングフィールドに変化があった。

 

「が……あああああああああああああああああああ!? いやっ、いやああ!?」

 

 突然悲鳴を上げ、頭を掻きむしり始めるスプリングフィールドの姿に流石の私も固まるしかない。

 

「シーラ……? 一体何を……?」

 

 私の問いかけに、シーラはゆらりと振り返る。

 初めてみる笑顔だった。目のハイライトは失われ、口角だけが吊り上がった濁った笑顔。何か大事なものが掛けた人間の、笑顔だ。

 

「これ、ウィルスよ。人形をシャットダウンせず、そのままメモリ初期化を行えるってやつ」

 

 勿論、入れられた人形は初期化の間、発狂するけどね、と言ってシーラはスプリングフィールドを見下ろした。

「なぜッ……なぜですかっ……!? アナタまで……どうして」

 

「私さ、45がいないとダメなんだ。45じゃないとダメなんだ。もう45だけしか見たくないんだ。他の子は邪魔なの。ずっと気づいてたよ。45が鉄血にここの情報をリークしているのも」

 

 シーラの告白に、私は胸の中のコアをわしづかみにされたような感覚を味わった。

 最初から、バレていた? 知っていて、見ないふりをしていたというの……?

 

「そんな理由で……アナタは皆を……!?」

「そんな理由? 私からしたら十分な理由よ。じゃあねスプリング。アナタのオムライスがもう食べられないのは……悲しいかな」

 

 そう言って、シーラは涙を流した。本当に悲しそうな泣き顔だった。

 

「このっ……悪魔……! アナタは悪魔よ! 悪魔、あく、あくあくあくあくあくあああああああああああああああ……」

 

 ウィルスが電脳に行き渡ったのか、もはや最後は言語にすらならない声を垂れ流し、スプリングフィールドは動きを止めた。

 そんな彼女に向けて、シーラは地面に落ちているスプリングフィールドを拾い上げる。

 そして、目の前のスクラップの脳天に銃弾を撃ち込んだ。

 

「さあ45……これで本当に、二人きりだよ」

 

 スクラップを一体作り上げたシーラが、私の方へ向かって歩いてくる。相変わらずおぼつかない足取りだったけれど、ゆっくりと一歩ずつ近寄ってくる。

 

「シーラ……アナタ……」

「ねえ45……私ね、嘘はついてないんだよ? 皆が死んで悲しいのはホントなの。辛くて辛くて……今にも胸が張り裂けそうなくらい」

 

 手を前に伸ばし、フラフラと私に近寄るその姿はまるで映画のゾンビだ。

 

「でもね、45がいれば大丈夫。45がいつもみたいに『大丈夫だよ』って言ってくれれば、私は生きていけるの……」

 

 シーラの手が私の背中へ回される。温かいそのぬくもりが、彼女が間違いなく生きている人間であることを教えてくれる。

 

「だから、ね? いつもみたいに私を抱きしめて? そしてささやいて? 『大丈夫よ』って」

 

 耳元でささやかれ、不意にお腹のあたりが熱くなった。

 ともかく、愛するシーラのお願いだ。左手は使えないから両手とはいかないけれど、それでも残った右腕を彼女の背中へ回す。

 そして私もまた、彼女の耳元でささやいた。

 

「『大丈夫』よ、シーラ。アナタは私が守ってあげるから」

 

 あぁ、と言う甘い吐息が耳元で聞こえた。秘所を愛撫された時のような、甘ったるい声だ。

 

「好きよ45……やっと私だけを見てくれるね」

 

 シーラの甘い声に、私も思わず愛撫された時のような甘い吐息を漏らす。

 そのまま、どちらともなくキスをした。甘い、甘いとろけるような感触。今までで一番、美味しく感じるキスだった。

 

 

 それから何年経っただろう。

 基地は閉鎖が決定されたらしく、気が付いた時には正門に『KEEP OUT』の立て看板が立てられていた。

 当然だ。私達の愛の巣でもあるこの基地には、何人たりとも立ち入らせるわけにはいかないのだから。

 初めの頃こそグリフィンの部隊が何度か襲撃してきたが、その度にシーラとしかけたブービートラップだったり固定銃座で追い払った。

 クソみたいなやつらに対処するために、トラップを張ったりする時間を捻出しなければならないのは業腹だったけれど、シーラと一緒ならそれもあまり気にならなかった。

 二人で一緒にご飯を食べ、好きなことをして、体を交えて。

 誰もいない基地にたった二人で、けれど幸せな数年を過ごしていた。

 

 ある日、シーラが私の左目の傷に触れてこう言った。

 

「45、この傷……治しちゃおっか」

 

 世界が止まった気がした。この傷は、私が私であるために必要だから残していたものだ。

 それを失くしてしまえと、シーラは言うのだ。

 

「シーラ、流石にそれは……」

 

 いくら彼女の頼みであっても、これはきけない。

 

「ねえ45……私、きれいな顔のアナタの方が好きよ。そんな傷なんかない方が、きっともっと45は可愛いと思うの」

 

 耳元でささやかれた言葉。まさに悪魔のささやきともいえる甘い誘いに……私は屈した。

 屈したというのはおかしいかもしれない。だって私のシーラが望んだことだもの。彼女が喜ぶことだったら、なんだってやる。今までずっとそうしてきたじゃない。

 どうして、傷を残すことにこだわろうとしたんだろう。傷なんかなくたって、私は私だ。シーラ=コリンズの愛するUMP45だ。それ以外の何物でもない。

 そして私は、左目の傷を治した。何か、大切なことを忘れてしまった気がした。

 けれどそんなもの、シーラとの暮らしに比べたら些細なことだ。

 

 

 幸せな日々はいつだって唐突に終わりを迎える。

 ある日、シーラが体調を崩してしまった。

 看病をしたけれど、物資が底を尽きかけていた基地には風邪薬なんて上等なものはなかった。補給するにしても、街へは出れない。

 通りかかる物資に期待するしかないけれど、このあたりは道路ごと封鎖されている。密輸をする連中から奪うのが一番可能性が高かったけれど、あまり期待は出来なさそうだった。

 時間だけが過ぎていき、どの分だけシーラは衰弱していった。

 焦りと何もできない自分への怒りでどうにかなりそうだった。そんな私に、けれどシーラは優しく微笑んでくれた。大丈夫だよ、と。

 ああ、神様。どうか私の愛する人を助けてください。

 

 

 数日後、弱り切ったシーラに膝枕を頼まれた。

 

「ねえ、45……」

「なぁに?」

 

 声も枯れ、既に聞き取るのも難しいくらいの小さな声でシーラが私を呼ぶ。

 

「気づいてると思うけど、私……もうダメみたい」

 

 分かっていた。けれど認めたくない現実だった。

 

「何言ってるの。いつも言ってるじゃない『私がついてる』って」

 

 空元気だ。声が震えなかったのも正直奇跡に近い。

 そんな私の心を読んだみたいに、シーラは真っ青な顔でなおも続ける。

 

「最期だからさ……教えておきたいことがあるんだ」

 

 なんだろう。そう思いながら、シーラの頭を優しくなで続ける。

 

「45は、私の為に皆を裏切ったよね……」

 

 少しだけ心が痛んだ。基地の仲間は嫌いではなかったんだ。でも、奴らは邪魔だった。だから死んでもらった。

 

「アレさ……嬉しかったんだ」

「え……?」

「だって、それだけアナタが私のことだけを見たいって……思ってたってことでしょ?」

 

 その通りだ。シーラだけがいればよかった。他の連中はもうあの時には邪魔だとしか感じていなかった。

 

「ふふ……じゃあ、これからもっと私のことだけを考えられるよ」

 

 そう言って笑うシーラに、意味が分からず首をかしげる。

 

「私は死ぬ。でもそれは、あくまで……肉体が死ぬってだけ。私の存在は、アナタの記憶の中に残りつづける。アナタの中で、私は生き続けるの」

「止めてシーラ。冗談でも死ぬなんて言わないで。私はアナタの為にここにいるの。アナタを死なせたりなんかしない」

 

 強い口調で、彼女をいさめた。そうは言っても物資は調達できないし、かといってシーラを置いて基地を離れるなんてマネは出来ない。

 八方ふさがりだった。

 

「そう……45はきっとそういうと思ってた……でもそこまで言ってくれるくらい、アナタは私に依存しきってる……」

 

 否定はしない。私はシーラに依存している。何年も前から……

 

「私もそう。アナタがいないとダメなくらい、依存してる」

 

 それも知っている。そうなるように私が仕向けたのだから。

 

「だからこそ、私が死ぬことに意味がある。……だって、そうでしょう? それくらいまで依存したのなら、私が死んでも、アナタは私を求めるもの」

 

 シーラの言った通りだろう。万が一彼女が死んでしまったら……それでも私はシーラを求め続けずにはいられない。

 弱っているとは思えないほど、饒舌になっているシーラはなおも続ける。

 

「素敵だとは思わない……? 私が死んでもなお、私のことを求めてくれる人がいるって……それってつまり、私が死んだ後でも、その人を私のものにしておけるってことでしょ……?」

 

 その言葉にはっとした。そして心の底から震え上がった。

 

「シーラ……まさか……」

 

 まさか私はずっと彼女の掌の上で踊らされていたのだろうか。私がこんなことまですることをすべて見越したうえで、今まで過ごしてきたとでもいうのだろうか。

 シーラが微笑む。在りし日の綺麗で快活な笑みではなく、あの日スプリングを殺した時に見せた濁った笑みだ。

 

「やっと……やっとだよ……長かったぁ……初めて会った時からずっとこうしたいと思ってた……心の奥底まで、ほんのいっぺんの食べ残しもなく……UMP45という人を私だけのものにできた……」

 

 そう言ってシーラは私の左目のあたりを触る。そこにかつての傷はなく、すべすべの人工皮膚があるだけだ。

 

「ああ……私のよんごぉ……わたし……だけの……」

 

 ああ、と満足そうなため息を一つついて――

 シーラの手から力が抜けた。

 満足そうに笑った顔のまま、彼女は動かなくなった。

 

「シーラ……?」

 

 その日、私は強制スリープがかかるまで泣き続けた。

 次の日も泣いた。その次の日も、そのまた次の日も。

 やがて涙が枯れたころ、私はふと気が付いた。

 どうして泣いていたんだろう。シーラは、言っていたじゃないか。私の中で生き続けるって。

 

「ねえシーラ、今度さ。海に行こうよ」

 

 私は膝の上で眠るシーラに呼びかける。

 

「誰とだったかな。ずいぶん昔に海にいこうって約束をしたの。誰だか忘れちゃったし、シーラじゃないから誰だっていいんだけど」

「私ね、海ってみたことないんだ。だから一回見に行ってみたいの」

「きっと綺麗だよ。私はデータでしか見たことないんだけど……」

「一緒に水着来てさ、泳ごうよ。気持ちいいって聞いたこともあるし」

「それからね……」

 

 私はシーラと『会話』する。

 私が笑えば彼女も笑うし、私が悲しめば彼女もいっしょに悲しんでくれる。

 ああ……なんて幸せな日々なんだろう。もう、何もいらない。

 

 

 意識が戻った。どうやら予備バッテリーが稼働したらしい。

 

「ああ……そっか」

 

 膝にはぐちゃぐちゃになった人の形のような何かがある。シーラ=コリンズだったそれは、完全に腐敗し原形を留めてはいなかった。

 私も、既にシステムを稼働させ続けるだけのエネルギーはもうない。

 緊急用の予備バッテリーが稼働したけれど、持って数分だ。本当に最後の救済措置なのだから。

 いよいよ、彼女の元に行く時間が来たらしい。つまり私も死ぬということだ。

 怖くはない。寧ろ期待すら持てる。だってもう一度彼女に会えるのだから。

 たとえ行き先が地獄でも、シーラがいれば天国だ。それに、私がいなければあの子はダメなんだから、早く迎えに行かないと。

 ああでも……ちょっと待たせすぎちゃっているかも。シーラ、怒ってないといいな。

 視界が暗くなる。動力不足によるシステム不具合だ。

「いま……いくよ。シーラ……」

 最後にひと撫で、彼女の頭を撫でてから、私の意識は闇に堕ちていった。

 ああ……世界で一番、私達が幸せだったね。

 ――シーラ。

 




実は45姉よりもシーラ指揮官の方がヤンデレでしたってオチです。

実はシーラ指揮官のヤンデレで45姉をヤンデレ化させる的なネタはやってみたかった。

それはそうとヤンデレって……難しいですね。
基本ヤンデレはあまり好きじゃないんですが、不思議とUMP姉妹のヤンデレは許容できちゃうんです。
彼女達ヤンデレ適正高いですよね。
45姉なんか絶対惚れた人に依存しまくるタイプなので、一歩踏み外したら即ヤンデレコース行きそう。

次回からまたほのぼのしたのか来ます。
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