女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】   作:笹の船

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だんだんサブタイトルが雑になっていく現象。
タイトルとか考えるの苦手なんです……

MP5がシーラ指揮官と訓練する話です。
何話か続きます


フュンフの悩み

 前線基地の指揮官は余り頻繁に休日をとれるわけではない。

 なので、できることなら休みの日はいつでもゆっくりとしていたいものではあるけれど、それではいざというときに戦えなくなってしまう。

 そんなわけで、私は基地のシューティングレンジへとやってきていた。

 

「あれ、指揮官さま?」

「おろ、フュンフじゃない。訓練?」

「はい。まとまった時間がとれたので」

 

 愛銃のUMP45に装着しているスリングを肩にかけ、サイドアームのM1911をホルスターに収めていると、私の隣に小さな少女がやってきた。

 見た目小学生の彼女は、戦術人形のMP5だ。彼女も私と同じようにスリングを装着したMP5を肩にかけている。

 そういえばこの子はウチに来てからまだ日が浅い子だったかな。

 

「基地には馴れた? 訓練もいいけど、そっちも大事にね」

「はい。でも、私あんまり戦闘が得意ではないので、こうして訓練しておかないと」

「あら、真面目なのね。私、そういうの結構好きよ」

 

 私がそう言うと、フュンフは少し照れくさそうにはにかんだ。

 お互いに武装の準備を終え、レンジへと足を運ぶ。

 

「指揮官さまはUMP45を使うんですね。サイドアームがM1911なのは弾が同じ規格だからですか?」

「それもあるし、前職は潜入作戦なんかも少なくなかったからね。サプレッサーとの相性も考えれば、9パラよりも45.ACPの方が都合が良かったのよ」

「へぇー。……あれ、もしかして指揮官さま、前職ですごい人だったんですか?」

「ふふ、秘密よ」

 

 他愛のない会話をしながら、それぞれのレーンに立って準備を始める。

 小気味良い音を立ててマガジンが差し込まれるのを確認してから、チャージングハンドルを引いて薬室に弾丸を送り込んだ。

 イヤーマフも装着済みだし、聴覚の保護はばっちりだ。

 まずは普通に静止した人型の的に向かって射撃をする。

 最初はセミオートで一発ずつ。ある程度撃ったらセレクターをフルオートに変えてタップ撃ちなど。

 なんだかんだ定期的にやっていたから、静止した的であれば命中率はほぼ100%だ。完全に100%ではないあたりに衰えを感じてしまうけれども。

 これでも現役時代は同じメニューで全弾命中、調子が良ければそのうちの8割が急所ど真ん中をぶち抜けていたんだけど、流石に現場を離れるとそうもいかない。

 それに、あの頃に比べれば私の体もボロボロだ。戦闘挙動に影響の出るような後遺症が残らなかっただけでもかなり幸運と思うべきだろう。

 あらかた手持ちのマガジンを撃ち尽くした私は、レーンを離れてセーフエリアへと戻る。

 イヤーマフを外して首にかけると、フュンフが射撃している音がくっきりと耳に飛び込んできた。

 タタタン、タタタンと規則正しい銃声を聞きながら、ガンラックにUMPを置いてシューティングレンジの中を覗いてみる。

 小柄の少女の姿とは言え、そこは戦術人形。フュンフは射撃するたびに跳ね上がろうとする銃身を巧みに抑え込んでいた。勿論、銃声の後には銃弾が的に着弾する音もセットで聞こえてくる。

 やがて彼女も手持ちの弾薬を撃ち尽くしたのか、あるいは満足したのかレーンから離れセーフへリアへと戻ってきた。

 

「あ、指揮官さま。見てたんですか」

「まぁね。私は先に終わってたし」

 

 なんだか恥ずかしいですねと笑いながら、フュンフは銃をガンラックに置いた。

 銃を置いた彼女は、そこで小さくため息を付く。

 

「どうしたの?」

 

 浮かない表情をするフュンフが気になって、声をかけた。何か悩み事だろうか。

 それとも、今の射撃訓練に不満点が多かったとか。

 

「見た限りじゃ、ちゃんと弾は当たっていたみたいだけど……見間違えてたかな」

 

 私の問いかけに、フュンフは小さく首を横に振る。

 

「いえ、ちゃんと当ててましたよ。こういう場所でなら、ちゃんと当てられるんです」

 

 こういう場所、それは的の動かないシューティングレンジのような場所ということだろうか。

 つまり、そうではない場所……例えば戦闘区域なんかで実戦を行った場合は、それほど当てられないということ……なのかな。

 そんな私の推測は、間違いでもなかったらしい。力なくうつむいたフュンフがとつとつと語り始める。

 

「実戦では私、あんまり命中率が良くないんです。勿論、私達SMG系統の戦術人形の役割は正確に弾を命中させることじゃないっていうのは分かってるんですけど」

 

 確かに、SMG系統の戦術人形達は部隊の前衛を担当し、敵のかく乱やヘイト集めがメインの銃種だ。ベクターのように例外的な子もいるけれど、大体は後衛を務めるライフルやアサルトライフル達が攻撃されないように立ち回るのが主な役割になる。

 そうは言っても、それが銃弾を命中させなくていいという免罪符になるかといえば、答えはNOだろう。

 いつでもどこでも後衛の火力をアテに出来る保証などない。いざというときは自分だけで戦わなければならない戦場において、SMGが正確な射撃が出来なくていいという免罪符にはならないのだ。

 要するに、フュンフは最近の作戦における自分の命中率とシューティングレンジでの自分の命中率が著しく乖離していることに悩んでいるとのことだった。

 とはいえ、中々に難しい問題だ。前衛を担当するということは、敵の銃弾に身を晒す機会も多いということになる。

 そうなれば、ゆっくりと狙って撃つどころか、狙いを定めることも難しい。移動しながら射撃をして弾を命中させることなど、いくら人形であっても難しいだろう。

 そうは言っても当てられるようになりたいのなら練習するしかない。

 よし、ここは私が一肌脱ぎますか。

 

「フュンフ、キルハウス行きましょうか。私と一対一で模擬戦しましょ」

「ふぇ!?」

 

 驚いたフュンフが勢いよく私の方を振り返る。

 

「え、で、でも……いくら指揮官さまが前のお仕事で戦っていたといっても私は戦術人形ですよ!?」

 

 まあ、言いたいことは分かる。その銃を100%使いこなすために生まれた戦術人形と、人間とが真正面から戦ったなら、人間である私に勝ち目はない。

 が、それは真正面からの撃ち合いをした場合だ。キルハウスみたいなCQBエリアでの戦闘であれば、私の方にもまだ勝算はある。

 

「ねえフュンフ、なんで作戦になると弾当たらないと思う?」

 

 私の問いに、フュンフは小さく首をかしげた。

 

「え……っと、レンジではゆっくり狙えますし、まとも動きませんが、戦場ではゆっくり狙いがつけられなくて、まとも動いていて……だからでしょうか」

「まあ、そうね。じゃあ、狙う時間があれば当たる?」

「それはまあ……でも、実戦ではそんな時間はとても無いです……」

 

 なるほど。まずはそこか。

 時間がない。確かにそうだ。基本的に前衛には、狙って撃つなんて時間はない。とにかく動き回ることが多いからだ。

 つまり、『待ち』に入って狙いをつける時間は基本来ない。であれば、そういう時間を作ればいい。

 まずはそういった『狙う時間の作れる』立ち回りをやってみる、ということを覚えさせてみようかな。

 

「ま、とりあえずやるだけやってみましょうよ」

 

 そう笑ってみたものの、フュンフは浮かない顔をしたままだった。

 ワンサイドゲームになってしまうのでは、と気にしているのかもしれない。そう思っているなら人間の底力を見せつけてやるだけなんだけど。

 ……そういえば、私戦術人形と模擬戦するの初めてかもしれない。

 まあ指揮官になる直前には45達と命がけの鬼ごっこやったんだし、何とかなるでしょ。

 




MP5にはサバゲーでお世話になっているので、早めにメインキャストとして出してあげたかった。
ところでドルフロゲームの話になるんですが、サバゲーでお世話になっているせいか、SMGレシピ回した時のMP5建造率がぶっちぎりなんですよね。

これはきっちり育てろという天啓なのかもしれない。
ちなみに当方がサバゲーで一番使っているのはバイオハザードの青傘アンブレラ正式採用拳銃です。
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