女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】   作:笹の船

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MP5との休日二話目です。
ドルフロのMP5ちゃん可愛いですよね。性能がトンプソンの下位互換になってるのがちょっと辛いところですが、うちのリアル司令部では愛でカバーして使っていきたいと思います。


フュンフと訓練

 基地にあるキルハウスは、それなりの広さがある。

 程度でいえば、街にある雑居ビルのワンフロア分くらいの広さだ。

 二人きりで一対一の遭遇戦を行うくらいであれば十分すぎるかもしれない。

 

「あの、指揮官さま……本当にやるんですか?」

「あら、嫌だった?」

「嫌ではありませんが……その……」

 

 人間は戦術人形には戦闘で勝てない。今では常識だ。たとえ人間の中でトップクラスの実力者であっても、その戦力差を覆すのは容易いことではない。

 フュンフが気にしているのはそのことだろう。まあ、彼女の認識は間違いじゃない。

 が、私だって腐っても元正規軍特殊部隊所属だ。人間基準の実力でなら上から数えた方が早いと自負しているし、ついでに言うならグリフィンに来る前なんかもっとヤバイこともしていた。

 着任間もない戦術人形に、いいようにやられてやるほど私ももうろくしたつもりはない。

 

「じゃあフュンフ、これからお互いにエリアの端に移動して、ひたすら遭遇戦ね」

「は、はい……」

 

 既に装備は整えてある。防護マスクもしたし防具も付けた。

 模擬戦用のFX弾に対応したパーツを組み込んだそれぞれの愛銃とサイドアームも持ってきたし、マガジンに装填されているカートリッジもちゃんとFX弾だ。

 FX弾はいわゆるペイント弾だ。当たると適度な痛みと、染料が体にこびりつくアレ。だから私もフュンフも被弾しても痛い程度で済ますことができる。流石に顔はヤバいからマスクはつけてるんだけど。

 腕時計を見ると、時刻は午前10時になったところだった。

 

「よし。フュンフ、今10時だから、とりあえず11時半までは遭遇戦やるわよ。休憩なしね」

「はい。……ええっ!? 休憩なしですか!?」

「作戦行動なんかこれより長いんだから、余裕でしょ?」

 

 模擬戦やってれば90分なんてあっという間だ。むしろ短いくらいかもしれない。

 先程から困惑しっぱなしのフュンフに無線機を渡して、スタートタイミングなどを合わせられるようにしておく。

 

「じゃ、私反対側行くわね。ルールは簡単。被弾したらヒットコールして、スタート地点入れ替え。時間制限はなし。どっちかが被弾するまではラウンド継続って感じで」

「りょ、了解です!」

 

 ビシッと言う音が聞こえてきそうなくらいの敬礼をするフュンフを見て、思わず笑みがこぼれる。

 彼女の頭にポンポンと手を置くと、フュンフはくすぐったそうに目を閉じた。なんか、妹が出来たみたいで可愛いなあ。

 

「それじゃ、向こうに行ったら連絡するわ」

「は、はい」

 

 フュンフにウィンクをして、エリアの反対側へと向かう。

 さてさて、なんだかんだもしかしたら私も使うのは初めてかもしれない。キルハウスでの訓練自体は、人形達に何度かやらせてはいるけれど……自分がこうして中に入るっていうのは今日が初めてだったような気がする。

 あれ、前に一回404小隊とここで訓練したような気もするけど……どうだったかな。

 そんなことを考えていると、エリアの一番奥まで来た。フュンフのいるところが入口側の端だから、これで反対側まで来たことになる。

 

 さて、それじゃあやりますか。

 無線を起動して、フュンフへ合図を送る。

 

「フュンフ、聞こえるかしら?」

『はい、感度良好です』

「それじゃあ、始めるわよ」

『はい。あの……訓練ですが、本気で行きますね』

 

 自分が有利でも全力を出すと宣言する彼女に対し、思わずこちらの唇の端が吊り上がる。

 気弱な部分もあるフュンフだけれど、こういう切り替えができるっていうのはいいことだ。

 とはいえ、そう簡単にやらせるわけにはいかない。

 

「いい心構えね、フュンフ。でも、そう簡単に勝たせないわよ」

『……ッ、了解です。気を引き締めてかかりますね』

 

 そうそう。油断してるとボコボコにしちゃうぞー。

 

「じゃあ行くわよ。3、2、1……GO!」

 

 スタートコールと同時に無線を切って、キルハウス内へと突入していく。

 たまの訓練だもの、いいとこ見せなきゃね……!

 

 

 結論から言うと、割合的に7対3で私の勝ちだった。フュンフの全身はペイント弾でベトベトだ。私もそれなりには汚れている。

 訓練の中身だけど、基本的にフュンフの防戦一方な試合が多かった。

 私があの手この手で陽動、攪乱、奇襲をしてはそれの対応に追われていた。実際、私がキルをとられたのは奇襲に失敗した時や、真正面からの撃ち合いになった時くらいだ。

 

「うぅ~……まさか負けちゃうなんて」

 

 セーフエリアに戻ってきた私の前で、フュンフがベソをかいている。まあ、そりゃあ戦術人形である自分が、人間の私に負け越してしまったのだから、気持ちが分からないわけではない。普通に考えれば戦術人形の名折れだ。

 まあ、私としても負けたくないからって大人げないことをした場面もあったけど……

 

「さてフュンフ、結果はまあごらんのとおりな訳だけど、やってみた感想は?」

「指揮官さま強すぎですよ~……探しても見つからないし、気が付いたら後ろとか横とかから撃ってくるし……」

 

 そりゃそうだ。見つからないように移動してたし、正面からの撃ち合いは分が悪いから極力避けた。そして、大体私が目論んだとおりに試合が展開した。

 

「でもフュンフも結構鋭いところあったわよ? 結構、奇襲が失敗した時もあったしね」

「あれは……まあ、そんな気がしたというか」

 

 要するに勘ってやつだけど、訓練の後半になればなるほどフュンフの勘は冴えわたっていた。

 つまり、この子は無意識下――人形的にはバックグラウンドプロセスでの処理になるんだろうか――で私の行動パターンやシチュエーションに対する対策を打ち立てていたことになる。

 流石は戦術人形とでも言うべきだろうか。末恐ろしい適応力……

 まあ、それはそれとして、今回の模擬戦の趣旨はそこではない。

 

「ふふ。ビクビクしながら私を探してその辺を歩いているの、フュンフの見えないところから眺めたりするのは結構楽しかったわよ」

「なっ……!? 指揮官さま、意地悪じゃありませんか!?」

「んふふ。さて、フュンフ。私は無防備なあなたをじっくりと見ることが多かったわけだけど、これはどういうことだと思う?」

 

 私の意地悪に頬を膨らませるフュンフが、怪訝そうな表情をする。

 こめかみのあたりに人差し指を当てて、やや上を見るように顔を上げながら、フュンフは考えるそぶりをした。

 

「えーと……指揮官さまは、指揮官さまに気づいてない無防備な私を見ていて……いつでも撃てるはずなのにじーっと見てて……」

 

 むむむ、と唸りながら考えるフュンフ、可愛いわね。あー、妹がいたらこんな感じだったのかなあ。この間UMP9には『お義姉ちゃん』って呼ばれるようになったけれど、9とはまた違った感じの妹感がある。

 

「指揮官さまは私をじーっと見て……じーっと見て?」

 

 お、なんか気づいたっぽいかな。

 でもお腹すいたな。いい時間だし、そろそろ食堂に行きたい。

 

「フュンフ、食堂行こう。気づいたことはそこで聞こうかな」

「え? は、はい! 了解しました!」

 

 相変わらずビシッて音が聞こえてきそうな敬礼をするなあ。可愛いんだけど、そんなにかしこまらなくてもいいと思うの。

 その辺もご飯食べながら教えようかな。

 何か忘れているような気がするけど、まあご飯食べてれば思い出すでしょう。

 

「指揮官さま! 私達ペイントまみれです!」

 

 忘れていたのはそれか。じゃあ先にシャワー浴びなきゃね。ナイスフュンフ。

 ちなみに一緒にシャワーを浴びている最中、体とかを洗ってあげようとしたら強く遠慮された。自分で出来ると必死に首を横に振ってたフュンフ可愛かった

 




FPSでもサバゲーでもそうですが、自分は基本クソエイムなので絶対に弾を当てられる距離、かつ不意打ちでないとキルがとれません。
真正面からの撃ち合いでキル取れる人、ホントすごいと思う。
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