女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】 作:笹の船
僕は職場の昼休みの半分以上は昼寝して過ごしてます。
今日の副官は珍しいことにG11だった。
正直、明日にはジュピター砲の砲弾が雨あられと降るんじゃないかと思ってる。
いつも眠ってばかりの彼女が、どういう風の吹きまわしか45の代わりに副官を務めると言い出したのだ。
途中で居眠りをされるくらいなら最初から無理にやらなくても、とは思ったのだけれど、当のG11本人がやる気があるというのなら無碍にするわけにもいかない。
そういうわけで、45には今日一日お休みしてもらうことにした。買い物行きたいって前にこぼしてたような気がしたし。
で、いざ業務を開始してみれば、これが驚くことに非常に手際がいい。副官慣れしている45に比べれば多少は劣るけど、正直期待以上のサポートをしてくれた。
昼休憩を挟んで、眠たくなる時間になってもG11は居眠りする気配すら感じさせなかった。
余りにも大きすぎる普段とのギャップに、不安を感じるほどだ。
「ねえ、G11?」
「ん? 指揮官、どうかした?」
普段は眠そうに細めている目をパッチリと開けたG11が私を見る。なんか、こう目がパッチリと開けたG11ってすごく新鮮かも。
ってそうじゃなくて。
「あの、さ。どうして突然副官やるって言いだしたの?」
私の問いかけにG11はんー、と可愛らしく唸り声を上げる。
「私、さ。指揮官に頼みたいことがあるんだ」
「頼みたいこと?」
「うん。その……ちょっと恥ずかしいから、お仕事終わったら、ね?」
そう言ってG11は少し恥ずかしそうに手元の書類へと視線を落とした。
まあ、そういうことならとりあえずは仕事を終わらせないと話は始まらないね。
さて、今日の分の仕事は終わった。
G11の頼みたいことっていうのは一体何だろう。
そう思って、筆記用具やら何やらを片付けているG11の方を見る。
すぐにG11の方も私の視線に気づいた。なんだか照れくさそうに目を泳がせている。
「G11、お疲れ様」
「うん。指揮官、お疲れ様」
しばし沈黙。私もG11も一言も言葉を発しない。
先に口を開いたのはG11の方だった。
「指揮官、あの、さ。頼みたいことがあるんだ」
「うん。仕事もしっかりやってくれたし、出来る範囲でなら」
「多分、大丈夫……なはず」
なんだろう。ラムレーズンアイスでもねだられるのかな。
そんな私の予想は、大きく的を外したものだった。
「指揮官、その……指揮官に……だ、抱っこされて寝たい」
……なんだって? 私に抱っこされたい?
予想外の頼みごとに、流石の私も動揺を隠せない。一体どういうことなんだろう。
混乱した思考の中G11を見れば、彼女も相当恥ずかしいのか顔を真っ赤にして俯いていた。
「だ、ダメ……かな?」
「いや……ダメじゃないけど……どうしたの? 何か嫌なことでもあったの?」
わざわざ副官の役割を買ってまで頼んでくるくらいだから、もしかしたらかなり深刻な悩みなのかもしれない。
そう身構えていたけれど、G11が口にした理由は何とも彼女らしいものだった。
「別に嫌なことがあったわけじゃないよ。その……指揮官の胸、フニフニしてて気持ちがいいって聞いたから……その、枕にしたら気持ちいいかなって」
今度こそ、本当に私の思考は止まった。枕にしたい? いや、G11らしいけど……
「えっと……それはどこ情報なの?」
「MP5」
フュンフだったかー。確かにちょっと前、あの子には私の胸を好き勝手されたっけ。
あの子ったら、ずーっとすごいすごいと言って私の胸を突っついたり揉んだりしていたからなあ。そういえば、最後の方は私の胸に顔をうずめていたような気もする。
本人が満足そうにしてたこともあって、途中から諦めてされるがままだったし、よく覚えてないんだけどね。
「まあ、事情は分かった。まあ、いいよ。でも疲れたらどけるからね」
そう言ってグリフィンの制服のジャケットを脱ぐ。これは生地が厚いから邪魔だろう。
脱いだジャケットをデスクの上に放り投げ、ブラウス姿になった私は部屋の端に置かれた休憩用のソファーへと座る。
「おいでG11」
「ん、ありがと指揮官」
まだ恥ずかしいのか、ほんのりと頬を桜色に染めながら、G11が両手を広げた私の元へと歩いてくる。
そのまま私の膝にまたがって、G11はゆっくりと頭を私の胸の上へと置いた。
G11の頭の重みが、私の胸へとのしかかる。ほんのちょっぴり息苦しいけれど、辛いというほどでもない。
「はふ……これ、いいね」
G11が満足げにそう呟く。それを皮切りに、恥ずかしさからか強張っていた彼女の体から、どんどんと力が抜けていくのが分かった。
とてもいい感じにリラックスできているようで、既に骨抜きと言ってもいい状態になっている。
とはいえ、そこで私は気が付いた。普通にソファーに座っているこの体勢では、すぐに疲れてしまうだろうということに。
「G11、ごめん。ちょっと体勢変えさせて。ソファーに横になっちゃいたい」
「ん……分かった」
私の言葉に、G11は素直に従ってくれた。
一度彼女には私の上から降りてもらって、その間に靴を脱ぐ。
ソファーの上に横になろうとして、その前にポニーテールにしていた髪を下ろした。髪を結っていると邪魔っ気になりそうだしね。
「お待たせ。いいよ」
「ん……」
G11はすぐに私の上に覆いかぶさってきた。そして再び私の胸の上に頭を乗せる。
「ふぅ……MP5が激推ししてくる理由が分かるねー」
「そんなに気持ちいいの?」
自分ではよく分からない。が、どうやらG11にはその良さが分かるみたいだった。
「うん。温かくて……指揮官の心臓の鼓動が心地よくて……なんだかとっても落ち着く……」
「そっか。まあ、今日はアナタも頑張ったもんね」
そう言ってG11の頭を優しく撫でてあげた。G11は気持ちよさそうに目を閉じる。可愛いな、なんだか猫みたい。
そうしてG11のことを優しく撫でていると、すぐに規則正しい寝息が聞こえてきた。
すっかり安心しきって眠っているG11を見ていたら、なんだか私まで眠たくなってきた。
ああ、私もちょっと寝ようかな。G11の体温がちょうどいい具合に温かくて、気持ちいいし。
そんなことを思いながら、私はゆっくりと瞼を閉じる。
そして、すぐに意識は闇の中へと落ちていった。
私が外出先から帰ってきて、まず真っ先に向かったのはシーラの部屋だ。
もう終業時間は過ぎているし、今日の業務はそんなに量も多くなかった。基地の雰囲気からして緊急事態になったわけでもなさそうだから、特にシーラに用事がなければ彼女は自室にいるはずだ。
けれど、シーラの部屋の扉をノックしても反応はなかった。鍵もかかっていて、どうも部屋にはいないようだ。
まだ司令室で仕事でもしているのか、と思って司令室へ向かってみれば、そこで目にしたのは何とも脱力する光景だった。
「全く……二人そろって気持ちよさそうに眠っちゃって」
自然と頬が緩むのを感じる。司令室の端に置かれたソファーの上で、シーラとG11が気持ちよさそうに寝息を立てて眠っていた。
デスクの上を見れば綺麗にまとめられた書類と、無造作に放られたシーラのジャケットが置いてあった。
仕事が終わって、すぐに昼寝をし始めたらしい。G11はともかくとして、シーラはジャケットなんか脱いじゃって、風邪でも引いたらどうする気なんだろうか。
「仕方ないなあ。貸し一つよ、しきかぁん?」
夢の世界に旅立っているであろうシーラに向けて、そうささやきながら私はソファーの背もたれにかけっぱなしだったブランケットを二人の上にかける。
そして、すやすやと眠っているシーラのおでこに軽くキスをした。
「ん……よん、ごー……」
「また後で来るから。それまでおやすみ、シーラ」
シーラの頭をひと撫でして、私は司令室を後にする。
……くそう。G11の奴、羨ましい。私だってあんな風にしてもらったことないのに。
今度おんなじことをシーラにねだってやろう。絶対嫌とは言わせないんだから。覚悟してよね、シーラ。
良く読ませてもらってるドルフロSSを見てると、割と皆コラボとかしてて良いなーと思ったりしている今日この頃。
まあ、せめて30話くらいまで進めてから考えることにする予定ではありますが。
奇跡的にもうちの指揮官とかを使いたいって方がいればぜひぜひ。
(その際は一言くれると助かります)