女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】   作:笹の船

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今回は404小隊メイン。
全員好感度は100に到達している想定です。


本編
仕事がなくなる、そんな一日


 グリフィンの指揮官というのは、何も人形達を指揮するだけが仕事ではない。他にも作戦報告書を始めとした様々な書類仕事をこなさなければならないのだ。

 そして、これが非常に大変なのである。だから基地の指揮官こと私、シーラ=コリンズと部下として派遣されている後方幕僚のカリーナとこれを捌くのだが、いかんせん量が半端じゃない。

 そんな私達のサポートをするためか、指揮官には副官を付ける権利がある。副官はカリーナ、あるいは基地に所属している人形であれば誰でもよい。

 なので、私はカリーナの負担を減らす意味でも戦術人形を副官に据えた。据えたのだが……

 

「シーラ。この書類はこっちでまとめとくね」

「45。アナタ指揮官のことはちゃんと『指揮官』って呼びなさいよ」

「416、ちょっとこっち手伝って!」

「9は自分で出来ないなら最初から来るんじゃないわよ」

「ねえ、もう寝ていい?」

「G11は書類の上に突っ伏すな! 汚れたらどうすんのよ!」

 

 おかしいな。副官は一人だったはずなんだけど。どうして404小隊が全員集合しているのかしら。っていうかちょっと待って、私の分の仕事がなくなったわよ。

 落ち着きなさい、シーラ=コリンズ。アナタはこの基地の指揮官なのよ。であれば、こんな目の前で姦しい戦術人形達に仕事を任せきりにするわけにはいかないわ。

 

「ちょっと、アナタ達。仕事を手伝ってくれるのはいいんだけど、私の仕事を奪うのは止めて。というか止めなさい」

 

 最後はちょっと強めの口調で言った。いくら優秀とはいえそこは戦術人形。指揮官たる私の命令には逆らえない。

 あ、部屋にいる人形達がしょんぼりとうつむいてしまった。そんなにショックなのか。

 

「あー……別に邪魔だって言ってるんじゃないのよ? ただ私の仕事なのに、私がやる分が残ってないっていうのはどうなのよって話」

 

 だから別に出て行けなんて言わない――と、口にする前に皆が表情を輝かせて顔を上げた。犬かアナタ達は。

 

「シーラ、相変わらず甘いわね。それが9達の作戦だって前から言ってるじゃない」

「『指揮官』と呼びなさい45」

 

 呆れたようにため息を付いたのは404小隊の隊長であるUMP45だ。仕方がないな、と言わんばかりに首を横に振っているけど、前に私に邪険にされて一番しょぼくれてたのがアナタだって、私は知ってるんだからね。

 最も、そんなことは口にしない。みんながいるこの場で本人的には黒歴史な事実を暴露して愉悦に浸るほど、私の性格は悪くないのだ。

 

「でも45姉、この間指揮官の仕事を手伝おうとして断られた時、捨てられた子犬みたいな顔を――」

 

 あーあ。言わなきゃいいのに。ほら、45が目にも止まらぬ速さで9の顔面にストレートぶち込んでる。

 

「9、お姉ちゃんはそんな顔してないの。分かった?」

「45。アナタ……」

「眠い……」

 

 45、9をフルスピードで殴りに行ってる時点で自白したも当然よ。……ちょっとまってG11、ホントに書類の上で寝そうじゃないの!

 

「G11、眠いならお部屋戻って寝てていいのよ?」

 

 そう言って机に張り付いたG11の脇をもって立たせる。良かった、書類は汚れてない。

 それにしても軽いなあ。この子達中身って金属骨格じゃなかったっけ。普通に年頃の女の子って感じの重さなんだけど。

 

「ん、じゃあ寝てくる」

 

 本当に眠そうに目をこするG11。なんか悪いことをしたような気がするけど、どうせ416あたりが無理やり引っ張ってきたんだろう。

 

「指揮官、完璧な私に何か?」

「完璧を自称するなら、一人でいいはずの副官が四人もいる状況を説明してほしいんだけど」

 

 ジト目で416を見つめれば、クールビューティーないつもの彼女はどこへやら。途端に目を泳がせ始める。

 

「いや、その。45だけじゃ定時までに終わらないと9が言い出したんです。というか、AR小隊がこの間全員でアナタのサポートをしていたので、404小隊として奴らに負けるわけにもいかないと思いましてですね」

 

 んー! クールビューティーな彼女も好きではあるけど、こうしてアタフタしてるのもなかなか悪くない。

 ま、それは置いておいて。

 

「うん。アナタ達の仲がそれほど良くないのは知ってるけど、私を巻き込むのやめようね? 後、AR小隊の面々にも言ったけど、アナタ達『適材適所』って言葉知ってる? もしくは『過ぎたるは及ばざるがごとし』でもいいんだけど」

「だから言ったじゃない416。私一人で十分だ……あだっ!?」

 

 部下の暴走を止められない小隊長殿には、書類が散らばらないようにするための文鎮を投げつけてやる。どうせ面白そうだから放っておこうとか思ってたんでしょうが。

 

「シーラ! 何するの!」

「『指揮官』と呼びなさい。あと、早く9を起こして部屋に置いてきて。大の字で床に寝られたんじゃ蹴っ飛ばしそうで危ないから」

「指揮官! 私をものみたいに言わないで!」

 

 がばっと跳ね上がって9が抗議の声を上げる。ええい、騒がしい。

 明らかに時間を無駄にしているんだけど、幸か不幸か既に今日の分の仕事はほとんど終わってしまっている。というか、彼女たちが終わらせてしまった。優秀過ぎるのも考え物ね。

 

「ところでシーラ、この後一緒にご飯行かない?」

「45、そういうのは仕事が終わってからにして。まだ全部は……」

「指揮官、もう終わりましたよ」

「嘘!? いつの間に!?」

 

 416の言葉に慌てて机の上を見れば、綺麗にまとめられた書類の山々が。

 もしかしたらこの子達が嘘をついているのではと書類の山に手を付け、確認をしてみるも現実は非情だった。

 

「じゃ、ご飯行きましょうよ。スプリングフィールドが最近オムライスの作り方覚えたんですって」

 

 年頃の少女のように期待に目を輝かせて笑顔を浮かべるUMP45。文鎮が当たってしまったおでこがちょっと赤くなっていて、まさに玉にキズって感じになってしまっている。顔は不味かったかな……

 

「ほら、仕事も終わったし、私としてはこのおでこの傷のお詫びもしてほしいし。早くカフェ行きましょうよ。ね、しきかーん?」

 

 飛び切りの甘い声で、それも耳元で指揮官とささやかれ、思わずクラっときた。そこでそれは反則だと思う。女の私でもその笑顔と甘い声にはイカレそうなんだから。……あ、45には誓約の指輪渡してるし手遅れかも。

 ええいもう、やられっぱなしだと思うなよ!

 

「45、ちょっと目をつぶって」

「? いいけど」

 

 目をつぶった45の額。私が投げた文鎮が当たって腫れたそこに、優しく口づけをする。

 

「なっ!?」

 

 雪のように白い45の頬がほんの少し紅くなる。んー、いつも飄々としてるけど、こういう時は普通の女の子よねー。

 

「油断大敵。ほら、カフェ行くんでしょ? 先行くわよ」

 

 いいものが見れたので今日のところはこれで満足しよう。後ろで45と416が何事か騒いでるけど、聞こえないふりをした。

 さて、スプリングフィールドの料理は絶品だ。新メニューのオムライスには期待が出来そうだ。楽しみだな。




UMP45はちゃんとシチュエーション整えてあげたり、自分からする分には普通にキス出来ちゃいそうだけど、不意を打たれると恥じらってくれそうなイメージがあるんです。
食えない女、な化けの皮はがしたら多分404小隊内で一番女の子女の子してるのでは説すらある(異論は認めます)
45姉はヤンデレも純愛もどっちもすこ。どっちかと聞かれたら純愛派ですが。
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