女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】 作:笹の船
「ほら、G11! いつまでも寝ぼけてないでさっさと朝食食べなさい!」
「むあー……わかったよぅ」
朝、朝食を食べようと食堂に行くと、コクリコクリと舟をこぎながらトースト頬張るG11を、416がどついているのが目に入った。
「おはよう416、G11」
トレーに乗せた朝ご飯を持って、二人の近くに座る。私の今日の朝ご飯はトーストにスライスハムとチーズを乗せたものと、温かいミルクティーだ。栄養価的には問題あるかもしれないが、手軽にちゃっちゃと済ませられるので私は好きだ。
「おはようございます指揮官」
「おはよ~指揮官……ふぁ……」
相変わらずG11は眠そうだ。いつもだけど。
そんな彼女を見て、416はため息を吐いた。
「全く……指揮官からも言ってください。G11、いっつもこうなんです」
「いいじゃーん……お仕事の時間はまだ先だよ、G11」
「アナタは仕事の時間になってもそんな調子でしょ!」
再び口を大きく開けてあくびをするG11を416がひっぱたいた。
うーん、多少差異があるとはいえ、二人とも髪の色が銀色だからこうしてみてるとしっかり者の姉とぐーたらな妹って感じだ。というか、もはや母親と子供かもしれない。
G11をどやしながらも、416は既に朝食を済ませているようだ。G11はもそもそと口を動かしながらトーストを食べているけれど、亀の行進みたいな速度で食べているらしい。トレーに乗っているコップのコーヒーからは、湯気が立ち昇らなくなって久しいように見える。
……ていうか、416はもしかしてG11が食べ終わるまで付き合う気なんだろうか。律儀というかなんというか。
「おはようシーラ。416にG11も」
「おはよう、よんごー」
「おはようUMP45」
「ひぇっ」
45が食堂にやってきて、朝食を乗せたトレーをもって私の隣に座る。G11が途端にテキパキ食事をし始めた。そういえばG11は45が苦手なんだっけか。嫌いっていうわけではないんだろうけど。
「ひぇっ、だなんてご挨拶ねG11? なにかやましいことでもあるの?」
「……! ……!」
先程までのダラダラしていたG11は一体どこへやら。食べる速度を3倍速ぐらいに引き上げて、モグモグとトーストを頬張りながらG11は首をぶんぶんと横に振った。ややぼさぼさになった銀色の髪が、左右に鞭のようにしなって暴れる。
「ちょっとG11! あんまり頭振らないの! 髪がコーヒーに……ああ、言わんこっちゃない!」
416の制止もむなしく、G11の髪の毛の先っちょがコーヒーに浸かって茶色く染まる。
「もう、どうするのよこれ! ほら早く拭いて! 服にもコーヒーがつくわよ!」
あー、これ完全にG11の母親じゃん。416はポケットから取り出したハンカチでコーヒーに浸かったG11の髪を拭きながら、同じことが起きないようにとそっとコップを遠くにずらす。
ちょっと待って、結構可愛らしいハンカチだけどいい奴じゃないの、それ。シミになったらもったいないと思うんだけど……。
G11はというと、そんな416にされるがままだ。残ったトーストは一気に口の中に放り込んだようで、今はリスのようにほっぺたを膨らませている。
やがて咀嚼が済んだのか、ゴクリと喉を鳴らして口の中のものを飲みこんだ。が、みるみるG11の顔色が悪くなっていく。喉元をおさえ始めた。……詰まらせたな。
「――!? ッ! ッッ!」
「こら! 一気に食べるから! ほらコーヒー!」
416が慣れた手つきでG11の口元にコップを持って行く。G11はそれを受け取って、のどに詰まったであろうトーストをコーヒーで流し込んだ。
手慣れすぎでは? 何これ、よくあることなの?
「ぷはっ! 死ぬかと思った……ありがと416」
「アナタが最初からテキパキ食事をとっていれば、こんなことにはならずに済むのよ!? 何度言えば分かるの!」
ああ、よくあることなのね。G11も喉に食べ物を詰まらせるの、そんなに何度も経験しなくていいだろうに。学習しないのか、そもそもする気がないのか……。
がみがみお説教をする416だけど、ちょっと頬が赤い。お礼を言われることは嬉しいのね。素直じゃないけど可愛いなあ。
怒られるG11もちょっとしょぼくれているけれど、本気で反省したり落ち込んでいるわけでもなさそうだ。416の言葉をのらりくらりとかわして次は気を付けるなんて言葉を言っている。それは次もやらない奴の言葉じゃないの。
……もしかして、このお決まりのやり取りって二人にとっては意外と大事な時間なんじゃなかろうか。二人ともちょっと楽しそうというか、充実しているというか……そんな顔をしている。
何で分かるかって? お説教してる時の45が今の416みたいな顔をしてるから。G11も、そんな時の私の顔に似てるんだろう。
416とG11のやり取りを眺めながら食べている間に、いつの間にか一口サイズまで小さくなったトーストを口の中に放り込む。うん、これで今日も一日頑張れる。
隣に座る45を見れば、彼女も既に食べ終わる寸前のところまで来ていた。……食べるの早いな、この子。
さてさて、なおもお説教をする416とそれをのらりくらりとかわすG11を眺めているのもいいんだけど、折角の二人の時間みたいだし邪魔をするのも良くないでしょう。
お邪魔虫は退散しますかね。もう416のあれは母親じゃなくて押しかけ女房だ。
私の意図を察したのか、45も残ったコーヒーを一気に飲み干すと、トレーをもって立ち上がって私の隣を歩き始めた。
「どう思う45?」
「二人とも素直になればいいのにな、と思うわ」
「私達みたいに?」
「そう。私達みたいに」
そんな軽口をたたき合って、私達はクスクスと笑った。
さて、今日もお仕事頑張りますかね!
416とG11のカプは好きです。
構いたがりとかまってちゃんみたいな感じでいい感じに共依存しててほしい。
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