女性指揮官と戦術人形達のかしましおぺれーしょん【完結】   作:笹の船

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今回は佐賀茂さんの「戦術人形とおじさんと / https://syosetu.org/novel/204435/」とのコラボ回となっております。


★性悪女と娘っ子とおじさんと

 ペルシカにウチのスプリングのマフィンを買ってきて欲しいとお使いを頼まれたから、病院に行くついでに彼女の研究室へと行ってみれば、当の本人はマフィンに手を付ける前にどこかへ引っ込んでいってしまった。

 人を呼び出しておいて一体何なんだ、と文句をこぼしたくなる気持ちを抑えつつ、早くおやつタイムにしたくて仕方がないといった様子のSPASをなだめるというか、監視しながら雑談をしてペルシカを待つことにした。

 そんな時、突然研究室の扉がノックされたのだ。部屋の主たるペルシカは今いないし、別室である以上ノックの音も聞こえない。かといって、ノックをするくらいだから用事があるのは間違いない。

 居留守を使うわけにもいかないから、SPASに隣の部屋へ引っ込んだペルシカを呼びに行かせて私が応対することにした。

 

「……ったくペルシカ、アンタ宛の来客なんだから自分で……ッ! 鉄血!?」

 

 文句を言いながら扉を開ける。果たして、そこにいたのはグリフィンの制服に身を包んだ壮年の男性と……鉄血のハイエンド三体だった。

 具体的には処刑人、狩人、ウロボロスどれも恐ろしい戦闘力を持った奴らだ。

 反射的に銃を抜いたとはいえ、私はパニックになりそうなのを必死にこらえていた。

 何せ十分に強化の済んだ戦術人形達が小隊を組み、その上で私達指揮官が的確な指示を出してようやく渡り合えるほどの強力な戦闘力を持った鉄血のハイエンドモデルが3体だ。

 ホルスターから引き抜いたM9一丁では戦いにはならないだろうし、奥の部屋にSPASがいると言ってもダミーも連れてきていない。加えてここは密室だ。ペルシカを守らなければならないことも考えると、戦闘になった場合こちらに勝ち目はない。

 

「てめ……ッ! やんのか!?」

 

 男の背後にいる鉄血ハイエンドの3体のうち、エクスキューショナーが身構える。ビビってトリガーに指をかけそうになるのを必死で堪えた。

 この場において、頼みの綱はただ一つ。私が銃を突きつけ、ホールドアップしている目の前の男だけだ。頼むからけしかけるなんてことやめてよね……。

 私の祈りが通じたのか、男はホールドアップしていた両手のうちの片方でエクスキューショナーを押さえる様に手で合図した。

 どうやら、襲撃が目的ではないらしい。とはいえ、まだ油断はできない。彼は後ろの奴らの人質で、ただの交渉材料かもしれないのだ。

 油断はできないな、となおも銃を下ろさずに目の前の一団を睨みつけていると今度はハンターが怪訝そうに眉をひそめながら口を開いた。

 

「落ち着け。我々は争いに来ているわけではない。聞いていないのか?」

 

 聞いていない? 何の話だ。まるでこいつらが正式なアポを取ってここにきているみたいな言い方だな。

 

「指揮官!? 何事ですか!?」

 

 よし、SPASも来てくれた。状況はいまだ不利だけど、これなら何とかペルシカを逃がすくらいは……。

 でも、戦闘にならないのが一番だ。ハンターの言葉が真実なら、もしかしたら戦わずにこの場を収められるのかもしれない。

 ともかく、アポを取っているのが本当なのかどうか。そこをハッキリとさせておこう。

 

「……説明してくれる?」

 

 私の言葉に、これまで全くの無表情だった男の顔がわずかながら困ったように歪んだ。ほとんど変わってないから、実質ポーカーフェイスだけど。

 

「説明と言われてもな。俺はここのペルシカリアと予定があって、後ろのコイツらは俺の護衛だ。いつもなら彼女が表まで出迎えるんだが、今日はいなかったのでここまで上がらせてもらった。……これ以上に説明のしようがないんだが?」

 

 男の声色は困惑が多分に含まれていたから、きっと嘘ではないんだろう。しかし、予定とはいったいなんだ。まさかアイツを殺すのが予定だなんて言わないだろうな。後ろのメンツ的にあり得ないと言えない以上、銃を下ろすわけにはいかない。

 

「ふっふふ……ッあっはっはっは! 大丈夫だよシーラ、その人たちは敵じゃない」

 

 やはり油断できない、とM9のグリップを握りなおした瞬間。後ろの方からペルシカの爆笑が聞こえてきた。……まさか、私がこういう反応をするって分かって一芝居打ったわけ!?

 怒鳴りたくなる気分を必死に抑えて、私は銃を下ろした。あとでペルシカにはやっていいジョークとそうじゃないジョークの違いをみっちりと教え込む必要があるのかもしれない。

 

「……はあ。後でちゃんと説明してよねペルシカ。シバくわよ。SPASも銃を下ろして」

「……了解しました」

 

 何はともあれ敵ではないようで少しだけ安心した。腰のホルスターにM9をしまう。

 ふと、目の前の男から視線を感じた。じっとりと舐めまわす様な……というのとはちょっと違うけれど、私のことをじっと見てきている。

 

「……何か?」

 

 険のある声のままなのは許してほしい。悪気はなさそうだけれど、それでも男から見つめられるというのはやっぱりいい気分ではないから。

 心の中でそんな言い訳をしていると、男の口からとんでもない言葉が飛び出してきた。

 

「……スイートキャンディか? 正規軍を辞めてこっちにいたとはな……」

「……それを、何処で?」

 

 危ない。ホルスターに収めたM9をまた引き抜くところだった。

 そんな私の雰囲気を感じ取ったのか、男は再び小さめにホールドアップして弁解を始めた。

 

「すまない、自己紹介が遅れたな。俺はタクティス・コピーだ。T01地区の前線指揮官をやっている」

 

 タクティス・コピーね。どう考えても偽名だけど、まあやんごとなき事情があるんだろう。G&Kにはそういう輩はたくさんいる。勿論、私もその一人だ。

 それはともかく。自己紹介を済ませたコピー指揮官は私を知っている理由を説明し始めた。

 

「実は俺も以前正規軍に所属していてな。……紫電の梟(ブリッツオウル)という名前に聞き覚えは?」

「……えっと。……えっ。まさか、特殊作戦群の……?」

 

 嘘でしょ……特殊作戦群の紫電の梟と言えば正規軍でも結構名の通った対E.L.I.D部隊の隊長じゃない。コピー指揮官が、その紫電の梟(ブリッツオウル)本人……!?

 私も正規軍にいる時にその武勇は聞いたことがある。彼の率いる中隊がE.L.I.Dの群れを蹴散らしたとか、彼らの活躍のおかげで想定されていたよりもはるかに少ない損害で作戦が完遂することが出来たとか。

 実は、一度だけ紫電の梟(ブリッツオウル)が率いる部隊とニアミスしたことがある。正確には、E.L.I.Dの群れの討伐に向かった彼らが撃ち漏らしたおこぼれを掃除する作戦を、私達第10部隊が担当した。

 当時の私達とて対E.L.I.D戦をしたことがなかったわけではない。だから、彼らが優秀だからとはいえ楽は出来ないと思って作戦に臨んだのだけど……。

 数で劣り、装備もレールガンみたいな高火力装備を持たないにもかかわらず、彼らはE.L.I.Dの大半を撃滅して見せた。おかげで、撃ち漏らしたE.L.I.Dの数は10を下回り、私達が文句を垂れながら持ってきたレールガン一式を始めとする重たい荷物のほとんどは無駄になった。

 あの時はドローンから送られてくる映像に映る、E.L.I.Dを翻弄し常に優位に立てる様に立ち回り続ける彼らの姿を見て驚きと尊敬の念が沸き上がったものだ。

 あれ、でも確かあの部隊は……。

 

「あの、指揮官?」

「SPAS、ちょっと黙ってて」

 

 彼女には申し訳ないけど、ちょっと今思い出したいことがある。

 確か、記憶が正しければ私が図書館のオッサンのところで動いている時、彼らの部隊は全滅したと……。

 

「おや? なんだ、君たち知り合いかい?」

 

 ここでペルシカが口を挟んできた。……相変わらずのニヤケ面だな。コイツ、もしかして私達の過去のことを含めた全てを知ったうえで今日私達が出くわす様に謀ったな!

 ……まあ、ここで立ち話してても仕方がない。私もいつまでも入口で突っ立ってるわけにもいかないし、彼らを中に案内しよう。

 案内をしながら、先ほど覚えた疑問をコピー指揮官にぶつけてみることにした。

 

「……アナタ達の部隊は、蝶事件の時に噂で全滅したと聞きました」

「……ああ。書類上じゃそうなってる。そういう君はなぜこっちに? 第10部隊はどうしたんだ?」

 

 コピー指揮官の問いかけに、私は軽く肩をすくめる。細かいことを教えるつもりは無いし、出来ればそれは避けたい。

 

「第10部隊は全滅しました。私だけが、負傷を理由に除隊したことになっています」

「……そうか」

 

 私の一言でコピー指揮官は大体のことを察してくれたらしい。恐らく、私達の入社経緯はほとんど変わらないんだろう。お互い、組織にとってデリケートな存在だ。余り自分の存在を主張するようなことは出来ない。

 ……そういえば私、社内報に使われちゃってるけど、大丈夫なのかな。

 

「はいはい。思い出話に花を咲かせてるところ悪いけど、今日は彼の義足のメンテナンスをしなきゃいけないの。ほら、コピー指揮官。そこに座って、出すもん出して」

 

 ペルシカが邪魔だと言わんばかりに私を押しのけ、コピー指揮官を近くの椅子に座らせる。

 コピー指揮官は少しだけ迷惑そうに眉をひそめながら、左足のボトムスをたくし上げた。

 ボトムスの下から現れたのはいかにもな義足だ。とはいえ、ペルシカが診るということは彼女が作ったものだろう。となれば恐らく性能は一級品に違いない。外連味のない見た目をしているのもポイントが高い。

 なんだ、ペルシカってソフトウェア専門家と思ってたけど、ハードも作れるのか。

 

「手慰みで作ってるだけよ。正規軍の技師には負けるわ」

「何も言ってないわよ」

「ふふん。興味深そうに義足を見てたから、気になってるんだろうなと思って」

「っ!?」

 

 言われて、私がコピー指揮官の義足をじっと見ていたことに気づいて慌てて目をそらした。ああ、私のバカ。そんなことしたら余計に目立つでしょうに……。

 コピー指揮官は特に気にしてないのか、こっちに気を遣ってくれたのか特に茶化したりするようなことはなかった。

 変な子と思われてないだろうか、なんてことを考えているうちにコピー指揮官は義足を外し終え、ペルシカがそれを受け取って奥の部屋へと引っ込んでいく。

 

「それじゃ、しばし旧交を温めるといいよ」

 

 相変わらずの意地の悪い笑みを浮かべながら、義足を持ってない方の手でひらひらと手を振ってペルシカが部屋を出ていく。

 結果、残ったのは私とSPASとコピー指揮官一行だけになった。

 

「…………」

「…………」

 

 ……いや、旧交を温めろったって私達は初対面だぞ! 二つ名とそれに付随した噂程度しかお互いを知らないのに何を話せばいいっていうんだ!

 ここに来るまでの経歴についてでも語り合う? いやダメだ。少なくとも、私は人に話したくない。コピー指揮官も偽名を名乗っている以上、私以上にその経歴はデリケートなもののはずだ。よってこの案は却下。

 他の……何か他の話題は……。

 そんなことを私が悩んでいる間も、誰一人口を利かない。SPASも鉄血ハイエンドと同じ空間にいることで警戒しているし、コピー指揮官は相変わらずのポーカーフェイスだ。

 彼の護衛の鉄血ハイエンドたちに関しては、私をじっと見たり、コピー指揮官をじっと見たりと視線がせわしない。時折仲間同士で目を使って会話みたいなことをしているみたいだけど、何を話しているかはわからない。

 これじゃあ旧交を温めるも何もあったもんじゃない。

 

「…………」

「…………」

 

 そうは言ってもこのお通夜みたいな雰囲気はどうにかしたい。居心地悪い!

 そんなお通夜ムードをぶち壊すものが現れた。エクスキューショナーだ。

 

「なァ、なんでお前ら揃って黙ってんだ? 知り合いなんだろ?」

「察してやれ処刑人。知り合いは知り合いでもあれだろう。互いの命を懸けて戦った宿敵とか、そういうのであろう」

「ウロボロス……それは流石に違うだろう。この気まずさ……そして見た目の年の差的にあれじゃないか? 指揮官の初恋の相手の娘とか」

 

 え、なに……何この鉄血達……俗世に染まりすぎてるっていうか、中途半端な染まり方してるせいですごくトンチンカンなこと言ってるというか。あんだけせわしなくアイコンタクトで会話しておいて、出てきた結論がそれなの?

 コピー指揮官の方を見れば……うわぁ。この顔見たことある。全てを諦めて心を無にしている時のポーカーフェイスだ。いや、さっきからポーカーフェイスなんだけど、目だけが遠くを見つめている。私が無茶やらかした時のヘリアンと同じ顔だよこれ。

 

「え、指揮官ってこちらのおじさまのお子さんだったんですか!?」

「SPAS……私の両親は死んでるって、この間N03の作戦が終わった後話したでしょ」

 

 じくり、と左肩が痛んだ。元々今日はペルシカのラボの横のG&K傘下の病院に左肩の診察しに来るのが本来の目的だったのだ。

 急な欠員とかで準備が出来てないらしくて、待たされることになったから先にこっちに来てたんだけど。元々スプリングのマフィン買ってきてって頼まれてたし。

 それはいいとして。

 

「コピー指揮官」

「……なんだろうか」

「その……アナタのそこの部下、どういう扱いをしてるの?」

「どうもなにも……」

「おう! 指揮官は俺達の恩人だ! この身を捧げてもいいと思ってるぞ!」

「そうだな。行き場を失った私達をこうして使ってくれているし、また人形冥利に尽きる運用の仕方もしてくれる。指揮官の指示であれば何でも聞いていい」

「人間のくせに、と言いたいところではあるがこやつの力量は確かよな。何せこのウロボロス様を瞬殺するだけの腕前があるのだからな!」

 

 私が問いかけたのはコピー指揮官にだったのだけれど、答えたのはハイエンド本人たちだった。ちなみにコピー指揮官はたまらず手で目を覆っている。

 ああ……理解した。コピー指揮官(このひと)、間違いなく苦労人気質だな。多分、軍人の上官として必要十分なことと、組織の上司として必要十分なことをこなしただけなんだろう。本人的には。

 紫電の梟ともあれば、部下の戦闘技術から福利厚生までちゃんと気を遣って管理しているんだろうし。

 だからこそ、これだけ濃いメンツにここまで慕われているんだろうけど、慕われ方によっては中々に辛いんじゃないだろうか。主に、頭痛と胃痛が。

 

「……苦労、してるんですね」

「……まあ、なんだ。こんな奴らでも優秀なんだ。やるべきことは十二分にこなしてくれる」

 

 そりゃまあそうなる様にするのが指揮官(わたしたち)の仕事だけど、これだけ癖が強いとそこまでするのも一苦労だろうなあ。主にウロボロスとか。

 ウロボロスタイプは総じてプライドが高い。私も一度、あのタイプとは直接やり合ったことがあるから、それを知っているけれど。アレに言うことを聞かせるのに苦労したであろうことは想像に難くない。

 そんな苦労の絶えないコピー指揮官の普段に想いを馳せていると、奥の部屋の扉が開いてペルシカがのそのそと出てきた。……コイツ、男の前だっていうのに相変わらずの薄着ね。

 

「お待たせ。これでまたしばらくはバッチリ動くと思うよ」

「いつも助かる。代り映えしなくて済まないが、いつものコーヒー豆だ」

 

 コピー指揮官が足元に置いていた手提げ鞄から小さな紙袋を取り出し、ペルシカに差し出す。

 差しだされたペルシカは満足そうにそれを受け取ってうんうんと頷いていた。

 

「ふふふ、私はこれを待ちわびていたといっても過言じゃないんだ。インスタントも悪くはないけど、やっぱりコーヒーは豆からよね」

「相変わらずコーヒーが好きなのね」

「子供舌のシーラにはまだちょっと早いんじゃないかな?」

「…………」

 

 コイツ……ホントに今すぐシバキ倒したい。コイツが16Labの主任ってポジションじゃなかったら容赦なくぶん殴ってやるところなのに……!

 私がペルシカの方を睨んでいると、傍で椅子に座っていたコピー指揮官が立ち上がった。どうやら義足をつけ終わったらしい。

 

「それじゃあペルシカリア。世話になったな」

「あ、もう行くの? もっとゆっくりしていけばいいのに」

「俺も暇じゃなくてな。これ以上社長に仕事を押し付けられちゃたまらん」

「ふふ。相変わらずこき使われてるんだね」

 

 ペルシカの言葉にコピー指揮官は小さく肩をすくめるだけだった。あのクソヒゲ、ホントに人使いが荒いというかロクな話を持ってこないからなあ。

 それはそれとして、私も病院に戻って診察を受ける頃合いかもしれない。ここに来てからそれなりの時間も経ったし、そろそろ向こうも準備が出来ていることだろう。

 

「ペルシカ、私も行くわ」

「ん。呼び出して悪かったわね」

「どの口が言うのよ。どうせ彼に会わせる為だけに呼んだんでしょう」

「せいかーい」

「はァ……」

 

 とんだ茶番に付き合わされたものだ。私達の立場を分かって、なおこんな悪戯が出来るとすれば確かにペルシカくらいのものだろうけど……。

 

「じゃあ、二人共行くなら表まで送っていくよ」

 

 おぼつかない足取り……とまではいかないけれど、しっかりとしたとも言い切れないソレでペルシカが部屋を出る。

 私達も、特に文句を言うこともなくその後についていった。

 そこからエントランスまでは特に何事もなく到着し、私達はそのまま徒歩で。コピー指揮官は護衛が護衛なのでそうそうに車に乗り込んでラボを後にした。

 特別会話をしたわけではない。縁あっての出会いだったんだろうけど、別にお互い別れを惜しんだり再会を約束しようとは思わなかったんだろう。少なくとも、私はその必要を感じなかった。

 

「それにしてもビックリでしたねー。まさか鉄血のハイエンドモデルを従える指揮官がいるなんて」

「全くだわ。一体どんなマジックを使ったらあんな芸当が出来るのやら」

 

 鹵獲するだけならまだしも、あそこまで信頼されているのは相当だ。人間としての器の大きさが私とは違うんだろうな。

 そんなことを考えているとSPASが私の方を向いて口を開いた。

 

「指揮官はアイツらを捕まえてみようとか思ったりするんですか?」

「私? いやまさか。出会ったら殺す。それ以上でも以下でもないわよ。……まあ、一切の武装を放棄したうえで命乞いをして来たら考えなくもないけど」

「まあ、その方がいいですね。変に捕まえたりして、救難信号で基地の場所を割り出されたりするよりは殺しちゃった方がマシですし」

 

 サラッと過激なことを言っているような気がしないでもないけど、それはきっとSPASの見た目が可愛いからだろう。軍人として考えるならば、言っていることは至極真っ当だ。

 まあ、でも。

 

「もしかしたら、彼らみたいに鉄血とグリフィンで共存、なんて夢物語も夢で終わらずに済む可能性があるのかもしれないわね」

 

 本当にいつかそんな日が来れば、いいと思う。

 




佐賀茂さん、コラボありがとうございました!
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