――…予想以上ね…。
「な…なるほど。」
――ハメてるのかハメられてるのか。そのバクチに負ければ長州藩のお取り潰しはまぬがれないというのに…
…この男は笑いながらたのしんでる――――…
…予想以上のイカレやろーだわ…
「ともかく、ワナだろうがバクチだろうが関係ないわ。あたしには結果が全てよ。早いとこ事を済ませて手を切りたいのあんた達見てると吐き気がするわ。」
「それは残念。私としては気の強い子は嫌いじゃないのだが。」
「ハン!そういうことはそこの色小姓に言ってあげたら?」
その場から立ち去りながら言うクノイチ
「な…!?っだとこのーー!!」
―ガタンッ
我慢ができなかった鈴は立ち上がり天井に向って叫ぶ
が…
「――…チッ消えたか。」
「…お前の欠点は少々我慢が足りないというところかな。」
そんな鈴の様子をみた吉田は鈴に言う…
「ですが先生!許せませんよ俺だけならともかく…。先生までバカにしやがってあの女――!!」
「私はバカにされたとは思っていないが……?フフ…。」
「大体なんであんな顔も見せない忍 何故飼ってるんです?」
―トク…
「もし寝返って幕府に情報を売られでもしたら…!」
「いや…その心配は皆無だね。」
「?」
吉田の言葉に疑問符を浮かべる鈴…
「あの女はかつて徳川家に滅ぼされた一族の末裔だ。徳川幕府には深い恨みを抱えている。」
「夷国と結びこの国を滅亡せんとす徳川の手から政権を奪い帝に返上しようとする我ら尊皇攘夷の思想――。最終的な目的はどうあれ“討幕”という利害が一致している間はある意味一番信用出来る人間かもしれないよ。」
「………それは そうかもしれませんけど…なんかズルイじゃないですか。活動だけでなく先生の護衛ですらあの女ばかり。俺だって先生のお役に立ちたいのに…。」
「フフ…。」
.
「……お願いです吉田先生、鈴も十五になった今もはや子供ではありません。どうか先生の右腕として剣を振るわせてください。」
チラッと鈴の方を見る吉田
「………鈴。私の右腕とはまた大きく出たものだね。」
「……ッ。」
「何そう焦らなくても」
―パラ…
懐から扇子を取り出し広げる吉田
「お前の“後家鞘”には奴らの血を吸わせてやるさ。」
鈴に話しながら扇子を明かりに向って投げる…
「憎き新撰組の血をね…。」
扇子は蝋燭の火を消し床に落ちる…
「……。今宵は先に休むといい…あまり気を高ぶらせるな。」
武者震いをする鈴の肩に触れながら話しかける吉田
―パタン
自分の部屋へと移動した鈴…
「……ッ」
―ギシ…
戸に立てかけていた刀を手にする鈴…
「……兄貴。もう少しだ。」
―シュン
「壬生狼の首は俺が狩る。」
その瞳は憎しみに染まりギラギラと光っていた…
.