狼姫たちの闘い   作:ナユ

8 / 31
出会い❼

─カパッ

 

「………」

 

 

─戌の刻あたり

 

島原は輪違屋脇の小道に忍んでいてごらんなさい

 

土方さんの言った意味が分かります

 

 

沖田と早弥が言っていた〝良いこと〟を聞き鉄は身を潜めて時が来るのを待っていた

 

「(ケドよぉ…)」

 

いくら待っても何もおこる気配はなし

 

「(花街のはずれじゃんココ…)」

 

ただ時間が過ぎていく

 

─ざり…

 

「Σ!!」

 

とそこへ何者かの足音が聞こえた

 

「綺麗どすやろ夜桜…あんさんにも見せたかったんどすえ」

 

「…そうだな」

 

京都弁を喋る女の声と、どこかで聞き覚えがある様な声…

 

「だが、屯所の桜の方が美しい」

 

「まぁ、つれないお方…でも、そこが一番素敵どすえ

 

 

土方副長」

 

「………」

 

そこには、昼間鉄のことを怒鳴りつけた土方歳三がまさに目の前にいた

 

しかしその隣には土方にくっつく女がいた

 

そして、二人は鉄に見られているとはつゆしらず

二人の世界に入っていった

 

「(お堅い人だと思ってたのに…!ι」

 

鉄の目から見れば信じられない光景だった

 

そこへ…

 

─ザザザザ…

 

「!!」

 

何処からか来たのか土方を囲む様に男共が現れた

女もさりげなく口が笑っていた

 

「土方歳三だな…?」

 

男の一人が土方に聞く

 

「…だとしたらどうする」

 

土方は冷静に言い返す

 

しかし、それが気に入らなかったのか

 

「幕府の犬め…!

 

 

天誅!!」

 

一斉に土方に飛びかかる

 

「土方さ…」

 

それを見ていられなく飛び出そうと身を乗り出した鉄

 

だが…

 

─シュン

 

.

 

「ぎゃああッ!!」

 

鉄には何がおこったのか分からない

 

いや

 

頭が追い付いていないのだろう

 

その間にも土方は男共を斬り捨てていく

 

ある者は顔を斬られ

 

ある者は胴を斬られる

 

「あ…ああ……」

 

女は恐ろしい光景に動けずにいて

 

鉄は土方から目がはなせなかった

 

「…なかなかの芝居だったな」

 

土方は女に目を向ける

 

「お願い…ッ許し…」

 

命ごいをする女

 

けど…

 

─ブシュッ

 

「ぎい…!」

 

容赦なく左目をその刀で貫く

 

女の声を聞き鉄は吐気に襲われる

 

「くそう、貴様…!よくもお三津をォ!!」

 

女の彼氏だったのか一人の男が土方に刃を向ける

 

だが…

 

─ザンッ

 

土方には敵わずその手と首は飛んだ

 

「うゎあッあ…ああ…

 

 

うあぁああぁ!

 

斬られた男の体が鉄に倒れこむ

 

あまりのことに鉄は完全に混乱してしまった

 

そこへ

 

「鉄クン!!」

 

『鉄クン!しっかり!!』

 

新撰組の隊服をなびかせ一番隊がそこに到着した

 

「お…沖…?」

 

「ケガは無いですか?」

 

「──!!」

 

「私達が出る必要はありませんね…」

 

『土方さんだけて充分だったな』

 

そこでやっと新撰組が来たんだと鉄は分かった

 

「どうして…それに、早弥さんその格好…」

 

早弥が隊服を着ていることに疑問をうかべる

 

『え?ああ…言ってなかったね。私も新撰組一番隊の隊士なんだよ』

 

「!!?」

 

驚くが理解した鉄

 

そして、今のこの状況を教えてほしいのか沖田に視線を送る

 

「…すべて分かっていたんですよ。彼らが長人づあること、女を使って土方さんをハメること…」

 

何も言えない鉄

 

─パチャ…

 

血溜まりを踏む音が静かなこの空間によく響く

 

「──ガキ」

 

固まる鉄に土方は言う

 

「分からねェなら教えてやる」

 

残酷な言葉を…

 

「ここで身に付くのは

 

のなり方だけだ」

 

 

何も言えない

 

土方達は去り、そこには地獄絵図の様な光景があるだけ

 

 

──鬼すら 恐れませんか──

 

 

沖田と早弥の言葉が蘇る

 

手につく血がやけに赤黒く見えた

 

 

──…キモチ ワルイ

 

 

 

 

 

 

 

 

──お前は

 

 

本当は、デカイ男だ…

 

 

きっと なれるサ

 

 

きっと──…

 

.

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。