プロローグ的な?
崖に咲く幻の花、ドンケルハイト
知性を持った彼等は平和を享受していた
しかし、平和は長く続かなかった
崖に生えているにもかかわらず、ドンケルハイトを食べる敵が現れたのだ!
たくましい巨体、空を飛び、根っこを岩ごとかじり取っていく脅威の存在
ドラゴン
彼等ドンケルハイトは、結局のところ歩けるだけの花だ
ほとんど抵抗もできないまま、1輪、また1輪と食われていった
栄養剤(錬金術士)と違って、彼等は遠慮などなかったのだ
このままでは絶滅する
彼等は考えた、生きるすべを
逃げ方は様々だった
足で逃げた者、空を飛んだ者、その場に残った者
おおまかに言えばこの3種類のドンケルハイト種に別れ、それぞれの進化の道を模索した
足で逃げたものは、花を捨て、球根のまま森を駆け抜けた
空を飛んだものは、花をワタのように軽くし、たんぽぽの胞子のように飛んだ
残ったものは、隠れた、決して見つからぬように、また会えることを信じた兄弟たちを見送り、次に来る栄養剤()のために
彼等は進化したのだ、ドラゴンから逃げるために
1つの種類が潰えても、別の場所で適応できる兄弟たちが少しでも生き残れるように、多様性をもつ種へと…
これがドンケルハイトが単一種ではなく、ドンケルハイト種~科となる歴史的な日となったのだ
「すごいな、賢者の石を試しに与えてみたのだが、フフフ、面白い結果になったものだ」
彼女の名前はアストリッド、稀代の錬金術士にして、崖に花を植え替え、賢者の石を根っこにひっつけた張本人である
「いや~、花ってうごくんだねぇ」
「いいものがみれただろぅ? しかしこれは…へたに強い生物で実験するとしっぺ返しがきそうなほどの成果だな…、まぁいい、しばらく観察させてもらうとしよう…おぃ、何を食っている!?」
「え? 歩いてたからさぁ 聞けば毒も無いんでしょ? なら食べれるじゃないさ!」
「希少種だといっただろう! はぁ、まったく、腕はいいから扱いに困る…ところでどんな味だったのだ?」
「ん~、(むしゃむしゃ)甘苦ぃねぇ、(ぼりぼり)とくにこの球根の部分?煮たら結構おいしくってさぁ」
「バカモンガァ!? 球根が本体だと来る途中言ったろうが!」
「え? ってことは花は全部食べちゃってもいいんだよね?」
「…球根は食べないようにな、後で私も味見する」
「そうこなくっちゃねー!」
こうして居残ったドンケルハイト達は、花がなくなった
どこかのヘルモルト家にドンケル漬けというお見上げが届き、少女にお叱りをうける母親の姿があったとかなかったとか
ドンケルハイト種 切離し系原種科
原生している原種の進化系であり、急な岩肌にに生息、足音を聞き分け地面に引っ込む
開花していても予め花自体が自力で穴をほってあるので一瞬で隠れることが可能
採取したい場合は栄養剤を与えると、何故か花の部分が切り離され風に舞いながら落ちてくる
その光景はまさに幻想的であり、年に1度の開花の時期は錬金術士に密かな人気があるらしい