爆豪が無個性でデクが個性持ちなら   作:ウマい棒

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それでは本編どうぞ!



師匠として

プルル・・・プルル・・・

廃れたビルに電話の音が鳴り響く。

人も住んで居なさそうに見えるこの場所には1人の老人が住んでいた。

 

「電話なんて久しぶりだな・・・どれどれ・・・俊典?!」

 

電話を確認した老人は電話の相手を見て驚いた。何しろ最後に連絡をとったのがいつかも思い出せないほど前だったからだ。

決してボケがきているわけではない。

ガチャ・・・

 

「もしもしグラントリノ?私で「随分と久しぶりだな俊典!」

 

携帯から怒声が響く。

 

「グ、グラントリノ?何故そこまで怒っていらっしゃるのですか?」

 

「おめえが長い間連絡よこさねえからだろうが!」

 

「も、申し訳ございません!」

 

「大体お前は・・・」

 

——————————————————-

 

「ねえかっちゃん?」

 

「なんだ?」

 

「オールマイト、誰と話してるんだろうね」

 

「さあ・・・ずっとペコペコしてるし

お偉いさんかなんかじゃねえの?」

 

「なるほどね・・・」

 

オールマイトが電話の相手にずっと謝っているのが見てとれた。膝は震え額から汗が流れる。その姿は明らかに相手を恐れている。

 

((オールマイトが恐れる相手って誰なんだろう・・・))

 

————————————————————-

 

30分後・・・

 

「・・・というわけだ俊典?分かったか?」

 

「はい・・・肝に銘じておきます・・・」

 

「よし・・・じゃあな」

 

「待ってくださいグラントリノ!本題すら伝えていません!」

 

「本題だぁ?なんか用があるなら先に言えよ」

 

「は、はい」

 

言っていることは無茶苦茶なグラントリノだが、悲しいかなオールマイトに不満を伝えるほどの勇気は無かったのである。

 

「実はですね、後継者の話で」

 

「お、雄英で探すんだろ根津から聞いてるぜ?」

 

「それなんですが・・・もう見つけたのです」

 

「・・・何?誰なんだそいつは・・・」

 

「爆豪勝己という名前の『無個性』の中学生です」

 

「・・・はあ?!正気か俊典?

まさか同情とかで選んだんじゃねえだろうな?」

 

「勿論ですグラントリノ。彼になら託してもいいと思える、

『ヒーロー』に必要な素質を持っていました。」

 

「・・・個性の譲渡は?」

 

「それはまだです。いまその彼には課題を課しておりまして、それが終わり次第と考えています」

 

「いつ頃になりそうだ?」

 

「私の見込みでは半年ほどかと・・・」

 

「・・・なるほどな。俊典、お前の決定を否定するわけじゃねえ。だがな・・・『ワンフォーオール』を持つことの重大さを、その爆豪だっけか?は持ってんのか?それが知りたいんだよ俺は」

 

「分かっておりますグラントリノ。それは私の口から説明するよりも実際に見て確かめて貰った方がよろしいかなと。」

 

「分かった・・・おめえいつ頃予定空いてんだ?」

 

「来週の日曜日の昼頃なら空いています。」

 

「よし分かった・・・じゃあそれで」

 

「あ、あのグラントリノ・・・」

 

「なんだまだなんかあんのか?」

 

「え、いやその・・・やっぱりいらっしゃった時に直接・・・」

 

「・・・なんかやべぇことじゃねえだろうな?」

 

「な、何でもないんです!失礼します!」

 

ガチャ・・・プー・・・プー・・・

電話から通話が終了した音が鳴る。

 

「あの野郎切りやがった・・・次に会った時覚えておけよ・・・しかしまあ・・・」

 

(ハッキリ自分の意見を言えるようになったじゃねえか俊典)

 

自分に怯えてばかりだった修行時代。No.1ヒーローになってからもそれは変わらず、実際長い間連絡が無かった。

 

しかし・・・

 

「あいつから連絡くるなんて意外だったな・・・しかも『後継者』を自分の意思で・・・なおかつ自信がある口調だったしな」

 

(あいつも教える側になったってか?想像つかねえよな…なあ志村?)

 

オールマイトを古くから知る、今は亡き盟友を偲びながら1人微笑む。

その表情は穏やかだった。

 

—————————————————-

 

(あああやってしまったぁ・・・!

緑谷少年のことも伝えずに、さらに誤魔化すために

電話を無理やり切ってしまったぁ・・・

次に会った時に絶対殴られるよぉ・・・)

 

一方オールマイトは顔面蒼白でガタガタ震えていた。

その姿にNo.1ヒーローの面影なんてものは無かった。

 

「オールマイト?!大丈夫ですか?!」

 

「だだだ大丈夫だ緑谷少年・・・」

 

「絶対大丈夫じゃないですよね?!」

 

「・・・なあオールマイト、電話の相手誰だったんだよ?」

 

「・・・ああ、彼は私の師匠みたいなものだよ。

その名は『グラントリノ』」

 

「グラントリノ?聞いた事ないぞ?」

 

「デクで知らねえって大概だぞ?」

 

「無理もないさ・・・彼が既に隠居していたからね。

それはそうと・・・」

 

少し顔色がマシになったオールマイトが

2人の方に向き直った。

 

「どうだい?調子は?」

 

「思ってたよりキツイかもな・・・純粋な筋力が求められるから・・・ウエイトトレーニングは高校からと思ってたからさ」

「ワンフォーオールを扱う上で筋力は重要なファクターだからね!まあ爆豪少年なら大丈夫さ!」

「おう任しとけオールマイト!スグに慣れてやるぜ!」

スグに慣れてやるぜ!」

「頼もしいな全く!緑谷少年はどうだい?」

「そうですね・・・『個性』をどう使っていくかがまだ絞り切れません・・・空中戦をメインにするのは決めてあるんですけど・・・」

「まあそう焦らないでもいい。君の『個性』は出来る事が多いからね。闇雲にやるのはいけないが縮こまり過ぎるのもいけないぞ!」

「はい!」

 

特訓の調子を聞いてそれに見合ったアドバイスをかけていく。2人にとってみたらまさに理想の師匠であることは間違いない。

 

しかし・・・彼が厄介な事を後回しにしているなんて2人は知る由もないし、オールマイトが(・・・本気で言い訳考えとかないとなぁ・・・)なんて思いながらアドバイスしているなんて2人は夢にも思っていないのである。

 

———————————————————

 

「よし、今日はここまでだな!」

「や、やっと終わった・・・」

「俺はあんまり終わらなかった・・・」

 

デクは『個性』を使って空中機動の練習、爆豪はひたすらゴミを運びながら肉体を酷使していく。

全く逆のトレーニングをしているので終わったときの感想も違うものになっていた。

 

「ウンウン!2人とも日頃から鍛えているだけあって進みが早くていいね!爆豪少年もこれなら思っていたより早く終わりそうだな!」

「ンなことねえよオールマイト。まだまだ大きなゴミは残ってるしな」

 

褒めるオールマイトだが爆豪は自分の進捗を客観的に評価している。

 

(この歳でそれが出来る子はなかなかいないだろうな・・・)

 

「デクはどうだった?上手くできてんのか?」

「うーんどうだろう?とりあえず空中で自由に動けるようになりたいかな?」

「そんな緑谷少年に朗報だ!」

 

マッスルフォームに戻りビシィ!と指を向けるオールマイト。

肝心のデクはやっぱり画風が・・・!とうわの空だが・・・。

 

「次に私がフリーになるのは来週の日曜日なんだけどね・・・その時に例のグラントリノがここに来るんだ。」

「グラントリノがですか?それが何か?」

「グラントリノの個性は『ジェット』。彼は空中戦を得意としているから何か聞きたい事があったら質問できるよ!」

「本当ですか?!」

「良かったじゃねえかデク!オールマイトの師匠だからきっとすげえぞ!」

「だがしかし!」

 

ボシュッ!と煙を立ててオールマイトは再びトゥルーフォームに戻った。

 

「彼はすごく厳しいからね・・・教えを乞うなら覚悟はしといた方がいい・・・ちくしょう!思い出したらまた膝が・・・!止まれ!止まるんだ震えよ!」

「そ、そんなに厳しいお方なんですか?」

「厳しいなんてもんじゃないさぁ・・・私が学生の時は『実践練習』といって毎日殴られてゲロ吐かされてたよ・・・」

「うわぁ・・・」

「それほんとに師匠なんか・・・?」

「まあ・・・彼が厳しいのにも理由があるからね・・・」

「オールマイト?どうした?」

「ん?いや、なんでもないよ」

 

(これを聞かせるのはもう少し先でいい・・・彼らがもっと成長してからでも遅くはないさ)

(自分のもう1人の師匠が『やつ』との戦いで命をおとしたなんて中学生には早いしな・・・無駄にプレッシャーをかけるだけだ・・・)

 

オールマイトは若かりし記憶を胸の内にしまった。

そして2人に向き直り・・・

 

「そろそろ時間だから私はもう行くよ。さっき言った通り次に会えるのは来週日曜日だ。2人とも特訓は言わなくてもすると思うが・・・勉学をないがしろにしてはいけないぞ」

 

「まさか、僕高校は絶対雄英って決めてるので」

 

「『オールマイトの出身校』だから・・・だろ?デク」

 

「くぅ!この行動派オタクめ!それで爆豪少年はどこにするつもりなんだい?まあどこにしても勉強は頑張らなきゃだけどね」

 

「俺も雄英のつもりだ」

 

「そういや、かっちゃんって昔っから雄英に行く!って言ってたよね?なんで?」

 

「そ、そんなのなんでもいいだろ?!

デクだってずっと雄英じゃねえか!」

 

「なんでキレるのさ!」

 

ギャーギャー・・・

言い合いを始めた2人を見ながら

 

(爆豪少年は『緑谷少年が行くから』かな?全く素直じゃないね!)

 

「何ニヤついてんだオールマイト!」

「なんでもないさ・・・ただ素直じゃないなって」

「ッ!」

 

顔がボッ!と赤くなる爆豪少年。

 

「ど、どうしたのかっちゃん?」

「んでもねえ!オールマイト言ったらコロス!」

「言わないさ!そこまで無粋じゃあないさ!」

 

そう言ったのにまだ爆豪少年は睨んでくる。

(そんなに恥ずかしがることかなぁ?

ずっと1人だった私にはわからないな・・・)

そう思いながら何気なしに腕時計を見ると針は7時50分を少し過ぎた辺りを指していた。

 

「やべっ!じゃあそろそろ行かないと!また日曜日に!」

「ありがとうございましたオールマイト!」

「特訓も勉強も頑張っとくわ」

「うん!じゃあね!」

 

ふんっ!というとマッスルフォームに戻ったオールマイトは凄まじいスピードで消えていった。

 

——————————————————-

 

「なあデク・・・やっぱオールマイトってスゲぇな・・・」

「そうだね・・・余りに話すぎて忘れかけてたよ・・・」

「よし・・・帰るか」

「うん、うん?何かを忘れてるような・・・?」

「なんだデクもうボケが・・・?」

「違うよ!なんか大事なことを・・・あっ!ああああああああぁぁぁ!」

 

叫びながら頭を抱えうずくまるデク。

 

「ど、どうした?」

「・・・インを・・・」

「え?」

「サインを貰うのを忘れてたぁ!」

 

その言葉を聞いてデクの頭にチョップをかましたが悪いとは微塵足りとも思わなかった。

 

「こンの生粋のオールマイトナードが!

次に会う時もらえばいいじゃねえか!」

 

「つ、次にって・・・今度会えるのは来週の日曜日なんだよ!?」

 

「だからなんだっていうんだよ!」

 

「かっちゃんには・・・!」

 

ギャーギャー!

 

———————————————————

 

「じゃあ飯食ったら家行くわ」

「うん、チャチャッと課題終わらして特訓再開だね!」

「ああ、また後でな」

「うん!」

 

こうして2人は来週の日曜日まで勉強と特訓をこなしていった。




ここまで読んでいただきありがとうございました!
今回の話のメインは2人からフェードアウトしてオールマイトに。
2人が成長していくには彼の成長も必要不可欠!ということでかつての恩師(鬼)のグラントリノに連絡をとりました。
グラントリノがどうアクションするのかはまた次回のお話ということでよろしくお願いします!

追伸
爆豪がオールマイトに指摘されて照れるシーンがありますがあれはデクに『憧れ』の感情を抱いている事がバレそうになったからであり決して┌(┌^o^)┐ではありません(真顔)
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