むっちゃ原作進めた...これでいいんだろうか?
けど気にしないのがZhkくおりてぃです!
それではどうぞ!!
ダンス・コンペは、予選と本戦の二つが行われる。
予選は複数のカップルが同時に踊り、審査員がそのカップルに規定数のチェックを入れていく。そしてそのチェック数が多い組から、本戦への出場権を手に入れられるという訳だ。
そして現在、その予選が会場では行われている訳なのだが...
「「「おお~!!」」」
会場からはそんな歓声が漏れでていた。それも無理はない。今現在踊っているのはグレンとルミアのカップル、そしてシンシアとリィエルのカップルが含まれるグループだ。学院内でも、社交舞踏会前から優勝候補と名高いこの両カップルのダンスに、来賓も生徒も舌を巻いた。
片やグレンの荒々しさにルミアの可憐さが相成った調和の取れたダンス。片やシンシアの絶技とも言えるほどの美しさに、リィエルの完璧な動き。同じグループのカップルも、さすがにこれは相手が悪い。
そしてその両カップルとも一つのミスもせず、華麗にフィニッシュを決め会場はさらに盛り上がる。それはもう学生のイベントとは思えないほどに。
そんな熱が籠る会場を、不躾にも黒魔【アキュレイト・スコープ】で眺める男の姿があった。
「くぅ~いいのお...儂も可愛い子ちゃんの手を取ってダンスに興じてみたいわい」
「バーナードさん、任務中ですよ」
ため息を出すように言うバーナードを、クリストフは注意した。アルベルトはバーナードとは違う意味でため息が出たくなるが、肩をすくめるまでに留めた。
「というかグレ坊はわかるが、シン坊もあんなに踊れるとは以外だったのー。」
「シン君は一応魔術の名門であるフィーベル家の長男ですからね。踊れても不思議ではありませんでしたが、僕もここまでとは思いませんでした」
クリストフが感嘆の声を漏らすなか、バーナードはふざけた表情から一変、どこか悲しげな物になった。
「楽しそうで何よりじゃ」
「それは任務としてはどうかと思うぞ」
「なんじゃい。ちょっと孫を見るような感じで思っただけじゃわい!それぐらい別に良いじゃろう...」
年に合わないように拗ねると、さすがに堪えられなかったのかアルベルトは飲み込んだはずの息を吐き出した。
と、そこでバーナードの視界に動きがあった。今回の護衛対象であるルミアに、何者かが接近したのだ。ルミアやシンシアと同じ年くらいのその少年は、にこやかな表情でルミアに話しかける。
普通なら別におかしな風景ではないが、三人には緊張が走った。
「奴じゃの」
「ええ、彼が《魔の右手》のザイードです。情報通りで間違いありません。」
そう、今ルミアに近づいた少年こそ今回の一番注意すべき敵である《魔の右手》のザイードその人なのだ。ルミアの近くにいたグレンもイヴから情報を受けたのか、緊張したように動きが固くなった。
「自分から近づいてくるとは、一体何が目的でしょうか?」
「恐らく宣戦布告の意味が強いのだろうな。それほどまでに今回の暗殺自信があるのだろう」
「けっ!なめた真似しよって」
毒づくバーナードを目の端で見ていたアルベルトの耳に着けた通信用の魔術宝石から声が聞こえた。
『こちらシン、敵を目視で確認しました。どうします?やりますか?』
それはシンシアからの連絡だったが、内容は簡単な物だった。
ここで奴を仕留めるかどうか、という事だ。
グレンとルミア、そしてザイードの三人からシンシアは少し離れた場所にて待機している。それにシンシアが彼らの味方である事は、ザイードでさえも知らないことだ。今シンシアが不意討ちをすれば、確実に勝負にもならずに決まるだろう。
「駄目だ。今回の目的は王女の安全もだが、その過程でお前の正体を世間にさらす訳にはいかん。今は堪えろ」
『......了解』
納得はしていないというのがよく分かるほど間が空いたが、それでもシンシアはそれに従順に従った。この状況下で自分が相手側のイレギュラーとなり得るのはシンシア自身もわかっている。だからこそここは身が引けたのだろう。
通信はそこで途絶えたが、アルベルトは顔をしかめた。
「やはり、お主もなんだかんだ言ってこの作戦には否定的か。安心せい、儂もクリストフも同じじゃよ」
「ええ。今回の作戦はあまりにも無謀です。それがわからないイヴさんではないでしょうに...」
それぞれが不満を口にした、その時だった。
「っ!?来ました!」
元からクリストフが張っていた結界に、侵入者の反応が感知された。それを聞いた瞬間、アルベルトもバーナードも顔を引き締める。
「敵影は三、どうします?」
「出来れば各個撃破していきたいが、そうは言ってもられないだろうな。俺は北の敵を、翁は西、クリストフは東を頼む」
「それが妥当じゃろうな」
バーナードの肯定を切り目に、三人は各々が相手をする敵の元へと散っていく。
楽しげな社交界の裏の戦闘が、今始まる。
━━━
「とりあえず本戦は出場か、結構疲れるなこれ...」
「私は大丈夫、楽しいから。」
「ならいいか...」
予選をノーミスで乗り切り、一応同率で一位出場となった。相手はもちろんグレン先生とルミ姉のカップルだ。
「あっこ強すぎない?まじでグレン先生侮れんわ...」
これでもリィエルとのペアなら巻負けはまずないだろうとは自負していたが、そんな事では足元を掬われる可能性は充分にあり得る。一応任務中ではあるのだが、俺の負けず嫌いに火がつきそうだ。
「おーこれはこれは、俺達と同率のシン君じゃあないですかぁ?」
そんな俺のもとへ、人を煽るかのような声のかけ方でグレン先生が話しかけてくる。その後ろではルミ姉は苦笑いしているが、そんな安い挑発でも買うのが俺の流儀だ。
「あれ?ルミ姉がいなきゃただの獣のダンスなグレン先生じゃないですか?どうしたんです?早々に敗けを認めに来たんですか?」
「あ?てめぇ喧嘩売ってるのか?表出るか?」
「いいですよ?遠征学習の屈辱、今日ここで晴らそうじゃありませんか」
笑顔のまま額に青筋を浮かべる先生に、それに笑顔で答えながら指をならす俺。端から見れば一触即発な雰囲気だが、俺もグレン先生もただじゃれているだけなのは理解している。
「もう駄目ですよ先生、こんな所で暴れちゃ。でもシン君とリィエルには悪いけど━━━」
ルミ姉は楽しげに笑って、グレン先生の腕にしがみついた。そのいきなりの動きに、俺は目を白黒とさせざるを得ない。それはされたグレン先生も同じ事。
「私と先生は負けないよ?ね、先生♪」
「お、おう...そうだな」
「はい!」
いつもは見ないルミ姉の姿にあっけにとられた。いつもならもっと周りを優先するようなルミ姉が、こうやって自分がしたいようにしているのがなんだか少し嬉しかったのだろう。ふっと笑みがこぼれた。が...
ドンっという隣から加わった衝撃に、そんな余裕の笑みは簡単に崩された。
「ん、私も負けない。勝つのはシンと私」
「へ?ちょリィエル?」
いつもの眠たげな目をギラリと光らせルミ姉を見るその姿は、まさに本気そのものだった。そんなにダンスにはまったのだろうか...
「うん、お互い頑張ろうリィエル!」
「うん」
「リィエル?あの~ちょっと離れて欲しいんだけど...」
火花を散らすリィエルとルミ姉を隣に、俺は必死に引き釣り恥ずかしさから赤くなった顔を背ける。今のリィエルにこんな事をされるのは、正直身が持たない。この手の事に関してはてんで初心なのに加え、今は衆人環視の真っ只中。周りの視線が俺に集中してるのが嫌でもわかる。
だから俺はどうにかリィエルを引き剥がそうとするのだが...
「ダメなの?」
「うっ...そう、いうわけじゃなくて...」
少し涙目でトロンとした目に加えて上目遣いでそんな事を言われればさすがの俺も弱い。というか本当にやめて欲しい...心臓がバクバクとかなりうるさい。
「わかった...いいよ...」
「ん」
どこが喜んでいるような表情をしている気がしたが、残念ながら今はそちらを見る余裕はない。辺りの男子が俺を見て聞こえるくらいの大きさの舌打ちをしているが言わせて欲しい。
(こっちも恥ずかしくて死にそうなんだよ...)
小さく吐いたため息は、きっと誰にも聞こえずにホールに響く演奏に流されていった。
━━━
決勝も着々と進んでいくなか、遂に最終の決勝戦でのカードが出揃った。それはもちろん...
「結局決勝の相手はお前らかよ...」
「予想通りと言ったら予想通りなんですけどね...」
向かい合うグレン先生は苦笑いを浮かべ、それを鏡写しにするかのように俺も同じ表情を作った。俺とグレン先生の隣では絶賛火花を散らすリィエルとルミ姉。
シス姉?さぁ、どっかで自棄食いでもしてんじゃない?
「で、さっきの話はやっぱり...」
「こんな状況でんな下らない冗談なんて言うかよ。さっき会場にエレノアが居たのはマジだ」
隣に聞こえないくらいの声で話す内容はついさっきグレン先生が通信用の魔術宝石で連絡した物だった。
グレン先生曰く、ついさっきグレン先生の前にエレノアが現れよく分からない事とヒントのような物だけを告げてどこかに消えたという。
(イヴはなにやってんだよ!ザイード以外の三人はアルベルトさん達が撃退したってのは連絡で来たけど...)
三人のうち、捕縛出来たのは一人だけで他の二人には逃げられたようだが、これで実質相手は《魔の右手》のザイードただ一人だ。だが、それでもグレン先生の話を聞いた今では欠片も安心出来ない。
(本当にこれでいいのか?何か重大な事を見落としてないか?)
順調に敵は排除できており、ザイードもイヴが展開している【イーラの炎】でろくには動けないはず。それでもエレノアはこの会場に現れ、それに加えてグレン先生に接触してきたのだからイヴには一言物申したい物だ。
と、そんな事を考えていたときグレン先生が驚愕の表情を俺に見せた。それに俺は怪訝な顔をしてグレン先生に話しかける。
「どうしました?」
「イヴが、ザイードとその裏にいる黒幕を捕らえたらしい」
「っ!?!?」
俺はその驚きの発言に大声をあげて驚きそうになるが、それをどうにか堪える。
「ということは、これで本当に終わり?」
「てことだな...認めるのは癪だがイヴはあれでも優秀な奴だ...どうやらこの心配は、俺達の取り越し苦労みたいだな」
自重気味に笑うその姿は、納得がいかないと体現しているかのようだった。それはもちろん俺も同じ事。
(こんな...こんなあっさりいくのか?イヴが優秀なのは確かだ。これでルミ姉を狙う脅威がなくなったのも事実だ。けどなんだ?この腑に落ちない違和感...)
イヴの情報を聞いても、俺の中で不信感はまったくと言って良いほど消えず、それは逆に傘をましたようにも俺は思った。
しかし、俺がどれだけ不信に思おうと、安心感に浸れなくとも。
ダンス・コンペ決勝戦は、すぐそこまで来ているのだ。
━━━━
だだっ広いホールの中で、踊るのはたった二組のカップル。
流れるオーケストラに、見るものの息を飲む音、そして目の前の優雅と言う言葉が最も似合うであろうダンスがホールでは繰り広げられる。
交響曲シルフィード第六番、シルフ・ワルツの音楽と共に彼ら彼女らは踊る。
男性の真剣な表情でのリードに、うっとりと見とれるような表情の女性が見るものすべての視線を奪っていく。
元来黙っていればかなりカッコいい部類に入るシンシアもグレンも、今はステップの一つ一つに意識を割いている。その表情が、元の彼らのロクでなさとバカさを完全に消し去ることで、まるで社交界に現れた貴公子のよう。
(すごい...すごい楽しい...)
シンシアに手を引かれ、それに追従するように動くリィエルはふとそんな事を感じた。
今まで他の事にほとんど興味もわかなかった自分が、このダンスを踊ると言うことを楽しんでいるという事実が、リィエル本人にとっては大きな変化だった。
それもこれもすべて学院に入ってから、いや、シンシアと出会ってからがトリガーとなっているのだとリィエルは気がついてはいない。
(シンといると楽しい。ルミアやシスティーナ、グレン
といるときとは違う。なんだか、胸の奥があったかくなるみたい。)
目の前で、グレンに勝つと本来の目的とは大きく逸れた思いでこのホールに立つ青年を見て、リィエルには色んな感情が涌き出てくる。
グレンに向けるような、家族を慕う親愛ではない。
ルミアやシスティーナ、クラスの皆に向けるような大切に思う友愛でもない。
ならば、この彼女の胸にある仄かな思いはなんなのか。それは彼女自身が知りたい事だ。
(ん...私は馬鹿だから、よくわからないけど...)
わからないことは深くは考えないリィエルの思考が、面倒な悩みをぶん投げて見つめるのは、握られた自分の手。
(シンとは...もう離れたくない...)
確固たる意思の元、リィエルが誓願するかのように思うと...
穏やかに流れていた楽曲は止まり、それに合わせ二つのカップルは華麗にフィニッシュを決めた。
止んでいた歓声は、ホールを壊さんとばかりに響き渡る。見ていた生徒と来賓、卒業生に講師までもが、この一生に一度と言っても過言ではない名勝負の結果を今か今かと待ちわびている。
会場の視線が集まっている審査員席では、審査員が忙しなく動き議論を続ける。そして未だに反響を続ける歓声の中、ゆっくりあげられたボードに書かれた点数は...
本当の僅差で...
ルミアとグレンのカップルに軍羽が上がった。
「「「うぉおおおおおおおおお!!!」」」
興奮止まらぬ勢いで、会場がびしびしと震える。それほどまでの名勝負だったのだ。この先彼らがこれほどまでの勝負をまみえる事はない、そう言いきれるほどの戦いだったのだから。
「かぁー負けた!勝ちたかったんだけど、まぁ勝負だし仕方ないか...」
本当に悔しそうに着ている燕尾服なんて気にしないで、シンシアはホールに大の字に横になる。シンシアの性格と、この会場の熱気のお陰で彼を注意する者はいなかった。
「でも、リィエルナイスだったぜ!まさか決勝まで来れるとは俺も思ってなかったし」
「うん、すごい楽しかった」
「だな!俺もだ」
いつもの無垢な笑顔を向けられ、リィエルの胸はまたきゅっと締め付けられるように痛む。
ずっと、この笑顔を見ていたいとリィエルは思いながら、シンシアの顔を穴が空くほど見つめるのだった。
━━━
「なーんで俺達はこうやって待機なんだよ...」
つい数分前にしていた明るい表情はどこにもなく、俺はふて腐れるような面持ちで会場近くの建物の屋根に座り込む。
俺の服はさっきまでの燕尾服ではなく、特務分室用の対魔術戦仕様コート。隣に座るリィエルもドレスではなく俺と同じコートを羽織り、後ろでは哀れむようにクリストフ先輩が立つ。
「仕方ないよ。僕達は一応王女の護衛の任務があるんだから。それにここまで来ればグレン先輩もいるし大丈夫だよ」
「それもそうですけど、俺はルミ姉の『
「うん...私も見たかった」
二人してふて腐れる中、クリストフ先輩はため息を漏らすが爺は比較的肯定的だ。
「儂も同感じゃ。あんなべっぴんな子の『
「いえそう言うわけではなくてですね...今は一応任務中なので...」
後ろでクリストフ先輩が嫌そうに説明するが、多分爺なら最後までグチグチと文句を言い続けるだろう。
因みに今アルベルトさんはこの場にいない。一応俺と交代という形で今会場へと向かっているはずだ。あの人の色んな意味でびっくりする変装術なら、バレる事はまずないだろう。
(ほーらクリストフ先輩も見ればいいんだよ。こっからなら皆楽しそうにダンスを踊って━━━)
ちょうど俺からの場所なら今行われているフィナーレのダンスが見えるので、それをクリストフ先輩におすすめしようとしたその時だった。
「あ?」
変な声を出しながら、俺は無意識に立ち上がる。周りから俺を不審がる声が聞こえるが今はそれよりも気になる事があった。
それは会場を抜け、遠くから見たからこそ気がつけたこと。そしてダンスにそれなりの教養を持ち、ある意味感覚的な事に優れていた俺だから気がつけた事。それは...
(なんであんな
小さなコテージの空いた扉から見える男女は、誰もが笑顔で踊っているのだが、まるで操り人形のようだ。
(会場に居たときはそんな感覚一切なかった...ここと会場で何が違う...なにが...)
その瞬間、俺の頭に電撃が走ったような衝撃が走り、嵌まらなかった一つのピースが組上がって俺の違和感を完全に消し去った。
「ちっ!!そういうことかよ!!」
俺はすぐさまその場から飛び、さっきまで見ていたコテージへと着地する。そして迷うことなく会場へと入ると曲は止まっており、会場にいるグレン先生、ルミ姉、シス姉、そしてアルベルトさん以外の動きは完全に止まっている。まるで硬直しているかのように...
会場にあって、俺がいた遠く離れていた屋根にはなかった物。
それは音楽。
俺がさっきまでいた場所では自慢のオーケストラはまったく聞こえない。そしてそのオーケストラが聞こえなくなった途端、強く感じた違和感。
前情報も、今までの順調な流れなんて関係ない。
俺は自分が思うがままに歩き、一人の男に相対するように止まった。
「あんたが《魔の右手》のザイードだな、指揮者さんよぉ!!」
ホールに響き渡った俺の声は、この場で動ける全員が見つめる相手へと投げつけられた。
その男、指揮者は指揮棒を持った
「よくぞ気がついた、その通り。我こそが《魔の右手》のザイードであるっ!!」
指揮者、いや《魔の右手》のザイードは高らかにそう言いはなった。
まだ夜は終わらない。夜はさらに深まっていくのみ...
眠いよぉ...
だから俺は寝る!お休み!!
友「明日課題あるぞ?」
ウソダドンドコドーン!!!
深夜にzhkは、家の枕を叩きながらそう叫んだ。
徹夜確定である。