「で、風呂場で男の姿に戻るってなにやってんすか先生・・・」
「こればっかりは俺の運が悪いとしか言いようがねぇよ・・・」
目の前で男に戻っているグレン先生に冷たい視線を浴びせながら、俺は深いため息をついた。
グレン先生は、アルフォネア教授からもたらされた特殊な薬品によって女体化していたのだが、それはかなり高度で繊細な魔術だ。そのため変身を維持するためには、教授が作った専用の変身維持薬品を飲まなければならないのだが・・・
「ついさっきそれ飲んでましたよね?薬吐きでもしたんですか?」
「ちゃんと飲んだよ。どうせあのババアの事だから時間もテキトーだったんだろうよ」
「ええ・・・教授に限ってそんな事は・・・ないとは言えない・・・」
「だろ?」
うん言えない。面白かったらなんでもオッケーしそうなフリーダムなあの教授の事だ。グレン先生の言い分もなんとなく理解できる。
「くっそぉ・・・せっかくの
「教師としてそれはどうなんですか・・・」
「役得なんだからいいんだよ!!このために俺はここに来たと言っても過言じゃねーんだから!!」
「いやそこはリィエルのためって言いましょうよ」
大丈夫かこの兄貴分。下心が完全に丸出しだぞ。よくこれであのクラスの生徒達は心酔してるもんだ、シス姉辺りなら軽蔑の視線を向けてそうだ。
「というか他にも生徒がいたんでしょ?よく通りましたね」
「昔の魔術実験の後遺症で、水を浴びたら男の体になるって言ったら信じた」
「よくそれで信じるな・・・」
憧れとは恐ろしいものである。人間をこれほどまでに盲目的にさせるんだから。いや、どうやら話に聞く限りその場にいたのはフランシーヌやコレット、その取り巻きだった事を考えるとただ馬鹿なだけ?
後者の方が強いような気がする。
「まぁあと短期留学も残すとこあと少しですし、その間は男として頑張って下さい。レーン先生」
「よくお前これで持ったな・・・」
「姉二人とずっと家で過ごしてたら女子と過ごすなんて普通になれますよ」
それもどっちもかなりの美少女。さらに言えばルミ姉に言えば天使なんだ。そりゃ慣れるでしょ。待てよ?シス姉が美人なのは顔だけだから実質残念は残念だな。
「それにしても・・・あいつ頑張ったな・・・0点常習犯が65点まではね上がってるし。お前なんかしたのか?」
「いえ、俺は聞かれたことを答えただけですよ。ここで出来た友人が大きな影響なんじゃないですか?」
「友人?エルザとオルタンシアか?」
「オルタをリィエルの友人と言っていいかはわからないですけど・・・まぁ悪友という感じなら間違っちゃないか」
この短期留学で、リィエルは一回りも二回りも成長を見せた。自発的に勉強し、クラスメイトとも自分から話しかけに行くなど、前の彼女からは考えられないほどの成長ぶりだ。
そこには確実に、エルザとオルタンシアが関わってきている。
シス姉やルミ姉、俺とはまた違う友人という関係になれたエルザ。それに敵対するも負けたくないというオルタンシアにむける負けず嫌いも、この点数の向上に勢いをつけている。
なぜリィエルがオルタンシアに負けず嫌いを発動しているのかはわからないが・・・
「これは俺としては嬉しい限りだわまったく。若いもんは成長がはやいねぇ」
「なーに年寄りぶってんですか」
「それもそだな」
苦笑を漏らすも、先生もなかなかに嬉しそうだ。ずっと気にかけていた妹分が大きな一歩を踏み出し兄離れしていくのが感慨深い物を感じてるんだろう。
「これなら・・・大丈夫そうだな・・・」
小さく呟いた言葉には、色んな意味がある。
短期留学の成功、リィエルの落第退学の回避。そして━━━
これからの事について。
「なぁシ━━」
「少し外の空気を吸ってきますわ。デスクワークばっかじゃ体が凝り固まるし。」
「そ、そっか。そうだな」
なにか先生が言おうとしたみたいだが、タイミング悪く俺が言葉を被せてしまったので途中で先生の話を切ってしまった。が、先生もその先を言う気はなくなったのか、もう俺になにかを言うこともなく肯定だけをした。
「その代わり、あとで俺の仕事手伝ってくれ!これは終わりそうにない!!」
「へいへい手伝いますよ。んじゃいってきまーす」
先生の必死の懇願を軽く流しながら、俺は部屋を出た。
━━━
特に向かう先もこれといってなかったので、とりあえず一人で落ち着けそうな屋上へと向かう。
思った通りそこには誰もおらず、夜空に浮かぶ月の光だけが俺を照らしている。
「落ち着くわ・・・最近忙しいというか騒がしいというかそんな事ばっかだったからこうやって一人の時間は珍しいような気がするし」
授業が終わればオルタに模擬戦だと追いかけられ、リィエルとエルザに勉強を教え、オルタとリィエルの喧嘩の仲裁に入ったり・・・なかなかに忙しいなよく考えると。
「でも楽しいからいっか」
楽観視と言われればそれまでかもしれないが、この忙しさも今の俺には楽しく感じられる。だから苦でもなんでもない。
「これが続いていけば、いいんだけどな・・・」
少し口うるさいけど本当は人一倍メンタルが弱いシス姉がいて。
みんなの事をよく考えてくれる優しいルミ姉がいて。
天然で振り回してくるけど楽しいリィエルもいて。
人でなしだけどここぞというときに力になってくれる先生もいて。
こんな日常が、ずっと終わることなく続けばいいのに。そんなありもしない事を思ってしまう。
「ん?」
空に浮かぶ月をじっと見つめていたその時、ふと階下から小さな話し声が聞こえてきた。屋上から身を乗り出して見てみると、そこにはオルタともう一人女性の姿が。
「あれは・・・マリアンヌ学院長?なんでこんなとこに・・・」
もう一人の女性は、聖リリィ女学院の学院長を務めているマリアンヌさんだった彼女はここに初めて来たときに会話しただけだが、別段怪しいようなものは感じなかった。
だが、こんな夜更けに生徒と密会をしている時点で怪しさ全開だ。
「くそ、遠くて聞こえねぇ・・・」
耳はいいほうだが、さすがにぼそぼそとした話し声を遠くから聞き分けるほどよくはない。そんなのができたらもはや人間じゃないし。あ、俺人間じゃなかったな。
一人ブラックジョークを言っていると、話は終わったのか二人は別れ校舎へと戻っていく。
「なにかあるのか?いや、先生からのアドバイスって事も考えられるけど・・・」
この留学自体に感じる胡散臭さからも、今の密会はとても気になることだ。何かしら、この留学の裏にはあるのかもしれない。
「オルタをあんま疑いたくはないけど、警戒だけはしとこう。マリアンヌ学院長は要注意だな。」
注意しておくべき事柄を口にして頭に残し、屋上から降りるために階段の方へと向かう。グレン先生から頼まれた仕事もかなりあったことだし、出来れば徹夜だけは勘弁願いたい・・・
そして階段へと繋がる扉のドアノブに手をかけて━━━
「っ!?ごほっ!ごほっ!!」
急になにかがむせ上がってくるような感覚に襲われ、俺は咳き込んだ。まるで喘息を患った時のようなそれは何度か連続して訪れ、呼吸が難しくなる。
「かはっ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
少し収まったのを機に、口を押さえていた手をどける。すると、その手は赤く滲んでいた。
「ははは・・・わーってるよ。ずっと続くなんてあり得ないなんて。そんなのは俺が一番理解してるわ」
自嘲するように笑って、血がついた手袋をポケットにしまう。これを先生や他の生徒に見られれば言い訳するのが面倒だ。
「ま、だから今を楽しむんだけどな」
少し体に倦怠感を感じつつも、扉を開いて階段を降りていく。
「もう少し・・・もう少しだけ頼みたいんだけどなぁ・・・そこは神のみぞ知るってとこか」
小さく呟いた俺の言葉は、響くこともなく静かに消えていった。
━━━━
短期留学もついに最終日。日も沈んだ時間に、学院内の敷地の一角のオープンカフェにて、俺達の簡単な送別パーティーが行われていた。
簡単と言っても、並んでいるのはフィッシュ&チップスやソーセージ、ケーキにクッキー。さらにはワインなど俺達の考える普通とはかけ離れたパーティーだ。さすがお嬢様学校・・・やることのレベルが違う・・・
「シン君もお疲れ様。色々大変だったけどあっという間だったね」
「ま、その分楽しめたって事だからいいんじゃない?結果は成功で終わったんだし」
話しかけてきたルミ姉にそう返す。フランシーヌやコレットが真面目に授業を受け、そこに俺に負けたことが相当頭に来たのかオルタも加わり授業がきちんと成立した。
リィエルもエルザの援助のお陰もあり、無事に単位を習得。晴れて退学を免れたというわけだ。
「で、その主賓はどこいったんだよ?」
「ついさっきエルザさんとどこか散歩に生きましたよ」
俺の問いに答えたのは、ケーキを美味しそうにパクつくジニー。そのケーキどこにあったんだろう、俺もほしい。
「散歩?」
「ええ、このクラスでもかなり仲が良かったので帰る前に積もる話もあるんじゃないですか?」
「それもそだな」
ここで出来た新しい友人と言っても、俺たちは明日の朝にはフェジテに帰らなきゃいけない。ゆっくり話せるのは今日くらいだろう。
「ルミア!ちょっとこっち来て!!この二人にギャフンと言わせてやるわ!!」
「ふふふ、わかったよシスティ。それじゃ私はあっちに行くね」
不敵に笑って見せながら、ルミ姉がシス姉やコレット達がいる方向へ走っていく。するとすぐにもう見慣れたシス姉&ルミ姉VSコレット&フランシーヌの魔術戦が幕をあげた。
「強かですねぇ」
「ルミ姉もあんな積極的に戦うようなタイプじゃなかったような・・・何があったんだ?」
ルミ姉好戦的になる。うんなにも嬉しくない。ルミ姉には出来ればずっと慈愛の天使でいてほしいですね・・・
「てかオルタは?全然見かけないんだけど」
「そういえばオルタンシアさんなら今日は体調が悪いそうで、朝から寮でお休みになってるらしいです」
「そっか。あとでなんかお見舞いで持ってってやるか」
あ、グレン先生が吹っ飛んだ。美少女が先生を巡って争ってますよ。よかったですね先生(棒読み)。
「あれ?どこか行くんですか?」
「いや、積もる話も話があるのもわかるがさすがに長時間主賓がパーティーを抜けるのはまずいだろ。ちょっくら探してくるわ」
「なら私も行きますよ。二人の方が効率がいいですし、何よりここから離れればあのバカお嬢様の相手もしなくていいですしね」
「苦労してんだな・・・」
よほど大変なんだろう。その顔にははっきりと面倒くささが浮かんでいた。
ジニーがケーキを置いたのを機に、俺達はリィエルとエルザの二人を探して歩き始める。
なんだかんだで仲はよくなったので会話はそれなりに弾む。やれシス姉がこんなヘマをしただの昔はもっとフランシーヌはまともだったなどそんな感じだ。
本人達がいる前では絶対に出来ないのでちょうどいい。
「しっかしいませんね・・・」
「どこに行ったんだよまったく・・・」
いくら探しても一向に見つからない。すぐに見つかるだろうと腹をくくっていたが、これは結構骨がおれそうだ。
「どうします?戻りますか?」
「そうするか。あの二人も戻ってるだろうし・・・」
「シンさんも勘違いされたら困りますもんね」
「勘違い?なにが?」
答えるとジニーが冷たい視線を俺に浴びせ、なんでもないですと吐き捨てるように答えた。なんでだ?解せぬ。
そしてパーティー会場へと戻ろうとしたその時、俺の耳にカンと甲高い音が鳴り響いた。
「ん?なんだ今の音」
「えっ、なにか聞こえました?私にはなんにも・・・」
するのまた音が聞こえる。今度は甲高い音ではなく、なにかがずり落ちるような音。
まるで、なにかを切って切られた物が落ちたみたいな音。
「なにか・・・嫌な予感がする」
「えっ、ちょっと!!」
ふと過る直感に胸騒ぎを覚えながら、俺はジニーを置いて音のなる方向へと走り出す。向かう方向にあるのは鉄道列車駅の駅前広場。
なにもなければいいんだけど。心の中で俺は走りながらそう祈るしかなかった。
シンシアsideout
━━━
夜の駅前広場。終電も出た人っ子一人いないはずの場所に、きらびやかな刃物が月の光を反射して煌めく。
「せりゃ!!」
「っ!!」
煌めく刃は風を切り裂きながら、リィエルへと襲いかかる。その凶刃を振るのは、眼鏡を外し優しき雰囲気を消したエルザその人。
「あなたが!あなたが父を殺したのでしょう!!イルシア=レイフォード!!」
「違う・・・イルシアは私じゃなくて・・・でもイルシアは私でもあって・・・お願いだから話を聞いて」
「くどい!!」
ビュン!という音と共に目にも止まらぬ剣閃が轟く。それをギリギリで回避しながら、リィエルは後ろに飛んで距離をあける。
「二年前、私の家を襲い、そして私の誇る父を殺した暗殺者。目の色と髪の色を変えて周りを騙せても私は騙されない。なぜなら私はあなたの喉元にこの刃を突き立てることを夢見たのだから!!」
「・・・っ」
これは突然起こった。
最初は普通に仲良く話しながら歩いていたのだ。だがそれは途中でエルザが切り出した過去の話によって一変した。
エルザの父が、とある暗殺者に殺された事。
その暗殺者が天の智恵研究会に所属していたイルシアだということ。そして・・・
今までリィエルと仲良くしていたのは、すべてこの時のためだということを。
リィエルは否定したかった。自分はイルシアではなく、その天の智恵研究会との話は事実ではないと。
だがリィエル自身も大きく動揺していた。ついさっきまで友人だと思っていた人に裏切られ、殺されようとしているんだから気が動転するのも無理はない。
「私はあなたを許さない。あなたを倒して狂った私の人生を取り戻す!それでやっと私は進めるの!!」
あの日すべてが変わってしまった。
敬愛する父を喪い、共に火への多大なトラウマを背負ってしまった。
それでもエルザが折れなかったのは、一重に復讐という二言が胸にあったからだ。
自分の父を無惨に殺した彼女を。自分の人生を狂わせた彼女を。
この手で打ち倒すと。ただそれだけを支えに生きてきたのだ。
だからこそ、今の彼女の剣激は冴えきっている。
「さて、そろそろ本気を出して。病を患ってさえなければあなたのような外道な暗殺者に父の技が劣っていないということを、ここで証明して見せる!!」
「・・・・・・」
動揺が流れていた瞳が、エルザの話を聞き終えいつもの眠たげな物に戻った。
「エルザは私を殺すの?」
だが、そこには大きな悲しみが見てとれた。
「殺す気はありません。ですがあなたを待つのは正当な法の裁きによる死。ここで私の剣で倒れても同じ事です」
「そう・・・エルザ、わたしはあなたを傷つけたくない」
「っ!!」
その一言は、エルザを驚愕させるには十分すぎた。
ここまで殺意をみせているのに、彼女は自分を傷つけたくないなどぬかしたのだ。
「そして死ねない。皆に約束したから、生きるって。何のために生まれたかはわからないけど、私は生きてその意味を探すんだって。それに━━━」
一際強い意志を瞳に宿させて、リィエルは告げる。
「私はまだ、シンと一緒にいたい」
自分を救ってくれた恩人。どん底にいた自分を引っ張りあげ、今のみんながいるところに連れてきてくれた、リィエルの大切な人。
まだ彼へ向けるこの気持ちがなにかはわからないけれど、それを知るためにも、まだ死ぬわけにはいかない。
「でもエルザも傷つけたくない。けど私バカだからどう伝えたらいいかわからない。だから━━━」
地面に手を置き、お得意の高速錬成で大剣を作り出し構える。
「ごめん、エルザ、ぼこる」
そう言った瞬間、
全身のバネを使い、リィエルがエルザに肉薄する。
「なっ!?」
いきなりの動きにエルザはどうにか迎撃する。が、それでリィエルの攻撃は終わらない。
「いいいいやぁあああああああ!!」
猪の如く前へ、前へと出てその大きな大剣を振り続ける。エルザの攻撃の基本スタイルは居合い。刀を一度鞘に戻してから攻撃する特殊なスタイル。そこから放たれる一撃は素早く、そして一瞬が命取りになる。
それは今まで見たリィエルは理解していた。
それならば鞘に納めさせなければいい。それがリィエルが思い付いたエルザへと対策だった。
「ぐぅ!!」
何度下がろうとしても、その度にリィエルは食らいつく。フェイントも小技も、すべて単純な力業によって一蹴され、エルザは徐々に劣勢へと立たされていった。
(勝てない・・・)
今の今までイメージしなかった敗北が、鮮明に頭に浮かんでしまう。それが、自分の大きな隙になるとわかっていながら。
「エルザァァァァァ!!」
大きく上段に振り上げられた大剣を、リィエルがエルザへと振り下ろす。それを防御するには、動こうとするのが遅すぎた。剣を極めたからこそエルザにはわかる。
これは、死ぬと。
(ごめんなさい・・・母さん・・・父さん・・・!!)
最期を悟り、ギュッと目を瞑って両親へ懺悔する。が、自分を襲うであろう衝撃は一向に来ない。
ゆっくりと目をあけると、眼前にはリィエルの大剣がエルザに当たる直前で止められていた。
「やめようエルザ・・・私は・・・エルザを傷つけたくない。だから・・・話を聞いて?」
目尻に涙を浮かべながら、リィエルは懇願するようにエルザに言った。と同時に、エルザの中で『炎の記憶』が蘇る。
あのときもそうだった。
燃え盛る我が家を前に、私へと剣を振りかざそうとしたイルシアは━━━
最後にリィエルと同じ体勢で剣を止め、泣いていたのだ。
「・・・ぁ。ああ!!!」
静まりかけていた怒りが、憎しみが、そのリィエルの涙を見てまた膨れ上がった。
ふざけるな。人殺しが。
何を泣いてるんだ!
泣きたいのは、泣くべきなのは・・・
愛する父をお前に殺された私だろうが!!
そんな・・・
人でなしが人のような泣くな!!!
「あああああああああああああ!!!」
獣のような雄叫びをあげるエルザに、リィエルは一瞬たじろいでしまう。そこへエルザは手に持つ刀を反射的に跳ね上げ切りかかるがそれをリィエルは後ろに飛んで回避。
「イルシアァァァァァァァ!!」
刀を納め、怒りを込めた一撃をそこに装填する。そして自分のすべてをそこに乗せ、彼女は飛ぶ。
「え、エルザ・・・」
向けられる強すぎる負の感情に、完全にリィエルはたじろぎ大剣すら下ろしてしまう。
守るものもなく呆然とするリィエルへ、エルザが距離を詰める。その距離、もはや彼女の一太刀が軽く届く距離。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!」
そんな叫びと共に刀を抜き、一気に斜めにリィエルへ切り裂いた。
エルザの手に柔らかい物を切ったような感覚と赤い血飛沫が飛んで来たのを感じた。
入った、確実に一撃を入れられた。
達成感に溺れそうになった次の瞬間、エルザはあることに気がついた。
今エルザは下を向きながら、刀を斜めに振り上げた状態なのだが・・・
今自分の目の前に、
自分の影じゃない。リィエルの物でもない。それに、リィエルやエルザよりも少し大きな影が、エルザとリィエルの間にのびているのだ。
それじゃこの影は誰の?
重い顔を上げると、そこには━━━
「なにしてんだよ・・・エルザ・・・」
胸を斜めに切り裂かれ、ダクダクと血を流すシンシアが、そこには立っていた。
どうでしたか?ほとんど原作垂れ流しだったぜ・・・
次回はこうならないはず!
感想や批評待ってます。