とある師弟の成層圏   作:カツヲ武士
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な、なんか一万文字突破したぞ?
それでもちゃんと纏まってないのに
文才の無さを感じますね。

ドイツ案件処理中。

オリ設定!
オリ展開!

嫌いな人は読み飛ばし!


第21話

『さて、お初にお目にかかります首相殿』

 

「・・・えぇ、ハジメマシテ」

 

中国の殺戮兵器が国連大使を通じての

接触とはな。

・・・最近我が国に対し活発に人員を

派遣して来ているのは知っているが。

何の用だ?何かを探り当てたか?

 

『長々とアイサツするような間柄でも

ありませんからね。ここは単刀直入に

行きましょうか?』

 

単純に時間を惜しんでる?それとも

こちらに考える時間を与えない為か?

 

どちらにせよ拒否するような提案

でもない、か。

 

「えぇ、それは助かります。時間は

有限でお互い暇ではありませんからな」

 

本来なら相手を探るために時間が

欲しいところだが、今回は正直ありがたい。

 

何せコイツは根回しもせずに、今まで誰も

干渉できなかったIS学園に監査員を送り込

むという難事を容易く行った政治の化物。

 

さらに暗部としての情報網やら実行力

まで備えてるときた。

 

時間を与えたり、些細なことで言質を

取られたら一発でアウトだ。

 

接触は最小限に。提案を受けた後は、

後日返答と言う形にして直接の接触を

終わらせるのが最良だろう。

 

『流石は実直を好むドイツの首相。

大変結構。話が早くて助かります』

 

褒めてるようだが上から目線だな。

 

しかし、いきなりこのような無礼を

何の理由もなく行うような男ではない。

 

一体コイツは我が国の何を知った?

 

「・・・ご用件をどうぞ」

 

反撃も納得も後。まずはソレを確認せねば

コチラは何もできん。

 

『では、当方は貴国に対し国連安保理に

よる制裁決議案とIS所有権剥奪決議案を

提案する準備がある。

どちらを受けるか。それとも当方との

取引を行うかを選ぶと良い』

 

「は?」

 

コイツ、いま何と言った?制裁決議案?

IS所有権剥奪決議案?!

 

『当然証拠隠滅の時間を与える気はない。

この場で選べ。立場を言うなら既に

貴国は罪人でありコチラは全ての証拠

を握っている検察といったところだな。

対等な立場ではないと明言しておこう』

 

罪人?検察?!なんだこの自信は?!

我々は一体何を知られたのだ?!

 

「いや・・・本題を要求したのは私

ですが、流石に何のことかわかりません。

ソレなのに決断しろと言うのは無理な話です」

 

その選択肢なら取引しかないが、

内容もわからん取引など出来ん。

 

拒否するにせよ、聞いただけでダメな

情報というものは往々にして在る。

 

『ふむ。コレは私の持論だが、国家元首、

否、政治家も軍略家もそうだが、指導者

たる者は常に最新の、そして正確な情報

を得る為の努力を惜しむモノではない。

ソレを惜しむ者に指導者たる資格など

ないと思っている』

 

無能か怠慢か、そのどちらも指導者

にはあってはならない・・・か。

 

それはその通りだろう。つまりコレは

私が知らないハズがないと判断している?

 

『あぁ、誘導尋問と思われているなら

ソレは無用の心配だ。先程も言ったが

情報は既に揃っている。

更に国連安保理による貴国への制裁を

拒否する国は無い』

 

それはそうだろう。イギリスもフランス

も隙あらば我々を貶めようとしているし、

ロシアやアメリカが我々の味方をする

筈がない。中国は提案する側だ。

 

さらにISコアの所有権。イギリスも

フランスもロシアも喜んで承認する

だろうさ!

 

私が知らないうちに、どこかの誰かが

付け入る隙を作ったと言うのか?!

 

『まぁ当然の話だな。試験管の中から

産まれた、遺伝子改造を施された

人造人間を使った軍事力の強化など、

政治的にも倫理的にも認められること

ではないだろう?それも貴国では尚更だ。

少なくとも表立って貴国を援護する国

など、この地球上に存在しない』

 

「・・・は?」

 

コイツは今、何と言った?遺伝子改造?

人造人間を使った軍事力の強化?!

 

『とぼけるなよ。貴様らがIS学園に送り

込んだ人形。ラウラ・ボーデヴィッヒの

経歴を首相が知らんとでも言うつもりか?』

 

ラ、ラウラ・ボーデヴィッヒだと?

確かにIS学園に通わせると言う書類は

承認したが、経歴??

 

『なんだその顔は?まさか軍人共に

騙されて政治的な生贄にされたか?

それとも野党の息が掛かったテロリスト

に嵌められたとでも言うつもりか?』

 

軍人?テロリスト?コイツは何を?!

 

『本当に知らんのか?情けない。

コレが先進国の国家元首とはな』

 

も、持っている情報に差がありすぎる!

しかもさっきの内容が一部でも本当なら

我が国はまた世界中を敵に回すことにっ!

 

『ではこちらが入手した情報の一部と

時間を・・・そうだな10分やろう。

この場で確認するように。あぁ証拠

隠滅に動くようなら、今すぐに国連

に制裁案を提出するのでそのつもりで』

 

「・・・わかりました」

 

完全に身動きを封じられた!この場で

資料の確認以外の行動を取ったら

証拠隠滅に動いたと見做される。

いや、もうその判断さえコイツの

胸三寸っ!視線を資料から離すな!

咳もくしゃみも、汗を拭う行動すら

口実になるぞ!

 

「・・・15歳で少佐?」

 

いや、なんだコレは?10歳で改造手術?

 

適合できなくて落ちこぼれとして処分

されかけたところを12歳のときに

織斑千冬に出会い教導された?

 

その落ちこぼれが2年で少佐??

 

テロ殲滅?ドイツの冷水?

 

なんだこの経歴はっ!軍は成人も

していない子供にテロリスト相手

とはいえ殺人をさせたのか?!

 

コレは天才児がどうとかではない

だろう?!

10歳の子供の目に改造手術を施す

という行為だけでも世界的な非難は

免れんと言うのに、それまでは優秀

だった?つまり8歳や9歳の子供に

軍事教練をしていたと言うことか?

 

さらにこの私生活のカバーストーリーは

なんだ?!矛盾だらけじゃないかっ!

 

こんなのを国際社会の関心の坩堝である

IS学園に送り込むとはどういう事だっ!

 

軍部は何を考えている?この情報が

漏れて調査が入ればドイツという国が

どうなるかの予想も出来んのか!

 

『我々が最初にこの情報を掴んだよう

だが、遠からず他の国も彼女の歪さに

気づくだろう。

その際ここまでとは言わんが、近い

内容の情報は得るだろうな。

何せこの歳で特殊部隊の隊長で少佐だ。

どんな実績を上げたかを調べるのも当然。

その結果はご覧の通りだ』

 

これは、今から隠蔽してもどうしよう

もないレベルの失態!

政治を知らん軍人と科学者が中途半端

に周囲を欺いた結果がコレかっ!

 

『ちなみにコレはあくまでお人形の経歴

だけであって、産まれに関しては一切

触れてはいない。この情報に遺伝子改造

の人造人間と言う追加情報が加わったら、

キサマらはどう対処するつもりだ?』

 

これだけでも安保理による制裁決議案も

IS所有権剥奪案も間違いなく承認される

というのに・・・制裁内容はどうなる?

経済制裁だけではすまんだろうな。

 

冗談でもなんでもなく国が滅ぶ。

 

「・・・そちらが提案する取引の

内容を教えてもらえますか?」

 

乗るしかない。わざわざ取引をもち

かけて来たということは、少なくとも

即座に国を滅ぼすようなことは無いし

何より時間も稼げる。

 

『何、簡単なことだ・・・・・・』

 

「え?そ、ソレだけで良いんですか?!」

 

それは願ったり叶ったりだが、コイツは

何を企んでいる?

 

『こちらが何を企んでいようが貴国

には関係がないことだよ』

 

読まれた?!ここで心証を悪くするのは

マズイと言うのに!

 

『心証で取引を決めるように思われた

のなら心外だな。まぁ己の生命線を

握る取引相手の機嫌を損ねたくないと

いうのはわかるがね』

 

「恐縮です・・・」

 

・・・この化物がっ!

 

『さて、取引に応じる証拠として・・・』

 

「えぇ、はい。直ちに動きましょう」

 

その程度でこの問題が片付くなら

すぐにでも実行してやる!

軍務大臣は更迭するか?そもそも

コレは軍のどこまでが関わっている?

軍部内の調査と技術者どもの動きを

注視しないと。

情報漏洩からの逃亡など許さんっ!

 

『当方の要求が通った事が確認され次第

当方が握る情報をそちらに渡そう。

他に気取られる前に証拠隠滅でも何でも

すると良い』

 

「えぇ・・・情報提供感謝します」

 

少なくともコレは本心だ。

イギリスやフランス・アメリカにこの

情報が握られていたら、被害はコレ

どころでは済まなかったからな!

 

『互いにいい取引が出来たということに

しましょう。それでは、Gute Nacht』

 

「えぇ、Gute Nacht」

 

 

 

 

寝れるかっ!!

 

 

 

 

さっさと軍務大臣を詰問せねば・・・

何だ?データ添付??ウィルス等では無い

だろうが、確認した方が良さそうだな。

 

 

 

「・・・はぁ?!」

 

 

 

関係者各位の名簿と金と資財の流れ、

研究所の場所と研究の進捗状況、さらに

・・・廃棄処分場だと?!

 

コレが情報の一部って、奴らは国を

滅ぼす気かっ!!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

いきなり本国から緊急指令が下ったので

何かと思えば中国から派遣されている

IS学園監査員司馬仲達の元への出向命令。

 

軍務大臣と首相・大統領の連名で

出された最重要緊急指令。

さらに部隊や関係者への連絡は厳禁

で違反したら国家反逆罪とは・・・

 

本国で一体何があった?

 

タイミングで考えるなら先日の

イギリスの代表候補生との戦闘行為

だが、アレは学園が関与して訓練と

いう形で落ち着いたはず。

 

さらに司馬仲達には絶対に関わるなと

言う命令も出ていたはずだが・・・

まぁいい。軍人として最重要の緊急

指令と言うならそれを遂行するまで。

 

「失礼します!ラウラ・ボーデヴィッヒ、

本国の命により出向致しました!」

 

「話は聞いています。入りなさい」

 

情報では、同じ少佐ではあるが先任だし

さらに監査員だ。上官扱いで間違いは

無いし、何より本国からの命令だ。

 

ここは下手に出るべきだな。

 

「はっ!失礼します」

 

「よく来ました、そちらへどうぞ」

 

・・・なるほど、コレが司馬仲達か。

明らかに【使う側】の人間だ。

それに私とは軍人としての格が違うな。

 

「さて、話に入る前に確認ですが、

今回の出向命令に関してどこまで

内容を告知されていますか?」

 

基礎的な情報の摺り合わせか?

 

「はい。出向せよと言うだけで、

内容に関しては何も触れられて

居ませんでした!」

 

おそらくココで命令されるであろう

内容が、最重要機密に分類される

モノであると予想しているが・・・

 

「なるほど、では最初に辞令から

お見せしましょう」

 

「辞令・・・ですか?」

 

出向の正式な辞令か?まぁ命令系統

の関係を考えれば必要ではある。

 

「えぇ、ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐は

本日を持ってその所属を現在のドイツ

連邦共和国軍より、冬林技研へと移籍

することとなります。階級は大尉とし、

専用機及びISコアはドイツ連邦共和国軍

へ返却すること。

追記としてIS学園への通学は引き続き

行うことを許可しますが、卒業と同時に

国籍も中華人民共和国へ移すこととなる。

この手続きは既に完了しているので、情報

漏洩の可能性を鑑みて長期休暇の際ドイツ

連邦共和国への帰国を禁ずる。以上です」

 

は?ドイツ軍から移籍?大尉?専用機の

返却??国籍も移る??帰国の禁止???

 

「大尉、復唱」

 

「は、はっ!私ラウラ・ボーデヴィッヒは

本日を持って所属を冬林技研へと移籍!

階級は大尉で、専用機はコアごとドイツへ

返却します!また情報漏洩の可能性を

鑑みて、ドイツへの帰国を行いません!」

 

ど、どういう事だ?!

 

「随分省略しましたが・・・まぁ今回は

良いでしょう。いきなりのことで動揺

しているのはわかります。

説明を行うので、そこに座りなさい」

 

「はっ!」

 

ヨロシクオネガイシマスッ!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

目がぐるぐる回ってますが・・・

随分動揺してますね?

こうなる可能性を考えて居なかった

のでしょうか?

 

「さて大尉。話の前に再度確認しますが

・・・貴女は自分の経歴を疑問に思った

ことはありますか?」

 

「け、経歴でありますか?!」

 

まさかの自覚なしって。

本当にお人形さんでしたか?

 

「えぇ、私と違って大学を出たわけ

でもなければ家の力があったりした

訳でもない、技術的な実績を上げた

訳でもない15の少女が特殊部隊の

隊長で、少佐と言う身分を与えられて

いた現状に、少しでも疑問や違和感を

覚えたことはありませんか?」

 

「いえ、それは・・・」

 

あぁ、産まれのことですかね?

軍事機密であると言う自覚はある

ようですが今更でしょう。

 

「貴女の産まれについては当然我々は

知ってます。その上で尋ねています」

 

「そ、そうでしたか。それでは答えは

『疑問を覚えたことはありません』と

なります!」

 

私が一番ISを上手く使えるんだって

自負ですかね?

でも問題はそれ以前の問題でしてね。

 

「では自分の産まれを度外視して

考えて見なさい。

産まれた時から施設で軍事訓練を行い、

10の子供に改造手術を施して、その

調整が上手く行かないのを自分たちの

未熟さではなく被験者のせいにして、

その被験者に対して何の得にもならない

集団虐待を行う組織をどう思いますか?」

 

「・・・控え目に言って未熟なテロ組織です」

 

ですよねぇ。

 

「13歳~15歳の子供に兵器を持たせ

危険思想の人間と戦わせ、一方的に

殺させて置きながら、それを功績だの

データ取りだのと抜かすような連中が

のさばる組織をどう思いますか?」

 

「・・・危険思想のテロ組織ですね」

 

ですよねぇ。

 

「遺伝子改造を行った改造人間を大量に

産みだして軍人教育を施し、軍事力拡大

を狙う組織をどう思いますか?」

 

「・・・危険な悪のテロ組織ですね」

 

ですよねぇ。

 

「そんな組織が欧州のど真ん中に国として

あるらしいのですけど、これが他の国に

知られたらどうなると思いますか?」

 

「・・・孤立させられて叩かれますね」

 

ですよねぇ。

 

「まぁ普通は経済制裁とか食料の輸出制限

から入りますが、その国は前科があります

からね。追い詰める前に囲んで滅ぼそうと

するのが普通でしょう」

 

「・・・そうですね」

 

 

 

「さて大尉、再度質問しましょう。

貴女、自分の経歴に疑問を覚えたこと

・・・本当にありませんか?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「・・・ありませんでした」

 

なるほど、言われてみれば普通に酷いな。

私は何故これに疑問を抱かなかった?

 

・・・ソレが私のアイデンティティ

だったからだ。

 

まさか真っ向から自分の経歴が異常

だと突きつけられるとは思って

居なかったが。コレは流石になぁ。

 

「それでは中国がこの情報を入手して、

我が国・・・ドイツと交渉を行った

結果が私の移籍でありますか?」

 

って言うか本国でカバーストーリー

的なものを作っていた筈だがそれも

見破られた?

 

まぁ先の情報を完全にカバーする

ストーリーを作るなんざ不可能か。

 

「そうなりますね。それに貴女方の存在

は国家公認のプロジェクトではなく

一部の軍部の暴走だったようでしてね。

今の今までドイツの首相をはじめとした

上層部は気付いていなかったようなんです」

 

「はぁ?!」

 

気付いてないってナンデ?!私は国防を

担うIS部隊の隊長だったんだぞ!国が

知らないなんてことがあるんですか?!

 

「まぁ驚きますよねぇ。予算だってかなり

使ってますし、正体不明の小娘にIS部隊の

隊長をさせるなんて普通は思いませんよ」

 

デスヨネ!

 

「ただ、先程も言いましたが遺伝子

改造を行った子供を人工的に産み

だして戦わせるなんて行為を認める

国家はありません。

それはもちろんドイツも同様です。

さらにドイツは欧州各国に色々警戒

されてますので、コレが明るみに出れば

良くて国家解体。悪ければ国全土が

焦土と化します」

 

「・・・そうですね」

 

フランスやイギリス、ロシアなんか

喜んで潰しに来るだろうし

内政に悩むスペインやギリシャも

積極的に介入してくるだろうな。

 

そうなれば四方八方を敵に囲まれて

の蹂躙戦。残るのは焦土だな。

 

「つまりドイツとしては可及的速やか

にこの問題を片付けねばなりません」

 

「問題解決・・・つまり私は」

 

証拠隠滅のために売られたと?

 

「ドイツの連中が証拠隠滅を図る前に、

我々で保護した形となりますね」

 

「・・・保護、ですか?」

 

え?祖国に売られたんじゃないの?

 

「証拠隠滅を図るなら売るのではなく

殺すでしょう?」

 

「あ、た、確かにそうです!」

 

国外に出したら面倒になるのは

分かりきってる。

ソレなのに国外に出したということは

・・・冬林技研に保護されたから!

 

「大尉が正式に冬林技研所属となった

今、責任転嫁を図るドイツの軍部が何を

言ってきてもコチラは貴女を売り渡す

ことはありません」

 

お、おぉ!確かにそうだ!そうじゃ

なかったら最初から受け入れなんか

しない!

 

「この行動による我々が得るものは

簡単ですね。貴女と言う生きた証拠

がある限り、ドイツという国に対して

半永久的に政治的な優位を取ること

が出来ます」

 

「な、なるほど」

 

そうだよな!本来なら死体だって証拠に

なるのに、わざわざ生かして出向させ

たのは将来を見据えた為だ。

 

ソレなら彼らが私を殺すこともない。

 

つまりこの出向は、冬林技研が本気で

私を生かそうとしている証拠となる。

 

「本来なら貴女が勝手に暴走して暴発し

ドイツを追い詰めて終わる話だった

のですが、貴女の行動と織斑千冬の

行動があまりにも酷くてね」

 

「私と教官の行動・・・ですか?」

 

何かしましたか?

 

「えぇ、3年前にドイツの不手際で浚われ

た被害者の民間人に対する暴言と暴力。

本国に無許可の専用機の展開と、仮想

敵国に対する挑発と戦闘行為ですね」

 

「・・・ドイツの不手際?」

 

どういうことだ?!アレは織斑一夏の

油断が原因だろう?!

 

「例えば彼が、公園でツナギを着た年上の

男に口説かれてホイホイ着いて行った結果の

誘拐事件なら、その責任は彼と誘拐犯にある

と言えます。

ですがISの世界大会の出場者の身内を狙った

組織的犯行であるなら、その計画を未然に

防げなかった警備にこそ責任が有りますね。

まぁ無論犯行組織が一番悪いのですが」

 

「・・・」

 

言われてみれば・・・

 

「特に織斑千冬は世界的な有名人でした。

その身内を誘拐して、彼女の邪魔をしよう

とするのは妨害行動としては普通の行動

ではないですか?」

 

「・・・そうですね」

 

教官は初出場とかでは無い。日本に優勝

されたくなかった連中や教官に勝たれて

は困る連中にすれば、どうにかして妨害

しようとするのは当然だし、その為に

身内を拐うのも常套手段だよな。

 

「要人警護の任務に失敗したからと

言って、警護対象の要人を責めるの

って異常な行動ではないですか?

しかも当時の織斑一夏の周囲には

特に人員の配置は無かったそうですよ?」

 

「・・・異常ですね」

 

確かにおかしい。世界大会参加者の

関係者の護衛を疎かにするのも

おかしいし、まして決勝まで進んだ

教官の身内だぞ?なのに護衛が居ない?

 

ドイツもそうだが、日本は何をしていた?

 

「それでいて、織斑千冬に弟の状況や

居場所を伝えたのはドイツ軍だとか?」

 

「そうですね。その恩を返すために

教官は私を含む部隊の指導をすること

になったのですからって・・・あれ?」

 

これ我が国、いやドイツのマッチポンプ?

 

「それで、誘拐された民間人に対して

ドイツの軍人を代表した立場にある

特殊部隊の隊長にして少佐が

「お前が居なければ」とか抜かした

そうですよ?自分たちの無能を棚に

上げて何を言ってるんでしょうね?」

 

「・・・」

 

ま、マズイ。政治は正直良くわからんが

今の私が非常にマズイ状況なのはわかる!

 

「まぁ所属も変わりましたし、遡及して

罪に問うような真似は出来ませんから

コレを理由に罰することはありません」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

ふ、普通に死を覚悟したぞ!?

 

階級がどうこうではない、この少佐は

生物として私より圧倒的に上だ!

 

今は助かったが、先ほど告知された

私の罪はまだあったよなぁ・・・

 

「次に個人の感情に任せた専用機の

展開に関してです。ちなみに先程

からのコレはタダのお説教や解説

ではなく、貴女の人事考査に関わる

内容ですのできちんと聞くように。

反論があるならその都度伺いましょう。

いいですね?」

 

「はっ!」

 

人事考査も兼ねていたのか・・・

そういえば司馬少佐はもともと

監査員だったな!

 

「よろしい。大前提として専用機と

言うのは国家の財であり兵器です。

そして国家の兵器を用いて、軍人が行う

行動を世間一般では戦闘行動と言います。

異論はありますか?」

 

「はい!いいえ!異論ありません!」

 

まったく持ってその通りです。

それを理解してないからこの学園の

学生どもは・・・

 

「ちなみにドイツの法において

許される戦闘行動は【防衛のみ】と

言うのはご存知で?」

 

あうっ!

 

「・・・はい。知ってます」

 

そうでしたね。学園の生徒云々じゃ

なくて、私の話でしたよね。

 

「イギリスの螺旋頭を挑発して戦闘。

織斑一夏を挑発して戦闘。フランスの

阿呆は・・・まぁ良いでしょう。

それで、この戦闘は【防衛】ですか?」

 

映像記録まで録られてたっ!

 

「はい。いいえ。防衛とは言えません」

 

下手な反論は逆効果だ。だがコレでは

人事考査の告知というより査問委員会じゃ?

 

「さらに担当者にまで事後承諾は

頂けませんね。専用機とは言え貴女

個人のモノではありません。

武器弾薬、装甲、エネルギーなど全ての

費用は国家の税金から出ています」

 

「・・・はい。その通りです」

 

もう「そうですね」としか言えん。

 

「国家の武装を私物化して感情の

ままに振り回し、あまつさえ私闘に

使うなど軍人としては言語道断」

 

「・・・はい」

 

そうですね。その通りです。

 

「それらを省みて、貴女は一度教育を

受けなおすべきと判断されました。

よって移籍した時点では大尉でしたが、

現在は資格無しとして少尉への降格処分

を言い渡します。

コレは特殊部隊の隊長を努めた経歴も

加味した人事ですが、貴女に異論は

ありますか?」

 

「はい。いいえ!ありません!」

 

確かに私の行動は軍人として失格だ。

普通なら階級剥奪の上で独房や営倉入り。

 

悪ければ銃殺刑だって有りうる犯罪。

降格処分は・・・まぁ問題ない。

 

何せ上司が司馬少佐だ。この方の下で

勉強しなおすと考えればむしろ当然。

 

「よろしい。少尉のISに関しては

専用機を冬林技研で用意しますが、

それについては後日説明します」

 

「はっ!」

 

ま、まさか専用機を預けて貰えるとは。

任務と用途は少佐の護衛か?

 

「あとは織斑千冬の件ですが、それに

関しては別の映像資料を確認のうえで

解説を行います。

今後少尉として小隊を任せる場合も

あるので、反面教師として学ぶように」

 

「はっ!」

 

教官が反面教師とは・・・だが司馬少佐

から見ればそうなのかもしれん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

所属は変わったし階級も変わった。

国籍も変わるらしい。

 

・・・だが不思議と不安はない。

コレはやはり司馬少佐が原因だろうな。

 

教官とは違うが明確な強さを備えた方だ。

 

指針とするには最適とも言えるよな。

 

この方についていけば、間違いなく

私は教官に近付ける。

 

いや、超える事だって出来るかもしれん!

 

まずは学べ!この方から吸収出来るものは

何でも吸収するんだ!

 

「では少尉、貴女の先任で中国の

国家代表候補生である凰鈴音に紹介

しますのでついてきなさい。

彼女の階級は准尉ですが、同じ学生。

階級に差はないと思いなさい。

故に先任としての敬意を忘れないように」

 

「はっ!」

 

それはそうですね!あくまで私は新入り

ですから、先任を立てるのは当然です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

人形からの脱却ですか。中々良い心構え

ですが・・・アレに近付かれても困るん

ですけどねぇ。

そのへんの教導もきちんとしないと。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「あれ?司馬様?オハヨウゴザイマス」

 

司馬様がコッチに来るなんて珍しい

って言うか初めてですよね?

それにドイツのお人形も?まぁ土曜だし

接触するとは言ってたけど・・・

 

「えぇ、おはようございます」

「凰准尉殿、おはようございます!」

 

「(´・ω・)」

 

なんかお人形がめっちゃ素直になって

司馬様に従ってる件について。

 

いやわかるよ?司馬様は明らかに【使う人】

で、私たちは【使われる人】だもんね?

 

軍人としてはスゴク・逆らい難い空気を

自然に纏ってるもの。

 

簪は・・・状況によりけりかな。

なんだかんだでお嬢様だから使うのも

慣れてる感じがするのよねぇ

 

「准尉、アイサツには・・・」

 

あっ!ヤバッ!

 

「ハイ。オハヨウゴザイマス。

ボーデヴィッヒ=サン」

 

顔は知ってるけど話したことは

なかったから、どんな風に接して

良いかわからないんですけど。

 

「彼女は政治的な理由から冬林技研に

所属することとなりました。階級は

少尉ですが、同じ学生で准尉が先任

なので、階級の差は無いものと考えて

先達として接するようにして下さい」

 

「呼び名はラウラで結構です!

よろしくお願いします!」

 

「凰鈴音です。呼び方は、リンか

凰准尉でお願いします」

 

少佐から少尉?!まぁ確かにコイツに

大隊隊長代行ができるかと言われたら

無理って答えてるだろうけど

それでも欠片も不満そうにしてないって

・・・司馬様はコイツにナニをしたの?!

 

「ナニかするのはこれからです。

准尉、部屋を借りますよ?」

 

「・・・え?」

 

いや、ナニって何を??

 

「少尉、こちらに」

 

「はっ!失礼しまスパルタンっ!?」

 

い、いきなり殴った?ナンデ?

ナンデ殴ったの?!って言うか今

拳が貫通してませんでした?!

 

「准尉、コレが命奪崩壊拳です」

 

 

 

「( ゚Д゚)」

 

 

 

で、伝説の魔拳がいとも容易く

目の前で再現された件について。

 

「しばらく痛みで立てませんし

垂れ流しになるので、風呂場に

置いておくのが良いでしょう。

専用機の使用を許可します。運べ」

 

「た、垂れ流し?!」

 

尊厳を殺すってそういうこと?!

 

「准尉、私は【運べ】と命じました。

もしかして貴女も受けたいのですか?」

 

「シツレイシマシタ!(*`・ω・)ゞ」

 

え、えげつねぇ!この人には絶対

逆らっちゃダメよ!

 

この歳で垂れ流しなんか絶対に

嫌なんだから!

 

「まぁ己の殻を破るために必要な

洗礼のようなモノです。貴女にも

キチンと施しますから、今のうちに

少尉に恩を売っておきなさい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「( ゚Д゚)」




幼少から軍人教育を刷り込まれてるので
反骨心はあっても正規の命令や上司には弱い設定。

人形に常識フィルターが搭載されました。

まぁ普通の話なんですがね。ってお話



名前は頻繁に出てきてますが何気に
リンちゃんには初披露だったりする。
もちろんかんちゃんもまだ受けて
ませんよ?

兎はしっかり受けたもよう

VTシステム?アイツは良いヤツだったよ

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