とある師弟の成層圏   作:カツヲ武士
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姉魂が覚醒した?!

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嫌いな人は読み飛ばし!


第32話

『も、もしもし一夏?』

 

え?てっきりシャルの携帯を使って

リンか誰かが連絡してきたかと思った

から電話に出たんだが・・・

 

「この声はシャルか?どういうことだ?」

 

なんで?どうして向こうから連絡してきた?

何か非常事態でもあったか?

 

いや、それにしては向こうは物音もしないし

声も落ち着いているよな?

 

『ど、どういうことって?』

 

「いや、なんでそっちから連絡を

入れてきたんだろうなって思ってな」

 

なんだこの状況は?どうなってる??

 

『何その言い方?僕から連絡したら

何かダメだったの?!』

 

ここで怒るって・・・なんだ?

 

「ダメって言うか・・・」

 

今は間違いなくダメだろ?

だって昨日リンが散々言ってたじゃないか。

 

 

 

 

 

 

~~ほわんほわんほわん姉魂~~

 

 

 

 

『いい?これから言うことをよく聞いて。

これから週明けまでどんな事があっても、

絶対に一夏からシャルロット・デュノアに

連絡しちゃダメよ!』

 

「な、なんでだよ?!」

 

部屋に戻って来たものの、寝るに寝られず

色々考えてるときにいきなりリンから連絡

が来たと思ったら・・・シャルに連絡する

なってどういうことだ?!

 

『あのね一夏。そうやって誰かに聞く前に

少しは自分で考えて。これから数日間

私は居ないし連絡も取れないんだからね?』

 

「・・・」

 

考えろ、か。確かに昨日リンに言われるまで

俺は自分の立場を軽く考えすぎてた。

 

いや、何も考えていなかった。

 

あれからリンに言われて考えたみたけど、

俺が思い付くだけでも今のシャルの状況は

正直シャレになってない。

 

なんてったって全世界に嘘付いてスパイ

してる状況なんだもんな。

さらにフランスやフランスの大企業まで

それに加担してるんだ。

 

シャルを助けるためには、冬林技研でも

かなりの無茶が必要だってことはわかる。

 

その無茶の中に、俺が連絡したら段取りが

台無しになる何かがあるってことか?

 

『今はすぐに答えが出ないだろうから

教えるけど、まず私たちを頼ると決めた

なら指示には絶対従って。

本来なら「なんで?」とか「どうして?」

なんて問答してる時間は無いし、もっと言えば

一夏を納得させる必要だってないんだから』

 

「・・・そうか」

 

重要なのは俺が納得することじゃない、

シャルを助けることだ。

それに冬林技研の人たちは基本的に

技術者であり科学者。

自分でモノを考えることが出来ないヤツ

とか理解力のない馬鹿が嫌いなんだよな。

 

何も考えずに喚くだけのヤツなんて、

あの人達が一番嫌うタイプの人間だし。

 

それに「助けてくれ」って頼んでおきながら

わざわざ説明を求めるっていうのは、相手を

信用してないってことだ。

 

コッチは頼んてる立場であって、相手の気分で

全部台無しになる可能性だってある。

 

「連絡するな」って言われたら「わかった」

って答えなきゃダメだったんだ。

 

『とりあえず先に簡単な状況と予想される

流れを教えるわ。

そのあとで指示を出すからよく聞いて」

 

「あぁ、頼む」

 

こうして教えてくれるのだってリンの

優しさなんだ。時間を無駄にしない為

にも、無駄口は叩かない!

 

『コレからデュノアは冬林技研の日本支部

で一時保護することになるわ。

そして彼女の安全の確保が終わったら、

国連に対してフランスとデュノア社・

IS委員会の担当者と、IS学園の犯罪行為

について告発するの』

 

「はぁ?!」

 

フランスとデュノア社・IS委員会の担当者

はわかるけど、学園も何かしてたのか?!

 

『驚くのも無理ないわね。ただ、こういうのは

中途半端に隠すからダメなんであって、隠さず

表に出すことでシャルロット・デュノアを国と

企業に翻弄された悲劇のヒロインに出来るのよ』

 

いや、俺が驚いたのはソコじゃ無いんだが・・・

何も言わない方が良いよな。うん。

 

『まずシャルロット・デュノアが親の会社

とフランスによってスパイを強要されたと

言う事実があるでしょ?』

 

「そうだな。それは紛れもない事実だ」

 

うん。元々がフランスとシャルの両親が企んだ

ことだもんな

 

『当然審査したIS委員会の担当者もグルよね?』

 

「・・・そうだろうな」

 

入学前からリンはわかってたんだ。普通に

審査したらすぐにわかることなんだよな。

 

『IS学園も独自に審査してデュノアが女

だってことは知ってたのよ』

 

「・・・そうなのか?!」

 

IS委員会からの申請書類が有るからOKって

わけじゃ無いんだな。

じゃあもしかして千冬姉も?

 

『おそらく千冬さんは知らないわ。

知ってたらスパイを一夏と同じ部屋に

なんて絶対しないもの』

 

「・・・そうか」

 

まぁ、それはそうだよな。弟がスパイに

なるってことは自分だって無関係じゃない。

普通に考えればありえないか。

 

『それで、知っていながら黙ってたIS学園

は信用出来ないって理由で連れ出すの。

私たちも知ってたけどソレは昨日言った

ように、何か理由があるんだろうって

感じで黙殺してたことになるわね』

 

「・・・そうか」

 

確かに昨日も言ってたな。存在しない

人間を存在してることにして、さらに

世界中の注目を集める2人目の男性

操縦者として大々的に送り込むなんて、

よほどの事がない限りありえないことだ。

 

『一夏が関係するのはここからよ。私たちが

何か理由があると思って黙殺していた

ところ、織斑一夏に諭されたデュノアが

司馬様に保護を求めてきたって形になるの』

 

「うん。まぁ、その通りだな」

 

正確には相談しに行った先はリンだけど、

極論を言えばリンの後ろ?横?まぁリンの

サポートをしてくれている司馬さんに助けを

求めたって言われても間違ってはないよな。

 

『そこでフランスとデュノア社の企みを

聞いた司馬様はすぐさまコレを上司である

中国のIS委員に報告。

報告を受けた上司は、その情報の裏取りを

した後で国連のIS委員会にこのことを報告

して、さっき言った連中の罪を鳴らすわ』

 

「なるほど」

 

俺はスパイを説得して、監査員である

司馬さんに連絡するよう促したって感じか。

 

『そうなった場合のデュノアの立場はね。

スパイ兼被害者なの』

 

「え?スパイのままなのか?」

 

被害者ってのが追加されたけど、それじゃ

ダメだろ?!

 

『そう、あくまで一時的に保護してるだけ。

今の状況を例えれば、デュノアは国と会社を

内部告発した証人であり裁判中の被告なの』

 

「内部告発と裁判中の被告・・・」

 

そうか、そうなるのか。CIAのスパイが

亡命先で内部告発したって感じか?

それとも内部告発してから亡命したって

感じになるのか?

どちらにせよスパイの肩書きはまだ

残ってるわけか

 

 

『有罪も無罪もまだ決まってない状況だし、

警察も敵になる可能性も高いから、弁護士が

彼女の身柄を保護してる形になるわね』

 

「なるほどな」

 

なるほど。それなら俺から連絡したら

問題にしかならないだろうな。

 

俺はあくまでスパイ活動を辞めるように

説得した人間でしかないんだ。

ソレが弁護士に保護された裁判中の人間と

連絡を取り合ってるなんてありえない。

 

そもそもそう言った人間が外部に連絡を

取ること自体不可能なのが普通だよな。

 

「ようやくわかった。でもそれならシャルの

携帯とかは没収してるんじゃないのか?」

 

普通はそうだよな?

 

『そう本当に状況はわかったみたいね?

普通はそうなんだけど、連絡手段である

デュノアの携帯を奪わないのは

「連絡できるけどしない」ことで一夏は

この件とは無関係であるってことを周囲に

印象付けるためよ』

 

「あぁ、そういうことか!」

 

奪われて連絡できないのと、連絡出来るけど

しないってのは違うもんな!

 

『さらに、もしココで一夏がデュノアと

連絡を取り合うようなら、一夏はスパイに

篭絡されたって声が出てくるの』

 

「はぁ?!友達を心配したとかじゃなく、

そういう話になるのかよ!」

 

ありえないだろ?!

 

『普通に考えれば、女スパイを必死で擁護

する男の子なんて色香に引っかかったように

しか見えないもの。

更に相手は少しでも私たちの足を引っ張ろう

としてる連中よ?

少しでもそういう素振りを見せれば容赦

なく突いてくるわね』

 

「・・・そうかよ」

 

これが大人の政治ってやつか・・・

 

『だから一夏はデュノアに連絡をしちゃ駄目。

履歴を消しても無意味。携帯の画面では

消えても、着信と発信の履歴は残るからね』

 

あぁ、それはそうだ。携帯会社の方に履歴が

残ってて警察とかが調査すればすぐにわかる

んだもんな。

 

『あとは、これから誰に何を言われても

デュノアに対して否定も肯定もしちゃ駄目。

もっと言えば、今日は授業を休んで誰とも

接触しないで欲しいわ』

 

「そこまで・・・しなきゃダメなんだな?」

 

肯定すればスパイの仲間扱いで、否定

すればスパイの被害者扱いされてしまう

ってことか?

 

フランスって国やIS委員会を敵に回すんだ。

相手だって必死で来るんだから、何も

考えないでいつも通り授業なんて受けてたら、

彼らの息がかかった連中に言質を取られる。

 

週刊誌でさえ何気ない一言をどんな風に捏造

してくるかわからない世の中だ。

国が絡むなら尚更だよな。

 

それにIS学園の上層部だって自分達が

犯罪者になるのは避けようとするはず。

 

俺が誰かに何か不用意に発言したら

ソコから持っていかれるってことか。

 

『えぇ、そこまでしなきゃ駄目よ。けど

最初に言ったけど期間は週明けまでの

3日で良いの。その間は誰とも連絡を

取らないで部屋で待機してくれれば良いわ』

 

これは・・・つまりこの3日の間にシャルの

立場が決まるってことか。

 

そして、俺が三日間しっかり言いつけを守る

ことが出来るかどうかってことを試してる

って意味もあるんだろうな。

 

『たかだか三日って思うかもしれないけど、

一夏の立場だと結構難しいかもしれないわ』

 

「はぁ?三日だろ。そのくらいは何とか

するさ!」

 

なんたって国と喧嘩するんだもんな!

三日くらい我慢できなくてどうするって話だ!

 

・・・籠城に備えて今のうちに購買でカップ麺

とか買って来た方が良いのかな?

 

『私も今の一夏がその辺の女子に絡まれて

余計なことを言うとは思ってない。

厄介なのは篠ノ之箒とイギリスの代表候補生

セシリア・オルコットよ』

 

「・・・あぁアイツ等か」

 

授業を休めば必ず来るよな・・・善意から

なんだろうけど今は正直言って邪魔だ。

 

さらに冬林技研の人たちがシャルの事情を

国連で暴露したら、今までの生活とか

そういうのを絶対に聞いてくる。

 

やましいことは何もしてないんだから

ソレを説明すれば良いだけかもしれない

けど、どんな言葉が俺たちを追い詰める

ことになるかわからないんだ。

 

ヘタに説明は出来ない。三日待てって

言われても「三日後に話せるなら今話せ」

って言ってくるよなぁ。

 

『誰にも話さないないから自分だけに

話してくれって言って聞いてくるかも

しれないけど、そんなのは連中の好奇心よ。

この話はそんな次元の話じゃないのは

一夏だってもうわかってるでしょ?』

 

「だな」

 

これは国や大企業、IS委員会との戦いだ。

 

別にあいつらの好奇心を納得させる必要

なんかない。

 

『さらに言えばセシリア・オルコットは

イギリスの紐付きよ。彼女は知ったことを

報告しなければイギリス本国から叱責を

受ける立場にあるの』

 

「そうか。ヘタに何かを教えればセシリアは

『知っていながら報告をしなかった』って

ことになるのか」

 

それくらいなら、何も知らない方がセシリア

の為にもなるってことだな。

 

箒は・・・完全に好奇心だから別にいいか。

 

あとは籠城しても扉を破壊してくる可能性

だよなぁ。

 

「・・・俺も保護してもらえたりしないか?」

 

いやマジで

 

『出来るわけ無いでしょ。ソレをしたら

私たちだって、一夏と何かしらの取引を

したって言うことになっちゃうじゃない』

 

「あぁ、そっか。あくまでシャルからの

内部告発を受けて動いてるんだもんな」

 

損得勘定はフランスとデュノア社とシャルの

間に生まれるモノだけじゃなきゃ駄目なんだ。

 

そこに俺が絡んだら冬林技研の中立性が

無くなっちまうってことか。

 

『そういうことよ。さらに言えばヘタに

私たちが一夏と接触すれば、何かやましい

ことが有るからだって言われちゃうの』

 

保護どころか接触もダメか・・・

映画とかでよくあるけど、ホント政治って

のはめんどくせぇ世界だな!

 

『だからそうね・・・千冬さんを頼りなさい』

 

「え?それっていいのか?」

 

千冬姉だって学園の教師で立場があるんじゃ

ないのか?

 

『担任で姉なのよ?むしろ頼って当然

じゃない。おそらく学園から事情の説明も

受けるだろうから、隠し事もする必要ないし。

何か下手なことを言っても一夏が不利に

なるようなことを報告したりはしないわ』

 

「いや、でもそれって・・・」

 

さっきのセシリアみたいに「知ってて報告

しなかった」ってことになるんじゃないか?

 

『もしソレで千冬さんが無職になったら、

冬林技研で雇うことになるから問題ないわよ』

 

「え?そうなのか?」

 

千冬姉って次の就職先決まってんの?

 

『もしもの話だけどね。この状況でIS学園が

千冬さんを放逐なんかしたら、世論は間違い

なくIS学園の敵に回るわ。連中だって無意味

にそんなことしないわよ』

 

「あ、あぁ、そうか。そうだな」

 

やべ。普通に千冬姉の就職先のことしか

考えてなかった。

だよな、世間の声って言うのだって有るよな。

 

っていうか次の就職先が決まってるなら

別に千冬姉に相談しても・・・ダメか。

IS学園もアッチ側なんだもんな。

 

いくら千冬姉でも政治的な力はないだろうから、

結果的に司馬さんを頼るのは変わってない。

 

ヘタに千冬姉があの人達に借りを作ったら

・・・キサラギさんが来るっ!

 

72時間耐久稼動試験とか普通にやりそうだ。

 

『???。まぁそんなわけだから、

千冬さんの部屋に避難するのが一番かな?

あ、そうそう。千冬さんの部屋といえば、

この前部屋の前を通りがかったとき

司馬様が「腐臭がする」って言ってたから、

掃除とかあんまりしてないんじゃない?

確か千冬さんって家事は得意じゃないって

言ってたわよね?最近忙しいみたいだし、

代わりにしてあげたら?』

 

「・・・そうか、情報感謝する」

 

そうか。千冬姉。部屋の前から腐臭が

わかるくらい掃除して無かったか。

 

しかもお世話になってる司馬さんに

バレるとか・・・

 

これはもう頼る頼らない以前の問題だな!

 

後から行くぞ千冬姉!洗濯モノと

ゴミ袋の貯蔵は充分か?!

 

 

 

 

 

~~ほわんほわんほわん姉魂~~

 

 

 

 

なんてこと言ってたんだぞ?

確かに俺からは連絡してないけど

シャルだって連絡なんかしちゃダメだろ?!

 

今のシャルと電話してたら俺もシャルも

立場が悪くなるんだぞ!

 

いや、落ち着け。なにか非常事態があって

助けを求めてるかもしれないじゃないか!

 

「シャル、なにか緊急の・・・いや、

なにか問題でもあったか?」

 

おそらくこの会話だって聞かれてるよな?

 

スパイに何の手も打たずに普通に電話なんか

させる筈無いんだから。

 

さらに言えばシャルの携帯履歴を調べられたら

俺への通話履歴が残ってしまってる。

 

なら焦って切ったりしたらダメだ。

何の問題もなく、普通に終わらせないと・・・

 

けどこの場合の普通ってなんだ?内部告発

して保護されてるスパイから電話が来て、

普通の会話で終わる?

 

違和感しかないだろ?!

 

なにか二人にしかわからないような隠語で、

証拠隠滅に動くような指示が出てるかも

しれないじゃないか!

 

スパイ映画とかじゃそうだよな?!

 

『いや、特に問題はないけどさ。無事に

保護されて安全の確保もされたから心配

しなくて良いって伝えようと思って』

 

コイツっ・・・馬鹿かよっ!

 

リンに言われた通りだ。保護をお願い

しておきながら心配するなんてことは

しちゃダメだろ?!

 

しかもソレだってこっちから頼んだんだぞ?

その上、相手だって知らない人間なんか

じゃない!個人的にも俺だって少しは接点が

ある冬林技研に頼んだんだぞ?

 

シャルが無罪になるかどうかとか、今後は

どうするのかってのは心配してたけど、身の

安全についての心配なんかしてねーよっ!!

 

「・・・なんて言えば良いかわかんない

んだけど、今のシャルがどんな内容であれ

外部に連絡とかしても良いのか?」

 

「おかしいな?」とか思わないのか?

常識云々以前に、スパイしてたんなら最低限の

勉強もしてるよな?その不自然さに気付くだろ?!

 

『あぁ、さっきのもそういう事?なんか

週明けまでは外部との接触は禁止なんだけど、

一夏だけには連絡しても良いって言って

もらえたんだ!』

 

・・・あ、これはヤバイ。シャルは

自分が試されてることに気付いてないっ!

 

あえて俺だけに連絡しても良いって

言ったのは、今のシャルには俺しか連絡

する人間が居ないってわかってるから。

 

その上で現状と自分の立場を理解して、

『俺への連絡ができるけどしない』って

言う選択が出来るかどうかを見られてる

っていうのにっ!

 

つまりシャルは現在の自分の立場が理解

できてないってことだ。

 

俺が教えるか?・・・ダメだ。スパイへの

アドバイスなんか絶対にアウトだ。

 

このままならどうなる?俺に関しては

被害者だからリンが色々教えてくれたけど、

本来なら自分で気づかなきゃいけないこと

なんだよな?

 

なのに昨日一緒にリンに考えが足りないって

説教されたのに、現状に気付けないで

こんな電話をしてくる時点でシャルは

信用なんかされないだろ?!

 

あの人達は一心不乱に夢を追うが故に

現実的だから、その障害になるモノには

絶対に容赦しない。

 

馬鹿・無能・邪魔者・スパイ・・・マズイ。

このままなら間違いなく冬林技研はシャルを

切り捨てる。

 

いや、コノ場合は切り捨てるんじゃなく

懐には入れないって言うべきか?

 

あくまで一時的な保護であって、別に

中国に所属が変わったわけじゃ無いからな。

 

それで、捨てられたシャルはどうなる?

フランスやデュノア社もただでは済まない

だろうから、おそらく日本への亡命?

 

・・・だけど日本が受け入れるのか?

フランスと仲が悪くなるよな?

ソレを上回る利益を出せるのか?

 

いや、もうソレどころじゃない。他人の

心配が出来る状況じゃなくなったんだ。

 

リンは一貫して俺をタダの被害者って形に

しようとはしてくれるんだろう。

 

だけど、この電話に出たことで俺の評価も

下がった。ただの被害者から、スパイと

仲が良いかもしれない被害者になった。

 

・・・何やってんだ俺はっ!

 

千冬姉も言ってただろう?あの人達は

俺に価値を認めてはいないんだよ!

 

千冬姉の弟とか男性操縦者っていう

色眼鏡で見ない代わりに、その行動や

結果で評価されるんだ。

 

そんな人たちから見て今の俺はどうだ?

・・・ただの馬鹿だ。

 

昨日散々考えろって言われたろうがっ!

 

俺だって試されてるってわかっていながら

なんで留守電にしなかったんだ!

 

『い、一夏?』

 

「・・・無事なのはわかった。冬林技研の

人たちにシツレイな事をしないようにな」

 

これ以上はダメだ。俺だけの問題じゃない

千冬姉の再就職も、リンの立場も悪くなる。

 

シャルが電話してきたのは不安とか心細い

からかもしれないけど、国と戦うって

言ってる人間がそんなことじゃダメだろ!

 

『う、うん。それでね?』

 

「・・・すまないが切るぞ」

 

それでも何もないだろ。世間話が出来る

状況だと思ってるのか?

 

『え?』

 

え?じゃねーよ。迷惑かけてるって自覚が

あるなら少しは大人しくしてくれよ!

 

なんで週明けまで待てなかったんだよ!

 

・・・マズイよなぁ。助けてくれって頼んだ

相手の足を引っ張っちまった。

 

仲介してくれたリンの立場も悪くなるよな。

もしかしたら司馬さんの怒りを買うかも。

 

冬林技研の社長令嬢もそうだけど、中国で

司馬さんの家は絶対権力者だろ?

そんな人の怒りを買ったら、一般市民の

リンはどうなる?

 

もしヤバイことになったら、あそこまで気を

使ってくれたリンになんて言えばいい?

 

国と渡り合うあの人たちに俺が政治的に

なにかするなんて不可能だ。

 

ヘタにほかの国の人を巻き込むのも駄目。

 

そもそも今の段階で俺たちと連絡が取れなく

なるっていうのは、アイツの立場を守る

ためだよな?

 

それなのに俺が敵対行動取ったら、さらに

止めを刺すことになる。

 

あぁ・・・もう千冬姉に相談するしかないよな。

 

リンも千冬姉になら相談しても良いって

言ってたし!

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「シャルロット・デュノアの境遇には同情

する点もありますが今回は関係ないでしょう」

 

それともなにか?親から虐待を受けてたら

公文書偽造してウチの弟の部屋に潜り込ませて

スパイ活動して良いとでも言う法でもあるのか?

 

「まぁ・・・そうなんですけどね」

 

「そもそもそんなのはアチラの家庭の事情。

公文書偽造を認める理由にはなりません」

 

犯罪は犯罪だろうよ。親に虐待されて

無理やり万引きさせられている子供が

居たらどうする?

 

子供を保護して親を訴えるだろうが。

 

虐待云々がわかってたと言うならさっさと

亡命をさせるなり、なんなりさせれば良い。

 

わざわざ二週間近くの間、故国を離れ右も左も

わからん状況の小娘に男装させてスパイ活動

を継続させる?

 

意味がわからん。

 

教師としても大人としても、そんなことを容認

する理由は無いし、そもそも我々は児童相談所

でも駆け込み寺でも無いだろう。

 

「フランスとの交渉はしていない。

デュノア社からの賄賂も、IS委員会の

担当者からの賄賂も受け取っていない

のはわかりました。・・・ソレで?」

 

そんなのは別にどーでも良いんだよ。

なぜ私に性別を教えず、一夏と同じ部屋に

するように仕組んだかって話だろうが。

 

怪しいと忠告していた?曖昧にしてボカした

理由を聴いてるんだよ。

 

これが「私が気付くかどうかの試験」など

抜かしてみろ。その瞬間にそんなモノに

一夏を巻き込んでくれた礼をさせてもらうぞ。

 

「・・・どうやら織斑先生も本気のようですね。

この際無駄な隠しごとはやめましょう」

 

「十蔵さん?!」

 

「そうしてもらえると助かりますね」

 

更識も共犯か。ということは日本政府が何か

企んでるのか?

 

「今回デュノアさんを受け入れたのは、

彼女を引き抜くためです」

 

「引き抜き?」

 

まぁ両親に虐待された挙句女子校に男装

させて入学させられたんだ。

 

まともな精神状態じゃ無いのはわかるし

引き抜きも簡単だろうさ。

 

「なら2週間も放置したのは何故ですか?

まさか相手から助けを求めて来るのを

待ってたと言うわけでもないでしょう?」

 

親から虐待を受けて海外まで飛ばされた

子供が、そう簡単に他人に助けを求める

ことなどできるものかよ。

 

それに引き抜きたいというなら、こちらから

手を出すべきだろう。

 

まさかアチラから助けを求めさせることで

交渉の主導権を握るだとか、その後の立場

に関する交渉を楽にしようなどとは・・・

 

「その通りですよ。我々から接触すれば、

司馬監査員によって引き抜き目的で公文書

偽造を容認したとされてしまいますからね」

 

「事実でしょう?」

 

そのものズバリじゃないか。

 

あくまで悲劇のヒロインを救出するために

入学を許可したというスタンスを崩したく

なかったが故に、我々は彼女に精神的虐待を

与え続けたわけか。

 

私は知らなかった!とは言えんよな。何せ

十蔵さんも更識も知っていたんだから。

周りから見れば立派な同罪だ。

 

ならば一夏と同じ部屋にしたのは美人局か?

 

ふ、ふふふ。

 

ナメタマネヲシテクレタナ?

 

・・・よし。まずは一夏を退学させよう。

 

私がこいつらに協力しているのは一夏の

立場を守るためであって、こいつらの

利権のためじゃない。

ここに居ても利用されるだけで、守る

どころじゃないってのはわかったからな。

 

冬林技研に保護してもらうとして・・・

今は向こうもゴタゴタしてるから

来週だろうな。

 

「そちらの事情はわかりました。聞きたい

ことは聞けましたので、コレで失礼します」

 

もうこいつらに用はない。

 

辞める口実もコイツらが作ってくれたし。

 

「えっと・・・織斑先生?」

 

「どうした更識?」

 

裏切り者とはいえ、私はまだ学園の教師で

コイツは生徒だ。一応話くらいは聞いて

やろうじゃないか

 

「いや、なんかあんまり怒って無い

なぁ~って・・・」

 

「ん?別にお前をココで挽肉にしても、

何か解決するわけじゃないだろう?」

 

して欲しいならしてやるが・・・なぁ?

 

「そそそ、そーですよね!暴力駄目ですよね!」

 

お前らがシャルロット・デュノアにやった

事はそれ以上の拷問だがな。

 

「では、理事長。私はHRに向かわせて

いただきます」

 

「え、ええ。よろしくお願いします」

 

さてその前に一夏に連絡を取らねばな。

 

今日は授業を休ませたほうが良いだろうし。

 

 

 

ん?着信が・・・15件?!

さらにメールまで?!

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

件名 大至急

 

 ごめん千冬姉。問題が発生したから

 大至急連絡下さい。

 あと今日の授業休ませて。

 

 

 

 

  

 

 あ、部屋の掃除もするから部屋の鍵

 空けといて   

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

問題?デュノアの件だろうが大至急だと?

授業を休ませるのは元々そのつもりだった

から問題ないが、アイツから言って来るとは

・・・一体何があったと言うのだ?

 

 

それに部屋の掃除。うん。とうとうバレたか。

・・・ゴミ袋買っていこう。




姉魂は基本的には常識(IS以外の)ある
小市民なのでフランスという国を相手に
するって現実を直視してオロオロしてる
状態です。

学生が国を相手に戦うとかマジムリ!
っていうのが普通ですよね。

原作の姉魂は・・・そこまで考えてません!

更識さんと十蔵さんに見切りをつけた弟魂。

弟のために生きてるのに自分に内緒で弟を
危険に晒すような連中は信用しませんよね?

また拙作では教員生活2年目ですから、
教師という仕事に対してこだわりは
多少ありますが、弟と比べることが出来る
レベルではありませんってお話。

どうなるIS学園っ!

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