とある師弟の成層圏   作:カツヲ武士

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ながーーーい!

続けない詐欺?残念!本当に
続ける気は無かったんだ!

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嫌いな人は読み飛ばし!




第5話

いやー。本当のお金持ちは空港に行かない

っていう話は本当だったんだね。

 

行きますよって言われてから2時間で

日本に着いちゃった。

荷物は纏めておけって言われてたから

後で送ってもらえば問題は無いけどさ。

 

「まずこのままIS学園に行き着任の

挨拶と生活拠点となる部屋の整理整頓。

特に発信機や盗聴器の類は見つけ次第

私に報告をするように」

 

「は、はい!」

 

普通に湖から飛空挺が出て、IS学園近くの

海に着水。そこには既に冬林技研から

迎えが来てて学園まで一直線って。

 

もう一切の無駄がない。いや、そもそも

軍関係の人たちは時間を無駄にするよう

なことはしないんだけどね。

 

もしもコレで「うわー懐かしい」とか

「昔住んでたところを回って良いですか?」

なんて言おうモノなら『職務中に何を?』

とか『回りたいなら回してあげましょう

首だけで』とか普通に言われるわよね。

 

「凰准尉は1年2組です。あえて対象と

クラスを分けた理由は分かりますね」

 

「はい!我が国にとって織斑一夏は

最優先事項では無い為、適度な距離を

置くようにとのことでした!」

 

私にとっては最優先事項でも国に

とっては違うからね。

説明受けたように、厄介事は他に

任せるつもりなんだって言われたし。

 

けど、アレよね。ああやってハッキリ

言って貰った方が覚悟決まるわよね。

 

「その通りです。かと言って全く

興味が無い素振りを見せては、

他国の連中に無駄な警戒をされてしまい

ますからね。我々にとっては適度な

距離が重要なのです」

 

「はいっ!」

 

ACが有れば一夏は必要ないという

事実が露呈するのは不味いのよね。

 

だけど、いえ、だからこそ一夏に

とっては冬林技研が唯一の安息の地

となることが出来るのよ。

 

他の国だとどう転んでも本人も子供も

実験動物になるしかないんだから!

 

「また、あのクラスにはフランスの阿呆や

ドイツの人形の編入が決まってますからね

国際的な面倒事を避けるという意味も

あります」

 

「フランス・・・あぁ、アレですか。

奴ら何を考えてるんでしょう?」

 

いや、ドイツのデザインベビーは

わからないでもないわよ?

連中は昔っからそういう遺伝子組み換え?

的なことはヤってたみたいだし。

 

だけどフランスのアレって何がしたいの?

 

「落ち目の企業を使った国ぐるみの

自爆特攻ですからねぇ。

織斑一夏の遺伝子情報と各国の

最新技術を獲得することが出来れば、

企業の一つくらい潰しても別の形で

再生出来ると踏んでるのでは?」

 

「なるほど」

 

完全にトチ狂ってるわね。

まぁ自爆特攻なんてトチ狂った

連中がするモノだけどさ。

 

それに企業再生か・・・確かにISに

関わる企業は国の税金が入ってるから

半ば国営と言っても過言ではない。

 

フランスにしてもデュノア社一つの

犠牲で済むなら十分な見返りが

あると判断したってことかしら?

それとも一夏の遺伝子情報を担保に

いくつかの国と取引済みなの?

 

社長は捕まるだろうけど、それだって

罪としては経歴詐称と産業スパイ容疑?

国としてはいくらでも司法取引とかで

便宜を測れるわよね。

企業再生も、会社の名前を変えたり

本人も整形したりすれば問題ないし。

 

「それにIS学園が受け入れを決定

した時点で、連中にはフランスに

対して抗議は出来ませんからね」

 

「え?そうなんですか?」

 

いくらでも出来そうだけど・・・

 

「学園は何と言って抗議する気です?

男性だと思ってたら女性でした?

そんなことしたらこの程度の偽装に

気付かない無能であると全世界に

公表することになりますよ?」

 

「あぁ、そういう事ですか」

 

自爆特攻もそれなりに根拠があるのか。

 

それはそうよね。普通に考えたら

その程度何故気付かない?ってなるし。

 

世界に二人目の男性操縦者として

編入させるなら当然その周囲は

情報を集めるわよね。

ウチだって情報を集めて、最終的に

社長の愛人の娘って身元まで

しっかり把握してるんだもの。

 

で、編入を受け入れたIS学園がそれに

気付かない?ありえないだろうって

言われて、逆にフランスとの談合を

疑われることになるのか。

 

「つまり強制的にIS学園が共犯者にされて

しまいましたね。ただし学園が受け入れた

理由は申請を受けた際の身元調査で

愛人の子であるシャルロットに対する

デュノア家の扱いを知った轡木十蔵による

干渉があったはずですので、学園側が

一方的に損をしているというわけでは

ありませんが」

 

「えっと、轡木十蔵ですか?」

 

誰だろう?それに手を出してきたのは

フランスじゃないの?

この場合学園は救済するつもりなのよね?

 

「IS学園の学園長の旦那で理事長です。

かなりのタヌキですよ。この件も同情1割

引き抜き9割の腹積もりですからね。救済?

そんな甘い相手ではありません」

 

あぁ、やっぱり政治が絡むのか。

 

「あれのIS適合値はAで世界トップクラス。

現在の待遇も悪い。さらにフランスの弱み

すら握れます。

日本に帰化させることを条件にすれば

日本を説得するのも簡単ですよ」

 

なるほど。

 

「学園としては、優秀な人材をアッチから

差し出してきたから引き抜く為に乗った、と?」

 

さっきは少しは意味があるかと思ったけど、

やっぱり自爆特攻なんて避けられたら

それまでよね。弾丸に使った兵器ごと

回収されて敵に利用されるだけ。

 

「それもフランスの弱み付きで、ね。

『IS学園は虐待を受けた子供を助ける

為にあえてフランスの策を受け入れた』

と言った美談とすれば周囲からの無能の

謗りも免れます。

おそらく他所の国に突っ込まれたら

そのような方向で話をもって行く

つもりでしょう」

 

「なるほど・・・」

 

確かにそれならIS学園から抗議は

できないけど、周囲を説得できるという

一見矛盾した話が実現するわね。

 

「IS学園としては織斑一夏とソコソコ

親密な関係を築かせ、日本から離れられ

ないようにする腹積もりですね。

もしかしたら地元の縛りがないことを

利用してIS学園だけの戦力として使う

つもりなのかもしれません」

 

「それは、ありそうですね」

 

実際千冬さんだって日本と言う国家に

所属してるし、他の先生方も基本的には

各国からの出向扱いだもの。

今回のコイツがフランスから亡命

すれば完全な根無し草。

IS学園に根を張らせることが出来れば

国の意思に関係ない戦力を得ることに

なるわね。

 

「そのくらいの策を練る相手で無ければ

受け入れの許可など出しません。

今の准尉からすれば私の考えすぎと

思うかもしれませんが、政治とは

准尉が思う以上に澱んでいます。

国連を・・・世界を相手に立ち回る

轡木十蔵を過小評価してはいけませんよ」

 

「はっ!」

 

ソレを読み切る司馬様が凄いって話よ!

いやほんと味方で良かった!

 

「とは言え政治についてはこちらがヤり

ますから、特別命令がない限り貴女は

搭乗者として、学生として普通に過ごし

てください」

 

「はっ!」

 

コレもね。最初から学生に政治は

無理だから、中途半端なことしないで

ダメなことはするなって命令なのよね。

 

中途半端に外交官の真似事したら

イギリスの螺旋頭みたいに足を

掬われる・・・まぁアレは勝手に

滑って転んで頭打っただけだけど。

 

あんな風になったら普通に殺される

より悲惨な目に合わされるからね!

 

器物破損と傷害はダメ。

 

許可なくISの展開もダメ。

教員から命じられてもダメ!

専用機は司馬様が管理する。

 

授業は専用機ではなくIS学園の

訓練機で受けること!

 

決闘もダメ!

もしも挑まれたら司馬様に報告!

 

何もかもが当たり前の話よね。

大量殺人が出来る危険な兵器を学生に、

それも何のロックも無しで持たせる

バカがどこに居るって話よ。

 

緊急事態なんてそうそう起こらないし

起こったとしても学生の私が

対処するようなことでもない。

 

特に専用機については軍事機密の

塊だからね。

一夏と訓練したいってのはあるけど

今の私じゃ差がありすぎて訓練に

ならないし。

 

私も咄嗟の感情で動く時が

あるから、初めから司馬様が

手綱を握ってくれる方が良い。

 

さからうなんてとんでもない

 

「あぁそうそう。学園に着いたら准尉にも

政治と言うものを教えてあげます。阿呆に

権限を持たせると言うことがどういう事か

見ておくと良いでしょう」

 

「よ、宜しくお願いします!」

 

・・・コレは確実にIS学園が負けるわ。

 

私も馬鹿やらかして勝ち馬から降ろされたら

どうなるかをしっかり確認しておかないと、

本当に洒落じゃ済まないからね!

 

 

―――――――――――――――

 

「更識、盗聴器とカメラを全て外せ」

 

「えー?全部ですか?」

 

心配しすぎじゃない?

 

「馬鹿が。あの人にそんなことしてみろ

外交問題になる前にIS学園が消えて

無くなるぞ!

政治的にじゃなく、物理的にな!」

 

「いや、いくらなんでもソコまで・・・

するんですか?」

 

どんだけお姫様が大事なのよ。そんなに

大事なら国内から出すなって話よ!

 

「あぁ。間違いなく殺る。

更識、中国における司馬家をなめるな。

貴族じゃないんだ。武力と財力と

権力を保有する王家なんだ。

そこの姫様を盗撮盗聴?そんなの

戦争だろうが!」

 

いや、それはそうかも知れないけど。

だからって普通はいきなり戦争なんか

しないわよね?

 

「私たちもソレなりに長い期間色々

殺って来ましたけど、司馬家は基本的に

政治的な力を使ってくる家ですよね?」

 

そこから自分達の要求を出してくる連中よね?

 

どうせ配慮しなきゃいけないんだから。

あえて弱味を作って相手から提案させて、

こちらも譲りやすいようにするための

小細工なんだけどなー。

 

「基本的にはな。武力行使は李家の

仕事と言われてるが・・・李家に

ついてはお前たちも詳しいだろう?」

 

「えぇ。何代か前の当主はあの李書文

の教えを受けてますから」

 

絶対に敵対するな。むしろ関わるなって

遺言がそのまま更識の家訓になってる

くらい怖い連中らしいわね。

 

「冬林の副所長はその李家の当代当主で、あの人の婚約者だ」

 

「はぁ?!」

 

つまりお姫様に何か有ったら、司馬家と

李家が敵に回るの?中国の表と裏の

全部が一斉に潰しに来るってこと?!

 

駄目じゃん!物理的に消されるじゃん!

何でそんなのを国外に出すのよ!

 

「事態の深刻さに気付くのが遅い!

まぁお前もまだ学生だから仕方ないが、

学生だからと言って無礼が許される

わけではないんだぞ!」

 

た、確かにそうよね。更識なんて李家に

してみたら路傍の石。しかも冬林の

副所長って言ったら織斑先生の師匠の

師匠でISを素手で破壊した化け物じゃない!

 

そんな化け物が周りに居たら情報なんて

手に入らなくて当たり前よね。

お姫様の周囲の防諜が完璧すぎて、事前に

動きも情報も何も獲られなかったのも

単純に相手が悪かっただけ、か。

 

暗部としては戦う前から負けてる。

 

あ~そりゃ盗聴盗撮なんか論外よね。

せめて何か交渉材料を見つけてから

出ないと同じテーブルにも座れない。

 

最初っから全面降伏するしかないのか。

 

下手な小細工は政治的な失点を重ねる

だけで、十蔵さんの足を引っ張ることに

なるのね。

 

「あと、個室を二つ用意するように」

 

「個室ですか?」

 

いやいや、特別待遇は不味いでしょ?

同じ中国の生徒なんだから、同じ

部屋で良いじゃない。

 

「冬林技研からの情報でな。今回十蔵

さんは確実に負けるそうだ。

無駄な抵抗をして時間と労力を使う

くらいなら、初めから用意しておけば

要求もソレだけで済ませるとさ」

 

「負けるって。ウチに彼女たちの

特別扱いを受け入れなきゃいけない

理由があるんですか?」

 

あの政治の化け物が負ける?

想像もつかないんですけど。

 

「らしいな」

 

らしい?つまり織斑先生も細かい

内容は知らないってこと?

それにしては冬林技研の情報に確信

があるみたいだし。

 

「そもそも何故冬林技研がそんな情報

を織斑先生に流して来たんですか?」

 

昔の伝手があるのはわかるけど、

普通に考えて勝ちが決まってるなら

搾り取れるだけ搾り取るのが政治でしょ?

ソレをわざわざ情報漏洩までして

抑えるってどういう事?

まさか織斑先生がスパイをしてるとは

思えないんだけど・・・

コッチに恩を着せての得点稼ぎ?

 

「お前の懸念はわからんでもないが、今回は杞憂だ」

 

「そうなんですか?」

 

杞憂だと言われてソレを信じてたら

世の中に諜報員なんて必要ないわよね。

 

「冬林、と言うか司馬家としてはだな。

彼女に無駄な時間を過ごして欲しくないんだ」

 

「はぁ」

 

どういうことだってばよ

 

「つまり『部屋が用意できておりません

ので少々お待ちください』

なんてのは論外と言うことだな」

 

「はぁ?」

 

その程度のことなの?いや、司馬家を

天皇家と考えれば、皇太子殿下に対する

無礼は許さないって感じなんだろうけど。

 

だけど普通私たちの弱みをその程度の

要求を叶える為に使う?

 

わけがわからないわ。

 

「何にせよ準備とは言えベットを一つ

運び出してアメニティも減らすだけだ。

もし十蔵さんが勝ったら元に戻せば

良いだけの話だろ?」

 

「まぁ、ソレはそうですけど」

 

今回はどっちに転んでも酷いことには

ならないけど、負けたときに少しでも

相手の印象を良くしておくのは

基本でもあるか・・・

 

しかし「我侭言うなら来るな」って

言うのが基本スタンスのIS学園で

ここまで我侭を押し通すだけの根拠と

力があるのか・・・一体どんな

弱みを握っていると言うの?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「そういうわけで、生徒兼技術士官兼

監査員として赴任することになりました。

司馬仲達です。階級は少佐です。

コチラは我が国の国家代表候補生

凰鈴音です。凰准尉、挨拶を」

 

「ご紹介に預かりました、凰准尉です!

よろしくお願いします!」

 

「えぇ、よろしくお願いします」

 

やられた!織斑君に連絡があったから

万が一に備えて個室の準備はさせていた。

 

だが私とて、そう簡単に特別扱いなど

許す気は無かったが・・・

 

ただの生徒ではなく監査員ときたか!

 

事前情報が無いのも当然だ。

何と言っても今その話がIS委員会で

提案され可決されたんだからな!

 

リアルタイムで会議と決定を見せつけ

られては文句も言えん。

常任理事国のイギリスとアメリカと中国が

賛成でフランスが反対、ロシアが保留。

フランスにはあの件で発言権など無い

ことを考えれば、反対意見すら奴らの餌。

 

何せそもそもの議題である

「IS学園における中立性に関する疑問」

という議題は反対するような内容でも無い。

 

在校生による生徒目線での監査と言うのも

現在代表候補生や留学生を送り込んでる

国にしてみれば反対する理由にはならん。

 

さらに最初の監査員が五大国の一員で

ある中国の人間で、さらに大学を卒業して

いくつかの新技術と知識で世界に確固たる

実績を証明している冬林技研が抱える

鬼才、司馬仲達。

 

能力にも実績にも文句の付けようがない。

 

その上で監査員と一般生徒が同室になるなど

ありえない。と言われてしまえば、監査を

受ける立場である我々に反対することはできない。

 

そこを切り口として監査員から幾つか

指摘を受けた以上、その改善は義務だ。

 

今後は代表候補生が個室を望むなら

与えねばならん。

 

現時点で持っているカードに差が

ありすぎて勝負にならんぞ!

 

「既に冬林の代理人よりコチラの

要望は伝えています。

委細問題ありませんね?」

 

「・・・えぇ、とは言え要望は個室の

用意だけですからね。

代理人の方からは特別な部屋を作る

必要は無い。元々の2人部屋を1人

部屋にするだけで良いと伺っております。

司馬殿はソレで良いのですか?」

 

普通なら屋敷を建てろと言ってくる

レベルの相手だからな。

部屋が貧相だからと言って文句を

付けられてもたまらんぞ。

 

「えぇ、盗撮盗聴の心配がなく、私の

職務に影響を与える環境で無ければ

ソレで構いません」

 

「・・・そうですか」

 

これは更識に関してだけじゃないな。

他の生徒にもおかしなことをさせるな

と言うメッセージか。

 

しかしコレには何と返せば良い?

何を言っても墓穴。

かと言って何も言わなければ、

彼女の職務に問題のある環境だと

自分で認めることになる。

 

・・・王手飛車取り、か。

ならば飛車を切るしかあるまい。

 

「それなら問題ありませんよ。

当方は防諜にはそれなりの自信が

ありますので」

 

さぁこい。ただでは殺られん。

貴様らも巻き込んでやる!

 

「そうですか。ではそれに期待しましょう」

 

何?取りにこなかった?考えすぎたか?

・・・違うな。読まれたんだ。更に

言えばいつでも取れるから見逃したか。

 

それにコレで私がどういう行動を

取るのかを確認しようとしている?

 

くそっ。2000年の歴史があるとは

言えそれはあくまで家のことで、

彼女個人はまだなんとかなると思って

いた自分の迂闊さに腹が立つ!

 

確かに彼女に関する情報は全く入手

できなかったし、手探りとなるのは

覚悟していた。

だが、まさかここまで手も足も

出ないとは・・・

 

どうやればこの歳でこれほどの

人物が出来ると言うんだ!

 

「わざわざ言う必要は無いと思いますが、

今回の件に関してはそちらの自爆です。

我々を警戒するのは構いませんが

まずは足元を固めた方が良いですね」

 

「・・・ご指導感謝します」

 

それ以外何を言えと?

 

「いえいえ監査員として、防諜に問題が

あるならテコ入れが必要と判断しただけ。

これも職務ですので感謝は不要ですよ。

尤も、不備を指摘されて不貞腐れる小娘共

よりは好感が持てるのは事実ですが」

 

それはIS乗りの教育が出来ていない

と言う皮肉か?

だがIS乗りの協調性の無さは各国から

問題点として指摘されているのも事実。

 

それにこの状況で下手に何か言えば

正面から叩き潰される未来しかない。

 

・・・この化物が。

 

「では部屋に案内してもらいましょう。

凰准尉。荷物を持ちなさい」

 

「はっ!」

 

普通なら生徒同士に序列は無いと嗜める

ところだが、監査員と生徒だからなぁ。

 

「あぁそれと理事長」

 

「・・・何でしょう?」

 

まだ何かあるのか?今は準備が

足りな過ぎて抵抗すら出来んから

正直時間を稼ぎたいのだが・・・

 

「私程度を化物などと思っていては

いずれ本物に足を掬われますよ?」

 

「・・・御冗談を」

 

声に出していたか?・・・いや

凰鈴音は首を傾げている。

つまり読まれたと言う事か!

 

圧倒的優位にありながら油断も

慢心も無い。

個人としても組織としても隙が

無いとか、一体どうしろというのだ!

 

「別に何もする必要はありません。

ただ邪魔をしないことですね」

 

・・・また読まれた。もうやだコイツ。

学生とかしなくて良いから普通に

監査してさっさと帰ってくれよ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

いやー。話の内容は良く分からなかった

けど、最終的に理事長の背中が煤けていた

から司馬様が完全勝利したみたいね。

 

流石司馬様!

 

それに全寮制で二人部屋が基本なはず

なのに普通に個室貰えたし!

 

普通なら二人部屋とかでも良いけど

司馬様と二人部屋とか、絶対心労で

死ぬからね!

 

冬林技研もその辺ちゃんと考慮して

くれたってことかな。

 

「今回貴女にも個室を用意したのは

機密の関係もありますが、織斑一夏を

部屋に連れ込みやすくするためでも

あります」

 

「そ、そうなんですか!」

 

そこまで気を使ってたんですね!

ありがとうございます!

 

「篭絡に失敗した場合も一人で

寂しく泣くこともできますしね」

 

「そ、そうなんですか・・・」

 

そこに気を使って貰えるのは

ありがたいと言うか、なんと言うか。

 

「そもそも専用機持ちを一般の生徒と

一緒にすること自体が間違いなのです」

 

「それは、そうですよね」

 

ISは最新の軍事機密だからね。実際に

相部屋になった人が何も知らなくても

ナニカを知る可能性があるだけでダメじゃん。

 

本人に知識が無くても、話を聞いたりする

周りの人間が分かる事だってあるんだし。

 

知らず知らずのうちに他の国の

機密に係わってるなんて怖すぎるでしょ。

 

なら最初から距離を置いて係わらない

ようにしてあげるのが優しさよね。

 

「さらにイギリスの代表候補生の部屋を

見れば、いっそ1人部屋にしろと言う

のが当たり前だと思うんですがね?」

 

「確かに。アレはひどいですよ」

 

2人部屋だって言うのに、片方だけ

めちゃくちゃスペース取ってんじゃん。

 

アレで平等?頭おかしいんじゃない?

アレは確かに学園による虐めの黙認よ。

 

「さらに我々にここまで情報を

握られる防諜の甘さも問題です」

 

「そうですね。これで防諜にそれなり

に自信があるんだから驚きです」

 

女子寮の各部屋の情報なんて普通は

手に入らないのに、世界一を自認する

IS学園の女子寮の情報が抜かれるって

もう駄目じゃん。

結局は司馬家とか冬林技研が凄いって

事なんだろうけどさ。

 

「いえ、アレは私からの指摘を誘った

理事長が仕掛けた罠ですよ」

 

「罠、ですか?」

 

一体あの会話にどんな意味が

込められていたのか・・・

政治はホント難しいわ!

 

「えぇ、アレで私が防諜に関して

指摘をしたら、フランスの阿呆の件を

我々に打ち明けて協力させる気でしたね」

 

「え?!」

 

そんな離れ業が?!

 

「あの場で何か指摘したら、実は・・・

とか言ってあの件を防諜のミスとして

打ち明けてくるつもりだったのでしょう」

 

なるほど!引き抜きと言う自分の狙いを

防諜のミスとして誤魔化した上で

「協力してくれ」とか「何か意見をくれ」

とか言って巻き込むつもりだったのね!

 

それを読んだからこそ司馬様はあのとき

何の指摘もせずにスルーしたのか。

 

来るときにも話したけど、学園は

あの件を指摘されるのを待ってる。

まさか自分から打ち明けるわけには

いかないからね。

 

それに理事長の言葉をスルーしたことで、

コッチがもつ情報量も隠した。

 

相手は私たちがこの情報を知ってるか

知らないか分からないし、司馬様相手に

下手な行動を取れば自分の策が根こそぎ

破壊されることになると警戒したから

あそこでは何も言ってこなかったのね。

 

これだけの思考をあの一呼吸で

やってるの?なんて面倒な世界!

 

そりゃ負けた理事長も司馬様を化物

扱いするわよ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いやー司馬様が味方でよかったわ!

 




一巡目から国士無双十三面待ちを
オープンリーチされてる状態である


他にもいろいろ情報握ってるけど
小出しにしていくスタイル。

つーか一般人と専用機持ちは
一緒にしちゃいけませんよね?

最新技術もそうですが、そもそも
横に気分で大量破壊兵器
振り回すヤツ居たらダメでしょ?

あとチョロコットの部屋。
アレは虐めですってお話

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