ソードアート・オンライン  ステルス・ウォーリアー   作:ddds

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かなり長くなりました。
数年間待たされたBlackMesaがリリースしたり、
その他諸々色々めたもるしてました。

その間少しづつ書いた甲斐があって、自分初の一万字超えの話になりました。


四話 ボス攻略戦

指揮官殿の支持に従って撃つだけの簡単なお仕事。

 

ディアベルの指揮下で銃撃を繰り返すだけの簡単なお仕事です。

 

 

 

 

翌朝。

久々に宿屋で寝たら既に9時を回っていた。

実に10時間睡眠である

 

食事も取らずに急いで外に出る。

着替えも歯磨きも顔を洗う必要もないのはいいかもしれない。

 

その行為を現実で誰かが代行してくれているのだろうが、

あまり考えたくないことだ。出来れば戻った時には

リハビリ類も必要ない全身義体が実用化されていればいいのだが・・・

 

一番問題であった脳からの信号受信に成功し、このような形ではあるが

家庭向けに発売できたということは非常に大きな進歩だ。

あとはランニングコスト、製造コストを落とせば立派な全身義体の誕生である。

 

ま、買えるかどうかは怪しい

 

 

とりあえず、10時までには集合地点に到着できた。

 

ディアベルを先頭に33人がボス攻略のために迷宮区へ歩き出した。

 

 

因みに自分はその最後尾。

アスナとキリトも最後尾である

 

 

二人が、ボス戦について再確認している

「確認しておくぞ。あぶれ組の俺達の担当は

ルイン・コボルト・センチネルっていうボスの取り巻きだ

ああ。俺が奴らのポールアックスをソードスキルで跳ね上げさせるから即座にスイッチして、飛び込んでくれ」

 

 

そして、この場の約二名がとある単語に疑問を持った

「「スイッチって」何?」

 

 

相変わらずローブを羽織ったままの女も、玄人っぽく見えたが

俺と同じく、MMORPG初心者だったか

 

 

キリトは一瞬間を置いて、

「もしかして、パーティー組むのはこれが初めてなのか?」

「俺なんざMMORPGすら初めてだぞ」

これについては昨日話した。

しかし役割上必要なかったのかスイッチについては聞いてなかった。

 

 

 

「ボス戦が心配になってきた」

キリトは不安を隠せないようだ。

初心者を連れる玄人は大変ですな

 

 

その後、ひと通り基本的な用語についてキリトから説明を受けた。

 

そのうちニュアンスで覚えていくだろう。妖精さんか。

 

 

 

 

 

さすがに見つけたというだけあって迷うこともなく、

また最前方の人たちがモンスターをどんどん片付けていくので

ボス部屋までは単に歩くだけであった

 

 

 

一時間もしないうちにボス部屋の目前まで到着した。

 

 

 

 

その場で再度おおまかに作戦を確認。

先ほどまでモンスターを狩っていた時の雰囲気とは一転、

さすがに最初のボス攻略戦ともあって、

場の雰囲気は重苦しく感じられる。

下手したら死ぬ。それを全員、今実感させられている

 

 

恐らく、一番後ろで打ち続けるだけの自分が

一番緊張感に欠けていただろう

 

 

 

確認の後 ボスの部屋の戸を前にして、

ディアベルは皆の方に向いて立ち、

「最後に、俺から言うことはたったひとつだ。」

 

 

「勝とうぜ!」

 

 

 

「行くぞ!」

ディアベルはその言葉と同時に戸を開けた。

 

第一回、ボス攻略戦の始まりである

 

 

 

 

 

部屋の中は真っ暗だった。

 

 

ボスの部屋は広く、恐らくサッカーコートくらいの面積はあるだろう

両側にありがちな柱が並び、その一番奥の玉座にそれは座っていた。

いやどっちかといえば仏像の台座である。

外のヨーロッパ風の景色とは合わないだろう。どういう選択だ。

 

 

 

ボスが動き出すと同時に部屋は一気に明るくなり、

その姿がはっきり見えるようになった

 

部屋の壁は現実ではありえないような色彩。目が狂いそうだ

 

 

ボスは部屋の半分にも届こうかという跳躍の後、部屋の中ほどに降り立ち、

情報通り斧とバックラーを両手に持つ、赤い巨体のモンスターが

我々の前に立ちはだかった

 

中世における悪魔の想像図の体をメタボのオッサンに変えて、

皮膚を赤くしたような感じである

まあ、説明するのもよく分からんくらいバランスが悪い。

 

 

頭上に赤いマーカーが表示され、敵であることを示し、

同時にボスの名前も表示される。

その右側の体力ゲージは普通のモンスターではありえない4段。

左右2体づつ、ボスの前方に1体取り巻きが湧いて、登場演出は終わったようだ。

 

 

中央の取り巻きを先頭に、ボスと取り巻きががこちらに向かって突進してくる

 

「攻撃 開始っ!」

ディアベルは前に指揮杖代わりの長剣を前に向け、攻撃の合図とした

 

 

むさ苦しい雄叫びを上げながら突撃、交戦を開始した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ない。

何がないか。簡単だ。やることがない。

ニートもびっくりの無労働なのである。

 

 

敵の周りには味方が群がるため、自分が後方から撃つのは危険である。

全く、後方からの支援を行わない戦争なんてゲームでも

最近はめっきり見たことなかった。

存在はしているが、自分が認識していない。興味が無いのである

 

最低でも迫撃砲や航空支援は受けられるのが自分の常識だから・・・

 

そう考えると、このゲームには投石機やバリスタ等はあるのだろうか。

弓矢が無い所を見るとバリスタは無いだろう。

トレビュシェットやカタパルトも無いと思われる。

 

腕で振り回す投石具や投槍器(とうそうき)くらいだろう

 

 

「A隊C隊、スイッチ!」

「来るぞ!B隊ブロック!」

 

隣にいる指揮官様は前方の指揮で手一杯のようだ

その指揮は正確で、味方方にはほとんど被害は出ていない。

 

ゲーム内では優秀な指揮官である。

こんな芸当を何処で習得したのやら。

 

「C隊ガードしつつスイッチの準備」

「後退しつつ、側面を突く用意!」

「D.E.F隊は側面を確保しろ!」

 

 

「了解!」

キリトは指示を確認すると、前方に居た取り巻きに攻撃を仕掛ける

 

持っている剣を横に大きく振り、取り巻きの斧を弾き飛ばし、ノックバックを発生させる

 

「スイッチ!」

そうキリトが言う前に、ローブの人物 もといアスナはレイピアを前にし、

全力で突進をかける。

 

レイピアは突くための剣。

チェインメイルの間を刺すために用いられた。

プレートアーマーが普及すればその存在価値は低下し、

戦斧やロングソードを用いた打撃、レイピアより遥かに貫通力の高い兵器、

具体的に言えばマスケットが普及するとレイピアは実戦では用いられなくなった。

 

 

彼女のレイピアでの戦い方は現実のそれとは異なる。

フェンシングのような戦い方ではなく、

体重を前にかけ、全力で走る。

そして、その動きは非常に早い。

 

まさに『突進』という動き。

 

しかし、突く武器である以上、引くという動作を伴うため、

時間的な攻撃回数が少なくなってしまう。

その欠点をカバーできるかどうか、またレイピアが本当に不利かどうかは知らない。

恐らく、ソードスキルでどうにかなるんだろう。

 

 

「三匹目!」

彼女は取り巻きの装甲に見事攻撃を当て、貫通させたようだ。

 

取り巻きは叫ぶ間もなくその場から消えてなくなった。

 

 

 

 

正面から雄叫びが聞こえてきたのでそちらを見る。

どうも体力バーが4段目の半分を切ったようで、

誰もが攻撃の手を止めている。

 

 

ボスは両手に持っていたバックラーと斧を放り投げた。

 

 

「情報通りみたいやな」

関西弁が聞こえる。

確かに情報は正しかったようだ。

 

 

RPG等での定番、ダメージを受けると強くなるパターンである。

当然、リアルでは在り得ない。

ダメージは受ければ受けるほど弱くなる。強くなるゲームは今までやったこともなかった。

話題性と勢いで買ってしまったこのゲームだが、

やはり自分には合わないと思う。というか合わない。

皆が皆弱くて、知恵を絞って、連携し戦術を持って敵を倒すのが

自分の好きなゲームなのだ。

 

 

 

 

「下がれ! 俺が出る!」

ディアベルは何故か駆け出し、パーティーの全面に出て、

剣を掲げてスキルを準備する硬化状態に入った。

 

 

 

一方、ボスがその巨体の後ろから出してきたのは大剣。

 

 

 

僅かな反りもない片刃剣が出てきた。

 

 

 

反りがない?

情報では、インドの曲刀タルワールだったはず。

 

しかし、自分が今見ているのは僅かな曲がりもない直刀。

中華包丁を長くしたようなものである。

 

昨日貰ったガイドブックには

「これはベータ時点での情報です。製品版では変更されている可能性があります」

といった旨が記載されていた。

 

 

繋がった。

製品版で変更された箇所か!

武器が違う。武器が違えば使い方は違う、動き方も違う!

つまり…

 

「駄目だ!」

左の方から聞こえてきた。この声はキリトのものだ

 

「全力で、後ろに飛べ!」

キリトも同じく気づいたようだ。

 

ボスはその間、部屋にある支柱の上部、その間を飛び回り、

プレイヤーを撹乱していた。

いつ落ちてくるかわからない。

しかし、自分の銃は既に正面、そしてそのわずか上を向いていた。

撃つなら、敵さんが落ちてくるのを狙うしか無い。

フレンドリーファイアのリスクがない上から落ちてくる時、それを狙うしか無い。

 

最早考える暇も殆ど無い。

ほぼ反射のような形で攻撃を行う。

 

チャンスは一度、降りてくる所を仕留める。

 

 

7-8回程柱の間を飛び回った後、ボスは落ちてきた。ディアベル目掛けて。

奴は降りてきた。ボスは降りてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、引き金は遅すぎた。

弾は空中を飛び、壁にあたって砕けた。

ボスの攻撃は弾が飛んでいる間にディアベルに直撃。

ディアベルはノックバックで飛ばされ、硬直が発生。

 

 

ボスは着地した後、そのままの勢いで空中のディアベルに再度攻撃した。

 

これもまた避けれるはずもなく直撃。ディアベルは部屋の左方に飛ばされた。

 

 

「ディアベル!」

キリトが飛ばされたディアベルの方に駆けて行った。

しかし、こちらはそれどころではない。

 

ボスはパーティーを飛び越えて扉の方に立ちはだかった。

これでは撤退もできやしない。

できたとしても、相当な犠牲を払うことになるだろう。

 

 

しかし、キリト達の会話は聴音スキルによって

周りがいくら騒がしくても聞こえてしまう

「何故一人で…」

 

「お前も、ベータテスターなら 分かるだろ?」

何?キリトとディアベルがベータテスターだと?

 

「ラストアタックボーナスによるレアアイテム狙いか」

欲張った結果自爆とは・・・

 

 

 

「ボスを……ボスを倒してくれ…皆のために」

オブジェクト破壊音がした。恐らく消えたのだろう。

 

 

 

 

一方、正面では

指揮官を失ったパーティーは散発的な攻撃と防御を繰り返して、なんとか被害はないが

これもいつまで続くか・・・

しかも取り巻きは何事もなかったかのように湧いてくる。

 

おいF隊仕事しろ!

と、声に出すのはやめておいた。

 

 

 

 

 

 

 

パーティーメンバーのほとんどがボスに目を向けており、

取り巻きには手が回らない状況。

そんな中、予想通りパーティーに対して側面から取り巻きが攻撃を仕掛けようとしていた。

 

 

「クッソが!面倒増やしやがって!」

つい口に出てしまった。

 

久々に足を動かし、

自分は全力で取り巻きに近づき、確実に当てれる距離まで近づいて引き金を引いた。

 

この間、銃は正面に向けたままである。

 

 

取り巻きは一撃で砕け散った。

どこに当たったかは確認してない。多分頭だろう

 

 

 

しかし、当然ながら取り巻きは一体ではない。

自分が居る反対側からも攻撃は加えられる。

つまり・・・

 

「ぐあっ!」

「側面が危ない!皆引くんだ!」

「後ろを振り向くな!少しづつ退却しろ!」

反対側のパーティーメンバーが取り巻きから攻撃を食らい、それを見て皆が引き始める。

しかし、それには組織性がないため、損害は増していく。

 

幸いなことに死者は出ていないが。このままでは・・・

 

 

 

「攻撃を再開する」「了解」

キリトとアスナは最後方で攻撃する体制を整えたようだ。

これで退却できる。

 

 

 

そう思った瞬間、目の前に腕が飛んできた。

 

 

ボスは武器をパーティーメンバー目掛けて大きく振り払い、

引くのが遅れていた自分は側面に居たため直撃はしなかったものの、

振り払った腕が直撃。

 

おかしいかな自分は部屋の左奥まで吹き飛ばされた。

痛さはないものの、一瞬の出来事過ぎて理解するのに暫し時間を要した。

視界左上のHPゲージは3分の1以下。表示は赤になってしまった。

 

ナーヴギア搭載のメディカルサポートメッセージが心拍数の上昇を知らせる。

とりあえず問題は無さそうだ。

 

 

 

 

 

しかし、武器が直撃していたら…即死だっただろう。

 

その間もボスの攻撃は止まらない。

 

 

「手順はセンチネルと同じだ!」

ボスより向こう側に、走る二人の姿が見えた。

あの馬鹿ども、退却支援じゃなくて撃破に向かおうとしている!?

 

 

この状況ならコレ以上の被害なしで引き上げることだって容易い…

いや、自分は退却できないか

 

損害2名 戦果なし…となるか

 

ボスは向かってくる二人に対して攻撃すべくソードスキル発動モーションに入った。

それにキリトのソードスキルをぶつけて双方硬直する。

その間にアスナが…

 

と思いきやボスの硬直時間がかなり短くなっていた。

再度攻撃をするためバランスを立て直す。

 

「アスナ、危ない!」

キリトは気づいたようで、アスナは間一髪攻撃から逃れたようだ。

 

これじゃ二人では攻撃は成立しない。

しかし、パーティーは既に組織戦闘力がなく、士気もボロボロ。

 

引き上げようにも俺が居る限り引き上げないだろう。

恐らく彼ら二人なら。

 

 

でも、それではボスは撃破できないし巻き添えで全滅だって起こりうる。

 

 

 

そんな状況で一人だけ外れた存在が居ることに気がついた。

それは自分である。

 

 

 

自分は現在、ボスの死角に居る。

真後ろから攻撃を仕掛けることができる。

しかし、一撃で仕留めなければ反撃を喰らい、ただでさえ少ない体力が付きて

俺もディアベルと同じように死んでしまうだろう。

 

 

だが、その反撃の間にキリト達が攻撃を加えれば

ほぼ確実にボスは倒せる。

 

 

 

どっちにしろ、俺が攻撃すれば俺以外はほぼ確実に助かる。

選択する余地すらなかった

 

 

 

「次来るぞ!」

このままじゃジリ貧だと知っていながら攻撃を続ける二人。

その後ろで不安そうに見るしか無い疲弊しきったパーティーメンバー。

 

 

俺は銃を構え、弾を再装填した。

これで準備は整った。後は運任せだ。

 

足は以外に素直に動いてくれた。

あとは戦列歩兵でも真っ青の銃剣突撃を決めてやるだけである

 

 

 

 

 

「しまった!」

武器を早く振ってしまったせいで、キリトはボスの攻撃をモロに食らった。

その後ろに居たアスナもろともノックバックで飛ばされる。

 

 

 

それを見て、足は更に早く動いた。

「チャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアジ!!!」

何も考えずとも出た銃剣突撃の掛け声。

 

 

 

ボスの背中目掛けて、足を動かすだけ。

頭にはそれしか入ってなかった。

「馬鹿!やめろ!」

 

 

 

誰かの声が聞こえて気がしたが足は止まらない。

ボスの背中に乗るように、ジャンプする。

 

 

視界がぼやけたと同時に、武器が刺さる音。

ここぞとばかりに引き金を引いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「Congratulation」

空中には。そうあった。

 

 

 

「いやっったあああああああ!」

「勝った!勝ったぞ!」

 

 

 

視線を下に下ろすと

「you got the last attacking bonus!」

「コートオブミッドナイト」

 

う…うわぁ、厨二が好みそうなこのネーミング…

あんな激戦の後でこう考えられる。自分は間違い無く生存しているようだ。

 

「お疲れ様。」

話しかけてきたのは…

 

染めたであろう茶髪に近い長髪。身長はそんなに高くない女。

顔は整っているし、これまた美少女と主張しても意義は出ないレベル。

俺はこんな知り合いは居ない。現実でも、SAOにも居ない。

「あんた誰だ?居たっけか?」

「パーティーメンバーの名前すら忘れるの?」

 

忘れたわけじゃないが…

「まさかローブか」

「なんでそんな名前で呼ばれなきゃいけないのよ」

 

俺の脳内で勝手につけた名前は嫌われたようです

 

 

「なんにせよ、俺達は勝ったってことだな」

元ローブ、その隣にはキリトも居る。

 

「全く、最後の攻撃はどうなるかと思ったぜ

なんせ背中に飛び乗って頭にゼロ距離射撃だからな。

失敗したらどうするつもりだったんだ?」

やはりあの時声をかけたのはキリトだったか。

 

 

「失敗したら死ぬと知ってて突撃した。

仮に俺が死んでもお前らがボスを撃破できるだろうと思ってな。

それでこそ英国面というものだ」

「なんだそれ」

和気藹々と談笑。

 

 

あの緊張感のあった戦場は何処へやら。

 

そこに大柄の黒人が現れた。

その体格、特徴とともにすぐに名前を覚えたエギルさんだ。

「Congratulation。この勝利はあんたのものだ。」

「いや、キリトとアスナが居なかったら攻撃は成功してなかった。

感謝するなら、二人の方に頼む。

俺は腹に爆弾を抱えて突っ込んで、運悪く生き残っただけさ」

 

そして、感謝すべき人物がもう一人。

 

「あと、攻略会議を招集し、優秀な指揮能力を発揮し、

損害を最低限に抑えてボス攻略を成功に導いた

指揮官ディアベルに追悼と感謝の意を。」

そう言った途端、周りのお祝いムードも一気に収まり、静かになった。

 

 

現実よりも死が身近な世界で、自らその世界から脱出すべく

人々を集め、指揮し、脱出の第一歩を成功させるも死んだ男。

 

昔の日本なら神社が建つレベルだ。

意味があるかは分からないが、墓くらいは立てないといけないな

 

そう考えていると、ある人物が騒ぎ出した

「なんでや!」

関西弁。あの人しかおるまい

 

「なんでディアベルはん見殺しにしたんや!」

誰に向けての言葉かは分からなかった。

 

「見殺しにした?」

キリトが反応した。

 

「そうやろ!自分はボスの使う技知っとったやないか!」

キバオウはキリトを疑っているようである。

何を勘違いしているのか自分にはイマイチ理解できなかった

 

「最初からあの情報伝えとったら、ディアベルはんは死なずに済んだんや!」

 

それを聴いた周りは「確かに」などと勘違いな人を増加させている。

 

 

あのガイドブックが正しいと仮定すると、

ベータテストと製品版で違う部分が発生する可能性は、キバオウも知っているはずである。

 

キリトが製品版のボスについて知っているとキバオウは考えている。

 

では何故、キリトは製品版のボスについて知っているのか。

そこの『何故』が抜けている。普通に考えりゃ酷い言いがかりである。

 

このような環境では人間不信も発生しやすい。

頭が回らなくても納得してしまう人も多いだろう。

 

「それになんや!その武器!

最初から思っとったけど銃なんておかしなモンなんで持っとるんや!」

 

「俺に聞かないでくれよ…俺だって狙って出したわけじゃない」

事実である。無実である。特殊でチート臭い物だとは分かっているが、

リスクもかなり大きい。

 

「嘘つけ!どうせベータ上がりやろ!」

ベータテスターはそんなに有能ですか?

 

 

もはや話が通じない。だったら

「じゃあアンタは一撃で死ぬようなリスクを負って、

これを使うことができるのか!?ワザワザ死ぬような武器を使うのか!?」

リスクを全面に出して押し切る

 

 

「そ…それは…」

さすがに一撃で即死は効いたようだ。

 

 

 

「とにかく、なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」

矛先を戻した。何がやりたいんだろうこの人。

普通にありがちな人間不信だが…

 

 

そんな時、誰かが言った。

「きっとアイツ、元ベータテスターだ!

だからボスの攻撃パターンも全部知ってたんだ!

知ってて隠してたんだ!」

 

知ってて隠す利点って何だよ…

利点もなくそんな事するか。普通。

 

「他にも居るんだろ!出てこいよ!」

 

ここでディアベルがベータテスターだったと主張しても

最早証明する手段はない。

逆に、ベータテスターだと因縁をつけられても、

違うと証明する手段がない。

悪魔の証明。魔女裁判そのものである

 

しかも、この場にいる全員が周りをベータテスターでないかと疑いはじめた。

ますまず魔女裁判である。人間不信にも程がある

 

自分は別に嫌われても、ソロでしか狩りをしないので問題ないが、

キリトが一番問題だ。否定のしようがない。

 

この人間不信状態では、以後の攻略に確実に支障が出る。

損害は増大し、士気も低下、組織的攻撃能力を失って

最後には攻略を行う人間がいなくなり、全滅。

 

なんてのも笑い話ではない。

 

だが、自分には人間不信を止める手段はない。人間だもの

人間不信は、特にこのような状況では発生しやすく、また止まりにくい。

そんな時だった。

 

「ふははははははは」

わかりやすい悪者笑い。

その発信源はベータテスターとレッテルを貼られたキリトのものだった。

最も、実際にベータ上がりなのだが。

 

キリトはパーティーメンバーとキバオウの方に立ち直り

「俺をあんな素人連中と一緒にしないでもらいたいな」

 

狂人を演じ始めたのである

 

「な、なんやて!」

 

「SAOのベータテストに当選した1000人のうちの殆どは

レベリングのやり方も知らない初心者だったよ」

 

「だ、だからなんや」

全く持ってだから何だという話である。

 

 

「いまのあんたらのほうがまだマシさ」

キリトはキバオウの方に歩きながら続ける。

「でも俺は違う。」

 

「俺はベータテスト中に、誰も到達できなかった層まで登った

ボスのスキルを知ってたのはずっと上の層で、似たような武器を使うモンスターとさんざん戦ったからだ」

冷静に、そしてかなり上から目線で見れる自分としては、

かなり嘘臭く聞こえるが、まあ嘘2割ってところか。

 

「他にも色々と知っているぜ

情報屋なんかと比べ物にならないくらいにな!」

狂人を演じるのは構わんが、キリト。お前すごく痛いぞ。

 

 

 

「なんや・・・なんやそれ。そんなのベータテストどころやない!

そんなんチートやチーターやろ!」

 

そんな嘘臭くて痛いセリフを真に受けるキバオウ。

茅場こんな人間不信から発生する事象を観察したかったんだろうか。

 

「そうだそうだ!」

「ベータじゃなくてチートかよ!」

「ベータとチーター 合わせてビーターだ!」

BetaとCheater合わせてBeaterだと。

 

英語的には泡だて器となる。なんだそら

 

「ビーター。いい呼び名だな、それ。そうだ 俺はビーターだ」

そして、泡だて器を自称するキリト。

 

「これからは元テスターごときと一緒にしないでくれ」

俺はキリトを「Beater(あわだてき)」と呼称することにした。

 

言い終わったキリトは、次の階層へと向かう階段。

ボスが居座っていた仏像台座の後ろにあるドアへと足を進めた。

 

「ちょっと待て。」

つい声をかけてしまった。面白かったからである。

顔には出ていない。出していないはずだ

 

「なんだ?」

 

「これ、もってけ」

俺はアイテムストレージから先ほど獲得した

厨二ネームな<<コートオブミッドナイト>>を選択。

譲渡を押した。

 

「俺には必要ねぇし、今のお前にはあったほうがいいだろう。」

主に更に面白く、そして厨二臭さを増すためである。

 

キリトは一瞬の間を置いて

「そうか、じゃあありがたく貰っておこう」

そう言って進もうとした瞬間

 

「待って!」

今度は女の声である。

この場に女はアスナ以外居ない。

 

「まだお礼を言ってない。」

お礼…ねぇ

 

 

キリトは何も言わず。パーティーコマンドから解散を選択。

自分の目の前にも解散通知が届いた。

 

「むしろ、俺が謝りたいくらいだ」

何についてかは考えるのすら面倒なのでやめておいた。

 

 

「君は強くなれる。だからいつか、誰か信頼出来る人にギルドに誘われたら、

絶対に断るなよ。ソロプレイには限界があるからな。」

そう言いながらソロへの道を確定させてしまった泡立て器さん。

 

「なら、あなたは…?」

キリトは答えなかった。

 

 

その後アスナは何も言わず、

 

 

キリトは第二層の扉の向こうへと消えていった。




ということで、泡立て器さんの誕生です。
今後もちょくちょく名前として使っていくかもしれませぬ

ようやくとこさ一区切りつける形になりました。
続きもかなり具体的にできてしまっているので、
もしかしたら「虚無と大戦」の方がちょっと・・・

虚無と大戦も書きなおしを検討しましょうか・・・
二度めの書き直し、三度手間。いつになったら完結するのやら。


リアルの方は
人類は衰退しましたを10回近くループさせて見てたので
かなり頭がゆるくなってきてます。

そして、12話でSAOに対する認識が大きく変わりました。
それに関しては「なろう」の活動報告辺りに書くかもしれません。

あー あたまいたいー
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