前半シリアスですが、後半は甘くしました。
今日も練習、そして一週間が終わった。今週の土日は練習が休みらしく、昨日も連絡が来た瞬間にリサに抱き着かれてしまった。そう、今日でキス禁止令から一週間が経つのだ。明日からリサはキス魔に戻ってしまうが、自重はしてもらわないといけない。
ライブハウスを出てからは各自解散となった。紗夜とあこもいなくなり、俺とリサ、友希那、燐子だけになった。
「リサ、やけにハルと距離が近いわね」
「え?そんなに近いかな?友希那の勘違いじゃない?」
「そうかしら?なにか怪しい......」
友希那がリサを見ている。マズイ、これはなんとかしないといけない。どうするか......。
「友希那、これは偶然なんだ!」
「偶然?」
「そう、偶然なんだ。偶々リサとくっついただけなんだよ。これは嘘じゃないからな!」
「......」
言った瞬間、友希那と燐子は呆然とした。頼む、気づかないでくれよ。気付かれたら洒落にならない。
「ハルがそう言うのなら偶々なのね。わかった。そういうことにしておくわ」
よかった。俺は安堵した。しかし、安堵したと同時に幼馴染みに嘘をついてしまったということに罪悪感を感じた。友希那、ごめん!
「あ、そうだ。陽希さん、渡したい物が......あるのですが......」
「渡したい物?」
「はい。この前、暇だったので......衣装を作ったんです。今井さんの分も......ありますので」
よかったら着てみて下さい、そう言って燐子は衣装の入った紙袋を俺に渡した。なんの衣装だ?燐子に聞こうとしたが、燐子は「聞かない方がいいですよ?」と語りかけるかのような笑顔をしていた。あ、これ聞いたらヤバいやつだな。
その後、燐子と友希那と別れ、俺とリサは帰宅した。今日は母さんと父さんが仕事で帰ってこれないらしい。しかも来週の月曜までいないとのこと。どうやら出張のようだ。
リビングに入った瞬間、リサに抱き着かれた。さっきの件だろうか?
「ハル、さっきはごめんね!」
「なんのことだ?」
「友希那に距離近いって言われたじゃん。付き合ってるのバレたかなって思ったから......」
そういうことか。俺はリサの頭を撫でて安心させるかのように抱き締めた。
「言っただろ。なにがあっても守るって」
「それは嬉しいけど、友希那に嘘ついちゃったね」
「そうだな。ホントに申し訳ない気持ちだよ」
バレちまったら友希那にどう説明しようか。バレるってことを考えると俺達はどうなるんだろう。あんまり考えたくないな。隠しているとこんなことまで考えてしまう。でも、仕方ないんだ。俺とリサはこの関係を隠していくと決めたのだから。
――これはもう仕方のないことなんだから......。
▼▼▼▼
次の日、アタシとハルは昨日燐子からもらった衣装がなんなのかを見ることにした。なんだろう?燐子が暇だから作ったって言ったけど、なにを作ったんだろう。
「ちょっと待て。これはさすがに......」
「うん、これはヤバいね」
ハルが紙袋から出した衣装とは......。
――執事服とメイド服だった。
......ちょっと待って!燐子は何を作ってんの!?ハルはまだしも、なんでアタシにメイド服を作ったの!?燐子はアタシ達のことをどんな目で見てるの!?
「あれ、手紙がある。燐子の直筆だな」
ハルはアタシ達宛ての手紙が入っていることに気付き、手紙を開けた。なにが書いてあるんだろう。
今井さん達へ。今回私が作った衣装はお二人なら似合うかなと思い、作ってみることにしました。私から見たらお二人は"付き合っているように見える"ので、暇があったら着てみて下さい。
「怖っ!燐子怖いよ!」
「いや待てリサ!付き合っているように見えるって書いてあるからバレたとは限らないだろ」
「そうだけどさあ。大丈夫かな?」
「大丈夫だ。大丈夫だと信じよう」
ハルはアタシを抱き寄せた。安心させようとしてくれてるのかな?それなら嬉しいけど......。突然だったからドキッとしちゃったよ!
「とりあえずコスプレのつもりで着てみるか?」
「そうだね。着てみようか」
アタシとハルはそれぞれ自分の部屋で着替えることにした。さすがに一緒だとマズイからね。しかし、ハルが執事服かあ。どんな感じになるんだろう。
想像していたら鼻血が出てしまった。何を想像してんのアタシは!?ハルが好きとはいえ、ここまで来ると重症だ。いや、重症どころじゃないなあ。
アタシは着替え終わり、ハルの部屋のドアをノックした。スカートの中がスースーする。でも幸いなことにスカートはロングスカートだった。今回は髪を下ろして見たけど、可愛く見えてるかな?
「ハル、入っていい?」
「どうぞ。準備出来てるから」
アタシはドアを開け、ハルの部屋に入った。すると、アタシの目の前には兄にして彼氏でもある執事が立っていた。
「リサ?おーい、リサー」
「な、なにハル!?」
「なにボーッとしてんだ?顔も赤いし」
「しょうがないじゃん!ハルが似合ってるんだからさあ!ハルはどう?アタシ似合ってる?」
ハルはアタシのことをじーっと見ていた。自分で言っといてなんだけど、恥ずかしい!ハルは似合いすぎてカッコいいし、アタシが前にあげた赤のゴムで髪を一つ縛りにしてる。オッドアイであるせいか、さらにカッコよく見えるとアタシは感じた。
もし、アタシが妹でお嬢様、ハルは兄で執事だったら、こんなコスプレもいいなと思ってしまう。執事とお嬢様が恋をする、禁断の恋みたいでいいかも!
「リサ、可愛いよ」
「ひゃあ!耳元で囁かないでよぉ......。声もイケメンだし」
「ごめんごめん。可愛かったからやっちまった。なんでも言うこと聞くから許してくれるか?」
なんでもかあ。ここはやっぱりアレにしようかな。先週は禁止にしてくれたんだから、今日はとことんやらないとね!
「じゃあ、キスしていいかな?」
「だと思ったよ。キスしていいよ、お姫様」
メイドなのにお姫様って、ハルそれ違うような気がするなあ。ハルは目を瞑ってる、準備は万端ってことだね。ふふっ、覚悟してねハル。
アタシは目を瞑り、唇が触れる程度のキスをした。今はこれだけでいいかな。お楽しみは後に残さないとね♪
「リサ、これだけでいいのか?」
「今はこれくらいでいいかなって思ってさ」
「そうか。なあリサ。俺からもお願いがあるんだけどいいか?」
「なに?なにかあるの?」
ハルのお願いを聞いた瞬間、アタシの顔は真っ赤になってしまった。
「無理!無理だよ!いくらハルでもこんなこと出来ないよ!」
「頼む!一回だけでいいから!お願いだ、この通り!」
「わ、わかったよ!やる、やるよ!」
ありがとう、リサ!と言ってハルはアタシを抱き締めた。全く、アタシの彼氏はなんでこんなに必死なんだろう。可愛いからいいか。
アタシは両手をグーにしてある構えを取った。こんなこと、友希那にしかやったことないのに!ハルに頼まれるなんて思わなかった!
「や、やるよ?」
「ああ、やってくれ」
ああ、もう!やるしかない!もうどうにでもなれ!
「......二、ニャン!」
うわあ、恥ずかしいよ!二人きりだからいいけど、友希那だったら間違いなく襲われてる。ハルはどんな反応なんだろ?
「リサ、ホントお前は......」
ハルはまたもアタシを抱き締めた。それも強くだ。そしてこんなことを言われた。
――可愛すぎだよ!
これを言われたアタシはハルの胸に顔を埋めた。今のアタシはニヤニヤしているかもしれない。ていうか絶対バレてるよね!?
「リサ、なにニヤニヤしてんだ?」
「してない!してないからね!」
「わかってるよ。どうせ言われて嬉しいんだろ?」
「う、嬉しくなんかない!」
ホントは嬉しい。ハルがアタシのことを可愛いと言ったんだ。嬉しくないはずがない。ハルには言えないよ、もっと可愛いって言ってよって。
「リサ」
「な、なに!?」
「呼んだだけだよ」
「呼んだだけなの!?もう、酷いよハル!」
結局アタシはハルに耳元で可愛いだったり、好き、愛してる等を言われてしまい、アタシは気絶してしまった。そして起きた瞬間にはハルに膝枕をされ、目が合った瞬間にキスをされ、ハルはアタシにトドメを刺してしまった。
やりすぎだよハル!嬉しくてニヤニヤしてるアタシもだけど!今日はハルに攻められまくってしまった。アタシって受けに回ると弱いんだなあ。どうにかならないかな?
後半はリサ視点多めにしました。
途中から投げやりな感じになりましたが、楽しんでいただけたら嬉しいです。
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