そして更新遅れました
「ハル、リサ。貴方達、付き合っているの?」
友希那の唐突な一言に俺とリサは固まった。何を言ったんだ、うちの歌姫は?俺とリサが付き合ってるのバレたのか?
「俺とリサが付き合ってる?」
「そ、そんなことないよ友希那!アタシとハルが付き合うなんて、絶対ないよ!」
ホントにそうかしら?、と友希那は眉間を寄せ、疑うかのような表情をして俺とリサを見つめた。あとリサ、絶対ないとか地味に傷つくからやめてくれ。
「リサとハルがそう言うということは正しい、という認識でいいのかしら?」
「それでいいよ友希那」
「俺とリサは兄妹。付き合うことはないよ。さ、昼休みも終わるから戻ろうか!」
先に戻ってるわ、と友希那は俺達を後にして戻っていった。
「......どうしよう、ハル」
「ヤバイなこれは」
リサが震えてる、相当怖かったんだな。もちろん俺も怖かったがな。このまま関係がバレてリサと離ればなれになるって考えると死にたくなる、そのくらいに怖かった。
俺はリサを安心させるために抱き締めた。
「リサ、大丈夫だから、俺が絶対に守るから」
「ハル......」
そうだ、俺は決めたんだ。何があってもリサを守ると。俺とリサが離ればなれになったらおしまいだ。付き合っているということを隠し通す、この罪を俺とリサは背負っているんだから。
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私は先に戻ると二人に嘘をつき、バレないようにドアを少し開けて隙間から二人の様子を覗いた。よく見ると、ハルとリサが抱き合いながらキスをしている姿が見えた。
「やっぱり、夢じゃなかったのね」
まさか正夢になるなんて、現実は残酷だ。これからどう二人と向き合えばいいのか私は迷った。今は知らないふりをして練習に集中しよう。
あと、このことは紗夜達に伝えたほうがいいのかしら?
「まずは二人に聞いた方がいいわね。でも、どうやって聞けばいいのか......」
さっき二人に付き合ってるかは聞いたから聞くことは難しいわね。遠回しに言っても気づかれる可能性もある、これは紗夜達を交えて作戦会議ね。
私は未だに受け入れられなかった。ハルとリサが付き合っているという現実を......。私は音を立てないようにドアを閉め、階段を降りて教室に戻ることにした。
――これから私は二人とどう向き合えばいいのかしら?
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ここ最近リサの様子がおかしい。どうしたんだ、一体何があったんだ?
――何か嫌な予感がする。
何なんだ、この胸騒ぎは?もしかして俺とリサの関係がバレたのか?もしそうだとしたら本当にまずい。お母さんとお父さんには関係はバレてはいないはずだ。
――まさか友希那に知られたのか?
俺はリサと話をするためにリサの部屋のドアをノックした。ドア越しから「待ってハル」と声がした。普通に聞こえるが俺には震え声に聞こえた。
「リサ、何かあったのか?」
「ううん、何でもない。ねえハル、話があるんでしょ?」
「そうだけどよくわかったな」
「それなんだけど、また今度でいいかな?」
それなら仕方ないな、と俺はリサの部屋に入ることをやめた。おかしい、いつもはすぐに話を聞いてくれるのに、今日のリサは変だ。リサに何があったんだ?
俺は今日はやめたほうがいいと判断し、自分の部屋に戻ることにした。関係がバレたっていう訳でもない、他に何があるんだ?リサが話を拒むってなると何かあったに違いない。
一旦出直そう。今日は寝てまた明日リサに話を持ち掛ければいいんだ。何もなければいいんだけどな......。
次の日、もう一度リサに話を持ち掛けようとしたがまたしても駄目だった。何故なら、また今度にしてくれと言われたのだ。
次の日も次の日も何回か話を持ち掛けようと試みたがそれでも駄目だった。それどころかリサの顔色は悪くなっていた。そのため、しばらく練習は休んだ方がいいと友希那から言われた。
「ごめんな友希那、大事な時期に」
「いいえ、ハルもリサも悪くないわ。私がもっと早くに気づいていれば良かった」
「それを言ったら俺が悪いよ」
「それならどっちもどっちよ。ハル、リサのことお願いね」
わかった、俺はそう言って家に帰ることにした。帰ろうとした瞬間に友希那に声を掛けられた。
「ハ、ハル!」
「なに友希那?どうしたんだ?」
「......いいえ、やっぱりなんでもないわ」
「そっか。練習頑張れよ、あと紗夜達にも練習出られなくてごめんって伝えといてくれるか?」
俺は友希那にそう伝え、自分の家に向かった。練習も大事だが、今はリサが心配だ。三日も話を持ち掛けられなかった、更にリサの顔色が悪い、明らかにおかしい。
俺は胸騒ぎを感じた。そしてリサに何があったのかを聞くために、家まで走ることにした。頼む、気のせいであってくれ!リサに何かあったら俺は......。
俺は玄関に着き、靴を脱いで二階に上がり、リサの部屋のドアをノックした。
「リサ、リサ!」
返事がない、寝てるのか?そう思っていると部屋から声がした。これは泣き声?まさかリサ、泣いてるのか?
「リサ、開けるぞ?」
俺はドアノブを回し、慎重にドアを開けた。その時、俺が目にした物はとてつもない状態だった。俺が目にしたリサは......。
――ベッドに座り、頭に毛布を被って泣いていたのだ。
「リサ......」
俺はリサの元に近寄り、彼女を抱き締めることにした。どうして気づけなかった!どうしてこんなになるまで放っておいた!俺は何をしていたんだ!
「リサ、なんで泣いてるんだ?」
「ハル、アタシ......」
「おいで、リサ」
リサは言われるがままに俺の元に近づき、胸に顔を埋めた。一瞬見えたが、目の下に隈が出来ているのが見えた。なんでこんなになる前に気づけなかったのだろう。いや、今はこんなことを言ってる場合じゃない。今はリサの側に居ることが最優先だ。
それからリサは泣いた。俺はなんて情けないんだろう、兄として彼氏として情けない。リサ、本当にごめんな。
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アタシはあの時、ハルと屋上でキスをしている時に一瞬見えた。扉がちょっとだけ空いていることに気づいていた。もしかすると誰かに見られたのかもしれない。
アタシはハルとの関係がバレたんじゃないのかと思い込み、ハルに話をしようと思ってアタシの部屋に来るように呼び掛けた。でも、アタシはまた今度にしようと話をすることをやめた。
――何故なら、怖かったからだ。
ハルに関係がバレたって言ったら怒られるかもしれない、この関係を終わりにしようって言われるかもしれないと思い、アタシはそう言われるのが怖かった。ハルと離れるのが嫌、ハルのことを避けるのは嫌だ。
それが原因でアタシは三日もハルに話をすることを断った。その時のアタシは気づかれないように泣いた。気が狂いそうなくらいに泣いた。
「ごめんねハル。こんなになるまで打ち明けられなくて......」
今のアタシは泣き止んでいた。ハルに二時間も慰められたからだ。泣いていた時はハルが恋しかった。でも、言うのが怖かった。
ハルの顔を見るとオッドアイの瞳から涙が流れていた。その涙は儚げに光っていた。ハルの表情はとても辛そうな表情だった。
「......バカ野郎。そんなこと言うわけないだろ」
ハルはそう言ってアタシを強引に抱き寄せた。そんなことを言うわけないってアタシはわかっていた。でも、言うんじゃないのかって半信半疑だった。生まれた時からずっと一緒で、ハルのことをずっと信じていた。たった一人の兄をアタシは疑ったんだ。
こんなことでハルを疑ったアタシはなんてバカなんだろう。アタシとハルは付き合ったからには兄と妹が恋をするという罪を背負うって決めたんだ。なのに、こんなことになったら意味がないじゃん!
「リサ、しばらく一緒にいてあげるから。何も怖がらなくていいんだ、もし友希那に知られたとかになったらちゃんと打ち明けよう」
「いいのハル?ハルはそれでいいの?」
「それでいいかって......。どうだろう、俺は思うんだ。友希那ならわかってくれるんじゃないかなって」
友希那ならわかってくれる?ハルにそう言われたらそうかもしれないって確信してしまう。アタシとハルはこの関係を隠している、それはつまり友希那や紗夜、燐子、あこを裏切っているも同然だ。
アタシはハルにキスを求めた。ハルはそれに応えてアタシに近づき、唇を重ねた。ああ、いい気持ちだ。心が落ち着く。今日はハルと一緒に寝よう。じゃないとまた狂ってしまうかもしれない。
――ハル、ありがとう。
このままストーリーは続きます