リサが友希那に何故俺のことを好きになったのかの理由を言った。聞いてる身としては恥ずかしいし公開処刑を受けている、そんな感じがして寒気がする。でもこれは仕方のないことなんだ。
リサの想いを友希那は真剣に聞いた。他のみんなも唖然とした表情をしている。そりゃそうだ、兄と妹が付き合うなんて世間では有り得ないし普通ではない。むしろ狂っているという方が正しいんだ。俺とリサは付き合ってしまったが故に歪んでしまった。
この歪な関係がバレないとずっと思っていた俺が甘かった、この関係がロゼリアの活動に影響が出てしまったらヤバいし、俺とリサは別れなければならない。わかっていてもリサを想う気持ちには逆らえない。
――妹に恋心を抱いてしまったらおしまいなんだ。
「......そういうことだったのね」
「うん、これで全部話したよ。隠しててごめんねみんな」
リサは友希那達に頭を下げて謝った。俺もリサが頭を下げた瞬間を見て慌てて謝った。友希那達には本当に申し訳ないことをしたな。許してくれなんて言わないしこの罪は背負うつもりだ。俺にとってリサは掛け替えのない大切な人だ。本音を言うと別れるなんてことはしたくない。
「リサ、ハル頭を上げて」
俺とリサは言われた通りに頭を上げた。何を言うんだ?
「ハル、そんなに怖がらなくてもいいわ。私は怒ってないから」
「今井さん、陽希さん。私達も湊さんと同じです。怒るところなんて全くないですよ。むしろ喜んでいいことです」
友希那と紗夜は微笑んで言った。なんでそんなことを言うんだ?俺とリサはこれだけのことをしたのに、なんで......。
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アタシは友希那と紗夜の意外な一言に涙を流した。アタシにはわからなかった。どうして友希那がこんなことを言ったのか。怒っていない、それだけでも安心するのに紗夜は喜んでいいと言った。
でも安心した。その一言が聞けてよかった。その一言だけでもアタシは救われたような気分だ。
「待ってくれ紗夜。俺とリサは関係を隠していたんだぞ。喜んでいいなんておかしくないか?」
「いいえ陽希さん。私からしたら喜んでいいことですよ?」
「そんな......。もしかして友希那も同じなの?」
「もちろん、あこと燐子も同じよ」
「安心して下さい今井さん、私達も同じ気持ちですから」
「ハル兄、リサ姉、あこも同じだよ!」
アタシ達はなんて幸せ者だろう。普通は批判されてもおかしくないのに、ここまで祝福されるなんて思わなかった。ハルもみんなに祝福されて唖然としていた。その表情は衝撃を受けたかのような感じだった。
「......ありがとう。まさかこんなこと言われるなんてな。俺はてっきり何で言わなかったんだって怒られるかと思ってたよ」
「昔の私ならそう言ってたわ。でも今は違う、大切な幼馴染みが結ばれたことは喜ばしいことだから喜んで当然よ」
「湊さんに同感です。兄と妹が付き合うなんて本当はあってはならないことですが、私からしたらそんなことは関係ないです」
紗夜はあっさりと断言した。紗夜がここまで言うなんて凄い。でも紗夜なら日菜と実は付き合ってましたなんていうのはありそうで怖い。
というかハル泣きそうになってるけど、みんなの前では泣かないようにしてるんだね。アタシも泣きそうだ。もう耐えられないよ。
アタシは涙を堪えられなくなり、涙を流した。関係がバレてロゼリアにいられなくなるのが怖かった。ハルと離ればなれになるのが怖かった。そんな辛い想いをして凄く怖かった。でもよかった、アタシとハルは別れることはなかったんだ。それだけでも嬉しかった。
「今井さん、泣きすぎですよ」
「だって、だってぇ......」
「でもよかったです。私も涙が出そうです」
「りんりんも!?てかハル兄泣きすぎだよ!」
「そんなこと言われてもしょうがないだろ。怖かったんだよ」
アタシもそうだけど、ハルが一番涙を流していた。アタシとハルは本当に双子だなって改めて実感した。
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あれから数時間、俺は色々なことを聞いた。どうやら俺とリサが付き合っていたことは気づかれていたようだ。友希那とあこはわかってはいなかったらしく、紗夜が壁ドンの件を聞いた時と燐子が執事とメイドの衣装を渡していた理由は俺とリサが付き合っていたのかを試そうとしていたからやった、とのことだった。
――気づいていたのなら言ってほしかったな。てかさっきの感動台無しじゃねえか。
今度お祝いのパーティーをやろうとあこから提案があった。これにはみんなも賛成してくれたようだ。さらにどさくさ紛れに友希那と燐子がラブソングを作ろうとしたが、それはまずいと俺とリサで止めた。しかも紗夜は「ぜひとも作りましょう!」と賛成していたそうだ。なんか紗夜が吹っ切れてたんだけど心配だな。
みんなが帰って夜、俺とリサは色々とあったせいか互いに寄り添い合った。今日は本当に疲れたな。でも友希那はまだしも一番の問題はお母さん達が俺とリサが付き合っていることを知っているかだ。
もし知っているとしたらどんなことを言われるか、考えるだけでも寒気がする。あまり考えたくはないな。
「今日はお疲れ様ハル」
「リサもお疲れ様、ホントに大変だったな」
「ホントだよ。何か言われるかと思ってたけど、予想斜め上を行ったね。お祝いの言葉を言われるなんてね」
本当にそうだ。兄と妹が付き合うなんて有り得ないことなのに友希那達は祝福してくれた。どれだけ喜ばしいことか、俺とリサは幸せ者だ。これで離ればなれになることはなくなったな。
俺とリサは
もし実の親に今すぐ別れろと言われたらどうする?そんなことを言われればリサと心中するかもしれない。首を包丁で切るか海まで行って身を投げるか、どっちかをやるかもしれない。
――でも、そんなのはごめんだ。
俺の中でそんな言葉が過った。リサを幸せにする、そう決めた以上死ぬわけには行かない。今度は親に付き合っていることを伝える。覚悟はできている、今伝えないと機会がなくなってしまう。
「リサ、お母さん達に付き合ってること言いに行こうか」
「やっぱり言うんだね。アタシも覚悟はできてるよ」
そうか、俺はリサを見守るかのように言った。それなら安心だ。お父さんに殴られるかもしれない、お母さんに罵られるかもしれない。怖いけれど言わないとな。いつまでも隠す訳にはいかない。それが友人や親なら話は別だが、見知らぬ人に俺とリサの関係は言う必要はない。
覚悟を決めた俺とリサはお母さん達に話があると言ってリビングのテーブルにある椅子に座って付き合っていることを話した。嫌なことが起こると思っていたら、「え?知ってたわよ」とお母さんが言った。
「お母さん、知ってたのか!?」
「知ってたわよ。だってリサがハルと一緒に寝てたところ見てたし」
「全く、二人が付き合ってたなんてお父さん嬉しすぎて涙が出そうだよ」
こんな予想外の言葉を聞き、リサの顔は真っ赤になり俺も唖然としてしまった。なにか嫌な予感がすると思っていたが、お祝いの言葉をもらうなんて予想してなかった。いや、予想できるわけがない。
俺とリサはお母さんとお父さんにおめでとうと言われ、親の前ではあるが二人で喜びながら抱き合った。本当によかった。怖かったけれど、みんなにここまで祝福をされるなんてな......。
――リサのことを好きになって本当によかった。
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アタシは怖かった。友希那達に嫌われるんじゃないのかと思っていた。けれど違った。
おめでとうと言ってくれた。お母さん達にまで言われた。アタシとハルは兄妹同士で付き合うというとんでもないことをしでかしたのにみんなは祝ってくれた。どうして祝ってくれたんだろう。
アタシはハルのことは好きだ。最初は兄として見ていたけれど、途中からその想いは変わってしまった。異性として見るというあってはならない歪な想いに変わったのだ。
そのせいでアタシとハルは歪んだ。この関係がいつまで続くかはわからない、でもこの想いは捨てたくないしハルのことをずっと好きでいたい。
だからアタシは何度でも言う。ハルのことが好きだと。何があってもこの想いは捨てたくないと。
今回のことでわかった。アタシはハルのことが好きだって。ハルの妹でよかったって思ったよ。
――ハル、貴方のことを好きになってよかった。
途中で作風変わってましたがこの作品は恋愛系です