リサが猫になってから三日、いつになったら戻るのか。この茶色の猫がリサだとわかった時は泣きそうになった。わかっただけでも嬉しかった。
その肝心のリサはというと、俺の膝の上でぐっすりと寝ていた。呑気なもんだな。寝顔が可愛いから許すけど……。
「リサ、お前はいつになったら戻るんだ?俺は恋しいよ、抱き締めたいよ」
早くリサに甘えたい、早く元に戻ったリサに会いたい。俺は机に置いてある小説を読むことにした。気を紛らわせるかもしれない。リサに会いたい、でも待つしかない。
リサの背中を撫でる、こうしていると落ち着く。猫といるのも悪くないけれど、
「リサ、ご飯にするぞ」
「……にゃあ」
俺はリサを起こして昼飯にすることにした。時間は十一時半、少し早いけど昼飯を済ませるか。その後リサと戯れよう。今日は牛肉炒めでいいかな。
昼飯を済ませて三十分、俺はリビングでソファーに座ってリサと戯れることにした。猫じゃらしで遊んだり、頭を撫でたりと普通のことをした。こうすれば、満足して元に戻るかもしれないと思ったからだ。
――リサ、早く帰ってきてくれ。
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ご飯を食べてアタシはハルから距離を置いていた。何故かというと、ハルが猫用のブラシを持って近づこうとしているからだ。なんか怖いんだけど!?
「リサ、怖くないからこっちに来てくれ。ほんの一瞬だ。気持ちよくなるだけだから!」
そんなこと言ってアタシを滅茶苦茶にするんでしょ!わかってるよ、ハルはアタシをどうしたいのか、スリスリしたいんでしょ!
ハルが一歩近づく度にアタシは一歩後ろに下がる。そんなことを繰り返していたら壁まで追い込まれてしまった。このまま逃げたいけど、それでもハルは追っ掛けてくる。あんまり騒ぐと近所迷惑になるし……。
「追い詰めたぞリサ。さぁこっちに来るんだ!」
アタシは観念してハルの所に行くことにした。ふんだ!屈したりはしないよ!そのブラシは友希那から借りた物だってことはわかってる。ブラッシングごときにアタシは屈したりはしないんだからね!
――そう思っていた時期がアタシにもありました。結局……。
「どうだリサ、気持ちいいだろ?」
「にゃあ~」
――屈しました!気持ちいいです!
アタシは堕ちてしまった。何気にハル上手いけど、練習でもしたのかな?まあいいや。しかしこれは案外イケるなぁ、ああもうダメ、癖になるよ。このままハルの膝の上で寝ていたい。
それからブラッシングは終わった。アタシは気持ちよくなりずきて立つことが出来なかった。元に戻ったらハルの首筋舐めてやろう、それで仕返ししてやるんだからね。
「さてブラッシングは終わったことだし、どうするか……。リサ、何かしたいことあるか?」
「にゃっ!」
「寝たい?そっか、気持ちよくなったからか。わかった、こっちにおいで」
ハルは正座して自分の膝をポンポンと叩き、アタシを来るように誘導した。アタシはハルの膝の上に乗って体を丸めた。うん、ここは落ち着く。まさにアタシの特等席だ。
「よしよし。やばい、俺も眠くなってきたな。いいや、このまま寝よう」
「にゃあ?」
「大丈夫だよリサ、寝てていいよ。俺はこのまま寝るから」
そう言ってハルは目を瞑って正座をしたまま眠った。なんか申し訳ない。こうなるとハルは意地でも動かないからなぁ。仕方ない、アタシも寝るか。
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重い瞼を少しずつ開ける。何時間寝たんだ?外を見ると、空が赤くなっていた。もう夕方か。大体二時間くらい寝たのか。俺は膝元に目を向け、リサの様子を見ることにした。あれ?頭みたいなのが乗ってるけど、何なんだ?
俺はもう一度膝元を見た。ん?茶色の髪に猫っぽい顔……。まさか!?
「ん~どしたのハル~?」
「リサ……だよな……?」
「え?どういうこと?ってあれ!?アタシ戻ってる!?」
リサは起き上がり、自分の姿を見て驚いた。無理もない、いきなりのことなんだから驚くに決まってる。俺はリサが戻ったことに安心し、リサを抱き締めた。
「ちょハル!?」
「よかった、本当によかった。心配したんだぞ……」
「ごめんねハル!心配掛けてごめんね!」
俺とリサは互いに涙を流しながら抱き合った。たった三日、三日だけだけど心配だった。このままリサは帰ってこないんじゃないのかって思ってた。
でも本当によかった。リサが戻ってきてくれた。それだけでも嬉しかった。俺はすぐに友希那に連絡してリサが戻ったことを伝えた。伝えて数分、友希那はすぐ俺の家へとやってきた。はええよ。
「リサ、本当にリサなの?」
「友希那ごめんね。迷惑かけちゃって、心配してたよね?」
「当たり前でしょ!貴女を心配しない人がどこにいるのよ」
友希那は半泣きになりながらリサを抱き締めた。さて、元に戻ったか道具返しておかないとな。
「それにしてもリサ、貴女どうやって元に戻ったの?」
「それがわからないんだよね。何で戻ったのかアタシにもわからなくてさ……」
リサ自身でもわからないなんて不思議だな。そもそも人間が猫になったこと自体が不思議だ。まるで夢でも見ているみたいだな。
俺はすぐに夕飯にすることにした。今日は筑前煮にしよう。友希那も交えて、リサが元に戻った記念に作ろう。この三日間、俺とリサにとっては謎の日常だった。生まれて初めて経験したことで、神隠しにでもあったかのような体験をした。
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「それにしてもハル、ブラッシングなんであんなに上手かったの?」
「あれか?あれは偶々だ」
「偶々?それにしては上手過ぎるよ。おかげでアタシは気持ちよすぎて立てなかったんだからね!」
「ごめんって。やめろ、腕をつねるな。痛いから」
アタシはさっきの仕返しにハルにくっついて腕をつねった。これはアタシが立てなかった分だ。そしてもう一つは――
――アタシを気持ちよくした分だ。
アタシはハルをベッドに押し倒してハルの顔を見つめた。受けに回ると可愛くなるなぁ。その表情、ゾクゾクするよ。
「ハル、今からナニするかわかってるよね?」
「ナニって何だよ!?顔こええよ!」
「ハルはいっつもアタシを攻めるでしょ?たまには攻めに回るのもいいでしょ?」
「それはいいけどさ……。リサって可愛いよな」
「っ!?な、何を唐突に言ってるのかな!?」
ああもう調子狂うなぁ!ハル絶対楽しんでるよね?SなのかMなのかわかんないよ。そうやってアタシを惑わすんだ。そんなことをしても無駄だよ。
アタシはハルの首筋をねっとり舐めた。ああいい、ハルの顔がどんどん歪んでくる。その耐えてる表情もまたいい。元に戻る前に色々されたんだ。今度はアタシがハルを気持ちよくする番だ。
今度は唇を奪い、舌を入れる。息が辛くなるくらいに舌を舐め合い、舐め終わった頃には銀の糸が出来上がる。ヤバい、アタシもおかしくなってきた。
この盛りは深夜まで続いた。でも互いに初めては捧げてないから、そこは問題ない。問題ないけど、次の日、アタシとハルは二人して起きるのが遅くなってしまった。
猫物語終了です
ラスト書くことなくて適当になりましたが、とりあえず終わりになります