12月は早くも中旬に入った。クリスマスライブに向けて練習を始め、俺とリサは練習の時は普通に、二人きりの時は一緒にいる、といういつも通りの過ごし方をした。
あの時、リサに起こされて慰められ、俺は何とか壊れずに済んだ。今後のことも未だに話せてない。俺とリサが肉体関係を持てば、別れることなく幸せになれる。なれるのはいいが、それは罪を重ねるということを意味する。
本当にそれでいいのか?また手を汚すのか、俺はまたこの手でリサを汚すのか?いや、もう手遅れか。すでに俺とリサは穢れている、それは変えようのない事実だ。
「ハル、ハールー」
「何、リサ?」
「どうしたの?また考え事?」
「ま、まあな……」
やっぱり言えない。怖い、今まではリサを慰めていた側なのに、今の俺はとてつもなく臆病だ。情けない、こんなんじゃリサの兄もとい彼氏失格だな。
「ねえハル、明日デートに行かない?」
「デートに?練習の後にか?」
「うん。明日は午前で終わるから帰ってから行こうよ。息抜きも大事だよ?それにさ……」
今のハル、元気ないからさ。リサは両手で俺の手を包みながら言った。心配してくれてるんだ。ライブも控えてるし、臆病になってたら駄目だ。リサは前向きになってる。それに控え、俺は後ろ向きになってる。
これじゃあ駄目だな、俺はリサのデートの誘いを受けることにした。そうだ、たまには息抜きも大事だ。リラックスしよう、それで、リサにちゃんと話をしよう。向き合うんだ、二人でこれからのことを!
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よかった、ハル元気になってくれた。寝顔を覗く、よかった、安心してる。魘されてるような感じになってたけど、今は大丈夫だ。ハルは何か隠してる。さっき考え事をしてたから、凄く大事なことなんだ。それもアタシとハルが関係してる。
アタシはハルを抱き締めながら眠りに就いた。安心させたい、側にいてあげたい。今のハルは壊れてしまう、せめて……今だけでもいいから、アタシが守ってあげよう。
次の日、練習を終えてアタシとハルはデートを始めた。circleを出る前、友希那達からあることを言われた。ハルを元気にしてあげて、こういうことを出来るのはリサ姉しかいない、と。皆、気づいてたんだ。ハルの様子がおかしいことに。
「任せて、皆。アタシがハルを元気にするから」
今回のデートに全てを賭けよう。アタシはハルの妹で恋人だ。彼氏が困っているのなら彼女が助けないといけない。片方が欠けていては双子であることに意味がない。きっとハルは大事な事を話すかもしれない。それだけは用心しよう。
アタシとハルはデパートでウィンドウショッピングをしたり買い物をしたり、プリクラを撮ったり、色々なことをした。デートをしていた時のハルはとても楽しそうだった。少しは元気になれたかな……。
途中でハルが何かを買ったようだけど、何だろう?まぁ、アタシも同じだから人の事言えないか。
ーーそう、これはクリスマスプレゼントに備えて買ったんだ。ハルとアタシを結ぶ繋がりでもある。
夜の8時、アタシはハルを部屋に呼んだ。ここからだ、ここからが正念場だ。覚悟は出来てる。アタシはハルに話し掛けた。隠していた事を話してもらうからねハル。
「リサ、呼んだってことは何か話があるんだろ?」
「ううん、アタシからはないよ。ハルにはあるんでしょ?」
「俺にはある?何を……」
「隠さないで。最近のハルおかしいよ?ねえ、何があったの?教えてよハル」
ハルは頑なに口を開かなかった。アタシじゃ力になれないのかな?いや、力になれなくてもいい!なれなくてもいいから話を聞きたい。ここで下がったら駄目だ!
「リサ、本当にいいのか?」
「うん、アタシは覚悟は出来てる。だから教えて」
「……わかった。今から話すことは俺とリサにとって凄く大事なことだからな?」
わかった、アタシは頷いた。そしてハルは口を開いた。それはアタシが思っていたよりも深刻な物だった。ああ、アタシはなんて馬鹿なんだろう。どうしてもっと早く気づけなかったんだろう。アタシとハルが付き合うにおいて重要なもの、結婚が出来ないことと"肉体関係"を持つか持たないかのどちらかという困難な物だった。
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言いたくなかった。だが、リサに話さないと何も進まない。言ってしまえば彼女を傷つけてしまう。早くに言うべきだった。付き合い始める時に言えばここまで深刻にはならなかった。今のリサの表情は唖然としていた。
「リサ、黙っててごめんな」
「アタシはわかってた、けどハルは怖かったんでしょ?」
「ああ怖かったよ。どうして早くに話せなかったんだって、話したらリサを傷つけるんじゃないのか、そんな想いで怖かった」
怖かったとかでは収まらない。死にたいなんて思いたいくらいだ。でも、そんなことをしたらリサを一人にしてしまう。こうなった以上、選ぶしかない。
俺はリサの両肩を掴み、リサの顔を見つめた。二人で決めよう、今後どうするかを……。ここで決めるしかない、ここで答えを出すんだ。
「リサはどうしたい?」
「え?どうしたいって何を……?」
「えっと、このまま初めてを……あげるか……。ああもう恥ずかしい!」
「ハル、一旦落ち着こう!アタシもこれは口に出せない!」
だから言いたくなかったんだよ!恥ずかしいし、俺とヤるか?なんてストレートに言えないし、初めてを捧げる?とか言っただけで駄目だし、何で俺ここまでウブなんだよ!
俺とリサは顔を赤くした。ヤバい、余計気まずくなった。話し合いどころじゃない。これじゃあ進まないし、どう収拾付けよう。
「じゃ、じゃあさこうしない?クリスマスライブの後にヤるってことにしない?」
「クリスマスライブの後に?それならいいか、てかよく言えたな」
「言えたなってこれでも恥ずかしいんだよ!?もう、ハル、アタシ顔熱いよ!」
「わかった、わかったから!揺らすな!」
はぁ、一先ず解決かな?この雰囲気ならなんとかなったかもな。なんか悩んでたのが馬鹿みたいに思えて来たな。とりあえず話し戻すか。
「その、リサはいいのか?結婚出来ない中で俺に初めてを持あげるなんて」
「アタシはそれでもいい。幸せになれるのならそれでもいいの。結婚を犠牲にしてハルに初めてをあげられるのなら本望だよ」
リサは強気に、俺に訴えるかのように言った。逆になったな。あの時、俺はリサに怖かったかと聞いた。リサは怖かった、それは俺も同じだ。それが今度は逆に聞かれるなんて……。リサは強くなったな。
俺とリサは答えを出した。結婚を犠牲に互いに初めてを捧げると。リサは本望だと言った。それなら俺も同じだ。リサがそうなら俺も本望だよ。まずはクリスマスライブを成功させよう。それを乗り越えてその後が本番だ。
双子は答えを出した、後は実行あるのみ