陽希の設定変更しました
目の色が変わっただけです
左が青、右が黄緑に変更です
詳しくは3話をご覧下さい
6月に入り、梅雨の時期に入った。この時期に入ると雨が連日降ることがある。そうなるととても厄介で、湿気でジメジメしてしまう。
今日は練習はないみたいだ。さっき友希那から連絡が来て「各自個人練習で。練習は怠らないように」とのことだ。友希那は先に帰ったようで、リサはあこと一緒にダンス部の活動をしている。因みに料理研究部は今日は休みだ。
――そういえばリサは傘を持ってきたのか?
図書室で時間を潰しているが、とても静かだ。話し声も音もほとんどない。
そして、俺の心も静かだった。まるで孤独感を感じさせるかのように、ポツポツと降っている雨に一人取り残されたかのように静かだ。
あれから俺がリサに感じていた想いがなんなのかを考えていた。でも、全くわからなかった。リサは甘えるようになった。これまでは休みの時だけだったのに、今では毎日甘えてくる。
なにがあったんだ?なにか胸騒ぎがする。俺はあの時、リサに対してなにかを感じた。そのなにかは何なんだろう?知りたいという好奇心と、知ったら後戻りできないという恐怖に俺の心は押し潰されそうになっていた。
リサはわかってくれるのだろうか。この想いを伝えた時、俺とリサの関係はどうなってしまうのか。やめよう、今は考えない方がいい。これ以上考えると死んでしまうかもしれない。
「なんで体が震えてるんだ?なんで......」
――こんなにも切ない気持ちになるんだ?
こんな気持ちは初めてだ。普通を装うしかない。とにかく、リサだけじゃなく友希那達にもバレないようにしよう。バレたら厄介だ。でも、こんな状態でリサにバレたらどうなる?俺は"リサの兄"としていられるのか?
沈黙を破るかのようポケットに入れていたスマホが振動した。リサからだな。俺はスマホの画面を見て、リサから連絡が来たことを確認した。
「部活終わったから昇降口で合流しよう。あと、あこは巴と一緒に帰るからね、か」
とりあえず昇降口に行くか。普通にしていよう。とにかく、考えない方がいい。
俺は心を落ち着かせるために深呼吸をした。少しは落ち着いたかな。気持ちを切り替えよう、雨が降ってるから風邪引かないようにしないと。
▼▼▼▼
私は昇降口でハルを待っていた。今日は傘を忘れちゃったけど、ハルは傘を持ってきている。多分だけど、ハルと相合い傘になるかもしれない。
幸いなことに、今日は友希那とあこは先に帰ったから実質ハルと二人きりだ。
「あら、リサ?」
「友希那じゃん!どうしたの?」
「ちょっと忘れ物をしてしまって、取りに戻ってきたところよ」
友希那が忘れ物をするなんて珍しい。何を忘れたんだろう?
「何を忘れて来たの?」
「ちょっと楽譜の入ったファイルを机の中に入れたままにしてしまったのよ」
「珍しいね、友希那が忘れ物だなんて」
友希那は顔を赤くして反論した。可愛いなあ。ハルとは違う可愛さだ。
「た、偶々よ。私だって忘れ物をしてしまう時だってあるわ」
「ごめん、ごめん!拗ねないでよ友希那~」
「別に拗ねてなんて......」
拗ねてるようにしか見えないよ。友希那は楽譜の入ったファイルを取りに教室へ向かった。ハル遅いなあ、今どこにいるんだろ?気になっていた時、ちょうどハルの姿が見えた。
「リサ、遅くなってごめん!」
「待ってたよハル」
「さっき友希那と会ったけど、何かあったのか?」
「楽譜の入ったファイルを忘れちゃったみたいで教室に戻ったんだ」
「そっか。友希那でも忘れ物する時あるんだな」
ハル、それアタシがさっき言ったよ。友希那に言ったらまた怒られそうだ。気を付けようかな。
「リサ、傘どうした?」
「ごめん、家に置いてきちゃったんだ。折り畳み傘もなくてね」
「わかったよ。しょうがない、今日は一緒に傘に入って帰ろうか」
えっ、ホントにやるの!?アタシの予想通り本当に相合い傘をやることになった。他の人にはバレたくないなあ。できればアタシとハルの二人だけの秘密にしたい。
ハルは傘を開いてアタシに入るように誘い、口元を微笑ませて笑顔で言った。
「帰ろうか、リサ」
「う、うん......」
――今のハル、なんかかっこよかったな。
▼▼▼▼
俺はリサが濡れないように自分の元に引き寄せるようにした。肩がくっつくけど、しょうがない。今俺は普通を装ってるけど、俺の想いがリサにバレるんじゃないのかっていう恐怖に怯えていた。
今でも体が震えている。見た目からしたら寒いのかっていう風に見えるだろう。でも、違う。
本当に怖いんだ。もしバレたら俺とリサは一緒にいられないんじゃないのかって思ってしまって、今にも泣きそうになっている。
「ハル、大丈夫?なんかあったの?」
「い、いや何でもないぞ」
「本当にそう?」
「そうだよ。リサこそ寒くないか?肩濡れてないか?」
大丈夫だよ、とリサは言った。よかった、大丈夫みたいだ。リサが大丈夫なら心配はいらないな。ていうかこれ......。
――家に着くまで続くんだよな?持つかな俺の心。
▼▼▼▼
アタシ達はなんとか家に着いた。はあ、ドキドキしたあ。ハルと相合い傘なんて久しぶりだよ。しかも気まずかったし、二人共無言だったし......。
ハルからタオルを被せられ、頭を拭かれた。うう、髪がぐしゃぐしゃになるよ。
「待ってリサ、じっとしてて。拭いてやるから」
「ハル、髪がぐしゃぐしゃになるよ~」
「後で梳いてあげるから、我慢してくれ」
ハルに髪梳いてもらえるなら我慢しよう。あと、シャワー浴びなきゃだ。雨ってホントに嫌だなあ。濡れたらやることがいっぱいだから、それが面倒だ。
「よしできた。リサ、先にシャワー浴びてきていいぞ」
「いいの?」
「いいよ。レディファーストだ」
ハルはアタシの頭を撫でて微笑んで言った。その時、アタシはドキッとした。え、何!?なんなのこのドキドキは!?
わからない。急にドキッとするなんて......。やめよう、ハルのことを意識しちゃう。アタシはシャワーを浴びに行くことにした。頭を冷やそう。それで忘れなきゃ!
アタシはシャワーを浴び、その後ハルもシャワーを済ませた。今アタシ達はハルの部屋に二人きりだ。
「くしゅん!」
「大丈夫かリサ!?」
「だ、大丈夫。アタシは平気だよ!」
正直言うと寒い。でもハルに心配を掛けたくないから、我慢しよう。そんな時、ハルはアタシの体に毛布を掛けてくれた。
「いいのハル?」
「寒そうにしてただろ?放っておけないよ」
「ハルも寒いでしょ?」
「ああ、寒いよ。でもこうすれば寒くないよ」
そう言ったハルは、アタシに掛けた毛布を片方の肩に掛けた。待って!?そんなことされたらアタシの身が持たないよ!
「ハル、恥ずかしいよ!」
「ごめんなリサ。今はこうしていたいんだ」
「え?」
「なんていうか、その......。リサとくっついていたいってところかな」
え、くっついていたいってアタシどう反応したらいいの?
▼▼▼▼
俺はリサにくっついた。どうしてかわからないが、今はリサが恋しかった。なんでこんなにも切ないんだ。なんでこんなにも......。
――胸が苦しいんだ。
「ハル大丈夫?」
「大丈夫だよ。急にくっついたりしてごめんな」
「いいよ。でもハル」
――なんで泣きそうになってるの?
え?泣きそうになってる?いや、そんなことは......。
俺の頬には透明な雫が伝って落ちていた。なんでだ?なんで、泣いてるんだ俺は?
俺はリサを強く抱き締めた。泣いてるところを見られたくないがために抱き締めた。もうだめだ、俺の心はグシャグシャになっていた。
「ハ、ハル!?」
「ごめん、しばらくこうさせて」
俺は目を瞑って泣いていないと自分に言い聞かせた。堪えよう、リサに心配は掛けないようにしないと!
▼▼▼▼
あれからどれくらい経ったんだ?泣き止んだけど、リサはどうしてるんだ?
「あ、ハル起きた?」
「あれ、起きたってことは寝てたのか俺?」
「うん、寝てたよ」
今リサに膝枕されてるのか。なんでこんなことになったのやら。はあ、情けない。俺は体を起こして背伸びをした。
「リサ聞かないのか?」
「え、何を?」
「俺が泣いてたこと」
本当に恥ずかしい。まさかリサに泣いてるところ見られるなんて、兄として恥ずかしいな。
「聞かないよ」
「え、聞かないのか?」
「うん。ハルになにかあったのかなって思ったけど、聞かない方がいいかなって」
リサ、お前はそうまでして聞こうとしないんだな。なんて優しい妹なんだ。こんなにもリサは優しいんだな。兄として誇りに思うよ。
「ハル、今日は一緒に寝ていい?」
「いいよ。俺もリサと一緒に寝たいって思ったからさ」
「そうなんだ。なんか嬉しいな」
「なにが?」
「アタシとハルが同じ気持ちだったことが嬉しくてね」
リサは顔を赤くして言った。本当に可愛いなリサは。今日は一緒に寝よう。そうすれば、安心できるかもしれないから。
――でも、俺とリサは知らなかった。
――次に起こる悲劇を。もう、俺とリサは後戻りできないということを。
とりあえずここで終わりです
感想と評価お待ちしてます