陽だまりの双子と恋のロードナイト   作:ネム狼

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今回は長いです
急展開になりますが、本編どうぞ


禁断の恋の始まりは後戻りできない関係の始まりでもある

 もう夜になった。俺とリサは一緒に寝ようと言ったが、実はまだ寝ていない。理由は眠れないからだ。

 

「リサ、何で膝に乗ってる?」

「えっ、駄目だった?」

「いや、駄目じゃないけどさ......」

 

 眠れないからといって膝に乗るって、ホントに甘えん坊だな。それにしてもさっきから何なんだ?リサと一緒にいると落ち着いてくる。それはいつものことだ。

 

 でも、いつもと違う。癒されるような、暖かいような、そんな感じだ。けれど、気づきたくない。気づいてしまったら戻れなくなってしまう。警鐘を鳴らすかのように俺の心臓はバクバクと鳴っていた。

 

 どうしたらいいんだろう。気づくべきなのか、それとも気づかないまま蓋をしてしまおうか。どちらを選べばいいんだろう。

 

「ハル大丈夫?顔色悪いけど」

「そうか?そんなことはないと思うけど......」

「アタシの気のせいかな?」

「気のせいだよ。心配しなくても大丈夫だから」

 

 顔に出てたか。今はリサから離れたくない。離れたら俺は泣いてしまうかもしれない。絶対にリサに気づかれちゃ駄目だ。気づかれたら俺とリサは本当に戻れなくなる。

 

 

――俺がリサのことを好きになってしまったという想い。

 

 

――この想いは俺にとって禁断の果実だ。

 

 

 絶対に受け入れてはいけない。これは気のせいだ。例え好きであってもそれは妹だからっていうことだ。決して異性として見てはいけない。見てしまったら最後、戻れなくなる。

 

 正直もうわからなくなっていた。俺はリサのことは"妹として"好きだ。でも、それがわからなくなってきたんだ。妹としてなのか、異性としてなのか。リサのことをどう見たらいいのか、それがワカラナイ。

 

 俺とリサは双子の兄妹だ。兄妹が恋人になるなんて、そんなのあってはならない。そうなってしまったら家族はどうなる?俺達の生活はどうなる?周りからどんな目で見られる?それが怖い。でも、俺が一番怖いのは......。

 

 

――俺とリサが恋人になってしまったら、リサが俺のことをどう思うか。

 

 

 それが最も怖い。リサから嫌いだと言われたら、俺は生きていけない。俺はそれほどまでにリサのことを好きになってしまっていた。なんで......ナンデ......。

 

 

――コンナオモイヲシッテシマッタノダロウ?

 

 

「ハル、ハル!」

「な、なにリサ?」

「本当に大丈夫?手、震えてるよ」

 

 俺は膝に乗せてリサを抱き締めている手を見たら、本当に震えていた。いつからだろう、俺はいつからこんなに臆病になったんだ?リサの関係が変わってしまうかもしれない、それが原因なんだ。きっとそうなんだ。

 

 俺はリサを強く抱き締めた。

 

「どうしたのハル!?」

「ごめんリサ」

「ハル......」

「ごめんな、本当にごめんな」

 

 離れたくない、リサと離れたくない!ずっと一緒にいたい!でも、俺はどうしたらいいんだ?リサに打ち明けるべきなのか?そんなことしたら、俺はどうなる?リサはどう思う?

 

「リサ」

「なにハル?」

「しばらく一緒にいてくれないか?離れたくない」

「アタシもだよハル。アタシも離れたくないよ」

 

 リサは優しく言った。駄目だ、泣きそうだ。泣いちゃ駄目だ。泣いたら俺の想いがリサにバレる。全部忘れよう。これは夢なんだ。気のせいに決まってる!

 

 

――でも、忘れられなかった。忘れたくなかった。

 

 

 リサのことを好きになった。この想いだけは忘れたくなかった。忘れてしまったら、俺とリサは離ればなれになってしまう。その想いが俺の頭を過った。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 いつからだろう。ハルのことを意識するようになったのは。わからないや。アタシはハルの妹だ。でも、最近のアタシはおかしい。

 

 ハルのことをどう見たらいいのかわからなくなってきた。兄としてなのか、異性としてなのか。どっちなのかわからなくなってきたんだ。アタシはわかっていた。気づいてはいけない想いだっていうことを。

 

 気づいてしまったらアタシとハルはどうなってしまうんだろう。一緒にいられない、それとも兄妹ではなくなってしまうのか。アタシはどっちも嫌だ。

 

 けれど、わかってしまったんだ。気づいたら絶対に戻れない。なんでわかっちゃったんだろう?

 

 

――ハルのことを好きになってしまったっていうことを。

 

 

 アタシはハルのことをどう見たらいいんだろう。兄としてなのか異性としてなのか、もうわからなくなっている。兄としてならまだわかる。それは兄妹だから変わらない。でも、異性としてだと、恋人ってことになる。

 

 気づきたくなかった。アタシはもう戻れなくなっていた。いや、気づいてしまった時点で手遅れなんだ。ハルのことは兄として見よう。そうした方がいい。

 

 アタシはそれでいいのかな?本当にそれでいいのか、本当はハルと恋人になりたいんじゃないのか?そんなことを思ってしまう自分がいた。

 

 ねえハル。アタシ、苦しいよ。恋に憧れたって言ったけど、こんな苦しい想いをするのなら恋なんてしたくない。ハルとずっと一緒にいた方が断然マシだ。ハルと離れたくないし、一緒にいたい。

 

 その時、なにかを感じた。あれ?この震えは何?アタシは周りを見て何が起きているかを調べた。えっ!?ハルの手が震えてる。どうしたのハル!?なにかあったの!?

 

「ハル、ハル!」

「な、なにリサ?」

「本当に大丈夫?手、震えてるよ」

 

 さっきからおかしい。ハルの顔は青ざめてるし、手も震えている。ハル、なにがあったの?なにをそんなに怖がってるの?

 

 ハルの抱き締める力が強くなった。苦しい、ハルってこんなに力あったっけ?まるで、離れたくないって言ってるかのようにアタシを離さない。

 

 ごめん、本当にごめんな。ハルは謝ってばかりだった。ハルのこんな顔を見ると胸が苦しくなる。それに、ハルの目から涙が少しだけ出ていた。ハル、どうしたの?そんなに辛そうな顔をして。

 

 ハルは一緒にいたい、離れたくないと言った。アタシは同じだよ、離れたくないと返した。ハルの表情は変わらなかった。辛そうな表情だった。ハルを助けられないかな?

 

 

――ねえ、ハル。アタシに出来ることはないの?

 

 

 助けようにもアタシも混乱している。ハルのことを兄としてか異性として、どっちを選ぶべきなのかがわからなくなっていたんだ。アタシはどうしたらいいのかな?

 

 

▼▼▼▼

 

 俺とリサはベッドの上に向き合った。もう、わからないな。どうしたらいいのかもわからない。俺はリサに話があると言われた。なんだ話って?俺に話すことなんてないはずだ。

 

「ハル、ホントにおかしいよ!」

「なにがおかしいんだ?俺は至って普通だよ」

「じゃあ、なんでそんなに辛そうにしてるの!」

 

 それは決まってる。リサ、お前のことをどう見たらいいのかに迷っているんだよ。俺は気づいてしまったこの想いを抑えるのに必死なんだよ。リサはわかってくれるのか?俺のこの苦しみを。実の妹を一人の女の子として意識してしまったこの罪悪感を。

 

「リサ」

「な、なに?」

「リサはさ、俺のことをどう想ってる?」

「そんなの決まってるよ!アタシはハルのこと好きだよ!」

 

 好きだよ!その言葉を聞いた瞬間、俺の糸は切れた。

 

 

――もう、駄目だ。抑えられない!

 

 

「リサ、ごめん」

「っ!?」

 

 俺はリサを押し倒してキスをした。俺は奪ったんだ。リサの唇を奪った。そうだ、妹の初めてのキスを兄である俺がこの手で奪ったんだ。もう、戻れない。戻れなくなってしまった。

 

 許してくれリサ。こんな兄を許してくれ。いや、許してはくれないだろうな。一生リサに恨まれるだろう。それでもいい。

 

 

 

――もう、いいんだ。

 

 

 

――俺はリサのことを妹としてではなく、一人の女の子として好きになった。それが俺の出した答えなんだから。

 

 

 

▼▼▼▼

 

 アタシは何をされたの?ハルは今何をしたの?

 

 気づいた時には遅かった。アタシはハルに押し倒されてキスをされたんだ。奪われた。アタシのファーストキスをハルに奪われた。なんでこんなことをするのハル?酷いよハル。おかしいよ。

 

 

――でも、おかしいのはアタシも同じだった。

 

 

――ハルにキスをされたけど、全く嫌じゃなかった。

 

 

 不思議といい心地がした。もっとキスがしたい。ハルが欲しい!アタシは自分の舌をハルの口の中に入れた。あーあ、ファーストキスなのに今度はディープキスまでしちゃった。

 

 ハル、アタシこそごめんね。こんな妹でごめんね。でもアタシは普通の兄妹なんてもう嫌だよ!気づいちゃったらもう無理だよ!

 

 ハルがアタシにキスをしたということはハルはアタシのことが好きだってことだ。それは、アタシのことを女の子として意識してくれたってことなのかな?でも今はいいや。

 

 今はハルとキスをしていたい。ハルはアタシのことを逃がさないように指を絡めてきた。いいよハル。許してあげる。アタシはそんなハルも好きだよ。

 

 ディープキスまでしたってなると、アタシとハルはもう"元の関係"には戻れないってことだ。これからは恋人としてってことになるのかな?なんかもうわからないや。これはハルと話し合えばいいや。

 

 ハルとキスをしているこの時間が一生続けばいいのに。アタシとハルはお互いに舌を絡めた。互いを求め合い、互いを感じていたい、今のアタシとハルはそんな感じだった。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 激しいディープキスだった。キスが終わってどのくらい経ったんだろう。俺とリサはベッドの中で一緒に寝ていた。といっても枕が一つしかないが、リサに腕枕をしてあげてるから問題ないと思う。それとリサは両手を絡めて俺に抱き着いている。

 

「リサ」

「なあにハル?」

「さっきは本当にごめんな」

 

 俺はリサに想いを込めて謝った。そりゃそうだ、実の妹の初めてのキスを奪ったんだ。それは許されることではない。

 

「もういいよハル」

「え?」

「許してあげるって言ってるの」

「いいのかリサ?」

「いいに決まってるじゃん!」

 

 本当にそれでいいのか?俺は許されないことをしたんだぞ。なんでそう簡単に許せるんだ?

 

「アタシとハルはもう恋人。それでいいじゃん!」

「恋人って言っても兄妹だろ俺達」

「ハル、それはなしだよ」

「なしってそんな......」

 

 じゃあどうするんだよ?こんなのお母さんやお父さん、それに友希那達にも言えないぞ。

 

「ハル、アタシ達付き合ってるの二人だけの秘密にしない?」

「いいのか?」

「アタシはそうしたい。なんか"二人だけの秘密"って恋人みたいだし、共有してるみたいでいいじゃん!」

「言われてみれば嬉しいけど、本当にそれでいいのか?」

「ハルはアタシとの関係、秘密にするの嫌?」

 

 リサは耳元で囁いた。それズルい!そんなことされたら断れないじゃん!

 

「嫌じゃないよ。秘密って響き、なんかいいな」

「でしょ!ねえハル」

「なに?」

「大好きだよ」

「俺も大好きだよ」

 

 俺とリサは互いにキスをした。もう戻れなくなったな俺達。付き合ってることは秘密にしないといけない。これは俺とリサの二人だけの秘密だ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 ハルとキスをしてアタシとハルは眠りに着いた。アタシとハルはもうモヤモヤとしていなかった。今は心が暖かい。兄と妹が恋をするのは本当にいいのかな?

 

 でもいいや。アタシはハルのことが好き、ハルはアタシが好き。答えが出てるからいいんだ。

 

 これからもハルに甘えよう。甘えん坊って言われてもいい。アタシはハルのことを好きになってよかったって思ってる。アタシの兄で彼氏、アタシはハルの妹で彼女。いいな、こういう関係。

 

 もう前の関係には戻れないんだ。お母さん達にも友希那達にもバレるわけにはいかない。約束したんだ、二人だけの秘密にするって。

 

 アタシとハルは恋人になった。なら、二人で墜ちるところまで堕ちよう。

 

 兄と妹が恋人同士になった時点で墜ちてるんだ。もう戻れないし、手遅れだからね。

 

 

 

 

 

 

――結ばれてしまった双子。始まってしまった禁断の恋。

 

 

――誰にも止められない二人の歪んだ恋愛、それは兄と妹の秘密にして禁断の恋でもある。

  




とうとう結ばれてしまいました。
リサ作品の回で一番やりすぎましたが、満足しています。
これからは甘かったり、歪んだり、日常な物語がありますので、ご期待下さい。
結ばれてもシスコンとブラコンは続きます。
感想と評価お待ちしてます。

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