心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

14 / 53
第13話 開く心

夜見は湖まで飛んだ辺りで地面に降りた。地底への穴は森の中にあり、空からは見えないからである。

 

夜見(急がないとな)

 

そして夜見は、森の奥へ走って行った。

そしてしばらく走っていると、周りがだんだん暗くなっていった。

 

夜見(さすがに奥まで行くと、暗くなってくるな)

 

そして夜見が奥まで進むと、ある異変に気付いた。

 

夜見(...おかしい、さすがにここまで暗くなるか?)

 

夜見は立ち止まって周りを見渡すと、辺りは真っ暗でなにも見えなくなっていた。

すると夜見は空気中の血を広げて、周りに何があるかを調べた。

そして夜見は、あることに気付いた。

 

夜見(...誰かいるな 妖精...ではないな)

 

すると夜見は、声をかけられた。

 

?「ねぇ、あなたは人間?」

 

そして夜見は、警戒しながら返事をした。

 

夜見「...あぁ、そうだ」

 

すると、夜見はとんでもないことを言われた。

 

?「じゃあ、食べてもいい?」

 

夜見(は?今なんて?)

 

すると夜見は横に倒れるように、移動した。

 

?「むー、避けるなー」

 

そう、夜見は噛み付かれそうになったのでそれを避けたのだ。夜見は周りが見えないが、血を操れるおかげで、相手の動きを把握できた。

 

そして夜見は相手をしてる暇は無いと思い、周りの木などにぶつからないように走り始めた。

 

?「逃げるなー」

 

しかし、相手も夜見を追いかけてきた。だが、

 

ゴンッ

 

夜見(え?)

 

?「いったーい」

 

夜見(...もしかして、見えてない?)

 

夜見は振り返えると、周りが少し明るくなった。そしてそこには、木の近くで少女が頭を抱えてしゃがんでいた。

 

その少女は金髪のショートヘアーで、頭には赤いリボンを着けていた。服装は黒い服とロングスカートを着ていた。

そして夜見はその少女に話しかけた。

 

夜見「...誰だ?」

 

?「うー、いたーい」

 

夜見「...はぁ」

 

すると夜見はその少女の手をどかして、その少女の頭を見た。

 

夜見(怪我は無いな...てか、なんで俺に噛み付こうとした相手にこんなことを)

 

そんなことを思っていると、少女は再び噛み付こうとしてきた。しかし夜見は、その少女の肩を両手で押さえて防いだ。

 

夜見「...懲りないな」

 

?「むー、お腹減ったー」

 

夜見(いや、そう言われても...)

 

そして夜見は再度名前を聞いてみた。

 

夜見「...名前は?」

 

?「私の名前?私はルーミア あなたは?」

 

夜見「...黒夜夜見」

 

ルーミア「黒夜ー、食べさせろー」

 

ルーミアはそう言って夜見に噛み付こうとするが、夜見は肩を押さえて防いだまま、夜見はルーミアに聞いてみた。

 

夜見「...お前は、妖怪か?」

 

ルーミア「うん、そう 私は人喰い妖怪、だから食べさせろー」

 

夜見「...いい加減にしろ」

 

ルーミア「...はぁ、お腹、減った」

 

夜見(...はぁ、仕方ない)

 

すると夜見は刀で自分の手を浅く斬って、血を出した。そしてその血を能力で飴玉ほどの大きさに丸めた。

 

夜見(人喰い妖怪だけど、食うか?)

 

そんなことを思いながら夜見は、ルーミアにその血の玉を差し出した。

 

夜見「...血だけど、食うか?」

 

ルーミア「わあ、いただきます」

 

するとルーミアはその血の玉を受け取って、口の中に入れた。するとルーミアは多少満足している様子だった。

 

ルーミア「おいしー」

 

夜見「そうか、じゃあ」

 

そう言って夜見は急いで地底への穴へと向おうとしたが、ルーミアに服を掴んだ。

そして夜見はルーミアに聞いた。

 

夜見「...なんだよ?」

 

ルーミア「ねえ、もっと無いのかー?」

 

すると夜見は再び血を操り、今度は5個の血の玉を作った。そしてそれを、ルーミアに渡した。

 

夜見「ほら、これで終わりだ」

 

ルーミア「わあ、ありがとー」

 

するとルーミアは服を離したので、その隙に夜見は地底への穴へ向かった。

 

しばらく走っていると、夜見は地底への穴を見つけた。そして夜見はその穴へ急いで入った。

しばらく進んでいると、そこにヤマメがいた。

 

ヤマメ「やぁ、黒夜 久しぶり」

 

夜見「ヤマメさん、久しぶりだな すまないが、急いでるんだ 話をするなら、また今度にしてくれ」

 

ヤマメ「いやいや、そうじゃないんだよ」

 

夜見「え?じゃあ、どうしたんだ?」

 

するとヤマメはこちらを睨みながら、こう言った。

 

ヤマメ「あんたは地底を出ていったのに、なんでのこのこと地底に来れるの?」

 

夜見「...は?」

 

夜見は確かにさとりに出ていけと言われて出ていったものの、夜見は地霊殿から出ただけで、決して地底から出ていったつもりはなかった。そもそも夜見は、最初から少ししてから帰ろうとしていた。

 

夜見「いや、違う 多分それは誤解だ」

 

夜見はヤマメが勘違いしてると思って、誤解を解こうとしたが、ヤマメはこう言った。

 

ヤマメ「じゃあ、こんな噂は知ってる?」

 

するとヤマメは、その噂というものを言った。

 

ヤマメ「地底に来た人間は、私達を(さげす)む為にここに来たって話」

 

それを聞いて、夜見は驚いた。夜見は人だろうと妖怪だろうと別に差別はせず、1人の存在として認識をしていた。

しかし、何故か夜見が地底の妖怪達を蔑んでいるという噂が流れていた。

そして夜見はその噂を否定した。

 

夜見「その噂は嘘だ 別にお前達を蔑むなんてことはしてない」

 

ヤマメ「おかしいと思ったんだよ、なんで人間が普通に地底に住んでるんだろうって まさかあんたが、ずっと嘘をついてただなんて」

 

しかしヤマメは、夜見の言葉を全く信用していなかった。

 

夜見(なんでそんな噂が広まったんだ?まさか、さとりさんが?いや、それは無いはず...)

 

夜見はそんなことを考えていたが、ヤマメは夜見に考える暇など、与えなかった。

ヤマメはいきなり夜見に向かって、弾幕を放ったのだ。

 

夜見「くっ!?」

 

しかし夜見はそれを間一髪で、バックステップをして避けた。そして夜見はヤマメに訴えかけた。

 

夜見「待て!ヤマメさん その噂は誤解だ!」

 

ヤマメ「うるさい!人間! あんたなんて誰が信じるか!」

 

そしてヤマメは再び弾幕を放ってきた。それを夜見は真っ向から受けた。

 

夜見「ぐっ!?」

 

するとヤマメは夜見を睨みながら、質問をした。

 

ヤマメ「...あんた、なんで避けなかったんだ?」

 

夜見「...うるせぇ、もう終わりか?」

 

夜見がそう言うと、夜見は再び弾幕を真っ向から全て受けた。その結果、夜見はボロボロになっていた。

そしてヤマメは聞いた。

 

ヤマメ「...どういうつもり?」

 

すると夜見はその質問にこう答えた。

 

夜見「うるせぇ、気が済むまで俺を攻撃しろよ それでヤマメさんが満足するならそれでいい」

 

するとヤマメは夜見に、弾幕を放つのを止めた。そしてヤマメは言った。

 

ヤマメ「...どうやら、誤解だったみたいだね」

 

夜見「信じて、くれるのか?」

 

するとヤマメは笑顔で言った。

 

ヤマメ「だって、嘘をついた人間が、抵抗もしないでやられようとするなんておかしいからね あと、疑ってごめんね」

 

夜見「いや、謝るのはこっちの方だ 誤解を招くような行動をして、本当にすまなかった」

 

ヤマメ「でも、なんで地底から出たんだい?」

 

夜見「あぁ、それは...」

 

そして夜見は、何故地底から出たのかをヤマメに話した。するとヤマメは夜見にこう言ってきた。

 

ヤマメ「そうか、それは災難だったね」

 

夜見「あの時は感情が不安定だった こいしさんに当たったことは本当に悪かったと思ってる」

 

ヤマメ「でも、あんただったらすぐ仲直り出来るでしょ?」

 

夜見「あぁ、多分な ところで1つ聞きたいんだが、噂はどこまで広まってる?」

 

するとヤマメは少し不安そうな顔をした。

 

ヤマメ「...恐らく、地底全体に広がってるよ」

 

夜見「なら不味いな 誤解を全体に解くなんて無理だぞ」

 

ヤマメ「そうだね、あんたを見つけたら、地底の全員が襲ってくるだろうね」

 

すると夜見は、ある策が思い浮かんだ。

 

夜見「...なぁ、ヤマメさん 1つ頼みたいことがある」

 

ヤマメ「ん?どうしたんだい?」

 

すると夜見は、ヤマメにある考えを教えた。するとヤマメは、その考えに賛成した。

 

ヤマメ「わかった ちょっと待ってて」

 

するとヤマメは、地底の奥へと進んでいった。しばらく待っていると、ヤマメはあるものを持ってきた。それは白い大きなフード付きマントだった。

 

ヤマメ「こんなもんだけど、どう?」

 

そして夜見はそれを受け取ると、早速被ってみた。

 

夜見「大丈夫だ しかし、良く出来てるな」

 

ヤマメ「わかってるだろうけど、それ、蜘蛛の糸で出来てるんだよ?気持ち悪いとか無いの?」

 

実は夜見の被っているマントは、蜘蛛の糸で出来ているマントだった。夜見は蜘蛛の糸でマントを作るように、ヤマメに頼んだのだ。

 

夜見「まったく無い、ありがとう じゃあ、行ってくる」

 

ヤマメ「気を付けてね」

 

そう言って夜見はフードを深く被り、地底の奥へと進んでいった。

しばらく進んでいくと、旧地獄街道が見えてきた。

 

夜見(ここを進めれば、問題ない)

 

そして夜見は旧地獄街道を進んだ。周りからは不審な目で見られていたが、夜見だと勘づかれていないようだった。すると後ろから声をかけられた。

 

勇儀「おぉ、黒夜じゃないか」

 

それは勇儀だった。すると周りの目線が一気にこちらに集まり、ざわめき始めた。そして勇儀はお構い無しに話し始めた。

 

勇儀「どうしたんだ?黒夜、こんなところで?」

 

夜見「...人違いじゃないか?」

 

勇儀「何を言ってるんだ?黒夜を見間違うはずないだろ」

 

すると周りの鬼の1人が夜見に叫んだ。

 

鬼「お、お前か!蔑みに来た人間は!?」

 

すると勇儀はその声に反応した。

 

勇儀「は?黒夜、どういうことだ?」

 

そして夜見は、勇儀に噂が流れていることを話した。

 

夜見「ある噂が流れてるんだ 俺が地底に住んでる奴らを蔑んでるって」

 

すると勇儀は、急に不機嫌な様子になった。

 

勇儀「...へぇ、そうかい」

 

すると勇儀は先ほど叫んだ鬼に近づき、その鬼の頭を鷲掴みした。そしてその鬼は、とても震えていた。

 

鬼「ひぃ!?あ、姉御!?」

 

すると勇儀は満面の笑みで、鬼に聞いた。

 

勇儀「なぁ、どういうことだ?黒夜が私達を蔑んでるって?」

 

鬼「お、俺は知らねぇよ!そういう話を聞いたんだ」

 

勇儀「へぇ、誰に?」

 

鬼「居酒屋の奴らが、そうしゃべってたのを聞いただけだ!本当だ!」

 

勇儀「そうかい、わかった」

 

すると勇儀は鬼の頭を離した。そして勇儀は夜見にこう言った。

 

勇儀「じゃあ、私はちょっと居酒屋に行ってくるよ」

 

すると夜見は、勇儀を呼び止めた。

 

夜見「おい、勇儀さん 俺を疑わないのか?」

 

すると勇儀は笑いながら、こう返した。

 

勇儀「何を言ってるんだ?黒夜がそんなこと言う奴じゃないってことはわかってるよ それじゃ」

 

そう言って勇儀は、地霊殿とは反対の方向へ行ってしまった。

 

夜見(すまないな、勇儀さん)

 

そして夜見は走って地霊殿へと向かった。

そして夜見は地霊殿に着くと、飛び込むように地霊殿に入り、フードを下げた。地霊殿内は明かりが付いておらず、真っ暗だった。

 

夜見(...みんな、寝てる時間か ひとまず、さとりさんの部屋まで行くか)

 

すると夜見は、さとりの部屋の前まで行った。そして夜見はさとりの部屋に入ろうとする。

 

夜見(...なんだ?この胸騒ぎ...何か、何かが違うような...)

 

すると夜見は何故か、こいしの部屋の前まで来た。そして夜見はこいしの部屋に入り、小声でこいしを呼んだ。

 

夜見「こいしさん、いるか?

 

しかし、こいしの姿はどこにもなかった。こいしのベッドを見るが、寝ている訳でもなかった。

 

夜見(...一体どこに?)

 

こいし「お兄ちゃん?」

 

夜見は後ろを振り向くと、そこにはこいしがいた。だが、夜見は違和感を感じた。

 

夜見(...この感じ、どこかで...)

 

すると夜見は、夢での違和感と同じだということに気付いた。そして、こいしのサードアイを見てみるとなんとサードアイは開いており、夢で見たようにとても濁った瞳だった。

 

夜見「な!?こ、こいしさん!?」

 

こいし「えへへ、お兄ちゃん」

 

そしてこいしは夜見に、ゆっくり歩み寄った。しかし夜見は、それと同時に後ろに下がってしまう。

 

夜見(な、なんで開いて!?まさか、俺が原因で!?)

 

するとこいしは、夜見を押し倒した。そして夜見は、こいしのベッドに倒れてしまう。

そしてこいしは夜見の胸の上に乗り、こう言った。

 

こいし「お兄ちゃん、ごめんね でも、もう大丈夫だよ♪」

 

そしてサードアイが、夜見の目の前まできた。だが、特に何も起こらなかった。

 

夜見(...なんだ、一体?...ん?これは、水?)

 

すると夜見は顔に、水が落ちてきていたことに気付いた。そしてこいしを見ると、こいしが泣いていた。

 

 

【挿絵表示】

 

 

こいし「なんで?なんでお兄ちゃんの心が読めないの!?」

 

夜見「こ、こいしさん?」

 

夜見は困惑していたが、こいしは1人で勝手にしゃべり続けた。

 

こいし「私が心を読めないせいで、お兄ちゃんが出ていったのに!なんで!なんで!心が読めないの! お兄ちゃんの心を、私が読めなかったばかりに!お兄ちゃんの為に、心を開いたのに!どうして! なんで!なんでなの! お兄ちゃんがやり直せばいいって、言ってくれたから!私は心を開けたのに!なんでお兄ちゃんの心が読めないの! 待ってて、お兄ちゃん!今、心を読んであげるから!」

 

しかし、こいしが夜見の心を読めている様子は無かった。するとこいしは震え始めた。

 

こいし「お、お兄ちゃん お願い、出ていかないで 嫌だ、嫌だ、もう、あんな悲しい思いはしたくないの もう、嫌われて、1人ボッチになるのは、嫌だ、嫌だよ」

 

すると夜見は、こいしのことを急に抱き締めた。

 

こいし「お、お兄ちゃん?」

 

するとこいしは、あることに気付いた。

 

こいし「...お兄ちゃん?なんでお兄ちゃんが、泣いてるの?」

 

そう、何故か夜見が涙を流していて、その涙がこいしの頬に触れたのだ。しかし夜見は何故自分が泣いているか、さっぱりわからなかった。

 

夜見(なんで?なんで俺は、泣いてるんだ?)

 

すると夜見は、自分が泣いている理由に気付いた。

 

夜見(...あぁ、そうか 一緒だ、一緒だったんだ こいしさんの思いは、嫌ってほどわかるのに)

 

すると夜見は、こいしに謝り始めた。

 

夜見「ごめん、こいしさん、あの時、こいしさんに当たって 寂しい思いをさせて、本当にごめん こいしさんの思いは、嫌ってほどわかるのに、俺は、本当に、本当に」

 

するとこいしは、夜見の言葉を否定した。

 

こいし「違う、違うよ、お兄ちゃん 私が、心を読めないせいで、お兄ちゃんが」

 

夜見「いや、こいしさんは何も悪くないよ 全部俺のせいだ こいしさんは、心が読めなくたっていいんだ だって、それがこいしさんなんだから」

 

そして夜見は、こいしのサードアイにそっと触れた。するとこいしは、夜見に聞いてきた。

 

こいし「え?お兄ちゃん、今、悲しいの?」

 

何故かこいしは、夜見を気持ちを読み始めた。そして夜見はこう返した。

 

夜見「悲しいよ、だって、こいしさんを悲しませたんだから」

 

するとこいしは、そっと夜見を抱き締めた。

 

こいし「ううん、もう、悲しくない お兄ちゃんが、帰って来てくれたから 私のそばにいてくれてるから 私は、もう悲しくない」

 

夜見「...そうか」

 

こいし「ねぇ、お兄ちゃん」

 

夜見「ん?どうした?」

 

こいし「え、えっと、そ、その、私、お兄ちゃんのこと...」

 

こいしが何かを言いかけた時、扉が開いた。

 

ガチャ

 

するとそこには、さとりがいた。

 

さとり「こいし!さっき、一瞬誰かの心の声が...え?く、黒夜...さん?」

 

夜見「...さとりさん」

 

するとさとりは、膝から崩れ落ちる様に座り込んだ。

 

さとり「黒夜さん、帰って来てくれたんですね」

 

そしてさとりは目に涙を浮かべた。

 

さとり「良かった、本当に、良かった」

 

そして夜見は起き上がり、こいしをベッドに座らせて、さとりの元へ近づいた。

 

夜見「さとりさん、ごめん 急に出ていったりして」

 

夜見がそう言うとさとりは、夜見に抱き付いた。

 

さとり「ごめんなさい!出ていってと言ってしまって!」

 

そして夜見は、さとりの頭を撫でながら言った。

 

夜見「大丈夫、さとりさん さとりさんが本当に出ていって欲しいって思ってなかったことは、わかってたよ」

 

さとり「じゃあ、なんで、なんで出ていったんですか?」

 

さとりの質問に、夜見はこう答えた。

 

夜見「...ごめん、その理由は言えない」

 

さとり「な、なんでですか!?や、やっぱり、私が出ていってと「でも、これだけは言える」

 

すると夜見は、さとりの言葉を遮って言った。

 

夜見「さとりさん、ごめん そして、ただいま」

 

さとり「...はい、お帰りなさい 黒夜さん」

 

するとさとりは、笑顔を夜見に向けた。そしてこいしが夜見の服を引っ張った。するとさとりは夜見から離れ、夜見が振り向くと、こいしも言った。

 

こいし「お帰り、お兄ちゃん」

 

夜見「あぁ、ただいま」

 

すると、こいしのサードアイが閉じ始めた。そしてサードアイが完全に閉じると、こいしは夜見に抱き付いてきた。そして夜見もこいしを、軽く抱き締めた。

 

こいし「お兄ちゃん、大好き♪」

 

夜見「そうか、ありがとう」

 

すると、さとりの後ろから、燐と空も現れた。

 

燐「さとり様?こんな夜更けに何を騒いで...え?黒夜さん?」

 

空「ん?黒夜さん?帰り遅かったね」

 

すると燐は夜見に近づいて、怒鳴り始めた。

 

燐「また!またか!黒夜!

 

さとり「やめなさい!お燐!」

 

するとさとりが燐にやめる様に言った。そして燐はさとりに言った。

 

燐「え?で、でも、黒夜が出ていって...」

 

さとり「その件は私のせいです、黒夜さんは何も悪くありません!」

 

すると夜見はさとりに言った。

 

夜見「いや待ってくれ、さとりさん 出ていったのは俺のせいだ」

 

するとさとりは、夜見の言っている意味が理解できていない様子だった。

 

さとり「え、黒夜さん?何を言って?」

 

夜見「さあ、燐さん 殴りたいなら気が済むまで殴れ、それが俺の償い方だ」

 

さとり「な、黒夜さん!?何を言ってるんですか!?」

 

こいし「お兄ちゃん?急にどうしたの?」

 

夜見はこいしを下ろすと、燐に向かって言った。

 

夜見「さあ、俺を殴れ 罰を受けるのは当然の報いだ」

 

さとり「黒夜さん!?なんで黒夜さんが罰なんか受けなきゃならないんですか!?」

 

こいし「そうだよ、お兄ちゃん お兄ちゃんは、何も悪くないんだよ?」

 

しかし、夜見は言った。

 

夜見「言っただろ?俺が悪いんだ、だから俺が罰を受ける 何がおかしいんだ?」

 

燐「...本当に、いいの?」

 

さとり「お燐!?何を言って!?」

 

すると燐は、夜見の顔を思いっきり殴った。そして夜見は後ろに倒れた。

するとさとりは、燐に怒鳴った。

 

さとり「お燐!何をしてるの!

 

燐「さとり様、気付いてあげてください」

 

さとり「はぁ!?何を言って「黒夜さんの覚悟なんですよ、これが」...え?」

 

すると夜見は、殴られた頬を擦りながら起き上がった。

 

夜見「いってぇ、でも、さとりさんや、こいしさんの痛みはこんなもんじゃない わかってんのに、これ以上に痛みは受けられねぇんだよな」

 

さとり「黒夜さん、何を言ってるんですか!」

 

夜見「...さとりさん」

 

するとさとりは、夜見に近づいて怒鳴った。

 

さとり「ふざけないでください!

 

そしてさとりは、夜見に言った。

 

さとり「悪いと思うんなら、私達と一緒にいてください!なんでそんなこともわからないんですか!?」

 

しかし夜見は俯きながら言った。

 

夜見「...でも、俺は罪の償い方をこれしか知らねぇんだよ」

 

夜見は拳を握った。するとさとりは言った。

 

さとり「だったら、私達が教えてあげます!今の罪の償い方を!黒夜さんは今、私達と一緒にいてくれることが、罪の償い方です!」

 

すると夜見は呟いた。

 

夜見「...いいのか?俺がいて こんな俺が、ここにいていいのか?」

 

するとさとりは、笑顔で言った。

 

さとり「当たり前じゃないですか、黒夜さんは家族なんですから」

 

すると夜見はこの幻想郷に来て、初めて笑顔になり、そしてさとりに言った。

 

夜見「ありがとう、こんな俺を、家族って呼んでくれて」

 

さとり「ふふ、これからも、よろしくお願いしますね」

 

こいし「お兄ちゃん、これからもよろしく♪」

 

燐「黒夜さん、これからもよろしくね」

 

空「黒夜さん、これからもよろしく~」

 

夜見「あぁ、みんな、いろいろ迷惑かけると思うが、よろしく」

 

そして夜見は、再び地霊殿に戻ることができ、これから家族として過ごすことになった。

 

さとり「さあ、もう深夜ですし、そろそろ寝ましょう」

 

さとりがそう言うと、さとり、燐、空はみんなにおやすみの言葉を交わした。

 

さとり「おやすみ、黒夜さん、こいし、お燐、お空」

 

燐「おやすみなさい、黒夜さん、さとり様、こいし様、お空」

 

空「みんなおやすみ~、じゃあねぇ」

 

そう言って夜見とこいし以外は自分の部屋に戻って行った。そして夜見もこいしにおやすみと言った。

 

夜見「こいしさん、おやすみ じゃあ、また明日」

 

そして夜見は部屋を出ようとしたが、こいしは夜見の服を掴んだ。

 

夜見「ん?どうした、こいしさん?」

 

夜見は振り向いてこいしに聞くと、こいしは言った。

 

こいし「...ねえ、お兄ちゃん もう一度、心、覗いてもいい?」

 

夜見「あぁ、いいぞ」

 

すると、こいしのサードアイが開き始めた。やはり、こいしのサードアイは濁った瞳をしていた。

しかし、こいしは心が読めていない様子だった。

 

こいし「あれ?なんで?」

 

夜見「ん?どうした?」

 

そして夜見がこいしのサードアイに触れた瞬間、こいしは笑顔になった。

 

こいし「あ、読めた♪お兄ちゃん、幸せなんだ」

 

夜見「読めたか?良かったな」

 

そして夜見はこいしの頭を撫でると、こいしは喜んでいる様子だった。

 

こいし「えへへ、ねえ、お兄ちゃん」

 

夜見「どうした?こいしさん」

 

こいし「今日は、私が寝るまで一緒にいて」

 

こいしがそう言うと、夜見は笑顔で答えた。

 

夜見「あぁ、いいぞ」

 

するとこいしは、自分のベッドに入った。そして夜見は、こいしのベッドの近くで座った。

そしてこいしは、夜見にこんなことを言った。

 

こいし「ねえ、お兄ちゃん 何かお話してよ」

 

夜見「話?話ねぇ じゃあ、俺が昔聞いた話でいいか?」

 

夜見は、フランドールに話したお話を聞かせようとした。そしてこいしは、笑顔で頷いた。

 

こいし「うん、いいよ」

 

夜見「そうか、じゃあ話すぞ」

 

そして夜見は、こいしに自分が昔に聞いたという話をした。

こいしはそのお話を聞いていると、次第に眠そうになっていた。話の途中だったが、夜見はこいしに聞いた。

 

夜見「こいしさん、眠いか?話は後で聞くか?」

 

するとこいしは、首を横に振った。

 

こいし「ん?ううん、お兄ちゃんのお話、聞く」

 

夜見「そうか?じゃあ、続けるぞ?」

 

夜見は話を続けたが、こいしは眠気に負けてしまい、そのまま寝てしまった。すると夜見は立ち上がって、こいしに呟いた。

 

夜見「おやすみ、こいしさん」

 

そして夜見は部屋を出ようとしたが、こいしの机の上のあるものに目に留まった。それは、夜見の仮面だった。

そして夜見はその仮面を手に取った。

 

夜見(なんで?俺の仮面が?ん?これは?)

 

仮面を取ると、一冊の本があった。夜見はその本を手にとって中身を見ると、どうやら日記のようだった。

それは、ある日付から始まっていた。

 

9月15日

 今日はお兄ちゃんが地霊殿にきた。

 お兄ちゃんは不思議な人で、なんでかいつも無表情だった。なんで無表情なんだろう?いつか聞いてみようかな?

 そういえば、今日お兄ちゃんが怪我をしたんだった。早く治るといいな。

 

9月16日

 今日はお兄ちゃんが朝から仕事に行った。お土産はうどんで、皆で夕飯として食べた。とても美味しかったから、また食べたいな。

 お兄ちゃんは、やっぱり今日も無表情だったな。なんでなんだろう?明日帰って来たら、聞いてみようっと。

 

9月17日

 今日はお兄ちゃんが帰って来なかった。どこに行ったんだろう。早く帰って来ないかな。

 

9月24日

 今日はお兄ちゃんが帰ってきた。お兄ちゃんは異変を止めてたらしい。でも、帰って来たから良かった。

 そういえば、今日はお兄ちゃんといると、なんでか楽しい気がした。これが嬉しいって気持ちなのかな?よくわかんないや。

 

夜見(...こいしさん、日記なんて書いてたのか てか、人の日記見るのはさすがに駄目か 明日、謝ろう)

 

そして夜見は日記を閉じて、自分の部屋に戻って行った。

すると夜見は、仮面を机の上に仮面と刀を置き、マントを椅子に被せた。そして夜見はベッドに入った。

 

夜見(無表情、か でも、今日は久しぶりに笑ったな いつぶりだろうな、確か...10?いや、12年ぶりだな)

 

そして夜見はそんなことを考えながら、眠りについた。

 

しばらくして夜見は、体の異変を感じて目を覚ました。

すると、目の前にはこいしがいた。しかし、

 

夜見「こいしさん?ちょっと、顔が近いけど?」

 

こいしは何故か、夜見の上から被さっていた。そして夜見とこいしの顔の距離は、2cmほどしかなかった。すると、こいしの顔が急に赤くなった。そしてこいしは顔を遠ざけ、慌て始めた。

 

こいし「ち、違うの、これは、あの、そう!寝ぼけて、寝ぼけてて、お兄ちゃんの部屋に入っちゃったの!」

 

夜見(こいしさん、顔が赤いけど...まさか?)

 

すると夜見は、こいしの額に手を当てた。するとこいしの顔がさらに赤くなった。

 

夜見(少し熱いかな、やっぱり風邪かもしれない)

 

すると夜見は起き上がって、こいしに言った。

 

夜見「こいしさん、あのさ」

 

そう声をかけると、こいしは顔を赤くしたまま、慌てていた。

 

こいし「え!?な、何!?」

 

夜見「もしかしたら、風邪かも ちゃんと寝ないと」

 

こいし「...ふぇ?」

 

するとこいしは、少し呆然としていた。そして夜見はこいしに言った。

 

夜見「ほら、ちゃんと寝よう?部屋まで一緒に行こうか」

 

そして夜見は起き上がると、こいしの手を掴んで、こいしの部屋へと連れて行った。部屋に入ると、こいしは素早くベッドに入った。

そして夜見はこいしに言った。

 

夜見「こいしさん、ちゃんと寝てね?咳とか出てないし、すぐに良くなるから」

 

こいし「...うん、わかった」

 

そして夜見はこいしの部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こいし(ばれて、ない、よね?もしも、このことに気付いたら、ばれたら、お兄ちゃんは一体、どうなんだろう?)




どうも、お風呂場の蓋です。
今回は挿し絵を付けた為、少し遅れてしまいました。
少しでも、絵のレベルを上げていければいいなと思います。
さて、今回はこいしの心が開かれました。
そして、夜見は心を開いているのでしょうか?
よければ、次回も見てください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。