夜見は地霊殿に戻る為に、旧地獄街道を歩いていた。
筈だったのだが...
今、夜見は旧地獄街道にある1件の建物に空いた、大きな壁の穴に木の板を釘で打ちつけて、修理をしていた。
夜見(なんで俺がこんなことをしなきゃいけないんだよ)
すると、夜見以外にその建物を修理している人物が話しかけてきた。
勇儀「あっはっは いやぁ、すまないね 手伝ってくれて」
夜見「勇儀さんは少し、力の強さを考えろ」
勇儀「いやいや、やっぱり鬼と言えば、力の強さだろう?」
夜見「いや、その力の強さのせいで今、こんなことになってるんだろ はぁ、早く帰れた筈なのに」
勇儀「まぁ、たまにはこんなこともいいだろ?」
夜見「いや、出来れば無しにしてくれ」
勇儀「ははは ...やっぱり?」
こんなことになった理由は、数時間前に遡る。
夜見は数時間前、旧地獄街道を歩いていると、ある1人の人物に話しかけられた。
勇儀「よお、夜見じゃないか!どうしたんだ?こんな時間にいるだなんて珍しいじゃないか」
そして話しかけられた夜見は、後ろに振り返った。
夜見「なんだ、勇儀さんか どうしたんだ?俺は今、地霊殿に帰るところなんだが」
すると勇儀は、夜見にこんなことを言った。
勇儀「じゃあ、つまり時間があるってことだな?ちょっと付き合ってくれよ 少しだけでいいから、な?」
夜見「...まぁ、少しだけならな」
勇儀「よし!じゃあ、ちょっと来てくれ!」
そして夜見は勇儀に着いていくと、ある1件の居酒屋に着いた。そして勇儀は、その居酒屋に入っていくので夜見も続けて入った。その店内には、倒れていたり、上機嫌な鬼がたくさんいた。どうやら、みんな酔っているようだった。
そして勇儀は椅子に座ったので、夜見は勇儀の正面に座った。すると勇儀は机の上にあった大きな赤い盃を持ち、机に置いてあった酒を注いだ。
夜見「付き合えって、酒にか あいにく俺は飲めないぞ?」
すると勇儀は、少し残念そうに言った。
勇儀「なんだ?夜見はまだ16歳じゃないのか?」
そして夜見は、不思議に思いながら勇儀に確認した。
夜見「いや、16歳だけど酒は飲めないだろ?」
勇儀「え?」
夜見「...は?」
そして夜見は、あることを思い出した。ここは幻想郷であり、自分のいた世界とは違うことを。
そして夜見は勇儀にあることを確認した。
夜見「勇儀さん、もしかして酒って16歳から飲めるのか?」
勇儀「何を当たり前のことを言ってるんだ?」
夜見「...あぁ、なるほど だから話が噛み合わない訳だ」
勇儀「ん?どういうことだい?」
勇儀が夜見に問いかけると、夜見は説明を始めた。
夜見「あぁ、勇儀さんには説明してなかったな 俺は外の世界の人間なんだ」
夜見は、自分が外の世界の人間であることを勇儀に言ったが、勇儀は特に驚くような様子もなかった。
勇儀「へぇ、そうだったのかい それで?酒が飲めない話と、なんの関係があるんだい?」
夜見「実は、外の世界では20歳にならないと酒は飲んじゃいけないんだ」
すると勇儀は酒を一口飲んで言った。
勇儀「へえ、外の世界は結構面倒なんだね」
夜見「いや、特にそんなことは思ったことはないな」
勇儀「ふぅん、そういうもんかい まぁ、でも夜見がいるのは幻想郷だし、気にせずに飲みな」
勇儀はそう言って夜見の方に酒瓶を渡してきたが、夜見は断った。
夜見「いや、確かにそうだが、酒に関しては外の世界の規制に従う そもそも、昼間から酒を飲むのもな」
すると勇儀は少し残念そうな様子だった。
勇儀「なんだ、飲んでくれないのかい じゃあ、私の話し相手になってくれないか?」
夜見「まぁ、その位なら」
勇儀「ならよかった 実はなぁ、夜見...」
そして夜見は、勇儀の最近の話や、過去の仲間の鬼の話、愚痴などをいやになりそうなほど聞かされた。しかし夜見は嫌な顔は1つもせずに、全て聞いていた。
そして勇儀が話し始めて1時間ほど話した頃になると、勇儀の顔は赤みを帯びて、かなり酔っている様子だった。
すると夜見は少し勇儀を心配し始めた。
夜見「なぁ、勇儀さん 流石に飲み過ぎじゃないか? 一体どれだけ飲む気でいるんだよ」
勇儀「何を言ってるんだ?まだ全然飲んでないぞ!」
勇儀はそう言っていたが、勇儀の座っている椅子の周りを見ると、空の酒瓶が山積みになって転がっていた。
すると夜見はコップに水を入れて、勇儀に差し出した。
夜見「ほら、一旦水でも飲めって 二日酔いするぞ?」
勇儀「なんだい?いつもはこの倍以上飲んでるんだぞ?」
夜見「いや、酒を飲むのは構わないけど、飲み過ぎると体に悪いから」
勇儀「いや、私はまだまだ飲むぞ!」
すると夜見は諦めて、ため息をついた。
夜見「はぁ、勝手にしてくれ 俺はどうなっても知らないからな?」
そして夜見が水を飲んでいると、勇儀はあることを言い出した。
勇儀「さて、愚痴も言ってスッキリしたし、最近の事も言い尽くしたしなぁ そうだ、さとり達がここに来た時の話でも聞くか?」
夜見「さとりさん達の話か」
確かに言われてみれば夜見は少し地霊殿のみんなの過去は興味はあったものの、止めておくことにした。
夜見「...いや、止めておく 別に、さとりさん達に直接聞けば聞けるだろうしな」
勇儀「そうかい?意外にさとりは、過去の話はしたがらなそうだけどねえ」
夜見「なら、なおさらだ 知られたくないような過去かもしれないからな」
そして勇儀は盃に酒を注ぎながら、夜見に聞いてきた。
勇儀「それにしても、どうだい?地霊殿のみんなは?」
夜見「あぁ、それなら心配ない みんな元気だ」
勇儀「いやいや、違うよ そうじゃない」
すると勇儀は立ち上がって、肩を組んできた。そして勇儀は、夜見だけに聞こえるようにささやき声で聞いてきた。
勇儀「地霊殿の中では、誰が1番タイプかって聞いてるんだよ」
夜見「...はぁ?」
勇儀「いやいや、結構な間、一緒に1つ屋根の下で暮らしてたんだろ?まさか、なんとも思わないのかい?」
夜見「タイプって言われてもなぁ 特に、これと言ったのは無いし...」
勇儀「いやぁ 夜見、よく考えてみな 男1人に対して、女が4人だぞ?」
夜見「...別に、普通だが?」
勇儀「なんだい、普通って!?じゃあ、今のところ1番好きなのは誰だ?1番好きなのは」
夜見「まぁ、それなら「ちなみに、みんなは無しだぞ」...えぇ」
夜見はみんなと言うつもりだったが、勇儀がみんなは無しと言ったため、夜見は地霊殿で1番好きな人を選ばなければいけない状況になってしまった。そして夜見は、とりあえず腕を早く離してもらいたかったので、1人の名前を言った。
夜見「こいしさん、かな?」
勇儀「へぇ、こいしかぁ ちなみに、なんでこいしなんだ?」
そして夜見は、とりあえず思い付いたことを口にした。
夜見「ん~、まぁ、普通に可愛い女の子だと思うし、思ったより、しっかり者だからな」
勇儀「へぇ、そうかいそうかい 夜見はこいしが好きなのかぁ、なるほどなぁ~」
そう言って勇儀は何故か、夜見を見てニヤニヤしてきた。どうやら勇儀は酔っぱらうと、かなり面倒になるようだった。
少し夜見はうんざりしていると、勇儀は夜見にあることを聞いてきた。
勇儀「そういえば、夜見って確か地上で仕事をしてたんだよな?」
夜見「あぁ、そうだ 勇儀さんの言う通り、人里に行ったら、思いのほか仕事があった」
勇儀「へぇ、それは良かったね ところで、夜見は人里のどこで働いているんだ?」
夜見「あぁ、実は人里で働いているんじゃなくて、俺は依頼を受けてるんだ」
夜見がそう言うと、勇儀は聞いてきた。
勇儀「依頼?例えば、どんな仕事があるんだい?」
そう聞かれた夜見は、ポケットから今朝に取った依頼状を勇儀に見せた。そして勇儀は、その依頼状を手に取って依頼の内容を見ていた。
勇儀「ふ~ん、行方不明者ねぇ?そんなのどうやって探せばいいんだい」
夜見「確かに、そうなんだよな それに、報酬に関しても、どう受けとればいいかわからないしな」
そして勇儀は依頼状を夜見に返して、再び酒を飲み始めた。
勇儀「言われればそうだね まぁ、もし地底に行方不明者が出た場合には、真っ先に夜見に教えてあげるよ」
夜見「そうか、それはありがたいな ついでに、この腕も外してくれるとありがたいんだが?」
勇儀「えぇ?別にいいじゃないか夜見、肩を組むぐらいさぁ もしかして、照れてるのかい?」
そう言って勇儀は、夜見から腕を全然外す気はなかった。そして夜見はため息をつくと、勇儀に向かってこう言った。
夜見「まぁ、酔ってるからだろうが、少し馴れ馴れし過ぎる だから離れてくれ」
そう夜見が言うと、勇儀は少し態度が変わった。
勇儀「へぇ?私が肩を組んでくることが、そんなに嫌かい?」
どうやら、勇儀の気に触れてしまったようだった。すると勇儀は夜見を軽く突き飛ばして、夜見に向かって言った。
勇儀「少し暴れたい気分だ 付き合ってくれよ、夜見」
勇儀の言葉と様子から考えると、勇儀は完全に怒っているように見えた。そして夜見は立ち上がると、勇儀に手招きをして、こう言った。
夜見「店内じゃ迷惑になる 外でやろう」
夜見がそう言うと、勇儀は笑みを浮かべた。
勇儀「そうだね、店内だと暴れにくいからね」
夜見「ほら、さっさ出るぞ」
そして夜見と勇儀は、居酒屋を出た。しばらく道を進んで大通りに出ると、夜見はそこで立ち止まった。
夜見「ここら辺でいいだろう さてと、もういいか?」
勇儀「そうだね、こっちは暴れたくてうずうずしてるんだよ」
すると夜見は、勇儀が居酒屋でずっと持っていた盃を指さして勇儀に言った。
夜見「それ、邪魔だろ?早くどっかに置いてこいよ」
そう言った夜見に対して、勇儀はこう言った。
勇儀「あんたじゃ私に敵わないだろ?だからハンデとして、私はこれを持ったまま戦うよ」
すると夜見は身構えて勇儀に言った。
夜見「ハンデを付けたことを後悔するなよ?」
そして勇儀も身構え始めた。
勇儀「むしろハンデが足りないくらいだよ さぁ、行くよ!」
すると勇儀は夜見に向かって跳んで、跳び蹴りを放ってきた。そして夜見はそれに合わせて足に血を纏わせ、ローリングソバットを放った。
しかし、鬼の力に敵うはずもなく、足に纏わせた血は砕け、夜見は後ろに飛ばされてしまった。
バサッ
だが夜見は血の翼を作り出し、空中で体勢を直すと、夜見はゆっくりと地上に降りた。
夜見「ほら、どうした?暴れたいんだろ?」
勇儀「これは、存分に暴れられそうだね!」
夜見は軽く挑発すると、勇儀は真っ直ぐに夜見に突っ込んできた。そして勇儀が右ストレートを放つが、夜見はそれを左手で軽くいなした。続いて勇儀は顎を蹴り上げようとするものの、夜見はバク転して避けた。しかし、勇儀の蹴り上げは夜見の顎を軽く掠めた。
夜見(やっぱり、美鈴さんとは違ってスピードも力もレベルが違う このままじゃ駄目だな)
勇儀「どうしたんだい?来ないなら、こっちから行くよ!」
すると勇儀は拳を上に突き上げた。夜見は不思議に思っていると、勇儀は拳を振り下ろして地面を砕いた。そして地面のヒビは、10m以上も伸びていった。
夜見「なっ!?危ねぇ!」
すると、バランスを崩した夜見は翼を羽ばたかせ宙へ飛ぶと、勇儀は地面から5m程の岩を取り出した。そして勇儀はその岩を容赦なく、夜見に向かって投げつけた。
すると、夜見はその場で刀を掴み、居合いのフォームをとった。そして次の瞬間、岩は左右に綺麗に割れ、夜見に当たること無く遠くの壁に激突して砕けた。夜見は抜刀の一閃で、岩を斬ったのである。
勇儀「へぇ、なかなかやるねぇ それくらいやってもらわないと、こっちも暴れがいがないからね!」
すると夜見は、刀の刃先を勇儀に向けた。
夜見「ほら、岩はまだまだあるだろ?投げてこいよ」
勇儀「宙に飛んでるからって、遠距離攻撃だけが打開策って訳じゃないんだよ!」
そう言って勇儀は少し膝を曲げると、ドンッと音がして夜見に突っ込んできた。そして勇儀は夜見の頭を掴んで、そのまま地面に向かって叩きつけた。
ドオオオォン
そして勇儀は続けて夜見の顔面に拳を放つが、放たれた拳を夜見は右にいなした。すると勇儀の拳は夜見の仮面を少し掠り、地面に突き刺さった。
地面に突き刺さった勇儀の拳を見て夜見は、完全に殺すレベルで勇儀は戦ってきていることを理解した。そして夜見は左に転がり、勇儀と距離を取って立ち上がった。
勇儀「あ~あ、惜しかったなぁ もう少しで私の勝ちだったのに」
夜見「勇儀さん、完全に俺を殺しにかかってるな?」
勇儀「当たり前だよ 私はどんな戦いも、手は抜かないんだ」
夜見「それは鬼としてのプライドか?それとも、それが自分の生き方か?」
勇儀「さあね、そう言う夜見はどうなんだい?なんで地上じゃなく、地底に住むことにしたんだい?」
すると夜見はゆっくりと刀を閉まって、こう言った。
夜見「俺は、目的の為に地底に住んでる」
勇儀「目的?一体、どんな目的なんだい?」
夜見「あいにく、それを答えることは出来ないな」
勇儀「へぇ じゃあ、勝負に勝ったら、答えてもらおうかな」
夜見「別に構わないが、どう勝つつもりだ?」
勇儀「こうやってだよ!」
そして勇儀は、夜見に向かって走り出した筈だったが、勇儀の片足が動かなかった。そして勇儀は足元を見ると、地面から赤い糸が飛び出して勇儀の足に絡まっていた。
そう、夜見は勇儀と話している最中に能力を使っていたのだ。もちろん、血は1番硬い構造で作られている為、道具を使っても切れない。
しかし、もちろん例外というものもある。
勇儀「なんだい?こんなので私の動きが止められると思っているのかい?」
すると勇儀は無理矢理足を上げて、地面ごと足を上げた。そして勇儀は勢いよく足を下ろすと、足に付いていた地面は粉々に砕け散り、砂ぼこりが舞った。
夜見が警戒していると、勇儀は砂ぼこりの中からゆっくりと歩いてきた。
勇儀「どうだい?これが鬼の力だ 私の動きを止めるだなんて夜見にはとうてい無理な話だよ」
夜見「あぁ、そうらしいな」
勇儀「つまり、あんたに勝ち目なんて元からないんだよ!」
すると勇儀は夜見に突っ込み、右ストレートを放った。そして夜見はそれを半身を反らして避けたが、勇儀は流れるように回し蹴りを放つ。そして勇儀の回し蹴りは夜見の左の脇腹に見事に入り、脇腹から嫌な音がした。
バキッ
夜見「ぐっ!?がはっ!?」
そして夜見は右に10m以上蹴り飛ばされ、、うつ伏せに倒れた。さらに、勇儀に蹴りを入れられた時にあばら骨は折れ、内臓にも衝撃が響いた。そしてせいで夜見は、その場で口から血を吐いていた。
夜見「ごほっごほっ げほっ」
勇儀「やっぱり、人間の体は脆いねぇ~ あばらの2、3本は折れたね」
そして勇儀は倒れている夜見に近付いてしゃがみ込み、勇儀は盃に残っていた酒を飲み干した。
勇儀「あっはっは、相手にならないね でも、人間にしては結構粘った方なんじゃないかな?」
しかし夜見は手に力を込めて、なんとか立ち上がろうとするものの...
ダンッ
夜見「がっ!?」
勇儀「ほらほら どうしたんだい、夜見?早く立ち上がってくれないと こっちはまだまだ暴れ足りないんだよ」
勇儀は夜見の背中を踏んで、立ち上がれないようにしていた。すると夜見はその場で、ある物を取り出した。そして夜見はこう言った。
夜見「[爆符 宙へ舞え]」
すると夜見は地面に手を付けて、ゼロ距離で弾幕を放った。そして夜見の弾幕は爆発し、夜見は勇儀もろとも巻き込んだ。
そして爆発に巻き込まれた勇儀は後ろに20m程飛ばされ、夜見は宙へ舞い上がった。そして夜見は血の翼を羽ばたかせて、地面に降りた。
勇儀「うぅ まったく、なんだい?」
そして勇儀は服は少しボロボロになっているものの、まるで攻撃が効いていないかのように立ち上がった。
勇儀「いやぁ、驚いた まさか自分ごと爆発に巻き込むだなんて」
夜見「はぁ、はぁ ぐっ!痛ぇ」
そして夜見は急に左の脇腹を押さえ始めた。するとその様子を見た勇儀がへらへらと笑いだした。
勇儀「あっはっは なんだい、その様は?勝負を受けといて全然私に攻撃を当ててないじゃないか このままだと、一方的にやられるだけだよ?」
夜見(ちっ、馬鹿にしやがって 女性相手に、攻撃なんか当てたら気分が悪くなるってのに、まだ酔いは覚めねぇのかよ)
そんなことを夜見は考えていると、後ろから声をかけられた。
パルスィ「ものすごい物音がすると思ったら、何をしてるのよ、黒夜」
それはパルスィだった。そして夜見は振り向くと、パルスィは周りの状況を見ていて、何があったかをある程度察したようだった。
パルスィ「あぁ、なるほど 勇儀が酔って、暴れたのね 勇儀は酔うと、いつも暴れるからよく迷惑になるのよね 周りの建物とか普通に壊しちゃうし」
どうやらパルスィは話した内容から、勇儀が酔うとどうなるかを知っているらしい。そして夜見はパルスィにあることを聞いた。
夜見「なぁ、パルスィさん 勇儀さんはいつ頃に酔いは覚めるんだ?」
パルスィ「...暴れてスッキリしたって言って酔い潰れた後に寝て、起きた時には酔いは覚めてるわよ」
夜見「...いつも酔い潰れるまで飲んでるのか?」
パルスィ「私が見た時はよ? 別にいつも一緒に飲んでるわけじゃないし」
パルスィからあまり有力な情報は得られなかったが、とりあえず勇儀は酔っぱらうと、よく暴れることがわかった。なので勇儀は怒っている訳ではなく、この戦いはただ暇潰しであることがわかった。
夜見「そうか、わかった 巻き込まれると危ないから、離れてた方がいいぞ?」
夜見がパルスィに注意をすると、パルスィはムッとした様子で言った。
パルスィ「何よ、ボロボロのくせに人の心配なんて まったく、妬ましいわね」
そう言ってパルスィは、どこかへ行ってしまった。
そして夜見は振り返り、勝算は無いに等しいにも関わらず夜見は身構えた。すると勇儀は笑顔を浮かべた。
勇儀「いいねぇ、夜見 こんなに立ち向かって来る人間はなかなかいないよ その根性に答えて、特別にハンデを外して本気で戦ってあげるよ!」
そして勇儀は持っていた盃を地面に置き、地面を蹴って上に跳んだ。そして勇儀は夜見に向かって踵落としを放つ。それに対して夜見は血の翼で正面から受け止めたものの、ぶつかった衝撃で夜見の足首が壊れそうになった。
そして夜見は血の翼を分解すると同時に後ろに跳ぶと、勇儀の踵落としは威力を落とすことなく地面に突き刺さった。すると地面は砕け、クレーターのようにへこんだ。
勇儀「くっ!惜しいなぁ」
夜見(足首が痛ぇ あのまま受け止め続けたら、絶対足首が壊れてたな)
そして夜見が着地すると同時に、勇儀は驚異的な速さで夜見の目の前まで迫ってきた。夜見の目の前まで来た勇儀は拳を握り、アッパーを繰り出した。そのアッパーを夜見は上半身を後ろに反らして避け、勢いを付けて勇儀に殴りかかろうとするが、勇儀は夜見の腕を軽々と掴んだ。
勇儀「威力も無いし、スピードも全然 一体何がしたいのか...な!」
すると勇儀は振りかぶって、宙に夜見を放り投げた。そして夜見は宙で血の翼を作っていると勇儀が夜見の上まで跳んできて、腕を大きく引いて左ストレートを放った。夜見はとっさに血を腕に纏ってクロスさせて防いだ。しかし、その拳は今までの攻撃よりも最も重く、夜見は地面に向かって真っ直ぐ飛んでいった。
しかし夜見は血を操って地面にクッションを作った為、無傷で地面に着くことが出来た。
夜見(さっきの攻撃、少しでも反応が遅れてたら完全に骨折で済む話じゃ無かった)
そして勇儀が地面に降り立つと、勇儀は夜見に向かってこう言った。
勇儀「あらら、結局ふりだしに戻っちゃった まぁ、夜見をさっさと倒して、飲み直すか」
勇儀の言っている意味を確認するために夜見は周りをチラリと見ると、そこは勇儀と来た居酒屋の前だった。すると、一瞬の隙の間に勇儀は夜見の目の前に来ており、夜見の襟元を掴んだ。そして勇儀は大きく振りかぶって、夜見を居酒屋の方に投げ飛ばした。夜見は背中から居酒屋の壁を突き破って、鬼達が飲んでいた机の上落ちた。
ガシャアン
鬼「うおっ!?なんだ!?に、人間?」
鬼達は戸惑っていると、勇儀が居酒屋に空いた穴から店内に入ってきた。
勇儀「いやぁ、暴れた暴れた♪さてと、そろそろ飲み直すかな」
すると酒を飲んでいた鬼の1人が、勇儀に向かってこう言った。
鬼「あ、姉御!またやっちゃったんですか!?」
勇儀「ん?一体なんの話をしてるんだい?」
鬼「姉御!前に来たときに、店のオヤジに言われたこと忘れたんですか!?」
勇儀「ん?え~と、確か前に来たときにはいつも通り暴れてそれで...あ」
すると勇儀の顔が真っ青になって、酔いを覚ました。夜見は立ち上がると、勇儀が夜見の肩を掴んで揺らしてきた。
勇儀「や、やばいよ、夜見!一体どうしよう!?」
夜見「な、なんだよ?まぁ、それより、酔いは覚めてるようだな 良かった」
勇儀「こんなことしちゃったら、嫌でも酔いが覚めるさ!あぁ、どうしよう どうすればいいと思う、夜見!?」
夜見「と、とりあえず、何に対して勇儀さんが焦ってるか教えてくれないか?」
勇儀「そ、そんなこと言ってる場合じゃないんだよ!」
すると店の奥の方から、1人の店員らしき鬼が走ってやって来た。そして、壁の穴を見た店員は急に叫び始めた。
店員「あーーー!!!また、また壁がぶっ壊れてやがる!」
夜見(また?て言うことは、勇儀さんが焦ってる理由って...)
そして夜見は勇儀をチラリと見ると、勇儀は出入口から外へこっそりと出ようとしていた。すると夜見は、店員の肩を叩いた。
店員「あ!?んだよお前!」
夜見(いや、店壊されて怒るのはわかるけど、キレたまま話すなよ)
そして夜見は、出入口からこっそり出ようとしていた勇儀を指差した。すると店員は、勇儀に向かって怒鳴った。
店員「勇儀さん!また、あんたか!」
すると勇儀はビクッとして、ゆっくりと振り返った。そして勇儀は言い訳を始めた。
勇儀「え?な、なんのことかなぁ?私にはさっぱり」
夜見「いや、勇儀さんが俺を投げて店の壁を壊したんだろ」
勇儀「お、おい、夜見!なんで言っちゃうんだよ!」
店員「言っちゃう?て言うことは、やっぱり勇儀さんの仕業じゃねえかよ!」
勇儀「なっ!?夜見、図ったな!?」
夜見(いや、勝手に自分から言っただけだろ)
すると店員は、ずけずけと勇儀に向かって歩み寄って言った。
店員「勇儀さん 前に言ったこと、ちゃんと覚えてるよな?」
勇儀「ま、待ってくれよ!店の出禁だけは止めてくれって!他の所はほとんど出禁を食らってるんだよ!」
店員「いーや、これで5回目だ これ以上店を壊されてたまるかよ!」
勇儀「そ、そんなぁ」
すると勇儀はこの世の終わりみたいな顔で絶望していた。酒が飲めないだけでそんなになるか?と夜見は思ったが、自分にも非があると思ったので、勇儀を助けることにした。
夜見「まぁ、店員さん 店の壁を直させて、今回は見逃してくれないか?」
勇儀「夜、夜見!お前...」
店員「はぁ?何言ってんだあんた?これ以上壊されたらこっちはたまらないんだよ!」
すると夜見はボソッと言葉を漏らした。
夜見「そうか、鬼は心が狭いんだな」
そう言うと店員は、夜見の言葉に反応した。
店員「あ!?お前、もう1回言ってみろ!」
夜見「鬼は心が狭いんだな」
店員「はぁ!?ふざけんじゃねぇぞ、お前!鬼はどんなことをされようがな、そんなの許してやる心を持ってるんだよ!」
すると夜見はかかったと思い、店員に言った。
夜見「そうか、どんなことをされても鬼は許すのか じゃあ、今回の件も許すのか」
夜見の言ったことに店員は一瞬理解が出来なかったが、夜見の言葉に誘導されたことに店員は気付いた。
店員「お、お前!わざと言ったな!」
夜見「まぁ でも、鬼は嘘が嫌いって勇儀さんから聞いたことがあるぞ?それに、店員さんの言葉を聞いたのは何人もいる」
そう店員は言われると納得は出来ていなかったが言い返すことが出来ず、しぶしぶ諦めた。
店員「今回だけだ、次はないからな勇儀さん」
勇儀「や、やった!ありがとう、夜見 おかげで助かったよ」
そう言って勇儀は喜んでいたが、夜見は店に空いた穴を指差して言った。
夜見「でも、責任は取らないとな?勇儀さん」
勇儀「え?...わ、わかったよ でも、夜見にも付き合ってもらうぞ!」
夜見「いや、なんで俺が手伝うんだ?」
夜見が勇儀に問いかけると、勇儀はこう答えた。
勇儀「私が暴れたのは、夜見が私の誘いに乗ったのが悪いんだ 夜見があそこで私を止めていれば、こんなことにならなかったんだ!」
夜見は若干屁理屈が混ざった言い訳をされたが、確かにあそこで止めていればこんな事態はならなかった。なので夜見も壁の修理をしぶしぶ手伝うことにした。
夜見「はぁ、わかったよ」
勇儀「じゃあ、決まりだな」
そう言って勇儀は満々の笑みを浮かべた。
そして時間は、今へと移る。
夜見「ふぅ やっと終わった」
夜見と勇儀は居酒屋の壁の修理を済ますと、居酒屋の壁は新居のような綺麗な壁になっていた。ちなみに壁を修理するのにざっと2時間はかかった。
勇儀「いやぁ、夜見が手伝ってくれたおかげで早めに終わった ありがとう、夜見」
夜見「それはどうも 次からは、酒はほどほどにしとけよ?俺はさっさと地霊殿に帰らないといけないからな」
勇儀「うっ!わ、わかってるよ て言うか夜見、あばら骨を折っちゃったけど大丈夫なのかい?」
夜見「あぁ 痛みはだいぶ引いたし、大丈夫だ じゃあな」
勇儀「じゃあな、夜見」
そう言って夜見は居酒屋を出ていき、地霊殿へと帰っていった。
どうも、お風呂場の蓋です。
今回は旧地獄街道での戦闘の話でした。
私は戦闘の場面を書いている瞬間が、とても楽しいです。
ちなみに、お酒はちゃんと20歳になってから飲みましょう。
よければ、次回も見ていってください。