心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第22話 異常な体質

夜見が外出・仕事を禁止された日から何ヵ月かが過ぎ、幻想郷には冬が訪れていた。地上は辺り一面真っ白な世界に変わっており、雪が降っていた。

そして前々から夜見は、さとりからは仕事復帰の許可も得ており、たまに仕事を休むに日はこいしと一緒に散歩などもしていた。

 

そしてある日夜見は人里に依頼が無かった為、紅魔館のレミリアの部屋でレミリアと一緒にチェスをしながら行方不明者の話をしていた。

 

夜見「それで、最近の人里の行方不明者の情報は何かあるか?」

 

コトッ

 

レミリア「そうね、これと言った情報は無いわね でも、ここ最近は行方不明者は減ってるって話らしいわ」

 

夜見「そうか、それはお使いをした咲夜さんの情報からか?」

 

レミリア「えぇ、そうよ?まさか、この私が嘘の情報を言っているとでも?」

 

コトッ

 

夜見「いや、そういうわけじゃ無いんだがな」

 

コトッ

 

レミリア「そう、それならいいのだけれど」

 

するとレミリアは、チェス盤をじっくり眺めながら夜見に話かけた。

 

レミリア「...それにしても、黒夜 貴方ってちゃんと考えて駒を動かしてるのかしら?貴方はすぐに駒を動かすし、駒も残り8個よ?それに対して、私の駒は12個 勝つ気があるのかしら?」

 

夜見「まぁ、戦略は練っているから大丈夫だ ほら、レミリアさんの番だが?」

 

レミリア「今考えているのよ、急かさないでちょうだい」

 

コトッ

 

レミリアが駒を動かすと、夜見は不思議そうな顔をしてレミリアに言った。

 

夜見「...そうか、そう動かすか?普通」

 

レミリア「あら?チェスの勝負を受けた時には[勝負を受けたからには手加減はしない]って言ってたけど、はったりだったのかしら?」

 

そしてレミリアは夜見を挑発してクスクスと笑っていた。すると夜見はこう言って駒を動かした。

 

夜見「じゃあ、チェックメイトで俺の勝ちだな」

 

コトッ

 

するとレミリアは驚いて、立ち上がってチェス盤の現状を見た。

 

レミリア「え!?そ、そんなことがあるわけ...あ」

 

レミリアがチェス盤を見てあることに気付いたと同時に、夜見は言った。

 

夜見「気付いたか?レミリアさんの番でどの駒をどう動かしても、俺はその次の手でキングを取れる配置になってるんだ だから、俺の勝ちだ ちなみに取られた駒はただの囮だ」

 

するとレミリアは大きなため息をついて、椅子に再び座った。

 

レミリア「...はぁ~、負けたわ かなりチェスには自信があったのだけど」

 

そして夜見は、チェスの勝負をレミリアが持ち込んできた時から気になっていたことを聞いてみた。

 

夜見「それにしても、なんでチェスなんかここにあるんだよ チェスって外の世界の物だろ?」

 

するとレミリアは頬杖をつきながら、夜見にチェスのことについて説明をした。

 

レミリア「あぁ、このチェスは貴方が紅魔館に来てない間に独自のルートで手に入れたのよ はぁ、紅魔館内では一度も負けなかった私が負けるだなんて、悔しいわね」

 

夜見「まぁ、上には上がいるもんだ 仕方ないだろ?」

 

レミリア「えぇ、それもそうね」

 

レミリアがそう言った瞬間、テーブルの上にあったチェス盤が消えたが、かわりに綺麗な白いティーカップが2つ置かれていた。そしてテーブルの横には咲夜がいつの間にか立っており、白いティーポットを手に持っていた。

 

咲夜「お嬢様、黒夜様 紅茶の準備が出来ましたが、お飲みになりますか?」

 

レミリア「そうね、ちょうど喉が渇いてたところだから頂くわ」

 

夜見「あぁ、俺も貰おうかな」

 

そう2人が言うと、咲夜は2つのティーカップに紅茶を注ぎ、[失礼しました]と言って消えてしまった。そして夜見とレミリアは紅茶を一口飲むと、夜見が窓の外を眺めながらレミリアに話しかけた。

 

夜見「...まだ終わらないのか」

 

レミリア「えぇ、そのようね」

 

外では1人の少女は白黒の服を着て箒に乗って空を飛んでおり、その少女を2人の赤い服とメイド服を着た小さな少女が追いかけていた。

 

フランドール「キャハハ 待て待てー!」

 

咲希「そうだー!待てー!」

 

魔理沙「あー!もう!本を借りに来ただけなのに、なんで追いかけられなきゃいけないんだよ!」

 

魔理沙は箒に乗りながら全速力でフランドールと咲希から逃げていた。しかし魔理沙はフランドールと咲希との距離はまったく離れていなかった。

すると夜見はその光景を見ながら、レミリアに聞いた。

 

夜見「...また懲りずに本を?」

 

レミリア「言ってたことから察するに、そうでしょうね」

 

夜見「止めないのか?」

 

レミリア「フランと咲希が楽しそうにしてるから、別にいいじゃない」

 

夜見「...まぁ、それもそうか」

 

そしてしばらくその様子を見ていると、何やら魔理沙がこっちに飛んで来ている気がした。

 

夜見「...いや、まさかねぇ?」

 

レミリア「多分、貴方の思っていることが起こるわ」

 

レミリアがそう言った次の瞬間、魔理沙はベランダのガラスの戸を突き破って部屋に入ってきた。

そして魔理沙は夜見の姿を見た瞬間驚いた顔をしていたが、魔理沙はそのまま廊下に出ていった。その後にフランドールと咲希も部屋に入ってきたが魔理沙と同様に、廊下へ出ていった。

 

夜見「随分と騒がしいな」

 

レミリア「黒夜、わかってるでしょ?」

 

すると夜見はため息をついて呆れながら立ち上がった。

 

夜見「...はいはい、本を守ればいいんだろ?」

 

レミリア「頼んだわよ」

 

すると夜見は仮面を取り出して被り、黒いマントのフードを深く被って部屋を出た。

魔理沙はフランドールと咲希に追いかけられている為、相当時間はかかるはず。なので夜見は一足先に図書館へ向かった。

 

そして夜見が図書館に着くと、周りはとても静かだったので魔理沙はまだ来ていない様子だった。すると夜見は1冊の魔道書を本棚から取り出して読み始め、魔理沙がやってくるのを待つことにした。

 

夜見(さてと、そろそろかな?)

 

夜見がしばらく魔道書を読んでいると、図書館の扉が勢いよく開かれた。

するとそこには肩で息をしている魔理沙がいた。その様子だと、相当2人を撒くのに頑張ったようだ。

 

夜見「遅かったな」

 

夜見は魔道書を見ながら魔理沙に声をかけると、魔理沙は夜見のことを見て、驚いた様子で問いかけた。

 

魔理沙「なっ!?なんで夜影がここにいるんだよ!さっき姉の吸血鬼といただろ!」

 

夜見「あぁ、だからなんだ?それより、また本を盗みに来たのか?」

 

すると魔理沙はむっとした様子で夜見に言った。

 

魔理沙「盗みだなんて人聞きが悪いぜ!私はただ死ぬまで本を借りるだけだ!」

 

夜見「それを一般的に盗みと言うんだ」

 

魔理沙「私は借りてるだけだ!邪魔をするなら私は容赦しないぜ?」

 

そして魔理沙は帽子から8角形の道具を取り出すと、それを片手でこちらに向けてきた。

 

夜見「...その様子だと、勝負を持ち込んでるって言いたいのか?」

 

そして夜見が魔道書を戻すと、魔理沙はニヤリと笑って空いている片手でスペルカードを取り出した。

 

魔理沙「先手必勝だぜ![恋符 マスタースパーク]!」

 

魔理沙がスペルカードを発動させると、8角形の道具から虹色のビームが放たれた。すると夜見は片手をビームに向けると、血を操作して強固な血の壁を作った。

そしてビームが過ぎ去る頃には、血の壁一面にひびが入っていた。

 

魔理沙「やっぱり、この程度じゃその壁は壊せないか!」

 

すると血の壁が空気中に分解されると、夜見は魔理沙にあることを聞いた。

 

夜見「それにしても、相変わらずの高火力だな それと、スペルカードを使うのにその道具を使う意味はあるのか?」

 

夜見は魔理沙の持っている8角形の道具を指差すと、魔理沙はその道具を片手で持ちながらこう言った。

 

魔理沙「あぁ、これか?これはミニ八卦炉(はっけろ)って言ってな、霖之助がくれたんだぜ」

 

夜見「霖之助?...あぁ、あの香霖堂の店主のことか そういや名前なんか聞いてなかったな」

 

魔理沙「そんなことより夜影、油断は禁物だぜ?」

 

すると夜見の後ろから急に小さな魔方陣が現れて、そこから弾幕が放たれた。しかし夜見は後ろも確認せずに血の壁を作り出して弾幕を防いだ。

 

夜見「わざわざ忠告をするだなんて、随分と優しいな」

 

魔理沙「言っておくが、ここからは一切忠告はしないぜ!」

 

すると魔理沙は手に持っていた箒に股がって、宙に飛んで弾幕を放ってきた。そして夜見はその場でゆっくりと刀を片手で引き抜いて弾幕を次々と斬り落としていった。

 

魔理沙「どうしたんだ、夜影!いつまでも防ぐだけじゃ勝てないぜ?」

 

夜見「魔理沙さん、前にそんなこと言って負けたの覚えてないのか?」

 

魔理沙「残念だが、今回は夜影の負けたフリに引っ掛かるつもりはないぜ!」

 

夜見「俺もさすがに同じ手は使う気は無い さてと、そろそろ来るかな?」

 

魔理沙「ん?誰かと待ち合わせでもしてるのか?」

 

魔理沙がそう言った直後、図書館の扉が壊れるような勢いで開かれた。そしてそこには2人の少女がいた。

 

フランドール「あー!やっと見つけたー!」

 

咲希「やった!フランお姉ちゃんの言った通りだね!」

 

魔理沙「げ!?またこいつらかよ!」

 

そして魔理沙はその2人を見ると、一目散に図書館の奥へ逃げていった。するとフランドールと咲希は魔理沙の後を追って図書館の奥へと飛んでいった。

 

夜見(あぁ、奥に逃げちゃうか 図書館から出てくれれば良かったのに)

 

すると夜見は血の翼を作り出して、図書館の奥へ魔理沙を捜しに向かった。

しばらく夜見は図書館の中を飛んで探索していたが、一向に魔理沙が見つかる気配は無かった。

 

夜見(仕方ない 血を拡げて捜すしかないか)

 

そして夜見が血を拡げようとした次の瞬間、あることが起きた。

 

ドオオオォォォン

 

なんと、図書館の奥の方で大きな爆発が起きたのだ。そして爆発の衝撃により、図書館の本棚から魔道書がバラバラと落ちた。

そして夜見は爆発が起きた瞬間にあるものを目撃していた。

 

夜見(さっきの炎、あれは確かフランドールさんのレーヴァテインの炎だよな...)

 

そして夜見は急いで先程の爆発が起きた場所へ向かうとフランドールはレーヴァテインを振り回し、魔理沙はレーヴァテインに当たらないように飛行していた。そしてその様子を咲希はレーヴァテインの射程圏外で見ていた。

 

魔理沙「お、おい!待てって!魔道書が破れたり燃えたりしたら怒られるぞ!?」

 

フランドール「キャハハ、大丈夫だよ!図書館の中はパチュリーが魔力結界で物は壊れないようになってるから!」

 

咲希「あはは、行けー!フランお姉ちゃん!」

 

フランドール「任せて!おりゃあぁ!」

 

ドオオオォォォン

 

魔理沙「あ、危ねぇ!もう少しで箒に火が燃え移ってたぞ!?」

 

フランドールはレーヴァテインを振り回す度に本棚などに当たっていたが、本棚や魔道書が燃えたり破れたりしている様子は無かった。

そしてその様子を見ていた咲希が夜見に気付くと声をかけて近付いた。

 

咲希「あ!黒夜、どうしてここにいるの?」

 

夜見「いや、こっちが質問したい なんでこんな状況になってるんだよ」

 

そして夜見は魔理沙とフランドールが弾幕ごっこをしてる様子を指差すと、咲希はこう答えた。

 

咲希「フランお姉ちゃんと白黒の魔法使いさんのこと?あれは弾幕ごっこだよ?知らない?」

 

夜見「弾幕ごっこをしてるのは見ればわかる 俺が聞いてるのはなんで弾幕ごっこをしてるかって話だ」

 

咲希「あぁ、そっちか それはね、フランお姉ちゃんが鬼ごっこは飽きたからって弾幕ごっこを始めたんだよ」

 

すると夜見はあることが心配になってポツリと呟いた。

 

夜見「...大丈夫なのか?」

 

咲希「大丈夫だよ フランお姉ちゃんは強いもん」

 

夜見「いや、俺が心配してるのはそっちじゃない」

 

咲希「え?じゃあ、何が心配なの?」

 

夜見「確か、フランドールさんの能力って...」

 

夜見がそう言った瞬間、本棚の周りの空間にヒビが入り始めた。夜見が心配していたのは、フランドールの能力の[ありとあらゆるものを破壊する]能力でパチュリーの魔力結界が壊れることだった。

そして今、心配していたことが起こってしまっていた。

 

夜見(このままじゃまずいな...)

 

夜見は視線を魔理沙とフランドールに向けると、魔理沙とフランドールは20m程距離を空けて向かい合っていた。そして魔理沙はスペルカードを持って今にも発動させようとしていた。

 

魔理沙「いくぜ、妹の吸血鬼![彗星 ブレイジングスター]!」

 

魔理沙はスペルカードを発動させると自分の後ろに八卦炉を向けて水色をビームを放つと、魔理沙はフランドールに向かってかなりの速さで突っ込んでいった。

 

フランドール「あはは♪斬り落としてやる♪」

 

そしてフランドールは物騒なことを言いながらレーヴァテインを真っ直ぐに上に掲げて、魔理沙を斬り落とそうとしていた。

夜見はどちらのスペルカードが勝ったとしても、直撃した衝撃波によって本棚や魔道書が大変になってしまうのは目に見えてわかっていた。

 

夜見(やばい!止めるしかねぇ!)

 

夜見が全力でフランドールと魔理沙の間に向かうが、間に入る直前には魔理沙とフランドールの距離は2mも無かった。そして夜見はフランドールと魔理沙の間に入った瞬間に刀を右手で引き抜き、逆手持ちにした。

 

夜見「やめろ!2人とも!」

 

すると夜見は刀の横で魔理沙の箒の先端を受け止めた。そしてもう一方のフランドールのレーヴァテインはというと、なんと夜見は素手でレーヴァテインの刃を掴んで受け止めていた。

 

魔理沙「なっ!?夜影!?」

 

フランドール「えっ!?嘘っ!?」

 

フランドールと魔理沙はレーヴァテインの刃を夜見が素手で受け止めていたことに心配していたが、夜見はそんなことをまったく気にする様子は無く、2人に向かってこう言った。

 

夜見「2人とも、弾幕ごっこなら外でやってこい...よ!」

 

そして夜見は次の瞬間、魔理沙の頭を刀の柄の先にある柄頭(つかがしら)で殴って気絶させ、フランドールの持っていたレーヴァテインを無理矢理握り潰した。

 

夜見「わかったか?2人とも...って片方は気絶させちまったか...」

 

夜見は少しやり過ぎたと思いながら刀を鞘に戻し、ゆっくりと地面に降り立った。

するとフランドールは震えた声で夜見に話しかけた。

 

フランドール「く、黒夜、そんなことより、手、手が」

 

夜見「あ?手がどうした?」

 

そして夜見は左手を見ると手のひらは皮膚どころか肉まで焼き(ただ)れており、見ているだけで痛そうな様子になっていた。

しかし夜見はなんともないような様子でフランドールに言った。

 

夜見「あぁ、気にするな こんなのすぐに治るだろ」

 

フランドール「な、何言ってるの!?そうだ、パチュリーなら治してくれる!」

 

そう言ってフランドールはパチュリーがいる方向に全力で飛んでいった。そしてその光景を見ていた咲希が夜見にゆっくりと近付いてきた。

 

咲希「うわぁ、すごく痛そうだね」

 

夜見「まぁ、見た目はな ところで、魔理沙さんはどこだ?」

 

咲希「あの白黒の魔法使いならあそこだよ」

 

そして咲希が指を差した方向を見ると、魔理沙は床に倒れて気絶していた。夜見はかなりの強さで頭を刀の柄頭で殴った為、起きるには相当の時間がかかりそうだった。

 

夜見「...起きる様子は無いし、どうすれば...」

 

咲希「う~ん、それならメイド長に聞いてみる?」

 

夜見「メイド長って咲夜さんのことでいいんだよな?」

 

咲夜「呼びましたか?」

 

夜見「...毎度毎度いいタイミングで来るな、咲夜さん」

 

夜見が振り向くと、そこには咲夜が立っていた。すると咲夜は焼け爛れた夜見の手に気付き、少し心配そうに夜見に話しかけた。

 

咲夜「黒夜様、手が大変焼け爛れておりますが痛くないのですか?」

 

夜見「ん?あぁ、これか、これは気にしなくていい そんなことより、魔理沙さんをどうかしてくれないか?」

 

咲夜「わかりました それと咲希、貴女は遊んでばっかいないで、ちゃんと仕事をしなさい お嬢様がせっかく雇ってくださったんですよ?」

 

すると咲希はめんどくさそうに言った。

 

咲希「え~?そんなの妖精メイドに任せればいいじゃん なんで私もやらなきゃいけないの?」

 

咲夜「...そうですか では、約束通りおやつはお預けと言うことでいいんですね?」

 

咲希「えっ!?ちょ、ちょっと!おやつは関係無いでしょ!」

 

咲夜「いえ、お嬢様がそうおっしゃっていましたので...」

 

咲希「あー、なんだろーなー 急にお仕事がしたくなってきたなー メイド長、何かお仕事無いかなー」

 

咲夜「それなら、確かお昼ご飯の準備が必要だったわね」

 

咲希「じゃ、じゃあ!私が準備してくる!」

 

そう言って咲希は縮地を使って図書館から出ていった。そしてその様子をずっと見ていた夜見は咲夜に話しかけた。

 

夜見「なんというか、咲希さんってちょろいな」

 

咲夜「おかげで助かっていますがね それでは、私はこれで」

 

そう言って咲夜は夜見に頭を下げると、魔理沙と共にどこかへ消えてしまった。夜見は咲夜が魔理沙を一体どこに持っていったかが少し気になったが、特に気にすることでも無いなと思って考えるのはやめることにした。

しばらくその場で待っていると、フランドールはパチュリーと共に現れた。

 

フランドール「黒夜、パチュリーを連れてきたから、早く手を出して!」

 

夜見「本当に連れてきたのか 別に気にすることでもないだろ?」

 

するとフランドールは夜見の左手を掴んできた。

 

フランドール「気にならない怪我じゃないでしょ!こんなに焼け爛れて...あれ?」

 

そしてフランドールは夜見の左手を見てみると何か違和感を感じたが、その違和感の正体にすぐ気付いた。それは、夜見の左手がさっき見た時より全然焼け爛れていないように見えたのだ。

 

フランドール「あ、あれ!?さっきはひどく焼け爛れてたはずなのに!?」

 

夜見「ほらな、言っただろ?気にするなって」

 

パチュリー「フラン、貴女随分慌ててたから見間違えただけじゃないの?」

 

フランドール「そ、そんなこと無いよ、ちゃんと私見たもん!黒夜の手がひどく焼け爛れたのを!」

 

パチュリー「まぁ、実際そんなに焼け爛れてる訳でもないけど、念のために軽く手当て程度はしておいた方が良いんじゃない?」

 

夜見はパチュリーの提案を聞いて、確かにこのまま放置するのは危ないと思ったため、軽い手当て程度なら受けることにした。

 

夜見「そうだな、それなら少し悪いけどまた咲夜さんを「呼びましたか?」...本当にすぐ来るな」

 

咲夜の声が背後から聞こえた為、振り返るとそこには手に救急箱を持った咲夜が立っていた。

 

夜見「しかも、ご丁寧に救急箱まで持ってきて」

 

咲夜「いえいえ、呼ばれたらすぐに駆け付けるのもメイドの(たしな)みですので」

 

夜見「嗜みねぇ まぁ、そんなことより手当て出来るか?」

 

咲夜「おまかせください」

 

すると咲夜は救急箱から包帯や軟膏を取り出して、手際よく夜見の左手を手当てした。左手全体が包帯で巻かれる頃には10分もかかっておらず、わずか5分程度で手当ては終わった。

 

咲夜「はい、終わりました」

 

夜見「あぁ、ありがとう すまないな、何度も呼んで」

 

咲夜「いえいえ、こちらこそお嬢様や妹様のお相手をしてくださりありがとうございます それに、用があって呼ばれることなんていつものことで慣れてるので大丈夫ですよ」

 

夜見「そうか、ありがとう さてと、俺はレミリアさんのところに戻るかな それじゃあ」

 

そして夜見は図書館から出て、レミリアの部屋へと向かった。夜見はレミリアの部屋の前に着くと扉を軽くノックした。

 

コンコン

 

レミリア「いいわよ、入って」

 

レミリアに許可を得た夜見はレミリアの部屋に入ると、レミリアは先ほどチェスで遊んでいたテーブルの椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいた。

 

レミリア「お疲れ様、黒夜」

 

夜見「あぁ、今回も派手に暴れてくれたよ まったく」

 

そして夜見はレミリアの向かいの椅子に座り仮面を外すと、レミリアは夜見の左手に巻いてある包帯に気が付いた。

 

レミリア「あら?その包帯は一体どういうことかしら?」

 

夜見「ん?あぁ、これか 魔理沙さんとフランドールさんが弾幕ごっこしてたんだが、本が大変になりそうになったから止めた結果だ」

 

レミリア「その包帯の巻き方からして、火傷ね フランのレーヴァテインにでも巻き込まれたのかしら?」

 

夜見「巻き込まれたというよりは、レーヴァテインに自ら向かったって言った方が正しいな」

 

レミリア「あら、そう でも、大丈夫なんでしょう?この前に言っていた()()のお陰で」

 

夜見「まぁな 便利なのかもしれないが、逆に本当に大丈夫なのか心配にもなるもんだがな」

 

そう言って夜見は左手に巻かれていた包帯を取ると、左手に焼け爛れた跡が手のひらの中央だけに少しだけ残っている程度までに回復していた。その様子を見てレミリアは夜見に問いかけた。

 

レミリア「本当に見たわけじゃないから信用しがたいけれど、本当に話したとおりに回復が早いのかしら?」

 

夜見「あぁ 最初は手の全体が焼け爛れてたんだが、そろそろ治るな」

 

レミリア「あら?焼け爛れるような怪我をしていたのね だったら最初から怪我の回復速度を見てみたかったわね」

 

夜見「...そんなの見て、何が楽しいんだ?」

 

レミリア「人間が妖怪以上の早さで怪我が治るだなんて珍しいじゃない この前言っていた骨折もたった1()()()で治しただなんて、人間じゃ普通考えられないわよ?」

 

夜見「そんな話、よく覚えてたな」

 

実は夜見は外出・仕事を禁止された日からわずか1週間で骨折が治っていたのだ。しかし夜見はさとりには信用されないと思ったので骨折が治っても3週間程は黙っていて、結局1ヵ月程は仕事には行かなかったのだ。

するとレミリアは夜見にある質問をしてきた。

 

レミリア「それにしても貴方、本当に人間なのかしら?」

 

夜見「さぁな、幻想郷は普通じゃ考えられないようなこともあったりするもんだからな もしかしたら、その一部が原因なのかもな」

 

レミリア「まぁ、そうね 貴方はもともと外の人間だし、幻想郷の影響を受けてそんな体質になってもおかしくはないわね」

 

すると夜見は席を立ち、レミリアに帰ることを告げた。

 

夜見「さてと、俺はそろそろ帰るかな」

 

レミリア「あら、もう帰るかしら?もっとゆっくりしていきなさい」

 

レミリアは夜見にまだ紅魔館にいるように伝えたが、夜見は断ることにした。

 

夜見「残念だが、何も用が無いのに長居する理由はないだろ?それに、何も用が無いのに長居するとちょっと拗ねるかもしれない家族が1人いるからな」

 

するとレミリアは納得したように頷いた。

 

レミリア「そう、それなら仕方ないわね」

 

夜見「じゃあな、レミリアさん 今度来る時には何か手土産でも持ってくるよ」

 

レミリア「ふふ、期待してるわよ それと、もし暇だったら夜の8時頃に人里に来なさい」

 

夜見「夜の8時に人里?何かあるのか?」

 

レミリア「行ってみればわかるわ 貴方でも少しは楽しめるかもしれないわよ?」

 

夜見「あぁ、わかった それじゃあ、また8時頃な」

 

そして夜見は紅魔館を出て、地底に帰るために森へと入っていった。




どうも、お風呂場の蓋です。
今回はテスト期間などにより投稿が遅れてしまいました。
次回からは少しスピードを上げて投稿出来ると思いますのでよろしくお願いします。
それでは、よかったら次回も見てください。
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