心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第25話 ライブ前の人里

ライブに向かうために夜見と空は旧地獄街道と森を抜けて、今現在は夜の人里の中を2人で歩いていた。今日の人里はライブがあるせいか、いつも以上に賑わっていた。

 

空「わぁ~、人間がいっぱいいる ここが人里?」

 

空は初めての人里に興奮して、夜見の周りをうろちょろしながらいろんな所を見ていた。

 

夜見「あぁ、そうだ それはそうと空さん、さとりさんから言われたこと覚えてるのか?」

 

空「えっと...何か言われたっけ?」

 

夜見「俺から離れるな この人混みの中ではぐれたら面倒だ」

 

そう言って夜見は空の手首辺りを掴んで無理矢理自分の隣を歩かせた。

 

空「わぁ!?ちょっと黒夜さん、さとり様はそんなこと言ってないよ さとり様は楽しんできてって言ったんだよ」

 

夜見「さとりさんはそんなこと言ってない 本当に空さんは忘れっぽいんだな」

 

空「えへへ、そうかなぁ?」

 

夜見「...はぁ、さとりさんや燐さんが苦労するのも無理ないな」

 

夜見は空の忘れっぽさに呆れていると、空は夜見にあることを聞いてきた。

 

空「そういえば黒夜さん 夕飯食べてないけど、どうするの?今日は夕飯無し?」

 

夜見「ん?空さん、腹でも減ったか?」

 

空「うん、そろそろ何か食べたいな...そうだ!黒夜さんが前にお土産を買ったうどん屋で夕飯を食べようよ!」

 

空がそう言うと夜見は前にこいし達とうどん屋に行った時の事を思い出した。

 

夜見「あぁ、あのうどん屋ねぇ...あそこはちょっとなぁ...」

 

空「うにゅ?もしかして黒夜さんは、そのうどん屋飽きたの?」

 

夜見「いや、飽きた訳じゃないが...ほら、折角人里に来たんだから何か人里でしか味わえないようなのを食べないか?今回を逃したら次は無いかもしれないんだし」

 

空「そっか、それもそうだね 人里でしか味わえないような食べ物かぁ」

 

実は夜見と空はさっき話に出ていたうどん屋の前をとっくに通っていたのだが、そのうどん屋は随分前から閉店していた。原因はやはり店長が変わってしまった事らしいのだが、夜見はあの日以来そのうどん屋には行っていないので原因が本当に店長なのかどうかは夜見にはわからなかった。

 

そして空が周りを見ながら夕飯を食べる店を探していると、空は1件のとある店を指差した。

 

空「あれなんてどうかな?」

 

夜見「ん、どれだ?」

 

そして夜見は空が指差した方向を見てみると、そこは小さな焼き鳥屋があった。すると夜見は空の方をチラリと見た。

 

夜見(鴉の妖怪が焼き鳥を食べるってどうなんだ?そもそも地霊殿じゃ、鶏肉は食卓に一切出なかったな)

 

そんなことを夜見は考えていたが、空は夜見に質問をしてきた。

 

空「ねぇ、ところで焼き鳥って何?そもそも鳥って食べられるの?」

 

すると夜見は簡単に焼き鳥について説明を始めた。

 

夜見「焼き鳥ってのは串に一口大の鶏肉が何個か串に刺さってる料理だ まぁ、幻想郷と外の世界の焼き鳥が一緒なのかどうかは知らないが...」

 

空「へぇ、美味しそう!私、焼き鳥が食べたい!」

 

夜見(...なんか空さんが鶏肉食べてるって考えると、なんだか食べにくいな 何か別の店はないか?)

 

そして夜見は他の店はないか辺りを見渡していると、後ろの方から自分のことを呼ぶ声が聞こえた気がした。夜見はその声に反応して振り返ったが人里の人間が歩いている光景しか見えなかった。

 

夜見「...空さん、さっき俺のこと呼んだか?」

 

空「え、呼んでないよ?どうしたの急に?」

 

夜見「...いや、気のせいか」

 

夜見(そもそも呼ばれたのは偽名の方だったしな)

 

空「そんなことより黒夜さん、早く焼き鳥を食べようよ!」

 

空は早く焼き鳥を食べたがっていたが空が鶏肉を食べるのはなんとなく駄目な気がしたので、夜見は空にこう言ってみた。

 

夜見「いや、一応他の場所も見てみないか?もしかしたら他に食べたくなるような店もあるかもしれないぞ」

 

空「う~ん...そうだね♪確かに他にも色んなお店もあるから見てみようっと」

 

そして夜見と空は他の店を見て回ろうとすると人混みの中から急に腕が伸びてきて、空の方を掴んでいないもう片方の夜見の腕を掴んだ。しかし夜見は気にせずに腕を掴んでいる人物を引き摺りながら人混みの中を進んでいった。

 

夜見「ところで空さんはどんなのが食べたいんだ?」

 

空「ん~、お腹いっぱいになれる料理!」

 

?「いやいや、待て待て!私を無視するな!」

 

空「ん?何か聞こえなかった?」

 

夜見「あぁ、多分俺の腕を掴んでるやつじゃないか?」

 

すると2人は立ち止まって夜見は腕を掴んでる手を引っ張ってみると、人混みの中から魔理沙が出てきた。そして夜見は魔理沙に話しかけた。

 

夜見「なんだよ?今から夕飯に何を食べようか決めてるところなんだが?」

 

魔理沙「いやいやいや!人のこと引き摺っておいて何を呑気なこと言ってるんだよ!」

 

夜見「魔理沙さんと関わって良い結果になるのは稀だからな」

 

魔理沙「なっ!?そんなことないだろ!?」

 

そして夜見はとりあえず魔理沙がなんの用で自分の腕を掴んできたのかを聞いてみることにした。

 

夜見「まぁ、それはどうでもいいとして、一体なんの用だ?まさか1人寂しくライブに来たから付き合えとか言うんじゃないだろうな?」

 

魔理沙「誰が1人寂しくだ!私はアリスを誘って一緒に来たんだぜ!」

 

そして魔理沙は何故か自信満々に胸を張って答えたが肝心のアリスの姿はなかったので、アリスがどこにいるのかを聞いてみることにした。

 

夜見「へぇ?それで、アリスさんはどこに?」

 

魔理沙「何言ってるんだ?アリスならここに...あれ?」

 

すると魔理沙は焦った様子で周りをキョロキョロし始めた。そして魔理沙は苦笑いをすると、夜見に向かってこう言った。

 

魔理沙「は、はぐれちゃったぜ」

 

夜見「何してんだ この人混みの中でどうやって探すつもりだよ」

 

魔理沙「い、いや、でも、私はアリスの腕をちゃんと掴んでたんだぜ!?」

 

夜見「はぐれたら関係ないだろ、まったく...どこら辺ではぐれたかわかるか?」

 

魔理沙「お、おぉ、捜してくれるのか!?」

 

夜見がアリスを捜すのを手伝うことがわかると魔理沙は目を輝かせたが、夜見は魔理沙にこう言った。

 

夜見「あぁ、魔理沙さんにライブに誘われたはいいものの、1人にされるのはかわいそうだからな」

 

魔理沙「わ、私への心配は一切無しかよ!て言うか最初に会った時以外、私への対応酷くないか!?」

 

夜見「魔理沙さんが紅魔館の本を盗んだりしなかったりすればこんな対応にはならなかっただろうな ほら、行くぞ」

 

魔理沙「ま、待ってくれって!」

 

そして3人は先程通ってきた道を引き返しながらアリスを探していたが、何故か魔理沙はこちらの方をチラチラと見ていた。

すると夜見はため息をついて魔理沙に注意した。

 

夜見「魔理沙さん、アリスさんを捜す気あるのか?こっち見てないでちゃんと捜せ」

 

魔理沙「い、いや~、捜す気はちゃんとあるぜ?だけど、そいつ一体誰なんだよ?」

 

魔理沙はそう言って、空のことを指差した。すると空は魔理沙に向かってこう言った。

 

空「人に名前を聞く時は、まず自分からだよ?魔法使いさん」

 

魔理沙「え?あぁ、そうだよな 私は霧雨魔理沙、見ての通り普通の魔法使いだぜ」

 

空「私は霊烏路空、鴉の妖怪だよ よろしくね」

 

2人は自己紹介をしている間、夜見は周りを見渡しているとある物が見えた。すると夜見はそのある物が見えた方向へ向かった。

 

空「うにゅ?そっちにいた?」

 

魔理沙「え!?いたのか!?」

 

そして夜見の向かった方向に空と魔理沙も行ってみたが、夜見が見つけたのはアリスではなくアリスの近くにいつもいた人形だった。その人形はふわふわと宙に浮いていたが、こちらに気付くと手を振って夜見の顔の高さまで下りてきた。

 

夜見「シャンハイさん、ここにいたのか ご主人はどうしたんだ?」

 

夜見がそう言うとシャンハイは手足を一生懸命に動かして何かを伝えようとしていたが、その光景を見ていた魔理沙がこう言い出した。

 

魔理沙「一体何を伝えたいんだ?さっぱりだぜ」

 

空「でも、手足をパタパタさせてるのちょっと可愛いかも」

 

そしてシャンハイが手足の動きを止めると夜見はシャンハイを優しく掴んで肩に乗せ、2人にある方向を指差して言った。

 

夜見「あっちらしい、行くぞ」

 

魔理沙「え?おいおい、どういうことだ?」

 

魔理沙は何がなんだかさっぱりわからない様子だったので、夜見は軽く説明をした。

 

夜見「シャンハイさんがあっちだって教えてくれたんだ おそらくアリスさんはシャンハイさんに、魔理沙さんか魔理沙さんと面識のある人を見かけたら自分の居場所を教えるように命令したんだろ」

 

夜見がそう説明すると、空はあることに気付いた。

 

空「え?つまりはお人形が何を伝えたかったのか、わかったの?」

 

夜見「あぁ、少し前にアリスさんから習ったんだ 人形での物や場所の表現の仕方」

 

魔理沙「へぇ、よくそんなの習う気になったな」

 

夜見「別に習う気があった訳じゃない アリスさんがちょいちょい話に挟んできただけだ」

 

魔理沙「逆にすごいな 私だったら真面目に聞かないと覚えてられないぜ」

 

魔理沙がそう言うと夜見は前にアリスと、ある話をしたことを思い出した。

 

夜見「そういえばアリスさんが言ってたな [魔理沙が覚えるなら最悪2年はかかる]ってな」

 

魔理沙「いやいや!私だって覚えようと思ったらすぐに覚える方だぜ!?」

 

夜見「言っておくが人形の表現できる数は軽く4桁は越えてるが それをすぐに覚えられるのか?」

 

すると魔理沙は人形が4桁以上の表現を出来ることに驚いたが、それよりも驚いたのは人形の表現の仕方が4桁以上あるのに、夜見がその中の人形の表現を理解していたことだった。

 

魔理沙「嘘だろ!?まさか全部覚えてるのか!?」

 

夜見「全部とはいかないが9割は確実に覚えてる」

 

夜見がそう言うと魔理沙は少し震えた声で夜見に質問をした。

 

魔理沙「お、おい、まさかそれを1週間とかで覚えたとか言い出さないよな?」

 

夜見「そんなこと言うわけないだろ」

 

魔理沙「だ、だよな!1週間じゃ覚えられるわけないよな」

 

魔理沙がそう言ったが、夜見は不思議に思った様子で魔理沙に言った。

 

夜見「魔理沙さん、何言ってるんだ?俺は2時間ぐらいで覚えたんだが...」

 

魔理沙「は、はぁ!?おかしいだろ!慧音先生のそろばんの時も思ったけど、やっぱりお前化け物なんじゃないか!?」

 

夜見「馬鹿なこと言うな ほら、そろそろシャンハイさんが言ってた場所に着くぞ」

 

そして3人はシャンハイが伝えた場所に着いて辺りを見渡してみたが、アリスの姿は見えなかった。すると夜見の肩に乗っていたシャンハイが夜見のフードの横を引っ張った。

 

夜見「ん なんだよ、シャンハイさん どうした?」

 

夜見はシャンハイに話しかけるが、シャンハイは夜見のフードを引っ張ってばかりだった。すると空が後ろから夜見の肩を叩いてこう言った。

 

空「ねぇ、あそこで女の人が囲まれてるよ?」 

 

夜見「ん、本当か?どこだ?」

 

空「ほら、あそこ」

 

そして空が指差した方向を見ると、アリスが店の壁に背中から寄りかかって腕を組んでいた。そしてそのアリスの周りには3人の男性がいた。男性達はなにやらアリスに話しかけていたが、アリスはうんざりしながら無視をしていた。

 

魔理沙「おい、アリスはいたか?」 

 

すると魔理沙がこちらに近付いてきたので夜見はアリスのいる方向を指差した。

 

夜見「あぁ、いたことにはいたんだが...」

 

魔理沙「ん、なんだありゃ?まさかアリス、ナンパされてないか?」

 

夜見「あぁ、だろうな」

 

すると空は魔理沙に向かってあることを聞いた。

 

空「ねぇ、霧雨さん ナンパって何?」

 

魔理沙「え、知らないのか えっと、ナンパってのは...あぁ、なんて言えばいいかな...」

 

魔理沙は空にナンパについてどう説明をしようか迷っていたが、夜見少しため息をついて魔理沙と空にこう言った。

 

夜見「2人とも、少しここで待っててくれ すぐ戻る」

 

そう言うと夜見は少しめんどくさそうにアリスの元へと歩いていった。するとアリスに絡んでいる男性の声が聞こえてきた。

 

男性1「なぁ、可愛い子ちゃん 少しくらい俺らと飲んだっていいだろ?」

 

男性2「そうだよ 友達を待ってるって言ってたけど全然来ないじゃないか」

 

男性3「そうだ!実は俺、今日のライブの入場券持ってるんだ 一緒に見に行かないか?」

 

するとアリスは大きなため息をついて、絡んできている男性達に向かって睨みながら言った。

 

アリス「いい加減にしてくれない?友達を待ってるのよ」

 

するとアリスに絡んでいる男性達は怯むような様子はなく、へらへらしていた。

 

男性1「おいおい、そんなに睨むなよ せっかくの可愛い顔がもったいないぜ?」

 

アリス「大体、10代後半そこらになってナンパするとか馬鹿なんじゃない?正直不快よ」

 

男性2「口が悪いな、可愛い子ちゃん そんなお口じゃ、俺達みたいなカッコいい男しか相手にしてくれないぜ?」

 

アリス(まったく、何してるのよ魔理沙は!?早く迎えに来なさいよ!)

 

アリスがそう思っていると夜見は、男性達の間をスッと抜けてアリスの目の前に出てきた。

 

夜見「こんなところにいたのか、アリスさん」

 

アリス「え?夜影、なんで貴方がここに?」

 

夜見「ほら、さっさと行くぞ」

 

そして夜見はアリスの手を握って魔理沙と空のところへ戻ろうとしたが、そうはさせまいと前に男性3人が立ち塞がってきた。

 

男性1「おいおい、なんだお前?その子を連れてどこに行こうってんだ?あぁ!?」

 

男性2「てめぇが、この子の待ってた友達か?仮面なんか被ってダッセェな」

 

男性3「てめぇなんかじゃ、その子と釣り合わねえよ さっさとその子置いてさっさとどっか行ってろ」

 

男性達は夜見に威圧的にアリスを置いていくように言っていたが、夜見はそんなことは気にも止めず、まったく別のことを思っていた。

 

夜見(うわぁ、退かないで絡んでくるのかよ 本当に友達が来たってさらっと退いてくれれば良かったのに...どうしよう?)

 

夜見はこの男性達をどうしようか迷っていると、アリスが急に夜見の腕にしがみついてこちらに寄り添ってきた。するとアリスは夜見にこう言ってきた。

 

アリス「さぁ、こんなつまらない人なんか無視して行きましょ!夜影、今日のライブ楽しみね♪」

 

そう言ってアリスは夜見に笑顔を向けてきたが、夜見は急にアリスが何故こんなことをしてきたのかまったく理解できなかった。しかし夜見はすぐにアリスの意図を読み取って話を合わせ始めた。

 

夜見「あぁ、そうだな 混むだろうから早めに行っておこうか」

 

アリス「ええ、そうね♪」

 

そして夜見とアリスはその場を離れようとすると、男性達は急に動揺し始めた。

 

男性1「は、はぁ!?どういうことだよ!友達じゃねえのかよ!」

 

アリス「あら、ごめんなさい あなた達を出来るだけ傷付けないように友達って言ってたんだけど、本当は彼氏を待ってたのよ」

 

男性2「こ、こんな仮面を被った奴のどこが良いんだよ!?意味わかんねぇ!」

 

アリス「残念だけどあなた達より彼氏の方がすごく優しいから、一緒にいてとっても楽しいのよ まぁ、そもそもあなた達が優しかったとしても、まったく引かれることはなかったでしょうけどね」

 

男性3「そ、そんな優しいだけが取り柄の奴なんかどうせすぐに飽きるぜ?俺だったら、舞踊(ぶよう)とか出来るぜ?」

 

アリス「舞踊?あいにく私は舞踊は興味無いのよ 夜影の方がもっとすごい特技持ってるもんね~♪」

 

そう言ってアリスは夜見の腕に頬擦りをしてきた。すると男性の1人が悔しそうに見ていたと思ったら、夜見に指を差してきた。

 

男性1「おい、てめぇ!俺と彼女を賭けて勝負しやがれ!」

 

すると夜見はこの男はどうせ喧嘩で勝負を挑んでくるだろうという気がしたので適当にあしらった。

 

夜見「はぁ?そんなのするわけないだろ どうせ殴れば解決とか、くだらない幼稚な考えしてんだろ?」

 

夜見がそう言うと男性は一瞬顔をしかめたので、どうやら図星だったようだ。すると男性は別の案を考え始めた。

 

男性1「だったら!さっき彼女が言ってた特技ってのを見せてみろや!本当にすげぇ特技だったら諦めてやるよ」

 

男性がそう言った瞬間、腕にしがみついていたアリスが慌てた様子で夜見に話しかけてきた。

 

アリス「よ、夜影!こんな奴に貴方の特技を見せる価値なんて無いわ!ほら、さっさと行きましょ!」

 

男性1「おいおい、まさか逃げるのか?もしかして、特技があるってのは嘘かぁ?それとも、この関係自体も嘘だったりしてなぁ」

 

男性がニヤニヤしながらそう言うと、他2人の男性もこちらを見てニヤニヤした。どうやら男性達はアリスの慌てた様子を見て若干この関係が嘘だと感じ取ったのだろう。

すると夜見は男性にあることを聞いた。

 

夜見「...特技を見せれば、お前らは退くのか?」

 

アリス「よ、夜影!?」

 

男性1「あぁ、もちろんだ 特技が見せられればの話だけどな?」

 

すると夜見はため息をついて少し咳払いをすると、夜見は口を開いた。

 

夜見「見せることはできないけど、聞くことは出来るんじゃないかしら?」

 

そして夜見が口を開いた瞬間、周りにいた男性達だけでなくアリスまで驚いた様子で固まってしまった。その原因は夜見の声にあった。

 

夜見「あら、どうしたの?もしかして、こんなのに驚いてるのかしら?ただ私は彼女の声を真似してるだけよ?」

 

実は夜見が口を開いたと思った瞬間、夜見の声はアリスと同じ声になっていたのだ。夜見自身は声真似してるだけなのだが、その声はアリス本人の声との違いがわからないほどのレベルだった。

そして夜見は男性達に声をかけたが返事が返ってこないのでアリスを連れて空と魔理沙の元へ戻ることにした。

 

夜見「それじゃ、私達はこの辺で失礼」

 

そして夜見はアリスを連れて空と魔理沙の元へと戻ると、魔理沙はアリスを冷やかすために声をかけた。

 

魔理沙「おいおい、何をしたらそんなラブラブの状態になって帰ってくるんだ?」

 

アリス「...」

 

しかしアリスはまったく反応しなかったので、魔理沙は少し心配になって優しく声をかけ始めた。

 

魔理沙「...あれ?おーい、アリス?」

 

夜見「おい、アリスさん しっかりしろ」

 

そして夜見がアリスの肩を軽く叩くとアリスはハッとして我にかえった。

 

アリス「え?あ、あれ?あいつらは?」

 

夜見「アリスさん、何言ってるんだ?もう終わっただろ」

 

アリス「あ、あぁ、そうだったわね」

 

魔理沙「ところでアリス、いつまで腕に抱きついてる状態でいるつもりなんだ?」

 

魔理沙がそう言うとアリスは顔を真っ赤にして夜見から離れた。そしてアリスは夜見に向かって頭を下げてきた。

 

アリス「ご、ごめんなさい!私あの時、あの方法しか思い付かなかったから」

 

夜見「いや、別に謝ることじゃないだろ とりあえず、アリスさんが無事で良かった」

 

夜見がそう言うとアリスは頭を上げ、夜見の肩に乗っていたシャンハイがアリスの周りにふわふわと浮かび始めた。

 

アリス「本当にありがとう、おかげで助かったわ」

 

夜見「どういたしまして さてと、アリスさんを助けたことだし 空さん、夕飯をどこで食べるか決めに行くか」

 

空「うん、そうだね バイバイ、霧雨さん」

 

そして夜見と空はまた夕飯をどこで食べるか決めに戻ろうとすると、アリスが呼び止めた。

 

アリス「あ!ちょっと待って!それなら、私達も付いてっていいかしら?私達もまだ夕飯は食べてないし、さっきのお礼として奢ってあげるわ」

 

そして夜見と空は振り返るとアリスに向かって夜見は言った。

 

夜見「いや、別に一緒に食べるのは構わないが奢りはしなくていい ちゃんと金は持ってる」

 

アリス「いえ、それじゃ私が納得いかないわ!奢らせてちょうだい!」

 

夜見「...割前勘定(わりまえかんじょう)(割り勘)は駄目か?」

 

アリス「嫌よ!私が納得出来ないわ!」

 

すると魔理沙は夜見に近付いてきて耳打ちをした。

 

魔理沙「夜影、諦めた方がいいぜ?アリスは変なところで頑固だから、絶対に夜影には金は払わせない だから今回はアリスの奢りにした方が早いぜ?」

 

どうやらアリスに一切退く気はないらしく、このままだと夕飯を食べる前にライブが始まってしまいそうだったので、今回は夜見が退くことにした。

 

夜見「...はぁ、わかったよ すまないな、今回は奢ってもらうことにするよ」

 

アリス「決まりね それで、みんなはどこで夕飯を食べたいのかしら?」

 

そしてアリスがみんなに何を食べたいか聞くと、3人はそれぞれ答え始めた。

 

夜見「別に俺はどこでもいい」

 

空「私も、お腹いっぱいになれればどこでもいいよ」

 

魔理沙「それじゃあ、私はお好み焼きがいいぜ」

 

3人はそれぞれ自分の意見を言うと、アリスが確認を取った。

 

アリス「魔理沙はお好み焼きがいいって言ってるけど、2人はそれでいいかしら?」

 

夜見「あぁ、俺は構わない」

 

空「ねぇ、お好み焼きって何?どんな料理なの?」

 

アリス「お好み焼きってのはね、水で溶かした小麦粉の生地の中にいろんな具を入れた料理よ」

 

アリスが軽くお好み焼きについて説明をすると、アリスは空の前に出た。

 

アリス「そういえば、自己紹介をしなきゃね 私はアリス・マーガトロイド、魔法使いよ」

 

空「私は霊烏路空、鴉の妖怪だよ よろしくね、アリスさん」

 

そしてアリスと空が自己紹介を終えると、魔理沙が夜見に小声で話しかけてきた。

 

魔理沙「なぁ、夜影 そういや1つ思ったんだけど、空ってお前と一体どんな関係なんだ?」

 

夜見「...魔理沙さんに話す必要なんかあるのか?」

 

魔理沙「いや、妖怪と一緒にいたってことは、なにかしらの関係はあるだろ?」

 

夜見「...あいにく、話す気は無い そもそも俺が身元を明かすような真似をするとでも思うか?」

 

魔理沙「別に気になったから聞いただけで、話したくないなら無理に話す必要はないぜ」

 

夜見「そりゃ、どうも」

 

するとアリスは夜見と魔理沙が小声で会話をしていることに気付いた。

 

アリス「魔理沙?何を2人でこそこそと会話してるの?」

 

魔理沙「別に、ただお好み焼きの具は何がいいか聞いてただけだぜ」

 

アリス「そんなのお店に行って聞けばいいでしょ そんなことより、早く行きましょう」

 

そう言ってアリスは人里の奥へ進んでいくので、夜見達はアリスの後に続いて人里の奥へと進んだ。そして魔理沙とアリスが会話をしている隙に夜見は空に小声で声をかけた。

 

夜見「空さん、ちょっといいか?」

 

空「ん、どうしたの?」

 

夜見「悪いが魔理沙さんとアリスさんがいる前では、俺のことを黒月って呼んでくれないか?」

 

空「え?どうして?」

 

夜見「ちょっとした事情があってな ちなみに2人は俺のことを夜影って呼ぶ、わかったか?」

 

空「黒月さんだね、わかったよ」

 

アリス「夜影、空さん 着いたわよ」

 

夜見と空がちょうど話し終わったタイミングで、夜見達は1件のお好み焼き屋の前に着いた。そして夜見達はお好み焼き屋へと入っていった。

そして店内の様子は机が6個あり、1個につき椅子が4個置かれていた。さらに店の奥から店員がお好み焼きを焼いているのか、お好み焼きを焼く音が聞こえ、ソースの匂いが漂ってきた。そして店の1番奥の机がちょうど空いていた。

 

アリス「あら、今日は運がいいわね いつもは満席なのに」

 

魔理沙「おぉ、やったぜ さ~てと、何を頼もうかな~」

 

そして夜見達は奥の机の椅子に座ってお品書きを眺めて何を頼もうか決め始めた。ちなみに空は夜見の横、魔理沙は夜見の正面、アリスは魔理沙の横に座った。

 

夜見(さてと、何を頼もうかな と言ってもアリスさんが奢るから、なるべく高くないものにするか)

 

そしてお品書きを見て2分ほど経つと、アリスがみんなに注文が決まったかを確認し始めた。

 

アリス「さて、みんなは何を頼むか決まったかしら?」

 

魔理沙「私はこの野菜多めのやつがいいぜ」

 

夜見「俺は普通のやつでいい」

 

空「...う~ん、ちょっと待ってて」

 

アリス「空さんはまだ決まってないのかしら?」

 

空「ねぇ、黒...月さん、これなんて読むの?」

 

夜見「ん?どれだ?」

 

空はそう言ってお品書きをこちらに寄せてきたので、夜見はそれを覗き込むふりをして空に話しかけた。

 

夜見「おい、空さん 名前呼び間違えかけただろ」

 

空「あ、うん 急に呼ぶ名前が変わると言いずらくて」

 

夜見は空が忘れっぽいため名前を呼ばれるのが少し心配だったが、そもそもいつも呼んでいた名前を変えさせたのはこちらなので空に非はなかった。

 

夜見「まぁ、仕方無いか それで、どれを頼もうとしたんだ?」

 

空「あ、えっとね...これ」

 

夜見「あぁ、これか...魔理沙さんと同じやつだな」

 

アリス「空さんは魔理沙と同じのね、わかったわ」

 

そしてアリスが立ち上がると厨房のある方向へ向かっていったので、おそらく注文を頼みに行ったのだろう。するとアリスがいない間に魔理沙は夜見にあることを聞いてきた。

 

魔理沙「そういえば夜影、アリスを助けた時にナンパしてた奴らが固まってたけど一体何をしたんだ?」

 

夜見「あぁ、少し驚かせただけだ」

 

魔理沙「驚かせたって、一体どういうことだ?」

 

魔理沙が夜見にそう聞いた瞬間、注文をしに行ったアリスがちょうど戻ってきた。

 

アリス「注文してきたわよ すぐに出来るらしいわ」

 

魔理沙「お!アリス、ナイスタイミングで戻ってきてくれたぜ」

 

アリス「何よ急に 一体どうしたの?」

 

アリスは不思議に思いながら椅子に座ると、魔理沙はアリスに質問をした。

 

魔理沙「アリス、夜影はどうやってナンパしてた奴らをどうやって驚かせたんだ?」

 

アリス「あぁ、あれは私も驚いたわよ なんだったら夜影にやってもらったらいいんじゃない?」

 

魔理沙「お?夜影、今でも出来るのか?」

 

すると夜見は少し面倒くさそうに答えた。

 

夜見「まぁ、出来ないことはない...ただ、やり過ぎると疲れるんだ」

 

魔理沙「へぇ、じゃあ少しでいいからやってみてくれよ」

 

夜見「はぁ、わかったよ」

 

そして夜見は少し咳払いをすると、夜見は口を開いた。

 

夜見「ほら、こんな感じだ どうだ?魔理沙さん」

 

魔理沙「なっ!?」

 

夜見が口を開いた瞬間、魔理沙は驚いて固まった様子になり、横にいた空も目を丸くして驚いていた。しかしアリスは夜見が声真似をすることはわかりきっていたので驚く様子はなかった。

 

空「え?その声って...」

 

魔理沙「わ、私の声じゃないか!?」

 

夜見「あぁ、そうだぜ ちなみに...ん、ん!こんな声も出せるわよ?」

 

そう言って夜見が咳払いをして声を出すと、今度は霊夢の声真似を始めた。

 

魔理沙「れ、霊夢の声まで真似出来るのか!?」

 

夜見「えぇ、そうよ ただこの声真似の欠点は、女性の声真似しか出来ないことかしら」

 

空「へ~、面白いことが出来るんだね」

 

空は夜見の声真似を面白そうに聞いていたが、魔理沙とアリスは声真似に対して同じことが気になった。

 

魔理沙「...いや、確かに面白いけど、その、なんていうか...」

 

アリス「なんで口調まで真似をするのかしら?」

 

アリスがなんの躊躇(ちゅうちょ)もなく魔理沙の聞こうとした質問をすると、夜見は霊夢の声真似をしたまま答え始めた。

 

夜見「あぁ、口調まで真似するのは私の癖なのよ それに、いつもの口調で喋っちゃうとその人のイメージも崩れちゃうしね」

 

魔理沙「へ、へぇ~、そりゃ急に女性の声真似をし始めたら誰でも驚くぜ ちなみに、ナンパしてた奴らの前では誰の声真似をしたんだ?」

 

夜見「アリスさんの声よ アリスさんの声の真似をした方が相手は驚くでしょうしね」

 

アリス「もう、あの時は何が起きたかさっぱりわからなかったわよ でもまさか、声真似が出来るだなんて思ってもみなかったわ」

 

魔理沙「それにしても似てるっていうか、もう同じ声だよな 面白い特技だぜ」

 

夜見「面白い特技といわれても、別にただ疲れるだけだ 得することはない」

 

魔理沙「ちぇ、なんだ もう終わりなのか」

 

夜見「やり過ぎると疲れるって言っただろ それに少し喉が痛くなるしな」

 

そして夜見が声真似をやめると厨房の方から2つの皿を持った女性の店員がこちらに向かってきた。そして皿の上には美味しそうなお好み焼きが乗っていた。

 

店員「野菜たっぷりお好み焼きを2つお持ちしました」

 

空・魔理沙「あ、私のだ(ぜ)」

 

2人揃ってお好み焼きを受け取ると店員は[ごゆっくり、どうぞ]と言って厨房の方へ戻っていった。そして2人は机の端にあった割り箸を手に取り、魔理沙は早速お好み焼きを食べ始めた。

 

空「ねぇ、黒月さん もう先に食べてていい?」

 

夜見「あぁ、別にいいぞ 冷めると勿体無いからな」

 

空「やった~、いただきまーす」

 

そして空も割り箸でお好み焼きを一口サイズに分けて食べ始めた。

 

空「わぁ、黒月さん!とっても美味しいよ!」

 

夜見「そうか、良かったな」

 

アリス「空さんのお口に合うか少し心配だったけど、ここを選んで良かったわ」

 

すると再び女性の店員が2つの皿にお好み焼きを乗せてやって来た。2つのお好み焼きはどちらも同じ見た目なのでおそらくアリスは夜見と同じものを注文したのだろう。

 

店員「通常のお好み焼きを2つお持ちしました」

 

店員はそう言って夜見とアリスの前にお好み焼きを置くとメモのようなものを取り出して注文を再確認した。

 

店員「野菜たっぷりお好み焼きが2つ、通常のお好み焼きが2つでよろしかったでしょうか?」

 

アリス「えぇ、大丈夫よ」

 

店員「では、ごゆっくり、どうぞ」

 

そして店員は厨房へと戻り、夜見とアリスは割り箸を手に取っていただきますと言ってお好み焼きを食べ始めた。お好み焼きにはソースがしっかりと付いていて、中のキャベツの食感がしっかりと感じられた。

 

夜見「おぉ、美味しいな」

 

アリス「前には他のを頼んでみたけど、やっぱりどれも美味しいわね」

 

そして夜見達の手の動きは止まること無く、お好み焼きをあっという間に食べ終えてしまった。そして食べ終えた夜見達はごちそうさまと言ってお好み焼き屋を出た。

 

魔理沙「いやぁ、食べた食べた お腹いっぱいだぜ」

 

空「あ~美味しかった♪また食べに来たいね、黒月さん」

 

夜見「あぁ、そうだな アリスさん、奢ってくれてありがとう」

 

夜見はアリスにお礼を言うと、アリスは笑顔でこう言った。

 

アリス「気にしなくていいのよ、お礼なんだから」

 

するとお腹いっぱいになって満足そうな空は夜見にある質問をしてきた。

 

空「そういえば黒月さん、私達ってなんのために人里に来たんだっけ?」

 

夜見「何言ってるんだ、ライブを見に来たんだろ」

 

空「あ、そうだったね じゃあ、早く行った方がいいんじゃない?」

 

アリス「別にそんなに急がなくても、ライブまで時間には余裕があるわよ?もう少しゆっくりしててもいいんじゃない?」

 

夜影「いや、俺達は先にライブ会場に行くことにする 時間に余裕をもつことに越したことはないからな 行くぞ、空さん」

 

空「うん、わかった じゃあね、霧雨さん、アリスさん」

 

魔理沙「おう!またな、夜影、空 ライブ会場でまた会おうぜ!」

 

アリス「またね、夜影、空さん またライブ会場でね」

 

そして夕食を済ませた夜見と空は、魔理沙とアリスと別れてライブ会場へと向かっていった。




どうも、お風呂場の蓋です。
何かイベントや祭りがある時にはナンパなどが多いのでは?と思ったので、今回はそんな話にしてみました。
イベントや祭りがある時には、いろんなトラブルなども多いので皆さんも気をつけてください。
もしよかったら、次回も見てください。
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