心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第26話 ライブにイベントは付き物

夜見と空はアリスと魔理沙と別れて人里をしばらく歩いていると、道の脇の方に人が少し並んでいるのが見えた。そしてその列の最後尾には男性がこう書かれた看板を持っていた。

 

[プリズムリバーライブ最後尾]

 

そして夜見は空の肩を叩いて、列の最後尾を指差した。

 

夜見「空さん、どうやらあの列に並ばないといけないらしいから並ぶぞ」

 

空「うん、わかった」

 

そして夜見と空は列の最後尾に並ぶと看板を持った男性は自分達の後ろに立ち始めた。その後に夜見と空の後ろに人が並び始めると看板を持った男性はどんどん後ろへと行った。

しばらく並んで待っていると列が少しずつ前に進み始めたので、夜見と空も少しずつ前に進んだ。そしてしばらく進んでいるとライブ会場が見えてきた。

 

空「ねぇ、黒夜さん あれがライブ会場かな?」

 

夜見「あぁ、多分そうだろうな」

 

ライブ会場は十字路の1つの道が高さ5mほどの板で塞がれており、その板の下の中央辺りに少し広めの扇形のステージがあった。

そしてそのステージから2m離れた辺りから椅子が扇形にずらりと並べてあったので、そこが観客席なのだろう。そして観客席の1番後ろから15m離れた辺りからはロープでこの先へ進めなくなっていたため、入場券が無いとライブは見えないようだった。

 

前方を見ると列の1番前の人が観客席の入り口にいる女性にライブの入場券を見せると次々へと観客席へと座っていった。

しばらくして夜見と空の目の前まで入り口が来ると、入り口にいた女性に話しかけられた。

 

女性「入場券を見せてください」

 

そして夜見はリリカから貰った入場券を見せると女性は道を譲ってこう言った。

 

女性「特別席の入場券ですね この席へどうぞ」

 

そう言って女性は夜見に紙を渡してきたのでその紙を見てると1ー15・1ー16と書かれていたので、おそらくそこが自分達の座る席なのだろう。そして夜見と空はライブ会場に入ると自分達の座る席を探し始めた。

 

夜見「...どこだ、俺達の座る席は?」

 

空「数字は何か意味があるのかな?」

 

空がそう言うと夜見は近くにある席を見てみた。

 

夜見「数字か...この席は前から5番目、左から11番目にあるから5ー11って小さく彫ってあるな ということは俺達の席は1番前か」

 

そして夜見と空は通路を通って1番前に行って左から15番目と16番目の椅子を見つけたが...

 

夜見「...ここってステージが正面じゃねえか」

 

空「やった!黒夜さん、特等席だね」

 

夜見「あぁ、そうだな まぁ、俺は別に見れればどこでも良かったんだけどな」

 

そんなことを言いながら夜見は1ー15、空は1ー16の椅子に座った。そして夜見と空はライブが始まるまで待っていると、観客席に観客がどんどん座って席が8割ほど埋まった。するとそこで夜見は空が横で少し震えていることに気付いた。

 

夜見「どうした?空さん」

 

空「ちょ、ちょっと寒くて」

 

そう言って空は寒そうに自分の腕を擦り始めた。すると夜見は自分のマントを脱いで空にマントを羽織らせた。

 

夜見「こんな真冬の夜に半袖で来るからだろ とりあえず俺のマントを羽織っとけ」

 

空「あ、ありがとう、黒夜さん でも、黒夜さんは寒くないの?」

 

空はそう言いながらマントの前を閉じてあからさまに寒そうにしていた。

 

夜見「別に?」

 

空「そうなんだ...暖かいね、このマント」

 

夜見「そうか?特に気にしたことはないな」

 

空「きっと、黒夜さんの温もりがあるからかな?」

 

夜見「別にそんな優しさのある行動でもなかっただろ」

 

空「...違うよ?体温的な話」

 

夜見「そっちかよ、紛らわしいな」

 

そんなことをしていると観客席もほとんど満席になってきており、席は空いてる席がちらほら見える程度になってきた。すると夜見の隣の席に、ある少女がこう言って席に座った。

 

?「隣、失礼するわよ」

 

夜見「...なんだ、レミリアさんか」

 

夜見は隣を見ると隣にはレミリアが座っており、レミリアの左側にはフランドールが座っていた。

 

レミリア「まさか、貴方がもう既に会場に入ってるとは思わなかったわ」

 

フランドール「こんばんは、黒夜」

 

夜見「今日はフランドールさんも一緒か レミリアさんのことだから咲夜さんでも連れてくると思ったんだが、今日はいないのか?」

 

フランドール「いるよ、後ろの方に」

 

そしてフランドールが後ろを向いて指を指したのでその方向を見ると、かなり後ろの方に咲夜が座っていた。そして咲夜はフランドールが見ているのに気付くと笑顔でそっと手を振った。

 

夜見「あんな後ろにいさせて大丈夫か?」

 

レミリア「私が呼べばすぐに来るわよ そもそも、あの席は本当は貴方の席になるはずだったのよ」

 

レミリアがそう言うと夜見は、今日レミリアに人里に来るように言われた理由を理解した。

 

夜見「ということは、今日俺を人里に8時に来るように言ったのはこのライブのためか」

 

レミリア「そうよ 貴方だったら15分前にでも来るかと思って列の近くで待ってたのに来なかったから、急遽あの入場券は咲夜のものにしたわ」

 

夜見「そうか...なんか悪いことしたな」

 

レミリア「別にいいわ 咲夜にも楽しんでもらえるって思えばね」

 

すると夜見はある人物を思い出したので、今何をしているか聞いてみることにした。

 

夜見「そういえば、咲希さんはどうした?紅魔館で留守番か?」

 

レミリア「えぇ、そうよ まだ運命は変わっていないようだから、メイドの(たしな)みを美鈴から学ばせると称して留守番させておいたわ」

 

夜見「へぇ、そうか また菓子で釣ったのか?」

 

レミリア「当たり前じゃない あの子、おやつに目がないから」

 

するとレミリアの隣にいたフランドールは夜見にあることを聞いてきた。

 

フランドール「ねぇねぇ、黒夜の隣に座ってるのは一体誰?もしかして、黒夜の家族?」

 

すると夜見はフランドールの質問に対してあることを思った。

 

夜見(空さんのことか 空さんと家族って言ってもさとりさんとかがばれることはないだろうし、紹介するか)

 

そして夜見は空のことを紹介しようとすると空にフランドールの聞いてきたことが聞こえたらしく、空はフランドールにこう言った。

 

空「人のことを聞くときは、まずは自分のことを話すんだよ?」

 

するとレミリアは空の言ったことに対して同じ考えを持っていたようだ。

 

レミリア「そうよ、フラン まずは自己紹介をしなさい」

 

すると空とフランドールはそれぞれ自己紹介をした。

 

フランドール「私はフランドール・スカーレット 吸血鬼だよ」

 

空「私は霊烏路空、鴉の妖怪だよ それで、さっき黒夜さんと話してたあなたは誰?」

 

するとレミリアは席の立って空の前まで来ると、スカートの横を両方つまんで少し持ち上げて頭を下げながら上品に自己紹介をした。

 

レミリア「私はレミリア・スカーレット、紅魔館の主よ」

 

空「レミリアさんだね、よろしく」

 

レミリア「ちなみに、フランは私の5つ下だから私が姉、フランは妹よ」

 

空「へぇ~、そうなんだ それってさと「空さん、ちょっと」わわっ!?く、黒夜さん!?」

 

すると夜見はいきなり空の手を取ってレミリアとフランドールから離れて空に小声で話し始めた。

 

夜見「いいか、空さん さとりさんやこいしさんの素性は絶対に他人に言っちゃ駄目だ いいな?」

 

空「え?でも、あっちも姉妹なんだし、もしかしたらさとり様とこいし様と仲良くなれるかもしれないよ?」

 

夜見「空さん、さとりさんとこいしさんがどうして地底で暮らすようになったかわかってない訳じゃないだろ?これはさとりさんとこいしさんの為だ、わかったな?」

 

空「...うん、そうだね さとり様とこいし様に辛い思いはしてほしくないもんね」

 

空が納得して話が終わると、夜見と空は再びの席へと戻っていった。

 

夜見「いや、すまない ちょっとな」

 

レミリア「...別にいいわ 私もフランも根掘り葉掘り聞く気はないから安心してちょうだい」

 

夜見「...すまないな」

 

レミリア「知られたくないことが無いなんてあり得ないもの もちろん私にだって知られたくないことはあるわよ?」

 

夜見「...妖怪も、いろいろと大変なもんだな」

 

レミリア「種族が違うだけで、生きていることに変わりはないもの」

 

夜見「...そうだな」

 

そして夜見とレミリアがしんみりとしていると、後ろの方から2人に声をかけられた。

 

?「お、夜影に空!案外席が近かったな」

 

?「あら、まさか特等席を取ってただなんて思わなかったわ」

 

夜見「俺達の真後ろなのか、魔理沙さんにアリスさん」

 

そして夜見が後ろを向くと夜見の後ろに魔理沙が、空の後ろにアリスが座っていた。するとレミリアは何かフランに耳打ちをしていたが、レミリアが何かを話し終えると魔理沙に向かって言った。

 

レミリア「あら、貴女もライブに来ていたのね」

 

魔理沙「なんだ、吸血鬼姉妹も来てたのか 妹の方はわかるけど、まさか姉まで来るとはな」

 

レミリア「別にいいじゃない、私だってたまには羽を伸ばしたいのよ」

 

すると、その会話を聞いていたアリスが魔理沙に質問をした。

 

アリス「...ねぇ、魔理沙 この妖怪と知り合いなの?」

 

魔理沙「あぁ、前に言ってた異変の犯人だ 異変が終わった後もよく遊びに行ってるんだぜ」

 

夜見・レミリア「主に本を盗みに、な(ね)」

 

そして夜見とレミリアの声がたまたま揃って同じことを言うと、アリスはジト目になって魔理沙に見た。

 

アリス「...魔理沙、私の家では飽き足らずまさか他の所で本を盗んでるとはね」

 

魔理沙「いやいや、違うぞ!?私はあくまでも本を一生借りてるだけだぜ!?」

 

アリス「それを盗みっていうんでしょ?はぁ~、貴女の盗み癖には呆れるわ」

 

アリスは魔理沙の盗み癖に呆れ、魔理沙は屁理屈な理論で言い訳をしているとレミリアは夜見にあることを聞いた。

 

レミリア「黒月、1つ頼み事をいいかしら?」

 

夜見はレミリアに呼ばれると一瞬不思議に思ったが、夜見は返事をした。

 

夜見「頼み事?なんだ一体」

 

レミリア「期限は設けないけど出来るだけ早めに、この泥棒の家から本を取り戻してくれないかしら?ついでに、この人形使いの本も」

 

レミリアがそう言うと夜見はある疑問を感じた。

 

夜見「...別に構わないが、後者の方はレミリアさんに何も関係ないはずだが?」

 

レミリア「言ったでしょ?ついでって 特に意味は無いわ」

 

夜見「...まぁ、別にいいか じゃあ、明日から少しずつで構わないか?」

 

レミリア「えぇ、頼んだわよ」

 

そして話が終わったが、夜見は小声でレミリアに不思議に思ったことを尋ねた。

 

夜見「なぁ、レミリアさん なんで俺の偽名の呼び方を知ってるんだ?レミリアさんの前で一言も偽名自体すら言っていなかったはずなんだが...」

 

レミリア「それは前に美鈴が異変の時に貴方がそう呼ばれてたって聞いたのよ フランにもさっき耳打ちして伝えたから大丈夫よ」

 

夜見「さっき耳打ちしてたのはそういうことか 随分と抜かり無いな」

 

レミリア「私達には本名を言ったってことは私達を信用してるということでしょう?信用してくれる人を裏切るのは、私のプライドが許さないわ」

 

夜見「そうか、ありがとう」

 

レミリア「どういたしまして」

 

そして夜見とレミリアが話し終わると同時に、いきなり観客席の人達が歓声を上げ始めた。何事かと思ってステージの方を見てみると、見覚えのある3人が観客席の人達に向かって手を振ってステージに上がった。

 

ルナサ「...相変わらず、すごいお客さんの数ね」

 

メルラン「みんな~!こんばんわ~!」

 

リリカ「イエーイ!みんなー!盛り上がってるかー!?」

 

そう言ってリリカは拳を握って片手を上に突き出すと観客席から大きな歓声が上がった。

 

ワアアアアアァァァ!!!

 

するとリリカはもっと大きい歓声が欲しいと思ったのか、こんなことを言い出した。

 

リリカ「みんなー!全然元気無いよー!?盛り上がってるかーー!?

 

ワアアアアアァァァ!!!

 

すると今度はさらに大きな歓声が上がって会場は盛り上がっていたのだが、最前列のある2人は盛り上がる様子は無かった。

 

夜見「...さすがに耳に来るな 痛ぇ」

 

レミリア「同感ね しかも、最前列だから1番うるさいわよ?」

 

すると空とフランドールが夜見とレミリアが盛り上がっていないことに気付いて声をかけてきた。

 

空「どうしたの、黒月さん?ライブ始まったんだから、楽しまないと!」

 

フランドール「空の言う通りだよ!ほら、お姉様も楽しもう?」

 

夜見「...どうする?」

 

レミリア「...知らないわよ」

 

夜見「...はぁ、困ったな」

 

するとステージにいるメルランはルナサとリリカにこう言った。

 

メルラン「みんな、いい感じに盛り上がってるよー!」

 

ルナサ「じゃあ、そろそろ始めましょうか」

 

リリカ「よ~し!盛り上がったところで最初の曲、行ってみよー!」

 

そしてリリカが合図をした瞬間に、プリズムリバー3姉妹の手元にそれぞれの楽器が現れてライブがいよいよ開催された。ライブの演奏は昼間に聴いた時とは別の心地よさを感じ、1曲1曲が終わる度に観客から盛大な拍手と歓声がプリズムリバー姉妹に送られていた。

 

そしてライブが始まってから12曲ほど演奏し終わりライブももう後半になると、夜見は少し眠気を感じ始めてきた。

 

夜見(なんか、眠気がさしてきたな 空さんは大丈夫か?)

 

そして夜見は空の方を見ると空がこちらに寄りかかるように倒れて来て、夜見の肩に空の頭が乗った。さらに空は寝息をたててそのまま寝始めてしまった。

 

夜見(起こすのも可哀想な気がするし、このまま寝かしといてやるか)

 

しかし空が夜見の肩に頭を預けて寝ている様子は、傍から見たら完全にカップルにしか見えないのだが、夜見は気にすることなくライブをそのまま聴くことにした。

 

そしてライブの最後の演奏も終わりが近付いてきて、そろそろ終わりそうな頃になると夜見は空の肩を叩いて起こし始めた。

 

夜見「空さん、そろそろ起きろ もう少しで終わるぞ」

 

空「...うん?あれ?私、もしかして寝てた?」

 

夜見「あぁ、ぐっすりとな」

 

すると空はまだ眠気が取れないのか体を伸ばしてあくびをした。

 

空「ふわ~、少し曲聴き逃しちゃったな なんで起こしてくれなかったの?」

 

夜見「いや、随分とぐっすり寝てるから起こすのは少し可哀想な気がしてな」

 

空「ふ~ん?まぁ、いいや」

 

そして最後の演奏が終わると観客から1段と大きな拍手と歓声がプリズムリバー姉妹に送られた。ライブが終わると魔理沙とアリスは夜見達に別れを言って、さっさと会場を出たので夜見も帰るために立ち上がろうとするとレミリアに腕を掴まれて止められた。

 

夜見「どうした?レミリアさん」

 

レミリア「待ちなさい、ライブのついでにもう1つ用事があったわ」

 

夜見「用事?なんだよ一体」

 

レミリア「少し待ってればわかるわ」

 

レミリアに待つように言われた夜見はおとなしく席に座っていると、ルナサとメルランがステージから下りてどこかへ行ってしまった。そして少し経ってルナサとメルランが2人で大きな箱を持ってくると、それをステージの中央に下ろした。するとリリカがこんなことを言い始めた。

 

リリカ「それじゃあ、今年もライブ終了後のゲーム!始めたいと思いまーす!」

 

急にリリカがゲームを始めると言うと、観客から歓声が上がった。しかし夜見は何がなんだかさっぱりわからなかった。

 

夜見「...ゲーム?何するんだよ?」

 

レミリア「今から説明するでしょうから、聞けばわかるわよ」

 

夜見「そもそも、ゲームをするだなんて入場券の予定に書いてあったか?」

 

レミリア「書いてないわよ、ライブ自体は終わったもの」

 

するとステージ上にいるリリカがゲームのルールを説明し始めた。

 

リリカ「じゃあ、ルール説明!まずは友達や家族と来た人は代表者を決めてください!その後に私と一斉にじゃん拳をして勝った人だけが残り、最後の5人になってもらうまで続けます!そして残った代表者5名にはこの豪華景品をプレゼントしまーす!」

 

そしてリリカは箱からある物を3つ取り出した。それはプリズムリバー姉妹が着ている服と同じ服だった。するとリリカは観客にあることを尋ね始めた。

 

リリカ「みんなー!この服欲しいよねー!?」

 

すると観客から盛大な歓声が上がり始めたが、その歓声に対して夜見は疑問を感じた。何故なら小さな子供や女性ならまだしも、男性まで歓声を上げていたからだ。

すると隣にいたレミリアが夜見に話しかけてきた。

 

レミリア「貴方が思ってること当ててあげるわ どうしてあの服を男性も欲しがってるか、でしょ?」

 

夜見「...あぁ、そうだ」

 

するとレミリアは男性が欲しがるちょっとした理由を説明し始めた。

 

レミリア「男性は主にあの服を家の中に飾ったりすることが多いそうよ まぁ、女装が趣味の場合は別でしょうけど」

 

夜見(...なるほどな 要するに外の世界で言うアイドルのポスターみたいなものか...ん?じゃあ、だとしたら...)

 

するとそこで夜見はあることに気付いてレミリアに質問をした。

 

夜見「レミリアさん、まさかあの服が欲しいのか?」

 

レミリア「馬鹿言わないでちょうだい フランが毎年あの服を欲しがってるだけよ」

 

レミリアはそう言っていたが夜見が質問をした瞬間にレミリアの羽が少しビクッとしたので、平然を装っているだけで実際はレミリアもあの服が欲しいようだった。

すると今度はレミリアが夜見に質問をしてきた。

 

レミリア「それで、貴方はどうするのかしら?貴方はあの服はいらないのかしら?」

 

夜見「俺は別にい「ねぇ、黒夜さん 私はあの服欲しいな」

 

夜見はいらないと否定しようとした瞬間、横から空があの服が欲しいと言い出した。すると夜見は空にこう言った。

 

夜見「勝手にやっといてくれ 俺はいらないからな」

 

すると空は不思議に思った様子で夜見に言った。

 

空「うにゅ?黒夜さんが代表者をするんだよ?」

 

夜見「...は?なんで俺が?」

 

空「だって私、じゃん拳のルールよく知らないもん」

 

夜見(...嘘?じゃん拳のルールすら知らないって物忘れが激しいってレベルじゃないだろ)

 

すると空は夜見に耳打ちをしてあることを言ってきた。

 

空「それに、こいし様がこの場にいたら絶対に欲しいって言ってたと思うよ」

 

夜見(...確かにこいしさんがこの場にいたら絶対に欲しがっただろうな それに、もしさとりさんと燐さんのどちらかがいたとしても空さんと同じことを言っただろうな)

 

どうやら夜見は諦めるしか道は無いため、ため息をついて空に言った。

 

夜見「わかった やればいいんだろ?」

 

空「うん、頼んだよ」

 

すると隣のレミリアは夜見に対してクスクスと笑っていた。

 

レミリア「ふふ、結局やるのね」

 

夜見「仕方ないだろ?やらざるを得ない状況になったんだから」

 

レミリア「それもそうね それと黒夜、私の右腕を掴んでちょうだい」

 

するとレミリアが突然腕を掴むように言ってきたが夜見は不思議に思いながらも、とりあえずレミリアの腕を軽く左手で掴んだ。

 

夜見「...はぁ?こうか?」

 

レミリア「それでいいわ それで、貴方がグーを出す場合には親指、チョキを出す場合には小指、パーを出す場合には全部の指に、あのステージにいる騒霊が手を出す直前に力を込めなさい」

 

要するにレミリアは夜見と同じ手を出すためにそのように言ってきてるのだろうが、夜見はその考えに納得がいかなかった。

 

夜見「...同じ手を出せば手に入れられる確率が低くなるだろ なんでこんなことをするんだ?」 

 

レミリア「だって貴方このじゃん拳、1つも負ける気は無いんでしょ?」

 

すると夜見はレミリアに向かって質問をした。

 

夜見「...いつ気付いた?」

 

レミリア「最初からよ もっと詳しく言えば異変の時に少し違和感はあったけど、ここ数ヶ月で確信したって言えばいいかしら?」

 

夜見「まぁ、どうせばれてもいいようなことだしな 集中切らすとまずいから握り過ぎるかもしれないけど、そこら辺はまさか許してくれるよな?」

 

レミリア「ええ、もちろん」

 

そしてステージにいるリリカは右手を挙げてじゃん拳を始めようとしていた。

 

リリカ「代表者は決まったかなー!?それじゃあ、代表者は手を挙げてね!」

 

リリカがそう言うと夜見は右手、レミリアは左手を上に伸ばした。周りを見ると代表者が軽く100人以上はいたが、夜見は負ける気が全くしなかった。

そしてリリカは合図をした。

 

リリカ「それじゃあいくよー!じゃーんけーん、ほい!はい、グーの勝ち!」

 

リリカはそう言って手の形をチョキにして腕を挙げていた。そして周りの何人かが手を下げている中、夜見とレミリアはグーを出していた。

 

空「わぁ、やったね黒夜さん!」

 

フランドール「すごーい、お姉様!」

 

レミリア「さて、ちゃんと見えたかしら?」

 

夜見「あぁ、問題なかった」

 

レミリア「それなら、心配する必要は無いわね」

 

するとリリカは手の形をグーに戻して再び手を出そうとしていた。

 

リリカ「2回戦いくよー!じゃーんけーん、ほい!はい、またまたグーの勝ちだよ!」

 

そして周りの手を挙げている人数が最初の半分以下になっている中、夜見とレミリアはグーを出していたため手を下げることはなかった。

 

その後もリリカはいろんな手を出していたが、夜見とレミリアが負けることはなかった。そして周りを見てみると、どうやら夜見とレミリア以外が全員丁度負けたようで夜見とレミリア以外は手を挙げていなかった。

 

リリカ「あ、あれ!?この2人以外みんな負けちゃったの!?じゃあ、そこの2人は早速景品を取りに来てください!」

 

そしてリリカは夜見とレミリアを呼んだため2人はステージ上に上がっていった。そこで夜見は観客に見えないように仮面を外すと、プリズムリバー姉妹はそこで夜見に気付いたようだった。

 

ルナサ「あら、黒夜さんじゃない」

 

メルラン「え?あ、本当だ」

 

リリカ「あ、黒夜だったんだ 全然気付かなかったよ」

 

夜見「1番前の席に座ってたのに気付かなかったのかよ」

 

メルラン「いや、仮面してる不思議な人がいるなーとは思ってたけど」

 

リリカ「まさか黒夜だとは思わなかったよ」

 

夜見「あぁ、そうか メルランさんとリリカさんは仮面を被ってた時の格好を見てなかったな」

 

夜見はプリズムリバー姉妹と軽く会話をすると左から視線を感じたので左を向くと、レミリアがこちらを睨み付けていた。

 

レミリア「...貴方、この騒霊達の知り合いなの?」

 

夜見「あぁ、そうだが...何故俺を睨む?何か不満でもあるのか?」

 

レミリア「別に、ただ少し気になっただけよ」

 

夜見「そうか?ならいいんだが...」

 

するとその様子を見ていたリリカがニヤニヤしながら夜見を冷やかしてきた。

 

リリカ「駄目だよ、黒夜 彼女がヤキモチ焼いてるんだから構ってあげないと」

 

リリカが冷やかすと夜見はめんどくさそうにため息をついて否定しようとすると、何故かレミリアがリリカに否定をし始めた。

 

レミリア「何言ってるのよ この私がこんな人間と付き合うわけ無いでしょう?」

 

リリカ「え~、でも結構お似合いのカップルだと思うよ?」

 

リリカがそう言うと何故かレミリアは顔を真っ赤にして怒鳴り始めた。

 

レミリア「なっ!?ばっ!?な、何馬鹿なことを言ってるのよ!?わ、私がお似合いのカップルですって!?ふざけないでちょうだい!」

 

リリカ「うわ~、顔真っ赤だ~ 何?もしかして、お似合いのカップルって言われて嬉しかったとか?」

 

するとレミリアは顔を真っ赤にしたまま鋭い爪を立て始めた。

 

レミリア「そんなことあるわけ無いでしょ!八つ裂きにされたいの!?」

 

その様子を見た夜見はレミリアに暴れられると会場が混乱するのが目に見えていたので、とりあえず夜見はレミリアを(なだ)め始めた。

 

夜見「レミリアさん、一旦落ち着いて レミリアさんはそんな冷やかしに乗るような気品の無い吸血鬼じゃないだろ?」

 

リリカ「ほらほら、彼氏さんに言われちゃってるよ~ 早く落ち着かないと~」

 

レミリア「本当に八つ裂きにされたいようね!望み通りにしてあげるわ!」

 

するとレミリアはリリカに飛びかかったので夜見は急いでレミリアに羽交い締めをするが、レミリアは暴れて羽交い締めを振りほどこうとしていた。

 

レミリア「黒夜、放しなさい!」

 

リリカ「黒夜、放しちゃ駄目だよ?放したら私八つ裂きにされちゃうもん」

 

そして夜見はレミリアに羽交い締めをしながらため息をつくと、夜見はあることを言った。

 

夜見「2人とも周りの目を見てみろ どんな風に見られてると思ってる?」

 

夜見がそう言うとレミリアを放した。そしてリリカとレミリアは周りを見ると、観客はおろかルナサとメルランからも冷たい視線が送られていた。

それに気付いた2人は申し訳なさそうに俯いてしまった。

 

夜見「...まぁ、自業自得だな とりあえずリリカさん、さっさと景品を渡してくれ」

 

リリカ「あ、うん、そうだね...」

 

するとリリカは少し俯いたまま箱から服を取り出してそれを袋に入れて夜見とレミリアに手渡した。景品とは言っても一応もらった物なので夜見はお礼を言った。

 

夜見「ありがとう、リリカさん それとレミリアさん、俺は帰るからな それじゃあ」

 

そして夜見は仮面を被ってステージを下りると空に向かって帰ることを伝えた。

 

夜見「空さん、帰るぞ」

 

空「うん、わかった じゃあね、フランさん」

 

そして空は席を立ってフランドールに向かって手を振るとフランドールも空に向かって手を振り返した。

 

フランドール「うん またねー、空」

 

そして夜見と空は会場を後にして地霊殿へと向かったのだが、空は人里の中を歩いている途中で足を止めてこんなことを言い出した。

 

空「黒夜さーん、私歩くの疲れたー」

 

夜見「疲れたって、そこまで歩いてないだろ?」

 

空「うー、疲れたー」

 

そして空は本当に疲れたのかその場でしゃがみ込んでしまった。夜見はそんな小さな子供のような行動に呆れたが、空が歩いてくれるまでには時間がかかりそうだったので夜見は空の前で背中を向けてしゃがみ込んだ。

 

夜見「ほら」

 

空「...え?何?」

 

夜見「おぶってやるから乗れ」

 

空「本当!?やった!」

 

すると空は立ち上がって夜見に近付いて背中に(もた)れ掛かって腕を首に回すと、夜見は空の膝裏に腕を回して空をおんぶして歩き始めた。

しばらく歩いていると空は夜見にこんなことを聞き始めた。

 

空「ねぇ、大丈夫?私、重くない?」

 

夜見「大丈夫だ (むし)ろ軽い」

 

空「そっか...今日のライブ、面白かったね」

 

夜見「あぁ、そうだな」

 

そして夜見と空は人里を出て森の中に入ってしばらく歩いていると、夜見は空に対してふとあることを思った。

 

夜見(そういえば空さんと一緒にいたり、会話したりすることなんてあまり無かったな...)

 

すると夜見は空と何か話でもしようと思って話しかけてみた。

 

夜見「なぁ、空さん」

 

空「...」

 

夜見「...空さん?」

 

夜見は空から返事が無いのでもう1度呼んでみたが、それでも返事が無かった。すると空はもぞもぞと体を動かしたが、すぐに動きを止めて静かに呼吸をしていた。どうやら空はいつの間にか寝てしまったようだ。

 

夜見(寝たのか...まぁ、ライブで随分はしゃいでいたから疲れたんだろうな)

 

夜見がそう思っていると再び空がもぞもぞと動いた。すると今度は空の(まぶた)がゆっくりと開いて、眠そうに目を擦った。

 

空「んん、ん?あれ?私、また寝ちゃってた?」

 

夜見「起きたか、空さん 今日は随分と寝るんだな」

 

空「だって、こんな時間まで起きてたこと無いもん 黒夜さんは眠くないの?」

 

夜見「全然眠くない ちなみに地霊殿に着くまでまだ時間はかかるからもう少し寝てていいぞ?」

 

空「ううん、起きてるよ」

 

夜見「そうか、帰ったら風呂に入ってさっさと寝ないとな」

 

空「うん、そうだね」

 

すると空はライブ後のじゃん拳で少し気になったことがあったので夜見に質問をした。

 

空「そういえば黒夜さんってじゃん拳に全部勝ってたけど、黒夜さんって相手が何を出すか知ってたの?」

 

そして夜見は自分が勝ち続けたタネを明かした。

 

夜見「あぁ、あれはただ相手の出す手の指を見て、出す直前に勝つ手を出しただけだ」

 

空「へぇ、黒夜さんって目がいいんだね えっと、グーがチョキに勝つんだっけ?」

 

夜見「あぁ、そうだ そしてチョキはパーに勝って、パーはグーに勝つんだ」

 

夜見がじゃん拳の勝ち負けの条件を言い終わると、空は手を夜見の目の前に出してきた。

 

空「じゃーんけーん「グー」

 

そして空は急に夜見にじゃん拳をしてきた。しかし夜見は空をおぶっているから手が出せないため、口で自分の出す手を言った。しかし空は不思議に思った。

 

空「あれ?勝っちゃった」

 

空が出した手はパー、そして夜見が出した手はグーなので空がじゃん拳に勝った。すると空はもう一度夜見とじゃん拳をした。

 

空「じゃーんけーん「チョキ」...また勝った」

 

今度は空はグーを出したのだが、夜見はチョキを出したため空が勝った。すると空は何故夜見が負けたか聞いてみた。

 

空「黒夜さん、相手の出す手が直前でわかるんだよね?なんで負けたの?」

 

夜見「なんでって、空さんに勝って欲しかっただけだ」

 

夜見は正直に自分の思っていたことを言うと、空は夜見にこう言い始めた。

 

空「そっか...優しいんだね、黒夜さんは 私はそういう黒夜さんの優しい所、大好き もちろんさとり様とこいし様、それにお燐も黒夜さんのこと、大好きだよ」

 

夜見「...知ってるよ ありがとうな、いつも」

 

空「どういたしまして」

 

すると空は夜見の首に回していた腕に少し力を込めて体を押し付けてきた。そして夜見は空をおぶったまま歩いていると地底への穴を見つけたので、夜見と空は地底へと入っていった。




どうもお風呂場の蓋です。
今回はライブでのイベントの話でした。よくライブやお祭りがあるとイベントがありますよね。
季節も夏が近付いてきて、夏祭りへ行く予定がある人もいると思います。お祭りのイベントなどは楽しいものですが、はっちゃけ過ぎると周りに迷惑がかかってしまうので適度に盛り上がりましょう。
それではよければ次回も見てください。
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