心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第30話 刃が交わりし決着

夜見と妖夢が走り出してまず最初に先手を取ったのは妖夢の方だった。妖夢はまず左手に持っている刀を振り下ろしてきた。

 

妖夢「はあ!」

 

キィン

 

そして夜見が夜刀で妖夢の刀を防ぐと高い金属音が鳴って刀が止まった。だがしかし、今の妖夢は先程とは違い刀をもう1本持っているのだ。

 

妖夢「せい!」

 

すると妖夢は左手の刀はそのままに右手に持っている短刀を夜見の顔に目掛けて横に振ってきた。しかし夜見は顔を少し後ろに下げて避けると夜見は急に刀で防いでいる力を抜いた。

 

ダァン

 

妖夢「なっ!?嘘っ!?」

 

すると妖夢が力を入れていた左手の刀は振り下ろされて石畳にヒビが入り、一方夜見は妖夢が刀に入れていた力を利用して目の前で前方に1回転すると夜刀を上から振り下ろしてきた。

 

ダァン

 

しかし妖夢は身を反らして横に躱わした後に後ろに跳んで距離を取った。そして夜見の夜刀が当たった石畳には妖夢が入れたヒビより更に大きいヒビが入り、夜見は妖夢の方を見て右手で夜刀を構えると妖夢にこう言った。

 

夜見「不意を突いたつもりだったが...それを躱すか」

 

妖夢「いや、確かに不意は突かれた 随分と面白い奇策を使うな」

 

夜見「それはどうも」

 

夜見が素っ気なく返事をすると妖夢は何故か構えを解くと夜見に話しかけてきた。

 

妖夢「...それはそうと、少しいいか?」

 

すると妖夢は何か夜見に聞きたいことがある様子だったので夜見も構えを解いて話を聞くことにした。

 

夜見「...なんだ?」

 

妖夢「何故お前はさっきの仲間と戦うことを拒んで1人で戦うことにした?何か理由でもあるのか?」

 

夜見「あぁ、その事か」

 

そして夜見は夜刀の峰を肩に置くように刀を持つと妖夢の質問に対して答えを言った。

 

夜見「俺はただ妖夢さんと1対1でちゃんと勝負をしたかっただけだ」

 

妖夢「...それが、仲間と戦うことを拒む事となんの関係が?」

 

夜見「俺は複数人で1人を倒して喜ぶような奴じゃないってことだ それに、途中から手を出されたら自分の強さを確認出来ないからな」

 

妖夢「...そうか 成る程な」

 

そして妖夢が夜見の考えに納得していると夜見は再び夜刀を右手に構えると妖夢に質問をした。

 

夜見「それで?まだ続けるんだろ?」

 

妖夢「あぁ!もちろんだ!」

 

そして妖夢が夜見との距離を詰めてくると2本の刀を流れるように振り夜見に何度も斬りつけてきたが、夜見が妖夢の刀を夜刀で何度も防ぐ度に高い金属音が鳴らされた。

 

妖夢「よく見切れるな!普通の人間なら見切れないような太刀筋の筈なのに!」

 

夜見「昔から目は随分と良くてな、ある程度なら見切れるんだよ!」

 

そして夜見は妖夢の僅かな一瞬の隙を突いて突きを放つと、それを妖夢は短刀で軌道を逸らしたが妖夢の脇腹を少し掠めた。

 

妖夢「ぐっ!?」

 

そして夜見は妖夢の怯んだ隙を狙って回し蹴りをするが妖夢は歯を食いしばって痛みに耐え後ろに跳んで躱すものの、夜見は休む暇を与えないように距離を詰めて夜刀を振ると妖夢は刀を交差させて受け止めた。

 

妖夢(くっ!重い!だが、この程度の重さなら!)

 

キィン

 

すると妖夢は2本の刀で夜見の夜刀を押し返し、夜見が後ろに跳んで軽やかに着地をした瞬間に妖夢は再び距離を詰めて斬りかかってきたが夜見も再び夜刀で防ぎ始めた。

 

妖夢「ふっ!せい!やあ!」

 

夜見(くっ!?振りは見えるが、2本ほぼ同時はさすがに防ぎにくい!)

 

そして夜見は妖夢の刀を防いでいたが妖夢1つの突きが夜見の脇腹に浅く掠めた。その瞬間に夜見は僅かな隙を作ってしまい、妖夢はその瞬間を見逃さずに刀で夜見に斬りかかり夜見は腹部を斬られた。

 

ザクッ

 

夜見「がふっ!?」

 

妖夢「まだまだ!」

 

そして妖夢は更に追撃をしようと大きく刀を振りかぶって斬りつけようとするが夜見はその刀を弾いて後ろに跳んで距離を取った。しかし夜見の腹部からは血がポタポタと流れ出ていた。

 

夜見(まずいな この深さの傷は流石にすぐには治らないな)

 

そして夜見は能力を使って腹部の出血を止めると妖夢はあることに気が付いた。

 

妖夢「止血?...成る程、お前の能力はどうやら血を操る能力のようだな」

 

妖夢が夜見の持っている能力を見破ると、夜見は諦めたように自分の能力を言うと同時にあることを言った。

 

夜見「...あぁ、そうだ 俺の能力は血を操る能力だ そして妖夢さんの能力は見た限りだと差し詰め刀を扱う能力ってところか?」

 

妖夢「いや、正確に言うと私の能力は[剣術を扱う]能力だ」

 

夜見「そうか...道理で、刀の扱いがそんなに上手な訳だ」

 

妖夢「...それともう1つ」

 

すると妖夢は左手の刀の刃先を夜見の左手に向けると妖夢は夜見にあることを聞いた。

 

妖夢「左手が空いているということは、お前も私と同じ2刀流なんじゃないか?仮に刀ではなくとも、何かは持っていたのだろう?」

 

夜見「あぁ、いつもは銃を持っているんだが...」

 

そして夜見は夜刀を左手に持ち変えると右手に空気中の血を集め、夜刀より40cm程の長い刀を作り出すとその刀の刃先を妖夢に向けてこう言った。

 

夜見「今回は妖夢さんに合わせて2刀流で戦ってやる」

 

妖夢「私に合わせて...か、後悔しないといいな!」

 

そして妖夢は走り出して2本の刀で斬りかかってくるが夜見はそれを夜刀で受け止めると血の刀で切り上げると同時に夜刀を引いて2本の刀を上に弾くとそのまま血の刀で斬り下ろして妖夢に攻撃をした。

 

妖夢「ぐふっ!?」

 

そして夜見は斬り下ろした血の刀を素早く逆手持ちにして妖夢の腹に突きを繰り出すと妖夢は間一髪のところで2本の刀で防ぐがガチガチと刀の間で音が鳴り始めた。

 

妖夢「くっ!お、重い...」

 

夜見「基本、人は逆手持ちの方が力の強さは大きいからな」

 

妖夢「ぐぐっ!...せい!」

 

そして妖夢が無理矢理押し勝って夜見の血の刀を弾くと妖夢は刀を大きく振りかぶって2本の刀で横に斬りつけようとしてきたが、夜見は1本目の短刀は夜刀で受け流し2本目の刀は逆手持ちにしたままの血の刀で受け止め高い金属音が鳴る。

 

妖夢「まだだ!」

 

すると妖夢は素早く短刀で夜見に突きを放つと今度は夜見の脇腹に10cm程突き刺さってしまった。

 

夜見「ぶっ!?がはっ!」

 

すると夜見は吐血をして仮面の間から血が流れ出てきたがそんな夜見に妖夢は短刀に更に力を込めると、夜見は妖夢の腹に蹴りを入れて蹴り飛ばした。

 

妖夢「ぐはっ!くっ...どうだ?流石にこれは効いただろう?」

 

夜見「ぐ、げほっ!がはっ!...はぁ、はぁ あぁ、それは流石に辛いな」

 

そして夜見は再び血を操り止血をすると痛みに耐えながらも懸命に妖夢に斬りかかりに行った。しかし妖夢の[剣術を扱う]能力により、妖夢は夜見の攻撃をすべて防いでいた。

 

妖夢「あまい!」

 

キィン

 

夜見「くっ!?」

 

そして妖夢は夜見の刀を弾いて夜見を上から一刀両断しようとすると夜見は刀を横から蹴って弾いたが今度は短刀で妖夢が突きを放ってきた。しかし夜見はその突きを放ってきた短刀の上に足を乗せると短刀を踏み台として妖夢の上に跳ぶと夜刀と血の刀を同時に振り下ろした。

 

妖夢は夜見のその行動に驚きを隠せなかったが夜見の刀を2本とも2本の刀で受け止めるが、夜見の刀の威力が強すぎて受け止めきれずに妖夢は斬られてしまった。

 

妖夢「ぐわっ!」

 

そして夜見は間髪入れずに血の刀で斬り上げて妖夢を斬り飛ばすと、血の刀を振り下ろして斬撃を飛ばすと斬撃は石畳をも斬りながら進み妖夢に直撃した。

 

妖夢「ぐあ!が、ぐぅ...まさか刀を踏み台にして上に跳ぶとは、中々出来ない芸当だぞ?」

 

そう言って妖夢は立ち上がると夜見は返答しようとするが...

 

夜見「しかし妖夢さんも随分[ズキッ]ぐっ!?」

 

夜見が急に妖夢の突きが刺さった所を夜刀を持ったまま押さえて片膝を突いてしまった。どうやら夜見に突きが刺さった所の傷は見た目以上に深い様子だった。

 

夜見(まずいな、想像以上に傷が深いのか...あまり時間に余裕は無いようだな)

 

そして夜見は痛みに耐えながら立ち上がるものの痛みのせいで刀を構えようにも中々思うように構えられなかった。しかし妖夢はそんな様子の夜見に慈悲を与えるはずもなくこの絶好のチャンスを無駄にしまいと夜見に向かってきた。

 

妖夢「ふ!せい!は!」

 

夜見「ぐっ!?くっ!うっ!」

 

しかし痛みに耐えながら戦っている夜見には妖夢の刀を防ぐ事さえ困難なのに今の状況では困難を通り過ぎて寧ろ妖夢の刀を防ぐのは不可能に変わる...筈なのだが

 

キィンキィン キィン

 

妖夢(防ぎ方のキレが戻った!?さっきまで痛みに耐えていたのに一体何が!?)

 

夜見(...何が起きてるんだ?何故痛みが無くなっていくんだ?)

 

何故か夜見の腹部の痛みがいきなり無くなり夜見は妖夢の刀を防ぎきっていた。そして妖夢は後ろに跳びながら2本の刀を振るって斬撃を飛ばすが夜見が刀を斬撃に優しく当ててから一気に刀を振ると軌道を変えてどこかへ飛んでいってしまった。

 

妖夢(さっきまで痛がっていたのは演技?いや、わざわざそんなことをする意味は無い筈...)

 

夜見(痛みが引いた?そういえば勇儀さんにあばらを折られた後も確か...)

 

夜見が前に勇儀にあばら骨を折られた後のことを思い出していたがいつの間にか妖夢が目の前まできていて刀を振り下ろす直前だったが、夜見は咄嗟に夜刀と血の刀を交差させて受け止めた。

 

ガキィン

 

夜見(くっ!考えてる暇は無いか!)

 

そして妖夢は刀の刃を夜見の血の刀に滑らせて振り下ろしきると妖夢はそのまま体を回転させて短刀から刀を2連続で斬りかかってきたが、夜見は2発とも攻撃を防いだものの2発目の攻撃の威力が強かったため後ろに3m程にずり下がった。

 

すると妖夢は更に追撃として腕を交差させて刀を2本同時に振り下ろしてV字の斬撃を飛ばしてきたが夜見は宙返りをして避けると着地する寸前に空中で夜見は刀を2本振るって斬撃を2発飛ばした。そして妖夢は1つ目の斬撃は刀を縦に振って斬り捨て2発目の斬撃は横に躱したかと思うと斬撃の後ろに刀の刃を乗せて回るとあろうことか、斬撃に殺傷能力を付与してこちらに飛ばし返してきた。

 

夜見(...ん?そういえば...)

 

そして夜見は少しだけ身を反らして避けるとその斬撃はどこかへ飛んでいったと同時に夜見はあることに疑問を抱いた。

 

夜見(...妖夢さんを倒す事ばかり考えてたから気付かなかったが、確か妖夢さんは刀に殺傷能力があるまま俺に斬りかかってきてるんだよな?)

 

妖夢「くっ!あれを避けるか!」

 

そう言って妖夢は夜見に斬りかかってくるが夜見は回り蹴りをして妖夢の刀を蹴り飛ばすと刀は石畳の脇にある灯籠に突き刺さった。すると妖夢は一旦距離を取って短刀を構えて警戒しながら移動をして刀が突き刺さった灯籠に着くと刀を軽々と引き抜いたと同時にこちらに走り出した。

 

夜見(殺傷能力があるまま斬りかかって来るってことは俺を倒すんじゃなく、俺を殺すために殺傷能力があるまま斬るんだ)

 

そして妖夢は2本の刀を振るってくるが夜見は2本とも夜刀で弾くと血の刀で力強い突きを腹に放ち妖夢は軽々と3m程宙を舞って飛んでいき、地面を転がって10mほど離れた。

 

妖夢「がっ!?く、けほっけほっ」

 

夜見(だったら最初からおかしい、何故妖夢さんから俺を殺す気がまったく感じられないんだ?)

 

妖夢「くっ!次こ「なぁ、1ついいか?」...何だ?」

 

そして妖夢は立ち上がって刀を構えていたが夜見は刀を構えずに妖夢にある質問をした。

 

夜見「妖夢さんは俺を殺すために勝負してるんだろ?だったら何故致命傷になる所をあまり狙わず、俺がギリギリ避けられる速度で刀を振ったり斬撃を飛ばしたりするんだ?」

 

すると妖夢は一瞬驚いた顔をして夜見に言った。

 

妖夢「っ!何を言っているんだ!」

 

夜見「...まぁ大体予想は付くが異変の本当の犯人に俺を殺すように言われ「黙れ!たたっ斬るぞ!」...はぁ」

 

そして夜見はため息をつくと血の刀の峰を肩に置いてこう言った。

 

夜見「じゃあ、そうしたらどうだ?ほら、斬撃でもなんでもいいから斬ってこい 俺は一切避けたりしないから」

 

そう言って夜見は妖夢に挑発をすると妖夢は刀を何度も振って斬撃を無数に飛ばしてきた。明らかにこの斬撃の嵐を受けたら人は細切れになって死んでしまうのだが、何故かどの斬撃も直撃はしないでせめて掠る程度だった。

そして夜見はその場で体の至る所から血を流していたがすぐに掠り傷は塞がり始めた。

 

夜見「ほらな、妖夢さん やっぱり妖夢さんは俺を殺すことを避けてるんだ」

 

夜見がそう言うと妖夢は激しく首を横に振ってこう言った。

 

妖夢「断じて違う!私はお前を必ず殺すんだ!」

 

夜見「妖夢さんは人を斬るどころか人を殺したことがない、そもそも妖夢さん自身は人を殺したくない...違うか?」

 

妖夢「黙れ!黙れ!黙れ!私はお前を殺すんだ!絶対に!」

 

そして妖夢が更に否定をし続けると夜見はあることを思い、その思いを口に出し始めた。

 

夜見「...わかった 妖夢さんは本当の気持ちを押し殺してでもそう言い続けるんだったら...」

 

そして夜見は左手に持っている夜刀を逆手持ちにし、右手の血の刀を手放して空気中へ分解すると腰を落として新たに右手にあるものを作り出しながらこう言った。

 

夜見「俺は妖夢さんが人を殺したという罪を負わないように、妖夢さんの本当の気持ちを守るために、俺はここで妖夢さんを倒す」

 

そう言って夜見が右手に作り出しだして肩に担いだのは、赤黒い色をした全長180cmを超える大きな両刃の剣だった。そしてその剣にはかなりの重さがあるのか、夜見はその剣の重量によって強制的に更に腰を落としていた。

 

妖夢「...ふざけているのか?」

 

すると妖夢は夜見のその構えに怒りで無意識に手を震えさせながらこう言って怒鳴ってきた。

 

妖夢「なんなんだ!その構えは!?

 

夜見「...そうだな、この構えは[(ろう)(かた)]とでも言っておこうか」

 

そして夜見は両足にゆっくりと力を入れると妖夢に向かってこう言った。

 

夜見「今から妖夢さんを救うために編み出した型だ!」

 

すると夜見はその巨大な血の剣を担いだままとは思えない速さで妖夢に向かって走っていくと夜見は前方に跳んで夜刀で上から刺すように振るものの、妖夢は後ろに跳んで躱わすと夜見の夜刀は石畳に突き刺さった。

 

妖夢「そんなまる見えの攻撃に誰が当たるか!」

 

しかし夜見の狙いは妖夢に夜刀で突き刺して攻撃することではなかった。夜見は夜刀が石畳に突き刺さると姿勢を低くしながら夜刀を軸に反時計回りに石畳の上に足を滑らせながら巨大な血の剣を横に振ってきた。

 

妖夢「しまっ...

 

そして妖夢はその夜見の巨大な血の剣に当たったと思ったときには既に後ろに10m以上の距離を宙を舞って飛ばされていた。さらに地面を20m程転がされるとやっと勢いが収まり妖夢はその場に止まった。

 

妖夢「が、あがっ...ぐっ」

 

そして妖夢は地面に仰向けに転がされたが、数秒は何が起きたかまったく理解が出来なかった。そして妖夢は呼吸を即座に整え、なかなか力が入らない状態で腕に力を入れてなんとか立ち上がると夜見は先程の位置で最初の構えで立っていた。

 

妖夢「ば、馬鹿な 何故...そんな動きが出来る?」

 

夜見「妖夢さんを救うため、ただそれだけだ!」

 

そして夜見が再び走り出して妖夢に向かっていくと妖夢は斬撃何発か放つが夜見は軽い身のこなしで斬撃を全て避けた。

 

妖夢「馬鹿な!?何故あれを持ったままあんな動きが!?」

 

そして夜見が妖夢の目の前まで来ると夜刀を逆手持ちのまま左から斬りかかってきたので妖夢はそれを防ぐが、夜見は再び夜刀を軸として時計回りに回転して妖夢の後ろに回り込むと回転の勢いを利用して再び妖夢を血の剣で斬り飛ばした。

 

妖夢「がっ!?」

 

そして妖夢は再び斬り飛ばされると今度はうつ伏せになって倒れてしまった。しかし妖夢は諦めずに再び立ち上がって振り返ると既に夜見は目の前まで迫ってきていた。

 

妖夢「くっ!?この!」

 

そして妖夢は目の前まで来ている夜見に2本の刀を振り下ろすが夜刀に防がれてしまい鍔迫り合いになった。すると夜見は鍔迫り合いをしたまま妖夢に話しかけた。

 

夜見「妖夢さん、まだ認める気にならないのか?誰かの命令だからって妖夢さんが人を殺さなきゃいけない理由にはならないが?」

 

妖夢「うるさい!いい加減にしろ!」

 

すると妖夢がそう言った瞬間、夜見は何故か夜刀を引き戻した。そして妖夢の刀はそのままの勢いで夜見の体を斬りつけた。

 

妖夢「えっ?」

 

そして妖夢は今現在の状況にわからないままでいると、夜見は夜刀を持った左手でおもいっきり妖夢を顔の頬を殴った。

 

妖夢「うぐっ!?な、何を...」

 

そして妖夢はよろけて少し後ろに下がると夜見が急に妖夢に怒鳴った。

 

夜見「妖夢さんがいい加減にしろ!

 

すると妖夢は夜見の気迫に押されて何も言えないでいると夜見は妖夢にこう言い続けた。

 

夜見「自分の気持ちを押し殺してでも俺を殺そうとして、人を殺したという罪の恐怖にそんなに手が震えているのにまだ認めないのか!」

 

妖夢はそう言われて夜見の血が付いた自分の刀を握っている手をゆっくりと見てみると本当に手が震えていた。

 

夜見「妖夢さんはそんな自分の現状を見てでも、まだ俺を殺すって言うのか!?」

 

夜見がそう言うと妖夢は更に震える自分の手にギュッと力を込めるとこう言い出した。

 

妖夢「私はお前を、黒夜を殺したくはない!この手で黒夜を殺めてしまうのが怖い!本当は人なんか殺めたくはないんだ!」

 

そして妖夢は自分の押し殺していた本当の気持ちを言い出したのだ。その様子を見た夜見は妖夢に向かって優しくこう言った。

 

夜見「それが本当の気持ちだって言うんなら妖夢さんはどうしたいんだ?」

 

妖夢「...私は」

 

そう一言妖夢が呟いて戸惑っていると夜見は突然こう言い出した。

 

夜見「俺は異変を止めて貰いたいからここに来たが、妖夢さんは異変を解決されるのを防ぐように言われた この状況では何をするか知っているだろ?」

 

夜見がそう言うと妖夢は夜見を真っ直ぐ見てこう言った。

 

妖夢「...そうだったな、こういう場合は弾幕ごっこだな」

 

夜見「それじゃあ、仕切り直しだな」

 

そう言ってお互いに少し距離を取って構えると急に妖夢がこんなことを言い出した。

 

妖夢「ありがとう、黒夜 さっきの勝負で私を倒して勝ってくれて」

 

夜見「あぁ、別に気にするな それより、ちゃんと気を引き締めろよ?」

 

妖夢「言われなくても、わかっている」

 

そしてお互いに後ろに引いた足に力を入れてジリッと音が鳴ると2人はこう言い出す。

 

妖夢「...いざ、再び」

 

夜見「...尋常に」

 

夜見・妖夢「...勝負!」

 

そして2人はお互いに距離を詰めると妖夢は2本の刀で斬りかかろうとする一歩手前で夜見は夜刀を地面刺すとそれを軸として反時計回りに回って血の剣で斬りかかった。

 

妖夢「ぐっ!?」

 

そして妖夢は咄嗟に刀で防ぐものの威力が強く30mは後ろに下がってしまう。すると妖夢はスペルカードを取り出した。

 

妖夢「[獄神剣 業風神閃斬]!」

 

妖夢がスペルカードを発動させると妖夢の近くに浮かんでいた白い魂のようなものが弧を描くように大きな弾幕を左右に往復させて飛ばしてきた。すると夜見は弾幕の隙間を掻い潜って妖夢に近付いていくが妖夢は何故か周囲に飛んでいる弾幕をよく見ていた。

 

夜見(何かあるのか?だったらその前に!)

 

夜見がそう思った瞬間に妖夢は何故か急に周りに飛んでいる弾幕を一気に2本の刀で斬り始めた。すると斬った弾幕は無数の細かい弾幕となって夜見に襲い掛かってきた。

 

夜見「くっ!それなら!」

 

すると夜見は担いでいた血の剣をおもいっきり横に振ると、とてつもない大きさの斬撃を放って細かい弾幕を一掃し、妖夢へ向かう道を作り出した夜見は血の剣を引き摺りながら向かっていった。

 

妖夢「くっ!これならどうだ!」

 

そして妖夢は夜見に向かって斬撃の弾幕を飛ばすが夜見はその弾幕を夜刀で弾き返しながらどんどん距離を詰めていき、妖夢のまであと1mの所で血の剣に力を込めた。

 

夜見「くっ...おらぁ!

 

そして夜見は血の剣を左に振るが妖夢はその刀身に手を置いてその上を転がって躱した。しかし夜見は血の剣の勢いを使ってその場で回転をして逆手持ちの夜刀で右から刺すように攻撃を仕掛けるが妖夢は刀の刃の上を滑らせて軌道を変えて躱すと左手の刀で斬ってきた。

 

妖夢「隙あり!」

 

夜見「ぐあっ!?」

 

そして妖夢は夜見を刀で斬りつけるとその後も立て続けに両手の刀を使って斬りつけてきた。斬られている間に夜見は何とか夜刀で受け止めようとしたがすぐに弾かれてしまい血の剣は重くて防御には使えなかった。

 

妖夢「これで終わりです!」

 

夜見「ごはっ!」

 

そして妖夢は最後に夜見の腹に突きを放つと夜見は5m程後ろに飛んで仰向けに倒れてしまった。しかし夜見はすぐに立ち上がると血の剣を肩に担いで構えた。

 

妖夢「まだ立ち上がりますか なかなかしぶといんですね」

 

夜見「まだまだこれからだ!」

 

そして夜見は走り出して血の剣に力を込め、妖夢の前で時計回りに回ったかと思うと振り向きざまに血の剣で下から上に斬り上げた。

 

妖夢「ぐっ!?」

 

そして妖夢は2本の刀でそれを防ぐが刀は弾かれ、妖夢は20m以上の宙に打ち上げられてしまった。すると夜見はすぐさまスペルカードを取り出した。

 

夜見「[爆符 宙に舞え]!」

 

夜見はスペルカードを発動させるとその場で上に飛んで真下に向かって夜刀で斬撃の弾幕を飛ばすとその弾幕は爆発を起こした。そしてその爆風で夜見は妖夢の元へ向かうと夜刀で2回妖夢を斬りつけた。

 

妖夢「ぐっ!?かはっ!?」

 

夜見「よい...しょお!

 

そして夜見は夜刀で2回斬りつけた後に血の剣を全力で斬り下ろすが、妖夢はそれを2本の刀を交差されて防ぎ地面に着地した。すると夜見は夜刀で再び真下に斬撃を飛ばして爆発を起こすと爆風で落下速度を落として着地した。

 

妖夢「やはりその剣、重量がある分攻撃の威力も強いですね」

 

夜見「あぁ、軽く20キロは超えてるだろうな」

 

そして夜見が走り出そうとすると妖夢はある質問をしてきた。

 

妖夢「1つ聞きますが、何故黒夜はその構えを狼の型と名付けたのですか?」

 

夜見「名付けた理由か、それは狼の狩りの方法に(ちな)んで名付けたんだ」

 

妖夢「狼の狩りの方法...ですか?」

 

妖夢がそう言うと夜見は説明を始めた。

 

夜見「狼が行う基本の狩りの方法は追跡、だから1撃目が当たらなくても2発目で追撃(追跡)をして相手を仕留める それがこの型の名前の由来だ」

 

そして妖夢は夜見の説明を聞いていると軽く頷いていた。

 

妖夢「なるほど 随分と物知りなことで」

 

夜見「さて、雑談はここまでだ 行くぞ!」

 

そして夜見が走りだすと同時に妖夢も走り出してお互いに距離を詰めた。そして夜見が血の剣を振り下ろしてくるが妖夢はそれを避けて夜見に突きを放つ。すると夜見はそれを夜刀で受け止めて血の剣の刃先を軸にして回り、妖夢の後ろの方に回り込むと血の剣を浮かせて振り向きざまに血の剣を横に振った。

しかし妖夢はそれをしゃがみ込んで躱すと振り向きながら立ち上がると同時に2本の刀で斬撃の弾幕を飛ばしてきた。そして夜見はその弾幕を血の剣を無理矢理引き寄せて防ぐと上に弾かれ、そのまま夜見は血の剣を担いだ。

 

妖夢「まだまだ行きますよ!」

 

そして妖夢が走り出して距離を詰めて斬りかかって来るが夜見は夜刀で防ぐと妖夢の腹に蹴りを入れて妖夢を軽く蹴り飛ばした。

 

妖夢「がっ!?」

 

そして夜見は前方に跳ぶと夜刀を上から突き刺すように振り下ろすが妖夢には当たらずに石畳に突き刺さった。

 

妖夢(この感じ...軸にして回って斬りかかってくる!)

 

そして妖夢が2本の刀で攻撃を防ぐために警戒していたその時だった...

 

ドガアアアァァァン

 

妖夢「なっ!?一体何が!?」

 

妖夢の後ろからいきなりものすごい爆発音が聞こえてきたのだ。そして妖夢が後ろを振り向くと、どうやらとても大きさの木の所で爆発が起きたようだった。

 

妖夢「まさか!ゆゆこさ「よそ見をしている暇は無いはずだ」しまっ...

 

そして妖夢は後ろから夜見の声が聞こえてきたと思って後ろを振り返った時には既に手遅れだった。

 

ダアアァァン

 

夜見は夜刀を地面に刺した後、夜刀を軸にして体を横にして回転すると血の剣を上から振り下ろしてきたのだ。そして妖夢は血の剣の下敷きとなって地面にうつ伏せになって倒れ、夜見が血の剣を空気中に分解したが妖夢はどうやら気絶している様子だった。

そしてこの弾幕ごっこの結果は夜見の勝利となった。

 

夜見(終わったか さてと、霊夢さん達の方も終わった様だからさっさと向かうか)

 

そして夜見は夜刀を鞘に納めると倒れている妖夢の刀を拾い上げて鞘にそっと納めると、夜見は妖夢に向かってこう言った。

 

夜見「じゃあな、妖夢さん 楽しかったぞ」

 

そして夜見は妖夢そっとにお礼の言葉を述べるとその場を後にして霊夢達のいる場所へと歩いていった。




どうも皆さん、お風呂場の蓋でございます。
今回は夜見の2刀流と狼の型によって妖夢との決着が着きました。
ちなみに狼の型のイメージに関しては、とある死にゲーの第3作品目の武器を元に考えてみましたが皆さんはわかったでしょうか?
もし元を調べてみる場合には[死にゲー2刀流]で調べてみるといいかもしれません。(私は出てきました)
それではよければ、また次回も見てください。

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