心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第34話 幻想郷に来た理由

夜見「うっ、ん?」

 

夜見が意識を取り戻して目を開けるとそこには知らない天井と自分の顔を覗き込んでいる少女2人がいた。

 

片方は茶髪のショートカットで緑色のナイトキャップを被っており頭からは黒い猫耳、腰の辺りからは猫の黒い尻尾が2本生えていた。服装は首元に白いリボンが付いている赤と白のワンピースを着ていた。

 

そしてもう片方は金髪のショートボブで白い2つの尖りがあるナイトキャップを被っており腰の辺りから9本の狐の尻尾が生えていた。服装は白い袖の広いロングスカートの付いた法師のような服を着ており、その服の前には首からスカートの裾まである青い前掛けが付いていた。

 

夜見は目の前の少女達について疑問を持っていると猫耳の少女がもう片方の少女に向かって話しかけた。

 

?「あ、らん様!起きましたよ!」

 

?「あぁ、そうだな それじゃあここで待って様子を見ていてくれ」

 

?「わかりました!」

 

そして金髪の少女が立ち上がると同時に夜見は上体を上げて周りを見渡すとそこは襖に囲まれた畳が敷いてある和室の部屋だった。どうやら夜見はその和室の部屋の真ん中にある布団でボロボロの制服を着たまま寝ていたようで金髪の少女は襖を開けてどこかに行ってしまった。

 

夜見(ここは?確か俺は紫さんと幽々子さんを倒してその後は...あっ!)

 

そして夜見はあることを思い出すと布団の横にいる猫耳の少女に向かって話しかけた。

 

夜見「こいしさんは!?どこにいるんだ!?」

 

?「こいし?それって貴方の横で寝てる覚妖怪のこと?」

 

そう言って猫耳の少女は夜見の横の方を指差したので夜見はその先を見てみると、そこには夜見の入っている布団の中の横で寝ているこいしの姿があった。こいしの枕元には左目の部分が欠けた仮面とマント、夜刀、こいしの帽子が置いてあった。

そして夜見はこいしの無事な姿を見てホッとすると同時にこいしの体を起こし、そのまま抱き締めた。

 

夜見「良かった...無事で...」

 

こいし「ん、うん?あれ?ここは?」

 

するとこいしは目を覚まして目の前にいる夜見に抱き締められていることに気が付くとこいしは驚いた。

 

こいし「え!?お、お兄ちゃん!?なんで...どうして!?」

 

そして夜見は驚いているこいしを少しだけ力を込めて抱き締めると夜見は謝り始めた。

 

夜見「...こいしさん、ごめん 目の前であんなことになって本当に、ごめん」

 

夜見がそう言うとこいしは夜見の体を力強く抱き締めながら怒り始めた。

 

こいし「お兄ちゃんの馬鹿!私てっきり、お兄ちゃんが死んじゃったかと思ったじゃん!馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!...ばかぁ、お兄ちゃん」

 

夜見「...こいしさん」

 

夜見はこいしに対して申し訳ない気持ちでいっぱいで何も言えないでいると、こいしは急に泣き出してしまった。

 

こいし「うぐっ ひぐっ 良かった...ぐすっ お兄ちゃん、生きてたんだ...」

 

夜見「...」

 

そして夜見は黙ったままこいしをあやすように頭をゆっくりと撫でていると襖が開いて先程の金髪の少女ともう1人の少女が現れた。

 

紫「あら、元気そうで何よりだわ」

 

それは夜見を殺そうと勝負を仕掛けてきた紫だった。そして夜見は紫の姿を見た瞬間にこいしを抱き締めたまま立ち上がると後ろに下がり、左手でこいしが落ちないように支えながら右手に血の刀を作り出して紫に向けて構えた。

 

こいし「お兄ちゃん、あの人って...」

 

こいしはそう言って夜見の制服をぎゅっと握ると夜見は安心させるようにこいしに向けてこう言った。

 

夜見「あぁ、わかってるよ」

 

夜見とこいしは紫の方を見て警戒をしていると紫はその2人の様子に対してため息をついた。

 

紫「何よ、酷いわね そこまで警戒しなくてもいいじゃない」

 

夜見「...紫さんは俺を殺そうとして、実際に俺は1回殺されたんだ そんな相手を目の前に警戒をしないと思うか?」

 

紫「私は貴方を殺すためにはどんな手段でも使うって言ったはずよ だったら私は貴方が寝ている間に殺してしまうと思うのだけれど?」

 

夜見「...殺さなかったから、もう殺す気は無いとでも?」

 

紫「えぇ、そうよ まぁ、信じがたいとは思うのは仕方ないわね」

 

そう言って紫が再びため息をつくと夜見は警戒を解いて血の刀を空気中へと分解をした。

 

こいし「え!?お兄ちゃん!?」

 

紫「あら、信じてくれるのね」

 

夜見「...あぁ、あんなチャンスを逃してくれるほど甘くないのは身を持ってわかったからな」

 

夜見がそう言うとこいしがグイッと制服を引っ張ったのでこいしの方を見ると、こいしは心配そうな顔をしながら聞いてきた。

 

こいし「お、お兄ちゃん?本当に大丈夫なの?」

 

夜見「あぁ、大丈夫だ だからそんなに心配するな」

 

そう言って夜見がこいしの頭を撫でるとこいしは安心した顔で頷いたので夜見はこいしを降ろしてその場に胡座(あぐら)で座るとこいしは夜見にもたれ掛かるように足の上に座ってきた。

すると紫と金髪の少女も夜見に合わせてその場に座って紫が夜見に話しかけた。

 

紫「それじゃあ、まずは何から話した方がいいかしらね」

 

夜見「そうだな...取り敢えずその猫耳の子と紫さんの隣に座っているのは一体誰なんだ?」

 

夜見がそう言うと紫は口に手を当ててクスクスと笑うと猫耳の少女と隣の少女に向かってこう言った。

 

紫「あら、あなた達、自己紹介はしなかったのかしら」

 

?「いや、私は紫様に起きたらすぐに呼ぶように言われたので自己紹介なんてしていませんよ」

 

?「私だってらん様にここで待っているように言われたので待っていただけです」

 

?「いや、ちぇん お前は私と紫様が来るまでの間に自己紹介をする時間はあっただろう」

 

紫「そんな時間がどうのこうのの話はどうでもいいから、自己紹介をしなさい」

 

?・?「は、はい、わかりました」

 

そしてまずは金髪の少女から自己紹介をしてきた。

 

?「私の名前は八雲(やくも)(らん) 狐の妖怪で、紫様の式なんだ そして私の能力は[式神を操る]能力だ」

 

そして次に猫耳の少女が自己紹介をしてきた。

 

?「私の名前は(ちぇん) 私は藍様の式で、能力は[妖術を扱う]能力だよ」

 

夜見「俺は黒夜夜見、そして今俺にもたれ掛かっているのは古明地こいしだ 素性はあまり明かしたくはないから名前だけ言っておく」

 

紫「さて、自己紹介は終わったわね それじゃあ藍と橙は席を外してくれるかしら?」

 

藍「わかりました、失礼しました ほら橙、行くぞ」

 

橙「はい!紫様、失礼しました」

 

こうしてお互いの自己紹介が終わり、藍と橙が部屋を出ていくと同時に夜見はこいしのお腹辺りに腕を軽く回すと夜見はあることが気になったので紫に声をかけた。

 

夜見「そういえば紫さん、紫さんの能力は一体なんなんだ?」

 

紫「あら、わからないかしら?戦いの途中で何回か見たはずよ?」

 

紫がそう言うと夜見は紫と幽々子との戦いを思い出し始めた。そして夜見は紫が戦いの中であることをしたのを思い出した。

 

夜見(そういえば紫さんは空間に裂け目を作ってたな そして今まで見た色んな能力から考えると...)

 

そして夜見は今までの見てきた能力から、ある1つの答えを導き出した。

 

夜見「境目を操る能力か?」

 

紫「惜しいわね、正確には[境界を操る]能力よ この世にはどんなこと、物に対しても境界があって私はそれを操ることが出来るのよ」

 

紫が自分の能力を説明したのだが、そこで夜見はあることに気付いた。

 

夜見「境界を操ることが出来るんだったら、俺の境界を消せば良かった話になるんじゃないのか?」

 

紫「私もそれは試したわ、だけれど貴方には何故か効かなかった つまり貴方には論理的に証明出来ない何かが備わっているんじゃないかしら?」

 

夜見「論理的に証明出来ない事...か」

 

すると夜見の右手が無意識にぎゅっと握られた。そしてその行動を見たこいしは夜見に質問をした。

 

こいし「お兄ちゃん、何か心当たりがあるの?」

 

夜見「...あぁ、ある だけどそれを決して話すわけにはいかない」

 

紫「それは何故かしら?もしかして貴方の言っていた幻想に何か関係があるのかしら?」

 

紫がそう夜見に聞くと夜見は真っ直ぐ紫の方を見てこう言った。

 

夜見「...あぁ、そうだ そしてそれは俺の罪を清算するためでもあるんだ」

 

紫「罪の清算?貴方は外の世界では罪人か何かだったのかしら?」

 

こいし「お兄ちゃん?お兄ちゃんは悪い人だったの?」

 

すると紫とこいしの質問に対して夜見は少し(うつむ)いてしばらく沈黙していたが、ようやく口を開くとこう言った。

 

夜見「...いや、少し気を許して喋りすぎたな 忘れてくれ」

 

紫「...よっぽど話したくないようね」

 

夜見「あぁ、そうだ」

 

すると紫は何かを考えるように手を口元にしばらく当てていたが紫は夜見にあることを聞いた。

 

紫「話したくないのならば別にいいわ その代わりとして、あることを聞いていいかしら?」

 

夜見「あぁ、別に構わないが?」

 

紫「実は外の世界と幻想郷の時間の進む早さは一緒なのだけれど、貴方が外の世界で最後に過ごした日付を覚えているかしら?」

 

紫がそう質問すると夜見は外の世界で過ごした最後の日付を思い出し、そして紫に向けてその日付を言った。

 

夜見「...確か俺が最後に外の世界で過ごした日は9月14日だ だが、それがどうしたんだ?」

 

すると紫は何故か急に目を細めて夜見に疑うような視線を向け始めた。

 

紫「それは...本当かしら?」

 

夜見「あぁ、その筈だが?」

 

紫「何か証明できるものはあるかしら?」

 

夜見「証明って言ってもそんなの「日記」...こいしさん?」

 

紫「日記?」

 

こいしは夜見が話している途中に急に日記と呟くと、夜見はあることを思い出した。

 

夜見「あぁ、そういえばこいしさんは確か日記を書いていたな それを見れば俺がこの幻想郷に来たのは9月15日だってことが証明できる」

 

夜見がそう言ってこいしの日記で自分が幻想郷に来た日付を証明出来ることを言うと、紫はこいしの方へ目線を変えた。

 

紫「こいしっていったわね、まさか庇うために誤魔化してたりなんてことはしてないでしょうね?」

 

こいし「庇う?なんで本当の事を言ってお兄ちゃんを庇う必要があるの?」

 

そう言ってこいしが不思議に思って首をかしげた様子を見た紫は本当に夜見が幻想郷に来た日付は9月15日なのだろうと思った。すると紫は片手を頭に当てて何かを深く考え込むと目線を夜見の方に戻して再び質問をした。

 

紫「もう1つ...聞くわ 貴方は異変を起こしている、もしくは関係しているかしら?」

 

紫にそう聞かれると夜見は何のことか聞いてみることにした。

 

夜見「異変?何か異変でも起きているのか?」

 

紫「行方不明者、その言葉を聞いたらわかる筈よ」

 

夜見(行方不明者...そういえば咲希さん以外、結局まだ1人も見つかってないんだったな...)

 

夜見は未だに人里での行方不明者が咲希以外見つかってないことを思い出していると紫はあることを言い始めた。

 

紫「この幻想郷では人里の人間にどんな理由があろうとも妖怪や外来人が手を出すのは重罪なのよ そしてその異変の犯人が外の世界から来た貴方だと私は睨んでいるのよ」

 

紫がそう言ったのだが夜見はこう言って反論をした。

 

夜見「じゃあ逆に聞くが、俺がそんな異変を起こしてどんな得がある?」

 

こいし「仮にそうだったとしてもお兄ちゃんは基本的には仕事をしてすぐに帰ってくるからそんなことをする暇はないよ?」

 

夜見が反論をし、こいしも夜見の味方につくと紫はしばらく黙っていたがすぐに口を開いた。

 

紫「...確かに貴方の能力を考えたとしても何の得にもならない、そしてこいしの話からしても時間的にも無理なのね どうやら異変の犯人は()()1()()()外来人のようね」

 

紫がそう言って夜見は疑問を抱くとその疑問をすぐに口に出した。

 

夜見「もう1人の外来人?どういう事だ?」

 

紫「...確か私は貴方に言ったわよね、貴方がこの幻想郷に来たのはすぐに気付いたって」

 

夜見「あぁ、言ったな」

 

紫「実は外来人が来たのに気付いた日と、その異変が起こった日は同じなのよ」

 

紫がそう言うと紫は再び頭に片手を当てて考え込みながら更に説明を続けた。

 

紫「この幻想郷と外の世界を隔てる結界、博麗大結界の一部に穴が開いて外来人が1人入ってきたのよ そしてその外来人が来た日に異変が起こった、だから私は貴方が犯人だと思ったけれど貴方は既に幻想郷に来ている つまりはもう1人の外来人がいる訳よ」

 

夜見「俺は既に幻想郷に来ていた...因みにその外来人が来た日っていうのは?」

 

紫「9月16日、貴方が幻想郷に来た翌日よ」

 

夜見(俺が幻想郷に来た翌日に、俺以外にもう1人の外来人が来た...いや、ちょっと待て)

 

そして夜見が1つおかしいことに気付くと夜見は紫に質問をした。

 

夜見「紫さん、その話はおかしくないか?だって紫さんの話だと、もう1人の外来人が来たことには気付けて、俺が来たことには気付けなかったことになるぞ?」

 

夜見が質問をすると紫は大きなため息をついてこう返答をした。

 

紫「えぇ、その通りよ 貴方も博麗大結界を通って幻想郷に来ている筈、つまりは博麗大結界に穴が開く筈なのに何故か貴方が来た時には博麗大結界に何も無かった その理由にまったく理解が出来ないのよ」

 

夜見(どういう事だ?外の世界から幻想郷に俺が行くためには結界に穴を開けて通らなければいけない筈、なのにどうして俺はそんなことせずに幻想郷に来ることが出来たんだ?一体何が起こっているんだ?)

 

そして夜見も一体何が起こっているのかを考え始めたのだが、こいしは夜見の方を向くと夜見の頬を急につついてきた。

 

夜見「ん?どうしたんだ、こいしさん?」

 

こいし「お兄ちゃん、私ね、お兄ちゃんと紫さんが戦う前にしてた話、私も聞いてたんだ」

 

夜見「そうか...それで?」

 

こいし「それで私思ったんだけど、お兄ちゃんが幻想郷に来れたのはお兄ちゃんの存在が忘れ去られたんじゃなくて、お兄ちゃんに関する何かが忘れ去られたから来れたんじゃないかなって思うんだけど...どうかな?」

 

夜見「そっか...こいしさんも真剣に考えてくれたんだな ありがとう」

 

そう言って夜見はこいしの頭を撫でるとこいしは嬉しそうな表情を浮かべた。

 

こいし「えへへ♪私の考え、役に立つかな?」

 

紫「えぇ、大いに役立つわ」

 

すると紫はこいしの方を見てこいしの考えは役立つと言ってきた。そしてこいしは振り返ると紫に向かってこう言った。

 

こいし「え?本当に!?」

 

紫「えぇ、その考え方は盲点だったわ もしかしたら、その方向で調べてみれば何かわかるかもしれないわね」

 

こいし「やったね、お兄ちゃん!もしかしたらお兄ちゃんが幻想郷に来た理由がわかるかもしれないね!」

 

夜見「...あぁ、そうだな」

 

そう言って夜見はこいしの頭を撫で続けているとこいしは夜見におもいっきり抱き付いた。するとこいしは夜見に向かってこう言った。

 

こいし「お兄ちゃん、そろそろ帰ろう?きっとお姉ちゃん達、心配してると思うから」

 

夜見「...そうだな、そろそろ帰ろうか」

 

紫「あら、もう帰っちゃうのかしら?」

 

夜見「あぁ、そろそろ帰らないと心配をかける相手がいるからな」

 

そう言って夜見はこいしの脇に手を引っ掛けて足の上から退かすと夜見は立ち上がって布団の枕元にある私物のマントと夜刀を身に付けて仮面は懐にしまった。そしてこいしの帽子は夜見がこいしに優しく被せてあげると、こいしはお礼を言ってきた。

 

こいし「ありがとう、お兄ちゃん」

 

夜見「あぁ、どういたしまして さて紫さん、俺達はもう帰るから、帰り道を教えてくれないか?」

 

紫「いえ、その必要は無いわ」

 

紫はそう言って立ち上がると自分の隣の空間に裂け目を作り出した。

 

紫「このスキマに入れば、あなた達の家のすぐ目の前に出ることが出来るわよ」

 

こいし「やった!私が1番乗りー!」

 

するとこいしはそう言って1人で裂け目の中へと入っていってしまった。そして夜見もその裂け目に近付くが、すぐに裂け目には入らずに紫の方を見ると紫は不思議に思った様子で夜見に言った。

 

紫「私、何か迷惑なことをしちゃったかしら?」

 

夜見「いや、むしろありがたいんだが...何故俺達の帰る場所を知っている?」

 

紫「あぁ、それなら藍が調べてくれたのだけれど...えっと何か、悪かった...かしら?」

 

紫がそう言って少し心配をしたが夜見は黙って首を横に降ったので紫はそっと胸を撫で下ろしたが、夜見はあることをもう1つ聞いた。

 

夜見「それと、さっきのこいしさんの考えだが...そんなことが起こるだなんてあり得るのか?」

 

夜見がそう聞くと紫は目を瞑って首を横に降って目を開けるとこう言った。

 

紫「そんなことは普通あり得ないのだけれど、調べてみる価値はあるわ 答えに辿り着くことが出来なかったとしても、もしかしたら何かヒントになるかもしれないしね」

 

夜見「...そうか、それじゃあ 俺も帰るとする」

 

紫「えぇ、さようなら」

 

そう言って夜見は手を振った紫に見送られながら裂け目の中に入るとそこは地霊殿の目の前だった。そしてすぐ隣にはこいしがいて、辺りを見渡したが先程の裂け目の出口は見当たらなかった。

 

こいし「お兄ちゃん、少し来るの遅かったけど何かあったの?」

 

夜見「あぁ、少し気になることがあって聞いただけだ」

 

こいし「そっか、それじゃあ入ろっか」

 

夜見「...あぁ、そうだな」

 

そう言って夜見は目の前にある地霊殿の玄関の扉を開けるとエントランスには、前回の異変から帰ってきた時と同様に燐が笑顔で立っていた。

 

こいし「お燐、ただいまー」

 

燐「えぇ、こいし様おかえりなさい それと、黒夜さんも」

 

夜見「...あぁ、ただいま」

 

燐「こいし様、さとり様が心配してたので早く顔を見せに行ってください」

 

こいし「うん、わかった!」

 

そう言ってこいしはさとりの部屋へと向かって行ったのだが、燐が夜見に目線を移すと先程の笑顔をスッと消して話しかけてきた。

 

燐「黒夜さん、今日狐の妖怪が訪ねてきて全部聞いたよ 異変を止めに行ってたんだってね」

 

夜見「...心配、だったか?」

 

燐「当たり前だよ だって、黒夜さんが一回死んだことも聞いたんだからね」

 

夜見「...そうか、すまない」

 

そして燐は夜見にゆっくりと歩み寄ったので夜見は前回と同じようにビンタをされると思って目を瞑ったのだが燐は夜見の首に腕を回して抱き付いてきた。

 

夜見「...燐さん、どうしたんだ?」

 

夜見はいつもとは違う様子の燐に動揺しながらもどうしたかと聞くと燐は急に泣きながら怒鳴ってきた。

 

燐「なんで黒夜さんは、そんなに無茶するんだい!?いつもいつもあたい達のことを考えて、どうして自分を犠牲にするようなことをするんだい!?あたい達にとって黒夜さんは、大切な家族の一員なんだよ!?」

 

夜見「...燐さん」

 

燐「もう...無茶はしないで あたい達を心配させないでよ」

 

そう言って燐は泣き声を我慢しながら腕に少し力を入れると夜見は片手で燐の頭を撫で始めた。

 

夜見「...そうか、ありがとう そんなに俺の事を、大切に思ってくれていたんだな」

 

燐「...もう、勝手にどっかに行かないで」

 

夜見「あぁ、わかったよ」

 

そう言ってしばらく夜見は燐のことを撫で続けていたのだが玄関の開く音が聞こえたかと思うと、後ろから急にある人物も夜見の首に腕を回して抱きついてきた。

 

空「黒夜さん、帰ってきてたんだね」

 

夜見「...空さん、ただいま」

 

空「黒夜さん、本当に生きてたんだね 今日来た妖怪が黒夜さんが死んだって言ってたから私、すごく心配したんだよ?」

 

夜見「...そうか」

 

夜見はそう言って空の腕に空いている方の手で優しく触れると空も腕に力を込めてきた。

 

空「無茶しちゃ駄目だよ?前に言ったでしょ?みんな黒夜さんの事、大好きなんだから」

 

夜見「...そう、だったな ありがとう燐さん、空さん」

 

そして夜見と燐と空はしばらくその状況でいたのだが、燐が泣き止んで離れると同時に空も夜見から離れた。すると燐は夜見に向かってこう言ってきた。

 

燐「黒夜さん、さとり様に会ってきて さとり様が1番、黒夜さんのことを心配してたからさ」

 

夜見「あぁ、わかったよ」

 

そして夜見は階段を上がって2階のさとりの部屋の前に着くと、夜見は扉をノックした。

 

コンコンッ

 

しかししばらく待っても中から返事が無かったので夜見は扉を開けるとそこには、目に涙を浮かべながらこいしを抱き締めているさとりの姿があった。

 

さとり「よかった よかった 無事だったのね、こいし」

 

こいし「お、お姉ちゃん、苦しいよ あっ!お兄ちゃん」

 

さとり「黒夜さん!?」

 

こいしが夜見に気付くとさとりはこいしを離して振り返って夜見を見るとさとりはその場に座り込んで泣き出してしまった。

 

さとり「ぐすっ 生きてた ひぐっ 本当...に 生きてた うっ」

 

夜見「...さとりさん、ただいま」

 

そう言って夜見はさとりの目の前でしゃがんでさとりの頭を撫でると、さとりはゆっくりと腕を伸ばして夜見を全力で抱き締めた。

 

さとり「ばかっ、ばかぁ 本当に、本当に心配したんですよ?黒夜さんが死んだって聞いて私、黒夜さんがもう帰ってこないって考えばかり浮かんで、不安で押し潰されそうになったんですから」

 

すると夜見はさとりをそっと抱き締めて頭を撫でながらさとりにこう言った。

 

夜見「...すまない 俺、さとりさん達に言われてようやく気付いたよ 俺はずっと自分を犠牲にするような真似をして心配をかけさせてた でも、もうそんなことはしない 俺はさとりさん達をもう心配させるようなことは絶対にしないよ」

 

さとり「ぐすっ ひぐっ それが当たり前ですよ、ばかっ ぐすっ」

 

夜見「あぁ、そうだな」

 

そして夜見はさとりを泣き止ませるためにしばらく抱き締めながら頭を撫でているとさとりは頭を上げてこちらを見た。

 

さとり「もう...大丈夫です、黒夜さん ありがとうございます」

 

夜見「そうか、ほら」

 

そう言って夜見がさとりを放すとさとりは夜見からすんなりと離れた。そしてさとりが扉の方を見て急に驚いた顔をしたので夜見も立ち上がって扉の方を見てみるとそこにはある人物がいた。

 

紫「終わったかしら?少し言い忘れてたことがあったから来たら、覚妖怪が随分と甘えていたから待っていたのだけれど...」

 

それは裂け目から出てきている紫だった。そしてその姿を見たさとりは慌てていた。

 

さとり「あ、あなた一体何処から!?だ、誰ですか!?」

 

紫「そうね、まずは自己紹介をしなきゃ 私は八雲紫、この幻想郷を創った1人よ」

 

さとり「え!?幻想郷を創った1人なんですか!?あぁ、どうもご丁寧に 私は古明地さとり、この地霊殿の主です」

 

紫「ふふ、そんなに他人行儀じゃなくていいわ 気楽に話していいわよ」

 

さとり「そ、そうですか?では、そうします」

 

そしてさとりと紫の自己紹介が終わったところで夜見は紫に話しかけた。

 

夜見「それで紫さん、言い忘れてたって言ってたが一体何をだ?」

 

紫「あぁ、それは貴方が幻想郷に入ったことについてなのだけれど、貴方が博霊大結界を何もせずに通れたってことは幻想郷に入る条件を満たしたってことだから幻想郷に残ることは別に構わないってことよ」

 

夜見「...だが、それは本来あり得ないことに変わりは無いんだよな?」

 

紫「えぇ、そうよ だから貴方の言った通り、幻想郷の運命を狂わせてしまう その事だけはちゃんとわかっているのよ?」

 

夜見「あぁ、わかってるよ」

 

紫「それならいいわ、じゃあ私は帰るわね」

 

そう言って紫は振り返って空間に裂け目を作ってその裂け目に入ると紫は裂け目が閉じる前に夜見にあることを言った。

 

紫「あぁ、それともう1つ 明日のお昼頃に博霊神社で宴会があるそうだから、貴方も行ってみたらどうかしら?」

 

紫はそう言い残して裂け目は完全に閉じて消えてしまった。するとさとりは夜見にあることを聞いた。

 

さとり「黒夜さん、明日の宴会に行くんですか?」

 

夜見「え?あぁ、そうだな...あまり賑やかな所は好きではないけれど、一応行くことにするかな」

 

こいし「お兄ちゃん、宴会に行くの!?だったら私も「こいし、駄目よ」...え、なんで?お姉ちゃん」

 

さとり「こいし、1日中帰ってこないで心配をさせた罰として明日は私の仕事の手伝いをしなさい いいわね?」

 

さとりがそう言うと夜見はあることに気が付いた。

 

こいし「え~!?なんでよ!だったらお兄ちゃんもそうしてよ!」

 

夜見「なぁ、さとりさん、1つ聞いていいか?」

 

さとり「はい、なんでしょうか?」

 

夜見「さとりさん、さっき1日中帰ってこなかったって言ったけど、まさか俺とこいしさんは俺が仕事に出掛けた日から1日経ってるってことか?」

 

さとり「はい、そうですよ?」

 

さとりは不思議そうな様子でそう返答すると夜見もこいしも驚いた。するとさとりはあることに気付いて夜見とこいしに聞いた。

 

さとり「...もしかして、紫さんは言ってなかったんですか?私はてっきり言っていたのだと思っていたんですが...」

 

こいし「聞いてないよ!?て言うことはお姉ちゃん!今は何時なの!?」

 

さとり「午後の5時くらいよ」

 

夜見「...まじか、そんなに俺達は寝てたのか」

 

さとり「それじゃあ、私はそろそろ夕飯の準備をしてきます 黒夜さん、心配させた罰として今日の私の仕事を黒夜さんが済ませるのと、その書類の横に白紙が何枚かあるのでそれに反省文を書いてください それとこいしは明日は私の仕事を手伝いをする事」

 

そう言ってさとりは部屋を出ていってキッチンへと向かっていった。するとこいしはどうにか罰を無しにしてもらおうとさとりを追いかけていった。

 

夜見(...まぁ、心配をさせたのは本当のことだから、大人しく罰を受けるか)

 

夜見はそんなことを思いながらさとりと燐、空に心配をかけ、罰を受けることになったが夜見とこいしは無事に地霊殿に帰ることが出来た。




どうも皆さんお風呂場の蓋です。
今回は紫に言われて夜見以外にもう1人の外来人が幻想郷にいることが判明し、そして夜見は幻想郷に入る条件をどうやって満たしたのかの謎が出てきました。
もう1人の外来人とは一体どんな人物なのか、そして夜見はどうして幻想郷に入る条件を満たしていたのか。
よければ次回も見てください。
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