心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第36話 刀の扱い方は自分で

夜見(さてと、そろそろ行くか)

 

夜見はそんなことを思いながら自分の部屋でマントを被り、ベルトに夜刀を挿して外出の準備をしていた。今日は宴会の翌日、つまりは妖夢の練習相手になる約束の日だった。

そして夜見が部屋から出ると廊下でさとりとばったり会った。

 

さとり「あ、黒夜さん もう出掛けるのですか?」

 

夜見「あぁ、行ってきます」

 

そして夜見はさとりの隣を通ろうとしたがさとりは夜見の腕を掴んだ。夜見はそのさとりの行動を不思議に思ってさとりの方を向いた。

 

夜見「...さとりさん?」

 

夜見がさとりの名前を言うとさとりは目を細めて聞いてきた。

 

さとり「わかってますよね?ちゃんと」

 

夜見「あぁ、わかってるよ 無茶はしないよ」

 

夜見がそう笑顔で言うとさとりも笑顔になって手を離してこう言った。

 

さとり「それならいいです 行ってらっしゃい、黒夜さん」

 

夜見「あぁ、夕飯までには帰るよ」

 

そして夜見は階段を下りてエントランスで玄関の扉を開けようとした瞬間、後ろから夜見を呼ぶ声が聞こえてきた。

 

こいし「お兄ちゃーん!」

 

その声の主はサードアイが開いたこいしだった。夜見が振り返るとこいしはこちらに走ってきており、夜見との距離があと1mの辺りでこいしは夜見の胸に跳びついて腕を首に回して抱き締めてきた。

 

夜見「わっと!ったく どうしたんだ、こいしさん?」

 

そして夜見は抱き締めてきたこいしを抱き締めて頭を撫でるとこいしは満足している様子だった。

 

こいし「えへへ♪お兄ちゃん、大好き!」

 

夜見「そっか、ありがとう 俺も大好きだよ」

 

夜見がそう言うとこいしは急に夜見の頬にキスをしてきた。

 

チュッ

 

夜見「なっ!?こいしさん、急にどうした!?」

 

夜見はこいしのしてきたことに戸惑っているとこいしは夜見に笑顔でこう言ってきた。

 

こいし「ふふ、行ってらっしゃいのチューだよ お兄ちゃん、無理しないでね」

 

夜見「...あぁ、行ってきます」

 

そう言って夜見はこいしを降ろして玄関の扉を開け、外側から扉を閉めようとするとこいしがこちらに手を振ってきたので夜見は手を軽く振り返してから扉を閉めた。

そして夜見は懐から仮面を取り出してそれを被って旧地獄街道に向かおうとした瞬間に、目の前の空間に裂け目が現れその裂け目から紫が出てきた。

 

紫「あら、ちょうど冥界に向かおうとしてたところかしら?」

 

夜見「あぁ、そうだ紫さん どうかしたか?」

 

紫「いえ、ちょうど良かったわ」

 

紫がそう言うと紫は自分の横の空間に裂け目を作り出したのだが、その裂け目の先は見覚えのあるとても長い階段が見えた。

 

紫「ほら、冥界まで繋いだわ 妖夢が随分楽しみに待っていたから、早く行ってあげなさい」

 

夜見「そうか、すまないな それじゃあ、行ってくる」

 

紫「えぇ、行ってらっしゃい」

 

そして夜見が裂け目に入るとそこは紛れもなく冥界で夜見の出てきた裂け目は音も無く消えていった。すると夜見はその場で軽く屈伸をすると右足を後ろに下げた。

 

夜見(さて、走るか)

 

そして夜見が階段を駆け上り始めたのだが、15分程で夜見は階段を上り終えると今度は脇に満開の桜の木と灯籠が並んでいる石畳の上を走って白玉楼へと向かっていった。

 

夜見(まさか紫さんが冥界まで裂け目で送ってくれるとはな)

 

そんなことを思って走っていると夜見はあっという間に白玉楼の門の前まで着いたのだが何故か門が開いており、そこから木造建築で屋根は瓦で出来ている白玉楼が見えていた。

とりあえず夜見は白玉楼の敷地内に入って門を閉めてから白玉楼の玄関を軽くノックをした。しばらく待って玄関が開くとそこには幽々子がいた。

 

幽々子「あら~黒夜じゃない まぁ、取り敢えず上がって~」

 

夜見「あぁ、お邪魔します」

 

幽々子「あ、靴は持ってきてね」

 

夜見「あぁ、わかった」

 

そして夜見は手に靴を持って幽々子の後に付いていくと玄関の反対側にある日本庭園のような庭が見えてきて、その庭で妖夢が長い刀の方で素振りをしていた。すると幽々子は庭にいる妖夢に声をかけた。

 

幽々子「妖夢~黒夜が来たわよ~」

 

妖夢「え!?黒夜さんが!?」

 

そして妖夢が素振りをやめて刀を納めると幽々子の方を向いて夜見の姿を見ると妖夢は、夜見に対して頭を下げてきた。

 

妖夢「黒夜さん、今日はよろしくお願いします」

 

夜見「いや、俺も刀の扱いについて教わりに来たんだ だから妖夢さんが頭を下げる必要なんて無い」

 

そして夜見は靴を履いて庭に入ると妖夢は頭を上げた。そして幽々子は廊下で庭の方に足を出して座ったので、どうやら夜見と妖夢が練習をする光景を見るつもりのようだ。

夜見は幽々子が見ていることが少し気になったが妖夢はそんなことを気にする様子はなく、夜見にあることを聞いてきた。

 

妖夢「えっと、それじゃあ最初は何をしましょうか?」

 

夜見「そうだな...そういえば、さっき素振りの途中みたいだったがやめて大丈夫だったのか?」

 

妖夢「それじゃあ、まずは一緒に素振りでもしましょうか」

 

夜見「あぁ、わかった」

 

そして妖夢は再び長い方の刀を引き抜くと夜見も夜刀を引き抜いて夜見と妖夢は素振りを始めた。しばらく刀を素振りしていると妖夢は夜見に話しかけた。

 

妖夢「黒夜さん、素人とは思えない素振りですね どこで学んだんですか?」

 

夜見「あぁ、前に剣道を習ってたんだ それで素振りのやり方は覚えた」

 

夜見がそう言うと妖夢は納得したように頷き、その後にあることを聞いてきた。

 

妖夢「そうなんですか ところで素振りは何回やりますか?」

 

夜見「そうだな...妖夢さんはいつも何回やってるんだ?」

 

夜見が逆に普段の素振りの回数を聞くと妖夢は答えた。

 

妖夢「私ですか?大体3000回程です」

 

夜見「そうか、じゃあ後2912回だな」

 

妖夢「話しながら数えてたんですか...それと黒夜さん、そんなに体力持ちますか?」

 

夜見「あぁ、心配しなくていい」

 

妖夢「そ、そうですか...疲れたら休んでも構いませんよ?」

 

そして夜見と妖夢はその後50分程素振りを続けて3000回の素振りを終え、刀を納めた。因みに妖夢は少し汗をかいていたのだが、夜見は息切れをしてないどころか汗を1つもかいていたなかった。

 

妖夢「え?黒夜さん、なんで1つも汗をかいていないんですか?」

 

その様子に気付いた妖夢は夜見にそう聞いたのだが、夜見は何故か不思議に思った様子で妖夢にこう言った。

 

夜見「なんでって...別に疲れる程の回数でもないだろ?」

 

妖夢「...いや、私は半人半霊ですから疲れない回数ですけど、普通の人間だったらとっくに限界を越えた回数ですよ?」

 

夜見「そうなのか?これが普通だとおもってたんだが...」

 

夜見がそう言うと妖夢はあまり納得は出来なかったが深く聞いても仕方ないと思ったので軽く流すことにした。

 

妖夢「...まぁ、そんなに深く追及したところで時間の無駄ですし、次に行きましょうか ちょっと待っててください」

 

妖夢が夜見にそう言って白玉楼の中に入っていくと3分程で戻り、柄と鞘が木製で出来ている刀を2本手に持ってきた。

すると妖夢はその刀の片方を夜見に渡してこう言った。

 

妖夢「それじゃあ午前中は黒夜さんに刀について教えます そして最初に1つ聞きますが、黒夜さんは刀を扱うのに1番何が大切だと思いますか?」

 

妖夢がそう言うと夜見は少し考えるとすぐに答えを出した。

 

夜見「...刀を大事に扱うことじゃないのか?」

 

妖夢「まぁ、確かに刀を大事に扱うことも大切なことです でも1番大切なのは、刀の本質を最大限に発揮させてあげることなんです」

 

そう言って妖夢は持ってきた刀を引き抜くとその刀の刃はボロボロで刀としてはまともに扱えなさそうだった。しかし妖夢はその刀の鞘を地面に置き、刀を両手で構えると夜見にあることを頼んだ。

 

妖夢「すみませんが、適当に庭の端っこにある石を軽く私の目の前に投げてくれませんか?」

 

夜見「あぁ、わかった」

 

そう言って夜見は庭の端っこにある手のひらサイズの石を持ってきて妖夢の目の前に軽く投げると、妖夢は両手でその刀を石に目掛けて一気に振り下ろした。すると妖夢の振り下ろした刀は石を綺麗に2つに割り、その断面はとても綺麗に斬られていた。

 

妖夢「まぁ、こんな風にボロボロの刀でも、本質さえわかってあげれば簡単に石を斬ることだってできます それじゃあ、私が石を投げるので見様見真似(みようみまね)でもいいので斬ってみてください」

 

すると妖夢は刀を鞘に納めて白玉楼の廊下に置くと庭の石を拾ったので夜見は先程渡された刀を引き抜いたのだが、その刀はさっきの妖夢が使った刀と同じように刃がボロボロだった。

そして夜見は鞘を地面に置いて刀を両手で構えると妖夢が石を投げたので、夜見は見様見真似で刀を振り下ろしたのだが刀が石に当たった瞬間に乾いた音がして石が地面に叩き付けられた。

 

夜見「...難しいな」

 

妖夢「まぁ、最初は私だってそうでしたよ 師匠も最初は誰だってこうなるのは当たり前だって言ってました」

 

夜見「...師匠?」

 

妖夢「私の祖父ですよ 名前は魂魄(こんぱく)妖忌(ようき)と言って、今の私では足元にも及ばない剣士です 私は師匠に色々に教えられて育っていきました」

 

夜見「妖夢さんが足元にも及ばないのか...今は白玉楼の中の方にいるのか?」

 

夜見がそう聞くと妖夢は少し俯いてこう答えた。

 

妖夢「師匠は何百年も前に、私に白玉楼の庭師の仕事を預けて何処かに行ってしまいました 今は何処にいるかはわかりません」

 

夜見「...そうか、聞いちゃいけないことを聞いて...すまない」

 

夜見はそう言って申し訳ない気持ちでいたのだが、妖夢は笑顔を夜見に向けて答えた。

 

妖夢「いえ、大丈夫です いつかきっと会えると信じてます、師匠はそう簡単に死にませんから」

 

夜見「...そうか」

 

妖夢「それじゃあ、早く続けましょうか」

 

夜見「あぁ、そうだな」

 

そして夜見は引き続き妖夢の投げた石を刀で斬ろうとするものの、石を斬るどころか刀の刃が更にボロボロになってしまったが3時間程続けていると夜見は石に少しだけ傷を付けられるようになった。

 

妖夢「黒夜さん、随分と上達が早いですね こんな短時間で傷を付けられるようになるなんて」

 

夜見(...もう少し、もう少しで斬れるんだが...何が足りないんだ?)

 

夜見「なぁ、妖夢さん 何かコツは無いのか?」

 

夜見がそう聞くと妖夢は少しむっとした表情になって夜見に言った。

 

妖夢「黒夜さん、残念ですがコツを教えるわけにはいきません 自分で感覚を掴んで覚える、それが私の教え方です」

 

夜見「...そうか、わかった じゃあ引き続き頼む」

 

妖夢「はい、それじゃあ投げますよ」

 

そして夜見は投げられた石をちゃんと見ていると夜見は一瞬だけ刀と体が繋がっているような感覚を覚えた。その瞬間に刀を振り下ろすと刀の当たった部分から2cmほどの深さの切れ目が石に入った。

 

妖夢「お、何か掴めましたか?もう少しで斬れそうですよ」

 

夜見「何か...刀と一体化したような感覚が起きた」

 

妖夢「なるほど、黒夜さんはそのような感覚を覚えたんですね それにしても黒夜さん、ずっと刀を振って疲れるでしょうし、そろそろ休みましょう」

 

夜見「いや、もう一度やれば出来る気がするんだ もう一度だけ頼んでもいいか?」

 

妖夢「そうですか?それじゃあ、これが終わったら少し休みましょう」

 

そして妖夢が石を投げると夜見は再び刀と体が繋がっている感覚を感じた。すると夜見はその感覚を途切れさせないように、その感覚にだけに意識を集中させて刀を振り下ろした。

 

キィンッ

 

すると夜見の振り下ろした刀は目の前に投げられた石の真ん中をすり抜けたかと思うと、その石が地面に落ちた瞬間に2つに割れた。そしてその石の断面はとても滑らかで綺麗だった。

 

妖夢(う、嘘!?私でも感覚を掴み始めてから数十年かかったのに、こんなにあっさり...)

 

そして妖夢はその様子に驚いていたのだが夜見は特に気にすることなく刀を鞘に納めると妖夢に話しかけた。

 

夜見「ふぅ、やっと出来た 妖夢さん、休憩だろ?」

 

妖夢「え?あ、そうですね!休憩にしましょうか」

 

そして2人はその場で休憩しようと思った瞬間に、幽々子は妖夢に声をかけた。

 

幽々子「妖夢~もう12時過ぎてるけど、ご飯はまだかしら~?」

 

妖夢「え?もうそんな時間ですか 黒夜さん、休憩ついでに昼飯も食べちゃいましょう」

 

夜見「あぁ、そうだな」

 

そして夜見と妖夢は靴を脱いで庭から白玉楼の廊下に上がると幽々子は立ち上がった。すると妖夢は廊下に置いた刀を拾い、夜見の持っていたボロボロの刀を受け取ってそそくさと何処かに向かってしまった。

 

幽々子「さて、私達は妖夢がお昼ご飯を持ってくるまで部屋で待ってましょうか~」

 

幽々子がそう言って廊下を歩いて行くので夜見はその後を付いていったのだが夜見は幽々子に質問をした。

 

夜見「...幽々子さんは作らないのか?」

 

幽々子「いや~それが前に紫が来たときに1人で作ってみたんだけどね~ その時に調味料を間違えちゃったらしくて~先に妖夢が1口食べた瞬間に倒れちゃったのよ~」

 

夜見(...一体何を入れたらそうなるんだよ)

 

夜見「まぁ、苦手なら仕方ないか」

 

そしてしばらく幽々子に付いていくと幽々子はある部屋の襖を開けて入っていったので夜見も続いて入っていった。その部屋は中央に木の机と座布団が置いてあり壁には掛け軸が掛けられていた。

そして幽々子は座布団に女の子座りで座ったのだが、夜見は幽々子の向かい側の座布団に正座で座って仮面を外した。

 

幽々子「あら~?別に足を崩していいのよ~?」

 

夜見「いや、別にこれでいい」

 

幽々子「あら、そう~? そんなことより、修行はどうだったかしら~?」

 

すると幽々子は夜見に先程の修行について聞いてきたので夜見は思ったことをそのまま話した。

 

夜見「かなり難しかったな そして自分がどれだけ弱かったか実感した」

 

幽々子「あら、そんなこと言って~異変の時には貴方が勝ったじゃないの~」

 

夜見「いや、刀の扱いに関しては妖夢さんの方が遥かに上だ それに妖怪に対して力だけで勝つことは出来ないしな」

 

幽々子「でも、それは仕方のないことよ~ 仕方のないことで張り合っても無意味よ~?」

 

幽々子がそう言うと夜見は幽々子の思っている意味合いがずれていることに気付いた。

 

夜見「いや、そういう意味で言ったんじゃない 俺はどんな人でも誰かよりも強ければ弱いこともあるって言ったんだ」

 

幽々子「あら、そうだったのね~」

 

そして夜見と幽々子が会話をしていると襖が開いて妖夢が料理を両手に持って運んできて、次の料理を持ってくるために部屋を出ていった。すると夜見は幽々子に一言断って妖夢を追いかけると様々な種類の料理が並べられている台所に着いた。

 

夜見「妖夢さん、手伝うぞ?」

 

妖夢「きゃあ!って、黒夜さんでしたか 大丈夫ですよ、いつもやってますから」

 

夜見「一気に運んだ方が早いだろ?」

 

そう言って夜見は空気中の血を操って台所にある料理の乗った皿を宙に浮かすように持ち上げると、妖夢はその光景にポカンとしていた。

 

妖夢「す、すごい...」

 

夜見「それで?なんか量が多いけど、どれを持っていけばいいんだ?」

 

妖夢「え?あ、あぁ、全部です」

 

夜見(全部?そうだとしても軽く10人分以上あるぞ?)

 

夜見は料理の量が多いことを不思議に思いながらも妖夢の後を追って先程の部屋に料理を持っていくと妖夢は料理を置いて幽々子の隣の座布団に正座で座っていた。そして夜見が机の上に料理を置いていると妖夢が声をかけた。

 

妖夢「ありがとうございます、黒夜さん 運ぶのを手伝ってもらって」

 

夜見「料理を運んだだけだ 別にお礼を言われるようなことじゃない」

 

そして夜見が全ての料理を机に並べ終え幽々子の向かい側の座布団に正座で座ると、幽々子がこう言った。

 

幽々子「じゃあ、冷めないうちに頂きましょ~」

 

妖夢「えぇ、そうですね」

 

夜見・妖夢・幽々子「いただきます」

 

そして3人で料理を食べていると夜見は妖夢に午後のことについて聞いた。

 

夜見「妖夢さん、午前中は俺に刀について教えてくれたから午後は俺が練習相手になるんだろ?それで、どんな風に練習をするんだ?」

 

妖夢「そうですね...実践練習をしましょうか 近接攻撃のみ使用可能の弾幕ごっこでいいですか?」

 

夜見「あぁ、構わないぞ」

 

妖夢「ありがとうございます」

 

夜見(...それにしても)

 

そして夜見は先程から目の前の光景に疑問を持ちながら料理を食べていた。その光景とは幽々子が尋常ではない速さで料理を平らげている光景だった。

 

夜見(一体何人分の料理を食べてるんだ...細身だけど意外と大食いなのか?)

 

そんなことを思いながらも夜見は自分の分の料理を食べ終えるとほぼ同時に妖夢も料理を食べ終えた。

 

夜見・妖夢・幽々子「ごちそうさまでした」

 

そして幽々子が部屋を出ると妖夢は机の上に残った皿を重ねて片付け始めたので、夜見は仮面を被ると夜見も皿を重ね始めた。

 

妖夢「あ、大丈夫ですよ 先に庭で待っててください」

 

夜見「いや、2人で片付けた方が早く終わるだろ?」

 

夜見がそう言って重なった皿を持って部屋を出て、再び台所に向かうと妖夢が少し申し訳なさそうに付いてきた。

 

妖夢「...すみません、黒夜さんはお客様なのに手伝ってもらうだなんて」

 

夜見「いいんだ、刀を教えてくれたお礼として受け止めてくれ」

 

妖夢「そうですか...ありがとうございます 優しいんですね、黒夜さんは」

 

夜見「優しい...ね、どうだろうな?」

 

夜見は笑顔でそう言ったのだが妖夢はその笑顔の裏に何か悲しみがあるように感じた。しかし妖夢はその事について聞くのはやめておくことにした。

 

そして台所に着いて2人で皿を洗っていると夜見は妖夢にあることを聞き始めた。

 

夜見「そういえば、妖夢さん」

 

妖夢「はい、何でしょうか?」

 

夜見「俺の持ってる刀の名前を知っていたが、どこで聞いたんだ?」

 

夜見がそう聞くと妖夢はその刀の名前をどうやって知ったのかを説明し始めた。

 

妖夢「あぁ、それは師匠から聞いたんです でも私の聞いた話ではその[夜刀 闇夜]とは正反対の刀と一組だったと聞いてます」

 

夜見「そうなのか...因みに、その正反対の刀の名前は?」

 

妖夢「それは師匠も知らなかったようです でも若かった頃に1回だけ、その2本の刀を持った剣士と戦ったらしいのですが惨敗したと聞きました」

 

夜見「そうか...相当な相手だったんだろうな そういえば今更だが、妖夢さんの刀の名前聞いてなかったが何て言うんだ?」

 

そして2人は皿洗いが終わると近くにあったタオルで手に付いた水を拭い、妖夢は腰の後ろの方にある短刀を引き抜いた。

 

妖夢「こっちの短刀が[白楼剣(はくろうけん)]と言います 人の迷いを断ち、幽霊を成仏させられる刀です」

 

そして妖夢は白楼剣を納めると今度は長い方の刀を引き抜いた。

 

妖夢「そしてこの刀は[楼観剣(ろうかんけん)]と言います 妖怪の鍛えた刀で、一振りで幽霊を10匹倒すことが出来ます」

 

そして妖夢は楼観剣を鞘に納めると夜見は思ったことを口に出した。

 

夜見「刃毀(はこぼ)れも無いし、相当大切にしてるんだな」

 

妖夢「当たり前ですよ、刀は剣士の命ですからね」

 

夜見「...そうだな それじゃあ、さっさと練習するか」

 

妖夢「はい、そうですね」

 

そして夜見と妖夢は歩いて庭に面した廊下に出ると脱いだ靴を履いて庭の中央辺りで5m程距離を空けた。すると夜見は夜刀を引き抜いて右手で構え、それに対して妖夢は楼観剣を引き抜くと両手で構えた。

 

妖夢「手加減はなしですよ じゃないと、練習になりませんからね」

 

妖夢がそう言って右足を後ろに下げると夜見もゆっくりと右足を後ろに下げた。

 

夜見「あぁ、わかってるよ ...いざ」

 

妖夢「尋常に...」

 

夜見・妖夢「勝負!」

 

そして夜見と妖夢がお互いに走り出して先に刀を振ったのは妖夢だった。

 

妖夢「はぁ!」

 

妖夢が楼観剣を上から振り下ろしたが夜見は楼観剣が当たる寸前に横に躱して夜刀で斬り上げようとする。しかし妖夢も刀を下から振り上げると刀がぶつかり合って2人が刀を上に持ち上げた状態になると妖夢が先に振り下ろしたが夜見は後ろに跳んで距離を取った。

 

妖夢「隙あり!」

 

だが妖夢は距離を詰めながら空中にいる夜見に突きを放ったが、夜見が夜刀の刃の側面で防ぐと後ろに飛ばされて距離を取った。

 

妖夢「まだまだ行きますよ!」

 

そして妖夢は夜見に向かって走ってきたが夜見は夜刀を鞘にゆっくりと納めると居合の構えを取った。

 

夜見(集中しろ...刀と一体になった感覚を思い出せ...)

 

そして夜見は夜刀と体が一体になった感覚を感じた瞬間勢いよく抜刀をすると、高い金属音が鳴り響いて妖夢の楼観剣が宙を舞っていた。

 

妖夢「しまっ...

 

そして夜見は隙だらけの妖夢に向かって縦に斬りかかったのだが、妖夢は横に跳んで避けると次は上に跳んで宙を舞っている楼観剣を左手で掴んだ。

 

妖夢「やっぱり黒夜さん相手に1本だけで戦うのは無理がありますね」

 

そう言って妖夢は右手で白楼剣を引き抜くと妖夢は夜見の上から2本の刀で斬りかかった。そして夜見は夜刀で妖夢の攻撃は防いだものの力に負けてそのまま斬りつけられた。

 

夜見「ぐあっ!?」

 

妖夢「まだ終わりません!」

 

そして妖夢は流れるように白楼剣で斬りつけた後に楼観剣で突きを放つと夜見は仰向けに倒れ込んでしまった。

 

夜見「がっ!?」

 

妖夢「もう終わりですか!?」

 

そして妖夢は更に追い討ちをかけるように夜見の上に股がると楼観剣に左手を添えて喉に向かって上から突き刺そうとするが、夜見は喉に当たる寸前に楼観剣の刃を左手で掴んで止めた。

 

夜見「まだ...終わって、ねぇぞ?」

 

妖夢「...やっぱり粘りますか、ここからどうするんですか?」

 

夜見「それを素直にこうやりますって、話すわけねぇだろ!」

 

そして夜見は左手で無理矢理楼観剣を奪い取ると夜刀で斬りつけて妖夢が怯んだ隙に抜け出し、右手の夜刀と左手の楼観剣を持ち変えると楼観剣で斬りかかるが妖夢はそれを白楼剣で受け止めた。

 

妖夢「うっ!?くぅ...奪い取ったのは流石ですが、黒夜さんが楼観剣をちゃんと扱える筈がありません 大人しく返してください」

 

夜見「...言ったよな、妖夢さん 刀を扱う上で大切なのは刀の本質を最大限に発揮させてあげることだって」

 

妖夢「えぇ、言いましたが...まさか!?」

 

あることを思った瞬間、妖夢は白楼剣で防いだが衝撃によって体を斬りつけられた。そして妖夢が後ろに下がって仰け反ると夜見は妖夢に楼観剣で突きを放つが、妖夢は体を捻って躱すと楼観剣の柄を左手で掴んで楼観剣を取り戻すと横になって後ろに転がり距離を取った。

 

妖夢「...まさか黒夜さんが楼観剣の本質を一瞬で見抜くとは しかも、私とは別の本質を...」

 

夜見「自分で言ってただろ?[そのような感覚を覚えたんですね]って つまり妖夢さんの知っている感覚と俺の感覚は違うもの、だったら発揮される本質も変わる筈だ」

 

妖夢「確かに刀の扱い方は使い手によって変わります 私は師匠の元で習っていたから師匠と同じような本質を引き出せますが...黒夜さん、よく気付きましたね」

 

夜見「気を許してると自然に口に出るもんだ まぁ、妖夢さんがあの時にコツを教えてくれていたら、同じような本質を引き出せたかもな」

 

そう言って夜見は夜刀を逆手持ちにして腰を落とすと、能力を使って右手に180cm程の両刃の剣を担ぐように作り出した。

 

妖夢「[狼の型]ですか...次こそは負けません!」

 

夜見「あぁ、負けないといいな!」

 

そして夜見と妖夢が走り出すと妖夢の攻撃範囲に入る前に夜見は血の剣を右に振るうと妖夢はそれを上に跳んで躱したのだが、夜見はそのまま勢いに乗って回ると今度は血の剣で宙にいる妖夢を斬りあげた。しかし妖夢はそれを防ぐと後ろの方に飛ばされ、夜見は血の剣をそのまま後ろに振りきると剣先を軸にして宙返りをして着地して血の剣を再び担いだ。

 

妖夢「...長引きそうですね」

 

夜見「あぁ、そうだな 中々疲れそうだ」

 

妖夢「ですが、負けるわけにはいきません!」

 

夜見「それはこっちも同じだ!」

 

そして夜見と妖夢が戦い始めて3時間程過ぎると幽々子が団子を食べながら庭に面した廊下を歩いてきた。すると幽々子が立ち止まって最後の団子を口の中に入れた瞬間に幽々子の目の前に刀が飛んできて壁に突き刺さった。

 

幽々子「も~危ないじゃないの~妖夢~」

 

幽々子はそう言いながら妖夢の方を向くと夜見と妖夢はそこで幽々子がいることに気付いた。

 

妖夢「え、あぁ、すみません幽々子様」

 

夜見「危なかったな、幽々子さん さてと、それで?」

 

妖夢「...はい、参りました」

 

そして夜見と妖夢の様子はというと妖夢が尻餅をついて倒れているところに夜見が妖夢の頭に向かって血の剣を振り下ろしていたのだが、幽々子が妖夢に声をかけた瞬間に夜見は妖夢の頭に当たる寸前で手を止めたのだ。

 

夜見「さてと、ほら 妖夢さん」

 

妖夢「あぁ、ありがとうございます」

 

すると夜見は血の剣を空気中に分解して夜刀を納めると妖夢に手を差し伸べて妖夢を立ち上がらせた。そして立ち上がった妖夢は幽々子の元に向かって歩いていると、幽々子が壁に刺さった楼観剣を両手で引き抜いて妖夢に差し出した。

 

幽々子「はい、妖夢」

 

妖夢「ありがとうございます、幽々子様」

 

そう言って妖夢は2本の刀を鞘に納めると夜見の方に振り返って頭を下げてお礼を言った。

 

妖夢「黒夜さん、今日の練習に付き合ってくれてありがとうございます」

 

そして妖夢は夜見に頭を下げたのだが夜見は妖夢に向かってこう言った。

 

夜見「いや、こちらこそ刀の扱い方を教えてくれてありがとう お陰で刀の扱い方がわかったよ」

 

夜見がそう言うと妖夢は頭を上げて夜見を正面から真っ直ぐと見てあることを言った。

 

妖夢「黒夜さん、今日教えた刀についての事はほんの一部にしか過ぎません 刀の扱い方を完全に覚えるには、まだまだ色んなことを知る必要があります」

 

夜見「そうか、じゃあ帰ったら色々と勉強する必要があるな 今日はありがとう、妖夢さん」

 

そう言って夜見は空気中の血を集めると翼を作り出して宙に浮き始めると妖夢と幽々子はその様子を見ながらこう言った。

 

妖夢「刀のこと、もっと知りたくなったらまた来てくださいね」

 

幽々子「今度来た時は何か持ってきてね~」

 

妖夢「ちょ、ちょっと幽々子様!」

 

夜見「あぁ、わかったよ幽々子さん それじゃあ、今度来る時には甘いものでも持ってくる」

 

そう言って夜見は来た道を血の翼で飛んで引き返し、地霊殿へと向かって飛んでいった。




どうも皆さん、お風呂場の蓋です。
夏休みももう終わってしまいましたが皆さんは楽しく過ごせたでしょうか?
因みに私は夏休みの間は特にやることがなくて逆に何をしようか迷いながら過ごしていました。
まだまだ暑い日は続きますので体調管理はしっかりとしましょう。
それでは、よければまた次回も見てください。
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