心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第38話 魔法の練習 ー基礎編ー

夜見(さてと、今日も出掛けないとな)

 

夜見はマントを羽織りながらそんなことを思って仮面を懐に仕舞い、刀を腰のベルトに差して出掛ける準備としていた。昨日は白玉楼で妖夢の練習相手をし、今日は紅魔館に行く約束をしている日である。

 

夜見(それにしても、パチュリーさんが試したいことって何なんだ?危険なことじゃなければいいんだがな...)

 

夜見は少し不安な気持ちになりながらも出掛ける準備を済ませると部屋を出て、エントランスに行って玄関に手をかけようとした瞬間に後ろから自分を呼ぶ声が聞こえた。

 

こいし「お兄ちゃーん!」

 

夜見「ん、こいしさん」

 

夜見が振り返ると、こいしが階段を走って下りてこちらに向かってきていた。そしてこいしは昨日と同じように夜見の向かって飛び付き、首に腕を回して抱き付いてきた。

 

夜見「おっと!ったく、どうしたんだ?こいしさん」

 

こいし「えへへ、ぎゅー♪」

 

夜見「...まったく、こいしさんは甘えん坊だな」

 

そして夜見はそう言ってこいしを抱き締めると、こいしは顔を上げて首を伸ばすと夜見の頬にキスをしてきた。

 

チュッ

 

こいし「えへへ、行ってらっしゃいのチュー♪今日も頑張って来てね!」

 

夜見「あぁ、わかったよ 行ってくる」

 

そう返事をして夜見はこいしを降ろすと玄関を開けた。そして夜見は外側から玄関を閉めようと扉に手をかけると、何やらこいしは少しだけ寂しそうな顔をしながら手を振っていた。

 

夜見「...こいしさん、寂しいのか?」

 

こいし「え?ううん、そんなことないよ それじゃあ、頑張ってね♪」

 

そう言ってこいしは笑顔を作ったのだが、夜見はその笑顔は無理矢理作ったことを見抜いていた。すると夜見はため息をついてこいしにこう言った。

 

夜見「こいしさん、大好きだ とってもな」

 

そう言って夜見は扉を閉めたのだが、夜見は扉が閉まりきる寸前にこいしが満面の笑みを浮かべたのを見逃さなかった。そして夜見は仮面を取り出して仮面を被り、フードを深く被ると地底の道を進んでいき地上へ出た。

 

夜見(うっ!眩しいな...今日は快晴か)

 

夜見が地上に出ると、森の中に射し込んでくる光だけでも眩しいほどの快晴だった。夜見は少しずつ目を慣れさせながら森の中を進んでいくと、紅魔館の近くにある霧のかかった湖に出た。

そして夜見は湖の近くを通って紅魔館の門にたどり着くと、美鈴が声をかけてきた。

 

美鈴「あ、黒夜さん、おはようございます 今日は良い天気ですね」

 

夜見「あぁ、そうだな美鈴さん 今日はパチュリーさんに会いに来たんだ」

 

美鈴「えぇ、わかっていますよ」

 

そう言って美鈴は笑顔を見せると門を開けて道を譲った。そして夜見は一言「ありがとう」とお礼を言って道を進んで紅魔館に入ると、エントランスでは咲夜が掃除をしていた。

 

咲夜「あ、黒夜様 おはようございます」

 

夜見「おはよう、咲夜さん 今日はパチュリーさんに会いに来たんだが、構わないよな?」

 

咲夜「えぇ、構いません それではお通りください」

 

夜見「親切にどうも、それじゃあ」

 

そう言って夜見はエントランスを進んで廊下に出ると、夜見は図書館に向かって歩いていった。しばらく歩いて夜見は図書館の扉の前に着くと、ゆっくりと扉を開いた。

 

夜見(さてと、今日は何の用なんだか)

 

夜見は今日は何の用で呼ばれたかを考えながら図書館の扉を内側からしっかりと閉めると、パチュリーがいる場所へ向かった。そして夜見がパチュリーがいる場所に着くと、パチュリーは相変わらず椅子に座りながら机の上に置いてある魔道書を読んでいた。

 

夜見「よぉ、パチュリーさん 約束通り来たぞ」

 

パチュリー「ちゃんと来たのね、黒夜 それじゃあ早速だけれど何個か聞いていいかしら?」

 

夜見「あぁ、別に構わないぞ」

 

そう言って夜見は机を挟んだパチュリーの向かい側に立つと、パチュリーは魔道書を閉じて質問をした。

 

パチュリー「黒夜の能力は生命に関するものだったら霊力や妖力、魔力を操れるのよね?」

 

夜見「あぁ、そうだが?それがどうしたんだ?」

 

夜見はパチュリーの質問の意図がわからず不思議に思いながらも返答をすると、パチュリーは「そう」と一言だけ言ってあることを聞いてきた。

 

パチュリー「ねぇ、黒夜はどうして魔法使いが生まれたか知ってるかしら?」

 

夜見「いや?知らないな」

 

パチュリー「そもそも魔法使いっていうのはね、霊力を操れない人間から生まれたのよ」

 

するとパチュリーは何故か魔法使いがどうやって生まれたかを話し始めた。

 

パチュリー「すると霊力を操れない人間は当然、霊力を操れる人間には力で劣るわ そして霊力を操れない人間は霊力を魔力に変換してその魔力を使うようになった その後は霊力も魔力も操れない人間や最初から魔力を持っている人間が生まれたけれどね」

 

そしてパチュリーが魔法使いが生まれた経緯を話し終えると、夜見はパチュリーの質問の意図と何故魔法使いの生まれた話をしたのかを理解した。

 

夜見「要するに俺が呼ばれた理由は、俺の能力で自分の霊力を魔力に変換して魔法を使えるかもしれないってことだな?」

 

パチュリー「そういうこと、話が早くて助かるわ それじゃあ最初は、黒夜の霊力からどれだけ魔力に変換出来るか見てみましょうか」

 

そう言ってパチュリーは机の下から木の台に乗った直径30cm程の水晶玉を机の上に置いた。するとパチュリーは机の端に置いてあった本を手に取り、夜見にこう言った。

 

パチュリー「まずはこの水晶玉に霊力をある程度送り込んでみて、その後は私が魔力に変換してみるから」

 

夜見「あぁ、わかった」

 

そして夜見が水晶玉に手をかざして霊力を送り込むと、水晶玉が白い光を放ち始めた。するとパチュリーはその水晶玉の放つ光をじっと見ていた。

 

パチュリー「随分と純粋な霊力ね、不純な物が一切感じられないわ」

 

パチュリーは思ったことを口に出すと魔道書を開いて片手に持ち、もう片手を水晶玉にかざした。しかし夜見はあることが気になってパチュリーに質問をした。

 

夜見「そういえば1つ思ったんだが、霊力を魔力に変換してする際に何かデメリットとかはあるのか?」

 

パチュリー「そうね...特には無いけれど、この霊力がどれだけ魔力に変換できるかによって使える魔法も限られてくるでしょうね まぁ、2:1で変換できれば良い方よ」

 

そう言ってパチュリーが魔法の詠唱を始めると魔道書から大きな紫色の魔方陣が浮かび上がり、それと同時に水晶玉の放っていた光が少しずつ紫色へと変化していた。

そして水晶玉の光が完全に紫色になると魔道書から浮かび上がった魔方陣は魔道書の中に消え、パチュリーは魔道書を閉じた。

 

パチュリー「さてと、変換してみたけれど一体どのくらっ...

 

するとパチュリーは何故か水晶玉を見た瞬間に言葉を詰まらせてとても驚いている様子だった。夜見は訳がわからずその場で不思議に思っていると、パチュリーはゆっくりと口を動かした。

 

パチュリー「す、すごいわ...1:2で変換できるだなんて しかもとても純粋な魔力、もしかしたらどんな魔法でも扱えるかもしれないわ」

 

そう言ってパチュリーは机の下から1つの小瓶を取り出して小瓶を水晶玉に近付けると、その小瓶の中に水晶玉に入っている魔力が液体に変わって入っていった。そして全ての魔力が小瓶の中に液体として収まるとパチュリーはその小瓶を夜見に差し出した。

 

パチュリー「黒夜、これを飲みなさい そしたら次は魔法について教えてあげるわ」

 

夜見「えっ、あぁ、ありがとう?」

 

そして夜見は小瓶を受け取って小瓶の中の液体を一気に飲み干すと、夜見は自分の中に明らかに霊力とは違うものを感じた。

 

夜見(これが魔力か...霊力とはまた違うものだな)

 

夜見は自分の中に入った魔力の感覚を感じていると、パチュリーは机の上のある1冊の分厚い魔道書を開いた。そしてパチュリーはその魔道書を夜見の方に向けるように半回転させた。

 

パチュリー「まず魔法を使うには魔法陣が重要になるの、ちゃんと聞いておくのよ」

 

そしてそこからパチュリーはしばらく魔道書を見せながら夜見に魔法について教え始めた。

パチュリーに教えてもらったことを要約すると、魔法はルーンと呼ばれる記号を使って違う属性や効果を付与すること。そして魔法陣はルーンの集合体でルーンの並び方や数によって魔力を通す道、いわゆる回路と詠唱が複雑になるということ。最後に魔法陣は自分の魔力で作り出すものだということだった。

 

そしてしばらくパチュリーが夜見に魔法について教えた後にルーンを全部覚えているか確認したところ、夜見は全てのルーンをちゃんと把握していた。

 

パチュリー「...レミィから話は聞いてたけど、凄まじい記憶力ね よく1回聞いただけで覚えられたわね」

 

夜見「まぁ、早いことに越したことはないだろ?」

 

パチュリー「...それもそうね」

 

そう言ってパチュリーは魔道書を閉じると机の端の方に置き、違う魔道書を手に取って立ち上がった。するとパチュリーは夜見に近付いて手に持っている魔道書のあるページを開いて渡した。

 

パチュリー「まぁ、魔法を覚えるには実際に使って見た方が早いわ 詠唱は出来るわね?」

 

そして夜見は魔道書の開かれたページの詠唱の部分を見ながらあることを言った。

 

夜見「あぁ、出来ることは出来るんだが...1つだけ聞いて良いか?」

 

パチュリー「あら、何かしら?」

 

夜見「魔法を詠唱する意味って一体何なんだ?魔法は魔方陣が重要なのはわかったんだが、詠唱に何か意味はあるのか?」

 

そう言って夜見は魔法について疑問に思ったことをパチュリーに聞くと、パチュリーは夜見の疑問に答えた。

 

パチュリー「高度な魔法を使うときには魔力を複雑に練り上げて、魔法に合った魔力に変換して魔法陣に送り込まなければならないわ そして詠唱はいわゆる自己暗示、詠唱の自己暗示で魔力を複雑に練り上げることが出来るのよ」

 

夜見「成る程...でも、逆に言えば魔力をちゃんと練り上げられば詠唱をしなくても魔法を発動させられるってことだよな?」

 

パチュリー「えぇ、それはそうだけれど...今回使う時にはちゃんと詠唱をしなさい まずは魔力を練り上げる練習、そもそも備わっていなかった魔力を簡単に使いこなせるわけがないでしょ」

 

夜見「それもそうだな、わかったよ」

 

そして夜見はパチュリーに魔力を練り上げる練習と言われ、魔道書に書かれている魔法の詠唱を始めた。すると夜見の前の床に小さな赤い魔法陣が現れた。

 

パチュリー(難度の低い魔法だけれど初めての割には、ちゃんと魔力を練り上げられてるわね...)

 

パチュリーは初めての詠唱がちゃんと出来ている夜見に感心していると、夜見が詠唱を終えた瞬間に目の前の魔法陣が白い光を放ち始めた。そして光が消えると魔法陣があった場所の中心には本を抱えた小悪魔がいて、不思議に思った様子で周りをキョロキョロと見ていた。

 

パチュリー「黒夜、成功よ 初めてなのに良くできたわね」

 

小悪魔「あれ?パチュリー様、何故私はここに?呼び出し魔法なんか使かわれてどうしたのですか?」

 

どうやら夜見が使った魔法は呼び出しをする魔法だったらしく、小悪魔はパチュリーが魔法を使ったと思ってパチュリーに質問をした。しかしパチュリーは小悪魔にこう言った。

 

パチュリー「小悪魔、忙しい所悪かったけれど黒夜の魔法の練習に付き合ってもらっただけよ もう仕事に戻っていいわ」

 

パチュリーがそう言うと小悪魔は何かを思い出したらしく、その思い出したことをパチュリーに聞いた。

 

小悪魔「...あの、もしかして今朝言ってた黒夜さんの魔法の練習に付き合ってもらうって...わざわざ私を呼び出すことだったんですか?」

 

パチュリー「そう言ってるじゃない、さっさと仕事に戻りなさい」

 

小悪魔「え、あぁ...はい」

 

小悪魔は少し落ち込んだような返事をし、あまり納得していない様子のまま図書館の奥へと飛んでいった。そして夜見は小悪魔の返事を聞いた瞬間に、かなり罪悪感を抱いた。

 

夜見(...ごめん、小悪魔さん 今度来たときには何か甘いものでも作ってあげよう)

 

パチュリー「さて、次の魔法を練習しましょう 27ページ先の魔法を詠唱してみなさい」

 

夜見「...あぁ、わかった」

 

そして夜見はパチュリーに言われたページを開いて魔法の詠唱をすると再び床に小さな赤い魔法陣が現れ、魔方陣の中から赤い炎の玉が現れた。

 

パチュリー「これも成功ね まぁ、基本中の基本の魔法だから出来て当たり前だけどね」

 

夜見(この魔法の魔法陣と詠唱、前に見た魔道書の違う魔法の最初の方に書かれてたな 確か続きは...)

 

すると夜見は前に見た魔道書に書かれてた魔法の詠唱を唱え始め、炎の玉はいきなり青色の炎に変化した。そしてパチュリーは炎の玉の変化に驚いていると、夜見は魔法の詠唱を終えた。

 

パチュリー「なっ!?黒夜、何をしてるの!?」

 

するとパチュリーは慌てた様子で夜見の魔法の詠唱のことを聞いたのだが、夜見はパチュリーの慌てている様子を不思議に思った。

 

夜見「え?何か不味かったか?」

 

パチュリー「相当不味いわよ!貸しなさい!」

 

そしてパチュリーは慌てた様子で夜見の持っていた魔道書を奪い取るように取ると、あるページを開いて急いで魔法の詠唱をした。すると青い炎の玉を囲むように透明な結界ができた瞬間に、青い炎の玉はいきなり爆発を起こした。

 

パチュリー「はぁ、はぁ 危なかったわ、なんとか間に合ったわ」

 

夜見「あぁ、えっと...すまない 前に見た魔道書に同じ詠唱があったからその続きの詠唱をしてみたんだが...」

 

そう言って夜見は言い訳がましいことをしていると、パチュリーはゆっくりと夜見の方を向いた。

 

パチュリー「黒夜、あれはかなりの難度の高い魔法よ 難度の高い魔法は素人が使うと魔力を無駄に多く使うし暴発の可能性も高い、だから最初は難度の低い魔法から教えてたのに...はぁ」

 

そしてパチュリーはため息をつくと魔道書を夜見に返した。するとパチュリーは疲れた様子で椅子に座ると夜見に少し怒った口調でこう言った。

 

パチュリー「黒夜、その魔道書で出せる魔法が使える程の魔力も残ってないでしょう?魔力を補給したかったら自分の能力でなんとかしなさい」

 

夜見「...あぁ」

 

そして夜見は気まずくなった雰囲気の中で返事をして黙って自分の中の霊力を魔力に変換しようとしていたのだが、何故か霊力がうまく魔力に変換出来なかった。するとパチュリーはそれを見兼(みか)ねたのか夜見にこう言った。

 

パチュリー「もう少し霊力を細かく分解してから魔力に変換してみたら?そうすればちゃんと変換出来る筈よ」

 

夜見「え?あぁ、ありがとう」

 

そして夜見はまだ気まずそうにパチュリーにお礼を言ってアドバイス通りに霊力を操ると、今度はうまく魔力に変換することが出来た。するとその様子を見ていたパチュリーは夜見に言った。

 

パチュリー「怒ってないから別に気まずそうにしなくていいわよ?それとさっきの魔法、初めてにしては上出来だったわ もう少し練習すればすぐにでも使えるようになるわ」

 

夜見「...すまないな、気を使ってもらって」

 

夜見がまだ気まずそうにしながらパチュリーにそう言うと、パチュリーは夜見に笑顔でこう言った。

 

パチュリー「気なんか使ってないわ、それに本当よ?さっきの魔法が上出来だったのは」

 

夜見「...ありがとう、パチュリーさん」

 

パチュリー「どういたしまして」

 

そして夜見は十分に魔法が使える程の魔力を補給を終えると、パチュリーは再び立ち上がって夜見に魔道書の開くページを言った。

 

パチュリー「さぁ、154ページを開いて 次は魔力結界の練習よ」

 

夜見「あぁ、わかった」

 

夜見は返事をしてパチュリーの言った魔道書のページを開いて魔法の詠唱をしようとした瞬間、夜見はあることに気が付いた。

 

夜見「...パチュリーさん、何か聞こえないか?」

 

夜見がいきなりそう言ってパチュリーに聞いたのだが、パチュリーは特に気になる音は聞いていなかった。

 

パチュリー「いいえ?何も聞こえないけれど、黒夜は何か聞こえるのかしら?」

 

夜見「気のせいか?何か飛んできているような音が聞こえた気がしたんだが...」

 

パチュリー「そう?でも私は聞こえなかったし、空耳か何かじゃないかしら?」

 

夜見「...まぁ、いいか それより、魔法の練習をしないとな」

 

そして夜見は気を取り直して魔法の詠唱を行うと、夜見とパチュリーの周りを囲むようにドーム型の結界が出来た。するとパチュリーはその結界に近付き結界を手で少し押すと、結界は内側から簡単に割れて音を立てながら崩れた。

 

夜見「え、パチュリーさん?何故結界を壊したんだ?」

 

夜見はパチュリーが結界を壊した様子を不思議に思って聞いてみると、パチュリーは夜見に向かってこう言った。

 

パチュリー「この難度の魔力結界がどのくらいの強度か見てみたかっただけよ、別に気にすることはないわ」

 

夜見「そうなのか...ちなみにパチュリーさんは、一体どのくらいの強度の結界を出せるんだ?」

 

すると夜見はパチュリーは一体どのくらいの結界が出せるかが気になり、パチュリーに聞いてみるとパチュリーはこう言いながら机の方に向かった。

 

パチュリー「そうねぇ、言葉で説明するのは難しいから実際に見てもらった方がいいわ」

 

そう言ってパチュリーは机の上にあった魔道書を1冊取り出して詠唱をすると、パチュリーの周りが透明な結界で囲まれた。するとパチュリーは夜見に向かってこう言った。

 

パチュリー「その魔道書の中で何か魔法を放ってみなさい、その魔道書の難度の魔法ならびくともしないわ」

 

夜見「...そうか、わかった」

 

そう言われた夜見は魔道書の最後のページを開くと、そこに書いてあった魔法の詠唱を始めた。すると夜見の後ろに小さな黒い魔法陣が5つ出てきて黒いレーザーが放たれたが、結界にはヒビすら入らなかった。

 

パチュリー「ほら、この通りよ」

 

夜見「...」

 

すると夜見は詠唱が終わったにも関わらず何かの詠唱を唱え始めた。そしてパチュリーは、レーザーの放たれる音で夜見が何の詠唱をしているかは聞き取れなかったが、その様子を不思議に思っていた。

 

パチュリー(一体何の詠唱をしているのかしら?まぁ、あの魔道書の魔法は初心者用みたいなものだから何をしても無駄だけどね)

 

そんなことを思いながらパチュリーは夜見が魔法を放つのを止めるか、夜見が魔力を使い果たすのを待とうとしていたが、そこであることが起きた。

 

ピシッ パキッ

 

パチュリー「なっ!?何で!?」

 

なんとパチュリーの周りを囲んでいる結界が音を立ててヒビが入り始めたのだ。パチュリーはその様子に驚きを隠せなかったが、すぐに冷静になるとパチュリーは結界に魔力を送って結界の強度を上げた。

すると結界のヒビは修復され、再び夜見の放つレーザーを防いだ。

 

パチュリー(あ、危なかったわ...それにしても、黒夜は一体何をしたのよ)

 

そしてしばらく防いでいると夜見は魔道書を閉じて魔法を放つのを止めた。それに合わせてパチュリーも結界の魔法を解くと夜見に詠唱を終えた後に何の詠唱をしたのかを聞いた。

 

パチュリー「黒夜、魔法の詠唱を終えた後に一体何の詠唱をしたの?」

 

夜見「何の詠唱って...強化ルーンを魔法陣に付与してからまた魔法の詠唱をしたんだ」

 

そう言って夜見がそう答えるとパチュリーは新たな疑問が浮かんだので、続いて新たな疑問について聞いた。

 

パチュリー「強化ルーンを付与したって、そしたら魔法の詠唱が変わるのよ?何で強化ルーンを付与した場合の詠唱を知っているのよ」

 

夜見「...もしかしてパチュリーさん、気付いてないのか?魔方陣のルーンの組み合わせで、詠唱は法則性に従って変わること」

 

夜見がそう言うとパチュリーは驚いた様子で夜見にあることを聞いた。

 

パチュリー「規則性があるですって!?しかも黒夜は、この短時間で理解したっていうの!?」

 

夜見「あぁ、そうだ なんなら少し魔道書を見ながら、どんな規則性で変わるか教えるか?」

 

パチュリー「えぇ!是非教えて頂戴!」

 

そしてパチュリーが魔道書を渡すと夜見は持っていた魔道書をパチュリーに持ってもらい、魔道書のページを一緒に色々見比べて詠唱の変わり方を夜見は教えた。しかし夜見が教えていくたびにパチュリーは混乱し始めていた。

 

パチュリー「え~と?つまりここに範囲拡大のルーンが付与されてるからここに詠唱が加わるの?」

 

夜見「いや、違うな 強化ルーンの後に来てるから回路が変わって、ここに詠唱が加わるんだ」

 

パチュリー「え?でもそれだったらさっきの魔方陣の説明と噛み合わなくなるわよ?」

 

夜見「いや、そもそも魔力の性質が違うんだ だから詠唱の加わる場所も変わる」

 

パチュリー「...最初から聞いてたけど、複雑すぎてまったく理解できないわ」

 

そう言ってパチュリーはまったく理解できないで困っていると、ため息をついて続けてこう言った。

 

パチュリー「私の方が魔法を長く扱ってきたのに、どうして貴方はこんなすぐに魔法のことを覚えるのよ しかも私の気付かなかった詠唱が変わる法則性まで理解して...」

 

パチュリーがそう言うと夜見は少し困ったように言った。

 

夜見「そう言われてもな...俺は昔から法則性を見つけることをしていたからな 多分その能力が今、生きたんだと思う」

 

パチュリー「どんな知能と観察力よ、まったく」

 

そう言ってパチュリーは少し不機嫌そうに椅子に座ると、夜見に対してあることを聞いた。

 

パチュリー「それで、どうするの?もう少しここで魔法の練習をする?それとも魔道書を借りて帰って練習をする?」

 

パチュリーにそう聞かれた夜見は少し考え込むと、夜見はすぐに答えを出した。

 

夜見「そうだな...魔法が暴発するのは困るから、もう少しここで練習をして、安定して魔法が使えるようになってから帰ることにするよ」

 

パチュリー「そう、それならあまり騒がしくしないでね 私はここで魔道書を読んでるから」

 

パチュリーはそう言うと机の上に置いてある魔道書を手に取り、魔道書を読み始めた。そして夜見は机の上に置いてある魔道書の中で難度のあまり高くない魔道書を取って、どの魔法を練習しようか眺めているとある人物が目の前に現れた。

 

咲夜「パチュリー様、黒夜様、昼食の用意が出来ました」

 

その人物は咲夜でどうやら昼食の時間になっていたらしく、パチュリーと夜見を呼びに来たようだった。しかしパチュリーは咲夜にこう言った。

 

パチュリー「咲夜、私はいつも通りここで食べるから持ってきてくれないかしら?」

 

夜見「咲夜さん、すまないが俺もここで食べるから俺の分も頼めるか?」

 

咲夜「わかりました、少々お待ちください」

 

そして夜見もパチュリーに続けて図書館で食事をすることを言うと、咲夜が一瞬だけ姿を消した。するとパチュリーの向かい側に椅子が1つ置かれ、机の上には料理が置かれていた。

 

咲夜「それでは、ごゆっくり」

 

そう言って咲夜が丁寧にお辞儀をすると、その場から消えてしまった。そして夜見はパチュリーの向かい側に置かれた椅子に座り、夜見とパチュリーが魔道書を机に置くと2人は食事を始めた。

 

夜見・パチュリー「いただきます」

 

そして夜見とパチュリーが食事をしていると、パチュリーが夜見にある質問をしてきた。

 

パチュリー「ねぇ、黒夜 どうしてここで食べることにしたの?別にレミィ達と食べればよかったじゃない」

 

夜見「いや、少しでも魔法の練習をしたいからな ここで食べた方が効率的だろ?」

 

パチュリー「...そう」

 

そして夜見とパチュリーは食事を済ませ、夜見が立ち上がると同時に皿と夜見の座っていた椅子が消えた。おそらく咲夜が片付けたのだろうと思いながら夜見は再び魔道書を手に取った瞬間、再びある音が今度は鮮明に聞こえてきた。

 

夜見「なぁ、パチュリーさん 今度は聞こえたよな?」

 

パチュリー「えぇ、嫌な予感しかしないわ」

 

パチュリーがそう言った瞬間に何処からか爆発音がして、少し揺れたかと思うと虹色のビームがこちらに向かってきていた。すると夜見は魔道書を開いて魔法結界のページを開くと詠唱をせずに透明な結界を作り出してビームを防いだが、結界がちゃんと作られていないのかヒビが入り始めた。

 

夜見(くっ!さすがに詠唱しないで魔力を練り上げるのはまだ早いか!?)

 

そして夜見は魔力をなんとか上手く練り上げようとしていると、パチュリーが手を伸ばして結界に魔力を送り結界を直し始めた。すると結界はどんどんと修復されていき、虹色のビームが途切れると同時にパチュリーが結界を解いて夜見にこう言った。

 

パチュリー「まだ魔法を詠唱無しで発動させるのは難しそうね もう少しゆっくり魔力を練り上げてみたら?」

 

夜見「いや、そんなことしてたら、明らかにあのビームに巻き込まれてただろ」

 

パチュリー「大丈夫よ、そもそも私が防ごうとした瞬間に黒夜が結界を張ったのだから それと、魔法結界のチョイスは中々良かったわ」

 

夜見「...それはどうも」

 

そして夜見とパチュリーが会話をしているとビームが飛んできた方向からある人物が箒に乗ってやって来た。その人物はもちろん魔理沙で、魔理沙は夜見を見た瞬間に驚いた。

 

魔理沙「げ!夜見じゃないか!?何でいるんだよ!」

 

夜見「別に何だっていいだろ それより魔理沙さんは何しに来たんだ?また本を盗みに来たのか?」

 

魔理沙「私は本を盗みに来たんじゃない 本を一生借りに来たんだぜ」

 

夜見「おいおい、いい加減にしてくれないか?魔理沙さんの家から本を運ぶの結構大変だったんだぞ?」

 

魔理沙「な!?最近家から本が消えたかと思ったら、夜見のせいだったのか!不法侵入は犯罪なんだぞ!」

 

夜見「魔理沙さんに関しては不法侵入と窃盗だがな?」

 

夜見と魔理沙がそう言って会話をしているとパチュリーは夜見に小声で話しかけてきた。

 

パチュリー「ねぇ、黒夜 ちょっといいかしら?

 

夜見「ん?どうしたんだ?

 

そして夜見も小声で返事をしながら振り返ると、パチュリーは夜見にある提案をした。

 

パチュリー「あの魔法使いを追い出すついでに、魔法の実戦練習をしてみたらどうかしら?

 

夜見「いや、俺はまだ詠唱をしないと魔力をちゃんと練り上げられないんだぞ?

 

パチュリー「大丈夫よ、多少はカバーしてあげるから

 

夜見「...そうか、じゃあ頼んだぞ

 

パチュリー「えぇ、任せて

 

そして夜見はパチュリーとの会話が終わると魔理沙の方に向き直り、夜見は魔理沙に向かってこう言った。

 

夜見「魔理沙さん、すまないが追い出させてもらうぞ」

 

魔理沙「私を追い出すって?それなら仕方無いな、弾幕ごっこで勝負だぜ!」

 

そう言って魔理沙は帽子の中から八卦炉を取り出すと魔理沙の背後に2つの黄色の魔法陣が現れた。それに対して夜見は自分の中の霊力を魔力へと変換した。

 

夜見「あぁ、いいだろう」

 

そして夜見の魔法の実戦練習もとい、魔理沙を図書館から追い出すための弾幕ごっこが始まった。




どうも皆さん、お風呂場の蓋です。
最近話の構成が中々思い付かず、グダグダながらもなんとか小説を書いております。行き当たりばったりで話を書くのは駄目だなと今頃感じ始めました。
まぁそんなことはさておき、今回は夜見が魔法を使い始める話でした。夜見は霊力を使えて更に魔力も使い始める...果たしてどこまで夜見は成長するのでしょうか?
よければ、また次回も見てください。
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