心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第42話 追跡と正体

夜見は3日ごとに行われる宴会の異変を解決させると、一旦自宅である地底にある地霊殿へと戻った。そして夜見は地霊殿で深夜になるまで時間を過ごし、いつもの服装で玄関から出ると背後の空間に裂け目を作り出していた紫が立っていた。

 

紫「夜見、少し遅かったじゃない 何かあったの?」

 

夜見「...いや、大丈夫だ」

 

紫「...どうしたの?何か心配していることがあるのかしら?」

 

紫は夜見の声が少し暗い雰囲気だったのを不思議に思って尋ねてみると、夜見は後ろにある地霊殿をチラリと見てこう言った。

 

夜見「深夜に異変を解決しに行くことをみんなに言ったら、食事の時も部屋にいる時もずっと心配されて...な」

 

紫「あら、そうだったのね でも、だからと言って今更やめるわけにはいかないわ」

 

夜見「...あぁ、わかってる」

 

夜見は地霊殿のみんなのことを思いながら返事をすると、紫は夜見にあることを確認してきた。

 

紫「それじゃあ早速夜見を人里に行かせたいのだけれど、その前に話があるって言ってたことは覚えているかしら?」

 

夜見「あぁ、言っていたな それで、内容は?」

 

すると夜見はそう言って紫の話の内容を聞こうとしたが、紫はその前にこんなことを言い出した。

 

紫「まぁ実は話じゃなくて、ちょっとした頼みなの 聞いてくれるかしら?」

 

夜見「あぁ、構わない」

 

紫「それじゃあ、頼む内容だけど...

 

そう言って紫は人里での異変を解決する際の頼みを夜見に言ったのだが、その内容を聞いた夜見は紫に聞き返した。

 

夜見「...本当にいいのか?」

 

紫「えぇ、大丈夫よ 貴方は何も心配しないで、異変を解決することだけに集中しなさい」

 

夜見「...あぁ、わかった」

 

紫「それじゃあ頼んだわよ、夜見」

 

そう言って紫は夜見が背後にある裂け目に入れるように退くと、夜見はその裂け目の中へと入っていった。

 

すると夜見のついた場所は満月の淡い光に照らされている人里の門だったのだが、行方不明が発生しているせいなのか門番はいなかった。

そして夜見は門番のいない人里の門をくぐって人里に入ると、自分の霊力を広げて百鬼夜行がいないかどうかを調べ始めた。

 

夜見(...妖力の反応は無いが、微かに反応があるな)

 

すると夜見は妖力ではないが微かに何かの反応を感じ取ることが出来たので、夜見は走って反応があった場所へ向かっていった。しかし反応は少しずつ動いているようなので夜見は警戒しつつ出来るだけ狭い路地裏を通って近付くと、そこには1人で出歩いている赤い着物を着た少女の後ろ姿があった。

 

夜見(...こんな時間に何を?)

 

夜見はその少女を不思議に思いながらも路地裏から覗き込むように見ていると、少女が立ち止まると不意に振り返ってきたので夜見は咄嗟に身を路地裏に隠した。幸い夜見の服装が黒くて見にくいお陰か、身を隠すのが早かったのか少女は背後の夜見の存在には気付かず、その場で1回首を傾げて再び歩き始めたので夜見は身を隠しながら少女の後を追い始めた。

 

夜見(...まさか、あの少女が百鬼夜行ってことは無いよな?)

 

夜見はそんなことを思いながらも少女のことを追い掛けていると、広げていた霊力から妖力が人里の門から入ってくるのを感じ取った。しかし夜見がその妖力を感じ取った瞬間に、その妖力は1kmの距離を1秒で駆け抜ける程の速さで一直線に近付いてきた。

 

夜見「なっ!?」

 

夜見はいきなり妖力があり得ない速さで人里の中を一直線に近付いてきたことに思わず声を漏らしてしまうと、夜見が追い掛けていた少女は夜見の声に気付いた。するとその少女は立ち止まって振り返ると、ゆっくりと問い掛けてきた。

 

少女「だ、誰か、いるの?」

 

そう言って少女は恐る恐る踏み出したが、その瞬間に目の前に何か大きな物体が3つ降ってきて少女は思わず小さな悲鳴を出して顔を両腕で覆った。

そして少しすると少女はゆっくりと顔を上げ、目の前に落ちてきた物体の正体を見た瞬間に息を呑んだ。何故なら少女の目の前に降ってきた3つの大きな物体の正体は、軽く2mを越すような大きな鬼だったのだ。

 

少女「え、う、嘘...で、しょ?」

 

少女は目の前に大きな鬼が3匹もいる光景が受け止められず後退りをしたが、目の前の鬼が今にも襲って来そうな感覚に陥った恐怖でその場で気絶をして倒れてしまった。すると大きな鬼の3匹の内の1匹がその少女の体を片手で掴むと、3匹の鬼は振り返って人里の門の方へと歩き始めた。

 

夜見(...あれか?藍さんが見た百鬼夜行は)

 

一方その様子を見ていた夜見は細い路地裏に身を隠して気配を消していたのが良かったのか、どうやら鬼には存在は気付かれてはいないようだった。そして夜見は3匹の鬼が夜見のいる路地裏の横を通り過ぎると、今度は3匹の鬼の妖力を感じ取りながら路地裏を通って追い掛け始めた。

 

夜見(行方不明の原因が百鬼夜行なのは本当らしいな だけど本当に...何のために?)

 

夜見はそんなことを考えながら百鬼夜行を追い掛けていたのだが何も思い付かずに時間だけが過ぎていくと、百鬼夜行は門を跳び越して人里の外へと出ていって森の奥へと入っていった。すると夜見が追い掛けていた百鬼夜行が姿を消し、更に妖力や気配も突然感じ取れなくなった。

 

夜見(藍さんの言った通り、本当に消えたな それなら...今度はこっちだ)

 

そして夜見は霊力を広げるのをやめると、今度は百鬼夜行の内の1匹に姿や妖力が消える前に付着させていた血の位置を確認し始めた。実は夜見は今日の昼間に血で作った耳かきの棒を見て、相手のことが感じ取れなかったとしても、自分が感じ取れる物を付着させていれば追い掛けることが出来るのではないか?と思い付いたのだ。

 

そして案の定、血の位置を確認できた夜見はしばらく百鬼夜行を追い掛けていたが、百鬼夜行が急に止まるのを確認すると、夜見は気配を消したまま少しずつ百鬼夜行へと近付いていった。

 

夜見(何故止まった?俺の存在は気付かれていない筈...)

 

夜見は疑問に思いながら木の陰から百鬼夜行のいる位置を覗き込んで見てみると百鬼夜行の姿は見えており、百鬼夜行は目の前にいる人里の人と同じ位の大きさの鬼と何かを話している様子だった。そしてしばらく何かを話していると3匹の百鬼夜行は少女を持ったまま森の奥へと再び進み、百鬼夜行と話していた鬼はその場に残った。

 

夜見(あの鬼も百鬼夜行の仲間か それじゃあ...)

 

すると夜見はしばらく待って百鬼夜行がこの場の様子がわからない程進んだ瞬間、夜見は能力で空気中の血を操って鬼の背後に小さな血の塊を作り出すと血の塊を落とした。

 

ガサッ

 

鬼「ん?誰かいるのか?」

 

そして鬼は血の塊が落ちた音に気付いて振り返った瞬間に、夜見は夜刀をゆっくりと引き抜きながら鬼に近付くと夜刀の刃を鬼の首筋に添えた。

 

夜見「...動くな」

 

鬼「なっ!?だ、誰だ!?」

 

夜見「黙れ、死にたいのか?」

 

夜見が鬼の首筋に夜刀を添えると鬼は驚いて大きな声を出したのだが、夜見はそう言って脅すと鬼は首を斬られるのを恐れて両手を上げてこんなことを言った。

 

鬼「くっ!お、お前は誰だ?何が目的だ?」

 

夜見「...そんなのはどうでもいい お前らが人を連れ去る理由を答えろ」

 

鬼「なっ!?まさか、にんげ「死ぬことが望みか?」...し、知らねぇ 俺はただ命令を受けて、ここで見張りをしているだけだ」

 

夜見「...命令を出しているのは?」

 

鬼「...大将の、ぬらりひょん様だ」

 

夜見(...どうやら、紫さんの予想は合っていたようだな)

 

夜見は鬼を脅して情報を聞き出すと鬼はどうやら紫の予想通り、ぬらりひょんを大将として百鬼夜行は動いていることを知ることができた。そして夜見はゆっくりと夜刀を鬼の首筋から離して見逃すのかと思いきや、夜見は何故か夜刀を鬼の背中に向けて突き刺した。

 

鬼「がっ!?ぶはっ!な、何故...」

 

夜見「...」

 

鬼は血を吐いて苦しんでいたのだが夜見は構わず無言で鬼の背中に刺した夜刀に力を込めてどんどん深く刺していくと、夜刀の刃先が貫通して鬼の胸の真ん中から出てきた。すると夜見は鬼の背中を足で力強く押して鬼に刺した夜刀を引き抜いて鞘に納めると、息をしていない鬼を見下ろしながらあることを考えていた。

 

夜見(いくら紫さんの頼みと言っても...本当に、百鬼夜行を皆殺しにしていいのか?)

 

実は夜見が人里へ行く前に紫に頼んだ内容は、ぬらりひょんを含めた百鬼夜行を皆殺しにすることだった。つまり先程鬼を殺したのは夜見の意思ではなく、紫の頼みを遂行するためだったのだ。

前に紫はどんな理由があっても妖怪や外来人が人里の人間に手を出すのは重罪とは言っていたものの、夜見は紫の頼みに納得していない様子だった。

 

夜見(俺は幻想郷の運命を狂わせてしまう存在だと、紫さんが1番わかっている筈...)

 

夜見は紫がどうしてそんな頼みをしてきたのかわからなかったが、考えても理由はわからないので今は異変を解決をすることを考えるようにした。

そして夜見は再び百鬼夜行の位置を確認すると、先程殺した鬼の血を空気中に分解して自分の周囲に広げ、周囲の状況を確認しながら百鬼夜行のいる場所へと向かった。

 

しばらくして夜見は百鬼夜行に付着させていた血を頼りにある程度の距離まで来ることができたが、周囲に広げていた血から前方に見張りであろう2匹の鬼の存在に気付いた。

 

夜見(前に2匹、他にはいないか それなら...)

 

すると夜見は2匹の鬼がいる方向に血を集めて正確な鬼の位置や大きさなどを調べると、左手で夜刀を逆手持ちで引き抜いて近くの木の自分の胸の高さ辺りに夜刀を突き刺した。そして次に能力で右手に血を集めて今回はコルト・パイソンではなくスコープの無いスナイパーライフルを作り出すと、夜刀の柄の部分にスナイパーライフルを乗せ、左手を上から押し付けて固定をすると右手の人差し指でゆっくりと引き金を引いた。

 

バァン

 

すると夜見のスナイパーライフルから大きな銃声が鳴り響くと同時に、銃口から血の弾丸が発射された。そして発射された血の弾丸は木の幹に当たって跳弾を3,4回すると、1匹の鬼の額を見事に貫いて鬼は仰向けに倒れた。

 

鬼「なっ!?お、おい!どうしたんだ!?」

 

残った鬼は銃声が聞こえたかと思ったら目の前で仲間の鬼が死んで、見えない位置からの攻撃に驚くと1回周りを見渡した後に倒れた鬼に近付いた。すると夜見は銃口の向きを少しずらして調整をすると、再び引き金を引いて血の弾丸を発射した。

 

バァン

 

再びスナイパーライフルから大きな銃声が鳴り響き血の弾丸は木の幹に当たると、先程とは違う跳弾をして残った鬼のこめかみを貫いた。すると夜見は鬼から流れ出てくる血を空気中に分解して死んだことを確認すると、スナイパーライフルを空気中に分解して夜刀を引き抜くと鞘に納めた。

 

そして夜見は再び血を広げて周囲の状況を確認しながら先程倒した鬼のいる場所に辿り着くと、目の前には岩の壁と真っ暗な洞窟の入り口が見えていた。すると夜見は洞窟の前に立って百鬼夜行に付着させていた血の位置を確認すると、どうやら百鬼夜行は目の前の洞窟の奥深くにいるようだった。

 

夜見(この洞窟が百鬼夜行の拠点か?...いや、おそらく本拠地はまた別の場所だろうな)

 

しかし夜見は本拠地にしては2匹の見張りで手薄すぎることから、この洞窟は本拠地ではなく複数ある拠点の内の1つなのだろうと思った。すると夜見は夜刀を右手で引き抜いて洞窟の中に入ろうとした瞬間、奥から2つの火の光が見えてこちらに近付いてきた。

 

?「お~い、見張りの交代だ もう戻っていいぞ~!」

 

そんな声が奥から響いてきて火の光の正体が松明の火だったことに気付くところまで近付いてくると、松明を持っている正体が2匹の鬼であるということにも気付いた。すると向こうも夜見の姿に気付いたが、同時に夜見の後ろに倒れている仲間の鬼の姿にも気付いた。

 

鬼1「なっ!?だ、誰だお前は!?」

 

鬼2「侵入者か!?しかし、どうやって!?」

 

そして2匹の鬼は手に持っていた松明を手放して夜見に向かって殴りかかってきたが、夜見は後ろに跳んで鬼の拳を躱わした。すると鬼同士が顔を見合わせてアイコンタクトをとると、片方の鬼は後ろに振り返って戻ろうとしたが、夜見は戻ろうとした鬼の背中に夜刀を投げて突き刺すと鬼は転んだ。

 

鬼2「ぐあっ!?」

 

鬼1「くそっ!てめえ、よくもやりやがったな!?」

 

そして片方の鬼は夜見に近付いて再び殴りかかってきたが、夜見は鬼の懐に素早く潜り込むと手元に血のナイフを作り出して鬼のみぞおちに突き刺した。

 

鬼1「ぐっ!?ぶはっ!があぁ、くそ...が...」

 

みぞおちに血のナイフを突き刺された鬼は口から血を吐き出して力尽きると、夜見は血のナイフを空気中に分解すると同時に鬼の血も空気中に分解した。そして夜見は背中に夜刀を突き刺された鬼の元に近付くと、倒れている鬼の背中を踏みつけて夜刀を更に深く刺した。

 

鬼2「ぐああああ!!ぐっ!?な、何が目的だ!」

 

夜見「...」

 

鬼は夜刀に突き刺された痛みに耐えながらも夜見に目的を聞いたが、夜見は何も言わずに夜刀の柄を持って黙っていた。すると夜見はいきなり夜刀を鬼の背中から引き抜くと鬼の頭と顎に手を添え、鬼の首を回すと鬼の首から大きな音がして鬼の首の骨が折れた。

 

ボキッ

 

夜見「...」

 

そして夜見は鬼の死体から血を空気中へ分解しながら足をどけて鬼の死体を横に蹴り飛ばすと、洞窟の入口付近に先程の鬼が落とした松明を1本拾い上げて中へ入っていった。

 

しばらくして夜見は何事もなく洞窟の1番奥に辿り着くと、そこには広い空間があり数十匹の鬼がいて奥の方には人里で見た百鬼夜行が1匹いた。

 

百鬼夜行「...誰だお前は?どうやってここまで来た?」

 

そして百鬼夜行は夜見に気付くと入口で殺した鬼とは違い驚くことなく夜見に質問をしてきたが、それに対して数十匹の鬼は夜見の方を見ると一斉にざわめき始めた。しかし夜見は何も答えずに松明を捨て、夜刀を引き抜いて刃先を百鬼夜行の方に向けると、百鬼夜行は呆れたように鬼達に命令を下した。

 

百鬼夜行「...自分の状況も理解できないのか おい、お前ら!そこの侵入者を抹殺しろ!」

 

百鬼夜行はそう命令を下すと先程までざわめいていた鬼達は夜見の周りを囲うように集まってきたが、夜見は周りを見渡して完全に囲まれている様子を見てため息をついた。すると鬼達は何の合図もなく一斉に雄叫びを上げて夜見に向かって襲い掛かって来たが、夜見はその場で横に1回転しながら夜刀を横に振るった。

 

ヒュン

 

そして夜見が夜刀を振るって風を切った音が鳴ると同時に鬼達がその場で倒れたかと思うと、鬼達の首から血が流れ出て頭がゴロンと落ち、夜見を中心に血の池が出来た。しかしその光景を見ていた百鬼夜行は驚くことはなく、何故かニヤリと笑みを浮かべた。

 

百鬼夜行「ただ者ではないようだな?これは楽しませてくれそうだ」

 

夜見「...」

 

百鬼夜行はそう言って夜見に向かってゆっくりと歩み寄って来たのだが、そんな百鬼夜行に対して夜見は自分の周りに広がっている血の池を操ると2本の細長い針が伸びて百鬼夜行の両足を貫いた。

 

百鬼夜行「ぐぅっ!?」

 

すると百鬼夜行の顔が苦痛の顔に変わり、夜見はその瞬間に血で翼を作って百鬼夜行の顔の前まで羽ばたくと、百鬼夜行の顔に回し蹴りを食らわせた。そして夜見の回し蹴りを食らった百鬼夜行はその場に仰向けに倒れると、夜見は再び血の池を操って2本の細長い針を伸ばして今度は百鬼夜行の両手を拘束するように手のひらを貫いた。

 

百鬼夜行「ぐあっ!?」

 

すると百鬼夜行は再びの苦痛によって声を漏らすと宙に浮いている夜見を睨み付けたのだが、夜見は百鬼夜行の頭の側に降りて翼を分解すると夜刀の刃先を百鬼夜行の首に向けて口を開いた。

 

夜見「...人里に来たもう2匹の百鬼夜行はどうした?連れ去った少女は何処だ?」

 

百鬼夜行「ぐうぅ、お前...ただで済むと思うなよ!」

 

夜見「...戯れ言を言う暇があるなら質問に答えろ」

 

百鬼夜行は拘束されている状態でも強気な発言をすると夜見はその発言を戯れ言だとあしらい、また血の池を操って2本の血の針を伸ばすと今度は百鬼夜行の両肩を貫いた。そして百鬼夜行は再び苦痛の声を漏らして夜見のことを睨み続けたのだが、夜見は夜刀を構えたまま先程と同じ内容の質問をした。

 

夜見「もう2匹の百鬼夜行と連れ去った少女の居場所を答えろ」

 

百鬼夜行「...くっ!ここから少し北に進んだ場所だ!これで満足か!?」

 

夜見「...そうか」

 

すると百鬼夜行はこれ以上の苦痛を味わいたくないのか、それとも夜見に敵わないと察したのか、鬼は半ば諦めたかのような声で夜見の質問に答えた。それに対して夜見は一言だけ呟いて夜刀を上に持ち上げると下に振り下ろし、百鬼夜行の喉を斬り裂いて殺すと夜刀を鞘に納めて血の池と百鬼夜行の血を空気中に分解して洞窟を出た。

 

夜見(...さて、北へ向かうとするか)

 

そして洞窟から出た夜見は百鬼夜行を追い掛けていた時と同じように、空気中の血を周りに広げると百鬼夜行の言っていた北の方角へと歩いていった。しかし夜見は30分程真っ直ぐ北に向かって歩いていったのだが、何処かに出ることもなければ周りに広げている血からも何も感じ取れなかった。

 

夜見(何も無いな...まさか、偽の情報に踊らされただけか?)

 

そして夜見はもしかして百鬼夜行の偽の情報にまんまと騙されたと思ったのだが、次の瞬間に夜見は何とも言えない違和感を感じた。

 

夜見(...何だ、この違和感は?いや、この流れ...間違いない、風の流れが自然のものと微かに違う)

 

夜見は何とも言えない違和感の正体が森の奥から来ている風の流れだと気付き、風上の方向に向けて血を広げていくと木が生えていない開けた場所があることに気付けた。すると夜見は百鬼夜行の言っていた場所はその開けた場所なのではと思い、風上の方向にしばらく歩いていくと開けた場所に出た。

 

その開けた場所はこいしやチルノ達が遊んだ場所の様に円形に木が生えていなかったが、その広さは直径50mは明らかに越していた。そしてその場所の奥の方には人里で見た百鬼夜行を含めた百鬼夜行であろう大量の鬼が洞窟の比にならない程おり、その百鬼夜行は1番奥の方を見ているようだったが満月の淡い光の逆光でよく見えなかった。

 

そして夜見は百鬼夜行に気付かれないようにゆっくりと歩いて近付いていったのだが1番奥に誰かがいたらしく、ある声が聞こえてきた。

 

?「あれ?確か君は...夜見くん?」

 

すると1番奥にいる誰かはどうやら夜見のことを知っているらしく、不思議に思っているような声で夜見の名前を呼んだ。そこで百鬼夜行は夜見が後ろから来ていることに気付いて、一斉に夜見の方を向いたが1番奥にいる誰かはこう言った。

 

?「あぁ、待って待って君達 そんなに驚かないで、とりあえず道を開けてあげてくれないかな?」

 

1番奥にいる誰かは百鬼夜行にそう命令すると百鬼夜行は真ん中に1本道を開けるように横に退いたが、やはり満月の淡い光の逆光で奥にいる誰かはよく見えなかったが声には聞き覚えがあった。そして夜見は1番奥にいる誰かの姿がゆっくりと見えてくると、その人物の名前を呼んだ。

 

夜見「...何故お前がいるんだ、月夜さん」

 

なんとその人物は夜見が初めて参加した宴会の時に会った、白いフード付きのマントを深く被った月夜だった。夜見は月夜が何故ここにいるのか不思議ではあったのだが、もう1つ不思議なことがあり月夜は正面を右側に向かせた白いバイクのクルーザーに対して横向きに乗っていたのだ。

 

月夜「何故ここにいるって聞かれてもねぇ...そう言う君はどうしてここにいるの?」

 

夜見「質問を質問で返すな、さっさと俺の質問に答えろ」

 

月夜「はいはい、わかったよ 俺がここにいる理由はね、俺が百鬼夜行の大将だからだよ」

 

夜見(...やはりか)

 

月夜は質問に対してここにいる理由は百鬼夜行の大将だと言ったのだが、月夜は先程百鬼夜行に命令を下し、百鬼夜行はその命令に従っていたので本当に月夜が百鬼夜行の大将で間違い無いようだった。すると夜見の質問に答えた月夜は、当たり前かのように夜見に対して先程と同じことを聞いてきた。

 

月夜「それじゃあ改めて聞くけど、どうして君はここにいるの?」

 

夜見「...俺は、この異変を解決しに来た」

 

月夜「...まぁ、そうだろうとは思ってたよ」

 

月夜はそう言ってバイクから降りて右手で引き抜いた白刀をただ横に振るうと、なんと斬撃を飛ばした訳でもないのに百鬼夜行の首が斬られて一斉に百鬼夜行が倒れると同時に頭が地面に転がった。

 

夜見(...斬撃を飛ばした様子はなかった 一体どうやって?)

 

そして夜見は目の前で起きたことを見た瞬間に夜刀をいつでも引き抜けるように警戒をしたのだが、次の瞬間に月夜は白刀を鞘に納めるとこんなことを言い出した。

 

月夜「さぁ、ゲームを始めようか」

 

夜見「...ゲーム?」

 

月夜「ルールは簡単だよ 君は君の命と刀を賭けるのに対して、俺は人里の人達の命と俺自身の刀を賭けて殺し合いをする そして勝った方が相手の賭けたものが貰える、簡単でしょ?」

 

すると月夜はいきなりゲームの内容について説明をしたのだが、夜見はゲームで賭ける物に対して疑問を抱いた。

 

夜見「俺の刀と月夜さんの刀は釣り合っているかもしれないが、俺の命と人里の人達の命は明らかに不釣り合いじゃないか?しかも、何故月夜さんは命を賭けないんだ?」

 

夜見はそう言って月夜に向かって抱いた疑問をぶつけたのだが、その疑問を聞いた月夜は呆れたような様子で答えた。

 

月夜「何でって、どうせ俺は死なないだろうし、人里の人間1人の命だと君の命に対して軽いんだよ」

 

すると月夜は自分の考えを言ったのだが、夜見はその月夜の考えを聞いた瞬間にギリッと歯軋りをするとドスの利いた声でこう言った。

 

夜見「...おい、今何て言った?

 

月夜「あれ、聞こえなかった?どうせ俺は死なないし、人里の人間1人の命の重さは君の命に比べたら軽すぎるって[バキッ]

 

そして月夜が再び夜見に同じことを言っていると何かが折れるような音が夜見の元から聞こえ、月夜は不思議に思って言うのを止めた。すると夜見は仮面とマントを外して放り投げると、口の中から歯軋りによって折れてしまった歯の欠片を吐き出した。

 

夜見「人里の人の命が俺の命より軽いだと?ふざけんじゃねえぞ?

 

夜見は明らかに怒っている口調でそう言いながら右手で夜刀を引き抜いて刃先を月夜に向けると、空気中の血が集まって夜見の背中に翼を作り出した。しかしその翼はいつもの赤く鳥のように美しいものではなく、初めてレミリアとフランドールの前で作り出した赤黒い結晶が集まったような見た目をしていた。

 

夜見「命ってのはどれも同じように儚くて重く、誰かの命が軽いことなんて絶対無ぇんだよ

 

月夜「へぇ、君がそう言うってことは、命の重さを誰よりも理解してるってことみたいだね?」

 

夜見「あぁ、理解してるさ 少なくともお前よりはな」

 

月夜(...挑発のつもりで言ってみたんだけど、冗談を言っているようには見えないな まぁ、取り敢えずやる気を出してくれたんなら別に構わないか)

 

そして月夜は夜見の背中に結晶のような翼を作り出した姿を見たが怖じ気づくこともなく、白刀を右手で引き抜くと夜見と同じように刃先を夜見に向けた。

 

月夜「さぁ、ゲームをLET'S STARTだ」




どうも皆さん、お風呂場の蓋です。
今回は前回の投稿から1ヶ月過ぎること無く投稿することが出来ましたが、私的にはもう少し頑張れたと思います。
皆さんにはこの小説の話をどんどん見せていきたいです。
それではよければ、また次回も見てください。
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