心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第43話 GAME START

しばらく夜見と月夜はお互いに自分の持っている刀の刃先を向け合っていたが、夜見は冷静に月夜に対してあることを考えていた。

 

夜見(最初に会った時もそうだったが...全く気配が感じられないせいなのか、本当にその場にいるのかも怪しく感じるな)

 

その内容は月夜の気配のことで、月夜からは気配が感じられないため、月夜という人物が見えている筈なのにそこにいないように夜見は感じていた。そして夜見が月夜のことを把握できているのは月夜の周りに血を広げ、月夜がいる位置を把握しているからだった。

 

月夜「どうしたんだい?来ないなら俺から行こうか?」

 

すると月夜はそう言って白刀を下ろして白刀を構え始めたが、その瞬間に夜見は月夜の周りに広がっている百鬼夜行の血の池から無数の針を飛び出させた。だが、月夜はまるでその不意打ちが来るのを知っていたかのように針を跳んで躱すと、その内の1本の針の上にバランスよく立って白刀の峰を肩に乗せた。

 

月夜「おっと、危ない危ない 不意打ちなんてするんだね」

 

そして月夜は夜見を見下ろしながら余裕をかましていたが、次に夜見は月夜を貫こうと結晶のようになっている血の翼の先端を月夜に向けて伸ばした。しかし月夜は、まるでその動きも知っていたかのように再び跳んで躱すと、血の翼は先程月夜が立っていた血の針を粉々に打ち砕き、月夜は地面に降り立った。

 

月夜「いいね、その調子のまま本気で殺しにかかってきてよ そうしてくれないと、ゲームを楽しめないからね♪」

 

地面に降り立つと月夜は肩に白刀の峰を乗せたまま、そんなことを言いながらゆっくりと夜見の方へ歩み寄ってきた。すると夜見は再び血の池を操って月夜の後頭部に目掛けて針を1本飛び出させたが、月夜は後ろを見ていないにも関わらず頭を傾けて避けた。

 

月夜「さぁ、次はどんな風に殺しに来てくれるのかな?」

 

夜見(...何故だ、一体どうやって攻撃を把握しているんだ?)

 

そして夜見は月夜がどうやって攻撃を把握しているのかを考えながらも、血の池を全て空気中に分解すると夜刀をゆっくりと鞘に納めて居合の構えを取った。すると夜見は居合の構えを取ったまま地面を蹴って月夜の懐に入り込んで夜刀を振るうが、月夜は後ろに跳んで避けると夜見は距離を詰めて立て続けに夜刀を振るった。

 

月夜「あはは、惜しい惜しい ほらほら、もっと来なよ」

 

夜見(くっ!?何故当たらないんだ!?)

 

しかし月夜は、ほとんどその場から動かないで身体を反らしたり身を少し引いたりして、夜見の振るう夜刀の太刀筋を全て躱していた。そして月夜はしばらく夜見の振るう夜刀を躱し続けていると、月夜は笑いながらこんなことを言った。

 

月夜「それじゃあ、そろそろこっちから行かせてもらうよ?」

 

そして月夜はそう言った瞬間に、その場からいきなり姿を消した。しかし、それは月夜から気配が感じられないから姿を消したように見えた訳ではなく、夜見が月夜の周りに広げていた血からも月夜が感じ取れなくなっていて、完全に姿を消したのだ。

 

夜見(なっ!?一体ど[ザワッ]

 

すると夜見は月夜が消えて周囲を見渡した瞬間に嫌な予感を背後から感じ、夜見は咄嗟にしゃがんで姿勢を低くすると白刀の刀身が先程首があった所を横切った。

 

夜見(後ろに回り込んだか!)

 

そして夜見は立ち上がると同時に振り返りながら夜刀を振るったのだが、その瞬間に夜見は驚きのあまりに目を見開いた。何故なら月夜は確かに夜見の後ろに回り込んではいたのだが、月夜と夜見との距離は10mは離れていて、月夜の持っている白刀がどうやっても届かないからだ。

 

月夜「何をしているんだい そんなところで刀を振っても、意味はないよ?」

 

夜見(一体どういうことだ?確かに刀身が横切った筈 いや、そういえばあの時も...)

 

しかし夜見はこの状況を見ると月夜が百鬼夜行を殺した状況のことを思い出し、今の状況と同じなのではないかと思った。すると夜見は血を今度は月夜の周りだけではなく、此処ら一帯に広げて月夜のことを把握するとある考えが思いついた。

 

夜見(これは月夜さんの能力による仕業だ そして恐らく、その能力は咲夜さんと咲希さんと同じ、空間に関する能力の筈だ)

 

そして夜見はゆっくりと夜刀を右手で構えて腰を落として月夜に向かって走り出すと、月夜は口元を少し緩めてニヤリと笑って一瞬で夜見の目の前に来ると白刀を両手で振るってきた。しかし夜見は咄嗟に夜刀の峰に手を添えて白刀を防ぐと、同時に周りに広げていた血からあることがわかった。

 

夜見(やっぱり、月夜さんは一直線に通ってきた つまり月夜さんの能力は空間を操ることが出来る能力だな)

 

だが、夜見が月夜の能力がどのような能力か予想がついたところで状況が変わる訳も無く、夜見と月夜は今も一歩も引かない状況でいた。すると夜見は血の翼で月夜のことを薙ぎ払うために振るったのだが、月夜は後ろに跳んで避けて距離を取った。

 

そして夜見と距離を取った月夜は夜見が血の池から針を飛び出させたり、今も赤黒い血の翼を生やしている様子から、こんなことを言ってきた。

 

月夜「...成る程、君の持っている特別な力は[血を操る]ことが出来るってところかな」

 

夜見「...そうかもな そして月夜さんの能力は恐らく、[空間を操る]ことが出来る能力だろう?」

 

それに対して夜見は言葉を濁して答え、逆に予想した月夜の能力を言うと月夜はこんな風に答えた。

 

月夜「[空間を操る]ことが出来る...ねぇ まぁ確かに、そうかもしれないね」

 

夜見(...どういうことだ?何故濁したような言い方を?)

 

そして月夜も何故か夜見と同じように濁したように答えに夜見が疑問に思っていると、月夜は先程と同じように夜見に一瞬で近付いて白刀を振るってきた。夜見はなんとか夜刀で白刀を防いだが少し仰け反ってしまい、月夜は夜見の仰け反った隙を狙って白刀を振るってきたが、夜見はそれも防ぐと再び仰け反って月夜が白刀を振るっての繰り返しが始まった。

 

月夜「ほらほら、このまま防いだままじゃ何も変わらないよ?」

 

夜見「...じゃあ、これならどうだ?」

 

夜見はそう言って今度は白刀の太刀筋を防がないで、夜刀の刃の上を滑らせて逸らした。すると月夜は驚いたのか隙が出来たので、夜見はその隙を狙って夜刀を振るうが月夜は一瞬で5m程の距離を空けた。

 

月夜「ふぅ、危な[ヒュンッ]...本当に危ないね」

 

夜見(...やっぱり、躱わされるか)

 

夜見は月夜が後ろに下がったと同時に血の翼を顔に目掛けて突き刺そうとしたのだが、月夜は再び首を傾けて躱した。そして夜見は翼を引くと同時に左手に血を集めてコルト・パイソンを作り出すと、銃口を月夜に向けて躊躇せずに血の弾丸を何発か放った。

 

しかし月夜は前に円形の壁を作るように白刀を高速で回して弾丸を器用に刀身に乗せると、夜見に向かって白刀を振るって弾丸を飛ばし返した。すると夜見は返された弾丸を翼で薙ぎ払ったが、翼の陰に隠れるように月夜が一瞬で間合いを詰めて白刀を振るうと夜見は横に跳んで避けた。

 

月夜「おぉ、これを避けれるんだなんて、随分と良い動体視力だね」

 

夜見(...このままだと埒が空かないな さて、どうするべきだ?)

 

月夜「でもね、避けるだけなのは少し面白くないかな?」

 

月夜はそう言って再び夜見との間合いを一瞬で詰めて白刀を振るうと、夜見は夜刀で防いで左手のコルト・パイソンをナイフに変形させた。そして夜見は左手のナイフを逆手持ちにして月夜の心臓に突き刺そうとしたが、月夜は白刀に力を込めると夜見は左手首を夜刀の峰に添えた。

 

月夜「ナイフで突き刺そうとしても、そうはさせないよ?」

 

夜見「...まぁ、そうだろうな」

 

月夜「それで、ここからどうするつもりだい?」

 

夜見「...」

 

すると夜見は月夜の質問に答えずに黙ると左手のナイフの刃を月夜の心臓に向けて伸ばしたが、月夜は素早く後ろに下がって避けた。

 

月夜「まぁ、そう来ると思ってたよ」

 

そう言って月夜は踏み込んで夜見にもう一度斬りかかってきたが、夜見は息を少し吐いて神経を集中させると夜刀と一体になった感覚を感じた。そして夜見は一体に感じた夜刀を振るうと月夜の白刀を弾き、月夜に隙が出来た。

 

月夜「くっ!?」

 

夜見「これは予測してなかったか?」

 

すると夜見は隙の出来た月夜に向かって夜刀を振るい、月夜はギリギリ白刀で防ぐが白刀はまたしても弾かれてしまった。夜見はその後も隙を狙ってナイフと夜刀を振るい続けて、今度は立場が逆の状態で防いで仰け反ってが始まった。

 

月夜「中々やるね、実力を隠していたんだね?」

 

夜見「...そんなことを言う暇はないと思うが?」

 

月夜「まぁ、そうだね 丁度良い難易度のゲームで、中々楽しめてるよ」

 

夜見「...」ギリッ

 

そして夜見は歯軋りをすると夜刀を下から大きく振って月夜はそれも白刀の刀身で防ぐが、その威力は大きく月夜は防ぎきれなくて後ろへ大きく仰け反った。すると当然大きく仰け反った月夜には大きな隙があり、夜見にはそのチャンスを逃す理由はなかった。

 

夜見は月夜との距離を詰めると更にもう一歩踏み込み、夜刀の刃先を月夜の心臓へと狙いを定めた。そして夜見は突きを放つと同時に月夜に向かってこう言った。

 

夜見「GAME OVER(ゲーム終了)だ、月夜さん」

 

すると次の瞬間には夜見と月夜の間で、刃物が衣服と体を切り裂いて血が吹き出す音が鳴った。

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜見「ぐっ!ぶは!?」

 

月夜「...そうだね、君が負けてだけど♪」

 

その音が鳴ったのは夜見の体からだった。

 

夜見は確かに月夜の心臓に目掛けて夜刀で突きを放っており、確実に月夜の心臓に夜刀が突き刺さろうとしていた。しかし夜見の放った夜刀の突きが月夜に突き刺さろうとした瞬間に夜刀の突きは月夜には届かず、逆に仰け反っていた筈の月夜に白刀で肩から腰にかけて斬られていた。

 

夜見(一体、何が...?)

 

夜見は目の前で起きた不可解なことに戸惑いながら口と体から大量の血を流していると、その場で膝をついて倒れそうになったが夜刀を地面に突き刺して体を支えた。すると目の前に立っている月夜は夜見のことを見下ろしながらこんなことを言った。

 

月夜「いや~、惜しかったね まさかの勝利目前でGAME OVER、君の負けになるなんてね」

 

夜見「げほっ!く、がは!はぁ...はぁ... まだ、負けて...ねぇ」

 

月夜「...はぁ、見苦しいなぁ 君なら潔く負けを認めると思ったのに、まさか負け惜しみをするだなんて」

 

夜見「言っただろ...まだ、負けてねえって!」

 

そう言って夜見は目の前にいる月夜を血の翼で薙ぎ払おうとしたのだが、薙ぎ払った瞬間に月夜は一瞬で後ろへ下がって距離を取った。そして夜見は能力を使って斬られた傷を数秒で治すと、夜刀を地面から引き抜いてゆっくりと立ち上がった。

 

月夜「あれ?君、体に斬られた傷は?」

 

夜見「...さぁな、月夜さんが斬ったつもりだっただけかもな」

 

夜見(...何故だ?突き刺せなかったのは空間を操ればどうにでもなるが、どうして仰け反っていた筈の月夜さんが俺を斬ることが出来たんだ?)

 

月夜は立ち上がった夜見の姿を見て斬った筈の傷が無いことを不思議に思って夜見に質問をしたが、夜見は自分の能力を明かさないために適当に答えるものの、夜見には斬られた時の事が疑問に残った。すると月夜は白刀の峰を肩に置いて少し考え込んだ。

 

月夜「ふぅん...成る程 そういうことね」

 

月夜はそう言って目の前からいきなり姿を消した瞬間に夜見の背後に回り込んで白刀で背中に斬りかかった。しかし夜見は周囲に血を広げていたので背後に月夜が回り込んだことを即座に認識して、血の翼で背中を防いだ筈なのだが何故か背中を斬られた。

 

夜見「がっ!?」

 

月夜「防ごうとしても無駄だよ」

 

そして夜見は怯みつつも背後に振り返って更に白刀を振るってくる月夜に対して左手のナイフで防ごうとしたのだが、何故か白刀がナイフに当たらなかったかと思ったら再び白刀に斬られた。

 

夜見「ぐあっ!?」

 

月夜「だから言ったでしょ?防ごうとしても無駄だって」

 

月夜はそう言って更に白刀で斬りかかってくるので、夜見は月夜の言う通り防ごうとしても斬られると思い、後ろに跳んで距離を取った。

 

そして夜見は表情には出してはいなかったが、先程のことに内心は驚いていた。しかし夜見が驚いているのは防いだ筈なのに斬られたことではなく、月夜が目の前から姿を消して背後に回り込んできた時だった。

 

夜見(どういうことだ!?月夜さんは一体どうやって、どこも通らずに俺の背後に回り込んだんだ!?)

 

夜見は先程から月夜が距離を詰めて来た時には周囲に広げている血から、月夜が何処を通って近付いていたのかを認識していた。しかし月夜が夜見の背後に回り込んだんだ時には何処も通っておらず、まさに瞬間移動をしたのだった。

 

夜見(仮に月夜さんの[空間を操る]能力が、空間を歪められる程の能力で一瞬で回り込んだとしても、広げてある血で空間が歪んだことは認識できる筈...)

 

そして夜見は月夜がどうやって背後に瞬間移動出来たのかを考えていると、無意識の内に能力で体の斬られた傷を数秒で治していた。すると月夜は夜見に向かって左手のひらを向けてきたので、夜見は警戒をして腰を落として身構えた。

 

ヒュウウゥゥ

 

夜見(...風?)

 

すると次の瞬間に夜見の背後からそよ風が吹いてきたのだが今まで風は一切吹いていなかったので、明らかに不自然だった。夜見はいきなり風が吹いてきたことを不審に思いつつ月夜の出方を(うかが)っていたのだが、突然背後から吹いていたそよ風が暴風へと変わった。

 

夜見「なっ!?くっ!」

 

夜見はいきなり背中を暴風に押されて体勢を崩しそうになったが、翼を地面に突き刺して体勢を整えると再び身構えた。すると夜見は月夜の手のひらから月夜側では風がやんでいることに気付いた瞬間、月夜は夜見にこんなことを聞いてきた。

 

月夜「ねぇ、君は空気中の一部分の質量が無くなってしまった場合、どうなるか知ってるかい?」

 

夜見(...一体どういうことだ?何が目的なんだ?)

 

そして夜見は月夜がいきなりそんなことを聞いてきたことに何の意図があるのか警戒しながら、夜見は月夜の質問にゆっくりと答えた。

 

夜見「...質量が無くなった一部分の気圧が無くなり、そこへ周囲の空気が流れ込む そして流れ込んできた空気の質量も無くなる場合は、永遠に空気が流れ込む」

 

月夜「その通り、正解だよ それじゃあ、その一部分には出入口が一方向しかなくて、流れ込んできた空気の質量が急に元に戻ったら?」

 

夜見(...本当に何が目的なんだ?空気の質量が元に戻ったら...まさか!)

 

すると夜見は月夜の謎の質問の意図に気付いた瞬間に背中から吹いてきた暴風がいきなりやみ、それと同時に夜見は横に転がるように跳んだ。そして夜見が跳んだと同時にドンッと何かが飛ばされた音が鳴ったかと思うと、夜見の背後にあった木々に直径10cm程の穴が一直線に空いていた。

 

月夜「まぁ、流石にそこまで聞いたらばれちゃうか 正解は高密度に圧縮された空気が放たれるだけど...まぁ、それに気付いたから避けたんだよね」

 

夜見(あ、危なかった 気付くのが後少しでも遅れてたら体に風穴が空いていた)

 

すると夜見は先程もう少しで自分の体に風穴が空くかもしれなかった状況にいたことに焦りを感じていたが、それと同時に夜見はある違和感を感じた。

 

夜見(...何か、何かが引っ掛かる でも、なんなんだ?この違和感は...)

 

そして夜見は先程の行動のどこに違和感があったのかを知るため、先程の行動の記憶を瞬時に遡ると違和感の正体に気付いた。それは、月夜の聞いてきた質問だった。

 

[ねぇ、君は空気中の一部分の質量が無くなってしまった場合、どうなるか知ってるかい?]

 

夜見(月夜さんの能力は[空間を操る]能力の筈なのに、何故月夜さんは[質量が無くなってしまった場合]って言ったんだ?月夜さんの能力だったら空間を広げて、空気中の一部分の質量を小さくすることしか出来ない筈なのに...)

 

そして夜見は仰け反った筈の月夜がどうして白刀で斬ることが出来たのか、月夜の能力では有り得ない瞬間移動は何故起きたのか、そして最後に月夜の能力では出ない筈の[質量が無くなってしまった場合]という言葉がどうして出てきたのかを結び付けた結果、とても単純な答えを導き出すことが出来た。そもそも夜見の最初の考えが間違っていたのだ。

 

夜見(そうだったのか、だから月夜さんは濁したような答え方を...)

 

月夜「...どうしたんだい、急に黙りこくって?」

 

月夜は急に夜見が黙り込んだ様子を見て不思議に思い夜見に尋ねると、夜見は月夜のことを真っ直ぐに見て言った。

 

夜見「...月夜さんの本当の能力がわかった」

 

月夜「...へぇ」

 

すると月夜は夜見の言ったことに対して驚いたのか一瞬体がピクッと動いたかと思うと、口元を緩めてニヤリと笑いながらそう言った。そして夜見は夜刀をゆっくりと持ち上げて夜刀の刃先を月夜に向けると、夜見は月夜の本当の能力を言った。

 

夜見「[無を操る]能力、それが月夜さんの能力だ」

 

すると夜見がそう言った瞬間に夜見は無意識の内に殺気を出していたのか、月夜は夜見の後ろにうっすらと死神のような黒い影が一瞬だけ見えて背筋に寒気を感じた。しかし月夜はその光景を見て怯えるどころか、寧ろその光景に感心して[無を操る]能力について話し始めた。

 

月夜「...そうだよ、俺に備わっている特別な力は[無を操る]ことが出来るんだ 例えば仰け反った出来事や俺がそこにいたということを無かったことにしたり、空間の距離や物体の質量を無くしたりね」

 

そして月夜は自分の能力について話し終えると白刀の峰を肩に乗せて、不思議に思った様子で夜見に尋ねた。

 

月夜「それで、俺の能力がわかったところで君はどうするの?君は俺の攻撃を防ぐことは出来ないし、逆に君の攻撃が当たることもないんだよ?」

 

夜見「...どうだろうな もしかしたら、意外に当たるかもしれないぞ?」

 

月夜「いやいや、それは有り得ないよ」

 

夜見「...」

 

すると夜見は月夜に向けていた夜刀を下ろして左手のナイフを空気中へ分解すると、夜刀を鞘に納めて居合の構えを取って夜刀と一体になった感覚を感じた。そして夜見は夜刀を大きく振りきるように引き抜いて大きな斬撃を発生させると、その斬撃は真っ直ぐと月夜の方へ飛んでいった。

 

月夜「...はぁ、何度言ったらわかるのかな?」

 

月夜はそう言って能力を使って斬撃を避けようとしたのだが、月夜はあることに気付くと白刀を振るって斬撃を斬り落とした。すると月夜が斬撃を斬り落とした時には既に夜見は月夜との距離を詰めており、月夜に斬りかかったのだが白刀で防がれて(つば)迫り合いになった。

 

夜見「どうしたんだ?俺の攻撃は当たらないんじゃなかったか?」

 

そして夜見は鍔迫り合いの状態で月夜にそう言って軽く挑発をしたのだが、月夜は夜見の挑発には乗らないで冷静に返答した。

 

月夜「くっ!知らないふりなんて...君の仕業なんでしょ?急に俺の特別な力が、使えなくなったのって」

 

そう、実は月夜が能力を使って斬撃を避けようとした時に気付いたこととは、自分の能力が何故か使えなくなっていたことだった。夜見は月夜が能力について話していた内に霊力を広げており、霊力を伝って月夜の霊力を乱して能力を使えないようにしていた。

 

夜見「...さぁな、俺は知らないな」

 

月夜「しらを切るのは無理だよ、ここには君と俺しかいないんだから」

 

夜見「...仮に俺じゃなかったとしても、別に俺は困らないがな」

 

夜見はそう言うと夜刀に力を込めて月夜のことを押して無理矢理少し距離を空けさせると、そのまま流れるように前蹴りを月夜の腹に入れて更に距離を空けた。

 

月夜「ぐっ!?」

 

そう言うと何気に初めて攻撃をまともに食らった月夜は大きく仰け反り、夜見は更に仰け反った月夜に畳み掛けるように翼で薙ぎ払った。そして月夜は今は能力が使えないので夜見の翼の薙ぎ払いに直撃し、月夜は後ろに飛ばされて仰向けで地面に倒れた。

 

月夜「がっ!う、うぅ...」

 

月夜は腹を蹴られた痛みと翼で薙ぎ払われた痛みで唸るような声を出していると、夜見は翼を羽ばたかせて5m程上に飛ぶとその場に留まった。すると夜見は羽ばたかせている両翼から無数の針を作り出して月夜に向けて伸ばしたが、月夜は後転をするように立ち上がると軽い身のこなしで少し移動をしながら体を少し反らしただけで全て躱してしまった。

 

月夜(な、なんとかギリギリ躱すことはできたけど、困ったな 能力が使えないとなると、実力で勝ってなければ確実に負けるな...)

 

夜見(...能力を使えなくさせた時にわかったが、月夜さんの気配が無いのは能力のせいじゃなくて元々気配を消しているのか しかし一体どうして、姿が見えているのに気配を感じ取れないんだ?)

 

夜見と月夜はそれぞれ別のことを考えていると夜見は伸ばした針を元に戻して地面に降り立ち、月夜は反らした体を戻して両手で白刀を構えた。そして夜見がゆっくりと一歩を踏み出した瞬間に月夜は走り出すと白刀で斬りかかってきたが、夜見は踏み出した足で地面を蹴って月夜の懐に飛び込むと夜刀を振るった。

 

ガキィンッ

 

しかし互いの刀は相手の体を斬ることはなく、互いの刀がぶつかり合って大きな金属音が響いた。そして互いに更に刀に力を込めて同時に振り切ると、夜見と月夜は後ろにずり下がった。

 

月夜「くっ!やっぱり、そう簡単にはやられてくれないか」

 

夜見「当たり前だ 異変を解決するために、俺は殺されるわけにはいかない」

 

夜見がそう言い終えて走り出すと月夜も同じように走り出して互いに隣を通り過ぎるように刀を振るったのだが、自分の刀は相手の刀にぶつかり金属音と火花を出しただけだった。そして夜見も月夜は互いに振り返って再び刀を振るうのだが、どれも刀がぶつかり合って金属音と火花を出す互角の状況が生まれただけだった。

 

夜見(実力はほとんど互角だな...このままだと埒が空かないな)

 

月夜(実力としては勝ってもいなければ劣ってもいない...さて、どうしようかな)

 

夜見と月夜は互いに、この互角の状況をどうしようかと悩みながら刀を振るっていたのだが互いの刀がぶつかり合って再び鍔迫り合いになると、何故か月夜は夜見の喉へ左手を伸ばしてきた。すると夜見は月夜の伸ばしてきた左手を掴んで止めようと夜刀から左手を離したのだが、その瞬間に夜見は月夜の袖口からあるものがチラリと見えた。

 

夜見(なっ!?まさか!)

 

夜見は月夜の袖口から見えた物で何をしてくるのかを理解すると、目の前まで来ている左手から離れるように後ろに跳んだ。すると夜見が後ろに跳んだと同時に月夜の袖口からは15cm程のナイフの刃が飛び出してきて、夜見が月夜の左手を掴んでいればナイフの刃が喉に突き刺さっていただろう。

 

月夜「あぁ、これも駄目なのか 俺の十八番だったんだけどなぁ」

 

月夜は残念そうな様子で左の袖口から飛び出しているナイフの刃を中に納めると、ゆっくりと片足を後ろに下げて白刀を持っている右手に力を入れた。

 

月夜(もう少し時間を掛けたかったけど...まぁ、仕方ないか)

 

そして月夜が走り出すと同時に夜見は両翼の先端を月夜に向けて伸ばしたのだが、月夜は両方の翼の先端を紙一重で避けると夜刀の届く僅か範囲外から突きを繰り出してきた。夜見はその突きを夜刀の刀身の側面で受け止めようと刀身に左手を添えて構えると、白刀の先端が夜刀の刀身に当たる...筈だったのだが、何故か白刀は夜刀の刀身の側面をすり抜けて夜見の腹部に刺さった。

 

夜見「うっ!?ぶはっ!」

 

すると白刀が腹に刺さった夜見は何が起きたのか理解できないまま口から血を吐き出しながら怯んでいると、月夜は夜刀をすり抜けた白刀を夜見の腹からすぐに引き抜いた。そして月夜は白刀を振り上げると怯んでる夜見に向かって容赦なく刀を振り下ろした。

 

夜見「くっ!」

 

そして月夜が白刀を振り下ろすと夜見はギリギリのところで夜刀で今度は防ぐことができたのだが、月夜は振り下ろした白刀を流れるように今度は斬り上げるように振るってきた。すると月夜の斬り上げてくる白刀に対して夜見は夜刀を振り下ろしたのだが、白刀に夜刀が弾かれると夜刀は夜見の手から放れて宙を舞い、夜見は大きな隙を晒してしまった。

 

夜見「しまっ...

 

月夜の目の前で大きな隙を晒してしまった夜見は翼をまだ引き戻しておらず白刀で斬られてしまうと思ったのだが、月夜は何故か白刀で夜見を斬らずに右足で夜見の横っ腹に蹴りを入れて横へ3m程蹴り飛ばした。

 

夜見「かはっ!?」

 

そして蹴り飛ばされた夜見は地面を転がってうつ伏せで倒れると同時に、宙を舞っていた夜刀が落ちてきて月夜の目の前の地面に突き刺さると、月夜は左手で夜刀を引き抜いた。

 

夜見(な、何故?隙だらけの俺を斬らなかったんだ?)

 

うつ伏せで倒れた夜見は腕に力を入れ、ゆっくりと立ち上がりながら能力で腹の傷を治し始めた。そして先程隙を晒してしまった時に何故白刀で斬られなかったのかを考えていると、月夜はこんなことを言い始めた。

 

月夜「光と影は常に隣り合わせである 光は闇を切り裂き影を消し去る存在だが、光は遮られると簡単に形を変え影を生み出す存在となってしまう」

 

夜見(...なんだ?一体どういうことだ?)

 

夜見は月夜がいきなり意味不明なこと言い始め一体どういう意味なのかと考えていると、月夜は右手に持っている白刀の先端を夜見に向けると更にこう言った。

 

月夜「光と影、双方は常に共に存在をしている 今、俺が持っている2本の刀と同じようにね」

 

夜見(...なるほど、そういうことか)

 

すると夜見は月夜が更に言ってきたことを聞いた瞬間、ある話の1つの謎が解明できたのと同時に月夜が最初に言っていた意味を理解することができた。

 

夜見(つまり妖夢さんが言っていた[夜刀 闇夜]の対となる刀は、月夜さんが持っていた[白刀 月光]だった そして、さっき刀がすり抜けたのは[白刀 月光()]が[夜刀 闇夜()]を切り裂いたってことだったんだな)

 

しかし、そんなことを理解することができたところで夜見は有利になるどころか、寧ろ自分は極めて不利であることに気付かされただけだった。すると月夜は夜見に向けていた白刀の先端を下げると、夜見に向かってこんなことを言い始めた。

 

月夜「さて、STAGE1はこれで終わり だから今度はSTAGE2を始めようか」

 

月夜はそう言って片足を下げて2本の刀を構えたのに対して、夜見は両手に100cm程の刀を造り出すと腰を落として構え始めた。そして月夜は夜見が構えたのを確認すると口を開いてこう言った。

 

月夜「さぁ、STAGE2のSTARTだ」




どうも皆さん、お風呂場の蓋です。
冬休み中に出来れば投稿をしようと思っていたのですが途中で話の展開が中々思い付かず、結果として前回の投稿から1ヵ月以上空いてしまい申し訳ありませんでした。
次回からこそは予定がない限りはせめて1ヵ月以内に投稿をしていけるように頑張っていこうと思います。
よければ次回もまた見てください。
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