心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第44話 STAGE2 START

月夜「さてと、最初から全力でいかせてもらうよ!」

 

月夜はそう言って下げた足で地面を蹴って走り出して夜見に近付くと最初に白刀を振るってきたので、夜見はそれを片方の血の刀で防ぐと月夜は立て続けに夜刀を振るったが、夜見は夜刀をもう片方の血の刀で防いだ。

 

月夜「さぁ、まだまだ終わらないよ!」

 

そして月夜は夜見に向けて何度も流れるように白刀と夜刀を振るったのだが、夜見は月夜の太刀筋を防ぐ度に甲高い金属音が鳴り響いていた。しかし夜見は月夜の太刀筋を防いでいる中で僅かな隙を狙って血の刀を振るい、白刀と夜刀を弾き返して月夜を仰け反らせると血の刀で何度か斬りつけた。

 

月夜「ぐはっ!?」

 

夜見「悪いが、そんな2刀流の太刀筋...

 

そして夜見は体を斬りつけられて鮮血を流れ出しながら怯んでいる月夜に対して、更に月夜の目の前で跳びながら体を空中で回転させると容赦なく追撃のローリングソバットをみぞおちに放った。

 

月夜「がっ!」

 

夜見「俺の知っている少女剣士に比べたら、反撃をするのは造作もないな」

 

すると月夜は後ろへ2m程飛ばされて地面に仰向けに倒れたと同時に夜見は地面に着地し、月夜の方に振り返ると力強く血の翼を1回羽ばたかせて一気に月夜の方へと飛んだ。そして夜見は右手に持っている血の刀を刃が向こう側になるように倒れている月夜に突き刺そうとしたが、月夜はみぞおちの痛みを堪えながらなんとか横に転がって避けると距離を取るために立ち上がろうとした。

 

しかし夜見は血の刀が地面に突き刺さった瞬間に血の翼を横に振るうと立ち上がろうとしている月夜は凪ぎ払われ、再び飛ばされた月夜は地面を1,2回バウンドして地面を転がって今度はうつ伏せに倒れた。

 

月夜「ぐっ!うぅ... 君、容赦ないね」

 

凪ぎ払われた月夜は身体中の様々な痛みを感じながら両手に力を入れて立ち上がりながらそんなことを言うと、夜見は地面に突き刺さった血の刀を引き抜くと同時にこう返した。

 

夜見「異変を起こした奴に、逆に容赦しろと?」

 

月夜「してくれたら...有り難いんだけどね」

 

そして血の刀を地面から引き抜いた夜見は月夜の方へ向くと月夜は既に立ち上がっていたが、体から流れ出ている鮮血が白いマントに鮮やかな赤色のシミを作り出し、その赤色のシミがマントの下の端まで広がるとそこからポタポタと血が滴り落ちた。普通ならそんな状態で数十分も経てば出血多量によって死んでしまう筈なのだが、夜見は月夜には何故かそんなことは起こらないような感じがした。

 

月夜(できれば、もう少ししてから使おうとしてたんだけど...出し惜しみしている暇は無いだろうな)

 

月夜「...ふぅ 少しは容赦しようかと思ってたけど、どうやら君に容赦はする気は無いようだし、俺も容赦は無くそうか」

 

月夜は大きなため息をついてそんなことを言うと、ゆっくりと右手に持っている白刀を鞘に納めると夜刀を持ったままの左手を沿えて居合いの構えを取った。夜見は月夜が斬撃を飛ばしてくるだろうと警戒をしていると、月夜は鞘から白刀で斬り上げるように引き抜いた。

 

しかし月夜が白刀を引き抜くと夜見に向かってきたのは白刀から繰り出される斬撃ではなく白刀の刀身自身だった。すると斬撃を警戒していた夜見は白刀の刀身自身が来るとは思っておらずそのまま斬られてしまった。

 

夜見「ぐあっ!?」

 

月夜「あはは!驚いたかい!?」

 

そして夜見は白刀に斬られたと同時に、月夜の能力を封じている筈なのに何故白刀の刀身がきたのか訳がわからず戸惑っていると、月夜は白刀を振り下ろして再び夜見を白刀で斬りつけようとした。

 

夜見「くっ!」

 

すると夜見は後ろへ跳んでなんとか白刀の刀身を避けたのだが、月夜はまだ空中にいる夜見に目掛けて白刀を再び振り下ろした。しかし夜見は血の刀を交差させて白刀を防いだのだが、白刀に打ち落とされたように地面に着地をするとそのまま後ろへと少しずり下がった。

 

月夜「あ~あ、流石に防がれちゃうか」

 

夜見(どういうことだ!?確かに能力は俺の拡げている霊力で封じている筈!)

 

夜見はずり下がっていたのが止まると交差させていた血の刀を構え直しながら、何故月夜が白刀の刀身を届かせることができたのかを考えていた。すると月夜は夜見が血の刀を構え直し終えたのを見て夜見に向かって走り出したかと思うと、月夜は走りながら白刀を振り回して斬りつけようとしてきた。

 

月夜「どうしたんだい!?まさか、防ぐので精一杯な訳じゃないよね!?」

 

夜見(何か...何かある筈だ!能力を封じている筈なのにこんなことが出来る理由が!)

 

夜見は月夜の振り回してくる白刀を両手の血の刀で防ぎながら考えていたのだが、何1つ考えが浮かばず月夜は目の前まで来ると白刀と夜刀を振るってきた。しかし夜見はその太刀筋を何度も防ぎ一瞬の隙をついて血の刀を振るうが、月夜は後ろに跳んで避けると同時に白刀を振るうとやはり白刀は夜見に届くが夜見は血の刀で防いだ。

 

月夜「おっと、危ない危ない」

 

夜見(くっ!何かある筈だ!今、この状況には何がある!?)

 

そして夜見は白刀を防いでいる血の刀を振るって突き放すと月夜との距離を詰めて血の刀を振るうが、月夜は2本の刀を夜刀で受け止めると夜見を白刀で斬り上げて打ち上げると白刀を振り下ろして地面に叩き付けた。

 

夜見「がはっ!」

 

すると地面に叩き付けられた夜見は地面を何回かバウンドすると地面を転がりうつ伏せに倒れると、夜見は能力で傷を治しつつ血の刀を地面に突き刺して杖の代わりのようにしてフラフラと立ち上がった。

 

月夜「あっはっは!流石に君でも、このステージは早すぎたかな!?」

 

そして月夜は夜見がフラフラと立ち上がった様子を見て笑いながら挑発気味にそう言ったが、夜見は挑発気味な言葉には耳を傾けずに血の刀を地面から引き抜いて月夜を真っ直ぐに見ていた。

 

夜見(...焦るな、冷静に考えろ 今、この状況に残っているものは...)

 

月夜「さぁ!君にはこのステージが攻略できるかな!?」

 

月夜はそう言って白刀を振るうが夜見は月夜の方を真っ直ぐに見ながら姿勢を少し下げてギリギリの所で躱わすと、更に月夜は立て続けに白刀を振るって来るが夜見は繰り返しギリギリの所で体を反らして白刀を次々と躱わした。

 

夜見(...成る程、そういうことか)

 

そして夜見は白刀を躱わし続けている内にあることに気付き、片方の血の刀で白刀を防いで力強く振るうとその力は白刀を伝って月夜まで伝わった。すると月夜はその力に耐えられず後ろにずり下がったので、思わず前のめりになると直ぐに止まった。

 

月夜「くっ!中々や...

 

そして月夜は後ろにずり下がったのが止まったと同時に顔を上げると、何故か夜見は距離を全く詰めていないのに血の刀の刀身が目の前まで迫ってきていた。その光景に驚いた月夜は言い掛けていた言葉を止め、咄嗟に横に転がって回避して夜見の方を見ると、血の刀の刀身が何故目の前まで迫ってきていたのかが分かった。

 

月夜「...成る程ね、特別な力を使って血の刀の刀身を伸ばしたんだね」

 

そこで月夜が目にしたのは、先程より長い刀身が月明かりによって輝いている血の刀を持っていた夜見の姿だった。すると夜見は能力を使って血の刀の刀身の長さを元に戻し、血の刀を振りかぶると夜見はこう返した。

 

夜見「...あぁ、そうだ 月夜さんがやったのと同じようにな!」

 

そして夜見は再び能力を使って血の刀の刀身を伸ばしたと同時に振るうと刀身は月夜まで届いたのだが、月夜は夜刀で血の刀の刀身を受け止めていた。

 

月夜「へぇ、気付いたんだ 俺が何をしたのか」

 

夜見「あぁ、月夜さんは[白刀 月光]の光の性質の力を引き出して刀身を伸ばしていたんだろ?光は差し込む角度が変われば光の届く長さも変わるからな」

 

すると夜見はもう片方の血の刀も振るうと同時に刀身を伸ばしたのだが、月夜は白刀でもう片方の血の刀も受け止めた。

 

月夜「正解、君の言った通り俺は白刀の力を引き出して白刀の刀身を伸ばした でも、よくその事に気付けたね」

 

夜見「当たり前だ、よく見たら実際に[白刀 月光]が伸びた瞬間が見えたんだからな!」

 

夜見はそう言うと、後に振るった血の刀の方に力を入れて無理矢理月夜を押すと先程より勢いよく月夜は後ろにずり下がったが、月夜は夜刀を素早く逆手持ちにして地面に突き刺すと夜刀が地面を少し切り裂いた所で止まった。すると月夜は顔を上げて夜見の方を見ると同時にあることを思っていた。

 

月夜(白刀が伸びたのが見えたって?...いや、ただの出任せか)

 

それは夜見が白刀の刀身が伸びた瞬間が見えたというのが出任せだということだった。実際に白刀が伸びた瞬間が見えたのであれば誰もが出任せだとは思わない筈なのだが、月夜は出任せだと思える理由があった。

 

月夜(...だって、白刀は光と同じ速度で伸びるんだから絶対に見える筈がない)

 

そして月夜は夜刀を順手持ちに戻して地面から引き抜こうとしたのだが、月夜はその瞬間にある可能性が頭によぎった。

 

月夜(...でも、あり得ない筈だけど、もし本当に白刀が伸びたのが見えていたとしたら?)

 

月夜は夜見の出任せだと思った先程の言葉が何故か、出任せではないと思う感じがして頭にそんな考えがよぎると、月夜は夜刀を握る左手に力を入れた。

 

月夜(もしそうだったら、これは随分と不味い状況だね... それなら、この手も使うしかないかな)

 

すると月夜は夜刀を地面から引き抜くのではなく、逆に夜刀を更に深く地面へと突き刺し始めたのだ。夜見はそんな月夜の不可解な行動に疑問を持った。

 

夜見(...何をする気だ?)

 

月夜「影に干渉出来るのは同じ影しかない しかし闇は影を引き寄せ、影を干渉できるものへと変えるだろう」

 

そして月夜は夜刀をゆっくりと地面から引き抜き始めたのだが、夜見はあり得ない光景を目の当たりにして自分の目を疑った。何故なら月夜の持っている夜刀に月夜の影が引き寄せられ、月夜が夜刀を引き抜き終えると月夜にあった影が無くなった代わりに月夜の影が地面から浮き出て具現化したのだ。

 

その月夜の影は月夜の右手の影だった今の左手には白刀と同じ長さの影の刀を持ち、同様に月夜の左手の影だった今の右手には夜刀と同じ長さの影の刀を持っていた。そして月夜が2本の刀を構えると、月夜の影はすっと月夜の横に移動して月夜と正反対の構えを取った。

 

月夜「さぁ、これが夜刀の奥の手!流石の君でも、これは真似できないよ!」

 

月夜がそう言うと同時に夜見に向かって走り始めると月夜の影も同時に走り始め、距離を詰めた月夜が左手の白刀を振るうと月夜の影も同様に右手の影の刀を振るって来た。それに対して夜見のは2本の血の刀で防いだが、月夜は立て続けに夜刀も振るい始めると月夜の影も同じように2本の影の刀を振るい始めた。

 

月夜「ほらほらほらほら!君の目が良くても、流石に2人分の攻撃を防ぐのはきついんじゃないかな!?」

 

夜見「ぐっ!確かに...1人分増えた分きついが、ただそれだけだ!」

 

しかし夜見は血の刀を上に一閃振り上げると月夜と月夜の影の2本の刀を弾いて仰け反らせ、その隙に2本の刀を振りかぶって力強く振るうが月夜と月夜の影は同時に後ろに跳んで避けてしまった。

 

月夜「おっと!まさか2人分の刀を弾くとはね」

 

夜見「言った筈だ ただ1人分増えた、ただそれだけだと」

 

夜見(それに...

 

すると夜見はチラリと一瞬だけ月夜の影の方へ目線を向けたのだが、直ぐに月夜の方へと目線を戻した。

 

夜見(見た限り、あの影は本体と左右対称の動きをとっていた つまり、所詮はただの影にすぎない 本体の動きを警戒していれば、ほとんど気にする必要は無いな)

 

そして夜見はそんなことを思っていたのだが、月夜は次の瞬間にこんなことを言ってきた。

 

月夜「...ねぇ、まさかだけど君は俺の影が俺と同じ動きしかしないとか、思ってないよね」

 

夜見「なっ!?」

 

なんと月夜はつい先程夜見が思っていたことを言い当ててきたのだ。すると夜見は思わず驚きの声を出してしまい、その声を聞いた月夜は口元を緩めてニヤリと笑った。

 

月夜「どうやら、図星だったみたいだね!」

 

そして月夜が走り出したのだが月夜の影は少し遅れて走り出し、夜見との距離を詰めた月夜は白刀と夜刀を同時に振るうと夜見は血の刀で防いで鍔迫り合いとなった。しかし、月夜の後ろから月夜の影が迫ってきているので鍔迫り合いを続けるわけにもいかず、夜見は力尽くで月夜を押し離すと今度は月夜の影が刀を振るってきたので夜見は後ろに跳んで避けた。

 

月夜「甘いよ!」

 

すると月夜はそう言って空中にいる夜見に向かって白刀を伸ばして振るってきたので、夜見は咄嗟に血の翼を前で交差させたのだが白刀は血の翼を突き破ってきた。だが、夜見は念のために血の刀で防ぐ構えをとっていたので斬られずに済み、白刀の威力によって更に後ろに飛ばされて地面に着地した。

 

そして夜見が地面に着地した頃には月夜と月夜の影は夜見に向かって走り出しており、夜見は血の刀を横に振るうと同時に刀身を伸ばした。しかし月夜はそれをスライディングで躱わし、月夜の影は走り高跳びの背面跳びのように跳ぶと身体を捻りながら躱わしてしまった。

 

月夜「君の実力はそんなものなのかい!?」

 

夜見(くっ!それなら!)

 

すると夜見は今度は両方の血の刀を逆手持ちにして地面に突き刺し、それを見た月夜と月夜の影は何かあると思って足を止めた。そして次の瞬間には月夜と月夜の影の目の前には長くて細く、鋭い血の針が何十本も地面から飛び出してきた。

 

月夜「おっと!そのまま走ってたら、危うく串刺しになってたね」

 

夜見「まだだ!」

 

そう言って夜見は更に血の刀を地面に深く差し込むと月夜と月夜の影の真下から血の針が次々に飛び出してくるが、月夜と月夜の影は跳んだり血の針を蹴ったりと様々な動きで躱わした。

 

月夜「あはは!まさか、こんな攻撃に当たるとでも思っているのかい!?」

 

そう言って月夜と月夜の影は血の針を躱わし続けていたのだが血の針が飛び出してくるのが止むと、月夜と月夜の影は血の針の上に降り立って下の方にいる夜見を見てみると白刀で突き破った血の翼が直っていた。

 

月夜(なるほどね 翼を直すための時間稼ぎって訳か)

 

すると夜見が血の刀を引き抜くと同時に血の針が引っ込んでいくので月夜と月夜の影は地面に降り立ち、夜見は血の刀を引き抜き終えると血の刀を順手に持ち直した。

 

そしてしばらくの沈黙の後に夜見と月夜が走り出すと少し遅れて月夜の影が走り出し、夜見と月夜が同時に2本の刀を振るった。だが夜見は月夜の2刀流の攻撃の僅かな隙を狙って反撃をしただけのことはあり、2刀流の実力は夜見の方が上で月夜を押していた。

 

しかしそこに月夜の影が入って2本の刀を振るってくるので夜見は片方の血の刀で防ぐのだが、月夜は片方の血の刀で防いだ隙を狙って刀を振るってきた。

 

夜見(くっ!不味い!)

 

すると夜見は月夜と月夜の影の刀を防ぎきれずに斬られてしったのだが夜見は怯まずなんとか血の刀で防ごうするが、先程とは違いバラバラの動きで刀を振るってくるので片方の刀を防いだ瞬間の隙に斬られてしまっていた。

 

月夜「まさかとは思うけど、ここでGAME OVER(終わり)かい?」

 

夜見「ぐわっ!くっ、そんな訳ねぇだろ!」

 

月夜「あはは!その割には、随分と苦しそうだね!」

 

夜見(流石に、2人を相手に分が悪い!...なら、

 

そして夜見は月夜の刀を血の翼で受け止めると月夜の影の振るってくる2本の刀を血の刀で弾き、姿勢を下げて足払いで月夜の体勢を崩した。すると夜見は更に体勢を崩した月夜の腹に向けて、血の翼の翼角(よくかく)と呼ばれる翼の節のような部分を月夜の腹に叩き込んだ。

 

月夜「ぐはっ!」

 

夜見(まずは、邪魔な分身を片付ける!)

 

そして夜見は月夜をそのまま翼角で殴り飛ばすと月夜の影に向けて血の刀を振るうが、月夜の影はギリギリの所で刀で防いだ。しかし月夜の影はギリギリの所で防いだせいなのか刀は弾かれてしまい、夜見はその隙を見逃さずに月夜の影を2本の血の刀で斬りつけた。

 

すると月夜の影が斬りつけられた部分はただ揺らめくだけで、揺らめいた影の部分はすぐに元に戻ってしまった。更には月夜の影には痛覚が無いのか怯む様子は無く、月夜の影は刀を振るってきたので夜見は血の刀で防いだ。

 

夜見(くっ!効かないのか!?)

 

夜見は月夜の影に攻撃が全く効いていない様子に少し驚きながらも、月夜の影の刀を力ずくで押し放して血の刀を振るった。所詮月夜の影は月夜の分身なので2刀流の実力は夜見の方が上であり、月夜の影は刀を振るっても夜見の血の刀を防ごうとしても全て弾かれて為す術もなく斬りつけられていた。

 

夜見(いや...実体があるなら、何か倒す術は必ずある筈!)

 

そして夜見は何度も月夜の影の刀を弾きながら斬りつけたのだが結果は変わらず、更には血の刀を突き刺したりもしたのだが結果が変わることは無かった。すると夜見は何度も月夜の影を斬りつけている途中で何を思ったのか、いきなり月夜の影の腹に蹴りを入れて蹴り飛ばして距離を離した。

 

夜見(...おかしい、何故だ?)

 

それは夜見が月夜の影を斬りつけている途中で、ふと思ったおかしな事が原因だった。

 

夜見(何故、月夜さんは()()()()()()()?)

 

そう、それは殴り飛ばされた筈の月夜が何もしてこないことだった。仮に月夜が月夜の影が倒すことはできないと知っていたとしても月夜には何もメリットはなく、寧ろ月夜はもう起き上がってこちらに向かって来る筈なのだ。

 

夜見(一体、月夜さんは何を?)

 

そして夜見は月夜を殴り飛ばした方向を見てみると、月夜はうなだれているように少し前屈みになりながら腕はダランとさせ、更に身体からは血をポタポタと落としながら月夜は少し肩で息をしているようだった。しばらくして月夜は息を整えたのか肩で息をするのをやめて、ゆっくりと体を起こすと月夜の体には何故か斬りつけられたような傷が増えていた。

 

月夜「はぁ、はぁ、本っ当に...容赦ないね...」

 

すると月夜は苦しそうな言い方で夜見にそんなことを言ったので、どうやら月夜の体に増えている斬りつけられたような傷は夜見が増やしたらしい。しかし夜見にはまったく身に覚えはなく、仮に能力を使ったのならば月夜の影を斬りつけている途中に月夜が何もしてこないことを不思議には思わない筈である。

 

夜見(...何が起きている?何故斬りつけられたような傷が...

 

そして夜見は何故月夜に斬りつけられたような傷が増えているのかを考えようと月夜の増えた傷を見た瞬間、夜見はあることに気付くと同時に新たな疑問が生まれた。

 

夜見(...何故、月夜さんの分身に斬りつけた所に傷が?)

 

その夜見に新たに生まれた疑問というのは、月夜の影を斬りつけた所がそのまま月夜の身体に傷として付いていることだった。すると夜見はその疑問が生まれると先程月夜の影を蹴り飛ばしたことを思い出して、月夜の影を蹴り飛ばした方向を見てみると、月夜の影は既に目の前まで来て刀を振り下ろす寸前だった。

 

夜見「くっ!」

 

しかし夜見は月夜の影が刀を振り下ろす寸前だったのにも関わらず血の刀で振り下ろされる刀を弾き、月夜の影に再び血の刀を振るって月夜の影の身体を斬りつけた。

 

月夜「がっ!」

 

夜見(...まさか?)

 

すると何故か月夜の影を斬りつけた瞬間に月夜がまるで攻撃を受けたような声を出し、夜見はまさかと思いつつ再び月夜の影を蹴り飛ばすと月夜は先程と同じような声を出した。そして夜見は月夜の方を見てみると思った通り、月夜の身体には先程月夜の影を斬りつけた傷が付いていた。

 

夜見(成る程な 月夜さんの分身は結局、月夜さんの影だ そして月夜さんの影の形が変われば、本体である月夜さんにも同じ影響が及ぶ 月夜さんの影が斬りつけられても元に戻ったのは、月夜さんから映し出される影の形は変わらないからだ)

 

こうして夜見は何故月夜に月夜の影の斬りつけられた傷が付いていたのかと、月夜の影が本体である月夜にどんな影響を及ぼすかを理解をした。そして夜見は蹴り飛ばした月夜の影の方を見たのだが、月夜の影は立ち上がった瞬間に地面に沈むように液体のようになって崩れた。

 

月夜「さ、流石にこれ以上やられたら、(たま)ったもんじゃないよ」

 

するとそう言った月夜は再び地面に夜刀を突き刺しており、月夜の影は月夜自身が光を遮って出来る普通の影にへと戻っていった。そして夜見はかなり深手を負っているだろう月夜に向けて、こんなことを言った。

 

夜見「2人掛かりで斬りかかってきた威勢はどうした?もう無いのか?」

 

月夜「...君、中々キツいこと言うね こんな状況の人に普通、そんなことを言うかい?」

 

すると月夜は夜見が言ってきたことにそのような返答をしたのだが、今度はこんなことを夜見は言った。

 

夜見「逆に、そんな状況でよく普通に話せる余裕があるな」

 

月夜「...確かに、それもそうだね」

 

そして月夜は地面に突き刺した夜刀を引き抜いて順手持ちに戻し、一呼吸だけするとこんな事を言った。

 

月夜「でもこの状況は、あと数分も経てば逆転するよ」

 

夜見「...どうした?遂にそんなバレバレな嘘しか付けないようにでもなったか?」

 

月夜「至って真面目だよ まぁ、あと数分経てばわかるよ」

 

夜見「その数分後に、月夜さんが生きていればの話だけどな!」

 

そう言って夜見はいきなり血の刀を振るうと同時に刀身を伸ばしたのだが、それと同時に月夜も同様に白刀を振るうと、夜見と月夜との間の真ん中辺りで金属音が鳴り響いた。すると夜見と月夜は更に2,3回刀を振るったのだが、先程と同じように金属音が鳴り響くと夜見と月夜は同時に走り出して距離を詰めた。

 

そして距離を詰めると最初に月夜が白刀と夜刀を振るってきたのだが、夜見は2本とも1本の血の刀で弾き返した。すると夜見は月夜が仰け反った隙にもう片方の血の刀を振るうが、月夜は弾かれた白刀を逆手持ちにして刀身を伸ばして防ぐと後ろにずり下がった。

 

月夜「...やっぱり、2刀流は俺の性に合わないか」

 

月夜はずり下がるのが止まると独り言をポツリと呟いて白刀を鞘に納めると、左手に持っていた夜刀を右手に持ち変えて構えた。そして月夜は地面を蹴って夜見との距離を詰めて夜刀を振るうが、その速さは2刀流や最初に白刀を振るっていたのが手加減していたと思わせるような速さだった。

 

夜見(さっきより速い!?くっ!だが、この程度の速さなら!)

 

しかし夜見は月夜の振るう夜刀の太刀筋を血の刀で防いだり受け流したりしていたのだが、月夜の太刀筋は速くて重く、何より隙が無いので下手に反撃ができない状況だった。そしてこうして夜見が月夜の太刀筋を防いだりしている時でも、時間はだんだんと過ぎていった。

 

月夜(さてと...あと、もう少しだけだな)

 

すると月夜は言っていた数分経つことが待ちきれずに口元を緩めてニヤリと笑ったのだが、そのせいなのか月夜は攻撃の手を少しだけ緩めて隙を作ってしまった。夜見は当然その隙を見逃す筈もなく、月夜の振るう夜刀を弾いて月夜が大きく仰け反った所に力強い突きを放った。

 

月夜「うっ!?ぶはっ!」

 

そして夜見の放った突きは月夜のみぞおちの少し下を貫いており、背中の方から突き出た血の刀の刀身の先端は月夜の血が滴っていた。すると月夜は大量の血を吐き出したが夜見は容赦せずに腹に蹴りを入れて蹴り飛ばし、血の刀を引き抜くと横に振るって月夜の血を落とした。

 

夜見「どうやら月夜さんの言っていた数分は、残念ながら経つことは無かったようだな」

 

そして夜見は仰向けに倒れている月夜を見ながらそう言うと、月夜は血の刀が貫いた所を左手で押さえながらフラフラとしながらも何とか立ち上がった。しかし月夜は今にも死にそうな状況なのにも関わらず、血が垂れている口元は笑っていた。

 

月夜「...いや、俺の言った数分は...たった今、過ぎた ここからだよ」

 

月夜はそう言って夜刀を血塗れの左手に持ち変え、右手では鞘から白刀を引き抜くと1回深呼吸をした。そして月夜が顔を少し上げ、フードで隠れていた目が鋭くなったかと思うと次の瞬間にあることが起こった。

 

ズシャア!

 

夜見「うっ!?がはっ!?」

 

なんと月夜が目の前から姿を消したかと思うと同時に、夜見は身体をX字状に深く斬られたのだ。夜見は一瞬何が起きているのか理解できないでいると、夜見の背後から月夜の声が聞こえた。

 

月夜「ほら、言ったでしょ?数分経てば逆転するって」

 

そして夜見は背後から聞こえた月夜の声で反射的に振り返ると、そこには確かに月夜がいた。しかし月夜には先程まであった傷は全て無くなっており、白いマントにあった血の染みすら消えていた。

 

夜見(な、何が起きている!?一体、月夜さんは何をした!?)

 

すると夜見は立て続けに起きている有り得ないことに顔には出していないが、内心はとても動揺をしていた。だが夜見はすぐに冷静さを取り戻し、まずはX字状に斬られた傷を治そうと能力を使おうとしたのだが、能力を使おうとした瞬間に更にあることが起きた。

 

夜見(ぐっ!?な、何だ?いきなり...視界が...)

 

なんと、夜見の視界がいきなり歪み始めたと同時に体から力が抜けてしまったのだ。すると体から力が抜けた夜見は前に倒れる寸前に片方の血の刀を地面に突き刺すと、倒れずには済んだが片膝を付いた状態になってしまった。

 

夜見(な、何が起きているんだ?)

 

そして夜見は体に力が入らず片膝を付いた状態になってしまったものの意識ははっきりとしており、今自分は片膝を付いた状態になっていることはちゃんと把握していた。すると月夜は夜見が片膝を付いた光景を見て、白刀の峰を肩に置くように担ぐと残念がってるような声でこんなことを言い出した。

 

月夜「あ~あ、エネルギーが遂に尽きかけになっちゃったか 君なら少し耐えてくれると思ったんだけど、やっぱりこうなっちゃうんだね」

 

夜見(エネルギー?尽きかけ?一体、何のことだ?)

 

夜見は月夜の言ったエネルギーが尽きかけているという言葉に疑問を持って一体何のことかを考えようとした瞬間、夜見の背中から生えていた翼がポタポタと溶けるようにどんどんと壊れ始めたかと思うと血の刀も同じように壊れ始めた。更には空気中の血を操った月夜の位置の把握もだんだんと鈍くなり始めたのだが、夜見はそこで月夜の言った言葉の意味を理解した。

 

夜見(そういうことか、月夜さんの言っているエネルギーは霊力のこと つまり俺の使っていた霊力が遂に無くなる寸前になって、まさに不味い状態になってるって訳かよ)

 

なんと、夜見の視界が歪み、更に体に力が入らなくなったのは夜見の霊力が尽きかけになったのが原因だったのだ。よくよく考えれば夜見は月夜の位置を把握するために空気中の血を操り、更には血の刀と血の翼を作り出した状態で周囲に霊力を広げていたので霊力が尽きかけるのも無理はなかった。そして月夜は夜見の霊力が周囲に広げられなくなった所を狙い、能力で今まで受けた傷をなかったことにしたのだ。

 

すると月夜はゆっくりと膝を付いている夜見に歩み寄り、夜見の前で足を止めると白刀を振り下ろすために大きく振りかぶると夜見に向かってこう言った。

 

月夜「死ぬまでのLAST TIME、満喫できるといいね とはいっても、時間は1秒もないけどね」

 

そして白刀を振りかぶった月夜は夜見に何の容赦もなく、白刀を振り下ろした。




どうも皆さん、お久しぶりです。お風呂場の蓋です。
前回の投稿から再び1ヵ月以上が経ってしまい、申し訳ございません。
前回の投稿からすぐに定期テストがあり、2週間程小説を書けない状況があったのですが、それが投稿が遅れた理由ではありません。
言い訳にはなりますが、最近某ウイルスが広まり、私の通っている学校も2月末には休校になったので不謹慎ながらも小説をゆっくり書けると思っていました。しかしあまりにもやることが無く、暇になると同時に何に対してもやる気が出なくなり、遂には小説を書くやる気も無くなってしまいました。そして何とか小説を書いても納得できない出来で何度も書き直しとなったのが主な理由です。
楽しみにしていた方、本当に申し訳ございません。
しかも私は今度から高校3年生になり、就職に向けて色々やることが増えて再び投稿が遅れる可能性がありますが、それでも気長に待って頂ければ幸いです。
もしよろしければ、また次回も見てください。
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