心を閉ざした少年と少女   作:お風呂場の蓋

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第4章 夜空に感じるもの
第47話 不思議と感じる懐かしさ


夜見(さてと、どうしようか...)

 

夜見は紅魔館から地霊殿へ帰ってくると既に時間は6時を過ぎており、夜見が帰ってきたところでみんなで夕飯を食べた後は各自の順番で風呂に入った。

そして夜見は今、自分の部屋でベットに座りながら何をしようか考えていた。

 

夜見(特に眠気は無いし...よし)

 

すると、夜見は何かを思いついてベットから立ち上がると、マントで身を包んでフードを深く被り、仮面を被ると自分の部屋から出た。

そして夜見は廊下を通って階段を降り、エントランスに着くと地霊殿を出てそのまま歩き続けて地上へ出た。

 

こうして夜見は地上に出て近くに腰掛けるのにちょうど良さそうな岩を見つけて腰を掛けると、淡く輝く月に照らされながら夜空を眺めた。

 

そして夜見は夜空を吸い込まれるように眺めていたのだが、不意に夜空を眺めるのにどこか懐かしさを感じ始めた。

しかし、その懐かしさには謎の違和感があり、夜見は夜空を眺めるのをやめて立ち上がると今度は夜の散歩を始めた。

 

夜見(...何だったんだ?さっきの違和感は)

 

だが、夜見は夜空を眺めていた時に感じた懐かしさと違和感が忘れられずに頭の中を渦巻いていたのだが、木材が軋むような音がそれを遮った。

 

夜見(...こんな夜中に、誰かいるのか?)

 

夜見はこんな夜中に誰かがいるのかと気になると音が鳴った方へ進んでいき、しばらくすると人里へ続く少し整備された道が現れた。

そして、その道端には先程の木材が軋む音を鳴った原因だと思われる、木製のリアカー屋台が八目鰻と文字が書かれた赤提灯に照らされていた。

 

すると、夜見はそのリアカー屋台の八目鰻と書かれた青い暖簾(のれん)をくぐると、向かい側で少女が椅子に座りながら両手で頬杖をついて目を閉じながら鼻歌を歌っていた。

 

その少女はピンク色の髪で背中には変わった形の翼を生やし、本来耳がある部分には小さな翼に似た形の物が生えていた。

服装は茶色の和服を青い帯で締めて捲った袖はたすき掛けで固定しており、青いバンダナと帆前掛けを巻いていた。

 

しかし、その少女は夜見に一切気付くことはなく気持ち良さそうに鼻歌を歌い続け、夜見は目の前にある木製の長椅子に座ると少し軋んだ。

そして、少女は長椅子の軋む音でようやく自分以外の人物がいることに気付き、少女は驚きの声を上げながら飛び跳ねるように少し後ろに下がった。

 

?「ふぇ!?お、お客さん!?え、えっと!ご注文は!?」

 

すると、少女は客が来たのかと思って反射的に注文を聞くと、もちろん夜見は注文をしなかったが逆に口を開くこともなかった。

 

?「...え?あ、あのーお客さん?ご注文は?」

 

夜見「...」

 

?「あれ?も、もしもーし?聞こえていますかー?」

 

夜見「...あぁ、聞こえてる」

 

少女は途中で自分の声が相手には聞こえていないのか思い、自分の声が聞こえているかを聞いたところで夜見はようやく口を開いた。

すると少女は一切注文をしてこないことを疑問に思い始めると、夜見に向かって一体何をしに来たのかを聞いた。

 

?「えっと...何しに来たの?」

 

夜見「...別に、ただ寄っただけだ」

 

?「冷やかし?それなら...あれ?」

 

夜見「...どうした?」

 

そして少女は少し怒った様子で夜見に向かって何かを言いかけたが、急に言葉を詰まらせて疑問の声を出すと、夜見の事をジッと見つめ始めた。

夜見は急に見つめてきた少女に向かってどうしたのかを聞くと、少女は口元に手を当てて考え込みながら答えた。

 

?「貴方のその格好、誰かから聞いた気がするんだよね 確かあれは...えっと、誰がなんて言ってたんだっけ?」

 

夜見(誰かが俺のことを言いふらしてるのか?可能性としては魔理沙さん辺りか?いや、そんなことは「あ!思い出した!」

 

少女の答えを聞いた夜見は、誰が自分の事言いふらしているのかと考え始めたのだが、少女はすぐに思い出したらしく夜見に向かって確認をした。

 

?「お兄さん、黒夜さんでしょ!確かどんな依頼も受けてくれる人だって!」

 

夜見「...誰がそんなことを?」

 

しかし夜見は少女の聞いてきたことには返事をせず、逆に誰が自分のことを話していたのかを聞くと、少女は夜見のよく知る人物の名前を出した。

 

?「え、こいしちゃんだよ?黒夜さんのことをお兄ちゃんって呼んでるらしいから、知らない筈はないと思うんだけど...」

 

なんと、夜見のことを少女に話していたのは1番身近な人物であるこいしだったようだ。

しかし夜見はこいしの名前を聞くと自分の事を話されたことより真っ先に気になったことがあり、その気になったことを少女に尋ねた。

 

夜見「もしかして、こいしさんの友人なのか?」

 

そして少女は夜見の尋ねてきた内容に首を縦に振ると、その少女は自己紹介を始めた。

 

?「うん、そうだよ 私の名前はミスティア・ローレライ それで、お兄さんの名前は黒夜夜見でいいんだよね?」

 

夜見「...あぁ、そうだ」

 

ミスティア「よろしくね、黒夜さん」

 

夜見「...よろしく」

 

するとミスティアは握手を求めて手を伸ばしてきたので、夜見も手を伸ばしてミスティアと握手をした。

そして握手を終えるとミスティアは椅子に座り、再び両手で頬杖をつきながら夜見に再び何をしているのかを聞いた。

 

ミスティア「ねぇ、黒夜さんはこんな夜中に一体何をしてるの?」

 

夜見「...別に、ただの暇潰しだ」

 

ミスティア「...ふぅん、そうなんだ」

 

しかし夜見はミスティアに話題を振られても先程から素っ気無い返事しかしないので話が続かず、ミスティアは少しつまらなそうな様子だった。

そして夜見はミスティアのそんな様子に気付くことはなく、ミスティアに先程聞かれた内容をそのまま返した。

 

夜見「...逆に、ミスティアさんは何を?」

 

ミスティア「私?私はいつも人里でと店を開いてるんだけど、たまにこうして人里の外でお店を開いて回ってるの まぁ、人里の外だと売上は無いに等しいんだけどね」

 

夜見「...別に、人里の外で開かなければいいだろ」

 

ミスティア「売上を考えればそうなんだろうけど、たまには外で開いて常連さん以外と話すのも楽しいんだよ」

 

夜見「...そうか」

 

ミスティア(...駄目だ、全っ然話が続く気がしない どうしよう...)

 

するとミスティアは、なんとか話を続けようとしてみるのだが、夜見の素っ気無い返事ですぐ話が終わってしまうことに頭を悩ませ始めていた。

しかしミスティアは大事なある事をふと思い出すと、その内容を依頼として夜見に話してみることにした。

 

ミスティア「ねぇ、黒夜さん 少し依頼したいことがあるんだけど...いいかな?」

 

夜見「...明日でいいなら」

 

ミスティア「うん、明日でいいよ 実は内で仕入れている八目鰻の在庫がそろそろ無くなりそうだから、川から八目鰻を獲ってきて欲しいの」

 

夜見「...川は何処に?」

 

ミスティア「人里から少し山の方に進んだ所、浅い川がある筈だよ」

 

夜見「...そうか、わかった」

 

そして、話が終わってしまうとミスティアは新たな話を考え始めるのだが、夜見は急に会話が終わった直後に椅子から立ち上がった。

 

ミスティア「あれ?黒夜さん、どうしたの?」

 

夜見「...帰る」

 

ミスティア「そう?それじゃあ気を付けて帰ってね あ、それと明日は人里で看板に八目鰻って書いてあるお店にいるからね」

 

夜見「...あぁ、わかった」

 

夜見は最後まで素っ気無い返事をして振り返ると青い暖簾を再びくぐり、ミスティアの店を出て地霊殿へ帰る為に地底の入口へ向かって行った。

因みにミスティアは夜見が見えなくなるまで手を振って見送っていたのだが、夜見が見えなくなった瞬間に疲れがドッと出て大きなため息をついた。

 

そして夜見は地底の入口を目指してゆっくりと歩いていたのだが、急に足を止めて仮面を懐に仕舞うと夜空を見上げた。

すると夜見は夜空を見上げながら旧地獄街道を歩いている時から、ずっと後ろを付いて来ていた人物に話し掛けた。

 

夜見「...何で付いて来たんだ?寝てたんじゃなかったのか」

 

?「だって...お兄ちゃんが黙ったまま外に出ていくから、また私達に黙って無茶しに行ったかと思ったんだもん」

 

夜見「...心配を掛けてたのか すまないな、こいしさん」

 

夜見はそう言いながら振り返ると、そこには黄色のパジャマを着てサードアイを開けたこいしが心配そうな顔をしながら立っていた。

すると夜見が片膝をついて腕を広げるとこいしはゆっくりと近付き、夜見の首に腕を回して抱きつくと夜見はこいしを抱きしめ返した。

 

こいし「...ねぇ、お兄ちゃん」

 

夜見「どうした?こいしさん」

 

こいし「...好き、大好き」

 

夜見「...そうか、ありがとう」

 

夜見はそう言いながらこいしの頭を撫でていると、こいしは更に腕に力を込めた。

 

こいし「...愛してる、お兄ちゃん」

 

夜見「俺も愛してる、こいしさん」

 

こいし「...お兄ちゃん、好き」

 

こいしはそう言って夜見の頬にキスをするとサードアイから伸びている管のような部分を動かし、互いの身体が離れなくなるように夜見の体に巻きつけた。

しかし夜見は体が巻き付けられている事に特に困る様子は無く、こいしを抱き上げると地底の入口に向かって再び歩き始めた。

 

しばらくして夜見はこいしを抱き上げたまま地底の入口がある場所に着くと、こいしは夜見のパジャマを摘んでチョンチョンと引っ張った。

 

こいし「...ねぇ、お兄ちゃん」

 

夜見「ん、どうした?」

 

こいし「...お月様、綺麗だね」

 

夜見「...あぁ、そうだな」

 

夜見はそう返事をしながら地上に出た時と同じ石に腰を掛けると、こいしは夜見の首に回していた腕を離したので夜見も同様に腕を離した。

するとこいしは身体の向きを変えて夜見に(もた)れ掛かかるように夜見の膝に座ると、夜見とこいしはほぼ同時に夜空を見上げた。

 

夜見(...やっぱり、何か懐かしさを感じるな)

 

そして夜見は再び何処からともなく湧き出てくる懐かしさを感じていると、こいしは夜空を見上げながら夜見に話し掛けた。

 

こいし「ねぇ、お兄ちゃん 1つだけ聞いていい?」

 

夜見「あぁ、いいぞ」

 

すると夜見はそう言って視線を落としてこいしを見ると、こいしは振り向いて夜見にこんなことを聞いてきた。

 

こいし「お兄ちゃん、前に私に会ったことある?」

 

夜見「...どういうことだ?」

 

しかし夜見はこいしが聞いてきた内容の意味が理解できず、思わず夜見はこいしに聞き返してしまった。

するとこいしは前を向いて再び夜空を見上げたところで、夜見にこんなことを話した。

 

こいし「こうやってお兄ちゃんと一緒に夜空を見てるとね、懐かしさを感じるの まるで、ずっとこうしてお兄ちゃんと一緒にいたみたいに」

 

夜見「...そうか、奇遇だな 実は、俺もなんだ」

 

どうやらこいしも夜空を見ていると懐かしさを感じているようで、それを知った夜見は思ったことを口に出すとこいしは驚いたように振り向いた。

 

こいし「お兄ちゃんも、懐かしいって感じるの?」

 

夜見「あぁ、ただ少しこいしさんと、は...」

 

そして夜見はこいしの新たな質問に答えていると急に声を詰まらせて難しい顔をすると、こいしはそんな様子の夜見が心配になって声を掛けた。

 

こいし「お兄ちゃん、どうしたの?大丈夫?」

 

夜見「ん?あぁ、大丈夫だ すまないな、何度も心配させて」

 

夜見はこいしの心配そうな声を聞くと、すぐに考え込むのをやめるとこいしの頭を撫でながら微笑んだ。

しかし、こいしは夜見の顔をジッと見つめながらもう一度心配そうに問い掛けた。

 

こいし「...本当に、大丈夫?」

 

夜見「...あぁ、大丈夫だ こいしさんの感じてる懐かしさと少し違う気がしたんだが、やっぱり気のせいだった」

 

こいし「...なーんだ、気のせいだったんだ も〜、急に考え込むから本当に心配したんだよ!」

 

すると、こいしはそう言いながら腕を夜見の首に回すと同時に身体の向きを夜見の方へ向けた。

夜見はこいしが何度も抱きついてくるのに呆れながらも、微笑みながらこいしを抱きしめて頭を撫で続けた。

 

夜見「まったく、こいしさんは心配性だな」

 

こいし「当たり前だよ!だって私は、お兄ちゃんのことが大好きなんだから♪」

 

夜見「そうか、大好きなら仕方ないな」

 

そう言って夜見はこいしをゆっくりと抱き上げて立ち上がると楽しく話しながら、地底の入口に入って地霊殿へと戻って行った。

こいしは旧地獄街道を歩いている時には既に夜見の腕の中で寝息立てており、夜見はこいしの寝顔を見て笑みを零している幸せそうな光景だった。

 

夜見(...確かに、あの時)

 

しかし、夜見は笑みを零しながら頭の中では、こいしと地上で会話をしていた中で声が詰まった時に気付いたことについて考え始めていた。

 

夜見(俺が最初に夜空を眺めていた時に感じた、あの違和感が何故か無くなっていた いや、無くなったというより...まるで、穴を何かで埋めたかのような...)

 

夜見は歩きながら様々な考えを巡らせていたのだが気付けば既に地霊殿に着いており、夜見は考えを巡らせるのを一旦やめると玄関を開けた。

夜見が地霊殿の中に入ると目の前にはさとりが少し不機嫌な様子で立っており、さとりは夜見とこいしが帰ってくるや否や夜見に問い掛けた。

 

さとり「黒夜さん、こんな時間に何も言わないで一体何処に行ってたんですか?それに、まさかとは思いますが、こいしを連れて行った訳じゃないですよね?」

 

夜見「別に、眠くなくて少し夜の散歩をしていただけだ それにこいしさんは、いつの間にか後ろから付いて来ていただけで俺は誘ってない」

 

すると、夜見はさとりの問い掛けに嘘偽りのない答えを返したのだが、さとりはいつも無茶をする夜見が信用できないのか夜見の顔をジッと見つめていた。

 

そして、さとりがしばらく夜見の顔を見つめて沈黙の時間が1、2分過ぎると、ようやくさとりは夜見の顔を見つめるのをやめて口を開いた。

 

さとり「...私は黒夜さんの心が今は読めないので、黒夜さんの言ったことが全部本当かどうかはわかりません でも私は、黒夜さんが嘘をついていないと信じます」

 

夜見「...ありがとう、さとりさん 信じてくれて」

 

さとり「家族を信じてあげるのは、当然のことですよ でも、次から夜に出掛ける際には私に言うか、私の部屋に書き置きでもしておいてくださいね」

 

夜見「わかった、約束する」

 

こうして、夜見とさとりは新たに約束を交わしたのだが、さとりは口元に手を当てると小さなあくびをして、少しウトウトしながら夜見に言った。

 

さとり「それじゃあ、私はもう寝るので黒夜さんも早めに寝てくださいね おやすみなさい」

 

夜見「あぁ、おやすみ」

 

そして、夜見とこいし、さとりは2階に上がると、さとりは自分の部屋に入っていき、夜見はこいしをベッドで寝かせる為にこいしの部屋に入った。

だが、夜見はこいしをベッドに寝かせる前に、夜見から離れる状態ではないこいしをどうにかする必要があった。

 

夜見(仕方ない、1回起きてもらうか)

 

すると、夜見はこいしから離れてもらう為に1番簡単であろう方法の起きてもらう選択をし、子どもをあやすようにこいしを上下に揺すった。

 

こいし「ん、ん〜?も〜あしゃ〜?」

 

こいしは揺すられた衝撃を受けるとすぐに起きたのだが、まだ頭は寝ているのか顔を上げて夜見と目が合うと半目のままボーッと見つめ始めた。

そして、夜見は見つめてくるこいしに笑みを浮かべると、早速こいしに腕などを離すように頼んだ。

 

夜見「こいしさん、少し離してくれないか?」

 

こいし「...うん、いいよ〜」

 

こいしはいつもなら離すのを嫌がるのだが、今回は頭が起きていないからなのか言う通りにすんなりと夜見を離した。

そして、夜見はこいしをベッドへ横に寝かせると、優しくこいしの手を握りながら寝るように(さと)した。

 

夜見「こいしさん、もう少し寝ていようか」

 

こいし「うん、寝りゅ〜」

 

こいしは夜見の言う通りに寝ると僅か数秒で眠りにつき、夜見はこいしが眠ったのを確認すると自分の部屋に戻って自分も寝ることにした。

 

しかし眠りについてみると体感的には朝はすぐに訪れて、夜見は起きるとさとり達といつも通りの朝の時間を過ごし終えた。

そして夜見は昨日受けた依頼をこなす為に自室で地上での姿になり、エントランスから地霊殿を出ようとするといつもの声が夜見を呼んだ。

 

こいし「お兄ちゃ〜ん!」

 

夜見「ん、こいしさん?」

 

夜見はこいしの声に反応して振り返ってみると、こいしは階段を急ぐように走って降りていた。

しかし、こいしは夜見の下にすぐに行きたくて堪らないのか、階段を半分降りた辺りで一気に夜見に目掛けて跳び込んだ。

 

夜見「なっ!?ぐっ!」

 

そして、こいしは夜見の首に腕を回すように抱き付いたのだが、夜見にとっては妖怪が跳び込んでくる衝撃は異常な強さだった。

だが、夜見はこいしがそんな衝撃で跳び込んできたのにも拘らず、なんとか衝撃に耐えてこいしをしっかり受け止めていた。

 

夜見「あ、危なかったぁ」

 

こいし「えへへ、お兄ちゃ〜ん♪」

 

夜見「...はぁ、まったく」

 

夜見はいい加減こいしが抱き付いてくることに慣れてしまい、いつものようにこいしの頭を撫で始めた。

すると、こいしはお返しのつもりなのか夜見のマントのフードを下げて頭を撫で返しながら、夜見に今日も出掛けるのかを尋ねた。

 

こいし「ねえねえ、お兄ちゃん 今日もお仕事なの?」

 

夜見「あぁ、そうだ 実はミスティアさんに依頼を頼まれてな」

 

こいし「え、ミスチーちゃんがお兄ちゃんに?」

 

夜見「あぁ、どうやら店で使う物の在庫が少ないらしい」

 

こいし「そう...なんだ、ミスチーちゃんが」

 

夜見「...こいしさん?」

 

こいしは夜見がミスティアに依頼を頼まれたことを聞くと何故か(うつむ)いてしまい、夜見が心配して名前を呼ぶとこいしはハッと顔を上げた。

 

こいし「あ!ううん、何でもないよ 行ってらっしゃい、お兄ちゃん」

 

こいしは、そう言いながら人差し指を夜見の顔と仮面の間に差し込み、仮面を引っ張って夜見の頬にキスをすると人差し指をゆっくりと離した。

 

そして、こいしは夜見に満面の笑みを見せると、すぐに夜見から離れて2階へ走って上がってしまった。

夜見はこいしに何か心配しているのかを聞こうとしていたのだが、こいしの[何でもないよ]という言葉を信じてフードを被り地霊殿を出た。

 

夜見(さてと、昨日聞いた話だと...)

 

夜見は地上に出ると昨日ミスティアから聞いた話の内容を思い出しながら、血の翼を作り出して空を飛ぶと周りを見渡し始めた。

 

夜見(...多分、あれだな)

 

すると夜見は人里から一番近いであろう山を見つけて人里の近くまで飛ぶと地上に降りて、そこからは山の方に向かって歩いて川を探し始めた。

しばらく夜見は歩いていると徐々に水が流れる音が聞こえきて、音が聞こえる方に進んでいくと山から流れている川を見つけた。

 

夜見は川を見つけるとそのまま歩いて、川に入る一歩手前で止まると裸足になって更にマントも外した。

そして、夜見はズボンの裾を両方捲くって川の中に入ると、素肌に川の冷たさを感じながら空気中の血の一部を川の中の至る所に拡げた。

 

夜見(何処にいる?)

 

夜見は一旦辺りを見回してから深呼吸をすると目を閉じ、川の中に拡げた血に神経を集中させて八目鰻を探し始めた。

しばらく探していると夜見は川の中には数十匹の魚がいることがわかり、その中に八目鰻が何匹か交ざっていることに気付いた。

 

夜見(...一匹だけ近いな)

 

そして、夜見は一番近くにいた八目鰻に逃げられないようにゆっくり近付き、慎重に狙いを定めると八目鰻の頭を掴んで捕まえた。

 

夜見(さて、あと数匹捕まえるか)

 

すると、夜見は空気中の血を集めて作った大きめの竹水筒のような筒の中に川の水と八目鰻を入れ、そこから夜見は次々と八目鰻を捕まえ始めた。

 

しばらくして八目鰻の数が十分に集まると、夜見は八目鰻を捕まえるのを切り上げ、川の近くに置いた靴とマントを身に着けて人里へ向かった。

そして、夜見は人里に着くと昨日ミスティアが言っていた店を探す為に、とある日の記憶を掘り返しながら人里を歩いた。

 

夜見(確か、冬に空さんと来た時に...)

 

なんと、夜見が掘り返していた記憶とは以前の冬、空と一緒にプリズムリバー三姉妹のライブの為に人里に来ていた記憶だった。

実はあの日、夕飯を食べるために空と色々な店を見た際に、夜見は八目鰻と書かれた看板を見た記憶があったのだ。

 

夜見(この辺りに...あった)

 

するとどうやら、夜見の記憶は正確だったようでミスティアが言っていた、看板に八目鰻と書かれた店を見つけることができた。

しかし、今はまだ開店時間ではないのか店は開いていなかったのだが、夜見は出入口をノックすると扉を開けて店の中へと入った。

 

ミスティア「あれ?また開店時間じゃ...あ、黒夜さん」

 

夜見が店の中に入るとミスティアは昨日と同じ格好で店内の掃除をしていたが、ミスティアは夜見の姿を見ると掃除を中断して夜見に近付いた。

 

ミスティア「思ったより早く来てくれたんだね それで、八目鰻はどのくらい捕ってきてくれたの?」

 

夜見「この中に入っている」

 

すると夜見は手に持っていた八目鰻を入れた筒をミスティアに渡し、ミスティアは渡された筒の中を覗き込むと満足げな顔で頷いた。

 

ミスティア「結構捕ってきたんだね ありがとう、黒夜さん」

 

夜見「別に、ただ依頼をこなしただけだ」

 

ミスティア「いやいや、本当に助かったよ あ、ちょっと待っててね」

 

そしてミスティアは夜見に待つように頼んで店の奥へ姿を消すと、5,6分ほど経ってから手に小さな袋と筒を手に持って戻ってきた。

 

ミスティア「はい、依頼の報酬だよ」

 

ミスティアはそう言って依頼の報酬が入った小さな袋と筒を夜見に差し出すと、夜見は小さな袋は受け取って筒の方は空気中に分解した。

するとミスティアは筒が目の前で空気中に分解されるのを見て小さな悲鳴を上げたが、夜見は振り返って店の出入口の扉を開けた。

 

夜見「じゃあな、ミスティアさん これからも、こいしさんと仲良くしてくれ」

 

ミスティア「え?あ、う、うん わかり...ました?」

 

どうやら、ミスティアはこいしから夜見の能力は聞いていなかったようだが、夜見は特に話す必要は無いと判断して店から出た。

そして夜見はちゃんと扉を閉めると、少しずつ活気が溢れてきた人里の中を依頼状が貼られる掲示板を目指して歩き始めた。

 

しばらくして夜見は人里の掲示板の前に着いたのだが、今日は運が悪いのか掲示板には依頼状が貼られていなかった。

しかし無いものは仕方がないので夜見は今日は帰ろうと人里の門に向かうと、前から見たことのある人物が来て夜見に声を掛けた。

 

月夜「やぁ、夜見くん 昨日ぶりだね」

 

夜見「あぁ、そうだな 月夜さん」




どうも皆さん、お風呂場の蓋です。
実は今回の話は少し前に、ほとんど書き終えていたのですが、投稿が遅れてしまいました。
理由としては主に文章の書き直しです。
私はよく自分で書いた話を見返しているのですが、前の話を見ていると文章が長すぎて読みにくいと思っていました。
そこで私は文章を読みやすくしようと思い、今回のほぼ書き終えていた話の文章を全て短く書き直した結果、投稿が遅れてしまいました。
そして今回の話が読みやすかったかをアンケートするので、意見を頂ければ幸いです。
よければ、また次回も見てください。

※アンケートの方は2020年8月6日に終了いたしました。
[アンケート内容]
今回の話は読みやすかった 又は、読みにくかった

読みやすかった
読みにくかった
そんなことより早く投稿をしてほしい
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