メアリー・ポピンズ、ホグワーツへ行く   作:むぎすけどん

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キングスクロス駅

休日のキングス・クロス駅はごった返していた。

「もう行っちゃうのかい、メアリー」

まゆを下げたバートがメアリーを見上げた。背はまだメアリーのほうが高い。

「まるで捨てられた子犬みたいですよ、バート」メアリーは笑った。

無理もない、とメアリーは思う。アルフレッド家は代々続く魔法使いの一家。魔法の使えないスクイブであったバートは小さいころから親からネグレクトに近い扱いを受けていた。メアリーと出会ったころの彼はそのため無口で誰にも心を開かない少年だった。メアリーはよくそんな彼を冒険に連れて行ったり、魔法で動く絵を一緒に描いた。最初はおっかなびっくりのバートだったが、しだいにメアリーに陽気な笑いをみせるようになった。ところが、メアリーがホグワーツに行くことになり、バートは暗い現実に戻ることになった。最後までホグワーツからの手紙を待っていたバートだったが、とうとう彼のもとに手紙は届かなかった。

「メアリー、これをあげるよ」バートは手提げ袋から一枚の紙を取り出した。

それは、メアリーを描いた肖像画だった。丁寧にスケッチされたそれはバートが3日かけて完成させた出来の良いものだった。

「ヴィクトリア女王だって、こんな素敵に描いてもらえないでしょうよ」メアリーは満足そうに微笑んだ。

メアリーは魔法の杖を取り出した。ダイアゴン横丁のオリバンダーの店で買ったばかりの新品だったが、メアリーポピンズ好みに魔改造されたその持ち手にはオウムの頭が綺麗に彫刻されていた。

「ポリーというの」メアリーはうっとりした顔で言った。

「素敵な杖だね」とバートはうなづいた。

「ジェミニオ」とメアリーはつぶやいた。するとメアリーの肖像画が二つに分かれ、まったく同じ絵が2つ作られた。

「私からはこれをあげる、バート。忘れないでね。」メアリーはそのうち一方の絵をバートに渡した。

「メアリー・ポピンズを忘れる?冗談じゃない。」バートは言った。そのとたん、バートの絵の中のメアリー・ポピンズがウインクした。複製された絵は魔法で動く絵だったのだ。

 

メアリーが早く来たのか、ホグワーツ特急の中のコンパートメントは結構すいていた。

メアリーが一人で窓に映った自分の姿を眺めていると、1人の少年がコンパートメントに入ってきた。

「ここいいかい?」

「どうぞ」とメアリーは言った。

「ぼくはアルバス・ダンブルドアというんだ、君は?」と少年が名乗った。

確か、二年前に日刊預言者新聞で読んだことがある。とメアリーポピンズは考えた。

『マグル殺しのダンブルドア』。そう呼ばれた彼の父親は今アズカバンにいるはずだ。

明るく見える少年その表情の中には陰りが見てとれた。

メアリーはそんな考えをおくびにもださず、

「私はメアリーポピンズ、よろしくね」と微笑んだ。

「うん、よろしく」その少年ははにかんだ表情で言った。

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