吉良と同僚の奇妙な冒険 インフィニット・ジャーニー   作:わたっふ

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第13話 冒険者ギルド技能講習会

再び冒険者ギルドへと足を運んだ同僚たち一行。

相変わらずの賑わいを見せる広場を通り抜けて受付へと向かう2人を、その後ろを歩くフィラスが呼び止める。

 

「あ、そう言えばよっしーたちって駆け出し冒険者だよね?それならちょっと講習会に来てみない?」

 

「講習会だぁ…?」

 

突然そう言い出したフィラスに対し、同僚は眉を顰めてめんどくさげな口ぶりで答える。

話によるとモンスターの生態・ダンジョン知識・野営・探索・狩猟・採集の基礎を、冒険者技能講習などと称して新人に知識を与える場であるようだ。

常識が抜け落ちていたり、冒険者として右も左も分からない者であっても、これで最低限の冒険が出来る様になるというものらしい。

 

「それがあたしがここ、バルティアンに来た理由さ。まぁ他にもあるんだけどね」

 

そう得意げに言い終えたフィラスは1人、同僚と吉良から離れて受け付けカウンターへと駆け出す。

数分後、ここのギルドマスターらしき顎髭を生やした長身の強面な男と共にホールの中央へと戻ってくる。

その手には何やらたくさんの書類が握られていた。

するとその2人を追うような形で、ホワイトボードを引きながらあせあせと急ぎ足で駆けてくる中年のふくよかな女性。

フィラスと男はドカリと置かれたホワイトボードに、書類を磁石のようなものでペタペタと貼り付けていく。

 

「んお、人が集まってきたな!」

 

「そうだね」

 

他の業務員の方々が食堂から運んできた椅子に腰をかけながら待っていた2人の周りに、次々と比較的若い冒険者たちが押し寄せる。

 

「これからバルティアン支部主催冒険者技能講習を始めます。駆け出しの方はもちろん、Fランクの方で参加希望の方はお集まり下さい」

 

パンパンと手を鳴らした男が、ギルド内に響き渡る声で講習会開催の趣旨を伝える。

しばらく待ってから置かれた椅子が満席となると、こほんと小さく咳払いをしたのちに男はフィラスの後ろへと下がる。

 

「はいはーい!紹介に預かったフィラス・ノーズレッドだよ。みんなはあたしのこと知ってるかな?」

 

フランクに話し出したフィラスの言葉に、首を傾げる者も居れば目をキラキラとさせている者もいる。

 

「なぁあんた、フィラスって有名人なのか?」

 

同僚はその中で隣に座っている、前髪の一部分だけ赤色のメッシュが入っている真っ黒なサングラスを付けた黒髪のふくよかな男性に話しかける。

 

「フィラスたそ、めちゃめちゃ有名人っすよ。ギルド最高戦力Sランクのソードマスターなんすよ。自分も最近知ったんすよねぇ……ぱねぇ…マジ推せる」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「そうだったのか。すげぇなオイ」

 

「あ…自分、井茂木 拓男って言います。同じ駆け出しっすかね? 良ければお名前聞いちゃってもいいっすか?」

 

独特な口調に押され気味になりながらもフィラスのことについてその男【井茂木 拓男(いもき たくお】から情報を得る同僚と吉良。

どうやら自分たちが思っていた以上にフィラス・ノーズレッドという人物は高い地位に位置する存在なようだ。

 

「こいつは吉良吉影、おれはその同僚だ。ちょっと名前は諸事情で言えないんだ。すまないな」

 

「よろしく」

 

「あ、そうなんすね。全然大丈夫っすよ。よろしくオネシャス。じゃあ吉良さんと……そうっすねぇ、先輩…パイセンでいいっすか?」

 

「おう、好きなように呼んでくれて構わないぞ」

 

もはや友人感覚で話を進める2人を節目に、前へと向き直す吉良。

その瞳が映し出す先には、子供たちに話しかけるかのように楽しげにギルドのことについて語っているフィラスがいた。

ひそひそと話す2人にため息をついた吉良は、右ポケットの中から手帳とペンを取り出してスラスラと内容をメモし始める。

資料に書かれている文字は相変わらず読み取れないため、小さな紙にまとめるのも一苦労だ。

 

「───よしっと、まぁ簡単に言えばこんな感じかな。またわかんない事とかあったら受け付けのお姉さんたちに聞いてみてね」

 

2.30分ほどの短い演説を終えたのちに、ふぅと息を吐くフィラス。

彼女が言うには、一般的な同業者組合とさほど変わらないらしい。

市民の方々から受けた依頼を仲介して冒険者に受託する。

そして依頼を完了した場合は、それに応じてギルド側から冒険者に対して報酬金を支払うと言った感じらしい。

 

「フィラスさん、ためになったよ。これにはこんなに便利な機能があったんだね」

 

資料をまとめ、講義の後片付けを手伝っているフィラスのもとに歩み寄った吉良は、自身の持つギルドカードを提示しながら言う。

表面にある小さなボタンを押すと、空中にスクリーン状に自身のステータスが映し出される。

その様はなんとも不思議な感覚を吉良に植え付けさせた。

 

「ヨッシーメモしてたの分かったよ〜?きちんと内容を覚えようとしてくれて嬉しかったなぁ」

 

「当たり前じゃあないか。君の話を聞かないどこぞの馬鹿とは違うさ」

 

「なははっ!やっぱりヨッシーの言うこと棘あるけどちょっと面白い。あ、というか討伐クエストと武器の仕様複雑だったけど理解できた?」

 

クエスト依頼にて討伐モンスターを倒すごとに、そのモンスターが持つ特殊能力を1つ武器に付与できる。

それは一体につき一回有効であり、また武器保持者自身の身体に効果のある能力もあるとのことだった。

いまいちパッとはしなかったが、用はスタンドの能力のようなものが武器や自分自身にも作用するというものなのだろう。

 

「ああ、大体は理解できたよ。ありがとう」

 

「またなんか聞きたいことあったら言ってね。あっそうだった!」

 

「ん…?」

 

ニカッと笑ってみせたフィラスが、ふと何かを思い出したかのように会場から離れていく人々に向けて口を開く。

 

「ごめんみんなー!いいっ……っぐ…言い忘れてたけど…実技講習するから駆け出し冒険者の人は残ってぇぇ……!!」

 

講義で疲れ切った状態のまま声を無理やり出したせいか、一瞬裏返ってしまったことに赤面する。

そんなフィラスの姿がたまらなく愛おしく思えるのは何故なのだろうか。

これから先もその真実にはきっと辿り着くことはないのだと、吉良は微笑みながらにそう感じた。

 

「そ、それじゃあこれからエンドリフト草原に向かうから着いて来てね!遅れないでよ?」

 

腰につけた鞘の位置を整え、観光のバスガイドかのように先陣を切って歩き出す。

散り散りになっていた駆け出し冒険者たちも、その声に続いてフィラスの後を追う。

そして吉良は今もなお楽しそうに互いのことについて語り合っている同僚と拓男を無視して、ネクタイを締め直しつつ歩き出した────

 





モチベがなくて更新できませんでしたァァァァァア
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