吉良と同僚の奇妙な冒険 インフィニット・ジャーニー   作:わたっふ

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結構グダグダってことだけを先に言っておきます>_<
キャラ紹介のところも少々追加しておりますので、良ければ見てくださると幸いです!


第6話 吉良吉影は静かに暮らせない(2)

小鳥のさえずりすら聞こえない静まり返った路地裏にて、行方不明となったかつての友人と再会した同僚。

その目に映るは、懐かしさの残る面影と物腰をした男。

 

「な……なぜ君がここに……」

 

「それはこっちのセリフだぞ吉良!お前も異世界転移していたなんてな……ずっと探してたんだぞ……!」

 

やっと出会えたという喜びと、突然居なくなった吉良に対しての怒りと悲しみに涙を流す。

そんな姿を見て少々引き気味な様子の吉良は、壁に手をつきながらゆっくりと腰を上げ同僚の目の前に立つ。

そして胸ポケットから何かを取り出し、同僚に差し出した。

 

「鼻水垂れてるじゃあないか。これで拭くといい」

 

「ぁぁ……すまないな……!」

 

吉良から受け取った携帯用ティッシュを全て抜き取り、ズズズッという音と共に前屈みで鼻をかむ。

 

「ハハ……いやぁ…それにしても本当に会えて嬉しいよ!これからもお前の同僚として宜しくな♪」

 

「あ……あぁ……そうだね」

 

空っぽになったティッシュの袋を押し付けられ、吉良は少し困ったような顔を見せて視線をそらす。

拳を突き出してニカッと笑って見せた同僚を横目に、吉良はツカツカと足早に歩き出した。

 

「お、おい。どこに行くんだよ?」

 

「その格好からも分かるが、恐らく君もつい最近この世界に来たばかりだろう?ならもう知っているはずさ。言葉が通じないことに」

 

立ち止まって同僚の方に顔を向けた吉良は、自分の喉に手を当てて話す。

その言葉にふと転移した当初のことを振り返った同僚は、忘れかけていた事態を思い出して短い声を上げた。

今自分がこうして普通に異世界に溶け込み始めているのは、あの時ラヴァン爺が『共言の飴』をくれ、そしてこの街に連れてきてくれたからだ。

 

だが吉良はどうだろうか?

 

元から人との付き合いが悪い吉良が、自分から他人に話しかけるなどといったことはしないはずだ。

故に迷い込んでしまった言葉の通じない世界で、異様な姿の人々に囲まれている状況を主観として考えてみると、とても冷静に居られる自信がない。

 

「そ、そうだが……だからと言って何処に行く気なんだ? 見た感じ中世だしよォ〜〜下手に動けば危険だぜ」

 

「………」

 

真っ直ぐ瞳を見つめて問いかけてくる同僚に、吉良は言葉を詰まらせて立ち尽くす。

全く知らない街で生活して行くにはハードすぎるこの状況をどうすれば乗り越えられるか?

そればかりが頭の中でぐるぐると、メリーゴーランドのように回り続けている。

しかし言葉が通じない以上どうする事も出来ないという事実を受け入れ、吉良はこれ以上無駄に考えるのをやめた。

 

「なら逆に、君はこれからどうする気なんだい?わたしたちではこの世界で生きていける確率が極めて低い。先ずは言語を理解し、金銭を稼がなくてはならない。そうだろ?」

 

「言語か……なら良い人が居るから相談してみるか!付いてきな!」

 

顎に手を当てて考え込んだ同僚が、吉良の横を通って駆け出す。

行き先は路地を抜けて、通りを挟んだ反対側にあるラヴァン爺の薬屋。

現在唯一の頼みの綱として助けを求めるなら、この人以外に居ないからだった。

 

「ここを曲がればすぐだからなっ!」

 

息を切らして同僚の背中を追いかける吉良。

すると前方を走る同僚が、曲がり角に差し掛かった時に何かにぶつかって尻餅をついた。

 

「j7tx〜(痛ぇなぁ〜)」

 

ドスの効いた声で2人の目の前に現れたのは、体長2m以上はあろうかと思われる筋肉マッチョの大男だった。

拳をポキポキと鳴らしながら近づく大男に対し、素早く立ち上がった同僚は少し距離を開けて対立した。

 

「おっと、ここに来て対人の強襲イベント発生ってわけか。始まりの街ならではって感じだな〜?」

 

「くっ……」

 

ゲーム感覚で楽しんでいる様子の同僚とは違い、身の危険を感じた吉良は【キラークイーン】を出して構える。

この世界にはあのクソッタレ仗助やその仲間たちが居ない分、スタンドを使って容易に困難に打ち勝つことが出来る。

 

 

───しかしだ。

 

 

何度も頭の中に過ぎる「安心なんてない場所」という言葉。

それが吉良から「心からの平穏」を奪っていく。

それに現状として、暗闇の世界で過ごした時間と先程の戦闘で消費したスタミナで、今の吉良はまともに戦えるか不安な状況だ。

ならば尚更、自分の脅威となる存在は速攻消さねばならない。

 

 

自分自身が貧弱であることを理解している故に───

 

 

「吉良、俺の後ろに付いてな? こいつの相手は俺1人で十分だ」

 

すると敵対する大男を見上げながら、俺の背中に着きなと語る同僚。

到底このひ弱な男では太刀打ち出来ない相手であるということはわかってる。

だがしかし、その背中からは「絶対的な自信」のようなものさえ感じられた。

 

「わ、分かった……」

 

吉良は【キラークイーン】を出したまま、同僚の言う通りに彼の背後へと体を隠す。

 

なぜそう簡単にこの男の言うことを聞くのかって?

同僚として信頼しているから?

そんなものじゃあない。

 

例えコイツがやられたとしても、その隙に【キラークイーン】で爆殺すれば良い。

異界人の戦闘能力がどれほどのものか分からない以上、下手に動いたらこちらの命が危ない。

言わば手頃な【盾】として同僚を利用すれば良いと、吉良はそう考えていた。

 

「おいお前!喧嘩吹っかけるなんてやめとけ!やめとけ!今の俺は主人公、つまりは無敵なんだ。怪我したくなかったら、回れ右してお家に帰んな」

 

「pmy46npd4njpwpjek!!(テメェがぶつかってきたんだろうが、野郎ッ!!)」

 

「やれやれ、最近の若者ってのは気性が荒いんだか……」

 

徐々にエスカレートしていく両者の言い争いを聞き、吉良は意味不明な言葉を理解している様子の同僚に違和感を覚える。

 

「一応忠告はしたからな〜?死なない程度に痛めつけてやれッ!『マインドクローン』!!」

 

大男に向けて指をさした同僚。

するとその声が路地裏に響き渡ると同時に、同僚の背中から何かが飛び出してきた。

 

「うわッ!? な、なんだッ!?」

 

突然の事態に慌てる同僚の視線の先には、どこからともなく現れた、甲冑のような面を被った筋肉質な体を持つ者がいた。

【マインドクローン】と、相棒の名を叫んだ瞬間に現れ、同僚の身を守るかのように立ち向かっていく姿。

そして見覚えのあるその腕から察するに、このビジョンは【マインドクローン】と呼んでいた謎の腕の持ち主───つまりこれこそが本来の姿であるということを、同僚は一瞬のうちに理解した。

 

「pgNn6g……m、mpdowt36K (なんだ……か、体が動かな──)」

 

【マインドクローン】の一撃が大男の顔面に直撃する。

するとその体は弧を描いて宙を舞い、煉瓦造りの壁に背中からぶつかって地面に滑り落ちた。

 

「なんとか終わっ………なッ!? なんだそれッ!?」

 

呆気なく大男を戦闘不能の状態にした同僚は【マインドクローン】を引っ込め、危険が過ぎたことを伝えるために吉良の方へと振り向く。

するとそこで【マインドクローン】と同じように、吉良の側に立つ【キラークイーン】を見つけた。

 

「フフ……まさか君もスタンド使いだったとはな……あの女の言っていた『安心なんてない』とはこの事だったのか」

 

「ど、どうしたんだよ吉良……そいつは一体なんなんだッ!?」

 

同僚の反応を見た吉良は不気味にほくそ笑みながら、両者の間合いを詰めるようにゆっくりと近づいてくる。

同僚はそんな姿を目の当たりにし、初めて吉良に対して只ならぬ恐怖というものを感じた。

 

「先程の君のスタンド……『マインドクイーン』って言ったかな〜?パワーは並よりかは上の性能らしいが、異常なまでのスピードだ。そして何より、あの空条承太郎と『同じような能力』を持っている……実に厄介な存在……というわけだ……」

 

「な、何を言ってるんだ!す、スタンド? 意味がわからない……!」

 

「わたしの平穏な日々を邪魔する奴は、誰であろうと生かしてはおけないということを説明しているのだよ。たとえそれが───」

 

 

 

 

「同僚……君だとしてもね?」

 

 

 

 

「────ッ!?」

 

耳元で囁く吉良の声と共に、同僚の脳裏には腹部が押し潰される感覚が伝わってくる。

ガクガクと震える顎により、口内に広がる血が止めどなく溢れ出す。

 

「ぁ……がっ……」

 

「残念だよ。君はわたしにとって一番気の許せる奴だったというのにね……だが、これも仕方がないのだよ」

 

ポタポタと滴り落ちる血の音が、静寂に包まれた空間の中で同僚に『死』というものを感じさせる。

それは今までに体験したことのない程の『絶望』と『悲しみ』を兼ね備えていた────

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