なるべく続きを出していこうと思います
週一、二ペースを目標に頑張っていきます
気がつくと扉が前に立っていた。
どうやらいつの間にか階段を降りていたようだ。
扉を見てみると、外側に鍵が付けられていた。
普段の俺ならまず引き返すだろう。
せっかくの好意で泊めてもらっている館の中を勝手に散策し、鍵の付いてある扉を開けようだなんて、非常識にも程がある。
そう頭では理解している。
理解している……はずなのに……
右手が扉に向かって伸びる。
扉の鍵を解除して、中を見るために扉を開ける。
「ここは……」
あぁ、何でここまで地下に惹かれていたのか理解した。
今までに何度も何度も訪れていた場所。
ある日を境に訪れることの無くなった、かつての友達と一緒に遊んだ思い出の場所。
そんな部屋のベッドの上には、何度も同じ時間を過ごした小さな吸血鬼がいた。
こちらに背を向け、クマのぬいぐるみで遊んでいる。
こちらにはまだ気付いてない様だ。
俺は扉を閉め前に詰めより、声をかけようとして言葉が詰まる。
今更、どの面下げて来たんだ。
彼女が地下で1人で過ごしてきたのは理解していたはずなのに……
俺はその事も忘れて、あいつらと一緒に過ごして、それが心地良いとまで感じて……
その間も、あいつが…フランが一人でいたかもしれないのに……
声をかけようとしては詰まって、それでも話しかけようとして、また言葉が詰まる。
なかなか話しかけられないでいる内に、フランが後ろを振り向いた。
彼女と目が合う。
瞬間、彼女が飛び込んで来てバランスを崩し後ろに倒れる。
胸に顔を埋めてくるフラン。
抱きしめてる彼女の腕は、少し震えていた。
胸辺りが少し湿っぽく、そして暖かくなる。
少しの間顔を埋め、顔を上げる。
涙で顔を濡らしてこちらを見上げるフランを見て、自分に怒りが込み上げてくるのを感じる。
指でフランの涙を拭うと、嬉しそうに微笑む。
「久しぶりだね。お兄様」
少し落ち着いたのか、フランは一旦抱きしめるのをやめて、こちらに話しかける。
「もう2度と会えないと思っていたから、また会えて嬉しい」
「本当にすまなかった」
俺は深く頭を下げ、フランに謝罪する。
「ううん、気にしないでお兄様。私はもう一度お兄様に会えて満足したから。だから、顔を上げて?」
フランはそう優しく声をかける。
本当は寂しいはずなのに、俺を気遣って……
本当に、こんな自分が嫌になる。
「なぁフラン。何かして欲しいことはないか?」
だからこんな事で罪を償うというわけではないが、せめて何か自分に出来ることを彼女にして上げることにした。
「え?いいの!?それじゃあ、思いっきり抱きしめて!」
両手を広げるフラン。
少し恥ずかしいが、自分から言い出したことだ。
俺はフランを抱きしめ、彼女の背中に手を回す。
「ん。もっと強く抱きしめて」
「はいよ」
要望通り力を少し強める。
てかやばい。
流れで抱きしめてしまったが、柔らかいし、いい匂いするし、かなりドキドキする。
「お兄様、ドキドキしてる」
「うっ、ぼっちには辛いんだよ…」
「私も、ドキドキしてる。お揃いだね」
そして、しばらく抱きしめ合っていると、フランが耳元で話しかけて来た。
「ねぇお兄様」
吐息が耳にかかり、変な声が出てきそうになるが何とか堪える。
「何だ?」
「私ね、分かったことがあるの」
フランの腕に込められる力が強くなる。
「1人でいると、つまらなくて、寂しくて、どうにかなっちゃいそうになるの」
さらに力が強くなる。
「フラン…少し苦しい……」
「だからね」
あぁ、もし、このまま何事も無く終われば、どれだけ美しい物語となっていたのだろう。
しかし、現実はそう上手く行かない。
そう、俺は知らなかったのだ。
彼女はずっと前から、既に壊れていたことに……
「お兄様を私のモノにしてあげる」
「ッ……!?」
首筋に痛みが走る。
急に来た痛覚に驚き、フランから距離をとる。
首筋に手を当てると、暖かくて、指には紅い液体が着いていた。
前を見ると、ペロっと唇に付いた血を舌で舐め取り、妖艶に微笑むフランがいた。
その目は先程とは違い、光を宿していなかった。
「美味しい……お兄様の血が、私の中に……」
「どう言うつもりだ…何でこんな事をするんだ!」
「?言ったでしょ?お兄様を私のモノにするって」
彼女の口が、まるで三日月の様に歪む。
「だから、壊シテ直して、私の、フランのお人形サンにしてアゲル!!」