先駆者達の遺産   作:maple_forest

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第5話

 UMP9がシャワーを浴びに行ってしばらくすると、ダイニングに俄かに騒がしくなった。

 スコーピオンとUMP9が戻ってきたのだ。

 UMP9はタンクトップとホットパンツと言う簡素な服装に変わっており、G11の隣に座ると彼女の頬に手を伸ばした。

 

「ほらほら起きて起きて」

「あぶぶぶぶぶぶ、頬を引っ張らないでよぉ~……」

「シャワー浴びてくるまでずっと引っ張るよ~」

「分かった、分かったってば~……」

 

 とぼとぼと奥の部屋に消えていくG11とそれについていくスコーピオン。

 船長はUMP9が戻ってくるのを見計らってキッチンから姿を現した。

 

「なにを飲むか分からなかったから、とりあえず適当に選んでくれる?」

 

 様々な種類の缶ジュースを手に戻ってきた船長は、それをテーブルの上に並べていく。

 

「わぁ……!」

 

 目を輝かせてジュースを見た後、ちらりと船長の方へ目線をやるUMP9。

 船長は椅子に座りながら頷いて見せた。

 

「好きなものを飲みなさい。それで何かをせしめるなんてケチな事はしないわ」

「ありがとぉ!」

 

 UMP9は缶ジュースの中から適当に一つを選び、プルタブを開けるとすぐに口をつけた。

 口の中に広がる甘さと果物の風味に目を丸くすると、慌てて船長の方へと視線を向けた。

 

「どうかしたのかしら?」

 

 目を細めてにっこりと笑う船長に何かを言おうとするも言葉にならず、UMP9は気恥ずかしさから缶ジュースで口元を隠すのだった。

 にこにこと笑いながら視線を寄越す船長が気になるのか、何度かちらちらと見た後におずおずと話しかけた。

 

「あの、その……ど、どうしてじっと見てるのかなって」

「んー。あなたも、もう一人の子も、スコーピオンも、人形の子はみんな可愛いくデザインされてるなあって」

 

 良いセンスね、素敵だわ。と頷く船長に、UMP9は驚いた顔を見せた。

 

「か、可愛いって……」

「あら、あまり言われた事無かった?」

「うん……」

「ふうん……ほら、椅子に座ってゆっくりするといいわ」

 

 落ち着かないように体をもじもじさせるUMP9を見て、船長は一人ほっこりしていた。

 UMP9は缶ジュースを片手に船長の隣の椅子に腰かけた

 

(あら、あの子と比べると随分と距離が近い……この子は特別に気安い子なのかしら)

 

 そわそわとするUMP9と、それを楽しそうに見つめる船長。

 UMP9は時折缶ジュースに口をつけるが、意識は船長の方へ向いている。

 その事に船長が内心首を傾げていると、奥の部屋から慌ただしい音が聞こえてくる。

 それに反応して二人は一度顔を見合わせるとドアへと視線を向けた。

 

「ああもうほら、待ちなよー。髪ちゃんと拭かないとダメだってばあ」

「えええー……スコーピオン拭いてよ」

「分かった、分かったからいったん止まってってばあ」

 

 だぼだぼのシャツとズボン姿のG11が奥の部屋から出てきた。

 G11の後ろで、彼女の長い髪の毛をタオルで拭きながらスコーピオンも一緒に出てきたのを見て、思わず船長とUMP9は苦笑した。

 

「随分と早かったのね。それに仲良くなっちゃって」

「あっはっはー、まあねえ」

 

 タオルを片手に笑うスコーピオンにUMP9がタオルを受け取るために立ち上がる

 

「もー、G11はズボラ過ぎだよ」

 

 そう言ってUMP9がG11の髪を手入れし始めた。

 髪の手入れを終えると、船長が缶ジュースを勧め椅子に座るように促すと、G11は船長の膝の上へとよじ登った。

 

「ちょっ! G11」

 

 僅かに驚いた船長だったが、特に嫌がる素振りもなく、むしろ座りやすいように調整までしている。

 

「あら、随分と大胆ね」

「うん」

 

 船長はこちらを見上げるG11と一度目線を合わせた後、すっと目を細めてスコーピオンへと視線を向ける。

 その視線にスコーピオンは悪戯っぽく笑うと対面の椅子に座った。

 

「あなたの入れ知恵?」

「主に入れたのはあたしと船長との仲良し映像かなあ」

 

 後、言葉もちょっと。

 そう言ってにんまり笑うスコーピオンに、船長は軽く肩をすくめて見せた。

 

「少し驚いたわ」

「でしょぉ~? あ、ちゃんと見せる映像は選んだから大丈夫だよ」

「何を見せたのか気になるのだけれども?」

「ひ・み・つ」

 

 茶目っ気たっぷりにウインクするスコーピオン。

 船長は一つため息を吐くと、キッチンの方を指さした。

 

「罰として、キッチンで湯煎してる缶詰を持ってくること」

「はぁい」

 

 席を立ちキッチンの方へ向かうと、UMP9が硬直が解けたかのようにそそくさと船長の隣に座りなおした。

 先ほどよりも更に椅子と椅子の距離が近くなっているが、船長は何も言わなかった。

 フォークと鍋を持ってキッチンからスコーピオンがすぐに戻ってきた。

 そして船長に近くなっている二人を見ると、見えない位置でほくそ笑んだ。

 

「持ってきたよー。とっ、あちち……はい、どうぞ」

 

 船長の前と、UMP9の前にそれぞれ缶詰とスプーンを置いたスコーピオンはテーブルの上に置いてあった缶詰を開けていた。

 不思議そうな顔をして缶詰を見る二人に、船長は食べるように促した。

 

「とりあえず食べてみて。味が分からないと買うかどうか決められないでしょう?」

「いいんですか?」

 

 缶詰に視線が釘付けになっているUMP9。

 朝から戦闘やら運搬やらで体力を使っていた上に、当てにしていたジャンク屋では弾薬しか買えなかった。

 その為に二人は非常にお腹が空いていたのだ。

 

「いいわよ――それに、この子はもう食べてるし」

「え? ってG11……」

 

 きょとんとしたUMP9だったが、目の前の缶詰から視線を横にスライドさせると

 

「むぐむぐ……」

 

 缶詰を開けて美味しそうに食べ始めているG11の姿が目に入った。

 ぽん、とG11の頭に船長が手を乗せれば、G11はスプーンを咥えたまま視線を缶詰から船長へ移した。

 

「あら、いやだった?」

「……嫌じゃない、です」

「別に話しやすいようにしてくれていいわよ。気にしないから」

「うん」

 

 G11は一つ頷くとすぐに缶詰の攻略に戻った。

 僅かに迷っていたUMP9だが、隣から匂ってくる缶詰の匂いに負けて缶詰へと手を伸ばした。

 蓋を開けてみればいい匂いが漂ってくる。

 

「わあ、シチューだぁ」

 

 缶詰の中身は牛肉やジャガイモをたっぷり入れたシチューだった。

 スプーンで掬って口に入れればほくほくのジャガイモが口の中で溶けていくようだ。

 無言で缶詰の中身を口の中に入れ続ける二人だったが、すぐに中身が無くなってしまった。

 

「あっちゃ、こっちもあったんだけど」

 

 そう言ってチーズとビスケット、フルーツサラダのパックをスコーピオンが追加で持ってきていた。

 

「はい、あーん」

 

 船長は面白がってビスケットの上にチーズを乗せ、G11に口元へそれを差し出した。

 G11は恥ずかしがる様子もなくビスケットを半分以上齧り取り咀嚼する。

 口の中の物を飲み込むと、小さな口を開けて残りのビスケットを要求するG11。

 船長はその様を愛らしく思いながら食べやすいようにビスケットを指先でつまみ、もう一度口元へと持っていく

 

「……いいなあ」

 

 それをUMP9は羨ましそうに見ていた。

 もう一度ビスケットの上にチーズを乗せていた船長。

 

「はい、あーん」

 

 お次のターゲットはUMP9に決め、ビスケットに両手を添えて差し出すのだった。

 

「あ、あーん……」

 

 顔を真っ赤にさせたUMP9が口を開きビスケットを口に含むのを見て、船長は満足そうに頷くのだった。

 

 

 

 

 

 

 試食を終え、一服しながら商談をまとめた船長とUMP9。

 終始和やかな雰囲気のままに話し合いは終わり、お互いに手を取り合った。

 

「それじゃあ、残りは取り置きでいいの?」

「はい、今の装備じゃ全部持っていく事も出来ないですし、明日また仲間も連れて一緒に来ます」

「そう……私達も数日はここに滞在する予定だから、あまり急がなくても大丈夫よ?

 一応コードを教えておくから、何かあったら連絡してちょうだい」

「ありがとうございます、船長」

 

 硬い口調のUMP9に、思わずと言った様子で船長は笑みを零した。

 

「もう、そう硬くならなくてもいいわ。気楽に気楽に」

「う……ありがとう、船長」

「どういたしまして」

 

 それじゃあ、と立ち上がりかけるUMP9だったが、船長を背もたれにして熟睡しているG11が目に入る。

 UMP9は笑みを深くすると、G11の頬をつねり上げた。

 

「いたた、いたい、いたいよ9!」

「もう、交渉になったらすぐ寝ちゃって! 私だってそんなに得意じゃないのに」

「あたしよりマシだからいいじゃん」

「だからって気持ちよさそうに寝ちゃって、もう!」

「いっそここの子になりたい……んしょっと」

 

 船長の膝から名残惜しそうに降りるG11に、船長は膝を曲げて視線を合わせた。

 

「あなたが望むのならそれでもいいわ」

 

 そう船長が言うと、G11は眠たげな瞳を見開いた。

 G11の瞳が揺れる。

 冗談のつもりで言った言葉をまともに返されてしまった。

 

「――あ、あ」

 

 G11の体が震える。

 

 ――今日あったばかりの人に、なんでこんなに甘えてしまったのだろう?

 

 だが、とも思う。

 色々と失礼な事もした、試すように、探るように。

 でも、そのどれもが子供をあやすように優しく返された。

 この人なら――

 

「あなた、あなたは、あたしを、捨てませんか?」

「ええ、あなたが私から離れたいと思わない限り、必ず」

 

 

 それは、きっと彼女が一番欲しかった言葉で――

 

 

 だが、次の言葉で夢から覚めた。

 

「けど、今日の所は仲間の元へ帰りなさい――帰り道に気を付けてね」

「……うん」

 

 G11は俯いたまま踵を返した。

 404小隊は全員が厄介者だ。

 後ろ暗い仕事を熟す度に、逃げられないように重しがついていく。

 そんな厄介者の自分を手元に置けば、迷惑をかけてしまう。

 彼女はその事を思い出してしまった。

 

「G11」

「……分かってる」

 

 UMP9の気遣う声ような声に痛みを感じる。

 隣にいる彼女だって仲間だ、見捨てられない。

 

 ――現実を思い返せば悲しい事ばかりだけれども、それでも、ちょっとだけ良い夢を見れた。

 

 そうして自分を納得させようとした所で、そっと手を握られた。

 

「ふふん、大丈夫よ、良い隠れ家があるの。グリフィンや企業の目も届かない場所。

 とは言え、急に信じられるわけ無いわよね」

 

 その言葉に、G11は思わず見返してしまった。

 

「本当に?」

「まあね。今日はもう遅いから、日が暮れる前に帰りなさい。詳しい説明はまた後日。

 あなた達が私を信じきれないように、私もまた、あなた達に全てを話しているわけではないの。

 ただ、そう言う選択肢もあるという事は覚えておいて」

「……うん」

「よろしい。今はまだお互い信頼を積み上げるべき時でしょう。

 ただまあ、ウチは本当に人手が足りてないから、今とか大歓迎よ!」

 

 満足そうに頷く船長に、いやらしい笑みを浮かべたスコーピオンが茶々を入れるべく口を開いた。

 

「船長は急すぎるよねー、あたしの時もそうだったし」

「いや、あれは緊急事態だったと思うのだけれど?

 それに、本当はもっとゆっくり時間をかけて説得するつもりだったのよ」

「ええー、うっそだぁ」

「いやいやいや、本当、本当だってば」

「いやいや、嘘でしょ、抵抗できないあたしを強引に手籠めに――」

「事情を知らない二人に白い目で見られるからやめてぇ!」

 

 ぎゃーぎゃーと騒ぎ続ける船長とスコーピオンを、苦笑しながら見るG11とUMP9。

 その生暖かい視線に気付いた船長は咳払いをすると、手を振った。

 

「さあ、帰った帰った! 今日はもう店仕舞いよ!」

「あはは、それじゃあ帰ろっか、G11」

「うん……今日はありがとうございました」

 

 トレーラーの外に出て、ぺこりと頭を下げる二人に、船長とスコーピオンもまた頭を下げた。

 

「んじゃ、帰り道気をつけなよー」

「お買い上げありがとうございました――ああ、()()()()()()()()()()()()()。消費順を間違えないように」

「うん、大丈夫だよ。心配してくれてありがとう!」

「またね……」

 

 トレーラーに背を向けて歩いていく二人を見守りながら、船長とスコーピオンはお互いに通信を開いた。

 

『気付くかな?』

『多分大丈夫よ。ダメならダメで明日説明すればいいし。

 しかし、彼女達ははぐれじゃなくて、汚れ仕事専門の部隊みたいね』

『そう言うのも分かったんだ』

『装備の状態と会話の中の反応でね。立場的に縛られていて、諦観がかなり強いわ。

 企業側は下手にデータを残せないし、人形である事と物資の面で縛っている分、監視の目はかなり緩そうね、こちらとしては引き抜きやすい』

 

 胸糞の悪い話ではあるけれど、と心の中で小さく呟く。

 

『りょーかい。それと――』

『ああ、うん、様子を窺ってる子がちらほら居るわね。悪くないわ』

 

 UMP9とG11の後ろ姿が完全に見えなくなるまで待っていると、建物の陰から別の人形が現れた。

 なけなしのパーツを手にボロボロの姿で現れた人形を、二人はまたトレーラーへと誘うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たっだいまー!」

「……疲れた」

 

 拠点にしている廃ビルに帰ったUMP9とG11は、今日の戦果を仲間に見せるべく奥へと入っていく。

 外からの砂埃やゴミが入りにくいよう、なるべく状態が良く、階層の中央付近の部屋を拠点としていた。

 

「あら、帰ったの9」

 

 そう言って微笑んだ彼女の名はUMP45。

 灰茶の長い髪、右側をサイドテールに結っており、穏やかな笑顔と左側の目に入った傷が印象的な人形だ。

 

「どこでなにをしてたのよ、遅かったじゃない」

 

 不機嫌そうな顔で二人を迎えたのがHK416。

 青みがかった腰まである銀の髪、前髪は目の上で綺麗に切りそろえられ、左目の目元には赤いタトゥー。

 

「えへへ、当たりのお店を見つけたんだよ!」

「重いからもう降ろすね……」

 

 そう言って二人は、背負っていたバッグの中から缶ジュースや水、缶詰やビニールパックが梱包された箱を積み上げていく。

 

「あらぁ……凄いわねえ」

「……」

 

 UMP45はのんびりと呟き、HK416は唖然として口を開いていた。

 

「なんと賞味期限の切れていないレーションなんだよ!」

「味も美味しかった……」

「早速食べようよ!」

「そうねえ……お腹も空いたしご飯にしましょ」

「え……嘘でしょ」

 

 呆然としているHK416を尻目に、三人は炊事の準備を整えていく。

 

「あ、そう言えば、賞味期限確認しないと。食べる順に注意してって言われてたんだ」

「あら、そうなの? 期限が近いのから食べないとダメね」

 

 そう言って期限の確認を行う三人だったが

 

「あれ? 全部賞味期限一緒だよ?」

「……船長の確認ミスかな?」

「うーん、どうだろ? 単に古いのから詰めてくれただけじゃない?」

 

 首を傾げるUMP9とG11。

 しかし、二人は気にせず準備を進めるのだった。

 

「……ふうん」

 

 UMP45は期限を見て、一人考え込んでいた。

 

(新しすぎるのね、これ。

 期限もそうだけど、梱包されている箱も中身も凄く奇麗)

 

 早速、缶詰を開けて固形燃料で温め始めた二人。

 それをUMP45は横目で見ていた。

 

(匂いも見た目も大丈夫そう。となると、パッケージで誤魔化しているわけじゃない。

 ――ふうん、そう、なるほど、なるほど)

 

 UMP45は一人笑みを深めた。

 

「ねえ、その船長ってどんな人だったの?」

「えっとね、すっごく優しい人だったよ!」

「……船長の所の子になりたいって言ったら、何時でも来て良いって」

「ふふふ、良い人なのねえ――その時のことをデータで頂戴」

「うん!」

 

 穏やかな笑みを浮かべたまま、のんびりとした口調でUMP45とG11の話を促すUMP45。

 

「……どういう人間なのよ」

 

 逆に不信感を露にしたのはHK416だった。

 

「んー、なんだかね、人手が足りてないから今なら大歓迎って言ってたよ」

「なによそれ……人間ですら就職難なのに、なんで人形なんかを欲しがるのよ。胡散臭い」

「……」

「な、なによその目は」

「……別に」

 

 何時も無気力なG11らしからぬ目つきに、HK416は思わずたじろいだ。

 ふい、と目を逸らしたG11を、HK416は訝し気な目で見ながら、手元の缶詰を開けた。

 中身は新鮮なままで、いい匂いが漂ってくる。

 

「……大盤振る舞いね」

「ええ、凄いわねえ。今時こう言うのを作れて、ぽんっと人形に手渡せてしまうのに人手不足と言うのよ?」

「本当になによそれ」

「これ、期限から見て作ったばっかりよ。何時もグリフィンが私達に渡すような戦前の物じゃないわ」

「うっそ、どこのメーカーなんだろ?」

「ヴ…ル…タ…ウ…ム。ヴルタウム……知らないメーカーよねえ?」

「新興企業か何かじゃないの」

 

 楽しそうに言うUMP45に、HK416は憮然と返す。

 

「うふふ、さあてねえ……9、他に何かなかったのかしら?」

「あ、実はまだ全部持ってこれなくて、明日また仲間と来ますって……」

「これ以上買えたって言うの!?」

「う、うん……後はグリフィンや企業の目が届かない隠れ家があるって……」

「後はコアの無いスコーピオンと一緒に居たよ。コアが無いのにかなり強そうだった。

 後は……今度またどういう所か教えてくれるって」

「怪しすぎるでしょそれ……」

 

 げんなりとした顔を隠しもせずに呟くHK416。

 彼女は温めた缶詰を難しそうな表情で眺めていたが、空腹と匂いに負け、中身をスプーンで掬うと恐る恐る口にした。

 

「あ……美味しい……」

 

 久々のまともな食事に思わず顔を綻ばせたが、周囲の視線に気づくと慌てて目を逸らした。

 

「美味しいよね! ビスケットとチーズも美味しかったよ!」

「ああもう、後で自分で食べるわよ! 口に持ってこないで!」

「……うまうま」

 

 はしゃぐUMP9とHK416、我関せずのG11を尻目に、UMP45は送られてきたデータを処理している。

 

(コアを除去した上で戦闘力を持たせる技術力に生産力の誇示。

 スコーピオンのデータから見るに、人形を人間のように扱っている。

 ……そう、やろうと思えばコードを除去できるのね)

 

 考えに集中しているUMP45の隣にUMP9が座る。

 首を傾げながら不思議そうにしている姿がUMP45の目に映った。

 

「45姉も食べようよー」

「そうね、いただきましょ」

「うん!」

 

 UMP45は優しく微笑みながらUMP9の頭を撫でる。

 煮え滾る熱を表には出さないまま、彼女は微笑み続ける。

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