勘違いしてなるものか   作:プータロー

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俺の隣の席は中野さん

 

 

 

突然だが俺は目立つのは嫌いだ。いや別にコミュ障って訳では無い、そこまで拗らせているつもりはないが学校生活静かに暮らせるのであればそれに越したことはない。思春期という面倒極まりない時期の高校生の中で目立つだなんてそれこそ役ネタの元だ。

てめぇもその思春期の男だろというツッコミは受け付けていない。

 

理想は陰キャでもなければ陽キャでもない。アイツ面白いけど大人しくていつもは静かみたいなキャラが理想。

しかし、しかしだ。俺は今かつてないほどに悪目立ちしていた。

事の発端はついさっきの先生の発言。

 

 

「じゃあ中野 四葉さんの席は……如月くんの横で」

 

 

この一言だけで俺の平穏な日々は終わりを告げた。分かるだろうか?

言わずもがなこの中野さんとやらは転校生でショートの髪に頭には特徴的なリボン、俺から見ても普通に可愛いらしい女の子である。その女の子が俺の横の席になるのだ。

もうあれだ。先程から男子からの目線が痛い、主に嫉妬の目線が。

馬鹿野郎やめろ!その視線は非リア充の俺を滅ぼしかねない!濡れ衣だ!

 

何故こうも思春期の高校生というのは男と女の関係にこうも多感なのか。実にめんどくさい事この上ない。

 

「宜しくお願いしますねっ!如月……えっと」

「拓人」

「拓人くんっ!」

 

ニコッ、と効果音でも付きそうな100点満点の笑顔を浮かべる中野さん。すまない俺には君の笑顔は眩し過ぎるようだ。ほら、周りの人の目線とか考えてね?俺のガラスのハートに容赦なく突き刺さってるから。それとそんなにストレートに笑顔向けられると照れちゃう、勘違いしちゃうだろ。

 

 

俺はこれなら起こる前途多難な出来事にため息を吐かずには居られなかった。

 

 

「どうかしたんですか?何か悩み事でしょうか?」

 

 

おい馬鹿何故ため息に反応する。思春期の男の子は色々とデリケートな生き物なのだ、少し現実逃避していただけだからそっとしておいて欲しい。

 

 

「いや、気にするな」

「気にしますよ。隣の席になったのも何かの縁ですし私で良ければお話聞きますよ?」

 

この何でもかんでも有耶無耶にする伝家の宝刀「気にするな」が通じないだとっ!?

この善意100%の笑顔が俺には眩し過ぎる、というかこのため息は君のせいだよ君のせい。とそんな事を馬鹿正直に言えるはずもないので適当に誤魔化しておく。

 

「本当に大丈夫だ、気にしないでくれ」

「それならいいんですけど……けど何かあれば遠慮せずに言ってくださいねっ!」

 

だから眩し過ぎるって。

俺は直視出来ずに目線を逸らしてしまう。しまった、これじゃ「べ、別に可愛いとか思ってないし緊張とかもしてないし!」とか思っちゃってる思春期の童貞特有のキョドりが発動してしまったみたいじゃないか。

 

くそう、何なんだ。この女もしかして俺に気があるのか?

いや早まるのはいけない。このままでは「コイツ俺の事好きなんじゃね?」と思った挙句意識し過ぎて結局恋に落ちてしまって告白して玉砕してしまう。いや、玉砕するのかよ頑張れよ。

だが俺は騙されはしない。必ず俺は無事に学校生活を乗りきってみせる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから嘘のように何事も無く授業が進んでいった。

 

肩透かしを食らったようだが何も無ければそれに越した事はない。何事も平和が1番なのだ。

しかし見れば見るほど隣の中野さんはかなりの美人と言うか可愛いのだと認識させられる。今は気難しそうに教科書と睨めっこしているが彼女の魅力は決して外見だけではない。周りも元気にしてしまう程の明るさに直視出来ないぐらいの眩しい笑顔、休み時間に質問攻めにされる中野さんは少し困ったような顔をしながらも丁寧に質問に答えながらも常に笑顔でそれでいて楽しそうだった。何だか頭の上に付けた特徴的なリボンもぴょこぴょこと動いているように見えて少し笑ってしまった。

 

ふっ、俺じゃなかったら既に惚れていたな。

は?お前見すぎじゃねぇかって?

ば、ばばばばばばばか言うんじゃねぇし。べ、別に可愛いなとかどんな子なんだろうとか気になった訳じゃないし。

 

少し同様していると手が机の上の消しゴムに当たってしまい落ちてしまった。くっ、めんどくせぇな、さっさと拾ってしまおう。

 

「「あっ」」

 

消しゴムを取ろうと手を伸ばすと横から別の手が伸びてきてちょん、と指と指が触れ合う。反射的に顔を上げると驚いたような顔をした中野さんが。しかし直ぐに笑顔になり固まってしまった俺を横目に消しゴムを拾い上げる。

 

「落としましたよ」

「……あ、うん。さんきゅー」

 

俺は1つ息を吹き出し先程伸ばした手を逆の手でに包み込むように握り締める。

ふむ、中野さんの手めっちゃ柔らかいやん。これはやばい。具体的に言うと人をダメにするソファを見つけた時並にやばい。あれやばいよね、初めて座った時感動したわ。

くそ、今の俺は顔が赤くなっているに違いない。何でそんなにも俺に笑顔を向けてくれるのか。惚れちゃうだろやめてくれ。

チラッと隣の中野さんを盗み見る。

 

あ、目が合った。

 

 

「どうしたんですか?」

「ごめん、ちょっと見ただけなんだ」

 

って馬鹿か俺は何正直に言ってんだよ。こんなんただキモイだけじゃん。

 

「そ、そうですか」

 

え。何でそこで顔を赤くしてらっしゃるんですか?俺の事好きなんですか?やめてください勘違いしてしまいます。

 

結局俺はその日まともに授業を受ける事が出来なかった。

 

 

 

 

 




如月 拓人
本作の主人公。過去の黒歴史を引き摺って少し拗れた思春期の男子高校生。無気力系男子で日々を平和に過ごせたらそれで幸せ。常に眠たそうに垂れた目が特徴的で初対面の女の子以外とは割と普通に喋れる。
イケメンというよりどちらかと言うと美少年。女子人気は悪くない。
最近の悩みはテンションが高くなると隣の席の女の子がめちゃくっ付いてくる事。

中野 四葉
本作のヒロイン。天然無自覚系ヒロイン、何気ない仕草や普通の女子より距離感の近さで今日も主人公を勘違いさせていく。困った人を見過ごせない性格で色々と多感な思春期男子高校生特有の物思いに老ける主人公にやたらと絡んでいく。
やたらとチラチラと此方を見るお隣さんは何か悩んでるのかなと力になりたい様子。
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