騎士(キチ)王   作:ひつまぶし。

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 ストック貯めてるので貯めたら一気に放出します。
 先の話になるけど、モードレッドとアルトリアにモルガンの絡みを書くのが楽しすぎる。

 あと読んでくれた人、感想書いてくれた人ありがとう。
 感想の返信も考えたけど、忙しくて執筆に集中して次の話を投稿する方がいいかなって独断で決めました。
 感想はしっかりと読んでいますよ。ジオウ見て書いてる影響なのか、マーリンがウォズみたいだあと感じたのはぼくだけではなくて大満足です。

 では、クソ小説ですがちょっぴりのお楽しみをどうぞ。





11 王の妃

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が王の花嫁は私だーーーーッ!!!

 

 

「落ち着けアルトリアー!」

「叔母上、落ち着いてください!」

「いやー、想われてんなー(震え声)」

「感心してる場合ですかアーサー王! 城が壊されているんです!」

「あ、アルトリアー。添い寝していいから落ち着こ?」

 

 

 ぬがーーッ!!

 

 

「ダメみたいですね、これは」

 

 

 出せ! 我が王を誑かす尻軽女を! 私が殺してやる!

 

 

「うわぁ。なんかロンゴミニアドの力を使えてんじゃん。怒りの力って怖いねー」

「感心している場合か! 早く止めないとキャメロットが壊されるだろうが! 造ったばっかりだぞここ!」

「うわああ! 壺が割れていくううう!」

「叔母上、失礼!」

 

 

 邪魔をするな!

 

 

「グホォ!」

「が、ガウェインーー!?」

「こりゃ、いかんな」

 

 

 また、目の前に障害が出てくる。邪魔をするなら――。

 

 

「はい。おやすみ」

 

 

 ――あ。この匂いは我が王の――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ドッと疲れた」

 

 

 ハァ、と息を吐きながらアーサー王は意識を飛ばしたアルトニウス卿の襟元を掴みながら引き摺り地面に寝かせる。

 あっという間に脱ぎ捨てた服をアルトニウス卿に被せると、意識を奪ったアーサー王の技は惚れ惚れするものだった。

 元凶はアーサー王の不必要な発言のせいだと思うのだが。

 

 

「アルトリアは長い付き合いだからな。遅かれ早かれ伝えないといかんだろ」

「暴れるのはわかっていたがこれほど暴れるとは思わなかった」

「おいガウェイン、大丈夫か?」

 

 

 ケイ様が頭が痛そうに抱えているのを傍目に、アルトニウス卿にやられたガウェイン卿を気遣うように手を差し出す。

 ガウェイン卿ほどの騎士を一瞬で返り討ちにする光景は悪夢だった。槍を持たない手で抉るように顎を殴って気絶させるのだから。

 つくづく、アーサー王とアルトニウス卿は化け物じみた力を持っているようだ。

 意識を飛ばしたガウェイン卿もすぐに意識を取り戻すのも大概あれだと思う。

 

 

「こりゃ、縁談は慎重にやらないといかんな」

「俺としては結婚なんざしたくないんだが」

「あのなあ。前にも言ったがブリテンを統一したような王に王妃がいないと政治的に不利になる。いくらお前がブリテンの王でも、そこだけはしっかりとしないと反乱の種が知らぬ間に生まれる……おい、お前今、粛清できると喜んでないよな?」

「…………ワタシハナニモカンガエテイナイ」

 

 

 考えていたな。アレは。

 狩りもそうだが、賊を薙ぎ倒すのも好きなお方だ。反乱軍が現れると、面白いように反応し、率先して鎮圧に向かうだろう。

 良くも悪くも、王に似合わぬお方だ。悪にも善にも取れる面白い王とも言えるかもしれない。

 

 

「いくつかの縁談はアグラヴェインと精査して厳選している。あとはお前自身が選べるように準備はしておく」

 

 

 ですが、アルトニウス卿はまた暴れるでしょうね。

 というか、やはりアルトニウス卿は女性だったんですね。

 

 

「あー、まあ、な」

 

 

 あんなにアーサー王好き好きと言っていれば誰だって気付きますよ。

 本音を言えばアーサー王が男色かとも考えたのですが。

 

 

「ベディくんベディくん。君は前にもそう考えていただろそうだろ?」

 

 

 有無を言わさぬ笑顔。妙な迫力があって顔を逸らしたくなる。

 しまった。失言だったか。

 

 

「あとで説教な」

 

 

 お断りします(ニッコリ)

 

 

「来ないと君と寝ているところをアルトリアに見せます」

 

 

 私に死ねと仰りますかアーサー王!?

 

 

「素晴らしい脅し文句だろう?」

「何をしているんだお前らは」

「いやー、ベディくんは弄り甲斐があるからさー」

 

 

 評価が酷い。アーサー王の付き人をやめてもいいと思う。

 

 

「お前、ベディヴィエールに愛想を尽かされても知らんぞ。例の計画にも加える気なんだろう?」

「断るなら脅してでも加える」

 

 

 やはりこの王は外道だ。

 

 

「計画を進めるにしても、縁談を進めて王妃を迎えることで成否が問われる。迎える王妃によっては、優秀な騎士も加えられる」

「面白い奴がいいけどなあ。吠えるだけの雑魚はいらんぞ」

「そこはお前に任せる。剣を交えればどんな奴かはわかる変な勘があるんだろ?」

「そこまではわからん。変な勘ならアルトリアの方が優秀だから俺たちで面接する」

 

 

 アーサー王が戦い、アルトニウス卿――アルトリア卿が人柄を見る。

 お二方は良いコンビだ。大雑把なアーサー王、それを支えるアルトリア卿。アルトリア卿が優秀でなければお二方の関係はこうも上手くいかなかっただろう。

 アーサー王もここぞ、という時に最良の選択をするのも凄い。

 アグラヴェイン卿、ケイ様。お二人の提案された案を改善したものを考え付くこともある。特に騎士の運用はその考えがあったか、と唸るほどだ。

 

 目に見えるほどの改善。特に、食糧運用。

 手の空いた騎士を畑などに回し、ローテーションを組んで常に万全の状態に保てるように工夫をされている。

 今では猪の肉以外にも芋などの農作物を安定して得られるようになっているのは民からの支持も厚い。

 美味い物を食べるのは人としての幸せ。幸せを享受できれば豊かになる、とアーサー王は言う。まさにその通り。アーサー王が治める地では民のほとんどがアーサー王を支持しているほどなのだから。

 

 

「何か知らんけど俺にもっと上の立場が欲しいとか言うのもいるんだが」

「は? 待て待て。いつの話だそれは」

「たまーにケイとアグルくんがいない時を狙ってるのかはわからんけど、来るぞ。王、自分の力を考えると今の立場は合っていないと宣うのがいる」

「……」

 

 

 ケイ様が頭を抱えた。正直、私もそんなことになっているとは思わなかった。

 そういう輩はアーサー王が最も嫌う者。機嫌が悪いと殺されても文句は言えない。

 

 

「アーサー、そいつらの顔は覚えているか?」

「考えてやると言って署名させた。ホイホイと書き込むから怒る気も失せた」

 

 

 アーサー王が懐から取り出した羊皮紙には名前が書かれている。

 完全に開いてみれば、少なくない数の人間が名前を書き込んでいるようだ。それにはケイ様も項垂れそうになる。

 

 嗚呼、以前にアーサー王も言っていた。

 真の敵は強力な敵ではない。寧ろ、内に潜む目立ちたがり屋かアーサー王の言う「吠えるだけの雑魚」が足を引っ張ることが原因で瓦解する。

 それも賢い、小賢しいのが最も厄介とも。

 

 

「そういう奴は普段は無能を見せないくせにここぞ、という時だけにやるんだから始末に負えん」

「経験談か? 妙に実感があるが」

「あー、うん。まあ、知り合いがそうだったから」

「?」

 

 

 ? ケイ様も同じような反応をされている。自分もそうだ。

 凄く実感の籠った言葉だった。実際にアーサー王の知り合いがそんな目に遭っていると言わんばかりの様子だった。

 珍しいアーサー王の表情を見れたのも戸惑わせる要因にもなっている。

 

 

「それで、ケイ。今から馬で走ろうと思ってるんだが、中止にしてまで俺に何か話したいことでもあるのか?」

「ああ、これだ」

 

 

 ケイ様がアーサー王を呼び止めたのはケイ様の持つ羊皮紙にあるようだ。

 アーサー王が羊皮紙を開いて目を通せば、渋い顔をなさる。

 

 

「縁談かー」

 

 

 ああ。これはアルトリア卿がまた暴れるな。

 

 

「名前は――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    モルゴース?」

 

 

 

 

 





 暴れるアルトリア

 なんかアルトリアを暴れさせないと気が済まない病に罹りました。大体、この小説のアルトリアはこんな感じなので適当に応援してあげてくださいな。

 ベディくんは完全に漫才相手と化してて頭を抱えてます。当初の予定ではアーサーくんの右腕として怪力を見せる感じにしようと思ってたのに。
 漫才はガウェインにしようと思ったのに。

 わりと洒落にならない感じの問題が起きているのにのほほんとしているのはアーサーくんの変な信頼感のせいで任せたら大丈夫の公式が成り立っている可能性が微粒子レベルで存在してますね、これは。
 騎士とか貴族が口だけの雑魚って印象はなろうの影響だね。うん。

 じゃ、次回からは修羅場だ。モルゴースの名前だけで察する人もいるだろうし、お楽しみに。




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