騎士(キチ)王   作:ひつまぶし。

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 ガチな修羅場を書こうとしてもアルトリアがぶち壊すんだけどなんで?

 今回からお家芸です。
 リアクション考えたら一択でこれしか出ないんだからクソ小説しか書けないんだろうなと思いました(小並感)




12 親子

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――」

「――」

「――」

 

 

 ど、どうなされました。ガウェイン卿、アグラヴェイン卿、ガヘリス卿。

 

 

「兄上、あの人って……」

「見間違えであって欲しかった」

「何をしているのですか――」

 

 

 お三方はあの方をご存じで?

 イグレイン様やアルトリア卿に似ておられるようですが。

 

 

「あー」

「まあ、何ですか」

「……我等の母です」

 

 

 ( ゚д゚)

 

 

「ベディヴィエール卿、何だその顔は」

 

 

 い、いや。アグラヴェイン卿。アーサー王と語らう相手が、お三方の母親なのですか?

 

 それにしては容姿が若すぎるような……それに、妙に楽しそうに話しているような……。

 お二方はキャメロット城のバルコニーにあるテーブルを囲んで雑談をされているようではあるが。

 それよりも、モルゴース様の足元にいる小さなアルトリア卿みたいな子は何なのだ。

 

 

「アグラヴェイン、あの子供のことは知っているか?」

「いえ、上兄上。母上からは何も」

「ガヘリス、お前は?」

「知らねえ。久しぶりに会うし、事情もわからねえ」

 

 

 楽しそうに語らうアーサー王とモルゴース様。アーサー王の表情を見れば、無理をして作っている表情ではないのはわかる。

 つまり、モルゴース様はアーサー王のお目に適う女性であるということなのだろうか。

 

 あ。小さなアルトリア卿がアーサー王の足にしがみついた。その間に何やら短剣のようなものを剥き出しでアーサー王に渡しているが……まあ、アーサー王だから脅威にはならないだろうな。

 更に、アーサー王の表情が面白くなった。色々な感情が入り交ざったような表情で何を考えているのかわからない。

 驚き? が強い。指が震えすぎて何本にも見える。震える指を子供に向けていた。

 

 お三方、あなた方の母は本気でアーサー王との縁談を考えているのでしょうか。

 

 

「いや、流石にそれは」

「母上は親父、ロット王を愛しているはずだが」

「オークニーの現状がわからない今、母上がどう考えているのかまでは。ヴォーティガーンの被害が定かではない今、オークニーの無事までは把握できていないとしか」

 

 

 ああ、ヴォーティガーンの影響で各地に小さくない被害があった。

 そちらの報告と修繕の指示を纏めていると、とても一つの国だけに集中するわけにもいかない。

 

 

「もう少しで被害状況を纏められるのでオークニーの現状はわかるのですが」

「いや、アグラヴェイン。お前が頑張っているのは知っている。今、できることを最大限にしているだけで王は満足されている」

「それに、アーサー様なら多少の失敗や我が儘は許してくれるって。お前はアーサー様のお気に入りだからな」

「上兄上、下兄上……」

 

 

 そうですね。アーサー王はアグラヴェイン卿は頼りになる奴と言っていたので間違いはないです。

 頑張ってくれているから少しは休みを与えたいけどなあ、と呟いているのをよく聞きます。

 

 

「王――」

 

 

 アグラヴェイン卿が感慨深い声を出して口を手で覆っている。

 

 

「――ならば、何故もっとしっかりと仕事をしてくれないのだ――!」

 

 

 …………。

 思わず、目を逸らしました。ガウェイン卿もガヘリス卿も同じようにアグラヴェイン卿から顔を逸らしているようだった。

 

 

「それも王の魅力ですから(震え声)」

「そ、そうそう。親しみやすい? から(震え声)」

 

「おう、何か楽しそうだなお前ら」

 

 

 何故だか必死にアーサー王に対するフォローをする羽目になった。

 ガウェイン卿とガヘリス卿がアグラヴェイン卿をあれやこれやと手振り身振りでフォローをしている最中にモルゴース様と会話をしていたアーサー王がこちらに来た。

 

 何故か小さなアルトリア卿と手を繋ぎながら。

 

 

「あの、王よ。その子供は?」

「ああ、こいつか?」

 

 

 よっと、と子供を抱き上げて私たちに見えるようにしてきた。

 こうして見ると、本当にアルトリア卿に瓜二つだ。幼くすれば、このような顔になるだろうと一目でわかる顔付きだ。

 ああ、そういえばモルゴース様もアルトリア卿に似ている。ならば、母に似る子供も当然か。

 

 

「俺とモルゴースさんの子供らしい」

 

( ゚д゚)

( ゚д゚)

( ゚д゚)

 

 

 ( ゚д゚)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ!? アーサーとモルゴース様の子供だと!?」

 

 

 え、ええ。間違いなくそうではないかと。アーサー王も自分の子供であると言える判断材料があるようで。

 顔は似てなくとも、アーサー王の子である確信は持っているらしく。

 モルゴース様の子と言えるのは、顔を見ればおわかりでしょう。自分の胎から産んだ、とも言っていました。

 

 

「……ぬ、おっ。ごおおぉぉぉぉ……」

 

 

 け、ケイ様?

 

 

「胃が、胃が捩じ切れそうだッ……!」

 

 

 ケイ様ー!? な、なにか薬は?!

 

 

「ふざけんなよ……! 次から次へと問題ばっかり起きやがって……! ここまでくるとアーサーが呪われているとしか思えんぞぞぞぞぞぞ」

 

 

 うわー!? ケイ様が泡を吹いておられる!?

 お、王! アーサー王! ケイ様を助けるのを手伝ってください!

 

 

「ケイの机の下から二番目の引き出しの書類の上に置いてある紙の中に胃薬入ってる。ベディくんは水を用意したげて」

 

 

 水ですか! 水水……。

 

 ケイ様の部屋はアーサー王の執務室と変わらない構造をしている。水差しも置かれており、給仕の者が用意したものだろう。

 コップも綺麗な状態でひっくり返してある。少しだけ冷たいそれを持ち、水を入れる。

 そしてケイ様の異常事態を生み出した元凶と言えば、急に発覚した子の相手をしておられる。

 いつ生まれたのか、それなりに成長をした外見をしている。膝に乗せられてアーサー王に手を持たれて動かされている子供は、楽しそうだ。

 

 

「おっごぇえ……アーサー、事情を話せよ。隠そうとしたらお前でも殴るぞ。殺すぞ。寧ろ殺させろ」

 

 

 紙に包まれた薬を水で流し込んだケイ様は睨むようにアーサー王を見る。殺意が籠ってるような視線だ。

 恨みも積もっているだろう。次から次へと問題を持ち込むのだから。尻拭いばかりしているケイ様からすれば怒っても怒り足りないだろう。

 それでも、アーサー王を王として即位させるためにケイ様が出した条件を考えれば、ケイ様も覚悟の上で尻拭いをしているのかもしれない。文句を言っても、ケイ様が選んだ道なのだから。

 

 

「モルゴースさんによればベディくんと旅をしてた時に彼女が違う外見に化けて俺とヤっちゃったらしいぞ。三人くらいの女性と寝たけど、どれかねえ」

「おぶええええ」

 

 

 け、ケイ様ーッ!

 

 た、確かにアーサー王は旅をしている時に女性と寝ていたが。

 村娘、宿の女将、果てには旅の魔術師。覚えている限りでは、その三人が相手だったはずだ。

 アーサー王はアルトリア卿とマーリン様に一泡吹かせようと女性との寝技を鍛えようと言っていたが、案外腰が引けて女性から誘惑して閨に引き摺り込んだのが真実だ。

 しかもあれはアーサー王が女性に敗れているに違いない。悔しそうな顔をされていたのは今でも覚えている。

 

 

「おっま、モルゴース様は人妻だぞ。そんな相手と寝たのかお前は……」

「つーか、魔術で化けて襲われたようなもんだぞ。俺は女をナンパするのは駄目らしいからな」

「なん……胃が、胃があ」

「というか、女性に閨で可愛いと言われるのがどれだけ心にダメージがあるかわかるかケイ。アルトリアにもマーリンにも言われて男のプライドがペッキリと折れたわ」

 

 

 愚痴で何度も聞きました。ドゥン・スタリオンの上で項垂れながら運ばれる姿は哀愁漂っていました。

 問題は子供ができたことではない。子供ができるのは素晴らしいことではあるが、問題は()()()()()()()()であることだ。

 間違いなく火種になる。確認されているだけでも、アーサー王の子供はこの子だけだ。

 周りはこの子が次代の王となると思うだろう。それも、普通の王ではなくアーサー王の子供だ。誰もが期待をするだろう。

 

 

「で、この子の名前はモードレッドというらしい」

 

 

 モードレッド……。

 この小さなアルトリア卿の名前はモードレッド。おっかなびっくりの表情をして自分とケイ様を見ている。

 

 

「認知するなとは言わせんぞ。俺の知らないところで生まれたとしても、俺の子であるのは間違いないからな。俺が育てることにした」

「待て。モルゴース様はそれを受け入れたのか?」

「モードレッドに決めさせたら俺が良いってさ。それと、モルゴースさんは暫くはこの城に泊める。ちょいとあの人に問題が起きてな。問題を解決するまでは城にいるように俺からお願いした」

 

 

 がおー、と気の抜ける声を出しながらモードレッドの脇の下に手を入れて高く持ち上げる。

 おっかなびっくりの表情は楽しそうな表情に変わり、自分の体をアーサー王に預ける。なんともまあ、子供の楽しそうな顔は見てて癒されるものだ。

 

 

「問題?」

「聞いたことがないか? 最近、ブリテンを荒らしまわってる連中」

「ああ、妙な連中か。報告は聞いている」

「その連中が徒党を組んでヴォーティガーンの後釜を受け継ぐように暴れ回っているらしい。モルゴースさんのいる地、オークニー? とかいう場所もそいつらに襲われて凄まじい被害が出ているらしい。

 で、なんか楽しそうだからぶっ殺しに行こうかなと」

「それが本音かお前」

 

 

 荒らし回る妙な連中……? アーサー王、何の話ですか?

 

 

「ああ、まだケイとモルゴースさんくらいしか知らないのか。アグラヴェインはまだケイからの報告が届いてない状況だから多分、知らんだろうな」

「この後に会議する予定だったが、お前がそう言うなら火急の要件として扱った方が良いな」

「頼むわ。俺らも被害がないからと言って放置するわけにもいかんからな。あと久しぶりに気兼ねなく暴れたい」

「お前……ハアー」

 

 

 いつものアーサー王でした。暴れられるチャンスができるなら、暴れるのがアーサー王でしたね。

 それに、オークニーといえばあのロット王がいる国。あの国が大きな被害を受けるほどの強さを持っていることにもなる。

 ロット王はつまり、ガウェイン卿、ガヘリス卿、アグラヴェイン卿の父親でもある。モルゴース様の夫でもあり、強い王とも聞いている。

 

 

「でもさー、正直言うとロット王とかいうの、好きじゃないんだよね」

「あ?」

「ロット王とかいうの、ユーサー派だったんだよな。俺が旅に出て、ベディくんがいない時にロット王の遣いを名乗るクソに王を退けと言われたから思わずイラッとしてぶっ殺したんだ」

「――は?」

「悪いかなーと思ってモルゴースさんに謝ったけど、気にしなくてもいいって言われた。ユーサーを引き摺り落としたことには感謝しているってさ。で、キャメロットにはイグレインさんもいるから滞在を許可した次第です、はい」

「お前、お前……お前――ッ」

「ま。マーリンの弟子でもあるモルゴースさんが味方になってくれると言うんだからそれで十分やろ」

 

 

 え。モルゴース様はマーリン様の弟子なのですか!?

 

 

「そうだよ。ついでに言うとイグレインさんの娘でもあり、アルトリアの種違いの姉だ」

 

 

 ( ゚д゚)

 

 

「何その顔。ベディくんの新しい芸?」

 

 

 どういうことなの……?

 

 

 

 

 

 





 【悲報】アーサーくん、子供ができていた

ガウェイン「( ゚д゚)」
ガヘリス「( ゚д゚)」
アグラヴェイン「( ゚д゚)」
ベディヴィエール「( ゚д゚)」

 モードレッドの誕生を考えていると、アーサーくんをどう動かすかでかなり迷いました。
 書き始めから決めていた「モードレッドの誕生」とテーマは決めていたので、かなり早い段階からアーサーくんの行動は考えられました。
 それが、ベディくんとの旅です。ベディくんが世界の秘密を知るのと同時に暗躍させるチャンスはここだなと思って旅をさせました。

 モルゴースことアルトリアの姉であるモルガン。
 アーサー王伝説を調べても、モルガンには「モルガン・ル・フェイ」「モルゴース」「エレイン」と三人の女性がいることが???とさせる原因でした。
 更に調べてみると、多重人格説があったのでこちらを採用すると面白いように話が決まりました。

 モードレッドの誕生はまだ秘密があります。見た目はモーさんと変わらない感じにしてありますが、こんなことを考えた自分はイカれていると思わせる設定ができました。
 モルガンは魔女ですが、我が王をキメているアルトリアの前では無意味であると知るのは割と近いです。
 ぶっちゃけアルトリアでモルガンをどうイジメるのかを考えるのが楽しくてしょうがない。

 さて、今回から円卓勢の結成の話とアーサー王の子がテーマのゆるーい修羅場の始まりです。
 ゆるいのはアルトリアが悪い。


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