騎士(キチ)王   作:ひつまぶし。

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 FGOのイベント周回してました。最近は終了前日にやるんだから大慌てになるんだよなあ。
 ぶっちゃけキンスレの方がハマった感じですわ。
 キンスレをあいぽんで起動しながら執筆するのがジャスティス。

 今回はアルトリアとモルガンの対面です。我が王をキメたアルトリアが大人しくするはずもなく……。




13 姉妹

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はじめまして王様! 兄上達がお世話になってます! ガレスと言います!」

「おう、よろしくな」

 

 

 元気いっぱいに挨拶をするのは何人兄弟なのか甚だ疑問を感じるガウェイン卿達の末っ子、長女であるガレス。

 頭を勢いよく下げたからか、撫でやすい位置にあったのだろう。慣れた手付きでアーサー王はガレスの頭をポフポフと音が鳴るように軽く叩いて歓迎の意を見せる。

 アーサー王の撫でテクニックは昇天するレベル。と真面目な顔で不真面目な発言をするアルトリア卿の親指を立てる姿はとても女性のそれには見えませんでした。

 

 アーサー王がモルゴース様と婚約をするのかは未定のようだ。しかし、モルゴース様はアーサー王の許可を得て滞在をすることになっている。

 見惚れるような笑顔、淑女の振る舞いに相応しいモルゴース様も母親であるイグレイン様と再会をした時の反応はモルゴース様のイメージが崩れるものだった。まんまるに口を開けて呆然とする姿は何とも言えないものがあった。

 反対に、妹であるアルトリア卿と初めて会うと煽りに煽りまくっていた。アルトリア卿の一切の感情を削ぎ落したような無表情は見ものでした。

 

 

「ってか、ガウェインたちの妹なんだな」

「はい! 末っ子でしたが、母上がモードレッドを生んだから末っ子ではなくなりました。お父様的にはどうですか?」

「……ん?」

 

 

 それもそうか。もしも、モルゴース様がアーサー王の妃になるならモルゴース様の子供もそのままアーサー王が父親になるのか。

 ガレスに父親と呼ばれて耳の中を掃除するように指を入れながら首を傾げておられる。

 

 

「王」

 

 

 そこに、ガレスの一番上の兄であるガウェイン卿が前に出てアーサー王に話し掛けてきた。

 堅苦しい礼節を嫌うアーサー王は臣下や王の関係は忘れて何でも言ってもいいよ、と言ったことから王と臣下との間にできるだろう軋轢もほとんどない。

 気軽に意見を言うからこそ、解決策も見つかるのだからアーサー王は凄い。狙ってやったのかはわからないが。

 

 まあ、自分の欲を優先させて結果的に上手く行っている感が否めないが。

 

 

私も父上と呼んだ方がよろしいですか?

 

殺すぞお前

 

 

 ガウェイン卿……。

 

 そして何故ガヘリス卿は少し残念そうにしているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぶっころ。

 ぶっころぶっころ。

 ぶっころぶっころぶっころ。

 

 

「残念だったわね我が妹よ。あなたが最も望むであろうアーサー王との子は先に私が生んでしまってごめんなさいね」

 

 

 自分と瓜二つの女。聞けば、私の種違いの姉らしい。母上からそう聞いても殺意が止まらない。

 この女郎はやってはいけないことをしたのだ。よりにもよって我が王と体を重ねた時から考えていた我が王との子を姉を名乗る外道に先に生まれたのだ。

 正直、このまま殺したい気分だ。

 

 プププと手を口に当ててあざ笑う姉は間違いなく煽ってる。ムカつく。

 

 

「もうアーサー王との子は可愛いわ。顔付きは私に似ているけど、瞳の奥に見える光、魂の輝きはアーサー王そのものよ」

 

 

 うぬがぐぐぐぐ。

 

 

「我が子、アーサー王の子。モードレッド。あなたの姪でもあるわ。ねえ、お・ば・さ・ん

 

 

 ぐがーッ!

 

 

「フフン。無駄無駄。こう見えてもクズのマーリンの弟子。あなた程度では私に触れることも……待って待って。なんで障壁をすり抜けて私に触れる痛い痛い! 胸を鷲掴みにしないで!」

 

 

 この胸か! この胸で我が王を誘惑したのか!

 もいでやる。果実をもぐように千切ってもいでやる。二度と我が王を誘惑できないようにしてやる。

 ついでに貴様の娘を私の娘にしてやる。安心しろ。顔は似ているから私の娘だと言っても誰もが信じるだろう。安心して死ね。

 

 

「お母さま! 妹は何でこんな頭がおかしいことになってるんですか!」

「アーサー王に対する愛が爆発してるせい、とアルトリアから聞いてるんだけどね。まあ、アーサー王を嫌うよりはいいんじゃないかしら」

「命の危険を感じているんですが!?」

 

 

 わかるぞ貴様。貴様は我が王を愛しているのではないな。

 貴様は何か別の理由で我が王の子を孕み、産んだ。そしてそれを利用して私に対して何かをしているな。おそらく、当てつけだろう。お前は幸せになるのは許さないと目が言っているぞ。

 だが知らん。まずはこの胸をもぐことから始めよう姉上。

 

 

「なにこの頭おかしい子! 綺麗にまとめてるつもりでもいきなり吹っ飛んだ結果になっているわよ!?」

 

 

 竜の心臓から齎される魔力を出し、体に循環させて膂力を上げる。

 ギリギリと姉上殿の胸をあらん限りの力で握り締め、姉上殿の悲鳴をじっくりと聞き届ける。

 

 うむ。良い声で鳴きますね。姉上殿。

 もっと鳴くといいですよウフフ。

 

 

「あ、アルトリアー? そろそろやめなさい。煽るモルガンも悪いけど、そこまでにしなさいな」

 

 

 ――む。母上が言うなら。

 

 パッと姉上殿の胸から手を離せば、姉上殿は胸を押さえて床に座り込む。

 涙目になる姉上殿に少しだけ胸がスーッとした。煽る姉上殿が悪いのですぞ。

 さて。姉上殿。そろそろ吐いてもらいましょう。何かとんでもないことをしでかしてますね? 私の我が王に対する愛で育んだ勘がそう言ってます。

 吐きましょう。キビキビと。

 

 

「ぬぐぐぐ。我が妹ながら何でこんなことになっているのよ……」

「初めての姉妹喧嘩はそこまでにして。モルガン、何か隠しているなら言いなさいな。ほら、暴れそうなアルトリアは押さえておくから。ね?」

 

 

 む。母上。幼子をあやすような格好は少し恥ずかしいのですが。

 

 

「こうして私がお腹を痛めて産んだ子達が一緒にいるのは嬉しいのよ。だから、ね?」

 

 

 むう。仕方がありませんね。母上のお好きにどうぞ。

 私としては恥ずかしいですが、母上に対する親孝行と思えば喜んで受け入れられます。

 

 

「もう、良い子ね。自慢の娘だわ……ああ、モルガンもね。しっかりと子供をアーサー王の手助けをできるほどに育てたのは素晴らしいの一言よ」

「お母さま」

 

 

 残念だが母上の抱擁は私のものだ。

 

 ペチンと母上に縋りそうな姉上殿の額を叩いた。邪魔をするでない。

 額を叩けば、姉上殿がプルプルと震え始める。

 

 

「こっの……!」

「アルトリア」

 

 

 はい。おとなしくします母上。

 ――ハッ、この匂いはっ。

 

 いる。部屋の扉からこっそりと覗き込んでいる人間が見える。

 我が王と……子供?

 

 

「嘘だろ。覗いて一分も経ってないぞ。アイツは俺を見つけるレーダーでも持ってんのか」

 

 

 覗いていた扉から現れるのは、我が王。一応、この部屋は母上のイグレインの部屋。

 勝手に入るのもどうかと考えたのか、完全に開けた扉を少しだけ閉めて母上に入室の許可を求めていた。

 律儀というか、女性に対する振る舞いは紳士の我が王。紳士にならずとも、獣になって私に襲い掛かってもいいんですよ? そして子供を仕込んで欲しい願望が沸々と。

 

 

「うっわ。アルトリアが飢えた狼みたいな目で見てきやがる」

「ははうえー」

 

 

 城の主である我が王の入室を母上が拒むわけもなく。喜びながらどうぞ、と促せば子供と共に部屋に入ってくる。

 手を繋いでいた子供は我が王の手を引っ張りながら――私を通り過ぎて姉上殿の傍に向かう。我が王が苦笑しながらいつものように頭を撫でてくれるが、少しだけ腰が引けていた。何故だ。

 

 それにしても。似ている。姉上殿と私が似ているのもあるのか、姉上殿と我が王……の子供は姉上殿に似ているが、同時に私にも似ている。

 我が王との愛の結晶と考えると姉上殿を殺したくなる。

 

 

「モードレッド」

「この子がモルガンとアーサー王の?」

「はい。お母さま。お母さまの孫でもありますよ」

「まあ」

 

 

 スルリと母上が抱擁をやめてモードレッドという子供に興味が移る。

 

 ――そうか。これが絶望か。

 

 

「ま。しゃーないわな。本当なら二人の娘の片方と会えないと思ってたのに、こうして家族が揃った上に孫までできていたんだ。イグレインさんからすりゃ、嬉しいなんて言葉じゃ足らんだろ」

 

 

 我が王ッ。

 

 

「待て。最近のお前は怖いから抱き着くな」

 

 

 お預けは無理です我が王!

 

 

「ステイったらステイ。お前の姪っ子でも見て落ち着け」

 

 

 正直、妬ましくてしょうがないです。

 

 

「モードレッドになんかしたら許さんぞ。お前でも無視するからな――冗談だ。そんな絶望を感じてる顔をすんな」

 

 

 我が王に無視されたら自害する自信がある。私は我が王のもの。身も心も我が王のもの。捨てられたりしても大丈夫だもん。大丈夫、だいじょ……。

 

 

「おい。頼むから死んだ目で涙を流すな。こっちを見ながら微笑むな。怖えんだよ」

 

 

 いいんだ。我が王にはモードレッドという子供がいるんだ。もう私は用済みなんだ。愛でてくれることももうなくなって……うええぇぇぇ。

 

 

「あー、泣くな泣くな! 捨てたりしないから大丈夫だ。お前は俺の一番の騎士。お前が俺を捨てるまではお前を捨てたりはせんよ」

 

 

 我が王を私が捨てるはずもないでしょう!

 

 

「はいはい。お詫びに抱き締めちゃる」

 

 

 ……ギュッとしてくれる我が王。ムフー!

 久しぶりの我が王の抱擁に悲しい気持ちも吹っ飛びました。やっぱり我が王がちゅき。

 

 ふと、視線をズラせばモードレッドが母上と姉上殿に抱かれながらこちらを見ていた。その目、顔にはありありと不満の表情が浮かんでいる。

 今の状況を考えれば、私は好きな父親を取る知らない女に見えているのだろう。

 ふむ。子供だからしょうがない。変わってあげよう。私はできる大人だからな(ムフー)。

 

 

「ははうえ」

 

 

 すると、モードレッドが小さな手の指を私に突き付けてくる。

 

 

「あのおばちゃん、きらい」

 

 

 今なんつったこのクソガキャアアアアア!!

 

 

 

 

 

 

 






 みんなのアイドルのガレスちゃんだぞ。喜べ

 色々と混乱するモルガン一家。ガウェインはアルトリアほどではありませんが、アーサーくんには無類の忠誠を誓っています。
 故に、混乱する頭が真っ先に叩き出したのがこのセリフ。
 ぶっちゃけガレスちゃんにお父様って呼ばせてもみたかった。反省したいけどやめた。後悔はしていない。

 で、アルトリアはいつも通り。
 モルガン、魔術師であるモルガン・ル・フェイの魔術を通り抜けるようなことができたのは怒りでロンゴミニアドを使えた影響ゆえです。
 初の姉妹喧嘩に喜ぶのはモードレッドのおばあちゃんであるイグレイン。
 この人も大概、アーサー王伝説では不憫な人だよなあと感じるお方です。ユーサーがイグレイン欲しさに寝取るレベルのことをしでかしているもの。

 アルトリアは書いてて本当に楽しい。王様にならなかったアルトリアが自由に生きて欲しいな、って思った結果がこれだけどさ。
 このイメージができたのって乳上の同人誌の影響なんだよなあ。
 今だから言うけど、マスターに尽くす感じだとか奴隷になる感じの乳上を見たせいだと思うんだ。

 次からはアルトリアVSモードレッド。ファイッ!





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