騎士(キチ)王   作:ひつまぶし。

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 アーデンおじさん可哀想すぎぃ。やっぱり剣神バハムートはクソってハッキリわかんだね。
 個人的には初代王のクソっぷりが笑えん。

 さて、大奥イベントあるので突っ走ってきます。






15 断罪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は? 君タチが自分は強いから上の立場をくれって言ったんだろ? その強さを持ってるなら証明してくれよ。俺はなんか無理なことでも言ってるか? なあ?」

「そうだな。良かったじゃないか。王が見てくれている中、強さを証明できる場を与えられたんだ。騎士なら名誉なことだろう?」

「今更、やめるってのはなしな。君タチには既に褒美としてそれなりの立場をあげてるんだからさ……あ? こんなことをしてどうなっても知らない? 父に言い付ける? じゃあ聞くが、お前のパパは俺よりも偉くて強いのか? 俺をどうこうできるだけの力を持っているとでも?」

 

 

 むう。ケイも我が王も一気に攻め立てるように何人かの騎士を問い詰めている。

 完全に自業自得ですが。見栄を張るとこうなるという良い例ですね。

 

 

「俺は日頃、口酸っぱく言ってるだろ? 口だけの雑魚はいらねえって。自分の力をしっかりと見極めた上で自分の出来ることをする人間は好きだけど、己の力を過信する愚か者と親の権力をアテにする馬鹿は大嫌いだ」

 

 

 名剣シャスティフォル。我が王は最近、エクスカリバーを持つ機会が少ない。

 だからか、城内ではシャスティフォルは王が裁きを下すときに用いられる断罪の剣であると言われている。

 

 エクスカリバーは外敵、シャスティフォルは内敵。我が王は考えずに使っているのだろうが、そういった使い方をされることが多い。

 私と同様、武器はなんでも使える我が王だが、執務室で仕事をすることが多いから剣を振るうことがあまりない。剣を振るう機会が少なくなったことから、聖槍ロンゴミニアドも使っておられない。

 それでも、剣は鈍らないのだから我が王はやはり素晴らしい。

 

 エクスカリバーで威厳を示すように、シャスティフォルを使って王のポーズを取っておられる。

 鞘に入った剣を見せるように柄に手を添えて地面に突き立てる我が王の風貌は、言い訳を許さないとばかりに凄まじい威圧感を感じさせる。

 それに当てられてちょっぴり興奮した。

 

 

「故に、女だから騎士は許されないなんて言うアホもいらないんだよ。俺は優秀な人間なら誰でも雇う。女だろうが、お前らが下民と呼ぶ者も喜んで使う」

 

 

 現在、我等は蛮族の討伐に赴いている。

 その際に、兼ねてから問題視していたクソみたいな騎士の待遇を決める動きが出た。断罪とも言える。

 私も断罪には賛成ですが。女給の扱いも酷い上に無駄に偉そうにしては私の言う事を聞かない。これだけ揃えば寧ろ死ねと伝えたい。

 

 多分、私が女であると明かせば更に見下しては我が王の害になるだろう。さっさと死ね。

 我が王にワガママを言って悩みの種になるならそれだけで敵認定だ。死ね。

 

 

「別に逃げてもいいぞ。優しい俺は命だけは助けてやる――さて、お前らに残された道は三つある。

 ひとつ、このまま蛮族討伐の先陣を切って戦う。お前らが強かったら生き残って、望んだ地位も手に入る。万々歳だろう?

 で、二つ目だ。俺をだましたことを謝ってキャメロット城から永遠に出て行くか。

 そして最後。このまま無様に尻尾を巻いて逃げ出すか。その場合、二度と騎士を名乗れないし、ブリテンの地を踏ませない。少しでも姿を見るようなことがあれば問答無用で殺す。命乞いをしようとも、惨たらしく殺してやる」

 

 

 我が王の殺気。本気で誰かを殺すと全身で表現するのは久々だ。

 ビリビリと空気が我が王が発する覇気が揺るがしているのはそこにいる誰もが感じているだろう。

 ――うむ。私も感じてちょっと濡れてしまった。どこがとは言わないが。

 

 というか、マーリンは何をしているのだ。ヴォーティガーン討伐から姿を見ないが。

 

 

「さあ。選べ」

 

 

 トドメとばかりにシャスティフォルの収まった鞘で地面を高らかに打ち鳴らす。

 

 む。それをきっかけに問題の騎士が本当に情けなく背中を見せて逃げ出した。

 しかも逃げた先は蛮族が潜んでいるであろう場所だ。自ら地獄に飛び込むとは、中々に面白い阿呆だったな。

 

 逃げた騎士を一瞥した我が王は胸糞悪いと言わんばかりに唾を地面に吐き捨てる。

 我が王のたいえ……あ、はい。大人しくしています、ケイ。

 

 

「はー、疲れる。アグルくん、悪いけどあの二人を呼んで」

「ハッ」

 

 

 今回、蛮族討伐に赴くに当たって、我が王はアグラヴェインの策を使って騎士をいくつかの部隊に分けた。

 ガウェインは行きたそうにしていたが、姉上のお達しで家族の時間を作ってキャメロット城に留守番である。

 家族の時間を作るという割には、ガヘリスとアグラヴェインは今回の遠征に来ていますが。

 

 ああ、あとはあのモードレッドが泣きながら我が王にしがみついていましたね。

 行かないでと泣き叫ぶ姿は可哀そうに感じましたが、蛮族対策はブリテンの平定には必要なのだ。我が王が困ったようにモードレッドの相手をしていたが、私がそう言えばモードレッドは頑張って待つと言った。

 その時の我が王とアグラヴェインの顔には一言申したかったが。なんか文句でもあるのかこの野郎、とアグラヴェインだけに言いました。

 

 我が王? 嫌われたくないのでやりませんよ。

 

 

「こっちの都合に付き合わせてすまんな。グループ分けはアグラヴェインに任せてあるから、分隊長はアグラヴェインからの指示に従い、各々の仕事に励んでくれ」

 

 

 クソ騎士の断罪の間、騎士に相応しき振る舞いをする騎士たちは後ろから見守っていた。

 一言も喋らなかったが、我が王の殺気には震えていたのはわかった。我が王の殺気に耐えられるのであれば無条件で我が王の側近に選ばれるだろう。

 無茶は言わない。我が王は凡人には計り知れぬ力を秘めているのだから。

 

 待機していた騎士に言葉を投げ掛けると、我が王は我が王専用の天幕の中に入る。

 アーサー王が使う天幕ということで、一際大きい。アグラヴェインたちが報告するのにも使うからか、普通よりも更に大きい。

 付き従うように共に天幕に入れば疲れたような息を吐いた。

 

 我が王、お疲れならお膝をお貸ししましょうか?

 

 

「襲ったら追い出すぞ」

 

 

 しませんとも。

 

 

「信用ならんなあ……でも頼むわ。なんか疲れた」

 

 

 お任せください。では、こちらへ。

 

 我が王、アーサー王専用の天幕に用意された最上の敷物。まずは私が先に座って我が王が頭を置きやすいように姿勢を調整する。

 我が王はほんの少し、絶妙に肉が付いた感触が好きらしい。我が王は隠しておられるようだが、女性の膝に頭を置く行為が好きなのは見ればわかる。

 うむ。こっそりと私の腿に手を這わせようとしてたのはわかりますぞ。

 

 準備も整い、後は愛しい我が王の頭を置くだけになった際。我が王は頭を置こうとしてジトッとした目で見てくる。

 

 

「襲うなよ」

 

 

 天幕ではしませんとも。流石の私でも戦前に情を交わそうなどとは思いませんよ。

 ですが、キャメロット城に帰った時や人目がない時は別ですが。

 

 

「頼むからさあ。俺、王様だぞ。王様を逆レする家臣とか世界を探してもお前しかいねえだろ」

 

 

 文句を言う我が王ですが、私の魔性の腿肉には勝てなかったのでしょう。大人しく私の膝に頭を乗せてきました。

 いつものように、乗せられた我が王の美しい黒い髪の毛を愛でるように撫でる。触り心地は素晴らしいとは言えないものですが、撫でるだけで私の心は満たされる。愛しい者を愛でる行為はこうも心が満たされるのかと幾度も思う。

 出陣まで時間はある。それまで少しでも休めるように癒さねば。

 

 ――ムラムラしてきた。

 

 

「おいコラ。不穏な気配を感じるぞ」

 

 

 ハッ。何も考えてませんとも。

 

 

「モードレッドが来てからお前、酷いぞアルトリア。子供相手に大人気ないし」

 

 

 何を言いますか。ケイも言ったように、モードレッドは危険な存在です。

 アーサー王の子供であるならまだしも、相手はオークニーのロット王の妻です。つまり、不義の子なのですよ。

 これ幸いと我が王を嫌う者が指摘して反旗を翻すでしょう。

 だからこそ、モードレッドは許されぬ子なのです。

 

 

「アホか。それは大人の都合だ。子供であるモードレッドは何の罪もないだろう」

 

 

 ええ、ですが。世界とはそういうものなのです。我が王よ。

 

 

「……めんどくせえ。やっぱ()()()()()()()()()()()()

 

 

 我が王、今、なんと?

 

 

「ああ、もうお前にも隠すのはやめておこうか。もうマーリンにだけは話したし、ベディくんも知ったけど記憶をふっ飛ばして覚えてないし――」

 

 

 ――我が王から語られるのは、このブリテンの真実ともいえるもの。

 なるほど。マーリンがあんな様子になるのも納得できる。マーリンは真実に耐えられずに逃げ出した、ということか。

 

 が。私は()()()()のことで我が王を嫌うものか。離れるものか。

 決別するならしてもいいぞと言うが、この身も心も全て我が王のもの。

 故に、離れるなどありえません。裏切るなどありえません。お好きに我が身をお使いください。

 

 

「――いいのか? お前の生まれ故郷を滅ぼすと言っているようなものだぞ」

 

 

 我が王が、私の故郷です。

 

 

「…………そうか」

 

 

 我が王?

 

 告白のように我が王に告げれば、膝に乗る我が王の顔は嬉しい気持ちを精一杯堪えているような顔をしておられる。

 そして、私の顔に触れてきた。頬を慈しむように触れてきて思わず体が固まるのがわかる。

 我が王からこんな風に触れてきたのはいつ以来だ。思考が定まらない我が王我が王我が王の手が私に私に触れ触れ触れ触れ触れ――。

 

 

「ありがとう。これしか言えないが、本当にありがとう。アルトリア」

 

 

 ――――――。

 

 が ま ん で き る か ! ! !

 

 

「ん? 待て待てアルトリア。なんで肉食獣みたいな目で俺を見る。おい待て待て待て! 何をする! 戦前に情を交わさないと言ったのは何処のどいつだオイ! 待って、待ってくださいアルトリア=サン! 今からトリスタンとランスロットが来るの! やめて!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     アッーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が王、お食事を一緒にどうですか。

 

 

「……あのなあ。俺が断っても無理矢理来るだろ? マスターちゃんの許可を得たらいいぞ」

 

 

 リツカ、よろしいですか? よろしいですね。失礼します。

 

 

「押しが強すぎぃ……うん? 昔からこうだぞ。二回目に会って飯を食わせたらいつの間にかこうなってたんだ。これが約束された勝利を齎す勝利の女神とは思えんだろ?」

 

 

 うむ。我が王の隣。今日も満足。

 カルデアも中々美味い食事を出す。ブリテンが酷すぎただけだと思うが、美味い飯は幸せを齎すという我が王の言葉はやはり間違っていなかったのだ。

 

 

「で、女神だなんていわれる原因にもなったのはトリスタンとランスロットにアルトリアが女だとバレたのが原因でな。逆レされようとした時に性別がバレた……うん? おかしくないかって? 昔のブリテン、女の方が押しが強かったぞ。モルガンしかり、ギネなんとかとか。アルトリアは筆頭だったよ」

 

 

 お言葉ですが我が王。ランスロットだけは嗅覚だけで私を女だと見抜いていましたよ。

 我が王がいない間、鬱陶しいくらいナンパされていました。

 

 

「やっぱりアイツはゴミスロットだわなあ。人の女だけしか愛せないクズじゃなかったら完璧な騎士なんだけどなあ」

 

 

 今日の我が王の食事はカレー。それも、カルデアの腕利きが揃う食堂が振るうカレーだ。

 あっという間に平らげると、使っていたスプーンを咥えたまま重い溜め息を吐かれる。

 

 蛮族対策に乗り出してからは、ランスロットの寝取り案件はキャメロット城の重要な問題の一つとして数えられるほどだったからな。大層、悩んでおられたのは知っている。

 ギネなんとかもホイホイと我が王を捨ててランスロットに走ったのは今でも許せん。我が王の王妃という立場を得ながら浮気をする尻軽は死ぬべきなのだ。そう、何度でもだ。

 

 

「お前さあ。マスターちゃんから聞いたけど、俺が消えた後に追放したギネヴィア殺しただろ」

 

 

 後悔してませんとも(キリッ)

 

 

「俺とケイ、アグルくんで必死に考えた策を台無しにしやがって」

 

 

 我が王の魅力に気付きながら二人の男を選ぶクソ〇ッチが悪いのです。

 

 

「まあ、てなわけだ。俺たちの歴史は大体コイツの暴走で記されたりしたもんだよ……え? 俺も大概のことをしているって? ハハッ、否定はしないね。どうせ滅ぶ世界だから好き勝手にした結果があれだよ。笑え笑え。

 ……ん? それでもアーサーさんは色々な人を救ったから笑わないよって? もー、マスターちゃんは人たらしだなあ。めっちゃ好きだわ」

 

 

 むぎゅー、と聞こえるほどのハグをリツカにする我が王。うらやましね。

 

 我が王、前から思っていたのですがリツカとの距離が近すぎませんか?

 

 

「絶妙に心地が良い距離感だから付き合いやすい。お前みたいにガツガツ来ねえし、おっさんでもマスターちゃんの彼氏に立候補したいレベルの良い子だよ」

 

 

 リツカ、ムカつくので殴らせてください。

 

 

「おいやめろ。あの夜這い三人衆と戦争になるだろ。前にカルデアが崩壊寸前までに追い込まれたのを忘れたか」

 

 

 あの三人を相手にしても勝てますが何か?

 

 

「…………ハァ。お前、暫くまた俺の部屋に入室禁止」

 

 

 馬鹿なッ!?

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、マスターちゃんには続きを話そうか。トリスタンとランスロットにアルトリアの性別がバレた後の話になるんだが――」

 

 

 

 

 

 





 今回は前からいたアーサーくんが嫌う輩を蛮族討伐の名目を利用して追放するの巻でございました。
 アーサーくん視点だったらどんだけ鬱陶しいのかがわかりますが、アルトリアやベディくんではわからない部分で起きていた事です。

 で、アルトリアはいつもの。構ってもらえるだけで喜ぶ子になった。
 滅多に見せないデレに暴走して性別バレ。アルトリアからすれば身バレしようがしまいが関係ないんですが(笑)

 未来では、カルデアの正体不明のマスターちゃんに語ってる途中。
 今は世界線をどうするべきか迷っている段階です。アーサーくんのアーサー王伝説を基にするのか、本来のアーサー王伝説を基にするのか。
 要はアーサーくんがアーサー王なのか、アルトリアがアーサー王なのかって点です。

 アーサーくんの場合だと歴史がぶっ壊れるのでそこが迷っている理由です。
 書きたい気もするけど、突っ込まれると考えると安易に書けないチキンな俺を許して遅れ……。

 ――え? ギネヴィア死んでるって?
 アルトリアからすれば浮気するような女は断罪対象なんだよなあ。


FGO編でのアーサー王伝説の扱い

  • アーサーくんが王の世界線
  • アルトリアが王の世界線
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