お気に入りノルマ達成したのでアルトリア時空でZEROかSN書きます。
リクエストがあったので折角だからアルトリア時空でやりますよー。短編扱いでキャラ崩壊するけど、いいよね。
評価が赤バーに戻りました。皆さま、感謝感謝。
おら。皆が期待してたヒロイン()が登場だぞ。喜べ。
か、カオスだ。キャメロット城が混沌に包まれている。
主であるアーサー王は鼻でもほじくらんばかりにやる気がないように、アグラヴェイン卿は二つの意味で慌てながら客でもない客に説明をする。
その更に後ろにはアルトリア卿がとんでもない顔になりながらケイ様に羽交い締めにされて押さえられている。アーサー王に呼び出されたガウェイン卿とガヘリス卿もまた、ケイ様に力を貸してアルトリア卿を押さえているが、アルトリア卿の力が強すぎて引き摺られている。
そして正式にキャメロット城の食堂で働くことになったガレス、呼び出されたトリスタン卿とランスロット卿は傍観に徹している。ランスロット卿だけはアルトリア卿を押さえようとしていたが、ガウェイン卿にいらねえ! と拒否して追い出された感じだが。
レオデグランス王の娘であるギネヴィア様。なんの約束も取り付けずに急に来ててんやわんやになったものだ。
今のアーサー王には後ろ盾は必要ないと思われるが、その地位を確固たるものとしてアーサー王の計画である直属の騎士を集めるものには誰か、後ろ盾が必要だった。
念には念を入れて、とアグラヴェイン卿とケイ様が精査してアーサー王に相応しい後ろ盾はいないものかと探している最中にギネヴィア様は来た。
何の準備もしていないのに急に来られては困る、と我等一同は言ったが、最有力候補であったレオデグランス王の娘である点は見過ごせるはずもなく、全くできていない準備で推し進めることにしたのだ。
突発的なギネヴィア様を案内するアグラヴェイン卿。もしも、レオデグランス王の後ろ盾を得るのであればギネヴィア様がアーサー王の妃になるかもしれない、とケイ様が漏らしたら。
どこからか聞きつけたアルトリア卿があろうことか、ギネヴィア様を殺そうとし始めたのだ。
女性だとバレた後はいつも隠していた兜を外して美しい容姿を晒している。
何故バレなかったのか不思議ではあるが、あの兜に仕掛けがあったらしい。魔術師マーリン様が用意した物であるらしく、聞いた者を惑わせる魔術が仕込まれているのだそうだ。
が、アーサー王や一定の強さを持つ者。アルトリア卿が女性であることを知っている者には効果はないらしい。
どっちにしても、近い内にアルトリア卿が暴走して身バレはしていたでしょうね(死んだ目)
アーサー王がやる気がないのは久しぶりにゆっくりと休める時間をアグラヴェイン卿とケイ様が用意し、モードレッドと昼寝でもしようかという時にギネヴィア様が来たのだ。
それはもう、白けた顔をされている。アグラヴェイン卿が頑張ってギネヴィア様を接待しているが、ギネヴィア様の興味はアーサー王に向いているようなのは見てわかる。
だからこそ、アルトリア卿も暴走しているのだと思う。
「あら。こちらは?」
「テルマエでございます。ローマのそれとは違って、アーサー王が考案したものです」
「まあ。素晴らしいですね、アーサー様」
「……」
「で、では次の場所を案内しますので」
ああ、これはもう駄目だな。アーサー王はもう興味すら持っていない。
「アグルくん、俺はもう寝る」
「まあ、アーサー様。レディをエスコートするのは男の役目ですわよ? お付き合いくださいな」
「……ペッ」
!? アーサー王がギネヴィア様に見えないように唾を吐いた!?
こんなにやさぐれているようなアーサー王は初めて見る。そんなにもこのエスコートが嫌なのか。
付き合いの長い私たちから見ても作り笑顔とわかる笑いを浮かべると、ギネヴィア様に告げる。
「勝手に来といてエスコートもクソもねえだろクソアマ」
瞬間、時が凍るのを感じた。
誰もが言葉を発することができない。アーサー王が暴言を女性に吐いたのは勿論、笑顔で言い切るのだから誰もが驚いているだろうと思う。
あのアルトリア卿ですらもう少し柔らかい対応なのに、ギネヴィア様に対してはとことん辛辣だ。
「来る時は約束ぐらい取り付けろ。準備もできていないのに案内をさせるのは人としてどうかと思うぞクソ。フレグランスとか香しい名前の王の王女だかなんだか知らんが帰れ。お前のせいで俺の休みがほとんど潰れたぞどうしてくれるクソ〇ッチ」
「――」
唖然とするギネヴィア様。
ここまで暴言を吐かれるような経験はなかったのだろう。口をパクパクさせてアーサー王を指差している。
「アグルくん、フレグランス王だかの後ろ盾は中止だ。こんな女は俺は要らん」
接待するために用意した服を脱ぎながらその場を離れるアーサー王。その後を、当然のように拘束状態から抜け出したアルトリア卿が追い掛ける。
残ったのは、未だに状況を飲み込めていない面々のみ。ギネヴィア様は震えながら涙を浮かべておられるようだ。
ケイ様は膝から崩れて項垂れていた。
こうして、レオデグランス王の娘であるギネヴィア様との縁談は破談に終わった――かのように思えたが。
木を削って棒状のものにしたそれを、アーサー王は肩に置いて小さな敵と対峙していた。
不機嫌そうな様子も嘘のように、楽しそうにアーサー王がボクトウと呼ぶもので肩を叩きながら必死に小さなボクトウを振り回す小さな敵の攻撃をひらりひらりと避ける。
すれ違い様に、頬を突いたり、頭を撫でたりと遊んでいるようだ。
それには、小さな敵も我慢ならなかったようだ。
「ちちうえ! まじめにやってよ!」
「わっはっはっは!」
「わらうなー!」
小さな敵、モードレッド。親子の戯れとも言える光景がそこにあった。
アーサー王の強さに憧れるモードレッドが鍛えて! とアーサー王にお願いすれば、快く了承して軽い手合わせをする。
最初に、アーサー王は自分は決まった剣の形はない。教えられるかはわからないと言った。それでも、モードレッドは父と剣を合わせたいと熱心に頼んだ結果がこれだ。
子供ながら、時折鋭い剣捌きを見せる。そこはアーサー王の血筋なのだろうか。
互いのボクトウがぶつかれば、カツンと軽快な音が轟く。手加減をしているアーサー王相手に、中々良い戦いをするモードレッド。
こうして見ると、やはりアーサー王は異端だ。太刀筋が定まっていないというのか、振り方もバラバラで姿勢も傾いていることが多いように見える。
なのに、腰を据えて剣を振るうガウェイン卿たちには危なげもなく勝つのだから不思議だ。
「たあっ」
「お。いいぞモードレッド。もう少し斬ってやる、って気持ちを込めながらもう一度やってみ」
「わかった! ――てやあっ!」
ぞわっ。今、確かにモードレッドの太刀筋に圧倒された自分がいる。
馬鹿な。今の剣、とても子供とは思えない鋭い一撃だった。子供らしい姿勢で放った一撃とは思えない。
カコーン、と一際甲高い音が響き渡る。鋭い一撃であっても、アーサー王には脅威にならなかったのだろう。容易く受け止める音だった。
「それだ。その感覚、忘れないようにな」
「いまの――」
「そうだ。その感覚が何より、俺の子供である証だモードレッド」
モードレッドのボクトウを受け止めたまま、モードレッドのボクトウを握る手を優しく包むアーサー王の顔は真剣そのものだ。
「忘れるな。この力は、破壊の力にも救いの力にもなる。俺たちは、剣を手で振るうんじゃない。心と、魂で吠えるように振るうんだ」
「こころとたましい」
「そしていつか、お前にもお前だけの魂の剣が鍛えられる。その時は、自分の心の赴くままに剣を振るえ。
アイツがムカつく。しばいてやろう。
邪魔しやがって、許さん。ボコボコにしてやる。
美味そうだな飯になれ。死ね!
他には――」
ストップストップアーサー王!!!
「あ? 何だよベディくん」
こう、良い話だったのに何故最後の最後で台無しにするのですか!
「だって本当のことだもの。好き放題したから今の俺がいるんだぞ」
もう少し言葉をオブラートに包んでくださいと言いたいのです!
「えー」
「えー」
ほらあ! モードレッドが真似をしているじゃありませんか!
「モードレッドは可愛いなあ。じゃ、もう一回父ちゃんと戦うか?」
「うん!」
「よし、良い返事だ。ほれ。どこからでもかかってきなさい――」
「――! ちっとこれはキツい……!」
「アアアアアアアアアアアア!!」
「こりゃマズいな。ロマニくん! この部屋から出てすぐに遠くに行け!」
ガンガンガン、と煌びやかな剣が荒々しくアーサーさんのシャスティフォルに何度も振り下ろされる。
その度に空気が震え、アーサーさんが立つ床にヒビが入っている。
アーサーさん!
「こっちはなんとかする! マスターちゃんは安全なところへ!」
「父上父上父上父上父上父上の名前を呼ぶのは――ダレダ」
ぎゅるん、とアーサーさんと戦うサーヴァントの目がこちらに向いた。
その瞳を向けられた瞬間、体が金縛りにあったように動かなくなる。私を必死に抱えるロマンも震えて、振動がこちらにまで伝わってくる。
サーヴァントが消える――目の前を赤黒い軌跡が――割り込むように青い軌跡が――。
あっという間に状況が変わる。サーヴァントとアーサーさんはすぐ近くに来ており、鍔迫り合いをしているけど、明らかにアーサーさんが力負けしている。
「ぐっ――!」
「違う違う違う違う違う――父上はこんなに弱くない。誰だお前は誰だお前は誰だお前は誰だお前は誰だお前は誰だお前は誰だお前は誰だお前は」
かっくん、と首が折れるように傾げるサーヴァント。それに呼応するようにサーヴァントの体を息が詰まりそうな魔力が包み始める。
まるで血のような。それでいて、劣化したかのような色の魔力。それが暴力的に召喚ルームを蹂躙する。
「クッソ……あれから更に強くなってやがる――!」
「死ね。父上の偽物死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね」
視界一杯に広がる血のような魔力。まるで魔力自体が刃になったかのように、私とロマンの体を細かく刻んでいるのを感じた。でも、動けない。
アーサーさんが大半の攻撃を防いでくれているからこそ、この程度で済んでいる。いやでも、それを理解できた。
せめて、あの子がいれば――。
ハッ。あの子は
ならば――!
心の底から叫ぶように、アーサーさんを助けてくれるように願いながら令呪を発動させる――!
来て! マシュ!
「はい! 先輩!」
願いは叶った。あの子――マシュ・キリエライトが来てくれた。
デミサーヴァント、戦闘装備に切り替わった彼女が笑い掛けてくれながら私とロマンを守るように立ち塞がる!
「でかした! マシュちゃん、二人を守れるか!」
傷だらけになりながら、鍔迫り合いをするアーサーさんが安心するような笑顔をこちらに向けながら聞いてくる。
お任せを。しっかりと守ります、とマシュが宣言すればアーサーさんの笑顔が更に弾け、真剣な表情に変わる。
「さて。モードレッド」
「偽物のくせに喋るな」
「偽物かどうかは――」
アーサーさんから赤黒い魔力を切り裂くような黄金の光が放たれる。それは、伝説に伝わるあの――。
『――この一撃を受けてから考えろ』
「それっは、エクス……! 父上ええええええ!!!」
『星の息吹、束ねるは王の魂。世界の最果てまで輝かん光を今、ここに』
アーサーさんが眩しすぎて見えない。
でも、かすかに見えたシルエットは、教科書にも
『エクス――カリバー!』
アーサーさんの勇ましい声が聞こえると、辺りが温かい光で満ちるのを感じた。
そして、あのサーヴァントが苦しむような声も聞こえて――。
アーサーくん、激おこ。
たまたま休みになってモードレッドと遊ぼうとしてたのに急に来たんだからそりゃ怒るよね、って。
ギネヴィアもここまで罵倒されるとは思わなかったので涙目プルプル。
無論、円卓崩壊のキーパーソンであるギネヴィアがここで終わるはずもなく――。
そして親子の戯れ。
本作のモードレッドはモーさんよりもかなり強化します。未だに秘密にしてあるアーサーくんの真の力を受け継いでいるので最終的には円卓最強にしようか迷ってる途中。
で、アーサーくんの強さのルーツは感情の爆発によるものです。流石に子供に教える内容としてはあれなのでベディくんは必死で止めました。子供の癇癪を増長させるのはいかんでしょ、そりゃ。
で、カルデア編はVS病んだモードレッド。
既にモーさんと同じだけに成長しているので子供の時よりも遥かにパワーアップしている模様。
三割アーサーくんでも苦戦するレベルで、今回はマシュが援護に来たお陰で力を使えました。
一対一なら間違いなくアーサーくん負けてます。
モードレッドが発する力は両親から受け継いだもの、とだけ言っておきます。
次回からはギネヴィア編です。
合わせて、円卓結成の話も進めます。