騎士(キチ)王   作:ひつまぶし。

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 やらかす二人と可哀想な一人。

 満を持して美少女()の完成だ。





07 災難

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 我が王の即位式。それは華やかなものでした。

 当の我が王は終わった後に疲れ切って私の胸に顔を埋めることになりましたが、特に問題はありませんとも。

 

 民衆が待ち望んだ救世の王。それがようやく即位をし、喜んでいる様子。

 貼り付けたような爽やかな笑顔の裏にはどんな顔をされていたのか。

 我が王が聖剣を手にしてからどんどん実る我が胸に埋もれながら呻く我が王を見れば、慣れないことをして疲れているのは明白。

 ケイも即位式は何事もなく済んだのはホッとしていました。いつ暴れるのかと気が気でなかったようです。

 

 

「我が王、お疲れ様でした。つきましては、二日後に戴冠式を執り行うものとして……」

「ぐええええ」

 

 

 まるでカエルのように呻く我が王は離さないとばかりに更に胸に顔を埋め、体を密着してくる。

 マーリンが羨ましそうに見てきますが、無視です。

 

 かつてのユーサー王が使っていた寝室を使い、体を休める我が王。

 本当ならクソ親父の寝室など使いたくはなかったが、我が王のためだ。我慢我慢。

 うむ。可愛いですぞ、我が王。

 

 

「というかマーリン。なんだその格好は」

 

 

 ズリズリと頭の位置を胸から膝に変えた我が王は見た目が変わっているマーリンを見る。

 少し前から珍妙な姿になっているがなんだそれは。

 

 

「むっふっふっふ。よくぞ聞いてくれました我が王よ!」

 

 

 待ってましたとばかりに変な格好をするマーリン。

 我が王が仮面らいだあの変身ポーズと言うが、何の事やら。

 見た目と相まってにゃるこ? にしか見えないとも言っておられる。

 

 顔付きはあまり変わっていないようだが、少し女子寄りの顔付きになっている。

 元々、男か女かわからない顔をしていたからよくわからんな。

 

 

「イグレインを助け、アルトリアと再会したことで戒めの鎖は解かれ、性転換を成功させたのです! 故に、このような幼子の格好にはなりましたが、それでも女であるのは間違いありませぬ!」

「素直に凄すぎて気持ち悪いな」

 

 

 ええ、同感ですとも。

 

 ほらほらと服を捲って下半身を見せるマーリンは素直に気持ち悪いです。

 ……おや。我が王の顔が真っ赤ですな。

 むっ! もしや見るのは初めてですかな!?

 

 

「無論、戒めの鎖はまだ残されていますが。全てを解けば、このマーリンは我が王が望む完璧な女に変われることを保証しましょう!」

「わかったから隠せ」

「む。見てもいいのですぞ。ここは我が王専用ですからな」

「ねえお願いだから羞恥心持って!?」

 

 

 何を言う。我が王のエクスカリバー()は私のものだ。

 

 

「何を言ってんのお前!?」

「なるほど。我が王のエクスカリバー()を我等のアヴァロン()に納めるわけか」

「下ネタが酷いね君等! こんなとこにいられるか!」

 

 

 おっと。逃がしませんぞ我が王。

 

 頭を動かそうとする我が王を捕らえ、膝に固定する。

 すると、怯えたような我が王の目がこちらに向けられる。

 ……むふっ。我が王可愛い。

 

 正直に申しますと、王への即位も終わったので何か個人的な褒美が欲しいのです。

 

 

「ほ、褒美?」

 

 

 ええ。最初の契約で言いましたでしょう? ある程度の自由は認めますが、王になったら何か一つだけ願いを聞くと。

 

 

「い、言ってねえぞ俺はァ!」

 

 

 ぬひぃと情けない悲鳴を出す我が王。なんとも愛おしい。

 思わず頭を固定する手に力を入れてしまったが、いいだろう。

 

 言いましたとも。ええ、言いました。

 

 

「てめっ、ゴリ押ししようとしているな!」

 

 

 固定する手を無理矢理にでも引き剥がそうと抵抗を始める我が王。

 が、予想済みである。

 

 マーリン。過去の事は水に流して共にヤろうではないか。

 

 

「勿論!!!!」

「あっ、クソ! クソマーリンめ! やめろォ!」

 

 

 ふふふふ。我が王。ふふふふ。ふひっ。

 

 

「のあああああああああああ!!」

 

 

 母上、アルトリアはヤりました!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔術師マーリンは狂喜乱舞していた。

 遂に達成した性転換。間を入れず、王と契りを交わせた。

 しかも、王の魔力は凄まじいもの。マーリンの中に解き放たれた魔力はマーリンを満たすものだった。

 

 ヌヒヒヒと気持ちの悪い笑いをしながら城の中を歩くマーリン。

 警備の騎士に怪訝な目で見られるも、お構いなしである。

 占領した偽王ユーサーの城を使うのもいいが、そろそろアーサー王に大きな贈り物をしたい。

 兼ねてから計画していた壮大なマーリンの野望。

 

 アーサー王を即位させ、戴冠を行う。

 次に、壮大な城を築いてブリタニアを統一させる。

 ハイパー美少女魔女っ娘マーリンのぱーふぇくとなプランである。

 

 既に建設地も決めてある。ログレスの都、あそこならブリタニアの象徴にもなろう。

 マーリンを毛嫌いしているアグラヴェインにもログレスの都に城を築くことを賛成してもらい、正式にアーサー王のサインをもらうことで建設に臨む。

 新たな王の誕生に沸くのは人間だけではない。怯える湖の乙女、妖精も全面的に協力をすると言った。

 即ち、最高の王城を建設できる。それだけでマーリンは大満足である。

 

 

「我が王よ、失礼しま――」

 

 

 執務室で初仕事をしているであろう、アーサー王を訪ねてみれば。もぬけの殻であった。

 部屋を見回せば、風が入り込んでいる窓が開いている。

 つまり、脱走である。

 

 

「わ、わが、わわわわ」

 

 

 我が王おおおおおおおお! そんなマーリンの叫びが響き渡るのは当然のことであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしよう。流れでとんでもないことになってしまった。

 

 

「……よし。こっちだな」

 

 

 あの、アーサー王。何をしておられるので?

 

 落ちていた木の枝を倒しているアーサー王に疑問しか湧かない。

 

 

「ヘイヘイヘイ。名もなき一般騎士くんよ。俺はアーサー王ではない。アルトリウスであると言ってるだろう」

 

 

 あ、はい。アルトリウス様。

 じゃなくて。城を抜け出して宜しいのでしょうか? 戴冠式を終えたばかりだというのに。

 

 

「いいんだよ。俺は王様だし」

 

 

 い、いえ。王様だからこそ抜け出してはならないのでは――。

 

 

「いいんだよ(ゴリ押し)」

 

 

 は、はあ。

 

 いかん。アーサー王は前から自由奔放なところは見られたが、今回はいくら何でも度が過ぎている。

 城に王がいないとなればケイ様もアルトニウス卿も心配なさる。

 というか戴冠式を終えた直後に王が消えるのは大問題だろう。偽名まで名乗って私を連れ出して。

 それよりも、先ほどから我等の後を追い掛けてくるあの生き物は何なのだ。白いリスのようにも見えるが。

 

 

「フォーウ」

「ん? ……うげえ!? キャスパリーグ!?」

「フォフォーウ」

「ぬあああああ!」

 

 

 あ、アーサー王ーーッ!

 

 白いリス、アーサー王はキャスパリーグと呼んだ。

 そのキャスパリーグはアーサー王に懐いているように顔に飛びつき、アーサー王は悲鳴を上げる。

 顔から剥がそうとしてもスルスルと器用に動いてアーサー王の手から逃れる。

 

 おろおろ。今の自分を表現するのであれば、こうだろう。

 キャスパリーグを剥がそうとするアーサー王の手助けをするべきなのかと迷う。下手に手を出して悪い方向に進むと思うと、手が出せない。

 

 

「ええい! 離さんか!」

「フォフォフォーウ!」

「何が勝手に抜け出したアホを見張りに来ただ馬鹿野郎! マーリンのブレーキになってろ!」

「ファー―――www」

「これからはお前がブレーキになるんだよォ!www じゃないんだよこのクソ毛玉!」

 

 

 うん。うん? 襲われているわけではない、のか?

 

 

「てめえ、絶対に俺と一緒にいた方が面白い事が起きると思って来てるだろ!」

「フォッー!」

「当たり前だよねー! じゃねえええええええ!」

 

 

 ようやくキャスパリーグを捕まえたらしいアーサー王は後ろ脚を両手で掴んでぶら下げ、揺らしている。

 独特的な鳴き声で抗議をしているが、言葉をわかっているらしいアーサー王が返事をするように怒鳴る。

 なんだか、気心の知れた友人同士に見えるな。

 

 

「フォウ」

「ん? この一般騎士くん? 暇そうに馬の世話してたから旅のお供に連れ出した」

 

 

 えっ、えええ!? アーサー王、私はそんな理由でここにいるのですか!?

 

 てっきり、もっとしっかりとした理由かと思ったのに。

 

 

「後は怒られる時に生贄が一人多いと分散されるじゃろ」

「フォフォフォwww」

 

 

 しかもこれまたなんとも酷い理由も付け加えられた。

 キャスパリーグも私を笑うように鳴いてるようにも聞こえる。

 

 それよりもアーサー王! 酷くありませんか!

 私はただ怒られるのを防ぐためだけに連れ出されたのですか!

 

 

「じゃあ、代わりになんか役職あげるから許して」

「フォーウ」

「アーサー王の尻拭い役とか誰が上手いことを言えと言った。というか、一般騎士くんの名前は何?」

 

 

 思っていたアーサー王の人物像と違い過ぎて頭が痛い。もしかすると、こちらが本来の性格なのかもしれないが。

 ああ、そういえばケイ様は必死になってアーサー王の傍で何かをしていたな。あれはアーサー王の振る舞いを隠していたからか。

 もしかすると、離反する騎士も出ていたかもしれない。

 間違いなく、ケイ様は一番の功労者とも言えるだろう。あの方がいなければアーサー王は王ではなかったかもしれない。

 

 ああ、もう。色々と裏切られた気分だが、アーサー王が為したことに偽りはない。

 エクスカリバーに選ばれ、遺憾なくその力は発揮できるだけの力は持っているのだ。

 救世の王として、アーサー王は選ばれたのだ。

 おそらく、これからも大きなことを為すに違いない。このブリタニアを平和にしてくれる御方かもしれないのだ。

 ともなれば、やることは一つだけだろう。

 ここにはいないケイ様に代わって、アーサー王のフォローをする。

 

 役職以前に民が失望するようなアーサー王を見せてたまるか! という気持ちが強い気もするが。

 

 城から連れ出されたままの格好。顔を隠す兜を脱ぐ。生まれつき、片腕が動かしにくいのは不便だがもう慣れた。

 視界の端に自分の髪の毛が映る。他の騎士にも男らしくないとなじられた髪の毛が兜の中から出る。

 軟弱者と馬鹿にされる顔も晒す。アーサー王にも言われるだろうが、敢えて見せよう。

 

 ベディヴィエールと申します。陛下。

 

 

「おう。カッコいい顔じゃねーかベディくんよ」

「フォウ」

「……キャスパリーグ、隙あらばネタを挟むのはやめろ」

 

 

 ……今、カッコいいと言われたのか? この女のような顔が?

 

 

「ぶっちゃけ強くて有能なら女でもいいんだよなあ。弱くて吠えるだけのアホは一番要らん」

「フォフォーウ」

「は? マジ? ベディくん、最初からいたの?」

 

 

 ――あ、はい。アーサー王がまだマーリン様、ケイ様、アルトニウス様と旅をしていた時に加わっておりました。

 

 

「うはあ。気付かなくてごめんな?」

 

 

 い、いえ。それは構いませんが。

 

 

「ま、そんなわけでちょっとした旅の間、よろしくなベディくん」

 

 

 ハッ。いつの間にか言い包められている。

 本当なら城に帰るように促さねばならぬのに。

 

 お、王よ。城に帰らねば。

 

 

「あー、無理無理。やらないといけないことがあるからね。わざわざエクスカリバーまで置いてきたんだからさ」

 

 

 エクスカリバーを置いてきたのか!? あれはアーサー王の象徴でもあり、力でもある。それを置いてまで何をする気なのだ。

 

 

「エクスカリバーがなければクソ雑魚の俺はアルトリアとマーリンには勝てねえからな」

 

 

 ……はい?

 

 

「エクスカリバーなしでも勝てるように鍛える。ついでに女をナンパしてこましてから性技を鍛えてアイツ等をアヒンアヒン言わせるために旅をするんだよこの野郎!」

「フォフォフォーウ」

「即落ちのフラグをいただきましたー、じゃねえぞクソ毛玉」

 

 

 えっ、えええええぇぇぇぇ……。

 

 ブリタニアは駄目かもしれない。こんなのが王だもの。

 

 

 

 

 

 

 





 安直に逆レさせたけどまあ、いいかなって。
 モルガンもモードレッド生むために似たようなことをしているからセーフセーフ。

 そして性転換を成功させたアホのマーリン。見た目は完全に童女なのでアーサーくんは逮捕案件。
 戒めの鎖はマーリンがやらかしたいくつかの事件の被害者を助けることで消え、アーサーくんの好みの女になれる設定。これが活かされるかはゲイツリバイヴの完成度次第です。

 恋愛クソ雑魚ってワードからセッ〇スクソ雑魚王様とかいうパワーワードが浮かんだので採用した結果がこれです。
 家出し、巻き込まれるベディくん。アーサー王の儀仗兵だったから振り回されるのは仕方がないね。

 ……え? ベディくんのTS?
 アルトリアにNICE BOATされるベディくんとか見たいの?




 ここまでフォウくんに触れないことに対して怒った方はマーリンシスベシしておいてください。


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